コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- アイドルな彼氏に猫パンチ@
- 日時: 2011/02/07 15:34
- 名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)
今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。
なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。
女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。
私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。
同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。
なのに なのに。
浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。
それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。
彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!
なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?
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- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.538 )
- 日時: 2014/02/28 15:44
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「今日は本当にありがとう。素敵な写真を撮ってくれて。
あなたは素晴らしい才能のフォトグラファーだわ。私をこんな風に撮せるんだから。
でも、まさかこの私が衣装室に忍び込んでまでウェディングドレス着るなんて、
考えもしなかったけどね(笑)」
今しがた撮したばかりの結婚写真を手に、ステファニーは笑いながら
雪見に小さくウインクした。
「ごめんなさいっ!本当にごめんなさい!」
「いや、雪見が悪いんじゃないんです!全部僕が言い出した事で…。」
二人を応援したいが為に思いついたサプライズだったが、酔いが醒めて冷静に考えると、
内緒でドレスを着たりスタジオ機材を使ったり、バレたら処分ものの行動だった。
「謝らなくてもいいわよ。乗っかった私達も共犯なんだから。
相当スリル満点で楽しかったわ(笑)それにね、私…二人に勇気をもらったの。
明日、みんなに結婚を報告しようと思う。」
ステファニーはアレンを見つめ、にっこりと微笑んだ。
その瞬間のアレンの顔ときたら!
「ほんとにっ!?僕が君の夫だって、名乗ってもいいの?」
「えぇ、もちろん。あなた以上の夫を探そうったって、見つかりっこないもの。
私を愛してくれて心から感謝してる。ありがとう。」
「僕の方こそ感謝してるよ。ありがとう!愛してる…。」
二人の熱い抱擁は、どんな映画のワンシーンよりも美しく、見守る雪見達の胸も熱くする。
お互いを思いやる深い愛さえあれば、年の差なんて取るに足りない事、
と教えてくれてるようだった。
「ねぇ。俺たちも早く帰ろ。」
健人が雪見の耳元で囁く。
どうやらアレン達の熱烈キスシーンを目の当たりにし、早く二人きりになりたいようだ。
クスッと笑って「そうだね。帰ろっか。」と雪見が手を繋ぐと、健人は嬉しそうに
ギュッと手を握り返した。
「じゃ、今日はこれで失礼します。またよろしくお願いします。」
雪見と健人が頭を下げ、おじゃま虫は退散とばかりにスタジオを出ようとした時だった。
「ちょっと待って!」と、またしてもステファニーに呼び止められた。
「あなたのお友達。ホンギくん…だっけ?
カメラテストしたいから、あさって連れて来てもらえるかしら。」
「えっ?あさって…ですか?稽古が終わってからになっちゃいますけど…。
発表会が近いから、多分今ぐらいの時間になるかな…。」
「あぁ、そうだったわね。あなた、ロミオをやるんだっけ。
あのアカデミーの発表会は、スター発掘の登竜門よ。
そこで主役を張るんだから、ケントは凄い役者なのね。
わかったわ。何時になってもいいから二人で来てくれる?
ケントもカメラテストに参加してね。
さっき見せてもらった写メだとビジュアル的には合格だから、あとは…そうね。
あなたとホンギくんの並びを見て、相性いいようなら前向きに採用を考えるから。」
「ほんとですかっ!?絶対いいです!俺たち、絶対相性いいです!!」
「待って待って!それだったら私が撮した写真も見て下さい!
ほらっ!このホンギくん、凄くいいでしょ?こっちも!この角度からも完璧です!
何だったら明日、私が最高の一枚を撮って来ますから見て下さいっ!」
健人と雪見の猛アピールに、ステファニーはアレンと顔を見合わせ笑ってた。
「ほんとに、あなた達って人は(笑)
私とアレンの事といいホンギくんの事といい、いつも他人のことには熱くなるのね。
自分達が『スミスソニア』のモデルに決まっても、そんな興奮しなかったくせに。」
「あ…!スミマセン…。」
その通りです、とばかりに二人がバカ正直に反応したのでステファニーは大笑い。
そしてアレンに耳打ちし何やら話し合うと、にっこり微笑んで言った。
「大方決めたわ。ホンギくんもあのアカデミーの役者なら、ケントと二人で
思う通りの世界観を表現してくれそう。
私が求めてるのは、私の頭の中にあるイメージをそのまま体現できるモデルなの。
多分あなた達なら、やってくれそう。
って、まだ一度も会ってない人をそんな風に思わせるんだから、
二人の友情には恐れ入ったわ(笑)
彼に、リラックスしてカメラテスト受けにいらっしゃい、と伝えて。
じゃ、あさって待ってるわね。お疲れ様!」
「はいっ、伝えます!ありがとうございました!
やったぁ!ゆき姉、早くホンギに連絡しなきゃ!」
「良かったねっ!健人くん。」
健人の興奮度合いから、どれほどの嬉しさなのかが伝わってくる。
大切な友のために、何かしてやりたい。
そう強く願う気持ちが人の心を動かし、思いを現実に近付けた。
あなたのそんな優しさが大好きだよ…。
「もしもし、ホンギ?ビッグニュースだよ!…え?今バイト中?
バイトなんかしてる場合じゃないって!あさっては休みますって言っとけ!
新しい仕事が決まりそうなんだから。
聞いて驚け!あさって『スミスソニア』のカメラテストを受けに行くぞ!
誰が?って、お前だよ、お・ま・え!」
タクシーに乗り込んですぐ掛けた電話の向こうで、ホンギの絶叫が聞こえる。
詳しい経緯を話す健人も興奮覚めやらずで、ルームミラー越しの運転手が眉をひそめた。
…あ。
そういや今野さん…。置いてきちゃった!てへっ。
「ただいまー!めめー!ラッキー!いい子にしてた?
遅くなってごめんね。お腹空いたでしょ。今、ご飯あげるから。」
雪見が風呂に湯を張り猫の世話をしてる間、健人は今野に詫びの電話を入れた。
今野の声も相当デカい。健人が耳からケータイを離すぐらいに。
ま、そりゃそうだ。広い社内で迷子になった揚げ句、健人らに忘れ去られて
置いてきぼりを食ったのだから。
「ほんっと、スミマセン!申し訳ない!いや、あのあと色々ありまして…。」
ペコペコ謝りながらソファーに腰掛け、事の成り行きを説明する健人が可笑しくて。
雪見はクスクス笑いながら隣りに座った。
「だって、迷子になりますよー!って止めたのに行っちゃうから(笑)」
横から茶々を入れる雪見の口を健人が手で塞ぎ、笑いを堪えてる。
長くなりそうな今野の小言時間も、雪見にとっては無駄に出来ない貴重な時間。
手を繋いだり抱き付いたり、ほっぺにチュウしたり。
こんな他愛もない幸せな夜も、あと二晩だけ…。
あさってにはまた帰国し、他の仕事をこなさなければならない。
ふと我に返る。
徐々にお互いの忙しさが加速し始めた。
母を亡くした寂しさ悲しさからは逃れられるが、健人との生活はこれでいいのか。
こんな離ればなれの生活が望みだったのか。
いや、違う。
どんな時も隣りに寄り添い、愛する人を全力でサポートしたい。
それが本心。それが望み。
だが…すでに歯車は回り出してる。
自分の意志だけでは、もはや止められない歯車が。
わかってたでしょ?
わかっていながら選んだ道…でしょ?
健人の胸に耳を押し当てながら、ドクンドクンという命の音を聞く。
この鼓動の聞こえる場所に、なるべく早く戻ってくるから。
だから私のこと、忘れないでいて…。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.539 )
- 日時: 2014/11/04 10:08
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: XvGA8KD6)
楽しい時間とは、あっという間に過ぎ去るもの。
またしても別れの朝がやって来た。
しばらく味わうことの出来ない雪見の朝食を、健人はしんみり噛みしめながら口に運んでる。
巷では、イケメン俳優斉藤健人は冷静沈着、ポーカーフェイスとの認識だろう。
確かにそれは間違ってはいない。
だが唯一雪見といる時だけは例外で、思いっきり心が顔に落書きされるのだ。
そのギャップが可笑しくもあり、自分だけに見せる顔が嬉しくもあり、でも切なくもある。
複雑な思いに歪みそうになる口元を、雪見は慌てて大きなカフェオレカップで覆い隠した。
「ねぇ…。飛行機って夕方でしょ?それまで何やってんの?」
トーストを囓りながら健人が少し不機嫌そうに、ぶっきらぼうに聞く。
自分が稽古に出掛けた後、何をしてるのか、と。
明らかに、あと40分ほどで別れの時を迎えなくてはならないことに苛立ってる。
だけど健人がそんなだから、かえって雪見は冷静な大人でいられた。
「何って…健人くんのご飯作ったりお掃除したり。
ベッドカバーのお洗濯もしたいし、めめ達とも遊んでやりたい。
次に会えるのは発表会なんだから、やっておきたいことは山ほどあるのよ。
けどバタバタしてるうちに、すぐ時間が来ちゃうよね。
飛行機に乗り遅れないようにしないと(笑)」
雪見は極力平然を装って、カラッと笑ってみせた。
ところが…。
「いっそ乗り遅れちゃえば?」
「えっ…?」
健人はニコリともせず真顔で言った。
帰るな、とは言えない。仕事をするということの責任だって充分知ってる。
だからこれぐらいの冗談言わせてよ…。
そんな悲しげな目をしてた。
よく似た目を何度も見たことがある。そう、公園で。
箱の中から、すがるような目で見上げる子猫の瞳…。
捨てられた子猫に見つめられたら私、素通り出来ないって知ってるでしょ?
そんな目で見ないで。いや…わざとじゃないよね。
あなたはきっと猫の化身だもの。私が抱き上げるに決まってる…。
「…よし。じゃあ…決めたっ!」
「えっ?マジで飛行機、乗り遅れんの?」
「まっさかぁ!それは無理でしょ。
また今野さんをすっぽかしたら、頭に血が上って倒れちゃう(笑)
そうじゃなくって。時間までね、健人くんのお稽古でも見てよっかなーって。」
「うそっ!?ほんとに?ほんとに見に来てくれんの?」
「健人くんが嫌じゃなかったら。
その代わり、お家のことは何にも出来ないけどいい?」
「後のことは俺がやるから大丈夫!
やっべ!もうこんな時間!ゆき姉も早く準備して。」
一瞬で変わった健人の嬉しそうな顔ときたら。その笑顔にはかなわない。
そこまで私を好きでいてくれて、ありがとね。
さぁ私も急いで支度しよう。
久々に二人で乗った地下鉄の始発。
ドアの横に手を繋いでしっかりと立ち、止まってはくれない時間を惜しむように
見つめ合ったり触れ合ったり、会話の合間にキスをする。
ありふれた光景の一部に溶け込むと、ちっとも恥ずかしくないから不思議だ。
「ここが日本じゃなくて良かったね。今の私達、よく考えたらあり得ないよ。」
健人に守られるようにして腕の中にいる雪見が、笑いながら顔を見上げる。
「日本の地下鉄でも、間違ってキスしたりして。」
雪見にコツンとおでこを付けた健人は、イタズラな顔して素早くキスした。
「超人気俳優の斉藤健人さんは、日本で地下鉄になんか乗らないでしょ(笑)」
「今度二人で乗ってみる?」
「やめとく(笑)」
くだらない話に二人で笑ったあと、また軽くキスをする。なんて幸せな時間。
彼が日本の人気俳優だなんて、誰も気付いてないだろう。今はそれが有難い。
だけどいつかは、この地下鉄さえも乗れなくなる俳優になりたい。
彼はそう思ってるはず。目指すのは世界だから。
きっと…いや必ず実現するよ。私がそうさせてみせる。
一番乗りの教室…と思って、二人ラブラブモードのままドアを開けた。
が、「ユキミ〜!」とすっ飛んで来たホンギに勢いよく抱き付かれ、
思わずよろけてしまった。
「ちょっ、ホンギくんっ!ビックリしたぁ!どーしたの?」
「おーいっ!朝っぱらから俺に喧嘩売ってんの?(笑)」
「今どき日本人だってハグすんだろ?俺に感謝の気持ちくらい伝えさせてよ。
ゆき姉が俺のために一生懸命やってくれたって聞いたから…。
どうしても直接お礼が言いたかったんだ。
今日会えると思わなかった。嬉しい…。ゆき姉…ありがと…。」
ホンギの目がみるみる潤み、彼はそれを隠すように深く頭を垂れたが、
ポトポトと落ちる涙ですぐ床を濡らした。
まさか泣き出すとは思わなかった健人と雪見は、突然の事にビックリ。
だが、ホンギの涙の向こうにある思いをよく知ってるので、二人の瞳も潤んだ。
「やだ、ホンギくん泣かないでよぉ!私まで泣けてくるじゃない。
私なんて、ただカメラマンをしただけ。
ホンギくんを一生懸命売り込んだのは、健人くんなんだから。
健人くんがここまでこぎ着けたんだよ。」
「…えっ?そうなの?」
ホンギの様子を見ればわかる。
健人は、自分がやったとは言わなかったのだろう。
どんなに自分が手柄を立てたとしても、誰かのために尽力したとしても
決して彼は、それをひけらかしたりはしない。そういう人だ。
「ケントぉ〜!大好きだぁ!!」
今度は健人にガシッと抱き付き、ホンギがほっぺにチューをした。
「お、おいっ!頼むからやめて(笑)
まだ決まったわけじゃないよ。今日のカメラテストと面接次第。
ここから先は、自分の力で勝ち取れよ。」
「うん、絶対に取ってみせる!
そしたら俺たち、三人でCMとか世界中に流れちゃったりする?
うわっ、ヤバイー!どーしよー!!」
ホンギのテンションを二人で笑ってるところへ、バタンとドアが開いた。
「なぁに?三人でCMって。何か楽しい事でもあるのかしら。
あら、ユキミ。まだこっちに居たのね。」
「ローラっ!」
しまったと思った。一番聞かれちゃまずい人に聞かれてしまった。
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.540 )
- 日時: 2014/03/05 10:53
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
「あぁ…おはよう。今日は早いんだね。」
健人がさりげなく前へ出て、雪見の盾になる。
ローラは、どんな口撃を仕掛けてくるかわからない微笑みの刺客。
それを知ってるホンギと雪見も心を身構えた。
「ケントと車で来ようと思ってたのに、さっさと行っちゃうんだもの。
それにしてもさっきの地下鉄での、あれは何?
もうちょっとアカデミー生としての自覚を持って欲しいわ。」
「見てたのっ!?」
「ストーカーかよ…。」
雪見が耳まで赤くしてる隣で、ホンギがボソッと呟く。
それをローラはキッと睨み付けた。
「あなた達、ここの発表会がどんな場なのか、まだ理解が足りないようね。
いいわ、もう一度教えてあげる。アカデミー生としての品格もね。」
ローラは腕組みしながら三人に、こんこんと説教をし始めた。
これまで多くの名優を生み出したこのアカデミーの発表会は、今や業界関係者が
こぞって押し掛ける新人スカウトの場。
しかも無料で誰でも見られるとあって一般人も多く詰めかけ、ここから生まれるであろう
未来のスター達に目を凝らす。
と言うことは、キャストが発表になった時点でアカデミー生は周りから注目されていて、
どこで誰に見られているかわからないのだ。
クラスメート達も、舞台を成功させるため一丸となって取り組む一方、
お互いが紛れもないライバル。
どんな端役だろうとスカウトの目に留まるべく努力をするし、隙をついて
ライバルを蹴落とし、前へ出ようとする者だっている。
すでに激しい生き残り競争は始まってるのだ!
…というような事を興奮気味に、一気にまくし立てられた。
「ケントもこの国でデビューしようと思うなら、自分が無名の新人なんて意識は捨てるべきよ。
あなたは主役の座を与えられた時点で、片手にチケットを握り締めてるの。
それを余計なことで破り捨てるような、バカな真似はしないでちょうだい。」
「馬鹿な…真似?」
健人は無表情にローラを見据えた。
「そうよ、バカな真似。大体ロジャーヒューテックの娘が相手役なのよ?
どれほどの人達が、あなたと私に注目してると思うの。
このまま行けば確実にデビュー…」
「デビュー?何それ。どういうこと?」
ローラの『しまった!』という顔を健人は見逃さなかった。
それと同時に、なぜ留学したばかりの自分が主役に選ばれたのかという違和感が
スッと消えた気がした。
そーいうことか…。
「と、とにかく…。
こっちでもデビューしたいなら、細心の注意を払いなさいってこと!
パートナーは、もっと気配り出来る人に替えたら?」
「なにぃ〜い!?もう一度言ってみろっ!今度ゆき姉を侮辱したら俺がぶっ飛ばす!」
健人よりも先に凄い剣幕で怒ったのはホンギである。
色白な顔は見る見る間にピンクに染まり、頭のテッペンから湯気が見えるよう。
「ふん、野蛮な貧乏人の遠吠えなんか耳にも入らないわ(笑)
あー、車の中でモーニングコーヒー飲もうと思ってたのに、地下鉄乗ったお陰で
飲みそびれちゃった。
カフェテリア行ってこようっと。」
ローラがバタンとドアから出て行った。
その途端、雪見の瞳からは大粒の涙がポロポロと…。
「わぁ〜ゆき姉、泣かないで!なんっでケントも言い返さなかったんだよぅ!
くっそー!あの女、ロジャーの娘だろうと何だろうと許さないっ!
俺が貧乏なのはホントだから許してやるが、ゆき姉やケントを
侮辱するまねだけは絶対に許さんっ!!」
「ごめん。俺が悪かった…。」
健人はそれだけ言うと雪見を引き寄せ、ギュッと力強く抱き締めた。
「私こそ…ごめん…。健人くんの足を引っ張ってばかり…。
ほんとは守ってあげなきゃいけないのに…。」
悲しくて泣いてるわけではない。
言い返さなかった健人が、どれほどの胸の内だったか…。
それを思うだけで涙が出て、不甲斐ない自分にも腹が立って…。
ローラの言う通り…なのかな…。
とその時、遠くの方からワイワイと楽しそうな声が聞こえてきた。
「ヤバッ!もうみんなが来る時間だ!ゆき姉、早く涙を拭いて。ケントも笑顔笑顔!
ねぇ、ところでずっと聞きたかったんだけど。
地下鉄でのアレって…なに?ナニしたの?」
ニヤリといやらしい顔でホンギが健人の顔を覗き込む。
「ナニってなんだよっ!ただのキスっ!いっぱいチューしただけ!
そんなもん、ここじゃフツーだろ?しっかし今頃になって無性に腹立つわぁ!」
「いいな。俺しばらく…ない。
でもさ、あいつが一人で喋りまくってくれたお陰で『スミスソニア』の話は忘れ…。」
「シィーッ!また誰かに聞かれるとまずいから、その話は止めとこ。
とにかく今日は絶対に頑張れ!いいな?」
「任せときぃ!必ずビンボーから脱出して、あの偉そうな女をギャフンと言わせてやる!
てか…ギャフンってどーゆー意味?」
「お前さんも無駄に日本語、知りすぎ(笑)」
やっと三人の間に笑いが起こった。
そこへクラスメート達が続々と「おはよー♪」と入ってきて、雪見を見つけ
嬉しそうに抱き付いた。
「わぉ♪ユキミだぁ〜!元気だった?今回はいつまで居れるの?」
「え?夕方帰っちゃうの?つまんなーい!せっかく会えたのに。
今日の衣装着たリハ、ユキミに写真撮って欲しかったなぁ!」
「え?うそ!?今日衣装着てのお稽古なの?わー撮りたい撮りたいっ!
健人くん何時から始まるの?お昼までなら撮れるよね?飛行機間に合うよね?
キャーッ!先生に撮影許可もらってこよーっと!」
今にもスキップしそうな勢いで、雪見が教室から飛び出して行った。
健人とホンギは顔を見合わせ、相変わらず猫の目のようにクルクル変わる雪見のご機嫌に
クククッと笑いながら安堵した。
さぁ、俺たちもウォーミングアップを始めよう!
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.541 )
- 日時: 2014/03/19 23:35
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
衣装を着ての初めての通し稽古は、みんなの沸き立つ気持ちと心地良い緊張感、
真剣な眼差しの中で行われた。
舞台上の健人、ホンギ、ローラも、客席側からカメラを構える雪見も、
すでに先程の揉め事など頭の片隅にもない。
それぞれが真剣勝負に挑むプロの顔つきで、ひとつの世界に入り込んでた。
さすが名門と呼ばれる所の研究生クラス。
すでにハリウッドで活躍するスター達のように、皆が光り輝いてる。
その中でもひときわ輝く別格の星。それが健人と…ローラだった。
主役に成るべくしてなった二人と雪見は思う。周りとはオーラがまるで違った。
『健人くんのロミオ、メッチャ可愛いっ!それにセリフが胸にキュンキュンくるよ。
いつの間に、こんなネイティブな英語が話せるようになったの?
ちゃーんと心に響いてる。大丈夫だね。これなら大丈夫…。』
久々に夢中になってシャッターを切り続ける。
健人は勿論のこと、キャスト一人一人の一番輝く瞬間を逃さずに。
撮しながら、このアカデミーに来た初日の健人を思い出してた。
英会話に自信が無くて、私を不安げに見ながら事務員さんと話してたっけ。
終わったあと「良く出来ました♪」って褒めてあげたら、健人くん子供みたいに
廊下を飛び跳ねてはしゃいで…。
ロミオに選ばれてからも、英語でのお芝居に感情を上手く乗せられるのか、
ずっと心配してたんだよね。
それが今はこんなに堂々と、自信に満ち溢れた瞳で…。
そう思うとこみ上げてくるものがあり、ファインダー越しの健人が徐々にぼやける。
ぼやけた健人はなぜかとても遠くに見えて、駆け寄ろうとしても辿り着けない
蜃気楼に思えた。
そして健人と同じ画面に写るローラの存在は、何もかもがそこでは圧倒的で、
名優である父の血を脈々と受け継ぎながらも、二世俳優と呼ばれる事を許さない
気位と自信に満ちている。
その上、なんと可憐で可愛いジュリエットだろう。
声もいい。良く通る澄んだ声。
舞台上のローラは、万人を引きつける魅惑に溢れてた。
二人とも…もうすぐきっと世界に飛び出すんだ…。
五感が鮮明にそう感じ取る。景色までもが瞼のすぐ手前に浮かんでた。
舞台の幕が下り、大勢のマスコミやスカウトに取り囲まれ称賛を浴びる二人。
健人は瞬く間に世界のケントになり、近寄ることもままならなくなる自分…。
繰り返し見る悪夢のような幻想。
だが今は、幸か不幸か簡単にそこから抜け出すことが出来た。
目前で繰り広げられるロミオとジュリエットの甘いキス、キス、キス。
実際は離れた場所から望遠レンズで覗いてるのだが、愛し合う二人だけが
余計に瞳の中にクローズアップされる。
すると、幻想よりもタチの悪い感情に新たに支配された。
だめだ…。私、どうしちゃったんだろ。
健人くんが一生懸命お芝居してるのに、観てられないや…。
キスシーンなんて、今までだって何度もあったのに。
俳優斉藤健人のキスシーンは、誰よりも綺麗で美しいのに…。
二人の芝居が上手すぎるゆえ、それが現存する恋かと錯覚してしまう。
多分観客もロミオとジュリエットの恋に引き込まれ、胸を熱くし涙するだろう。
そして舞台は大成功を納めるはず。
なのに雪見は、健人とローラが交わす情熱的な口づけを冷静には観ていられなかった。
『こんなんじゃこの先、健人くんの奥さんなんて務まらないじゃないの。
しっかりしなさいよ、雪見っ!』
心に渇を入れてみたものの、どうやっても軌道修正が出来ない。
幼稚な自分に失望し、カメラを下ろして健人から視線を外す。
そしてぼんやりと、舞台上のホンギを眺めてた。すると…。
…あれっ?ホンギくんのお芝居…なんか凄くいい。
あんなにキラキラな目、してたっけ?いつもはどこか寂しげな子犬みたいなのに。
あ…そっか!この後『スミスソニア』のカメラテストあるから気合い入ってんだ。
そーだよね。この発表会も『スミスソニア』も、どっちも人生変わる
ビッグチャンスなんだもん…。
よーし…。私も最後まで後押ししてあげなくちゃ。絶対ホンギくんを合格させてみせる!
そう思った瞬間、雪見のスイッチはカチッと切り替わった。
再びプロカメラマンの鋭い視線が蘇り、一枚でも多くとシャッターを切り続ける。
健人…ではなくホンギ一人を被写体にして。
完全なる現実逃避とは気付かぬふりして…。
集中すると時間が過ぎ去るのはアッという間。気付けばもうこんな時間。
ちょうどお昼の休憩に入り、健人とホンギが満ち足りた顔で舞台を降り
雪見の元へとやって来る。
「お疲れ様!凄くいいお芝居だったよ。本番が楽しみだねっ。」
雪見にそう言ってもらえたことが嬉しくて、健人は顔をクシャクシャにして笑ってる。
「ほんとに?だったら良かった!あーメッチャ腹減ったから早くメシ行こ。
ゆき姉も一緒に食う時間くらいあるよね?今日は何にしよっかなー。」
機嫌良く歩き出した健人を止めるのは心が痛んだ。
「あ…ごめん。私もう行かなくちゃ。」
「えっ?もう…行くの?あとは荷物取りに戻って真っ直ぐ空港行くだけでしょ?
昼飯ぐらい一緒に食えると思ってたのに…。なーんだ。」
苦笑いで隠した健人の寂しげな瞳。
あなたのその憂い色の瞳は、私が負わせた擦り傷で出来てるのかも知れないね…。
「ごめんね。発表会は必ず観に来るから。それまで風邪引かないように気をつけて。
ホンギくんも頑張ってね。あなたなら絶対に大丈夫!自信持って。」
まだ周りに人が居たのでカメラテストを、とは言わなかった。
でもホンギはちゃんとわかってくれて「ありがと。頑張るよ。」と優しく雪見にハグをした。
ホンギから離れた後、健人と最後の抱擁を交わす。
ギュッとお互いを強く抱き締め、次に会うまでの愛を約束し合ったのだが、
最後の最後に健人が放った一言に激痛が走った。
まるで、隠し持ってたナイフで背中をひと突きされたかのように…。
「お母さんによろしくね。」
- Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.542 )
- 日時: 2014/04/04 11:14
- 名前: め〜にゃん ◆qUW4buJWjM (ID: nVQa3qMq)
今朝、二人笑いながら歩いて来た道を、今は一人、胸の痛みに耐えながら歩いてる。
地下鉄駅までのわずかな道のりが、果てしない距離に思えるほど足取りは重かった。
しばらく見ぬフリして放り投げてたものを、健人が拾って目の前に差し出した。
『母が死んだ』という事実を、ではない。
『健人が母の死をまだ知らない』という現実をである。
耳の奥に住み着いた「お母さんによろしくね。」という優しくも恐ろしい声。
それらは何かで無理矢理掻き出さなければ、消えてくれそうもなかった。
ふぅぅ…。よしっ。急いで帰ろう。
追いかけてくるものを振り切るように、速度を上げて歩き出した雪見は
地下鉄に飛び乗り、アパートメントへと戻ってきた。
すぐにめめとラッキーがやって来て、甘えるように足元に絡みつく。
犬や猫は、自分が置いて行かれる状況を感じ取ることが出来るのだ。
「ごめんね。遊んであげたいけど時間が無いの。
急いでお仕事して空港行かなくちゃ。おやつあげるからおいで。」
猫用のおやつを少量与えてから、まずはキッチンに駆け込む。
忙しい店のシェフ並みのスピードで肉や野菜を切り、鍋に放り込んで火にかけると
今度はバタバタとリビングへ戻りパソコンを開いた。
そこからは真剣勝負。
先程撮した写真すべてに目を通し、編集して即席のグラビアページを作る。
合間に鍋の仕上げもしてタイムリミットギリギリまで作業を続け、何とか2ヶ所に送信完了!
「はぁぁ、間に合った…。」
しばし放心状態で天井を見上げる。
『私がしてあげられる事はこんなことぐらい。けど少しでも役に立てたらいいな。
あとはホンギくんが頑張るんだよ。絶対勝ち取ってね…。』
まだ稽古中であろうホンギに、強く念を送る。
その頃には波打ってた心も落ち着き、楽になってる事に気付いた。
『やっぱり写真の仕事が私の天職だなぁ。撮される方じゃなくて撮す方だけどね。』
世界ブランドのモデルとして撮される側に回ったばかりなのに、今更そんなことを
再確認してる自分に苦笑い。
が、ふと壁の時計を見て大慌てした。
「ヤバっ!もうこんな時間!?急がなくちゃ!!」
全速力でダイニングテーブルにシチュー皿とスプーン、ワイングラスを並べ、
パンを乗せた皿にはラップを掛ける。
散らかった物を手早く片付け火の元を確認し、猫の頭を再び撫で、トランクを持って
慌ただしく玄関を飛び出した。
バイバイ、またね。
部屋に心を残したまま、エレベーターで一階へと降りる。
『もっと、ご馳走作っておいてあげたかったな…。
バタバタ出て来ちゃったから、なんか忘れ物してる気がする。
…あ!お風呂の用意してこなかったぁ!
はぁぁ…。本当に今日帰らないと…ダメ?
明日の一便で帰っちゃ…ダメなんだよね、やっぱり。はぁぁ…。』
溜め息をつきながらエレベーターを降りる。
と、そこには、空港で落ち合うはずの今野が待ち構えてるではないか。
「もう待ちぼうけはご免だからな。」
「今野さんっ!」
ほんの数秒前に考えたことが読まれたと思ってビックリ!
「なに慌ててんだ?まさか…本当に俺を巻くつもりだったんじゃねーよな?
荷物はこれだけか?よしっ、じゃあ帰るぞ。日本でみんなが待ってる。」
「みんな…ですか。」
トランクを持って歩き出した今野の背中に、雪見が聞き返す。
その瞳はきっと少し悲しげだったのだろう。
だからこそ今野は雪見の目を見据え、強い口調で念押ししたのだ。
「そう。みんなだ。」と…。
今野はいつも、すべてをお見通し。
健人に対する雪見の思いも、健人を見てきてよく知ってる、歯車の中心であることの
責任や重圧も。
そのすべてをわかった上で、あえて淡々と『お前も歯車の中心になったんだ。
自覚しろ。』と無言で諭し背中を押す。
そうだった…。
今野さんは私のために、役職を蹴ってまで現場に復帰してくれたんだ。
今野さんだけじゃない。他にも多くの人達が、私なんかのために動いてくれてる。
やるしかない…。逃げるわけにはいかないんだ。
関わるみんなが恥ずかしくない仕事をしなきゃ。
全力で力を貸してくれる人達に、全力で答えなきゃ…。
健人くんが誇れる人になりたい。
自信を持てる自分になりたい。
がむしゃらに仕事したら、少しは不安が遠くへ行ってくれるかな…。
忙しく仕事することで現実逃避しようとしてる自分を、もう一人の自分が
醒めた目で眺めてた。
私の行く先は、神のみぞ知る…。
相変わらず雑多な人種で混みあうケネディ国際空港。
すべての手続きを済ませ、後は搭乗案内を待つばかり。
ホッとして椅子に腰掛けたら大事な事を思い出した。
そうだっ!健人くんにメールしなくっちゃ!
その頃、アカデミーでは通し稽古が早めに終わり、それぞれがストレッチしたり
談笑したりして一日の疲れをほぐしてる最中だった。
と、そこへ事務員さんがやって来て、何やら先生に手渡しながら二言三言。
「まぁ!なんて素敵なプレゼントなの!
すぐユキミに、お礼のメールを入れといてくれる?お願いね。」
ユキミという名前が耳に飛び込んで、健人とホンギは顔を見合わせた。
一体なんだろ?
「みんなー!ちょっと聞いて。ユキミから素敵なプレゼントが届いたわよ。
さっき撮した写真を、彼女がメールで送ってくれたの。
それを焼いたら、素晴らしい写真集が出来上がったわ。
ここに置いておくから、みんなで見てちょうだい。」
ワォ♪という歓声が上がり、写真集を置いたテーブル周りに人垣が出来た。
みんなが自分の写真を見つけてはキャーキャー言ってる。
その興奮度合いを見ただけでも、写真がいかに素晴らしいものかが良くわかる。
健人も早く見てみたかったが、人の間に割って入るようなことは得意じゃない。
みんなが見終わるのを後ろでジッと待ってるつもりだった。
が…。
「ちょっとぉ!まずはケントに見せてやってよー!」
ホンギがいきなり健人の腕をガシッと掴む。
「いいんだってば!」と言う健人の声も無視して、写真集の真ん前まで連れて行かれた。
「ゴメンゴメン!ケントも早く見てみろよ。ユキミ、凄い写真を撮ってくれてたよ!」
「私、ハリウッド一の女優に見えるぅ〜♪」
「この写真、引き伸ばして飾っておきたーい!」
「今年のパンフ、もうこれでいいんじゃない?てゆーか、これがいい!」
「賛成!賛成!!」
みんなが大騒ぎしてる中、健人もそっとページを開いてみる。
途端、目に飛び込んできた自分の写真に心奪われた。
「これ…って…。」
自分の写真だけではない。
ほんの一瞬を切り取ったに過ぎないのに、どの写真からもキャスト一人一人の
魅力と情熱がほとばしり、見てるだけで胸が高鳴る。
と同時にカメラマンとしての高い才能を改めて思い知らされ、何故だか涙がポロッと落ちた。
嬉しさの成分だけではない、複雑な成分で出来てる涙が。
誰にも気付かれないうちに指先で頬を拭ってたら、隣のホンギが鼻水をすすり出した。
「ケントぉ…。俺って、こんななんだね。めちゃくちゃ嬉しいや…。
みんなもスゲェ役者に見えるじゃねーか、こんちくしょう!」
そう言いながら、ついにオイオイ泣き出したので健人もみんなも慌てた。
だが誰もがホンギと同じ思いでいる。
「そうだな…。俺らはもっと自信持っていいのかも知れない…。
よしっ!本番までに更に進化しようぜ!みんなでハリウッドデビューするぞー!!」
「OK!」
みんなが盛り上がってるところへ、また先生がやって来た。
「ケントにお願いがあるの。
今年のパンフレットにこの写真を使えるよう、ユキミに頼んでもらえないかしら。
あ、もちろんアカデミーから正式な仕事の依頼よ。」
ヤッター!とみんながはしゃいでるところへ、健人のケータイをブルルと鳴らす者がいた。
グッドタイミング♪ ゆき姉だっ!
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