コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- アイドルな彼氏に猫パンチ@
- 日時: 2011/02/07 15:34
- 名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)
今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。
なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。
女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。
私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。
同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。
なのに なのに。
浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。
それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。
彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!
なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?
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- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.427 )
- 日時: 2012/06/09 20:50
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「ヤバイよ、ヤバイっ!浅香雪見人生始まって以来の大ピンチだ…。」
しんと静まり返ったバスルームで、雪見の独り言は壁や天井に跳ね返り、
再び雪見の上に覆い被さる。
それは確かに自分で発した言葉なのだが、倍返しにされて脳の奥底まで染み込んだ。
3月25日金曜日、早朝4時。
全国ツアー最後の東京公演二日間の初日。
雪見は夜中の1時半過ぎに就寝したにもかかわらず、極度の緊張でほとんど一睡もできずに
健人が熟睡するベッドをそっと抜け出す。
午前3時頃からパソコンに向い、気を紛らわすために全国ツアーで撮り貯めた写真を
淡々と整理していたのだが、これとて到底集中できるはずもなし。
いい加減諦めて、バスルームへと場所を移した。
真っ暗闇にポッとアロマキャンドルを灯す。
バスタブには同じ香りの入浴剤を入れた。
ゆらゆらと揺らめく炎を眺め、少しでも心を落ち着かせるために何度も深呼吸をする。
胸一杯にその香りを吸い込むが、今日ばかりはアロマのリラックス効果も歯が立たなかった。
「だめだぁ、こんなんじゃ…。」
はぁぁ…とため息をつきながら作戦の変更を余儀なくされた雪見は、
最後の砦である健人の元へと舞い戻る。
起こしてはいけないとそろりそろりと近づき、枕元の床にペタンと腰を下ろした。
寝室の窓は遮光カーテンによって一切の光が遮断され、夜明けさえも気付かない。
そんな暗闇においても健人の透き通るように白い肌は、美しいシルエットを描き、
そこに存在すること自体が神々しく思えた。
雪見は身じろぎもせずに、ただひたすら神の子の寝顔を凝視する。
いついかなる時も美しく、飽きずに何時間でも眺めていられる横顔。
眺めるうちにいつしか心は落ち着き、何故ここでこうしているのかという理由も忘れ、
今度は天に向かって祈りを捧げた。
神様、どうかこの安らぎの時が一日でも長く続きますように…。
「ねぇ。さっきから何をゴチャゴチャやってんの。」
「え?えーっ!?起こしちゃったぁ!?」
突然パッチリ開いた瞳にビックリした雪見は、祈りを捧げるために組んでいた両手の指を
慌ててほどいて下に降ろす。
「なんでいっつも俺を拝んでんの?死人じゃないんだからさ。
もしかして…また寝てないの?ダメじゃん!今日は大事な日なのに。」
「だってぇ。寝れなかったんだもん…。」
「おいで。」
そう言いながら健人は、ふわっと羽毛布団の端をめくり上げ、雪見を迎え入れる。
健人の良い匂いがする温かなベッドの中は、ひとたび入ると母のふところを思わせて
これ以上の癒しはこの世に無いだろうとさえ思えた。
「冷たっ!えー?髪も濡れてる。もしかしてお風呂入ってそのまんま?
風邪でも引いたらどうすんの。」
健人が自分の体温で雪見を温めようと、ギュッと身体を抱き締めた。
「あ、ゆき姉、めっちゃいい匂いする!なんの匂い?」
首筋にクンクンと顔を埋められ、雪見はくすぐったくて身をよじる。
「やだやだ!くすぐったいからやめてっ!この前買ったアロマの匂い!
深いリラックス効果を得られるって宣伝文句に釣られて買ったけど、
今日の私にはひとつも効果が無かった!結構高かったんだけどなー。
よっぽど健人くんの匂いの方がリラックス出来るよ。」
「じゃ、俺がゆき姉の匂いでリラックスしよ。」
そう言って健人は雪見に唇を重ねた。
何度も何度も口づけては「愛してる」とささやき、また口づける。
時が経つのも忘れるほど求め合うことが今日に必要な儀式の気がして、
いつまでもお互いを愛し合った。
気が付けば二人とも、再びの夢の中…。
次に目覚めたのは、それから3時間後の午前9時。
なんと、健人に掛かってきた今野からの電話によってだった!
「はい…?」
「お、おいっ!まっさか、まだ寝てたんじゃねぇだろーなっ!?
もう下に着いて待ってんだぞっ!とっとと二人とも降りてこいっ!!」
健人も雪見も、心臓が止まりそうになるほど驚いて飛び起きた!
「うそうそっ!!なんで9時なのっ!?うそでしょーっ!!」
乾かしもせずベッドに潜った雪見の長い髪は、健人に乱されたまま寝入ったお陰で
グチャグチャもいいとこ。
健人も雪見も、取りあえず歯を磨いて顔を洗い、着替えるので精一杯。
本当はモーニングコーヒーと朝食をゆっくり楽しみ、準備万端整えてから
出掛ける予定だったのに…。
手分けしてめめとラッキーにご飯と水をやり、二人ともキャップを目深に被りバッグを持ち、
ドタバタと大慌てで玄関の鍵を閉めた。
エレベーターに飛び乗ったところで雪見が大声を上げる。
「ああーっ!カメラバッグを忘れちゃったぁ!健人くん、先に行ってて!」
再び部屋へと戻った雪見は、リビングの仕事コーナーから急いでカメラバッグを手に取る。
そしてきびすを返す瞬間、ふとパソコン横の写真立てに目が留まった。
「あ…忘れるとこだった!良かったぁ、思い出して。
今日は連れてく約束だったもんね。ごめんごめん!
そっか!父さんが、わざとカメラバッグを忘れさせたんだ!
はいはい!ちゃんと特等席にご招待しますって!じゃあ行こうか。
めめとラッキーもいい子にしててね。おうちで応援しててよ。行って来ます!」
雪見の手には、亡くなった父の写真が入った写真立てが大事そうに握られていた。
娘のドタバタを『しょうがない奴め!』と苦笑うかのような笑顔で…。
「おはようございますっ!ごめんなさい、今野さん!
大事なカメラバッグを忘れて来ちゃって。あー思い出して良かったぁ!」
マンションの地下駐車場に止まってた黒いワンボックス車のスライドドアを開けながら、
雪見が統括マネージャーの今野に、ニコニコと詫びを入れる。
しかし今野が振り返り、雪見をひと目見て絶叫した。
「お、おまえぇ!なんじゃ、その髪はぁ!?化粧もしてないしぃ!」
「あぁ。だって、どうせこれから進藤さんに綺麗にしてもらうんだから、
別にいいじゃないですか。誰に見せる訳でもないし。
今野さんだって私のすっぴん、見飽きてるでしょ?何を今更。」
「お前も健人と一緒に忘れとんのかぁ!?
今日は会場入りしてすぐに、囲み取材があるって言っただろ!
しかも進藤ちゃんは違う仕事が入ってるから、囲みには間に合わないって!
自分でヘアメイクして行くから大丈夫だって言ったのはお前だぞっ!」
「あぁーっ!!そうだったぁ!どうしよう!?」
大絶叫の中、雪見と健人を乗せた車は仕方なく発進する。
25分ほどで到着したライブ会場前には、すでに多くのマスコミが二人の到着を
手ぐすね引いて待ち構えていた。
こんな大事な日のスタートに、何たる事を!
マスコミが整列してる前に、こんな格好で車を降りなくちゃならないなんて!
唖然としながら隣に目をやると、雪見の騒ぎなどお構いなしに手鏡を覗き込み、
髪にスタイリング剤をつけてる健人がいた。
波乱の幕開け。雪見のラストライブ…。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.428 )
- 日時: 2012/06/15 12:40
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
大事な大事な全国ツアー最後の会場に到着したと言うのに、雪見のお尻は
車の後部座席に張り付いたまま、びくともしなかった。
よりによってこんな日に、化粧ポーチを忘れてくるなんて…。
出がけにバッグを慌てて取り替えたので、どうやらそれだけ移し忘れたらしい。
なんと余計な事をしたものか!と後悔するも後の祭り。
二十代の頃はどうってことなかったすっぴんも、三十代に突入した途端自信が消え失せ、
今となっては自宅にいる時だけの顔になってしまった。
それなのにそれなのに、こんな大勢の報道陣の前に晒さなければならないなんて!
「もう観念して降りろっ!仕方ないだろっ!
囲みは30分後にセットし直すから、それまでに準備すりゃいい。
健人!しょうがない。俺が許可するから雪見と手をつないで降りてやれ!」
今野はいつまでもグズグズと車から降りない雪見に業を煮やし、健人に目配せする。
すると雪見は案の定、今野が思った通りの反応を返した。
「なに言ってんですか、今野さん!そんなこと出来るわけないじゃないですかっ!
わかりました!降りますって!もうどうなったって知りませんよ!
こんなすっぴん晒して。」
「おいおい、今度は逆ギレかよっ!自分が寝坊したからだろっ!?」
今野が呆れ顔して笑いながら雪見をにらんでる。
「ゆき姉さぁ…。もっと自分に自信持っていいんだって!
俺が綺麗だって言ってんだから、すっぴんだって綺麗なのっ!!さ、降りるよっ!」
健人がそう言いながら、雪見に猶予も与えず車のスライドドアを開けた。
『やれやれ…。勝手にのろけてろっ!』と思いながら今野が振り向くと、
なんと先に降りた健人があろう事か雪見の手を取り、エスコートまでして
颯爽と報道陣の前を横切って行くではないか!
「お、おいっ!健人〜っ!!」
慌てふためく今野の空しい叫びが、一斉に切られたシャッター音によって
跡形もなくかき消される。
堂々と前を向き、にこやかに「おはようございま〜す!」と挨拶しながら進む健人。
その半歩後ろを雪見が、キャップを目深に被りうつむき加減で会釈をしながら
足早に付いて行く。
勿論その手は健人によって、しっかりと二人繋がれたままに…。
「けんとぉぉーっ!囲み前にお前、なんちゅー事を!
外の連中がお祭り騒ぎになってんぞっ!どーすんだよっ!!」
車を地下駐車場に止め大急ぎで楽屋に飛び込んで来た今野が、開口一番大声を上げた。
「え?何が?だって今野さん、手を繋いで降りてやれ!って…。」
健人が、着替え中のパーテーションの向こう側から声だけで返事する。
「なんでやねん!あれは雪見を降ろすための口実に決まってんだろが!
あー言えばあいつは、お前に迷惑かけないようにって、とっとと降りると思ったから!
それなのにお前って奴は真に受けやがって!目配せしただろーが!
お前もこっちを見てただろっ!?」
「え?うそっ!目配せ??俺、今野さんが寝不足で目がしょぼしょぼしてんだと思った。」
そう言いながら健人が、取材用衣装に着替えて姿を現す。
と、そこへ…。
「なんだよ外の騒ぎ!なんかあったの!?あ、おはよーございます!」
当麻がバタバタと一足遅れで楽屋入りした。
「おはよ!そんな騒いでた?ごめん!囲みがちょっとうるさくなるかも…。
先、謝っておく!すまん!」
健人が当麻に事の経緯を説明し、両手を合わせて首をすくめた。
「なんだよ、そんなことで騒いでたの?俺今、肩抱きながら歩いて来たけど?
みんなが期待してそうだったから、ほっぺにチューまでサービスしたし。」
「ええーっ!?みずき、帰国してんのー!?」
突っ込みどころが違うだろっ!と即座に今野に突っ込まれた健人だったが、
みずきが今雪見の楽屋に居ると聞き、ホッと安堵の表情を浮かべた。
良かった!みずきがそばにいてくれたら、ゆき姉のことは心配いらない、と…。
その頃、当の雪見の楽屋では…。
「みずきさ〜ん!会いたかったよぉ〜!!」
「ゆき姉!元気だった?あ、みずきさんじゃなくて、みずきでしょ!
ねぇ。外の取材陣、えらい張り切ってたけどなんかあったの?」
みずきが雪見とハグした身体を離しながら、顔を見て聞いた。
「うそっ!?そんな騒ぎになっちゃった?あーん!だから嫌だったのにぃ、すっぴん!!
今日ね、寝坊しちゃってお化粧もしないで飛び出して来たの。
髪もグチャグチャのまま!それでみんなの前を通って来たから騒ぎになっちゃったんだ!
最悪!囲みやりたくな〜いっ!!」
まったくの勘違いだったが、そのお陰でみずきが手を貸してくれる事になった。
「ぜんっぜん、ゆき姉のすっぴん綺麗だけどなぁ?
よしっ!じゃあみんなが驚くほどの美人さんに、私がメイクしてあげる!
私ね、前からヘアメイクに興味があってね。
ハリウッドで実はずっとメーキャップスクールに通ってて。
そんでなんとなんと!今回の試験で無事アーティストの資格を取ったのだぁ〜!」
「うそーっ!?みずきがぁ〜!?すっごーいっ!!
こんな凄い女優さんなのに、スクールに通って資格取るなんて!」
雪見が尊敬の眼差しで、十歳も年下のみずきを眩しそうに見た。
「えへっ。日本に居たら無理な話だったけどね。
けど向こうじゃどんな大女優さんでも、常に自分のスキルアップは怠らない。
みんな貪欲に日々自分磨きをしてる。身も心もねっ。
あーこんなお喋りしてる暇はなかった!
さ、ここに座って!私のプロ第一号の記念すべきお客さん!」
そう言って雪見を鏡の前に座らせたみずきは、
「こんなことなら自分のメイクバッグ、持って来れば良かったぁ!」
と嘆きながらも、楽屋備え付けのメイク道具を手元にずらりと広げ、
進藤に負けず劣らずなスピードで手際よく、あっという間にヘアメイクを完成させた。
「よしっ、完成!自分の道具じゃないから取りあえずってとこもあるけど、
いつものゆき姉らしくナチュラルで、だけど知的に格好良く仕上げてみました!どう?」
みずきの得意げな顔と一緒に鏡に映ってたのは、紛れもなくいつも進藤が仕上げてくれる
カメラマンの浅香雪見そのものだった。
今日の囲み取材はロビーの写真展会場で行うので、ライヴを行うアーティスト
『YUKIMI&』ではなく、カメラマン『浅香雪見』でのスタートなのだ。
「ねぇ!どうして今日の取材がカメラマンとしてなのか判ったの?
私、みずきにさっき話したっけ?」
自分で話した記憶が無いのにと、脳みそが少し心配になった。
するとみずきが、椅子の上に置いてある雪見のバッグを指差して言う。
「お父さんだよ、ゆき姉のお父さん!バッグに押し込めたままでしょ?
ライヴより写真展を見に来たのに、いつまでもほったらかされてる!って怒ってるよ!」
そう言ってみずきが苦笑いをしてる。
「あ!わすれてたっ!」
ごめんごめん!と言いながら取り出された父の遺影は、少しだけふくれっ面の笑顔に見えた。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.429 )
- 日時: 2012/06/22 20:34
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「ゆき姉、準備出来たぁ…?
おぉ素晴らしい!完璧な美人カメラマンだ!かっちょええ〜っ!」
雪見の楽屋をノックし、中からの返事と共にそっとドアを開けた健人。
視線の先には雪見だけしかいない事を確認すると、最大級の笑顔で満足そうに褒め称えた。
「やだ健人くん!その美人カメラマンっての、やめてくれる?
お願いだからこれ以上ハードルを上げないで。」
雪見は健人を振り向きおかしそうに、でも幸せそうに笑ってる。
「だってほんとなんだから、しゃーないじゃん!
なんだったら『日本一』って付け足してもいいよ。
斎藤健人自慢の、日本一美人カメラマンな彼女!
おっ、いいじゃん!こんなキャッチフレーズ。来月から使えんじゃね?
…やっぱゆき姉はさ、俺にとって最高の彼女だよ。
神様が俺にご褒美をくれたんだね、きっと。これからももっと頑張れよ!って。
俺、ゆき姉さえそばに居てくれたら、きっとどんな事でも乗り越えられる。
ゆき姉の笑顔見てたら絶対幸せでいられる…。」
健人が、二人きりの夜にしか吐かない甘々なセリフを口にしながら、
微笑んで雪見の目の前に立つ。
そして愛おしそうに小首を傾げてジッと瞳を見つめ、今にもキスしたそうな顔をした。
だが…。
「ちょっと待ったぁー!なんなのよ今の沈黙!出るに出られなくなるでしょ、私が!」
慌ててみずきが、着替え用パーテーションの陰からピョン!と飛び出した。
「みずきっ!居たのっ!?お、おかえり…。」
健人がびっくりして二歩あとずさる。
そして『シマッタ!聞かれてたのかぁ!』とバツ悪そうな顔をした。
「ただいま!だけど健人、あんたもちゃんと愛を語れるんだね!安心したわ。
でもね、家以外でそんなプロポーズみたいなセリフを吐く時は、今度から
もっと周りの状況を良く確かめてからにしなさいよ!」
クスクス笑いながらの容赦ない突っ込みに、健人はタジタジになりながらも反撃する。
「ほっとけっ!お前らだって相当なバカップルぶりだろ?
ここ来る時にマスコミの前でチューしたんだって?どうなのよ?それ。」
「うっそーっ!!ほんとなの?凄い凄いっ!外人さんみたい!
さっすが、当麻くんとみずきだけあるぅ!」
雪見が手を叩いて無邪気に喜んでる。
が、そこへ渋い顔した今野が当麻と共に、健人と雪見を呼びに来た。
「喜んでる場合かっ!こいつらのお陰で、めんどくせぇ囲みになりそうだからなっ!
覚悟しとけよっ!まったくもう…。」
今野がため息混じりにジロリと当麻をにらむ。
しかし当麻は、首をすくめてちろっと舌先を出し、悪びれた様子もなく
みずきと目を合わせて笑ってた。
そんな二人の姿を見て、雪見の中から一切の不安と緊張が消え去った。
それと同時に内側からムクムクとやる気と元気、勇気が湧いてくる。
どうしようもなく笑いたい衝動に駆られて、あははっ!と声を出して笑ってた。
「二人とも最高っ!だーい好きっ!」
いきなり雪見に抱き付かれたみずきが、一瞬驚いた顔を見せたが
すぐに笑顔で雪見をハグし返した。
それにつられるようにして、当麻と健人も笑いながら肩を組む。
四人の心が、まあるく一つの輪になった。
「なんじゃ、お前ら?脳天気な奴らだ…。ふふっ、まぁいいか。
さ、時間だぞ!しっかり次に繋がるアピールをして来いっ!!」
「よっしゃあ!じゃあ一丁行きますかぁ!」
今野に背中を押され楽屋を出た四人は、上機嫌で長い廊下を歩く。
途中すれ違うスタッフ達に「お疲れ様でーす!」と笑顔で頭を下げ、
再びキャッキャとふざけてじゃれ合った。
久々に四人一緒の時間が嬉しくて楽しくて仕方なかった。
だが、雪見はふと我に返る。
これが本当に『YUKIMI&』最後の仕事…。
もう健人くんと同じステージに立つ事もなければ、当麻くんと一緒に歌う事もない。
まるで夢の中の出来事だったな…。
子供の頃に夢見たシンデレラの魔法から、覚める時がやって来たんだ…。
そんな事を考えながら歩いていると、あっという間に取材会場でもある
写真展ロビーへとたどり着いた。
すでにぎっしりの報道陣が、三人の登場を今か今かと待っている。
「みずき!ちょっとだけここで待ってて。あとで呼ぶから。」
「うん、わかった。」
当麻がみずきに声を掛け、みずきは報道陣の視界からフレームアウトした。
ロビーは全国ツアー最後の大会場を飾るにふさわしく、端から端まで
カメラマン浅香雪見が撮りためた斎藤健人と三ツ橋当麻で埋め尽くされている。
その写真展会場の隅っこ、報道陣が背を向けている場所での待機を当麻に命じられ、
みずきは一人静かに近辺の写真パネルの間を巡って歩いた。
今回のライヴツアーの真剣なリハーサル風景。
イケメン俳優二人がドラマで共演した際の、撮影合間のオフショット。
当麻のラジオ番組に初めて雪見とゲスト出演した時の、嬉しそうな健人。
沖縄竹富島の青い海で子供のようにはしゃぐ若者二人。
そして…。
「あ、あった!」
みずきが小さな声を上げて立ち止まる。
そこには亡き父、宇都宮勇治の見舞いに訪れた二人が帰り際、父と堅い握手を交わし
未来の日本を背負って立つことを誓った、忘れられない笑顔があった。
「やっぱ素敵な写真だ…。あ、そうだ!」
みずきが思い出したようにバッグの中に手を入れる。
そして手につかんだのは、雪見の父の写真であった。
「ごめんなさいね、いつまでも。さぁ、じっくり見てあげて下さい。
あ…うちの父がご挨拶したいって言ってる。」
みずきは微笑みながら雪見の父の写真を、自分の父の写真と向かい合わせ、そっと目を閉じる。
みずきが二人の間を取り持ち、魂と魂の会話の橋渡しをした。
しばし閉じてたまぶたを開け、今度は丁寧に写真を見て歩く。
みずきには、写真の中からすでに飛び出し、みずきよりも先を歩く
意気投合した二人の父の姿が瞳に映った。
楽しげな後ろ姿を見つめ、みずきの心はいつになく穏やかに経過する。
「みずきー!」
不意に当麻の呼ぶ声で現実に戻された。
「あ、呼んでる。じゃあ私、行って来ます。二人とも、ここで見守っててね。」
小声で独り言のように呟きながら、みずきはバッグの中に再び雪見父の写真をしまった。
コツコツとヒールの音を響かせながら報道陣の前に姿を現したみずき。
そこに居る誰もが思わず「おおっ!」と声を上げたほどのオーラを感じさせる。
人気国際派女優華浦みずきと、人気イケメン俳優三ツ橋当麻が二人横に並んだ瞬間、
健人と雪見は『なんだろ?』とちょっと不思議な感覚を覚えた。
その直後、思いもしなかった言葉が当麻の口から語られる。
「僕たち今日、婚姻届けを提出して来ました!」
「え?ええーっっ!!??」
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.430 )
- 日時: 2012/06/29 23:15
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「う、うそっ!!お前らマジで結婚したのっ!?」
健人が大声を張り上げ、大きな目を更に大きく見開いて、隣りにニコニコと立つ
当麻とみずきを見る。
一方雪見はと言うと、これまた健人と同じく「うそっ!」と叫んだあと
瞳にみるみる涙を浮かべて「おめでとう!良かったねっ!」とみずきに抱き付いた。
その瞬間、会場中が光の洪水でおぼれそうになるほどのフラッシュが一斉にたかれる。
思いもかけず向こうからもたらされたビッグニュースに、報道陣は右往左往。
だが一番慌てて右往左往してるのは、勿論こちらの事務所サイドだった!
「な、なにぃーっ!?おい、悪い冗談だろっ!?いつもの当麻の悪ふざけだよなっ?
おいっ!誰かみずきの事務所に確認取ってくれっ!大至急だーっ!!」
雪見のマネジャーでもあり事務所のマネジメント部長でもある今野が、
当麻や健人のマネジャーにまで指示を出し、確認作業やらマスコミ対応に大わらわ。
今回の事後報告は、当麻とみずきも考え抜いた末の大決断だったのだが
それにしたってあまりにも無謀過ぎる、若い二人の行動だった。
二人に向かって四方八方からマイクが突き出される。
その様子を健人と雪見もただの傍観者になり、横で見つめるしかすべがなかった。
なんせ当人二人にしか事情は話せない。
それ以外の者達は誰一人として聞かされてはいなかった、完全なる事後報告。
そう思うと…健人も雪見も少しだけ寂しさがこみ上げてくる。
いや、少しと思っていた寂しさが瞬く間に細胞分裂を繰り返し、短時間で
巨大なる寂しさへと変貌を遂げた。
俺たちって…そんな付き合いだったんだ…。
雪見ももちろん寂しさは感じてた。
だが自分が思う寂しさなど比ではないほど、健人は今この状況に茫然としてるに違いない。
そう思ったとき、健人が可哀想で切なくて、今すぐギュッと抱き締めてあげたい衝動に駆られた。
だが、いくら交際宣言したからと言って、そんなこと出来るはずもない。
雪見はそっと目立たぬよう健人の背中に手を回し、ポンポンと二度だけ優しく合図して
また静かに手を下ろした。
『大丈夫だよ。当麻くんの話を聞いてあげようね。』
そんな気持ちを伝えたくて…。
「おめでとうございます!事務所の方も今初めて知らされたご様子ですが、
なぜこのようなタイミングで発表を?」
「もしかして、みずきさんのオメデタですかーっ?」
「みずきさんは引退されるのですか!?」
矢継ぎ早に繰り出されるあちこちからの質問を、今野が大慌てで遮った。
「すみませーん!今日の囲み取材はライヴ関係だけとお願いしたはずです!
申し訳ありませんが、もうリハーサル時間が過ぎてますのでこれで終了とさせてもらいます!
お忙しい所お集まり頂きまして、ありがとうございましたーっ!」
今野がそう言いながら当麻たちの背中を押し、この場からの退散を促す。
だがこれには一斉に報道陣からのブーイングとも取れる声が殺到した。
「ちょっと待って下さいっ!こんな重大発表なのに本人たちから何も無しって、
そりゃあんまりじゃないですかっ!」
「そうですよ!これを聞かなかった事にしろとでもおっしゃるんですか!
あえて本人たちがこの場を選んで発表したなら、それを聞いてやるのが筋ってもんでしょ!」
会場中が蜂の巣を突いたような騒ぎに発展し、それを収めようと今野や及川が
報道陣と押し問答になる。
予定通り一度は終了したはずの囲み取材が、まさかの展開により再びヒートアップし
取り返しのつかない大騒動にまで発展する気配を見せた。
だが健人だけはその様子を『たまにはマスコミも真っ当な事を言うもんだな…』
と、ぼんやりした瞳で見つめてる。
すると突然、横に立つ当麻が「みなさん!聞いて下さいっ!」と
一歩前に出て大声で呼びかけ、一礼をした。
場が一瞬にして静まり返り、報道陣たちは『きたっ!』とばかりに身構える。
今野ら事務所関係者もさすがに観念したらしく、成り行きを見守るしかないと
再び後ろに退いた。
当麻が、環境が整った事を目で確認すると、斜め後ろに立ってたみずきの手を引いて
自分の真横へと導く。
それを見て慌てて健人と雪見がその場から外れようとしたその時、
「ここにいてっ!」と二人に向かってみずきが呼び止めた。
「お願い。ここで聞いてて。」
その柔らかな声と微笑みは、『あなたたちに一番に聞いて欲しいの。』
と言う、二の句の代わりに思えた。
健人と雪見は再び背筋を伸ばし、当麻とみずきよりも半歩下がって隣りに並んだ。
当麻の小さな深呼吸が聞こえる。
みずきの普段見ることのない緊張した横顔は、それでもハリウッド女優の風格をたたえ
光り輝いた瞳で前だけをじっと見据えていた。
「済みません。時間がないんで簡潔にお話させて下さい。
今日3月25日、僕三ツ橋当麻と彼女、華浦みずきは婚姻届を無事提出し、
晴れて夫婦となった事をここに皆さんにご報告させて頂きます。」
そう言って、まずは当麻とみずきが二人揃って深々とお辞儀をした。
再び辺り一面がフラッシュで真っ白になり、雪見もそのまぶしさに目が眩む。
だが次の瞬間、ハッと息を呑む場面に出くわした。
雪見の隣りに立つ健人が、スッと両手を前に突きだしたかと思うと二人に向って
力一杯の拍手と笑顔を送り始めたのだ。
当麻とみずきに拍手を送ったあと、今度は目の前にずらり並んだ報道陣に向きを変え、
当麻たちへの拍手を促すかのように目で一人ずつを見回し、拍手の同意を求める。
すると、一人また一人と拍手の輪が広がり、いつの間にかロビー一杯に
力強く大きな祝福の音が鳴り響いた。
嬉しそうに見つめ合う当麻とみずき。
それを拍手と共に、満足そうにうなずきながら見守る健人。
雪見は…そんな健人を胸を熱くして眺めてた。
自分の寂しさよりも、今は親友の祝福の方が大事なんだね…。
いつもあなたは自分の思いよりも、人の思いを優先する人。
大好きだよ、そんな健人くんが…。健人くんが大好きだからねっ!
雪見の視線に気付いた健人が、小首を傾げて顔を覗き込む。
『どした?』と言うように。
『ううん、なんでもない。』そんな返事のつもりで笑顔を見せて首を横に振る雪見。
すると次の瞬間、健人は何を思ったか、拍手する雪見の手をびっくりするほどの力で
グイッと引き寄せた。
「え?…なに?」
突然起こした健人のアクションに、雪見は戸惑いを隠せない。
きょとんとした顔で健人を見ると、彼は飛び切りの笑顔で前を向いた。
「俺たち…俺たちも結婚しますっ!!」
「え?ええーっっ!!??」
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.431 )
- 日時: 2012/07/06 16:36
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「ちょっ、ちょっと健人くんっ!なに言い出すの!?だめっ!!」
雪見が健人の驚くべき発言を、こわばった表情で素早く強く制する。
だが健人は、明るさの消えた雪見の瞳をじっと見つめ、なぜか穏やかな笑みを浮かべた。
「け…んとくん…?」
健人の大きく澄んだ瞳が、真っ直ぐに雪見に言葉を伝えてる。
『いいんだよ、もう…。何も心配はいらないさ。』
確かに…確かにそう伝わってきた。瞳からも笑顔からも…。
「いいの…?ほんとに…いいの?」
健人の瞳を見つめ返し、声に出して真意を確かめる。
その言葉に健人は、ただただ優しい微笑みでうなずいて見せた。
不思議な事にその瞬間、雪見には周りの騒がしさが徐々に心地よいものへと聞こえてきた。
二人の登場を今か今かと待つ、ライヴ開幕前の客席の喧噪にも似た…。
あるいは、街の雑踏を流れる浮かれ気分のクリスマスソングのような…。
クリスマス…ソング?
自分で感じた感覚が何故かとても季節外れで、雪見は一人可笑しくてクスクスと笑い出す。
そんな雪見を見て、健人にも笑顔がこぼれた。
なんだか改めてプロポーズを承諾されたような嬉しさが、じわじわと込み上げた。
「ね、ね、なんで今、笑ったの?」
「教えなーい!」
「けち!じゃあ帰ったら教えて。」
「忘れなかったらねっ。」
健人と雪見がいつものごとく、たわいもない事を二人の世界で楽しげに会話してる。
それを呆れ顔の当麻が、「はいはい!」と横から口を挟む。
「お二人さん!もういい加減にしないと今野さんがブチ切れそうだよ。
マジ、早く終らせてリハーサルに行こうぜ!」
「わりぃわりぃ!そうだった!よし!じゃあとっとと終らせよ!」
そう言うと健人は、雪見にサッと右手を差し出した。
一瞬躊躇した雪見だったがすぐに「ちょっと待って。」と断りを入れ、
右手薬指にはめてた指輪をおもむろに外して左手薬指へと付け替える。
それは…健人からプレゼントされた、永遠の愛を誓うリングであった。
もう、右手にはめる事もないだろう。
今日からは堂々と、誰に遠慮もせずに左手を飾ってあげよう!
そうして差し出された雪見の左手を、健人はニコッと笑ってギュッと握り締める。
『もう絶対に離すことはないから…。ここでみんなに愛を誓うよ。』
心の中で雪見に宣言し、落ち着いた顔でスッと前を向いた。
手と手をしっかりつないだ二人に、場内が静まり返る。
健人の口から今まさに語られようとする真実を、誰もが一字一句聞き漏らさぬよう
全神経を集中させて二人を見守った。
「えーっと…。みなさんもご存じの通り、僕たちは来月から二ヶ月間
日本での活動を休止して、ニューヨークへ行って来ます!
僕の念願だった芝居の勉強のために彼女も付いてきてくれる訳ですが、
向こうでは通訳を務めてくれたり生活全般をサポートしてくれたり…。」
そこまで一気に説明すると、健人は雪見の顔を見て嬉しそうに微笑んだ。
その弾けるような笑顔は、雪見と共にニューヨークへ旅立てることを心底喜び
心待ちにしてることを如実に物語る。
ファインダー越しのカメラマンも、思わず顔をほころばせながらシャッターを切った。
「本当は彼女…来月から仕事の予定が詰まってたんです。
カメラマン浅香雪見に復帰する日をたくさんの人が待ち望んでて、写真集の撮影とか
他にもいっぱい予定が入ってたんだけど…。」
笑顔から一転、健人が申し訳なさそうに視線を落としたので、雪見が慌てて言葉をつないだ。
「あのっ!すべては私の自己責任において決定したことであって、何一つ
健人くんのせいなんかじゃありませんからっ!
健人くんに同行することを決めてから、お引き受けしてたクライアントさんには
直接お詫びに伺って、仕事のキャンセルをお願いしたんです。
でも…。みなさん「待ってるよ。」とおっしゃるんです。
私のこと、ニューヨークから戻るまで待ってるから!とおっしゃって下さって…。
本当に私のわがままなのに、みなさんには感謝の気持ちで胸がいっぱいで…。」
雪見は感極まって涙をポロッと一粒床に落とす。また一粒、もう一粒…。
それを見た健人も胸にグッとくるものがあり、何も言わずただ雪見の頭を
よしよしと撫でては励ました。
雪見が落ち着いたのを見届けて、健人がキリッとした男らしい表情で前を向き直す。
「彼女の才能は、この僕が誰よりも知ってます!ずっと近くで見てきたんだから…。
本当に素晴らしい人です。尊敬してます!
俺ごときが、絶対に彼女の才能を潰すわけにはいかないと思ってる…。」
健人は自分に言い聞かすように、自分に向かって呟くように言った。
そして…。
「だから俺、決めたんです。今まで散々ゆき姉には面倒見てもらいっぱなしで。
今度は…これからは、俺が彼女の一生を面倒見て行こうと…。
だから…僕たちは6月、ニューヨークで挙式することに決めましたっ!」
健人が言い終わるか終らないかのうちに、場内が「おおーっ!!」とどよめき
再び目が眩むほどのフラッシュがたかれた。
唐突とも思える宣言だったが、やっと心が解放された健人は雪見と目を合わせ、
顔をクシャクシャにして笑ったあと「あースッキリしたぁーっ!」と雄叫びを上げた。
今野らマネージャーにガードされ、四人が上機嫌で囲み取材会場を出た途端、
今野は怖い顔してくるりと後ろを振り向いた。
「お前ら4人とも、ちょっと来い!常務が楽屋でずっとお待ちかねだっ!」
最後の2daysライブのリハーサルは、まだまだ始まりそうにもなかった。
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