コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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アイドルな彼氏に猫パンチ@
日時: 2011/02/07 15:34
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

今どき 年下の彼氏なんて
珍しくもなんともないだろう。

なんせ世の中、右も左も
草食男子で溢れかえってる このご時世。

女の方がグイグイ腕を引っ張って
「ほら、私についておいで!」ぐらいの勢いがなくちゃ
彼氏のひとりも できやしない。


私も34のこの年まで
恋の一つや二つ、三つや四つはしてきたつもりだが
いつも年上男に惚れていた。

同い年や年下男なんて、コドモみたいで対象外。

なのに なのに。


浅香雪見 34才。
職業 フリーカメラマン。
生まれて初めて 年下の男と付き合う。
それも 何を血迷ったか、一回りも年下の男。

それだけでも十分に、私的には恥ずかしくて
デートもコソコソしたいのだが
それとは別に コソコソしなければならない理由がある。


彼氏、斎藤健人 22才。
職業 どういうわけか、今をときめくアイドル俳優!

なーんで、こんなめんどくさい恋愛 しちゃったんだろ?


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Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.61 )
日時: 2011/03/27 08:23
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

雪見は、写真集も読み疲れたので本を閉じ、
そっとまたベッドの上に上がって、健人の隣りに寝そべった。
健人の足元には、さっきの黒猫が丸くなって寝ている。

気持ちよさそうに熟睡している健人の寝顔を、じっと見てみる。

前にも思ったことがあるけれど、ギリシャ彫刻のように
美しい寝顔であった。


『寝ててもこんなに綺麗な顔の人って、ほんとにいるんだ。
やっぱり俳優さんって、360度どこから見ても整ってなくちゃ
ダメなんだろうなぁ。
だって、健人くんに変に見える角度なんてある?』

雪見は色々見る方向を変えて、健人を眺めてみた。
だが、どの角度から見ても、健人の顔は完璧であった。


『あ!そうだ!写真集用に寝顔撮しちゃお!
今まで、目を閉じてる寝顔風の写真はあっただろうけど
本物の寝顔なんて、まだ誰も撮してないよね!

ファンのみんな!お宝写真見せてあげるからね!
クリスマスを楽しみにしててよ!』


心の中で全国の斎藤健人ファンに声をかけ
雪見は、健人を起こさないようにそっとベッドを降りた。

端に置いてあったカメラバッグの中からカメラを取り出して
少し離れた場所から、健人の寝顔を狙う。
場所が特定されないように背景に気をつけて、
一枚シャッターを切ってみた。

「カシャッ!」  

静寂の中では、一眼レフカメラのシャッター音はかなり大きい。
一瞬、健人がうーんと言いながら寝返りを打った。


『やばっ!起こしちゃったら大変!やっぱりデジカメにしとこうか。
それに照明がかなり暗いなぁ。なんとか明かりを採らないと。』

雪見はカメラを一眼レフからデジカメに持ち替え
更にベッドサイドの電気スタンドを移動させて、
健人の顔に影ができないように気を配った。

「カシャッ!カシャッ!」


『お、いい感じ!そのままそのまま!まだ起きないでね、健人くん!』

シャッターを切りながら、健人の寝顔に惚れ惚れしていた。
なんて綺麗なんだろ!いつまでもずっと眺めていたくなる。

雪見はカメラを下ろし、またジッと健人の顔を見つめた。


『あれ?真由子は健人くんのほくろは五つだって言ってたけど、
ここにも薄いの、みーっけた!
好きだなぁ、健人くんのほくろ。これが無かったら、魅力半減だな。』

小さく独り言を言いながら、雪見は健人の顔のほくろを
指でそっと隠してみた。

右眼の下と唇の上に二つ。それから左の頬と…。
四つ目のほくろを指で隠したその時!
健人がパッチリと大きな目を見開いて、目の前の雪見を見た。


「なに、人の顔で遊んでんの!」

「あ!ごめん!起こしちゃった?」

「そりゃ、耳元でホクロがどーのこーの言われて、顔を指で押されたら
いくら何でもそりゃ起きるでしょ!で、ホクロがどうしたって?」

健人が上半身を起こし、雪見に聞いた。
黒猫はまだ足元で寝ている。


「いやぁ、健人くんのほくろ、好きだなぁーと思って。
顔の中で一番好きかも。」

「ええーっ!ほくろが一番って、そりゃないでしょ?
俺的には六コも無くていいんだけど…。」

「いいや、全部無くちゃダメ!一個でも欠けたら斎藤健人じゃない!」

「そんな、大げさな!でも、まぁいいや。ゆき姉が好きならそれで。
俺も好きだよ、ゆき姉の左目の下にあるほくろ。
きっと、泣きぼくろだと思うけど、最近威力を発揮してるよね!」

そう言いながら、健人が雪見の眼下のほくろを指で押す。


「ほんとだね。昔っからあるのに最近だよ、威力を見せ出したのは。
色んなことに関して、心の琴線に触れるとすぐポロッときちゃう!
だから映画なんて行ったら大変よ。顔がボロボロになる!
健人くんとは行かないからね、映画!」

「えーっ!今度ゆき姉と二人で、見たいと思ったのがあるのに!」

「そーいうのはDVDになってからにして!
そしたらあたしんちで、お酒でも飲みながらゆっくり見よう。」

「ほんと?絶対?約束だからね!やった!今から楽しみぃ!」

健人は子供のようにはしゃいでいた。それはそれは嬉しそうに…。


「ねぇ、そろそろお腹空かない?ご飯食べに行こうか。」

「今、何時?え?もう七時になるの?どーりでお腹ペコペコなはずだ!
じゃ、『どんべい』に行こう!」

「え、また?今日は餃子が食べたかったんじゃないの?」

「いや、予定変更!さっきのグラビア撮影の時、俺、このゆき姉を
『どんべい』のマスターにも見せてやりたい!って思ってたのを
いま思い出した!
絶対、マスターびっくりするって!今日しか見せらんないから
今日は『どんべい』の日!」

「優柔不断な健人くんにしてはめずらしい、速攻攻撃だね。
えーっ、でも絶対マスターに笑われる自信ある!
普段の私を知ってるだけに、なんだか恥ずかしいな。」

雪見が肩をすくめながら、健人の方を見る。


「いいや、絶対見せたい!俺が最高に可愛いって思うんだから、
マスターも『可愛いッ!』って叫ぶに決まってる!」

「いや、甘い甘い!その前に『どうしちゃったの?雪見ちゃん!』
って言うに決まってる!もう、見えてるもん、マスターの顔が。」

「じゃ、なんて言うか行ってみよう!腹減って死にそうだから。」

「あんまり気が進まないけど、この二人でどっか違うとこは無理だね。
仕方ない!マスターに笑われに行くとするか!」


健人と雪見は、まだ寝ている黒猫の子供を起こさないように
そっとベッドを降り、来た通路を静かに戻って行った。
また会いに来るからね!と、子猫に小声で言い残して…。


またひとつ、健人との大事な場所が増えた。

そんな温かい気持ちで雪見は、『秘密の猫かふぇ』が入るビルを
立ち止まって振り返り、健人に「また絶対来ようね!」と約束して
タクシーに乗り込んだ。


「今度、あそこの猫ちゃんの写真集作ろうかな?
みんな捨て猫だったってとこが、気持ちに響いて…。
あの子たちは辛い体験のあとに、幸せが待ってたんだね。
それにしても、あんな凄いカフェ思いついて作った大物芸能人って
一体誰なんだろ?会ってお礼が言いたいくらい!」

「ほんとだね。俺は当麻に感謝してるよ。
当麻に聞かなかったら、あんな秘密組織みたいなとこ、
一生知らないで過ごしてたと思うもん。」

「そうだね。私も当麻くんに感謝だ!
今度会ったら、私の分もお礼言っといてね。」


二人は幸せな時間の余韻に浸りながら、タクシーの中で寄り添った。

今日一日の目まぐるしかった出来事を振り返りながら…。





Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.62 )
日時: 2011/03/28 11:57
名前: め〜にゃん (ID: AO7OXeJ5)

『どんべい』の入り口前。

いつもなら何も考えずに、いい匂いにつられて駆け込む雪見だが
今日は足がなかなか店内へと、進んではくれなかった。


「ゆき姉!こんなとこに突っ立ってたら、俺、誰かに見つかるって!
早く入ってよ!」

大きなマスクに眼鏡姿の健人が、雪見をせかす。


「やっぱり今日はやめとかない?だって健人くん、今週ここ何回目?
もうそろそろ飽きてきたでしょ?違う店にした方が…。」

「いいから、つべこべ言わずに入んなさいって!
俺が一番に可愛いゆき姉だって言ってんのに、
もしマスターがなんか言ったら、俺が怒ってやるから!
腹減って死にそうだから、もうどこにも動けないよ!
さ、入って入って!」

健人に手を引っ張られて、雪見は重い足取りで店の暖簾をくぐった。


こんな女の子チックな服着てる私を見て、マスターは何と言うだろう。
いつもジーンズかパンツばかりで、スカートなんて
冠婚葬祭ぐらいにしか今は履かない。
そんな私がワンピースにペチコートなんて…。

ていうか、33歳の私がこんなかっこしても罪ではないのか?

撮影の時はみんなに乗せられて、その気になってしまったが
今、真由子にばったり会ったとしたら彼女はなんて言うだろう。

しかも、お化粧だっていつもと全く違う。
ワンピースに合わせて、ふんわりとした少女っぽいお化粧だ。
そのお陰で、健人との見た目年齢がぐっと縮まったことは確かである。

何が嬉しいって、綺麗だの可愛いだの、そんな褒め言葉よりも何よりも
健人と年が近く見えること、つまりは若く見えることが
雪見は一番嬉しかった。


マスターの反応に怯えながらも、雪見は健人に連れられて
おずおずとマスターの立つカウンター前までやって来た。

「マスター!また来たよ!」健人が先に声をかけた。
開店直後だけあって、まだカウンター席には誰も座ってはいなかった。


「おう、健人くん!いらっしゃい!
おとついは雪見ちゃんを怒ってやったかい?約束をすっぽかすなんて。
あ…、今日は初めてのお友達を連れてきてくれたんだ…。
雪見ちゃんには内緒かなぁ?」

マスターが健人に向かって小声でささやいた。


健人と雪見が思わず顔を見合わせる。
そして一瞬の間を置いて、二人で大爆笑!


「マスター!そう来る?マジで?めっちゃウケるんだけど!」

健人がお腹を抱えて笑ってる理由が、マスターには理解できなかった。


「健人くん!怒ってくれるって言ったじゃない!
一番うけてんのは健人くんでしょ?ほんとにもう!!」

「ごめんごめん!だってわからないなんて事、想像してなかったから!
そこまでいつもと違うかなぁ?まぁ、めっちゃ可愛いのは可愛いけど。
マスター!これ、ゆき姉なんだけど!わかんなかった?」

「ええっ!?雪見ちゃん?!雪見ちゃんなの?
いやぁ、声は似てたんだけど雰囲気が別人だったから、
またてっきり健人くんが違うお友達でも連れて来たのかと思って、
内心ヒヤヒヤもんだったんだぜ!早く言ってくれよ!」

マスターは目をひん剥いて、雪見を凝視した。


「早く言ってくれはないでしょ!こっちこそ、早く気づいてよ!
ひっどいなぁー、マスター!私、何年ここ通ってると思ってんの?
だから今日はここに来たくなかったのに、
健人くんがどうしてもマスターに見せたい!って言うから…。
グラビア撮影の後だからこんな格好だけど、今日だけだからね!」

「なーんだ、そういうこと!おじさんをからかわないでよ!」

「誰もからかってなんか、いないでしょ!!
もういい!マスター、早くビール持ってきて!」

雪見はプンプンしながら、一人でさっさといつもの小上がりに
消えてった。


「健人くん。俺、なんかまずかった?
いや、めちゃくちゃ可愛い人を健人くんが連れて来ちゃった!
って思って、焦ってよく顔を見れなかったもんだから…。
絶対雪見ちゃん、怒ってるよね。健人くん、上手くなだめといて!
俺は大至急、雪見ちゃんの好物をありったけ作るから!
ビール二つ入れるから、悪いけど持ってってくれる?」

マスターが健人に苦笑いを見せながら、ビールをそそいで二つ渡した。


「どうしても、って引っ張って来たのは俺だから。
でも、マジでめちゃ可愛いでしょ!俺、みんなに自慢したいもん!
なんだけど、ゆき姉は今イチ自信なさげで…。
マスター!あとで一緒に怒られよう。じゃ、美味いもん、よろしく!」

健人がペコッと頭をさげて両手にビールを受け取り、
こぼさぬようにそろそろと、小上がり方面に歩いて行った。


「ゆき姉、おまたせっ!ビールもらってきたよ!開けてー!」

健人が障子の向こうの雪見に声をかけた。
ご機嫌斜めかどうか、少しドキドキする。
すーっと開いて立っていたのは、予想外に笑顔の雪見であった。


「遅いっ!ねぇ、マスターなんか言ってた?」

いつもの調子に戻ってる雪見に、健人はホッと胸をなで下ろす。


「めちゃくちゃ可愛いかったから、顔を合わせられなかった!
って言ってたよ!謝ってた。
俺もまさか、マスターがゆき姉だって気が付かないなんて
考えてもなかったから、焦ったよ!」

健人と雪見はジョッキを合わせ、お疲れ!と言ってから
お互い一気に半分近くを喉に流し込んだ。


「ほーんと、マスターだったら失礼しちゃうよね!
私のことをわからないなんて。
そこまでいつもは可愛くないってこと?どっちにしても、失礼だ!」

雪見が笑い半分、マジ半分といった顔して健人に訴える。


「まぁまぁ。そんだけ今日のゆき姉は可愛いってことなんだから、
もっと自信を持ちなよ!
明日の会見だって、また牧野さんと進藤さんが可愛くしてくれるって。
そうだ!今日のゆき姉を待ち受けにしたい!一緒に写メしよ!」

「えーっ!やだ、待ち受けなんて!
普段の私に戻ったら、ケータイ見るたびにがっかりするじゃない!」

「そんなこと絶対ないから!俺、そんなやな奴に見える?
じゃ、待ち受けにはしないから写メしよ!ほら、早く隣りに来て!
さっきの撮影みたく、可愛い顔してよ!はい、チーズ!」

「見せて見せて!あ、結構いい感じ!私にも送って、これ。」

「ねっ!だから言っただろ!やっぱ、待ち受けにしよーっと!
ほい、送信!っと。ゆき姉も待ち受けにしなよ。絶対いいって!」


健人と雪見のケータイには、今ここにいる美男美女カップルが
幸せそうな顔をして、新しい待ち受け画面になっていた。










Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.63 )
日時: 2011/03/28 12:01
名前: くまのむすめ (ID: ZpTcs73J)

Wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww](①)wwwwwwwwwwwゆりのはなあああああああ

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.64 )
日時: 2011/03/28 12:02
名前: くまのむすめ (ID: ZpTcs73J)

るううううううウウウウううううううううううううううううううううううううううう

Re: アイドルな彼氏に猫パンチ@ ( No.65 )
日時: 2011/03/28 12:04
名前: ウィルスを発見しました。 (ID: ZpTcs73J)

ウィルスが発見されましたので、しばらく更新が出来ません。
詳しいことは、/index.cgi?mode=view&no=23020まで



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