二次創作小説(新・総合)
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- ポケットモンスター REALIZE
- 日時: 2020/11/28 13:33
- 名前: ガオケレナ (ID: qiixeAEj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12355
◆現在のあらすじ◆
ーこの物語に、主人公は存在しないー
夏の大会で付いた傷も癒えた頃。
組織"赤い龍"に属していた青年ルークは過去の記憶に引き摺られながらも、仲間と共に日常生活を過ごしていた。
そんなある日、大会での映像を偶然見ていたという理由で知り得たとして一人の女子高校生が彼等の前に現れた。
「捜し物をしてほしい」という協力を求められたに過ぎないルークとその仲間たちだったが、次第に大きな陰謀に巻き込まれていき……。
大いなる冒険が今、始まる!!
第一章『深部世界編』
第一編『写し鏡争奪』>>1-13
第二編『戦乱と裏切りの果てに見えるシン世界』>>14-68
第三編『深部消滅のカウントダウン』>>69-166
第四編『世界終末戦争』>>167-278
第二章『世界の真相編』
第一編『真夏の祭典』>>279-446
第二編『真実と偽りの境界線』>>447-517
第三編『the Great Journey』>>518-
Ep.1 夢をたずねて >>519-524
Ep.2 隠したかった秘密>>526-534
Ep.3 追って追われての暴走>>536-
行間
>>518,>>525,>>535
~物語全体のあらすじ~
2010年9月。
ポケットモンスター ブラック・ホワイトの発売を機に急速に普及したWiFiは最早'誰もが持っていても当たり前'のアイテムと化した。
そんな中、ポケモンが現代の世界に出現する所謂'実体化'が見られ始めていた。
混乱するヒトと社会、確かにそこに存在する生命。
人々は突然、ポケモンとの共存を強いられることとなるのであった……。
四年後、2014年。
ポケモンとは居て当たり前、仕事やバトルのパートナーという存在して当然という世界へと様変わりしていった。
その裏で、ポケモンを闇の道具へと利用する意味でも同様に。
そんな悪なる人間達<闇の集団>を滅ぼすべく設立された、必要悪の集団<深部集団>に所属する'ジェノサイド'と呼ばれる青年は己の目的と謎を解明する為に今日も走る。
分かっている事は、実体化しているポケモンとは'WiFiを一度でも繋いだ'、'個々のトレーナーが持つゲームのデータとリンクしている'、即ち'ゲームデータの一部'の顕現だと言う事……。
はじめまして、ガオケレナです。
小説カキコ初利用の新参者でございます。
その為、他の方々とは違う行動等する場合があるかもしれないので、何か気になる点があった場合はお教えして下さると助かります。
【追記】
※※感想、コメントは誠に勝手ながら、雑談掲示板内にある私のスレか、もしくはこの板にある解説・裏設定スレ(参照URL参照)にて御願い致します。※※
※※2019年夏小説大会にて本作品が金賞を受賞しました。拙作ではありますが、応援ありがとうございます!!※※
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.225 )
- 日時: 2019/01/25 17:54
- 名前: ガオケレナ (ID: 1T0V/L.3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
仲間が続々と集まってきた。
敵に囲まれていたはずだったが、今となってはその敵は散り散りになり、変わりに仲間が近くに集まってそれぞれ戦っている。
それでも、敵がバラバラに動いているので徐々にこちらも離ればなれにはなっていくが。
「いやぁ、ジェノサイドさんと連絡が取れないと分かった時はもうどうしようかと半分パニックでしたよ」
燃える基地をバックに、ジェノサイドとレイジが互いに身の回りを見つつ嘘としか聞こえないような、調子の良さそうな口調でレイジが言う。
「シェルターは電波が入らない設計にしちゃってたらしいからな。まぁ俺が来ていなくてもお前達はずっと隠れてたんだから別にいいだろ」
「そういうことですね」
喋っている最中、バン!と激しくも鈍い音が隣から響いたので何事かとレイジの方向を見ると人が頭から倒れていた。
見知らぬ顔なので敵だろう。気絶しているのか死んでいるのかよく分からないがその顔で判別するのは難しい。
「気づいたら真横にいたので」
「さらっと怖いこと言ってんじゃねぇよ。それにしてもよ……」
ジェノサイドは音の正体であったレイジの隣に展開されたダゲキを見る。
「格闘タイプのポケモンをよく使うイメージだな。エルレイドだったり、お前はダゲキを使ってたり。あとお前の部下だかミナミだか忘れたけどキノガッサとかニョロボン使ってるのもいたな」
「キノガッサはリーダーですね。この前もあそこの林で'やどりぎのタネ'使って緑増やしていましたし。ニョロボンは私たちの部下ですね。恐らくは。元々リーダーの好みが格闘タイプでして、姿がカッコいいのと使いやすいとかで昔から愛用していたのですよ」
知らなかった。組織単位でタイプを絞る動きというのはさほど珍しくなく、あえてそれを行う組織も少なくはない。ルークが組織していたフェアリーテイルはフェアリータイプが多く、モルトの爆走組も毒タイプが多いと聞いている。それに当てはめると赤い龍は格闘タイプ専門か。
「ミナミと戦うことがあったらファイアローぶつけよう……」
「フェアプレーでお願いします」
火の粉が視界に映った頃に「ところで」とレイジが話を切り出してきた。
「これからどうするのですか?戦場はこの基地周辺、陣地は形を失っているため此処一帯を走り続けねばなりません。その間あなたや私たちはどうすればいいのでしょうか?」
少し難しい問題だった。
元々ジェノサイドという組織は他組織への侵攻メインでこれまでやってきた。
理由は簡単で、ジェノサイドの組織の居場所がバレなかったからだ。
だが今回、ジェノサイドとしては珍しい防戦を行っている。しかも身の安全となる基地も失ってしまった。
この時どうすればいいのかなんてジェノサイドにはすぐに答えが出せない状況だったのだ。
「とにかく、今は出来るだけ敵を見つけて倒していけ。兵がいなくなれば残るのは大将だけだ。組織としての力も弱まるし大将本人の行動にも繋がる。戦いながらバルバロッサを探していく感じになるな」
「ですが、それではあなたの身が危険になるだけでは?この戦いでたとえこちらが有利でも、あなたが死ねば我々はその瞬間負けとなりますよ?」
「それは大丈夫だ」
ジェノサイドは遠くの林を見つめながらレイジの肩を叩く。見ないでやろうとしたので最初は外してしまった。
「そこはちゃんと考えている。その時になったら合図を送る。合図は……そうだな」
言って比較的安全そうに見える草むらに入ると、そこからジェノサイドは一体のリグレーを呼び出した。
「これは?」
「こいつが合図だ。まだ使っちゃダメだが、俺が花火か何かを空に向かって撃つからそれを合図だと思ってこのリグレーの近くにまで寄れ。するとリグレーはお前に対してテレパシーを送る」
周りを確認し、誰にも聴かれていないことを確認すると、小声でボソッと呟くように、
「テレパシーの内容はちょっと変わった質問だ。お前らなら答えられるものを用意してある」
「えっ?」
何故そこまでするのかと不思議に思う。何をさせたいのか彼の動きが読めないがそれを今尋ねても無駄だろう。
そこは黙っておくことにした。
「しかしこれを私だけに伝えてもよろしいのですか?もっと他の連中にも……」
「ハヤテやケンゾウ、あとは……ショウヤとリョウだっけか?何人かにはあらかじめ来たるべき有事の際の解決手段としてもう伝えてある。何度も言ったことがあるから覚えてはいると思うけど」
「リーダーには!?ミナミには伝えましたか!?」
やけにその話題になると気を荒立たせるレイジだが、それほど大事な存在ということか。
両肩を強く握られ迫られるジェノサイドだが、肩に食い込んでいる指が痛い。
「いててっ、おいやめろレイジ。アイツに関してはまだ言ってねぇ。バルバロッサ探す過程で俺は此処を走り回ってるからその時にミナミも見つけて言っておくよ」
「いえ、私にやらせていただきます!」
じゃあ何故聞いたと思い、未だに離さない両手を払ってみる。どちらにせよ、二人のうちどちらかが行えば問題は無い。
「じゃあそういうことで」とだけ言うとジェノサイドはレイジのいる方向とは逆、つまり基地の裏側を目指して走り去って行った。
ーーー
「やっぱり……」
怖いものを見ているようなか細い声で呟いたのは高畠だった。
意識を失って倒れている人が彼らの歩く道の脇に放置されている。その人の手元にはモンスターボールも転がっていた。
「やっぱり今戦ってんじゃん……本当に大丈夫なの……?」
何今更怖がってんだとか、ポケモン持ってないくせに何故来たんだと思い浮かぶ突っ込みが次々に生まれてくる。
その内燃えている建物の姿が見えてきた。
「うわっ!!」
「あれは……もしかしてあれが、レンの基地なのかなぁ……?」
各々その衝撃的な光景を目の当たりにし、絶句する。
「レンは!?レンは無事だよな!!」
それまで落ち着いていた吉川が動転したかのように焦り出した。一行は彼がそこまでメンタルが強くないことを思い出す。
「落ち着いて吉川君!まだ分からないけど、流石にレン君があの建物内にいるのは考えにくいからきっと外にいるよ。だから先にレン君を探さないと!」
ついさっきまでこの動きには反対だった佐野も、燃える建物を見てしまうと自分の後輩の安否が気になり始めてしまう。
ここまで来たら探すしかないと思い始めているところだ。
突然、近くからガサッと音がしたのでそこを振り返る。
(レン君か!?)
人影が見えたことから、皆その正体が高野だと思ったことだろう。
だが、その異様な外見からそのような気持ちは消え失せてしまう。
(あれはー……何だ?手に金属のようなものを……まさか、銃!?)
型までは分からないが、一瞬見えた形状から恐らくショットガンだろう。
日頃の生活では絶対に見ることのない物を見て彼らは一体どう反応するのか。
(アルマゲドンには居ない人間……?もしや奴等、ジェノサイドか!!)
叢から飛び出したその男はそう思いながら徐々に近づき、ガシャッと音を立ててリロードし始める。
その時になって、彼ら全員はその男が銃を持っていることに気がついた事だろう。
「ひっ!?」
「キャッ!!」
反射的に女子二人が叫び声を上げる。しかしその反応は脅威、即ち敵を見てしまった時に上げる声だ。
疑念から確信へと変わり、その男はショットガンを彼らに向ける。
カチッと引き金を徐々に引いていったその時。
バチィッ!!と火花が散りそうな激しい音が立ったと思うとその男は倒れてしまった。
よく見ると痙攣を起こしている。
「あ、あれ……?」
「撃たれてない……よな?俺ら」
命の危機を脱した彼らは安堵の表情を見せるも、さらに驚く光景が。
「ポケモン!?」
へたりこんでしまった船越の隣にはライボルトがバチバチと電気を時折発しながら何食わぬ顔で立っている。
誰の、どのようにして出したポケモンなのか。特にポケモンユーザーの人たちは戸惑いを見せる。
「ボケっとしてんじゃねぇよ」
その中に、一人ボールを持つ者が。
「常磐……お前のライボルトか?これ……」
「此処はポケモンを使った戦場なんだ。おめぇらもポケモン持ってるんならそれ使えよな」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.226 )
- 日時: 2019/01/25 18:01
- 名前: ガオケレナ (ID: 1T0V/L.3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「そもそもの話」
常磐は地面に転がったショットガンを拾い上げまじまじと見つめる。
本物かどうかを見ているようだ。
「本物のポケモンバトルをしたことのないお前らがよく来ようと思ったよな」
「そういう常磐はなんで手馴れてんだよ……まさかお前も深部の人間とかか?」
「実体化したポケモンを使う奴全員が深部の人間とか思うなよ?俺は日頃こいつら使って友達とバトルしたり遊んだりしてただけだ」
常磐の話によると、実体化したポケモンを使う人々も深部の話は少しは知っているようだ。自分たちが使っているポケモンを利用した自警団的組織がいると。
「まー、でもあんまりいい話は聞かないよな。深部が綺麗だったのは昔の話。今じゃ組織間で抗争しているやべーやつみてーなもんだ」
それでも優しい組織はあるがな、と常磐は最後に付け加えた。
ショットガンは無駄に重く、オモチャには見えない代物に思えてしまう。
「何でこんなもんを日本人が持ってんだよ……」
それでも護身用としてその銃を離さない。素人が持っていても不安なだけだが。
「とにかくレンを見つけよう。適当にほっつき歩いても狙われるだけだ。ポケモン持ってる奴はいつでも準備しとけよ」
状況の割にスラスラと言えるこの男に、佐野と船越は不安を覚えるも、常磐は元から切り替えががうまい人間だったのでそういう事だろうと結論づける。
ーーー
「'ナイトバースト'」
と言い終わる前に既にゾロアークはポケモンもろともトレーナーをも吹き飛ばしていた。
適当に吹っ飛んだその人は、大木に激突して呻き声をあげる。戦えるようには見えなかった。
「さてと、ミナミとバルバロッサ探さなきゃいけねぇのか……」
面倒臭そうに頭を掻いていると、はっきりと誰なのか分からない程の距離から、ユラ……と不規則に動く影があったかと思った矢先、予想だにしないスピードでジェノサイドに向かって来ていた。気が付いた時には目の鼻の先にまで到達している。
「!?」
人間の足では絶対に出せない、しかし'テレポート'という訳でもなく本当に走ったその人間に不思議に思うも、意識は別に向かう。
(ナイフ!?)
一気に込み上げる危機感を抱いて必死に体を傾ける。
「ぐっ……、っ!」
しかし、腕から何らかの痛みを発した。
見てみると、二の腕を軽く斬られたようだ。斬られたローブの隙間から血がチラリと見えた。
「テメェ……」
互いに距離を離したことにより、顔が確認できる事が出来た。少なくともその程度の距離だ。
その何度も見た顔により、怒りよりも笑いが込み上がる。
二の腕を押さえた手が震えていた。
「ったく、またお前かよ……お前と会ったのは三度目かぁ?」
「そうだったかしらね。同じ人に燃やされる基地って果たしてどうなの?」
その少女は真っ赤に染まるナイフを手にしている。明らかに自分の血だけではない。
「二十人くらいかな。そのくらいは刺してきたよ。全く脆いもんね。天下のジェノサイドってのも」
「言ってろ。俺としてもつまんないザコばっか倒してきてていい加減飽きてたところだ。テメェぐらいだったら少しは楽しめんだろ」
お互いにニヤリと笑うとそれぞれポケモンを自分より手前に展開する。
ジェノサイドは横で待機していたゴウカザルを、その少女はサンダースを。
「どっちが速いと思う?」
「ほざけ。一瞬で終わらせてやる。こんなバトルなんかな」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.227 )
- 日時: 2019/01/25 18:09
- 名前: ガオケレナ (ID: 1T0V/L.3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ゴウカザルは炎を纏うと狙いを一点に定めて駆け出した。
'フレアドライブ'だ。
「へぇ」
興味深くそれを眺めて小さく笑うと、少女はサンダースに'ボルトチェンジ'でもさせようかと思った矢先。
ゴウカザルの狙いがサンダースでないことに気づく。
それも、ゴウカザルは狙い打つために炎を纏ったまま翔んだ。
その真下にいる、少女を目掛けて。
「えっ、」
「言ったろ、終わらせてやるって」
ジェノサイドのそんな声が聞こえた気がした。
しかし、驚いたのは最初だけだ。
翔んだその瞬間、猛烈な風が吹くと思うと、後ろへと飛ばされてしまい、結局不発となる。
ゴウカザルはジェノサイドよりも後方で着地した。
「なるほど……」
ジェノサイドはこの時になってやっと分かった。
猛烈な風も、少女の速すぎる脚力の正体が。
スワンナが、'おいかぜ'を起こすのを止めて地上に舞い降りたのだ。
「やっぱスワンナもかわいーなぁー」
降り立ったスワンナの頭を撫でて調子の良さそうにする彼女の姿を見て、何かよく分からないイライラするものを込み上げたジェノサイドは、ゴウカザルに命令したのか、その少女の真横に、拳を思い切り叩きつけて地面を揺らす。
「何してんだよ……勝負はまだ終わってねぇよ?」
「始まってすらもいなかったね」
ニコニコした様子でスワンナをボールに戻すとサンダースを見つめて、
「じゃあ、やっちゃおっか」
ダルいからかため息混じりに、やけに力のこもってない感じに'ボルトチェンジ'などと言ってみると、先程のスワンナの'おいかぜ'とは比べ物にならないような、最早災害クラスの大風が吹いた。
「えっ、えっ?何?」
何とか飛ばされずにに済んだ少女は咄嗟にサンダースをボールに戻す。
上を見上げるとカイリューがその巨体を浮かせるための翼を使っての物だと言うことが判明した。
「どうして?カイリューなんかが……?」
何かを思い出したかのようにジェノサイドが元いた位置に顔を戻す。
が、
「やられた……」
ジェノサイドは居なくなっていた。被っていたつばの広い帽子が転がっているのみである。
しかしそれ以上に意外だったことが一つ。
「まさかリーダー見つける前にあんたを見つけるなんてね……」
聞き覚えのある声がした。
もしやと思いカイリューに乗った人を眺めてみる。
「あらぁ、あの時の……」
着陸するために突風を生み出しつつ翼の力を弱めるカイリューは、自分の主を降ろすために自身の体を低くして、より降りやすくしてあげる。
「えーと、何て名前だったっけー……えーっと……」
「ミナミ」
「そうだ!アナタがミナミとかいう何したかったのかよく分からない子だった……」
「うるさい」
と跳ね除け、少女が醸し出しているふざけた空気を一変させる。
(何よ……前と比べて随分と落ち着いているじゃない……目の色も違うし……)
ミナミは地上に降り立つ。
カイリューをボールに戻すと、目の前の少女を睨んだ。
「アナタのリーダーなら死んだわよ」
「嘘つけ。アイツがどこぞのガキにやられるわけないでしょ」
「ガキじゃなくてレミ。アタシはレミって言うの」
どうでもいい、とそれを無視してミナミはキノガッサを出してみる。
レミと名乗る少女はうっすらと笑って、
「いいの?前は諦めちゃったくせに?」
ボールを掌でくるくる回しながら彼女なりの挑発をしてみる。
「アナタたちの目的はアタシじゃないのに?それでもやるの?」
「もうウチは……諦めたりしない」
ミナミは強い眼差しを向ける。
今度は自分がアイツを助けると強く誓って。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.228 )
- 日時: 2019/01/25 18:17
- 名前: ガオケレナ (ID: 1T0V/L.3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
バルバロッサと別れたテルはひたすら林の中を彷徨っていた。
整備されていないので道という道はなく、とても歩きにくい。
冷静に考えると組織のリーダーを一人置いていくのは危険すぎる行動のように思える。
が、
「心配するな。じきに仲間が更にやってくる。お前も名前くらいは聞いたことある人間さ」
との事なので心配はいらないようだ。その名前も聞いたことのある人の名だった。
「んじゃあ俺は相変わらず奴の仲間をブッ倒してけばいい訳だな……」
自分がどの辺りにいるのかも、敵も仲間も見当たらないが基地が燃えているのがうっすらと確認できる。そちらの方向に進めばなんとかなりそうだ。
そんなあまりにも適当に考えていた時だ。
やけに騒がしい声が聴こえた。
「レン君とは連絡取れないの?」
「いやぁ無理ですね。何度も電話してみたけど繋がらないです」
「ってか今何時だ?腹減ったー」
「テメェこんな緊張感漂う時に何言ってんだよド素人の癖にどこに足突っ込んでんのかマジで分かってんだろうな!?」
どこの学生団体だと聴こえてきたアホそうな雰囲気に思わず目を細める。
しかし声からして聞き慣れないものだ。つまりはアルマゲドンの、仲間ではない可能性が高い。
("ド素人"とか聴こえたぞ……?つまり俺らの人間じゃねぇな。敵か?)
少し焦りを伴わせながら、声のする方へ駆け出し、彼らの前へと立ちふさがる。
「はーいちょっと止まろうかお前ら。その見慣れないグループにその姿。俺らの仲間では……」
言いかけた時だ。先頭に立つ男が物騒なショットガンを手に持っているのが確認できた。テルからしたらその銃は見覚えのある代物だ。
(あれは……確かコッチのヤツが持ってた型だ……それを持っているって事は……!!)
その男を睨むと無言でボールを真上に放り投げる。
「ハッサム……?」
ゲームでどんなに見慣れていても現実に見てしまえばその衝撃と興奮は何度も生まれて来る。
たとえ敵が使ってきてもその思いは変わらない。
「どけ、佐野。ここは俺がやる」
常磐がライボルトの入ったボールを握り締めて前を歩こうとしたが、そこを逆に佐野に止められた。
「待った。そのポケモンでもハッサムの'テクニシャン'を前にしても戦えるか?」
「どうにかなるだろ」
二人が話し合っている時に、後ろの方では何やら陣形を作り出しているようだ。ロクなポケモンを持っていない高畠と石井と吉川を座らせ、その周りを香流と船越と松本で囲んでいるのだ。三人はどの方向から敵が来ても対処できるようそれぞれ別方向を見ている。
「今度は僕にやらせてほしい」
「はぁ?まだこっちの世界で戦ったことすらないド素人が本物の深部と戦うってか?お前何を言ってんだよ!」
二人のやり取りを聞いてテルは内心ラッキーと思った事だろう。
(まさかここにおいてジェノサイドの非戦闘員とかち合うとはな……しかし非戦闘員はきちんと避難させなきゃダメだろうが。何考えてんだか。ジェノサイドは……)
「僕のポケモンならハッサムに対抗できる」
「分かった分かった。好きにしろ。その代わりピンチだと思ったら勝手に割り込むぞ」
ありがとう、と言って佐野が一歩前に出てボールを構えた。
その同じタイミングに、三人を守る松本の足に、何かでつつかれる感触がした。
「ん?」
松本が後ろを振り返ると、しゃがんでいた吉川が一個のボールを持って何やら草むらの方を指差している。
「あぁ……」
彼の言いたいことが分かった。
敵にバレないように足を広げると、股下から吉川は草むらに向かってボールを転がした。
佐野がポケモンを出すのと全く同じタイミングだったので飛び出す音でバレるなんてこともなかった。
(よし!頼んだぞピカチュウ!)
そう思う吉川。あとは祈るだけだった。
「なるほど、お前……」
テルはこれでもかと嫌そうな顔をして一言。
「ブースター使ってんのかぁ……」
佐野を見ると自信はありそうだった。それに呼応してブースターの毛並みもまるで炎を現しているかのようにメラメラと燃えているようだ。
だが、隣にいる常磐が
「ゲームとは動きが全く違うからな」
という初心者に対して言うアドバイスがある辺りテルも相性で決まるバトルでない事は察した。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.229 )
- 日時: 2019/01/25 18:23
- 名前: ガオケレナ (ID: 1T0V/L.3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
カイリューの突風により茂みへと吹き飛ばされて転がったジェノサイドは、あちこち痛む体をなんとか起こして顔を上げた。
「くっそ、いてて……。さっきのカイリュー、多分ミナミのだろうな。アイツの姿も一瞬見えたし……リグレーの件もあるしアイツの所へ行くかなー……」
言った途中だった。
ジェノサイドは不思議な光景を目にする。
「あいつ……ら?」
ミナミによって7m程は吹き飛ばされた。近い位置に彼女はいる。
だが、別角度。
基地側のミナミを北側だとするとその東側。
そこに見慣れた人々がいる。
紛れも無く、先輩と友達だった。
(あいつら……っっ!!まさか本当に此処に来やがったのかよ……。今がどんな状況なのかも分からないのに……?もしかしたら戦いに巻き込まれる可能性も……)
彼らの状況を見ようと少し歩いただけで、テルとハッサム、それと対峙する先輩と、明らかに先輩のポケモンであるブースターがもう既に戦っている事に気づく。
対戦で佐野がよく使っていたブースターだ。すぐに確信を持てた。
(遅かった……!)
大学で自分を襲撃しに来ていた人の姿を確認できたあたり、かなり無謀な戦いであろうと想像してしまう。
ジェノサイドの歩む方向が定まった。
(やめろ……)
叫びたかったが声が出なかった。その代わりその足が早く動く。
(やめろ!!俺の知り合いに手ぇ出すんじゃねぇ!)
今のこの戦いにおいて自分が最も狙われているということをすっかりと忘れ、一目散に駆ける。
段々と近づいてゆき、遂に隔てるものが深い草むらのみとなったときだ。
パキッと足元から音がした。
その音のせいか、テルが振り返り、遂に自分が見つかってしまう。
ジェノサイドも反射的に足を止めてしまい、何の音なのか視線を落としてみた。
細い枝だった。どうやらこれを足で踏みつけたようだ。足にも木の枝らしき感触がする。
(チッ!バレたか……まぁいい。このまま奴を直接……)
ジェノサイドらしかぬ不意打ちの事を考えようと思ったときだ。
不自然な影が間に割って入った。
同時期。
テルは低く唸った。
初心者とはいえ、ブースターとハッサムの戦いはかなりキツい。たとえ初心者でもシナリオをクリアしていれば相性の善し悪しなどしっかりと頭に刻んでいるはずだからだ。
だからどのようにしてこの男をぶっ倒そうか考えていた最中。
足元近くの草むらからガサガサと変な音がした。
不思議に思い、その方向を見ると、必死の形相でこちらに向かって走るジェノサイドの姿が。
(こんな時にジェノサイド……!?なんてタイミングだ……だがコイツからショットガンでも奪えば俺でも殺せる……)
見つかったせいか、ジェノサイドはその場で歩みを止め、その場に留まっている。
チャンスだ、とばかりに一瞬ショットガンを手に持つ、手馴れた感じの男をチラッと見たがその瞬間。
不自然な影が草むらから飛び出し、自身の視界に映り込む。
その影にして不自然な音の正体は。
「'10まんボルト'だーー!!」
いきなり三人の男により塞がっていた狭い空間から男の怒鳴り声が聴こえた。
その声の主は吉川。
そしてテルの眼前には電撃を纏った……
「ピカチュウだと!?」
叫んだ直後。
激しい閃光と爆音が鳴り響く。
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