コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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アイドルな彼氏に猫パンチ@
日時: 2011/02/07 15:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。

なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。

女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。


私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。

同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。

なのに なのに。


浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。

それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。


彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!

なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?


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Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.142 )
日時: 2011/05/09 18:59
名前: e (ID: ZpTcs73J)

今回は、雪見の友達です。 この人と雪見が女旅に行って、健人君が焼きもちをやくみたいな感じで…
私は恋愛的には雪見さんタイプです。  健人君には悪いけど、健人君タイプは苦手です(汗)め〜にゃんさんはどうですか?

瓜川 亜希
職業 編集長
アラサーに人気雑誌「ママ万歳・「arasa-」・「ぶらり女旅」の制作を手掛けたやり手編集長。話題になった本「1分美容」・「一杯のご馳走」・「ママ友攻略法」・「困ったときの輸入雑貨」の著者でもある。 仕事に誇りを持っており、常に頭の中は仕事でいっぱい。そのおかげで、雪見たちの流行番長でもある。
少々俺様系。でも、「ありがとう」「ごめんなさい」がちゃんと言える大人の中の大人。
「こんぐらい知っとかなきゃ。 今、40代の人でも知ってるよぉ。」
「雪見、これから取材させてもらうよ。アラサーにも評判得られるかもしれないし、私に感謝しな。」
「あんた、そろそろ結婚するんだし、一式集めとけぃ!これと、あとこれがお勧めだよ。」
「女旅かァ、いいねいいね!うちの雑誌で取り扱ったインドのちょいセレブのコテージとかどう?」

唄沢 令
32歳
職業 行政書士
さほど有名ではないが、結構ベテラン。 そのため法律で解決できることは解決しちゃう。 「戸川法律事務所」のチーフで、部下に信頼されている。
常識人の鏡。芸能人興味0。いや、キモいと思っている。危ないところだと身で実感しているから芸能界に入った雪見を「あんた、そんな危ない世界に入って、過去で目立ってないからって目立ちたいの?そんな軽い世界じゃないのよ!あんたみたいな素人が突然入って成功する世界じゃないのよ!」と批判しまくるが、雪見を心配する愛情の裏返しである。 少し不器用。
「え〜、従妹同士の結婚は法律では大丈夫だけど…あんた、なにすんの?」(滅茶苦茶引いている顔をしている)
「この人、知らん。知りたくない。キモい。」
「雪見、なんかあった?従妹と結婚したくて、そいつが芸能人!?もう、あんた大丈夫!?」

田鍋 蒼
32歳
職業 電子系の会社の営業部の課長
電子系会社に働いているが、機械強くはない。 でも、彼女なりに頑張ってる。そこの会社の電化製品しか持っておらず、友達に異常に進めている。
少し遠慮がちだけど、トーク上手。少し面食いだけど芸能人顔より、少しイケメンてかなっ位が好き。
「この携帯ねぇ、うちの会社のなんだけどめっちゃいいよ!この機能はねぇ…(説明長すぎるから以下略。)」
「あっこれ欲しかったけど。いいの?」
「で、そいつはイケメン?うち、向井理みたいな人がタイプだから。よろしく。」

松本 深織
32歳 
職業 専業主婦
大手食品会社の部長と結婚し、幸せな毎日を送っている。 小5・小3・小1の娘がいる。  雪見の交際に対し、「将来子供に迷惑がかからないならいい」とのこと。そのぐらい子供の将来を大事にするいいママ。 家計の負担にかからない程度に節約をしているが、食事だけはとことんこだわり、娘全員レトルトを食べたことがない。
家庭的で、物持ちもよく、しっかりしている。 恋愛では一番先輩なので、深織の恋の助言には説得力がある。
「子供にレトルトを食べされるなんて考えられない。」
「老後の不安なくすためにさ。いろんな知識知っとかないとね。」
「雪見、もし30代で結婚するならできるだけ若さを保ちなさい。 そして、美と若さに誰よりも前向きに取り組んで、誰よりも自身を持ちなさい。 全ては子供のためよ。」
「残念、私は雪見が猫を写すの好きだったのにな…」

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.143 )
日時: 2011/05/10 08:52
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

当麻と健人がプロデューサーとの打ち合わせ最中、なぜかチラッと
ガラス越しに二人が雪見を見た。
カメラのファインダーから覗いた二人の顔は、何か悪巧みを企ててる
いたずらっ子のような目をしてる。なんだろ?

やがて本番三分前のカウントが始まり、プロデューサーの三上が放送
ブースから出てきた。雪見が慌ててカメラを下ろし、挨拶をする。
「あの、斎藤健人に同行してるカメラマンの浅香と申します。
今日はご無理を聞いて頂き、ありがとうございました!
みなさんのお邪魔にならないよう、この辺から撮させて頂きますので、
どうかよろしくお願いします!」
三上に頭を下げたあと、周りのスタッフにも頭を下げる。

すると女性スタッフが、「三上さん!美味しそうなプチフール頂きましたよ!」と伝えた。

「いやぁ、済みませんねぇ!当麻からさっき『ヴィーナス』見せられて
お会いできるのを楽しみにしてました。まぁ、あいつったら、浅香さん
のことを語る語る!相当気合い入ってますよ、今日は。
どうか、放送を楽しみながら仕事していって下さい。」

「ありがとうございます!そうさせて頂きます。」
雪見は笑顔で答えて、再びカメラを構えた。


「本番十秒前!5、4、3、2・・」
張りつめた空気の中、軽快なオープニング曲が流れ、いよいよ放送スタートだ。

「さぁ、今週もお待ちかねの金曜日がやって来ました!
『当麻的幸せの時間』この放送をお送りするのは、三ツ橋当麻です!
じゃあ、とっとと今日の相棒を呼んじゃおうかな?
先週の予告通り、本日のゲストは斎藤健人くんです!イエーィ!!」

「どうもーっ!またしても斎藤健人です!
いやぁ、悪いね!いっつも呼んでもらっちゃって。
大丈夫?リスナーさんから『もっと他のゲストを呼んで下さい!』とか
苦情来てない?」

「なに言ってんの!『毎週健人くんでもいいです!』とか、『いっそ
二人の番組にしちゃえば!』とか、そんなのばっかだよ。
今にプロデューサーが『当麻と健人、交代ねっ!』とか言い出さないか
ヒヤヒヤもんです。」
そう笑いながら、当麻がガラスの向こうにいる三上を見る。

「大丈夫、大丈夫!その時は毎週当麻をゲストに呼んでやるから!」
健人の返しにプロデューサーを始めスタッフ一同、大爆笑!
雪見は、二人らしいやり取りだなぁと笑いながらシャッターを切った。

こんなテンポのいい二人の会話で、放送は順調に進んでゆく。
まるで長年連れ添った夫婦のように、阿吽の呼吸で。

間にコマーシャルを挟み、二人が一息コーヒーで喉を潤しているとき、
またしても二人一緒に雪見の方を見て笑った。
『一体さっきから私を見て何笑ってんだろ?』
雪見は小首を傾げて二人を見返す。すると今度は健人がピースした。
『どういう意味?』益々わけがわからない。

コマーシャルが終わり、また当麻が話し出す。
「じゃ、そろそろサプライズゲストをお呼びしようかな?
今日はね、もう一人特別なゲストを呼んでるんです!」

周りのスタッフがざわついてる。
「誰だよ、サプライズゲストって!そんなの台本にないぞ!」
雪見は誰が出て来るのか楽しみに、カメラを構えていた。

「どうする?健人。なんかドキドキするね!どういう展開になるのか
予想もつかないけど、まっいいか!
ではお呼びします。本日のサプライズゲスト!
俺たちの友人でもあり姉貴分でもあり、そして事務所の後輩でもある
動物写真家の浅香雪見さんです!どうぞお入り下さい!
って、入って来るわけないよね!プロデューサー入れちゃって下さい、その人。」

雪見は突然聞こえてきた自分の名前にビックリして、カメラを下ろす。
するとプロデューサーの三上が、「済みませんが中に入ってもらえる?
二人のたってのお願いなんで、許可しちゃったんです!お願いします!
あとは座ってればいいから!」と、半ば強引に放送ブースに押し込められた。
何が起こっているのか理解不能で立ち尽くす雪見を、健人が隣りに座らせる。

「済みませんね、リスナーさん!サプライズゲスト本人に、まったく
知らされて無かったもんだから、今やっとマイクの前に座りました。
で、改めて紹介します。動物写真家で…って紹介したら怒られるんだった!
えーと、猫カメラマンで、今は健人の写真集の専属カメラマンをしてる
浅香雪見さんです!ようこそ、ゆき姉!って、やっぱ、怒ってる?」

「怒ってるも何も、何これ?どういうこと?健人くんだって、朝から
一緒に仕事してたのに、何にも言ってなかったじゃない!」
案の定、健人に食ってかかる。

「まぁまぁ、落ち着いて。全国に生放送なんだから頼むって!
じゃあ取りあえず、一曲挟むね。
その間にサプライズゲストさんには心を落ち着かせてもらって、と。
曲は「涙そうそう」の三線バージョンです。
この後たっぷりと俺たちの沖縄旅行の裏話をするんで、みんなもこれを
聞いて沖縄モードになって下さい。では。」
当麻が機転を利かし、曲の間に雪見をなだめることにした。
スタジオ中に、沖縄の風を感じるような三線の音色が響き渡る。

「あのね、これはさっきの打ち合わせで急遽決めた事だから、健人も
来た時は知らなかったの!
ほら、見て。今そっちの部屋に入ってきた今野さんも、なんでゆき姉が
マイクの前に座ってんの?って顔して驚いてる。
なんか美味い物おごるからさぁ、俺の番組に少しだけ付き合ってよ。」

「でも私、何にも喋れないかもしれないよ!」

「大丈夫だって!俺と健人がいるんだから。いつも通り、酒飲みながら
三人でおしゃべりしてるみたいな感じでいいの!
それにあの流出動画の事、早いうちに俺たちの口から直接みんなに
伝えた方がいいと思う。」

「俺もそれがいいと思うよ!今ならまだリカバリーできるはず。
ねっ、ゆき姉!そうでしょ?」
健人と当麻が雪見を見つめた。

その時、ハッと我に返ったように雪見が耳を澄ました。
「あ、これ『涙そうそう』の三線バージョンだ!
そう言えば民宿のおばさん、夜になって泡盛飲み出すといつも決まって
この曲を私にリクエストして歌わせるの。おじさんの三線の伴奏で。
おばさんの大好きな曲なんだ…。」
そう言いながら、雪見はこの歌を口ずさみ出した。

その途端、ガラスの向こう側にいたスタッフを始めプロデューサーも
驚いた顔をして雪見を見つめ、その歌声に聞き惚れていた。
と、突然当麻のイヤホンから三上の指示が聞こえてきた。

「当麻!この歌をオンエアしろ!早く!」




Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.144 )
日時: 2011/05/10 15:19
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

当麻が三上からの指示に驚いてる。
「いいんですか!そんなことして!」

「大丈夫だ!責任は俺が持つ。じゃ、二番の歌詞からオンエアしろ!
本人には気づかれないようにな!」
三上は、有名アーティストも手がける音楽プロデューサーでもあった。
その敏腕プロデューサーが、雪見の歌声を聞いて即座にそう決断した。
きっと何か考えがあるに違いない!
そう理解し、当麻は指示通りに動くことにする。

雪見は目をつぶったまま、すっかり自分だけの世界に浸り歌っていた。
心をこめて、まるでこの歌が雪見のために作られた歌であるかの様に。
周りの雑音など、一つも耳には届いてなさそうだ。

当麻はタイミング良く、スーッとオンエアのレバーを切り替えた。
全国に雪見の歌声が流れる。
目をつぶって聞き入ると、沖縄の風と香りを全身に感じることができた。
雪見の歌には不思議な力があると、以前から当麻は思っている。
声の質も表現力も聞く人の心に深く染み、いつの間にか癒やされた。
三上はこの後、どうするつもりなのか。


曲が終わった。目を開けた雪見はすっかり落ち着きを取り戻している。
当麻は何事も無かったかのように、話を再開させた。

「えー、『涙そうそう』の三線バージョンをお届けしました!
いいねぇ、沖縄。また行きたい!
やっとサプライズゲストの浅香雪見さんが落ち着いたので、改めて紹介
しましょう!猫カメラマンの浅香さんです!ようこそ来てくれました!
って、猫カメラマンより動物写真家って紹介した方が格好良くない?」

「いいの!猫カメラマンで。だって猫以外の動物は撮ったことないもん。
あ、お聞きの皆さん、初めまして!浅香雪見と言います。
ごめんなさいね!いきなりお邪魔して。みんな、健人くんと当麻くんの
おしゃべりを楽しみにラジオの前で待ってただろうに、余計な私が参加
しちゃって…。本当はガラスのあっち側で撮影の仕事中だったんです。
それがいきなりマイクの前に座らされたもんだから、お聞き苦しい場面
があった事をお許し下さい!」
雪見がスムーズに話し出したので、一同ホッと胸をなで下ろす。

「ごめんごめん!でも、せっかく沖縄の話をするんならゆき姉も一緒の
方が、楽しさがみんなにも伝わるかなぁーと思ってさ。
知らない人もいるだろうから改めてお話ししますと、
俺たち三人で沖縄行って来たんだよねっ!」

「当麻!そう言う言い方は誤解を招くでしょ!三人だけじゃないです。
スタッフやカメラマン合わせて総勢十名の、ちょっとした団体でした。
二泊三日の仕事だったんだよね。『ヴィーナス』のグラビアと、俺の
クリスマスに出る写真集の撮影を兼ねての旅行だった。」

二人が撮影の様子や泊まった石垣島のプチホテルの話などをしていると
続々とリスナーからメールやファクスが届きだした。
そのほとんどは、「さっきの歌は誰が歌ってるのですか?」という
問い合わせであった。
当麻は、もう少し雪見に喋らせてからこの事を伝えようと考える。

「でさ!竹富島でとんだハプニングが起きたんだよね、健人!」
いよいよ肝心な話に移る。三人の間に緊張した空気が漂った。
だが、さらっと話さなければ意味が無い。
ここは俳優、斎藤健人と三ツ橋当麻の本領を発揮せねばならない重要な
ポイントだ。

「そうなのそうなの!みんなに話したくてウズウズしてたんだ!
あのね、ゆき姉が…、あれ?ゆき姉が俺のはとこだって話したっけ?
言ってない気もするし、知らない人もまだいると思うから説明しますと
俺と雪見さんはおばあちゃん同士が姉妹なわけ。
で、俺が生まれた時からずっとお姉ちゃん代わりで、自転車の練習とか
ドッジボールの練習とか、この人の鬼特訓のお陰で今日の俺がいるって感じ?」

「なのに、本人は自転車が乗れなかった!という事実が今回の沖縄で
発覚しちゃったわけですよ!もう、あの時の健人の顔をみんなに見せてやりたかった!
鳩が豆鉄砲を食らうって、こういう顔を言うんだ!って思ったもん、俺。
イケメン健人の豆鉄砲顔、今度グラビアでやってもらえば?」

「おめぇ!人ごとだと思って言いたい放題言いやがって!
違うだろ!自転車の話もそうだけど、もっと凄い事をやらかしたでしょ
ゆき姉さんは。」

「そう!俺が言っちゃってもいい?なんとゆき姉は、石垣島に戻る船の
最終便の時間を勘違いしてて、俺たち三人石垣に戻れなくなっちゃったのですよ!
ひどくない?財布とケータイとカメラしか持ってないのに。
あの時は卒倒しそうになったよ、俺。」
当麻がわざと大げさに言ってみせた。

「だって、仕方ないじゃない!わざとじゃないんだから。
私だって泣きそうになったわよ!」

「いや、本当に泣いてました、この人。
で、どうにもホテルに戻る手段が無かったんで、やむを得ずそのまま
レンタサイクル屋さんの民宿に泊まらせてもらったんだけど。
結構イカした民宿だったよね、当麻!」

「うん!俺、幼稚園の時以来だった!ああいうとこ。
トイレもシャワーも共同っていう、昔懐かしい正統派民宿っていうの?
でもって運悪く、おじさんがその日予約が一件も入ってなかったから、
って部屋のペンキ塗りをしたばっかで、一部屋しか泊まれるとこが無くて…。」

「で、仕方なく三人一緒の部屋に泊まったという、ここだけ聞くと凄い
話なんだけど、めちゃ楽しかったよねぇ〜!修学旅行みたいでさ!」

「まぁ、女子と同じ部屋に泊まる修学旅行はないだろうけどね!
けど、ゆき姉は女子って俺たち根本的に思ってないから。」
と、当麻が笑いながら雪見を見る。

「えーっ!女子じゃなかったらなんなの?もしかして、おばさん?」
雪見が恨めしそうな目で二人をにらんだ。
すると当麻が、
「誰もそんなこと、言ってないでしょーが!ゆき姉は俺たちにとって、
良き姉貴と言うか気の合う仲間と言うか…ドジなお母さん?みたいな。
そんな感じ?」

「お母さん!?おばさんを通り越してお母さんなわけぇ?
まぁいいけどさ。どうせ私は君たちより一回りも年上だし…。
お母さんでいいです!こんなイケメン息子が二人もいて、お母さんは
嬉しいよ!って、そんな事言ったら本物のお母さんに叱られるでしょ!
ほんとにもう!」

三人が楽しげに一晩の事を語ったお陰で、リスナーからは
「流出動画を見た時はショックだったけど、今三人の仲良しぶりを聞き
いい関係の三人なんだなぁーと、微笑ましく思いました。」とか、
「今度この三人のトーク番組をやって欲しい!もっと二人のいろんな話
をゆき姉から聞きたいです!」と言ったメールが多数届いた。

どうやら当麻たちの作戦は成功したようだ。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.145 )
日時: 2011/05/10 15:56
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

e さんへ

いつもアイディアを頂き、ありがとうございます!
私もeさんと同じに、恋愛に関しては雪見タイプかな?
って、基本形の雪見は私の考えがベースになってるので、当り前っちゃ
当り前なんですけど…。
本当に健人くんみたいな一回り年下の、可愛いイケメンアイドルと
恋人同士になったら(絶対あり得ないけど!)
もしかしたらベタベタしいのも許しちゃうかもしれない。
でも、次第に落ち着いてくるとは思うけど…。

健人くんはきっと、誰かに守ってもらいたいし誰かを守ってあげたい、
寂しがり屋さんなんだと思います。
まだ大人にはなりきれないかな?子供の部分が大きいですね。
徐々に大人に変身してくれればいいんだけど…。

これからも健人と当麻の成長を、見守ってやってくださいね。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.146 )
日時: 2011/05/10 23:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

三人への応援メッセージや質問、ファンになりました!と言うものまで
ラジオ局には多くのメールやファクス、問い合わせの電話が殺到し、
パンク寸前の大騒ぎになってしまった。
プロデューサーはもちろんのこと当の本人たちも、あまりにも大きな
反響に驚いている。

「いやぁ、凄い数のメールやファクスを頂いてるんですけど、俺たちが
喋りすぎたお陰で時間が無くなっちゃった!どうしようか?健人。」
当麻はもうそろそろ、雪見の歌がラジオに乗って全国に届いてしまった
と言うことを、伝えなければと考えていた。

「このメールをひとつ紹介して今日は締めるとしようか。
どうせまた来月も俺、呼んでもらえるんだよね?ね!
あ、どうせならまたゆき姉も一緒に連れて来ちゃう?まだまだ面白ネタ
たっぷりあるんだけど。」

「なによ!面白ネタって!何の話をバラそうとしてるわけ?
そっちがそう来るんなら、私だって健人くんの子供時代の笑える話、
山ほど握ってるんですけど!」
雪見も負けちゃいない。

「おぉ、いいねぇ!ネタばらし合戦!次回をお楽しみにね、みんな!
ってことで、健人、このメール読んでくれる?」

「OK!えーと、ラジオネーム ジュピターさんです。
『今日発売のヴィーナス、買いました!』どうもありがとねー!
『健人くんと写ってたゆき姉がとても素敵で、どんな人なのかもっと
知りたいと思ってたところに、この突然のラジオ出演!感激しながら
聞いてました。ヴィーナスの健人くんとの対談に書いてあったのですが
ゆき姉は歌も上手いとか。ひょっとして、さっき流れた歌声は、もしや
ゆき姉の歌声ではありませんか?だとしたら、CDを買いたいのですが
どこから発売になってるのか教えて下さい。お願いします!』
だって!いかがですか?当麻くん。」

それを聞いていた雪見は、一体何の話をみんながしているのか、まるで
わからなかった。
なに?さっき流れた歌声って?CDって、何の話?

「こーんなメールやファクスをたくさんもらってるんだけど、全部紹介
出来なくてごめんね!でも、凄いね!このジュピターさん。
よくぞわかりました!正解です!さっきの『涙そうそう』、途中から
歌ってたのは何を隠そう、この浅香雪見さんでした!」

「えっ?何が?えっ?まさか、さっき口ずさんでたやつ、ラジオに流れ
ちゃったのぉ?なんで?ねぇ、当麻くん!」
雪見が当麻を犯人とにらんで、詰め寄った。

「ちょっと待って、ちょっと待って!俺は指示されただけ!
本当の黒幕はプロデューサーの三上さんだから!
文句があるなら番組終わってから本人に言って!なんか考えがありそうだよ。
あらら、もうこんな時間!終了まで残り一分になっちゃった。
なんかバタバタしたまま終わりそうだけど、楽しかったね!
どう?健人は。」

「うん、すっげー楽しかった!またこれに懲りずに呼んで下さい!
ラジオの前のみんなも、またねっ!斎藤健人でした!」

「ゆき姉も最後に一言!」

「え?あぁ、あの、勝手に歌っちゃってごめんなさい!
来月号の『ヴィーナス』はこの三人の沖縄特集があります。良かったら
今日の話を思い出しながら、読んでくれたら嬉しいです。
あと、クリスマスの健人くんの写真集も楽しみにしてて下さいね!
当麻くんもたくさん載せる予定です。浅香雪見でした!バイバイ!」

「『当麻的幸せの時間』この番組は、三ツ橋当麻がお送りしました。
ではまた来週の金曜日にお会いしましょう。良い週末を。バイバイ!」


「はい!OKです!お疲れ様でしたー!」
モニタールームからディレクターの声と、拍手が聞こえた。
ふぅーっ…とため息をつく三人。たったの三十分が何時間にも思えた。

ドアを開け、プロデューサーの三上が入って来る。
「お疲れ!いやぁ実に充実した三十分だった。楽しませてもらったよ。
リスナーからの反響も、番組始まって以来の凄さだったね!
今日だけで終わっちゃうのはもったいないよな、このトリオ。
どうだい。リスナーからのリクエストもあったことだし、この番組に
二週間に一度、健人と雪見さんとで出てもらえないだろうか?」
三上の言葉に、健人と雪見は顔を見合わせた。

「ありがとうございます!そう言って頂けると、ゆき姉と一緒に出た
甲斐がありました!けど、スケジュール的な事はマネージャーでないと
わからないので…。あとで交渉してみてもらえますか?
俺はこの番組大好きだから、たくさん出れたら嬉しいな!」

「私はどうかなぁ。十月に入ったらいよいよ写真集の編集作業に入るし
発売日はクリスマスだから、ちょっと凝った創りにしたいし…。
あ!そうだ!それはそうと、さっきの『涙そうそう』全国に流れたって
どういうことですか!私はマイクが切れてると思って口ずさんだのに!
なんで流しちゃったんですか?恥ずかしくて冷や汗かきましたよ。」
雪見が少し強めの口調で抗議した。

「いやぁ、断りもなく済みませんでした!けど、聞いてからだと断ったでしょ?
直感です、長年の。俺は音楽のプロデュースの方が長いし、今まで勘が
外れたためしは無いんですよ、こう見えても。
あなたの声はちょっと独特なキーをしている。そのせいか、凄く耳に
届くんです。心にも入り込んでくる。どこかで歌を歌ってたことは?」

「ありません。子供の頃合唱団にいたくらいで、その後は何も。」

「じゃあ、少し歌のレッスンをしてみませんか?多分ほんのちょっとの
レッスンでデビューできると思う。」
三上の言葉に、当麻も健人もひどく驚いた!
だが、当の雪見はいたって冷静で、淡々と三上に返事する。

「お言葉はとても有り難いです。そう言って頂けるだけで充分嬉しい。
でも、私は歌手になる気はまったくありません。
この写真集の仕事がすべて終了したら、健人くんの事務所との契約も
解除してもらって、元の猫カメラマンに戻るつもりですから。
本当に今だけなんです。こうやって色々なことをやらせて頂くのは。」
雪見の決意は、いつでも揺らぐことはなかった。
健人はそれを聞かされるたび、心がぎゅんと痛くなる。


楽しい時間というものは、あっという間に終わるもので、
終わった瞬間から、寂しい気持ちへとフィードバックし始める。

またひとつ、雪見との大切な時間を終らせてしまった…。
そう思うのは健人も当麻も同じであった。
どうにかして雪見を引き留めておきたい。
それぞれが左手首の青いブレスレットに、祈りをこめた。



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