コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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アイドルな彼氏に猫パンチ@
日時: 2011/02/07 15:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。

なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。

女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。


私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。

同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。

なのに なのに。


浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。

それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。


彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!

なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?


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Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.452 )
日時: 2013/01/21 22:18
名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)

「あー久々に酔ったかなぁ?なんかフワフワしてて気持ちいぃ〜♪
『YUKIMI&』今日までお疲れ〜っ!今までよく頑張ったねぇ!
だーれもヨシヨシしてくんないから、自分でするもんねーだ!」

打ち上げ帰りの午前2時半。
タクシーを拾うために大きな通りまでみんなでブラブラ歩いたが
珍しく今日一番足元がおぼつかないのが雪見だった。

『期間限定アーティスト』と言う畑違いの職業に偶然足を踏み入れ、
戸惑いながらもどうにか成功を収めて解放される安堵感。
明日から元の自分、元のカメラマンに戻れる喜び。
しかしそれと同時に訪れる、猫カフェ再建プロジェクトで担う重責。
にも関わらず、あと一週間で米国へ旅発つ矛盾。
だけど健人のそばで夢の手助けが出来る心躍る日々。
けれど最近また調子を崩してる母の心配…。

喜びやら不安やら期待やら心配が、入れ替わり立ち替わり訪れる。
そんな自分の中の始末に負えない感情から逃れるため、雪見がいつにも増して
早いピッチで酒を空けた結果、今日一番の酔っぱらいが出来上がった。

三月終わりのまだ寒い街に、真夜中と言えども送別会帰りの人々がたむろする。
その間を雪見が大声を出して歩くのだから、そりゃ当然周りは振り向くだろう。
すると頭ひとつ飛び出してデカい優は否応なしに目に入るし、一緒に居るのが
健人、当麻、翔平、みずきの豪華ラインナップだとしたら、通行人から
悲鳴のひとつも上がるに決まってた。

「シーッ!ゆき姉、ちょっと静かにしてっ!俺らも目立っちゃうだろっ!」
翔平に雪見が叱られる。

「なによーっ!しんのすけのくせにーっ!」

「誰だよっ!ゆき姉にこんなに飲ませたやつ。全部俺にとばっちりが来るだろーっ!?
はいはい、ゆき姉は頑張ったよ、頑張った!よしよし、いい子いい子!
お前らもやれよー!」

「うん、ゆき姉、頑張ったね!えらいえらいっ!」
「ちがーう!ゆき姉が頑張ったんじゃなくて『YUKIMI&』が頑張ったのっ!」
「めんどくせーっ!!」

街角に翔平の大声と、優や健人らの笑い声が響く。なんだか幸せな気分。
自分たちもその辺にいる送別会帰りの団体と、何も違いがないじゃないか。
そう思ったら、コソコソ歩いてんのが馬鹿くさくなった。

なんで悪いこともしてないのに、俺らだけ目を伏せて歩かなきゃなんないの!?
俺たちだって普通に生きてんだ!仲間とワイワイやって何が悪いっ!

ある意味一般人である雪見は、ともすれば忘れてしまいそうになる普通の幸せを
何気なく気付かせてくれるのだった。


「じゃあねっ!俺はもう出発前には会えないと思うけど…頑張ってこいよ!
こっち帰ってきたら式、挙げるんだろ?俺また幹事やっちゃるから指名してね!」
タクシーに乗り込んだ雪見と健人に、翔平が名残惜しそうに言う。

「うん、頑張ってくる。翔平もドラマの撮影頑張れよ!
けどもう幹事は頼まない。また目隠しリムジンみたいなの、やりそうだから(笑)
みんなもサンキュねっ!ま、二ヶ月したら戻ってくっから、また遊ぼ!
それまでお互い頑張ろうや!じゃ、おやすみー!」

パタンとタクシーのドアが閉まり、滑るように車が発進する。

「なんか健人…すっごい幸せそうな顔してたよねっ!
やっとゆき姉と結婚できるんだもん…。私まで泣きそうになっちゃった。」
みずきがタクシーのテールランプを、いつまでも潤んだ瞳で見つめてる。

「そうだねっ!あの二人には幸せになってもらいたいよね。
俺も今日ゆき姉に会えて、ほんと良かったよ!
ずっと会いたかったのに、今までタイミングがどうしても合わなかったから。
ありがとな!当麻。俺まで呼んでくれて。」
優が当麻の肩にポンと手を置きながら礼を言うと、横から翔平が口を挟んだ。

「それ、俺のお陰っ!一応事務所の打ち上げって名目で店押さえてもらったから
ほんとは事務所の仲間だけってはずだったんだけどさ。
優がゆき姉に会いたがってたの知ってたから、呼んでやれば?って当麻に頼んだの。
幹事の気配りってやつ?」

「お前も違う事務所だろーっ!?」「あれっ?そうだっけ?」

当麻の翔平へのツッコミに、みんながお腹を抱えて大笑いした。
事務所の垣根を越えて結ばれた友情は、その真ん中で健人が繋いでくれてることを
みんなが認識し感謝している。



「はぁぁ…終わっちゃった…。」

その頃、みんなから遠ざかったタクシーの中では、雪見が健人の肩に頭をもたれかけ
目を閉じて半ば夢の中で呟いてた。

「うん…終わったね。もう今日からゆき姉は浅香雪見に戻ったんだよ。
やっと俺のとこに戻って来たんだ…。」

そう言いながら健人は繋いだ手にギュッと力を込め、反対側の手で雪見の頭をそっと撫でる。
だが雪見はすでにまどろみの中らしく、何の返事も返ってはこない。

雪見と一緒のツアーは楽しかったし、毎日が充実してた。
自信のなかった歌にも雪見が自信を与えてくれたし、何より大好きな人と
同じ場所で同じ感動を味わえた思い出は、一生忘れはしないだろう。
しかし雪見ファンが増えるにつけ、自分の中のモヤモヤも日々増殖、
感情のバランスを保つのが難しくもあった。

『俺って…こんな奴だっけ?』
今まで抱いたことのない感情をクスッと笑いながら、再び雪見の寝顔を覗いてみる。

安心しきった顔で幸せそうに眠ってる、大事な大事な宝物。
健人は可愛いおでこにそっと唇を寄せ「おやすみっ。」と小さく囁いた。

ゆき姉にあの日出会わなかったら…俺は今頃どうしてただろ?
ゆき姉が、ちぃばあちゃんを思い出して線香を上げに来てくれたから。
あの日たまたま俺も時間が空いて、実家に立ち寄ったから…。

やっぱりこれって運命だろっ?そうだよね。
俺とゆき姉はきっと昔から、赤い糸で繋がってたんだよ、絶対に。
あの日に出会うことになってたんだ。

あの日…?そうだっ!もうすぐ、ちぃばあちゃんの一周忌じゃね!?
やっべ!忘れてた!

















Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.453 )
日時: 2013/01/28 15:37
名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)

「あ、来た来たっ!おかーさーん!お兄ちゃん達、着いたよーっ!」

猫のプリンを抱きながら、人待ち顔で窓の外を眺めてたつぐみの顔が
パッと明るさを増す。
キッチンに立つ母も嬉しそうに微笑みながら、温めておいたカップにコーヒーを注いだ。

打ち上げから3日後の日曜午後2時。
命日より少し早いが、祖母の一周忌法要が健人の実家で執り行われる。
そこになんとか都合をつけ、二人で駆け付けたのだ。

「ただいまー!あー爆睡した。
おぅ、つぐみ!うまいケーキ買ってきたから、ばあちゃんにも上げといて。
よーし、プリンこっち来いっ!元気だったか?
あれ?虎太郎は?コターっ!どこ隠れてるーっ?来ーいっ!」

健人は居間に入ってくるなり背伸びして、ケーキの箱と引き替えに
つぐみからプリンを受け取り、愛しそうに頬ずりをする。
少し遅れて雪見も花かごを抱えて入って来た。

「こんにちはー!お邪魔しまーす。車、あそこに止めて来たけど良かったですか?」

「ゆきちゃん、いらっしゃい!忙しいのにわざわざ来てくれてありがとね!
あ、車はあそこで大丈夫!あとはお坊さんが来るだけだから。
まぁ綺麗なお花!おばあちゃん、喜ぶわ〜♪」

「あ…今日は母が来れなくてごめんなさい!
本人は来たがってたんですけど、ここ何日か調子悪くて…。」

「今朝お母さんからお電話いただいたわ。何も気にすることじゃないのに。
だって実の息子でさえ来られないんだもの。」
健人の母は笑って言ったが、それとは逆に健人は一瞬顔を曇らせた。

「父さん、また帰って来れないのかよ…。」

「仕方ないでしょ。お父さんも忙しいのよ。ほら、新年度に入ったばかりだから。
人事異動なんかもあって、バタバタしてるんでしょ。
どうせ一周忌って言っても、おばあちゃんの遺言通りお経あげてもらうだけだし。
それにあんたも、すぐ戻らなきゃなんないんでしょ?
二人とも忙しいんだから無理して来なくても良かったのに。」

「そうはいかんでしょ!
線香の一つもあげてからアメリカ行かないと、向こうでバチ当たったらどうすんの。」

「なに言ってんの!おばあちゃんが孫をそんな目に遭わすわけないでしょ!
さ、いいから雪見ちゃんも座って!カフェオレどうぞ!お土産のケーキも頂いちゃお♪」

「ありがとうございます!でも先にお線香上げさせてもらってもいいですか?」

そうだった!というような顔をして、健人も抱いてたプリンを床に放す。
そして雪見と共に仏壇前に正坐し線香をあげて手を合わせ、大好きだった祖母に
米国での無事と冥福を祈った。

一通りお願い事をしてから目を開けると、隣の雪見はまだ目をつむり
心の対話の真っ最中。その横顔が、何だかとても嬉しかった。
しばらく祖母と二人で話させてやろうとそっと立ち上がり、再び居間に戻った途端
つぐみがグイッと右手を突き出す。

「は?俺と握手したいわけ?サインも欲しい?」

「なーんでお兄ちゃんと握手しなきゃなんないのよ!
あ!でもサインは後でちょうだい。友達に頼まれてたんだった!
…って違うでしょ?お祝いよ!お・い・わ・いっ!
まだお兄ちゃんから大学合格祝い、もらってないもん!」

「そうだっけ?」

「やだぁ〜しらばっくれてる!
いっぱい稼いでんだから、可愛い妹の合格祝いぐらい弾んでもいいでしょ!?」
噛みつかんばかりのつぐみの勢いに、健人は笑いながらSOSを出した。

「ゆきねーっ!こいつどうにかしてー!!」
雪見がニコニコしながら仏壇前を離れ、居間に戻ってくる。

「ごめんね、つぐみちゃん!まだ直接おめでとうって言ってなかったもんね。
本当におめでとう!私は絶対合格するって信じてたよ。
それなのに健人くんはねぇ…めっちゃ心配してた(笑)」

「いやいや、心配するでしょー普通!
ゆき姉の自信がどこから来るのか、さっぱりわからんかった。」

「だって、私と健人くんの妹だよ!大丈夫に決まってんじゃない。」

「えっ…?」

思いがけない言葉が、健人とつぐみの心を同時にキュッと包んだ。
本当に雪見がこの家の一員になる…。俺たちと…家族になるんだ!
改めて溢れる嬉しさに、この兄妹はもちろんその母も顔がほころぶ。

「これ…未来の看護師さんに私達からのお祝い!
選ぶ時間がなかったんだけど、私も健人くんも一目見てこれだ!って思ったから。」
雪見はそう言いながら、つぐみにピンクのリボンが結ばれた長細い箱を手渡す。

「え?うそうそっ!これって…お兄ちゃんと二人で選んでくれたの?
キャー嬉しいっ!ありがとっ!ね、開けてみてもいい?」

パッと満面の笑みに変化したつぐみは、矢継ぎ早に雪見に聞いてリボンを解く。
中に入っていたのは超人気高級ブランドのネックレス。
二重になったハート型ペンダントトップに、小粒ダイヤ3石が埋め込まれてる。

「うそ…こんな高い物もらえないよ。うん、ダメダメっ!もらえない!」
悪い物を見てしまったと言うように、慌ててパタンと箱を閉じたつぐみは
その箱を雪見に突き返してよこした。

「お前ねぇ。今さっき俺に、いっぱい稼いでんだから高い物よこせ!
って言っただろーが!
あ、言っとくけど、これ3年分の誕生プレゼントも兼ねてっから。
ダイヤ一個が一年分だから、あと3年は何も請求すんじゃねーぞ!
いや、大学卒業まで無しだっ!…ったく、お前の誕生石がダイヤなばっかりに
マジ高くついたわ。」

健人が照れ隠しにわざとぼやいてるのがわかったので、雪見はクスッと笑った。
いつも妹を気に掛けてるくせに、ほーんと素直じゃないんだから。

「つぐみちゃん。これはね、私と健人くんからのお守りでもあるんだから受け取って。」

「お守り…って?」

「つぐみちゃんが大学でしっかり学んで、立派な看護師さんになれますように、って。
自分の誕生石を身につけておくとお守りになるのよ。
ダイヤはね、その人の才能を引き出して目標を実現するために強力にサポートしてくれる。
あとね、永遠の絆を守ってくれるんだって。」

「永遠の絆…?」
つぐみが聞き返した途端、健人が慌てて言葉を繰り出した。

「ゆき姉っ!俺のあげたダイヤの指輪、ちゃんと持ってるよね!?」
「えっ…?持ってるに決まってるでしょ。私のデスクの引き出しに…」
「ちゃんと付けといてっ!」

本当は即座に笑って突っ込むべき場面だったに違いない。
だが、あまりにも真剣すぎる兄の顔は冗談とも本気とも判断つかず
突っ込むのを躊躇してしまったことを、つぐみは後で後悔した。
もしかして本当に笑えない状況…じゃないよね…?

つぐみが気付くことを母が気付かぬ訳はない。
しかしその時、玄関のインターホンがふいに鳴った。どうやら僧侶の到着らしい。
図らずも法要の場にふさわしい神妙な顔はすでに出来上がってる。
そして一周忌は滞りなく終了し、健人と雪見はまた風のように去って行った。

この家に、良からぬ不安を置きみやげにして…。






Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.454 )
日時: 2013/02/08 02:34
名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)

「あれぇ?だいぶ早く着いちゃうな。こんなに道路すいてると思わなかったぁ!
こんなんだったら、もっとおばさんとおしゃべりしてあげれば良かった。
うちらが帰る時、なんか凄く寂しそうな顔してたよね、おばさん…。」

健人の祖母の一周忌法要を終え、雪見は健人を次の取材現場まで送り届けるため
遅刻しては大変!と慌ただしく斎藤家を後にした。
だが渋滞にも巻き込まれず、思いの外スムーズに車が流れたせいで
かなり早くに着きそう。
これはどこかで時間を潰さねば、とキョロキョロしながら走ってた時だった。

「ストップ!」

「えっ!?なに?どっかいい場所でも見つけたの?」
雪見が慌てて減速し、ハザードランプをつけて路肩に止まる。

「違うって!その『おばさん』てのさぁ、さっきからめっちゃ気になんだけど。」

「え?『おばさん』…が?…あ!あぁ、そーゆーことね。だってぇ〜!」
健人の言いたいことはすぐにわかった。

もうすぐ結婚すんのに、いつまで「おばさん」て呼ぶのさ?てことだろう。
わかっちゃいるよ。けど二十年以上もそう呼んでた人を名称変更するには
それなりの手順と心の手続きってもんが必要で…と言い訳を用意してたら
追い打ちを掛けるように次の言葉を繰り出してきた。

「じゃーさ、俺のことはいつまで『健人くん』なわけ?」

そう言いながら健人は、キスでもするかのようにグイと顔を近づけ
小首を傾げて雪見に回答を迫ってくる。
ドラマでも見たことがある、最上級のキメ顔で。

「ちょっとストーップ!なんで今、そんなこと聞くのぉ!?今、そんな話の流れだった?
もっと離れてーっ!誰かに見られたらどうすんのよ!」

「あれっ?そのためにゆき姉の車、外から見えないやつに買い換えたんだけど。
じゃ試してみる?」

えっ!?と驚く間もないほど健人は突然唇を重ねてきた。
片手で素早く自分のシートベルトを外し、ハンドルを握ったままの雪見に半ば強引に。

されるがままの雪見だったが、頭の中はひどく冷静だった。
脈略もなく健人がこんな行動を取る時は、必ずその裏に何らかの不安が潜んでることを
経験上良く知ってるからだ。

こんな時、雪見がすべき事は、健人の中にある正体不明の不安をとにかく静めること。
自分の中でミッションの確認さえ取れれば、あとの行動は素早い。
気持ちを切り替え、年上の女がまだ経験浅い年下の男を扱うかのように
大胆に振る舞い出す。

雪見は唇を重ねながらもシートベルトを外し、自らを自由にしてやった。
両手で健人の頭を包み込み、今度は雪見が健人の唇を支配する。
助手席に押しつけられた健人の身体は熱を帯びるが、今はどうすることも出来はしない。
胸の高まりを理性で押さえ、ただ雪見の唇のみを受け止めるより仕方なかった。

そろそろ健人の不安もどこかへ消えたはず。さぁ仕上げに取りかかろう。

雪見はゆっくりと唇を離し、ギュッと健人を抱き締める。
それで我に返った健人も雪見を優しく抱き締め返した。

「今日の夜はゆっくり飲もっか。私、美味しい物作って待ってる。
しばらく健人くんに、ご飯作ってあげる暇もなかったもんね。
今日は荷造りもやめにして、のんびり二人でワインでも飲もう。」

穏やかに優しく、健人の目を見て微笑んだ。
今ここで、突然のキスの理由を詮索するのは得策ではない、と…。

「そんで、今のキスの続きも?」

「しょーがないなぁ!健人くんが寝落ちしなければねっ。」

健人が鼻でクスッと笑ったので、雪見はミッション完了を確信する。
子供のおねだりに「良い子にしてたらねっ。」と母が言うかのように
雪見もしたり顔で返事したあと、にっこり笑ってみせた。

その瞬間の健人の嬉しそうな顔ときたら!
別にキスの続きだけが嬉しい訳ではないだろうが、大好きな人と過ごす
至福の時間を約束され、その時が待ち遠しくて仕方ないのだ。
子供なら「うんっ!良い子にしてるっ!」と喜々として母を見上げる場面であった。

健人が求めるもの。それは時として母の優しさだったり父の強さであったり
大好きな人の温もりだったりする。
つまりは何かに包まれる安心感が欲しいのだと雪見は思う。
その安心感があってこそ、健人は明日も戦場の中を一人
前へと進んで行けるのだ。

芸能界と言う名の戦場…。
いつも健人の周りには人が大勢集まり、もてはやされ
孤独とは無縁の世界に目には映る。しかし現実とはいつも裏腹。
健人は誰が敵で誰が味方なのかさえ判らぬ曖昧な世界で
ひとり孤独に戦い続ける。

そんな毎日に救いの手を差し出すのは雪見。
冷たくなった心を両手で温め、再び真っ赤な血潮を流れさせてくれる。
雪見無しにベストな自分を保つのは、もはや不可能とさえ思うのだ。


「さーてとっ。あと30分、どこで時間を潰そっか。」

シートベルトを再びカチリと締めながら、雪見が健人に目を向けた時だった。
健人の向こうのガラス越しに、見覚えのある景色が。
急いで辺りに目を凝らすと、それを確定づける表示も見つけた。

「あぁーっ!このお寺ぁ!夏美さんに連れられて来たお寺だぁぁ!」

雪見が健人を通り越し、そのまだ先を指差して大声で叫ぶ。
その声に驚いて指の示す方を向いた健人もまた大声で言った。

「うっそ!この前仕事で来れなくなったとこぉ?
そんな偶然ってあんの!?」

3日前、二人はここに来るはずだった。
「必ず渡米前に来るように」と言う老住職の言いつけを守るため
アポまで取り付けていたのだが、運悪く健人の撮影が長引き、
どうしても来ることが出来なかった。

その、もう来る事が叶わないとあきらめてた寺が、なぜか今
二人のすぐ真横に建っていた。

時間潰しの場所、みーっけ!












Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.455 )
日時: 2013/02/14 16:19
名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)

「いつでも居るって言ってたから、大丈夫だとは思うけど…。
とにかく行ってみよう。今日会えなかったら、もう無理だもん。」

「うん!俺も色々占ってもらいたいっ!めっちゃ楽しみ♪」

「ちがーう!占い師さんじゃないからねっ!
何でもお見通しなんだから、変なこと考えてるとバレちゃうよ!」

「うそっ!?やっべ!さっきまで考えてたことバレちゃう?キスの続きとか!」

日本を旅立つ日まであと4日。
健人は前日まで仕事があり、雪見も渡米準備に追われてる。
これが本当に最後のチャンスだった。

寺の境内入り口付近に車を止め、そこからはザクザクと玉砂利を進んで行く。
ヒールのある靴では歩きづらいなと思ってると、健人がサッと手を繋いでくれた。

「ありがと♪ねぇ私達、お参りに来た夫婦に見えるかなぁ?」

「見える見える!二人とも法事帰りの格好だもん。ちぃばあちゃん、グッジョブ!」
顔を見合わせて笑った。こんな場所で嬉しくなるのは不謹慎だろうが
雪見と健人は束の間のデート気分である。

二人揃って人気者になってしまった今、大手を振って街中をデートすることは叶わない。
そんな不自由な恋人同士にとって、ここは別天地に見えた。
大都会にありながら、うっそうと茂る大木たちが二人の周りをぐるりと取り囲み
誰にも見つからない秘密のデートコースを歩いてるようだった。
実際にすれ違ったのも二組の老夫婦だけ。
いずれも健人らを気にも留めず、穏やかな顔をして通り過ぎた。

「このお寺って、ずいぶん大きいんだね。
奥の方にお墓が見えるよ。きっとみんな墓参りの帰りだよ。」

「ほんとだ!前に来た時はもう暗くなってたから気付かなかった。
けどさぁ、偶然止まったのがここの前って、凄くない?」

「誰かに呼ばれたのかなぁ?あ!きっとキスの神様がまつられてんだよ!
俺が急にチューしたくなったのもそのせいだ!いっぱいすれば御利益あんじゃね?」

「違うよ。神様が奉られてんのは神社でしょ?ここはお寺っ!
ちょーっとぉ!ダメだってば、こんなとこで。バチが当たっても知らないからっ!」

周りに誰も居ないのをいいことに、健人が悪ふざけして唇をとがらせキスを迫る。
雪見は「やだやだーっ!」と笑いながら顔をそむけてると突然、後ろから声がした。

「そこのお二人さん!ずいぶんと楽しそうね。写真に撮っちゃうよー!」

「えっ!?」

心臓が止まりそうだった。しまった!と思った。
浮かれすぎを後悔しながら、二人揃って恐る恐る振り返ると…。
なんとそこに立っていたのは、笑いながら花束を抱えるみずきであった。

「やっほー!こんなとこで会うなんてビックリ!
けど、おっしいなぁ!もうちょっとでキスシーン目撃出来たのに。
声掛けるのが早過ぎちゃった!」

「おどかすなって!マジ心臓止まるかと思ったわ、まったく!」

健人が、はぁぁ…とため息をつきながら胸をなで下ろす。
雪見は思いがけないところで会ったのが嬉しくて嬉しくて
キャーキャー言いながらみずきに走り寄り、ピョンと抱き付いた。

「みずきこそどうしたの!?花束持って。誰かの…お墓参り?」

「そう!ここに父のお墓があるのよ。菩提寺なの。
こないだの月命日に来られなかったから、今日お参りに来たってわけ。
あ…私、話したことあったっけ?父があの猫かふぇ始めたのって
このお寺に捨てられる猫を救済するのが最初の目的だったのよ。」

「うそっ!そうだったの!?知らなかった…。なんか凄い偶然が重なりすぎてて驚くな。」
雪見は今日この寺を訪れた経緯を説明した。
するとみずきは「なるほどねぇ。」とうなずきながらニコッと微笑んだ。

「あ、和尚さまがお待ちかねよ!私は父さんが待ってるから行くねっ。じゃあ、また!」
そう言えば住職もみずきも、同じような能力を持っている。
そこに吸い寄せられるように関わる私も、何か関係あるのだろうか…?


確かにみずきが言った通り、住職はこの前と同じ本堂前で待っていた。
ニコニコと出迎えた住職に対し健人は緊張の面持ちで「初めまして。」と頭を下げる。
「何でもお見通しなんだから。」と言うさっきの雪見の言葉が頭をよぎり
目を合わせるのに勇気がいった。

「よぅいらっしゃったな、斎藤くん。
ほぅ!どうやら今日は宇都宮さんが呼んで下さったようじゃ。
わしは占い師ではないが、君の事は良く見えとるよ。
さぁ時間も無いようだから、早速本堂へ参ろう。」

大きな目を更に大きく見開いて、言葉もなく驚いてる健人が可笑しくて
雪見は長い廊下を歩いているあいだ中、クスクスと笑い続けた。

線香の香りが漂うひんやりとした本堂で、住職と向かい合わせに正坐した二人。
これから何を告げられるのか、心臓が痛いほど早鐘を打つ。

しばし目を閉じてた住職が、ゆっくりと目を開いた。
背筋をピシッと直し、居住まいを正した健人をまずは見る。
雪見も住職が何を健人に告げるのか、緊張し過ぎて胃が痛くなってきた。

「君は、わしが前に見た通りの若者じゃったよ。素晴らしい才能の持ち主だ。
この先、必ずや成功をおさめるから楽しみにしてなさい。
だが…努力無しの成功など、人生の何の役にも立たん。
才能にあぐらをかかず、常に精進を続ける者の成功だけが自分を幸せにする。
そして…雪見さん。」

「は、はいっ!」
突然振られてビックリした雪見も姿勢を正し、真剣な目を住職に向けた。

「前にわしが言った言葉を覚えておいでかな?」

「はい…。」
どの言葉を指しているのかと、あの時の記憶をフル回転で再生する。

「彼の成功には、君の手助けが必要不可欠なのじゃよ。
陰になり日向になり、彼を支えていかねばならん。
たとえ何があろうとも…じゃ。それだけは忘れてはいけない。わかったね。」

たとえ何があろうとも…。
住職はそう言ったあと、一瞬怖いほどの瞳で私を見据えた。
何が待ってるの?何かが見えてたの?

その先を教えて欲しくて「はい…。」と返事しながらも目で住職に訴える。
だが住職はお見通しであろう雪見の心を見ない振りして、ただ穏やかな瞳を向けるだけ。

「さぁ時間だ、行きなさい。アメリカでの生活を楽しんでおいで。
おぉ、そうだ!留守中、猫かふぇは心配しなくてよろしい。
わしの寺から行ったもの達が、しっかり店を守ってくれるであろう。
どういう訳か、魔よけの黒猫と幸福を呼び込む白猫が多いからのぅ。
ちゃんと役目を果たして、雪見さんの帰国を待っとるよ。」

そう言って微笑みを二人に向けた。
これ以上は何も詮索するな、と語るように…。


外へ出ると、日の落ちてきた境内に猫たちが集まってきた。
きっともうすぐご飯の時間なのだろう。

さぁ、健人を送って私も夕飯の準備に取りかかろう。







Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.456 )
日時: 2013/02/18 21:04
名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)

「ただいまー!ゆき姉、ワイン買ってきたよー!
よっしゃあ!ビーフシチューの匂い♪もう腹減って死にそう!」

夜8時。取材を終えた健人が車で帰宅。
こんなに早く帰れたのは久しぶりで、玄関から聞こえた声が機嫌の良さを物語る。

「お帰りー!お疲れ様っ!お風呂も沸いてるよー。」
リビングに入ってきた健人に、対面キッチンから雪見が笑顔で出迎えた。

健人が真っ直ぐやって来る。
「ただいまっ!」と言いながら、料理を盛りつけてる雪見を後からギュッと抱き締め
ほっぺにチュッとキスをする。
肩越しに料理を覗き込み「めっちゃうまそ!早く食べよっ♪」と言ったあと
耳元で「ゆき姉もうまそっ♪」と囁いて素早くほっぺにチュッ!
いたずらっ子のように、そそくさと逃げてった。

「ほんっとに、もうっ!」
雪見がクスッと笑いながらシチューを皿によそうと、幸せな香りが鼻をくすぐった。

コンタクトを外しメガネを掛け、Tシャツとスゥエットパンツに着替えた健人が
ご馳走の並んだテーブルに喜々として着く。
そこに雪見が熱々のビーフシチューを運んで来ると、健人が嬉しそうに
「なんかのお祝いみたいだねっ。」と言いながら、グラスにワインを満たした。

「さ、食べよっか!今日のシチューは美味しく出来たよ!いっぱい食べてね。」

「やった!じゃあ今日もお疲れっ!カンパーイ♪
おっ!このワイン、大正解!どれどれビーフシチューは…いっただっきま〜す!
うわ、めっちゃうめぇ!!何これっ!?肉、軟らかっ!野菜もうまっ!
てか、ゆき姉また腕上げたね!三つ星レストランで出しても絶対バレないって!」

「ふふっ、ありがとっ♪絶対バレるけどねっ。」

健人が美味しそうにシチューを頬張る姿を、雪見は微笑んで眺めてた。
大好きな人が自分の作った料理を食べて幸せそうな顔をする。
自分は今、彼を幸せにしてるんだ。そう思えることの何と満たされた幸福感。

行儀悪く頬杖ついて、うっとり健人を眺めていたが、雪見はふと
つい何時間か前の和尚の言葉を思い出した。
『陰になり日向になり、彼を支えていかねばならん。たとえ何があろうとも…。』

アメリカではたった二人きり。マネジャーさんも今野さんもいない。
健人くんを支えられるのは私だけ。事務所の宝物を、この私が託されたのだ。
なんて重い責任。なんて重要なミッション。
けれど、みんなが私の存在を認めてくれたということ。
日本の次世代を担う俳優斎藤健人の、人生のマネジャーとして…。

けれど…。和尚にはあの時、見えてたはずだ。この先に何があるのかを。
あの時は知りたいと思ったが、今となっては聞かないで正解だったと思う。
それを知ってしまったら、私はもしかして最初から逃げ出してたかも知れない。

…え?待って。その時が来たら私…逃げ出してしまう…の?

「ゆき姉?ゆきねぇってば!ビーフシチューのお代わりっ!
てか、なにボーッとしてんのさ。俺の話聞いてた?
あれ?全然食ってないじゃん!飲んでもいないし。どっか具合でも悪い?」
健人が心配げに雪見の顔を見つめ、手を伸ばしておでこに触れた。

「あ…ゴメン!具合なんて悪くないよ。熱もないでしょ?
健人くんの食べてるとこ大好きだから、惚れ惚れして眺めてただけ。
頑張って作った甲斐があったよ。今温め直してよそってくるねっ。
これからガッツリ飲むよー!」

健人が良いタイミングで声を掛け、現実に引き戻してくれた。
ひとりキッチンの壁にもたれ、ボーッとシチューが温まるのを見守る。
だが、先ほど途中まで考えてしまった「その時」の先が恐ろしくて、
早く頭の中から削除してしまいたいと願った。


ガッツリ飲むよー!とは言ったものの、健人の買ってきたワインを1本空けたところで
宴は一旦お開きとする。
二次会は、お風呂に入ってあとは寝るだけに準備してから、ずっと観られないでいた
映画の鑑賞会をしつつ飲もう!と言うことに。

健人に「一緒に入る?」と誘われたが、一人で少し考えたいことがあったので
「お風呂上がったらすぐ映画観たいから、おつまみ準備しておくよ。」
とやんわり断った。


『ほんとに私、大丈夫なのかな…。』

湯船に浸かり、天井を見上げながら雪見がため息をつく。あと4日…。
4日後アメリカで新生活が始まった時から人生は動き出す。新たな局面に向って。
今さらどうこう考えても仕方ないのだが、健人の浮かれようを一歩引いて見てしまう自分が
今更ながら気に掛かった。

『ダメダメっ!何を今頃になってウダウダ考えてんの?
とっくに自分でゴーサインを出して決めたことでしょ?
大丈夫よ!案ずるより産むが易しって言うじゃない。
きっと結婚なんて、そんな大層なもんじゃないんだわ。
よしっ!もっと自信を持て、自分っ!』

あえて先ほど頭をかすめた話題には触れないようにした。
それを突き詰めてしまうと、一歩も足が前へ進まないような気がしたから…。

バシャッ!とお湯を頭からかぶり、気合いを入れてバスルームから出た。
洗面台の大きな鏡の前で、ウェーブのかかった長い髪をドライヤーで乾かし
シュシュで二つにゆるやかに結ぶ。
たっぷりの化粧水と美容液で、お肌のお手入れも完了。
コンタクトを外したのでメガネを掛けると、鏡の中に健人の姿が映って振り向いた。

「あ、健人くんもここ使う?じゃ電気消して来てね。お酒の準備しておくから。」
そう言ってリビングに戻ろうと、健人とすれ違おうとした時である。
健人がスッと雪見の髪に手を伸ばし、ゆっくりと二つのシュシュを下に引き下ろしたのだ。

「えっ…?」

余りにも不意打ちで、心の準備が出来ていなかった。
だが健人は無言のままジッと雪見の目を見つめ、今しがた乾いたばかりの長い髪を
指先で綺麗にといて整えた。
その指は、今度は雪見のメガネを捕らえ、両手で外して洗面台の上にコトンと置く。

「やだ、何にも見えなくなっちゃったじゃない。」
何が始まるのか察した雪見が、照れ隠しにすねたように小さく言った。

「じゃあ、見えるとこまで近付きゃいいじゃん。」

健人はそう言いながら自分もメガネを外し、ゆっくりと顔を近づける。
最接近した瞬間に手を伸ばし、雪見のに並べてメガネを置いた。
何でもお見通しのような大きく濡れた健人の瞳が、雪見の瞳に吸い込まれてゆく。
二人は、長く熱く濃厚な一つの時間を紡いでいった。

誰にも邪魔されることのない、誰の目も気にしなくていい二人だけの時間。
それは離ればなれの時に否応なしに生じてしまう、ちょっとした行き違いや誤解、
不安や寂しさを払拭し傷を埋め、さらに補強までしてくれる大事な儀式の時。


雪見の中でくすぶってた不安の火種は、見透かしたように健人の唇が吸い取ってくれた。

大丈夫、きっと大丈夫…。











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