コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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アイドルな彼氏に猫パンチ@
日時: 2011/02/07 15:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。

なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。

女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。


私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。

同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。

なのに なのに。


浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。

それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。


彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!

なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?


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Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.172 )
日時: 2011/05/30 16:31
名前: Luke ◆.9LBoPaZEU (ID: td9e1UNQ)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

お初お目にかかります。
ルークと言います。


前々から気になっていて、今日読んでみたら……あら、面白いじゃないの!ということになっていましてねぇ。
まだ途中までしか読んでいませんが……。
今まで読んだことのあるここのカキコの小説よりも、一味違っていて新鮮に感じました。
何よりも、め〜にゃんさんがこの小説を楽しみながら書いているのをすっごく伝わってきて、こっちも読んでいて楽しいです。

執筆、更新頑張ってください☆
楽しみにしてますね。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.173 )
日時: 2011/05/30 19:19
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

りえさんへ

こんな雑魚い作品をここまで読んで下さって、ありがとうございます!
雑魚でいいんです。プロを目指してるわけではないんですから。
日本のどこかに私と似た感覚の人達がいて、その人達が
「まぁ、まだ続きがあるなら読んでみようか。」と思って読んで下さってるうちは
こんな感じで書いて行こうと思います。
まぁ、妄想小説的なお話って、みんな主人公を自分に置き換えて
美化しがちでしょう。
小説とは、大なり小なり、自分の実現できない事を主人公に託すものです。

そうですね。e さんの意図してた人物像とは、だいぶ違ってしまったかも知れません。
でもこのお話は私が著者なので、私の考える道筋でゴールを目指します。
もう最後のシーンは決めてあるので、徐々に軌道修正してフィニッシュしたいです。
ご意見ありがとうございました。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.174 )
日時: 2011/05/30 19:59
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

ルークさんへ

初めまして!こんなお話に目を留めてくださって、ありがとうございます!
夢に見た一場面を残しておきたくて書き始めた、初めてのお話です。
なのでさらさらっと書いて終了するはずが、自分の想定外になが〜いお話に
なってしまいました。
それもこれも、自分が楽しみ過ぎてるせいですね。
朝3時になると、早く書きたくて飛び起きるのですから半分ビョーキです。
もうそろそろゴール方向に走らせなくては、と思いつつ
終ってしまうのが寂しい気がして、行きつ戻りつしてしまいます。

ルークさんがこのお話を、ちょっとでも楽しみに読んで下さったら
書いたかいがあったというもの。
どうぞ、相当長いのでちびちびと、お好きな所まで読んでやって下さいね。

日本のどこかのルークさん。
あなたに励まされて私は明日も3時に飛び起きます!
お互い明日も良い日でありますように…。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.175 )
日時: 2011/05/31 13:11
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

思いの外ラジオ局までの道のりが渋滞していて、集合時間の四時ギリギリに
雪見はスタジオに飛び込んだ。

「セーフ!なんとか間に合ったぁ!
あ、おはようございます!済みません、ギリギリになっちゃって。」
雪見は、ドアを開けてすぐにいたディレクターに焦って挨拶をする。

「相変わらず忙しそうだね。お待ちかねだよ!二人とも。」
指差された方を見ると、中のブースから健人と当麻が『早く!』と手招きしてる。

「ごめーん!待たせちゃった?でも集合は四時だよね。なんかあったっけ?」
雪見がブースのドアを開けるのと同時に、なにやら健人がリモコンを操作した。
部屋の隅に目をやると、なんとそこにあるのはカラオケセットではないか!

「早く!早く!」
当麻に引っ張られて訳の解らぬまま、三人でカラオケのモニター前に立つ。

「『ワインディング ロード』って!今歌うのぉ?」

「一回合わせてみるだけ!始まるよ!」
と健人が言ってすぐに歌い出しになったのだが、さすがにこれは失敗した。
なんせこの曲は、前奏無しでいきなり歌い出さなければならない。
しかも、一番の聞かせどころが曲の頭であって、三人が息をピッタリ合わせて
タイミングよく入らないと、曲のすべてが台無しになるという難度の高い曲なのだ。

「ストーップ!今のはいくら何でも無理だって!
心の準備無しには歌えないでしょ、この歌は!それならそうと言ってくれなきゃ!」
雪見がもっともな事を言う。

「ゴメンゴメン!いや、なかなか三人で合わせる時間が無いから、
打ち合わせ前に一回でも、どんな感じか歌ってみたかったわけ。
せっかくスタッフさんがカラオケ用意してくれたんだから、ちょっとだけ
練習させてもらおうよ!
あと十五分くらいなら大丈夫ですよね、水野さん!」
当麻が、ブースの外でモニタリングしているディレクターの水野に聞いてみる。

「いいよ!タイムリミットになったら声掛けるから。」
マイクで中の三人にそう伝えた。

「よし!じゃあ時間が無いから、今度こそしっかり歌おう!
準備はいい?ゆき姉。」
当麻の声に雪見は気持ちを整える。

「OK!そういう事なら本番だと思って、気合いを入れて歌うよ!
健人くん、いいよスタートして。」
雪見がそう言うと、健人がリモコンを送信した。
三人がお互いの目を見て、息を揃え歌い出す。

「♪曲がりくねった道の先に 待っている幾つもの小さな光
  まだ遠くて見えなくても 一歩ずつ ただそれだけを信じてゆこう♪」

今度は三人の息がピッタリと合い、歌い出しは完璧だ!
モニター室の全員が、驚きの表情でこっちを見る。
「スッゲー!なにあの三人!あれで今日初めて合わせたって言うの?
ほとんど完璧じゃん!」
ここさえ上手く歌えれば七八割は成功したようなもので、あとは気持ち良く
最後まで歌い切れた。

雪見が嬉しそうに、ニコニコしながら二人を見る。
「なんかいいんじゃない?初めて合わせたにしては。
健人くんも当麻くんも、結構自主練頑張ってるんだね!忙しいのに。
私ももっと頑張らなくちゃ!もう一度だけ歌う時間あるかな?」

プロデューサーの三上が、中の三人には聞こえないように素早くスタッフに指示した。
「次の歌、録音しとけ!」 「はい!」


「よし!ラスト一回、本番のつもりで歌おう!入れるよ!」

こうして初めての歌合わせが終り、急いで今日の放送の打ち合わせに取りかかる。
あっという間に放送直前になり、三人は慌てて椅子に座り直した。
カウントダウンが始まり午後五時、今日の放送スタートだ。


「みなさーん!一週間元気でしたか?今週も始まりました!『当麻的幸せの時間』。
今週は一ヶ月ぶりにこの三人が揃いましたよ!
斎藤健人と、ゆき姉です!やったねっ!
もう、みんなが首を長くして待ってたんだから。」

「いやぁ、この前の出番は電話で失礼しましたねぇ!
インフルエンザ、まだ流行ってるみたいだからみんなも気をつけてね!」
健人が二週間前のことを詫びる。

「私は、やっと健人くんの写真集の撮影が終了して、今は毎日編集作業で残業続きだよ。
忙しいOLのみんな!お互い今週も良く頑張ったよね!
一週間の疲労回復に、健人くんと当麻くんの甘〜い声をお楽しみ下さい!」
雪見はすっかりこの空気に慣れ、もういっぱしのパーソナリティーだ。

「はい!今日はこんな三人でお届けして行きたいと思います。
じゃ、今日の一曲目。
健人の復帰祝いに、ミスターチルドレンの『名もなき詩』をどうぞ。」

「サンキュ!俺の大好きな歌!」


曲に入りホッと一息つく当麻たち。
「ねぇ、今日このあとカラオケ行って練習しない?せっかく集まってんだから。」
「ごめん!私は今日も残業だから、これ終ったらすぐに戻らなきゃなんない。
二人で行って来たら?健人くんは仕事?」
「うん、俺もダメ。このあと取材入ってる。」
「なーんだ、つまんないの!」当麻が頬を膨らませた。

「じゃ、愛穂さん誘って行けば?多分今日は夕方で仕事終わりなはず。」
「いや、いいや。今日はやめとく。」
当麻の表情が気に掛った雪見。『なんだろ?ケンカでもしたのかな。』


「はい!歌終りまーす!」
その声を合図に姿勢を正す三人。でも、どことなく当麻の元気が足りない。
それに健人も気づき、さり気なく当麻をフォローする。
そうこうするうちに、今日もあっという間に三十分間が終ってしまった。

「お疲れ様でしたー!悪い!俺もう次の仕事行くね!またな。
あ!ゆき姉は仕事終ったらメールしてよ!じゃ!」
健人がマネージャーと急いでスタジオを出て行った。

雪見も、早く編集部に戻らなくてはと思うのだが、当麻の事が気になって
なかなか足がスタジオを出て行かない。
『うーん、どうしよう…。ええぃ、仕方ない!少し遅れて行くか!』

「当麻くん!一時間ならカラオケ付き合ってあげる。絶対一時間だけね。」
雪見がそう言った時の、当麻の嬉しそうな顔!

「ほんとに!?やった!じゃ、急いで準備するね!」
当麻のあまりの笑顔に雪見は、『さっきのは自分の勘違いだったのかな?』といぶかしんだ。


編集部に少し遅れる旨を連絡し、当麻と二人で街へ出かけて行った雪見。

街はまだまだ人混みの続く時間帯であった。

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.176 )
日時: 2011/06/01 16:23
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

変装したにしたって当麻は目立ちすぎた。

後ろ姿だけでラジオ局周辺をたむろしていたファンに見破られ、ぞろぞろ付いて来られて
行く予定だった近くのカラオケボックスにさえ、たどり着ける気はしなかった。
当麻はあきらめて雪見にメールする。

    近くは無理だ!
    タクシーに乗って、
    秘密の猫かふぇ行こ!
    巻いてから行くんで
    先に店入ってて。
    じゃ、あとで。

      by TOUMA


雪見は、離れた所を歩きながら当麻の様子を見ていたので、それが妥当だと
すぐに当麻に返信し、タクシーを拾って乗り込んだ。
『秘密の猫かふぇ』なら、一般の人は入れない。
しかも、周りを気にせずにいれるのが二人には好都合だった。
だが、健人も一緒だったらよかったのに…と思うと、ちょっと寂しくなる。

猫かふぇ行ってきたよ、って言ったらきっと悔しがるだろうな。
前から行きたがってたから…。
でも、今日はどうやったって無理だよね。私も七時前にはここを出なくちゃ!
そんなことを考えているうちに、猫かふぇの入っている本屋のビルに到着。
秘密のエレベーターに乗り店内へ。

金曜日の夕方はみんなここではない所へ行くのか、思ってたほど混んではいない。
しかしカラオケブースは人気があるので、果たして空いてるものなのか心配になり、
雪見は先に行って見てくることにした。

薄暗いトンネルを二つくぐると、三人の大好きなウォーターベッドのあるスペースへと出る。
そこから更に一つトンネルを抜けると、やっとカラオケブースに到着だ。
「よかったぁ!空いてた。当麻くんにメールしておこ。」
さっそく足元にやって来た子猫を膝に乗せ、カラオケブースで待ってる事を伝える。

膝に大人しく乗ってる白い子猫は、尻尾の長さこそ違うが雪見の家の
ラッキーにそっくりだ。
『ラッキー、いい子にしてるかなぁ。』
最近のラッキーはイタズラ盛りで、子守役のめめも結構手を焼いてる様子。
雪見が帰ると、『やっと帰って来てくれたぁ!』とでも言いたげな目をして
玄関先に走ってくる。
ちょっと可哀想になって、ついついおやつをあげてしまうのと、
仕事が忙しくなり、あまり運動になりそうな遊びに時間が取れない事もあって、
近頃のめめは少々メタボ気味。飼い主としては反省しなきゃ。

もう一匹、三毛猫が静かに近づいてきた。
人懐っこく足元にすり寄りゴロゴロと喉を鳴らすので、雪見は鞄から
デジカメを取り出し、久しぶりに猫の撮影会をして当麻を待つことにする。


ついつい夢中になり、はっ!と時計を見るともう六時五十分。
『いっけない!もう編集部に戻らなくちゃ!当麻くん、一体どうしちゃったの?』
雪見はもうタイムリミットであることを当麻にメールし、急いで来た通路を戻ることに。

二つめの長いトンネルに入ると、向こうの方から誰かが走って来る。
薄暗いので近くまで来て、やっとそれが当麻であることが判った。
「当麻くん!ずいぶん遅かったじゃない!悪いけど、また今度に…。」
そこまで言った時、当麻が雪見の前に走り寄って何も言わずに、
突然雪見を引き寄せ抱き締めた。

「ち、ちょっと、当麻くん!悪い冗談やめてよ!なんなの!?」
当麻は何も答えようとはしない。
それどころか、さらに強く雪見を抱き締める。
雪見は、心臓がちぎれるかと思うほど鼓動が激しくなり、頭がボーッとして
思考回路が麻痺した。『どうしたら離してくれるの?』

しばらく思うままに抱かせておくと、少しだけ当麻が身体を緩めた。
極めて冷静を装って、落ち着いた声で当麻に話しかける。
「愛穂さんと、なんかあったの?」

一瞬ビクンとした気がしたが、まだ当麻は言葉を発しない。
『完璧に遅刻だぁ!』と心の中は焦るが、当麻が雪見を離してくれる
呪文の言葉が思いつかないので、開き直ってじっくり考える。
「ケンカでもしちゃった?愛穂さん、私と同じで少し気の強いとこあるから。」
笑いながら聞いてみたが、答えそうもない。

少しして、当麻がやっと小さく何かをつぶやいた。
「えっ?なぁに?」

「どうして…。どうしてみんな健人なんだろう…。」

消え入りそうな声で言った当麻の言葉に、雪見は衝撃を受けた。
「なに?なんの事を言ってるの?どういう意味?」

「どうして俺の好きになる人はみんな、健人を好きなんだろう…。」

そう言うと当麻は、身体をやっと離して雪見を見つめた。
そのあまりにも真剣な目つきに雪見は、恐怖さえ感じ始める。
次の瞬間、当麻の顔が接近してきて、キスしようとしてるのがわかった。

「やめて!嫌いになっちゃう!」
トンネル内に雪見の声が、大きく大きく響き渡る。
そしてドン!っと当麻を壁に突き放し、雪見はトンネルの出口まで走り続けた。

最後のトンネルをくぐり抜け店を出て外に立つと、すでにそこは
ネオンの明かりで照らされた街に、変貌を遂げていた。
雪見は、とにかく編集部に戻らなくちゃとだけ考えてタクシーに乗る。
他のことは一切考えたくはなかった。
と言うか、考えてしまったら、自分がこの街からすぐにいなくなってしまう気がして
そうならないように心に蓋をした。


「済みませんでした!こんなに遅くなって。
これ、みなさんで食べて下さい!今、お茶入れますね。」
雪見は、近くのコンビニで買った色んなスイーツを机に並べ、
何事も無かったかのようにお茶を入れる。
そしてみんなと一緒にロールケーキを食べながら、
「私って、まだ何にも仕事してないのに、おやつの時間だけは外さないんだなぁ、これが!」
と言いつつみんなで大笑いをし、嫌なことから気持ちを遠ざけた。


その日の夜、雪見は一人で編集部に残り、明け方まで仕事に没頭した。

健人が別れ際、「仕事が終ったらメールしてよ!」と言っていたから、
仕事を終らせたくはなかったのだ。

健人にメールなんて、今はする気にはなれない。


完全に朝が来て、昨日のことがリセットされるなら…。

微かな希望は何一つ、叶えられはしなかった。













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