コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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アイドルな彼氏に猫パンチ@
日時: 2011/02/07 15:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。

なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。

女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。


私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。

同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。

なのに なのに。


浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。

それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。


彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!

なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?


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Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.202 )
日時: 2011/06/15 17:52
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

「じゃ、お疲れ様でした!今日から頑張って、良い詞を書きますね。
三日後にまた!」

雪見はバタバタと慌ただしく、だが笑顔で事務所を後にした。
雪見の歌を聴いた小野寺たちが、とても褒めてくれたからだ。


「素晴らしいじゃないか!危うく泣くとこだったよ!
まさか君の歌に、ここまで心を揺さぶられるとは…。
健人も知ってたんなら、もっと早くに教えろよな!
そしたらデビューも早くにさせたのに。」
小野寺が冗談で、教えなかった健人が悪い!と笑って言った。

「いや、だって、まさかこんな展開になるなんて、考えてもいなかったから…。
それに前にゆき姉、津山泰三に歌手にならないか?って声かけられても
キッパリと断ってたし…。」

「健人くん、だめっ!」雪見が慌てて健人を制した。
『秘密の猫かふぇ』で会った人の話題など、外で漏らすと大変な罰則が待っている。
健人が、ヤバイ!って顔をした時にはすでに遅かった。

「おい!あの津山泰三に、そんなこと言われたのか!?
いつだ!いつ、あんな大物俳優に会ったんだ?しかも歌を聴かせたのか?どこで?」
小野寺が、矢継ぎ早に健人に聞いてくる。
三上も色めき立って、雪見を少々あきれ顔で見た。

「あの津山さんのスカウトを断るとは、何ともまた勇気ある…。
そんな人の話、今まで聞いたことがない!で、どこで歌を聴いてもらったんだい?」

雪見が何とかこの話題を早く終らせようと、適当なことを言う。
「あー、えーと、その辺のカラオケボックス?」

「津山泰三が、その辺のカラオケボックスなんかに行くんだ!」

「い、いや、新宿のスナックだったかな?
いやぁ私もお酒が好きで、あっちこっち飲み歩いてはこの歌、歌うから
もうどこで会ったのかも記憶に無いです!
あ!もうこんな時間!早く帰って作詞しないと、間に合わなくなっちゃう!
じゃ、お疲れ様でした!」



健人、今野と一緒に、地下駐車場までのエレベーターに乗る。

「すっかり遅くなっちゃったね。なんか慌ただしい一日だった!」
健人が、ふうぅ…とため息をつきながら、エレベーターの壁に寄りかかる。

「最後に慌ただしくしたのは健人くんだよ!」
前に立つ今野に聞こえないように、雪見が健人の耳元でささやくと、
耳が弱点の健人は思わず大きな声で、「やめっ!」と身をよじった。

「なーに、俺の後ろでゴチャゴチャと、二人でいちゃついてんだよ!
今日から三日間は、雪見ちゃん忙しいんだから、健人は邪魔しないで
真っ直ぐ帰れよ!」
今野は後ろを振り返らずに、頭上のエレベーターのパネルだけを見上げながら
二人に言った。「ほら、着いたぞ!」


雪見は久々に今野の車に乗り、マンションまで送ってもらった。
降りてから窓越しにお礼を言う。

「じゃ今野さん、ありがとうございました!またこれからお世話になりますね。
よろしくお願いします!
健人くんは、私なんかよりずっと忙しくて大変になるんだから、
三上さんも言ってたけど、体調管理をしっかりね!ちゃんと食べてよ!」

「はいはい、わかってますよ!まったく母さんが言うセリフと一緒じゃん!
ゆき姉こそ、俺たちのためにいい詞を作ってよ。楽しみにしてる。」

健人と雪見は、『俺たち』と自然に出た言葉によって、当麻の存在を思い出した。
当麻と三人でデビューするんだ…。
当麻、どうしてるかな…。

「あ!俺も降りる!ちょっとゆき姉んちに、忘れ物を思い出した!」
健人がいきなり車のドアを開け、ぴょんと飛び降りた。

「おい、健人!雪見ちゃんの邪魔すんなって言っただろ!?
なーにが忘れ物だよ!下手くそだったぞ、今の芝居!
しょうがない奴め。明日も八時に迎えに行くんだから、
とっとと忘れ物とやらを捜して帰れよ!じゃあ、お疲れっ!」

健人と雪見が、今野の車に頭を下げて見送る。

「ほーんとに下手くそだった!今の芝居。大丈夫かなぁ、今度のドラマ。」
笑いながら雪見がマンションの入り口を入ると、慌てて健人もその後ろに続いてドアをくぐった。

エレベーターに二人で乗り込むと、健人はすぐに
「ほら!一つめの忘れ物を見つけた。」と言いながら、雪見にキスをした。

「これが一つめの忘れ物ってことは、まだ忘れ物があるわけ?」
健人と唇を離したあと、顔を近づけたまま雪見が聞いてみる。

「まだいっぱいあるよ!あれもこれも!
一番早くに見つけたいのは、俺の晩飯とビールかなっ?」
茶目っ気たっぷりに健人が言って、また小さくキスをした。

「やばっ!ビール、冷やしてあったっけ?」
「えーっ!冷蔵庫に入ってなかったら俺、泣いちゃう!」

シーンと静まりかえった夜のマンションのエレベーターに、二人の笑い声がこだまする。
四日ぶりに聞いた、雪見の楽しそうな笑い声だった。


「ただいまぁ!めめ!ラッキー!健人くんが来たよー!」
寝ていたらしい二匹は、伸びをしながら玄関に出迎えた。

「おーい、ラッキー!また大きくなったな!
もう赤ちゃんじゃなくて、すっかり子供になっちゃった。早いなぁ!」

健人がラッキーを抱きかかえてソファーに座ると、その隣りにめめが
ぴょん!と飛び乗った。
代わる代わるに頭を撫でてやると、二匹は気持ちよさそうに目を閉じて
喉をゴロゴロと鳴らし続ける。
滑らかな手触りと温かな温もりが、指先から全身に伝わってきて
健人は、徐々に身体の力が抜け、癒やされていくのがわかった。

そこへ雪見が、キッチンから料理とビールを運んで来て、ソファーの前に座る。
「お待たせ!ちゃんとビール冷えてたよ!良かったね。
さ、お腹空いたから早く食べよ!いただきまーす!」

遅い夕食を取りながら、二人は色んな事を話し合う。
突然決まったデビューは、昨日までの、健人を遠ざけるようにして暮らしていた雪見を、
元に戻してくれた。
もう、あの日のことなんかに、かまっている暇など無くなったからだ。

あと一つ、早くに元通りにしなければならないことがある。
当麻との関係だ。
三人でのデビューが決まった以上、このままでいる訳にはいかない。

健人は、雪見のいる前で当麻に電話をするために、さっきここで車を降りたのだ。


「当麻に電話、つながるかなぁ…。」

健人は、残りのビールを飲み干し深呼吸を一つして、
握り締めた手の中のケータイを開いた。




Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.203 )
日時: 2011/06/15 19:25
名前: め〜にゃん (ID: rGqN8kgk)

 

プルルルル プルルルル
「当麻君からだ!」

そう驚いたのもつかの間、電話に出てみると違う人物だった。


「もしもし?とう「お久しぶりですね。 雪見先輩。」
「妃奈子ちゃん?……妃奈子ちゃんなの!?」
久しぶりに聴く仕事仲間の声に、雪見の目からは、すでに涙が落ちそうだった。

その様子に、健人は心配そうにしていたが、それを察知した雪見は、健人に向かって親指を立ててニカっと笑った。

その夜様子に安心した健人は食べるのを止めていたおつまみの続きを食べ始めた。


「久しぶりねぇ。元気だった? 最近、兎の写真集見て妃奈子ちゃん元気かな?って思ってたところなの。」
「そうですか。 先輩に心配してもらえて光栄です。」
「そうそう、これから会いません?二人で……」

「え………、こんな夜遅くて妃奈子ちゃん大丈夫なの?」
「私は大丈夫です。 なにか用事でも? せっかくフランス料理[misyerannn]の予約をしたけど残念ですね…」
「みっMichelin!?」
Michelinとは、高級三ツ星フランス料理店で有名。 
仕事に成功すると、当時お金のなかった二人が集めた貯金でデザートを食べた思い出のレストラン。

しかし、、有名となった今では予約を取るのは私たち庶民では、命がけで次はないといわれるくらい。
それをわざわざ……



仕方ない。




「健人君、急にお誘いが入っちゃって、今から行くレストラン、Michelinなの。次にいつ取れるか分からないの! お願い!ちょっと待ってて…」
「Michelin!?分かった…」


「もしもし妃奈子ちゃん? 大丈夫になった。 今から行くね。」
「分かりました。 先ついたら、玄関で、待っててください」


しかし、雪見は気付かなかった、妃奈子の声が怒りで満ち溢れていることに…

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.204 )
日時: 2011/06/15 21:10
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

e さんへ

妃奈子ちゃんを登場させたいのはわかるけど、
私の名前を使って書くのだけはやめてもらえる?

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.205 )
日時: 2011/06/16 07:27
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

「あ、当麻?俺だけど…。久しぶり。おばさんの具合はどう?
あぁ、豊田さんに聞いた。病院に運ばれたって…。
そう、何でもなくて良かった!
心配してたんだ、ずっと。携帯が繋がらないから…。

あのさぁ。小野寺さんから話を聞いただろ?デビューの話。
今日、ゆき姉と呼ばれて三上さんに会ってきた。
一ヶ月後にレコーディングだって。
で、デビュー曲の歌詞を、ゆき姉が三日間で自分に書かせてくれ、って
また直談判しちゃった。
ほーんと、いっつもこうなんだから、この人は…。
自分で自分を忙しくする天才だね、まったく。

ゆき姉ね、俺たちの大事なデビュー曲を、他人なんかに作らせてたまるか!
って、もうパソコンに向かって書き始めてるよ。
そう、今、ゆき姉んちにいる。

俺たち…。 一緒に暮らすことに決めたんだ…。

今はまだバタバタしてるし、すぐには無理だけど
近いうちに、俺がゆき姉のマンションに移るから。
いや、俺のマンションはそのままにして、取りあえずの物だけ運んで。
あんなに一杯の服ゆき姉んちに持ってったら、ラッキー達の寝床が無くなるよ!

当麻にだけは先に伝えておこうと思って…。

三人でのデビューが決まった以上、俺たち、グダグダやってる暇なんてないよね。
ラジオの課題曲だって、まだ全然練習してないし…。
明日には東京、戻って来んだろ?
あさってのラジオの後にでも、久々にカラオケ行かない?

あ、ゆき姉が、『それまでに歌詞が完成してたらね!』だって!
別に俺たち、二人で行ったっていいもんな!
あははっ!ゆき姉、怒ってる!
『あんた達の歌を書いてんだからねっ!』だって。
仕方ないから、ゆき姉が書き終わってからにしようか。
またあとで、色々文句言われそうだから。

俺…。デビューが当麻とゆき姉の三人で出来て嬉しいよ。
三人でいれば、怖いものなしだもん。どんなに大変でも頑張れる。
当麻は?そう…、良かった!三人が同じ気持ちなら大丈夫だね。

頑張ろうな!昔二人で話してた夢が叶うんだから…。
まぁ、当麻と二人でデビュー!って夢に一人加わっちゃったけど。

明日、気をつけて帰って来いよ!おばさんによろしく伝えて。
じゃ、また…。」


健人は長い電話を切って、はぁぁ…とため息をついた。

当麻は、多くを語りはしなかったが、少しだけ笑ってくれた。
何とか三人の仲を修復できそうだ。
そう思うと一気に肩に入ってた力が抜け、心地よい疲労感の中で
徐々に眠気が襲ってきた。

雪見はと言うと、健人に背を向け、デスクの前でパソコンとにらめっこ中だ。
健人が当麻に対して、何をどう伝えるのか、始めはハラハラしながら
電話に耳を傾けていた。

一緒に暮らすという事も、いつかは伝えなければならない。
ならば事後報告するよりも、早くに伝えておこう。
当麻は俺の親友だから…。
電話をかける前、健人はそう言って自分を納得させていた。

当麻がショックを受けないはずはなかったが、隠しておいて後で判るよりも
その方がよっぽど良いと、雪見も自分に言い聞かせる。
そしてどうやら上手く心を伝えられたようなので、雪見は安心して
作詞に没頭することにした。

疲れているはずなのに、なんだかやる気が湧いてくる。
よし!絶対にいい詞を付けてやる!
雪見は三上から借りたデモテープを、ヘッドフォンで聴きながらイメージを膨らませ、
聴いてくれる人に想いが届くよう、一言ずつ丁寧に言葉を選んでいった。
時が経つのも忘れて…。


「うーん!ちょっと休憩しよう。健人くん、コーヒー…。
あれ?寝ちゃってる?そうだよね、疲れたよね今日は…。
まっ、いいか。明日の朝、送ってあげる。
お休みなさい。大好きな健人くん!」

そう小さな声で言って、雪見はソファーの上で寝てしまった健人に
毛布を静かに掛けてやり、頬にお休みのキスをそっとした。
それからコーヒーを入れて再び健人の側らに座り、その綺麗な寝顔を
ジッと見つめながら、今日一日を思い起こしてみる。


編集部にいた夕方まで、私はあの出来事を引きずって四日間を過ごした。
何もかもが宙ぶらりんのまま、どこをつかんで立ち上がればよいのかも
わからずにいた。
それが、何時間か前に突然のCDデビューの話によって、すべてが清算され
健人との仲も当麻との仲も、必然的に復元せざるを得ない状況に…。

元通りの関係に戻れるのは嬉しいが、今、冷静になって考えてみると
私がCDデビューする意味はどこにあるのか。
四月にはまた猫カメラマンに戻る私が、一月にデビューしてどうしようと言うのか…。
そんなこと、あの時は深く考える時間も与えられないまま、
流されるようにしてOKしてしまった。
それで良かったのか?これから私はどうなって行くの?
考えれば考えるほど、不安は際限なく広がってゆく。

だが今、穏やかな健人の寝顔を眺めていると、健人には素直に
『夢が叶って良かったね!』と言ってあげられる。
そうか。私は大好きな人の、夢の手伝いが出来ればそれでいいんだ…。
自分がどうのこうのじゃなく、健人が夢を実現するためのサポートを
近くでしてあげられれば、それだけで充分私も幸せなんだ!


やっと自分の中で理由が見つかり、雪見はさっきまでとは違った気持ちで
急いでパソコンの前に座り直した。


よーし!世界一素敵な歌をプレゼントしてあげる!

大好きな大好きなあなたと、そしてあなたの大切な親友へ…。








Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.206 )
日時: 2011/06/16 17:00
名前: e (ID: YsIqf46g)

すみません。何のことか全く分からないのですが。
私、昨日は風邪で寝込んでたためPCは使っておりません。


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