コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- アイドルな彼氏に猫パンチ@
- 日時: 2011/02/07 15:34
- 名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)
今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。
なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。
女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。
私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。
同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。
なのに なのに。
浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。
それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。
彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!
なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?
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- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.447 )
- 日時: 2012/12/17 11:28
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「うわ、すっげ!ボウリング場まであったなんて!どんだけ凄いの、この店。
けど、こんな設備を維持するんじゃ赤字にもなるかな…。」
「あ…!オーナー室に飾ってあった写真って、ここで撮ったんだ!」
洞窟を模したトンネルの向こうに隠し扉があって、そこはたった2レーンだけだが
プライベートボウリング場になっていた。
そう言えば以前雪見がオーナー室を一人で訪れた際、宇都宮と津山が
楽しげに二人並んで写ってる写真が本棚に飾ってあったのを思い出した。
その写真がここで撮られたものだということを、たった今知る。
「きっと宇都宮さんと津山さんの、大事な思い出の場所なのよ。
このお店で無くしていい場所なんて、多分どこにもない…。
このまま丸ごとで引き継がなくちゃ意味が無いんだ…。」
雪見は、自分の担った明日からの任務に改めて責任を感じる。
そして、この店の存続に尽力する事こそ、自分が宇都宮と津山から受けた
恩に報いる唯一の方法だと思い込んでしまった。
うちの事務所はこの店に、いや私に一体いつまで猶予を与えてくれるのだろう…。
私が事務所から契約の延長を言い渡されたのは半年間だけ。
もしその間に結果が出なかった場合、この店に未来はあるの…?
雪見は勝手に最悪のシナリオを思い浮かべてた。事務所は何も明言などしてないのに。
そしてあろう事か自分のニューヨーク行きに、わずかながらの違和感を感じ始めてた。
半年しか猶予はないのに、その内の二ヶ月間も海外なんかに行ってる場合なのか?と…。
雪見の悪い癖。
目の前の事が気になり出すと徐々にその事で頭が一杯になり、それ以外は
どんどん薄れて行ってしまう。
たとえそれが大好きな人との大事な約束であろうとも…。
「…ゆき姉!ゆき姉ってば!なに難しい顔してんの?
みんなが来る前に早く勝負しよ!俺はスタンバイOKなんだけどー。」
健人は靴を履き替え、すでにボールを手にしてレーンの上で待っている。
人目を気にせず二人遊べることが嬉しくて仕方ない様子で。
雪見が何を考えていたかなど知るよしもなく…。
「あ…ごめんごめん!よしっ、勝負しますか!
言っとくけど、やるからには真剣勝負だからねー!わかった?」
「おっ!俺を本気にさせちゃってもいいの?ハンデあげようと思ってたのに。
よしゃ!なんか、めっちゃ燃えてきたぁ〜!」
健人が珍しくはしゃいでる。
そうだね、ほんと久々だもんね、二人で遊ぶの。
ここ何ヶ月もずーっとお互い忙しかったから。
今日はやっと終わったツアーの打ち上げだもんね。よしっ!
少年のように無邪気な健人を見て我に返った雪見は、今夜だけは何も考えずに
頭をからっぽにして遊ぼう!とボールを選びながら考えた。
「ね!ゆき姉とボウリングって、一回もしたことないよね?
俺、結構はまって友達と真夜中に行ってた時期があるよ。だから負けないもんねー!」
「私だって負ける気はないよーだ!そだ!せっかくだからルール決めよ!
2ゲームトータルで勝った人は負けた人に、何かひとつ命令できるってのはどう?」
「おっ、いいねいいねー!随分強気じゃん!受けて立っちゃる!
よしゃ、じゃあ先攻後攻ジャンケン!」
「最初はグー!ジャンケンチョキ!やった!私の勝ちー!
じゃあ私が後攻ねっ。まずは健人くんのお手並み拝見といきますか。いざ勝負!」
健人の第一投目は、さすがに凄い破壊力でピンを弾き飛ばしたが、惜しくも9ピン。
それを見て雪見が後ろで小躍りしてる。
「スペア取れるかな?ガターかな?あれ難しいよねー。うーん、落ちそうだな。」
心理作戦に出た雪見が背後から近付き、健人の耳元でささやく。
くすぐったがりの健人は、わざと雪見が吹きかけた息に身をよじりながら
「やめろー!」と叫びつつ第二投目を投げる。
が、雪見の狙い通り、ピンの横をかすめて無情のガターとなってしまった。
「やったやったぁ♪作戦成功!」
「うっそーっ!?マジでぇ?そんなのありかよぉー!
まぁまぁ、まだ1フレーム目だし、今のはレーンコンディションを見たわけよ!
じゃ次はゆき姉の番だよ。」
健人はまだ余裕の表情で笑っていれた。次に投げる雪見の球を見るまでは。
雪見はボールを構えて真剣にレーンを見つめたかと思うと、スッと静かに
一歩目を踏み出した。
それはまるでプロさながらの綺麗なフォームで、健人が『えっ!?』
と思う間もなく
なんとストライクを叩き出したではないか!
「ウソだろーっ!?なに今のぉ!?すんげぇ球が曲がったしぃ!
まさかゆき姉って、ボウリングもプロだったとか言わないよね?
俺、ひとっこともそんな話、聞いてないけど!?
てか、今のは練習ボールだよね?ね?ここからが本番でしょ?
今のはノーカウントねー!はい、ここからが本番でーす!」
雪見が運動音痴だとばかり思い込んでた健人は、まさか一投たりとも
自分が負けるなどとは夢にも思ってなかったらしく、子供みたいにゴネて
必死に食い下がってくる。
その負けず嫌いで大人げない姿がおかしくて、雪見はお腹を抱えて笑ってた。
「あー笑えるぅ!やだ、お腹いたーい!
今の健人くんの顔思い出したら次はガターかもー!もしかして作戦?」
こんなに屈託なく笑うゆき姉を見たのはいつ以来だろ…。
猫カメラマンから突然アーティストになって、疾風の如く駆け抜けた時間に
いったい笑う時間はどれほどあっただろう。
良く今日まで頑張ったね…。
そう思うと胸がキュンとした。
急に雪見が愛しくてたまらなくなり、健人はスッと椅子から立ち上がると
いきなり雪見を抱き寄せキスをした。
誰が入って来るとも判らないけど、今はとにかく二人きり。
ちょっとのスリルも手伝って高まった二人は、お互いをむさぼるように
キスし抱きすくめる。
しばらくしてやっと落着いた健人は、きつく抱き締めた手を少しゆるめ
雪見の目を見て言ったのだ。
「俺と絶対結婚してね。約束だから…。」
健人は雪見から瞳をそらさずにいた。
雪見から絶対の確信を取り付けるまでは瞬きもしないつもりで。
だが、絶対の…永遠の愛などないことも知っていた。
雪見の愛は…どうなんだろう…。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.448 )
- 日時: 2012/12/20 15:05
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
『どうして…そんなこと言うの?』
健人が目をそらさないから、雪見も瞳を見据えて心で聞き返す。
本当はどんな返事を待ってるかなんてわかってる。
でも、行きつ戻りつしていつまで経っても100%には成り切らない
自分の心の有り様もわかってた。
どうして…どうして私の心は素直に喜ばないのだろう。
大好きな人が、こんな真剣な目をしてプロポーズを繰り返すのに…。
どうしたいの、私…。
雪見は沈黙が不自然にならぬよう、ありったけの笑顔をかき集めて笑って見せた。
今はまだ本当の答えが見つからない。
自分が納得する答えに出会うまで、不用意に健人を悲しませたくはない。
「ねぇ、もしかしてもう勝利宣言なの?
しかも一個しかお願い言えないのに、そんなのに使っちゃうの?
いいよ!健人くんが勝ったら百万回でも結婚したげる!
けど私が勝ったら、もっと凄いこと お願いしちゃうよ?」
一瞬健人の表情が揺らいだ。
だがそんなことはお構いなしに進まねば。
「えっ…?俺、そんなつもりで言ったんじゃないんだけど。
てか、結婚より凄いお願いってなんだよっ!」
「まだ教えなーい!勝負の前に言ったらつまんないじゃない!
てゆーか、健人くんが負けちゃったら結婚出来ないって、それ作戦?
最初に言っちゃって、私にわざと負けさせるようにし向けたんでしょ?
もう、どんだけ負けず嫌いなんだか。」
「ちょっ!じゃ俺がマジ負けたら結婚出来ないわけぇ!?
やっべ!チョー本気出すっから!手加減しないよ!ハンデもなーし!」
「やっぱ大人げなーい!」
雪見がゲラゲラ笑ってるのを見て、健人も笑いながらボールを構えてレーンに立つ。
真剣に言ったつもりの愛の言葉を、ゲームの景品と勘違いされて苦笑いしたが、
それは雪見が天然なせいであって、本当の結婚は揺るぎないものだと信じてた。
さっきとは別人の顔つきでボールを投げ出すと、乾いた音を響かせて
ストライクを叩き出す。
「よっしゃあ!!本気モードに入ったぞ!絶対負けねー!」
得意満面ガッツポーズをするのだが、次に雪見が軽く投げたボールも
またしても綺麗な弧を描いてストライクゾーンに入り、後ろを振り向いて
得意げにピースした。
「うそだろって!ね、なんで?昔やってたの?」
「昔ってなによー!めっちゃ年寄りみたいでしょ?
でもね、種明かしすると前にスクールに通ってた事がある。
父さんが生きてた頃、よく連れられて近くのボウリング場に通ってたんだよ。」
「それって小学生の頃ってこと?マジか!
そんな前に習ったのに今でもストライク出せるって、凄すぎでしょ!」
「健人くんだってリトルリーグで野球やってて、今でもホームラン打てるでしょ?
同じだよ。基本さえしっかり身につけとけば、幾つになっても出来るのが
ボウリングのいいとこ。
ほら、お年寄り夫婦がマイボールにマイシューズで、止まりそうにゆっくりなんだけど
パタパタパタってピン倒して高得点出してるの見たことない?
私ね、あーいう健康的な老後がいいな。
可愛いお婆ちゃんが若者の隣でストライク出してたら、めちゃ格好良いでしょ!」
目をキラキラさせて語る雪見に、健人が致命的な事を言った。
もちろん深くは考えずに…。
「おっ!いいねいいね!じゃ50年後も俺と勝負だ!」
「50年後?…って健人くんが72歳で、私が…84歳!?
さすがに無理かな、私…。」
「い、いや、じゃ40年後でもいいや。」
「40年後は健人くんが62歳で私が74歳…。30年後は52歳と64歳なんだ。
ふーん…。一番きっついのは健人くん58歳で私が70歳の時かな?
この時はさすがに絶対凹むわ。」
そう言いながら雪見は力なく笑ったが、もうそれ以上は笑い飛ばす気力さえも
生まれてはこなかった。
きっと私の方が先に死ぬ。
何ひとつ家事の出来ない健人くんを一人残して…。
初めてそんな未来までを見通した。
12歳差という変えようのない事実は、自分の中では踏ん切りをつけたつもりだったのに。
自分から振った話題で自ら凹み、健人にさえも気まずい思いをさせてしまった。
やっぱり…無理かな 結婚…。
不穏な空気を察知した健人が慌ててボールを手に取る。
そして絶対の気迫でストライクを連発させては一人で騒ぎまくった。
一方の雪見はと言うと、もはやボウリングに集中出来る心境ではなく、
どうやってもストライクはおろかスペアさえも取れなくなっていた。
気が付けば2ゲームが終了。もちろん勝者は健人である。
その喜びようときたら!
「よっしゃあ!勝ったぞ〜!勝った勝ったぁ!!
しかも人生最高得点まで叩き出しちゃったもんねー!
当麻たち早く来ねーかなぁ。この点数、自慢した過ぎる!!」
健人が全身で喜びを爆発させてるところへ、雪見が意を決したように
小さな声で話しかけた。
「…あのね、健人くん。私やっぱり…」
「無理だよ!俺が勝ったんだ。ゆき姉のお願いなんて聞いてやらない!」
「えっ…?」
健人はすべてを理解してた。雪見が今なにを語ろうとしたのかも。
だが以前とは違い、なぜか悲しい目などしてはいなかった。
むしろ挑戦的な、自信さえ身にまとった瞳で雪見の目を見据えてる。
「俺、今わかったことがある。
絶対手に入れなきゃならないものは、本気で取りに行かなきゃいけないんだって。
周りを気にしたり手加減してる時は、どうでもいいものなんだ。
けど絶対手放しちゃいけないものは、死に物狂いで守らなきゃ。
俺、今回は本気で取りに行くよ。ゆき姉を手放す気なんて更々無いから。」
ニコリともせず、雪見の瞳を射抜くほどの目力で心までも制圧する。
その吸い込まれそうなほどに大きく輝く瞳に雪見は、妖術をかけられたかのように
瞬き一つ出来なかった。
しばし声も出せずに健人を見つめ返す。
すると、フッとどこからともなく聞き覚えのある声が意識の中に聞こえた気がした。
『なぜ…彼の言葉を信じない。』
それは夏美に連れられて行った寺の老住職の声だった。
あの時の気持ちが今蘇る。
するとスッと肩から力が抜け、妖術から抜け出す隙間が出来た。
『あーっ!すっかり忘れてた!健人くんに連れてく約束してたっけ。
住職にも、なるべく早くに来なさい、って言われてたんだった!』
今思い出すはずのない事を思い出した雪見は、そんなこと気にも留めず
にっこり笑って健人に聞いた。
「ねぇ!明日忙しい?時間が空いたら、約束してたお寺に二人で行ってこようか。」
「え?ええーっ!?」
鳩が豆鉄砲食らったような顔して健人が驚いてる。
俺さっき、なに話してたんだっけ…?と。
どうやら妖術使いの勝負は、健人よりも目の前で屈託なく微笑む
つかみ所がないこの人の方が、一枚も二枚も上手のようだ。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.449 )
- 日時: 2012/12/29 00:31
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「あー喉乾いた!ビール飲も!ビール!
しっかし、あいつらおっせーな!とっとと来いってメールしよっか。
せっかくこのハイスコア、自慢しようと思って待ってんのに。」
健人が上機嫌でボウリング場の片隅に置いてある冷蔵庫から缶ビールを二つ取り出し、
一つを雪見に手渡した。
「サンキュ♪ねぇ、また絶対勝負しようね!今度は私のお願い聞いてもらうよー!」
お疲れ!と乾杯しながら雪見が、不覚にも負けた事を悔しそうに言う。
「いいよ!受けて立っちゃる!てか、ゆき姉のお願いって何よ?
別に今だって聞いてやるのに。言ってみ言ってみ!
この斎藤健人さまが何でも叶えてやるから。
あ…でも結婚したくない!ってのだけは速攻却下だからねっ。」
健人が冗談めかして笑って言ったが、それが冗談ではないことぐらい
表情を見ればすぐわかる。
「そんなんじゃないよーだ。もっと凄いことお願いするもん!」
「だーかーらっ!もっと凄いことってなに?って話!
めっちゃ気になって寝れないっつーの!」
「健人くんの幸せ…。なーんちゃってね!これは神様へのお願いだな。
じゃあ、稼いでる健人くんには新しい車でもおねだりしちゃおっかなーっ♪」
一瞬真顔で言った雪見を、反射的に健人は抱き寄せた。
片手にビールを持ったまま、嬉しいような悲しいような顔をして。
なぜか雪見の言葉が切なくて、強く抱き締めてないと涙が出そうだった。
「なんでそんなこと言うのさ…。俺、幸せに決まってんじゃん。
ゆき姉と毎日一緒にいられるんだよ。大好きな人と暮らしてんだよ。
幸せに決まってんだろーが…。」
嘘ではないが100%ホントでもない。
それが証拠に、口では幸せと言いながら、その幸せがスルリと腕の中から逃げてく恐怖に
腕の力を緩めることが出来ないのだから。
「私ね…いつも健人くんの幸せ、神様に祈ってるんだよ。
どうか健人くんが今日も笑っていられますように。
健人くんが悲しい思いや辛い思いをしませんように、って…。
こんなに頑張ってお仕事してるんだもん。それが報われて欲しいって心から願ってる。
大好きだから…。」
健人の腕の中で、雪見はゆっくりと言葉を紡いだ。
自分の願いが神様にも健人にも届きますように、と…。
その言葉が健人の胸にダイレクトに伝わって、どうしても涙が堪えられなかった。
ぽとん、ぽとんと雪見の肩にしずくが落ちる。
「やっべ…。何でいっつも俺を泣かすかな、ゆき姉は…。」
そう言いながらゆっくりと雪見から身体を離し、手の平で涙を拭う。
はぁぁ…と溜息をついた後、まだ潤んだ大きな瞳で真っ直ぐに雪見の目を見つめ、
頭の上にポンと手を置いた。
「俺は…ゆき姉さえそばにいてくれたら、どんなことだって耐えられるって言ったろ?
何回言わせんの。俺の幸せを祈るんなら…ちゃんと俺と結婚しろっ!」
「…うん。」
そううなずく以外に今どんな解答があると言うのだろう。
健人によってすぐにふさがれた唇に、違う答えは与えられなかった。
約束をより完全なるものにしたくて健人は熱いキスを繰り返す。
しかし、それでもなお自分の意志では支配しきれない何かが間に立ちはだかり、
二人の仲を邪魔してるようにも思えた。
心とは裏腹に、もどかしいキスの応酬…。
と、そこへ、ドアの向こうから賑やかな声が近付いてきて、抱き合ってた二人は
慌ててパッと離れる。。
間一髪ドアが開き、当麻とみずき、翔平や、みんなの共通の友人で俳優仲間の優が
ドヤドヤとなだれ込んできた。
「あーいたいたぁ!お前ら遊びに行くの早過ぎだっつーの!」
「お、お前らが来るのがおっせーんだよっ!
見てみ!俺が叩き出した今世紀最高の点数!凄くね?
もっと早くに来たらストライクの連続技、目撃できたのにねぇ!」
翔平の言葉に、健人が平静を装いながら大袈裟にはしゃいで見せる。
が、そんな健人を見て、当麻とみずきだけは全てを見透かしたようにクスッと笑った。
「えーっ!?てか、ゆき姉のスコア、途中まで凄くね!?
俺、ゆき姉と勝負したいっ!やろやろっ!!」
「だめーっ!ゆき姉と勝負できんのは俺しかいないのっ!
翔平は優とやればいいじゃん!俺らもう終わったからバスケコート見てくる。
行こっ、ゆき姉!」
「でもぉ…。せっかくみんなと合流したんだから、みんなで遊ぼーよ。
そーだ!バスケの試合で翔平くんチームが勝ったら、ボウリングの相手
してあげてもいいよ。」
自信満々の雪見のひとことで決定したバスケの3on3対決。
みんなでボウリング場を出て、その先にある小さな体育館へとワイワイ移動した。
「ゆき姉ってバスケ部にも入ってたんだ!それも初耳。
俺ってまだまだゆき姉のこと、知らないことだらけなんだな。」
健人が、みずきと並んで前を歩く雪見に話しかける。
が、振り向いてにっこり笑った雪見はこう言った。
「いや、やったことないよ。」 「え?」
またしても天然炸裂の雪見チームはじゃんけんの結果、健人をキャプテンに優と雪見で構成。
一方の翔平チームは当麻をキャプテンにみずきが加わった。
「良かったぁ!オーナー室に着替え置いといて。あんなドレスじゃ遊べないもん。
私ね、こう見えてもバスケは得意!
ハリウッドじゃ休憩時間にみんなで3on3ってよくやるよ♪」
「よっしゃあ!当麻も俺もバスケ部だったもんねー!神チームの誕生だぁ!
へへっ、残念ねー!またボウリング場に逆戻りしなきゃねー!」
翔平の勝利宣言に、負けず嫌いな健人と優は燃えていたが
言い出しっぺの雪見だけはニコニコと、ただ嬉しそうにみんなを見回してる。
足元には、遠くの猫カフェエリアからついてきた白い猫がゴロゴロと喉を鳴らし
身体をすり寄せてた。
ここは幸せがあちこちに散りばめられてる店。
そう、幸せの魔法がかかった『秘密の猫かふぇ』
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.450 )
- 日時: 2013/01/10 15:19
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「絶対負けねー!ゆき姉はダメでも俺と優とで何とか勝つ!」
「あまーい!俺らに勝とうなんざ百年早い!だってそっちは二人とも野球部じゃん!
しかも二人対三人で勝てるわけなかろーが!」
「ひっどーい!私も頑張るのにぃ〜!」
小さな体育館に響き渡る健人&当麻両チームキャプテンの雄叫びと雪見の嘆き。
それを他のメンツが大笑いしながらもゲームはスタートした。
全員がみずきデザインの『秘密の猫かふぇ』Tシャツをユニフォーム代りに着てる。
雪見チームはグレー、翔平チームは黒。
以前この店がチャリティー用として作ったTシャツで、胸に英語で
『SAVE THE CAT 』と書いてある。
背中には背番号を模したシリアルナンバーが入っていた。
最初に主導権を握ったのは、やはり3人共バスケ経験者の当麻、みずき、翔平チーム。
鮮やかなパス回しで立て続けにシュートを決め、あっという間に10ポイント先取。
「ナイッシュー♪俺たち楽勝じゃね?百点くらい取れる気がする。」
当麻が翔平にハイタッチしながら言った。
みずきも息を弾ませながら「楽しぃ〜♪」と最高のスマイル。
なのに雪見が突然「ちょっと待ったぁ!」と試合の流れをぶった切る。
「ねぇねぇ!私この3on3って、ルールがよくわかんないっ!
だってすぐ翔ちゃんが私のボール盗んでシュートしちゃうんだもん!ずるいよー!!」
「ぬ、盗んでって人聞きの悪い!
そーいうゲームなんだから、しょうがないでしょっつーの!」
健人と優は、二人だけでパスを回した方が確実に点を取れるのはわかっていたが、
それでは雪見が可哀想だと思い、すべてのボールを雪見にも回していた。
それゆえの失点なのだが…。
「大体さぁ、なんでゴールが二つあるのに一個しか使わないの?
半分しか使わないからすぐ翔ちゃんに盗られちゃうんだ!
せっかくなんだから広く使ってやろうよー!」
コート半面だけを使用するからこそ攻守が目まぐるしく切り換わり、
そのスピーディーなゲーム展開こそが3on3の醍醐味だと言うのに。
「なんだよー!俺一人が悪者みたいじゃん!ほんっと、ゆき姉にはかなわねぇな。
しゃあない、全面使って普通にやるかぁ?
ほんとは飲んでるから、あんまり走りたくないんだけど…。
じゃルールも単純にして、シュート本数の多い方が勝ちってことにしよう。
で、試合時間も前後半15分ずつってことで、試合再開っ!!」
今の翔平の言葉を聞いて、頭の回転の早い健人は瞬時に作戦を練り直し
それを優と雪見に小声で伝えた。
仕切り直しでやっと始まった3人対3人のバスケ勝負。
190㎝の長身を誇る優にジャンプボールで勝てる相手などこの中にはいない。
優が楽々と大きく自陣に弾き飛ばしたボールは、健人が素早くキャッチ。
それをゴール下に走り込んだ優に再びパスして、軽やかにシュートを決めた。
「キャーッ!やったやったぁ!優くんてかっこいーんだね♪」
「やっと気付いた?(笑)よしゃ!一気に攻めるぞー!」
今日が初対面の雪見と優だったが、お互いなぜか昔からの友人のように話が弾む。
その光景を健人が走りながら、嬉しそうに笑ってながめた。
しかし、バスケ経験者チームがこのまま引き下がるわけはない。
なにくそー!とエンジンが掛かり、当麻と翔平は本気モード全開でコートを駆け回った。
が、それこそが健人の仕掛けた作戦だとは夢にも思わず…。
前半戦は当麻チームの圧勝だった。
敵ながら雪見も「かっこいい!」を連発。
調子に乗った翔平はダンクシュートまでお披露目した。
そして迎えた後半戦。
健人の罠にまんまと掛かり、走りまくった当麻たちはどうしたかと言うと…
すでに試合開始前から息も絶え絶えであった。
健人らと合流前に上機嫌で飲んだ酒が、もくろみ通り全身に回ったのである。
一方の雪見と健人は、猫かふぇ到着後に飲んだのは乾杯時のシャンパンと
ボウリング終了後に飲んだ缶ビール一缶だけ。
優も大して飲まずに久々に会った友人と話し込んでたらしく、酔いが回るどころか喉が渇いて
冷たいビールが飲みたくて仕方なかった。
「早くやろうぜ!終わったらシャワー浴びて、ラウンジで生ビール飲もう!
キンキンに冷えたジョッキでさぁ。くぅーっ!早く飲みてぇ〜!!」
「おぇっ!酒の話は止めてくんない?優の話聞いたらなんか気持ち悪くなってきた…。
ねぇ、マジで後半もやんの…?
こんだけ点差が開いたんだから、俺らの優勝ってことでいいんじゃね?」
「当麻の意見に賛成っ!俺、これ以上走ったらヤバイかも…。
てか、なんで俺らがこんなにきてんのに健人たち平気な顔してんの?」
当麻と翔平が一向に立ち上がる気配もなく、体育館の壁に寄り掛かって
座り込んでるのを、腕組みして仁王立ちのみずきが上から睨み付けてた。
「それはね、アンタ達二人が調子に乗って飲み過ぎたからっ!ほんとにもぅ!
ゴメーン、ゆき姉!私に免じてこの試合、ドローにしてもらえる?
この二人、ウォーターベッドんとこで少し休ませるわ。
ゆき姉たちはこのまま遊んでってね。
ほら、立って!たった15分間走っただけでしょ?
って言うか二人とも、私から見たら無駄に走り回ってたよ! 結局は自滅じゃないの。」
みずきに叱られながら当麻と翔平は体育館を出て行った。
「なんか悪いことしちゃったかな?まさかあそこまで酔いが回るとは…。」
三人の後ろ姿を見送った健人が、少し心配顔で言う。
「まぁ気にすんなって!すぐ復活するさ。
それよりこの後どうする?シャワーしてカラオケの場所にでも行かない?
俺、ゆき姉の生歌聴いてみたい!健人が泣くっていう歌、聴きたい!」
優が、まだ引かない汗をタオルで拭きながら、健人と雪見を代わる代わる見た。
「いいよ♪私も優くんの生歌聴いてみたい!
健人くんから、めちゃ上手いって聞いてるから一度ライブに行きたかったの!
目の前でタダで聴けるなんてラッキー♪
あ!でもその前に、どうしてもやりたいことがある!」
雪見がそう言いながら、なぜかバスケットボールを手に持って立ち上がった。
そして健人に向って一言。
「翔ちゃんのやってたダンクシュート、私もやってみたーい!」
「えぇーっ!?」
当然、雪見が自力でダンクシュートを決められるはずはなく、
身長170㎝の健人が156㎝の雪見を持ち上げる羽目になるのだが…。
「俺がやってやろう…か?」
どう考えても辛い目に遭うであろう健人を、優がクスクス笑いながら見る。
しかし健人は苦笑いしながらも首を横に振り、やる気満々の雪見を
可愛いなぁと思いながら「よしゃぁ!」と自分に気合いを入れた。
「じゃ、やるよ!せーのっ!…重っ!!早く入れろ〜っ!」
「ごめーん!キャッ!入ったぁ〜♪楽しぃ〜!」
かくしてダンクシュートは見事一回で決まったのだが、調子に乗った雪見は
あと3回おねだりして健人にやらせた。
翌日健人の二の腕が筋肉痛でプルプル震えたのは、お互いの名誉のため
秘密にしておこう。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.451 )
- 日時: 2013/01/17 13:21
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「じゃ改めてカンパ〜イ!うん、汗かいた後のビールは最高〜!」
健人ら三人はシャワーを浴びたあと、一旦バーラウンジまで引き返した。
カウンター席に雪見を挟んで両隣に健人と優が座り、まずはビールを注文して
一気に喉に流し込む。
「もう、めっちゃ楽しかったぁ〜!けど、たまには身体も動かさなきゃダメね。
私、歌やりだしてからすっかり運動不足になってたもん!
猫の写真撮ってた頃は、毎日重たいカメラバッグ担いで歩き回ってたのに。
あ、お代わり下さーい!ほら、二人とも早く空けちゃって!」
「早っ!なんか話に聞いてたより凄そうじゃね?」
そう言いながら、優も慌ててビールを飲み干す。
「やだ!どーせ大酒飲みだって聞いてるんでしょ?みんなが言うほど飲まないよーだ。」
「いいじゃん!健人の彼女の条件、大きくクリアしてんだから(笑)
こいつの理想って酒が強いことでしょ?料理が上手いことでしょ?
そんで、ギャップがあって華奢な人…が基本だったと思うけど…。」
優がマジマジと雪見を見て小首を傾げた。
「なによーっ!今の目!あとは条件に当てはまってないなぁ、って思ったでしょ!?」
「だってダンクシュートん時、健人が『重っ!』って叫んだから…。」
優が笑いながら健人に目を向ける。
「違うって!あれはそう言う意味じゃなくてさ!
だって赤ちゃんを高い高いするみたいに持ち上げんだよ?そりゃ誰だって重いだろ!
いや、マジゆき姉は華奢だから!けど筋肉も適度についてんだよね。」
「お!なんか想像しちゃう発言!脱いだら凄いってやつ?」
「やだーっ!想像しないでーっ!!」
三人は昔っからの友人同士のように笑ってた。
初めて会った雪見と優だったが、健人が今一番親しくする優が悪い人であるはずはなく、
健人が結婚相手に選んだ雪見が素敵な人であることに疑いはない。
お互いがお互いを当然のように受け入れられた。
と、その時である。
「あっ!可愛い猫ちゃんだぁ〜♪おいでおいで!」
雪見は店の奥からゆっくりと歩いてきた子猫を見つけ、椅子からピョンと飛び降り
足元に寄ってきた三毛猫の子を抱き上げる。
するとそれにつられたかのように、あちらこちらから猫が顔を覗かせ
雪見の元にそろりそろりと集まって来るではないか。
「うそっ!凄くね!?なにこの現象!」
初めて見る雪見の能力に優は目を白黒させてる。
「え?あ、これ?一応これでも猫カメラマンですから。
猫にだけは超モテモテなのよ。あ、そーだっ!
猫君たち!私、明日からこのお店のお手伝いするの。よろしくねっ!
今日はお近づきの印に、少し写真撮らせてもらえる?
可愛く撮って、お店の壁に貼ってあげるから。」
そう言うと雪見は手の中の子猫をそっと降ろし、自分のバッグの中から
小型の一眼レフカメラを取り出した。
長い髪もクルクル素早くまとめ、いきなり完全なる仕事モードに突入である。
「えーっ!せっかくの打ち上げなのに、何もこれから仕事しなくたって!
明日にしたら?」
健人がちょっとだけ不満げな顔をする。
だが、すでにファインダーをのぞいて子猫を見つめる雪見には、
健人のそんな顔などまったく視界に入らない。
「ごめん!健人くん。少しだけ!今すっごくいい写真が撮れそうな気分なの!
私の事は気にしないで、優くんとカラオケでも行って来ていいよ!」
雪見はそう言いながら、すでにシャッターを切り始めていた。
その表情は、先ほどまでの屈託ない笑顔から一転。
被写体を追うプロカメラマンの、鋭くも自信に満ち溢れた横顔だった。
「なるほどねー!確かに凄いギャップだわ。さっきまでのゆき姉とは別人みたいだ。
凄腕カメラマンだとは噂じゃ聞いてたけど、こりゃ健人が惚れ込むのも良くわかる。」
「優にそう言ってもらえると嬉しいよ。
ま、猫撮ってる時は俺なんて眼中にないんだけどね、この人。
ほら、そうやってどこでも寝ころんじゃうし(笑)」
愛しそうに笑って見つめる先には、他の客のビックリ顔もお構いなしに
深紅の絨毯に寝そべり、シャッターを夢中で切り続ける雪見の姿が。
「なんか天然…というかナチュラルな人だよね。見てて飽きないだろ?」
「わかる?次にどんな顔すんだろ?なに言うんだろ?って一日中眺めてたいくらい。
きっとね、一生楽しく暮らせる気がする。」
「ほんっと良かったな!お前さんのそんな顔見られる日が来るなんて…。
ヤバッ!なんかウルウルしてきた。花嫁の父みたいな心境…。」
「なんでーっ!?俺が花嫁なんかーいっ!」
健人と優は大笑いしながら再び乾杯したが、お互いの瞳はまだ潤んでた。
親友に祝福される喜びと、親友の幸せを自分のこととして感じられる喜びとで。
プラス、あと一週間ほどでしばしの別れになることを思い出したせいもある。
「早いなーっ!アメリカ行きまでもう一週間しかないや。
まだ全然荷造り済んでないのに。大丈夫か?俺たち。
まぁ2ヶ月ぐらいのことだから、金さえあればどうにかなるけど。」
「てか、ゆき姉さえいれば、だろっ?どーせ。」
優がニヤリと笑って健人に顔を向ける。
「わかった?さすが親友!」
夢中でシャッターを切り続ける雪見には、そんな二人のやりとりなど
一つも耳に入ってこない。
ただ目の前の被写体のベストショットを狙うことだけに全神経を集中し、
健人の方なんて振り向きもしなかった。
「健人のライバルは案外こいつらかもな。強敵かも知れんから用心しとけ。」
始めは冗談のつもりで言ったのだが、あまりにも真剣すぎる雪見の横顔が
優に一抹の不安を与える。
それはかつて健人も感じたことのある感覚だった。
だが…。
「やった!我ながらいい仕事が出来たかもー!
集中したら喉乾いちゃった!すいませーん!ビールくださーい!
ねぇねぇ!二人の写真も撮ってあげる!めっちゃ今なら男前に撮れるよ!
あ、元々男前だから!って顔したぁ〜!!」
またいつもの雪見に戻ってテンション高く、太陽のように弾ける笑顔を見せられると
さっきの不安は幻だったのかとも思う。
その時撮した健人と優のポートレートは、確かに今までどのカメラマンさえも
撮したことのないような、3次元に存在するのが奇蹟に思えるほどの
完璧なツーショットに仕上がった。
この極上に男前な一枚と、こっそり忍び足で撮りに行った当麻と翔平の可愛い寝顔は
今日3月31日をもって閉鎖される健人のブログの最後を、贅沢に飾って華を添えた。
明日からの未来に幸多かれと祈りを込めて…。
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