二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Another Mythology
日時: 2016/11/05 01:36
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
 今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
 一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
 カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。

 珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——



目次

プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63

16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213

59話〜119話『継承する語り手編』
>>369



『侵革新話編』

120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415




Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213

Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355




番外編

東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528





東鷲宮中学校放送部

第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299






登場人物目録
>>57

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て1」 ( No.506 )
日時: 2016/10/15 07:31
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「皆さんお待ちかねの三日目がきたわ」
 三日目にやること。それも事前に知らされていた。
 二日目のモノポリーなんかよりも、よっぽど具体的で、わかりやすいことだ。
「じゃあ、始めましょうかね——東鷲宮と烏ヶ森、二校混合のトーナメントを!」



 二校混合トーナメント。これが最終日の予定で、今回の合宿の目玉、らしい。
 内容はいたってシンプル。東鷲宮から沙弓、浬、暁、柚の四人が、烏ヶ森から一騎、ミシェル、美琴、空護、八、恋の六人が出て、トーナメント戦をするのだ。当然、デュエマで。
 なぜこんなことをするのか。優勝したらなにがあるのか。そんなことも聞かれたが、沙弓は決まってこう返した。

「最強を決めるのに、理由なんていらないわ」

 というのが、遊戯部の部長としての言だった。
 モノポリーの時もそうだったが、沙弓は順位がつけられる遊び、物事に対して、賞品というものを付けたがらない。純粋に楽しみたい、純粋に競い合いたい。そんな意識の現れなのか、得られるものは結果のみ。
 それは皆に対する信頼があってのこと。むしろ、ゲームに望む基本理念とも言える。本気にならず、勝ちを目指さないゲームに価値はないし、面白くもない。参加者が全力で望むという前提があってこそ、ゲームは楽しいものになる。
 だから沙弓は、全員がそれを理解していると、その理念に則ってくれると信じているからこそ、なにも賞品を用意しなかったのだろう。
「トーナメントはいいが、部長。ここには十人しかいないぞ」
 普通の勝ち残り式のトーナメントにするなら、四人、八人、十六人、三十二人の区切りで人数を用意しなくてはならないが、ここにいるのは十人。なんとも半端な人数だ。
「そこは考えてあるわ。人数に関してはもうどうしようもないから、変則的にシードを設けることにしたの」
 トーナメント戦であれば、シードを設けることはおかしくない。しかし、彼女の“変則的”という言葉が気にかかる。
「まず一回戦は、全員に戦ってもらうわ」
「そうなると人数が半分の五人になるな」
「そうね。そこで二回戦シードのブロックに入った人は、二回戦が免除されることになるわ」
「二回戦シード?」
 ただのシードではないのか、と聞き返すと、沙弓は頷いた。
「えぇ。今回のトーナメントには、二回戦シードと三回戦シードのある、二つのブロックがあるわ」
 つまり、二回戦シードのブロックで勝ち進んだ者は二回戦免除、三回戦シードのブロックで勝ち進んだ者は三回戦が免除になるという仕組みだ。
「ただし、二回戦でシードブロックだった人が、三回戦でのシードブロックになることはないわ。逆もまた然りね」
「ブロックごとでシード権が発生するなら、そうなるだろうな」
「そして、三回戦を勝ち抜いた人と、そのシードブロックの人で決勝戦ね」
「決勝含めて全四回戦あるが、ブロック次第では三回で優勝か」
「逆に、四回勝たないと優勝できない人も出てくるわけだね。ちょっと不公平だけど、人数の問題があるから仕方ないか」
 沙弓としても、できるだけ対戦回数は平等に設けたかったのだが、運も実力のうちということにして、このような形を取った。
「まとめると、トーナメントブロックはABCの三つ。Aブロックが四人で、三回戦のシード権が得られるブロックになるわ。一、二回戦を勝ち抜けば三回戦は免除ね」
 Aブロックは三回戦シード権を得られるブロック。三回戦まで勝ち抜ければ、三回戦は免除だ。
「次にBブロックも四人で、ここのブロックはシード権なしよ。四勝しないと優勝できないわ」
 Bブロックは最も対戦回数の多いブロックで、シード権はなし。優勝するには一回戦から決勝戦までの四試合すべてに勝たなくてはならない。
「最後にCブロック。ここは唯一、二人だけのブロックで、二回戦のシード権があるわ。一回戦に勝てば二回戦は免除、そのまま三回戦よ」
 Cブロックは人数の問題で、二人だけのブロックとなる。一回勝てば、二回戦は免除。しかし、三回戦、決勝戦と勝ち上がってきた強者と戦わなくてはならない。
 もっとも、実力に関しては全員侮れない相手となっているので、誰が対戦相手でも、気は抜けないのだが。
「ちょっと複雑ね」
「まあ、表にしたらすぐにわかるわよ」
 文字だけで表にしようとすると、アスキーアートみたいになりそうというか、作るのが面倒なので、文章だけで記します。
「なんか今、変な声聞こえなかった?」
「気のせいじゃないんですか?」
「気にしなくても、いいと思う……」
「そっかなぁ。まあ、二人がそう言うなら、いっか」
「じゃあ早速、順番をくじ引きで決めましょうか」
 例によって例の如く、沙弓はあらかじめ作っておいたくじ引き用の箱をどこからともなく持ってくる。
「順番はどうしようかしらね……まあ誰でもいいし、昨日のモノポリー勝者の空護からにしましょうかね
「……焔。お前、いつからあいつとあんな馴れ馴れしくなったんだ?」
「さぁ……? 昨晩くらいですかねー。気付いたら名前で呼ばれてましたよー」
「私もそんな感じだったけど、なんなのかしらね、沙弓って」
「部長はとにかく馴れ馴れしい奴だからな……気にしたら負けです。そういうもんだと受け入れるしかないですよ」
「俺は沙弓ちゃんの、誰とでもすぐに打ち解けられるところは、凄いと思うけどな」
「私のことはいいから、早く引いてくれないかしらね?」
 やや困り気に、というより、少しばかり頬を染めている沙弓。彼女にしては、珍しい反応だった。
 沙弓に言われて、と素直に従ったわけではないのだろうが、空護はどこかにやけた顔つきでくじを引く。引いた紙を開くと、そこには『B—1』と書かれていた。
「『B—1』ってことは、Bブロックの一番目ね。空護はBの1、と」
 また、どこからともなく取り出したホワイトボードに、簡単にトーナメント表を書くと、左から五番目、ちょうど真ん中の位置に、『くうご』と書いた。
「Bブロックってことは、四戦組ですかー。ちょっと残念ですねー」
「じゃあ次、空護から……反時計回りでいいわよね」
「なんで反時計回りなんだよ」
「まあまあ、いいじゃない。くじの順番なんて。さっさとトーナメント表を作っちゃうわよ」
 と、沙弓に催促されながら、各人がくじを引いて、各々の名前をトーナメント表に埋めていく。
「——これで、皆くじを引いたかしらね」
 ぐるりと一周し終えると、トーナメント表、一回戦の対戦カードが決定する。
 第一回戦の対戦カードは、
 Aブロック、一回戦が暁と八。二回戦が一騎とミシェル。
 Bブロック、一回戦が空護と美琴。二回戦が浬と柚。
 Cブロック、一回戦が沙弓と恋。
 以上のような組み合わせとなった。
「これで決まりね。それじゃあ、早速始めましょうか」
 こうして、三日目、二校合同トーナメントの幕が下ろされる。

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て2」 ( No.507 )
日時: 2016/10/15 18:14
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「——と、いうわけで、Aブロック一回戦は、暁とハチ君の対戦ね」
「やったー! 一番だぁ!」
「いきなり対戦できるなんて、ついてるっすね」
 最終日のトーナメント戦。その一回戦目は、暁vs八の対戦カードとなった。
 初戦で戦えることに、二人は喜び勇んではしゃいでいる。
「いや、最初に終わったら結局後の対戦は待ってるだけだが……というか、Aブロック一回戦ってことは、他のブロックも同時に対戦するのか?」
「んー、いや、それはやめときましょう。せっかくだし、皆の対戦を一戦ずつやるのがいいと思う」
「そうだね。皆の対戦が一戦一戦ちゃんと観戦できるし、俺はそれで賛成だよ」
「ならやはり、初戦が終わったら残り四戦ずっと待ってるだけか……」
「まあ、皆さんの対戦なら、暇はしないと思いますけどねー」
 この場にいるプレイヤーはすべて、一癖も二癖もある強者。
 傍から見ているだけでも、価値のある対戦を展開してくれることだろう。
「それじゃあ暁さん、始めるっすよ!」
「オッケー! 私のドラゴンに押し潰されないよう、気をつけてね!」
「そっちこそ、自分のスピードに置いて行かれないよう、注意した方がいいっすよ!」
 対戦直前、二人はそんな風に言葉を交わして、デッキをセット。シールド展開。手札を持つ。
 そして、対戦開始だ。



空城 暁
〜爆熱武装のドラゴンビート〜

vs

夢谷 八
狩人ハンターたちの協奏曲コンチェルト












超次元ゾーン:暁
《爆熱剣 バトライ刃》×1
《ガイアール・カイザー》×1
《勝利のガイアール・カイザー》×1
《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》×1
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《勝利のプリンプリン》×1
《ブーストグレンオー》×1
《ドラゴニック・ピッピー》×1



超次元ゾーン:八
《勝利のリュウセイ・カイザー》×1
《流星のフォーエバー・カイザー》×1
《ブーストグレンオー》×1
《剛腕の政》×3
《ウコン・ピッピー》×1
《サコン・ピッピー》×1



 暁と八の対戦。
 暁の場にはなにもない。《ネクスト・チャージャー》でマナを伸ばしただけで、シールドは残り四枚。
 対する八の場には《ヤッタレ・ピッピー》《斬込の哲》がおり、シールドも五枚。
 盤面でもシールドでも、暁は完全に後れを取っていた。
「自分のターンっすよ! 《アクア・ジェット》を召喚っす! 能力でハンターの数だけドローっすよ!」
「うわ、手札増やされちゃったよ……きつい」
「《ヤッタレ・ピッピー》と《斬込の哲》でシールドブレイクっす!」
「トリガーはないなぁ……私のターン」
 コスト軽減にマナ加速、そしてドロー。八はさらに展開するためのリソースを増やしながら、暁を攻め立てる。
 一方、暁は中盤からの爆発力こそ高いものの、序盤の動きは鈍い。
「暁は上手く切り返さないと、ハチ君に押し切られるわね」
「ハチ公はスピードだけはピカイチだからな。スピードっていうか、テンポか」
 一撃一撃の打撃は大きくないが、ビートダウンの合間に行う手札補充とマナ加速のタイミングが絶妙だ。この二つを最良のタイミングで行うことで、常に攻撃の手を緩めず、攻撃のペースを崩すことがない。
 単純に早いのではなく、テンポ良くビートダウンすることができるのが、八の強みだ。
 対する暁は、防戦一方になってしまっているが、彼の猛攻に必死で抗う。
「マナチャージして、5マナ! 《超次元ボルシャック・ホール》を唱えるよ!」
「超次元呪文……あきらが使うの、珍しい……」
「普段の暁さんのデッキはトップデックからの踏み倒しが軸になるから、基本的にデッキをクリーチャー主体にしてるからね」
「だけど今は《コーヴァス》がいないから、踏み倒しに縛られる必要はない。《バトライ刃》があるのはちょっと気になるけど」
 今回の暁のデッキは踏み倒しにこだわない構築となっており、いつもならクリーチャーで埋める枠に、超次元呪文を入れている。これにより、火文明単色でありながらも、より幅広い戦術を取ることが可能となった。
 このまま攻められるのは、守りの薄い暁にとっては良い展開ではない。ここは一度守りに入って、相手の場数を減らすことにした。
「《ヤッタレ・ピッピー》を破壊して、《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンに! 《勝利のガイアール・カイザー》は出たターンだけアンタップしてるクリーチャーを攻撃できるから、《アクア・ジェット》を攻撃するよ!」
「でもやってることは、いつものあきらちゃんっぽいですね……」
 それでも、火力とアンタップキラーで二体のウィニーを破壊。まだ《斬込の哲》が残っているが、かなり数は減らせた。
「二体も破壊されたっすけど、それでも自分はまだまだ止まらないっすよー! マナチャージして6マナ、《熱血ボス!バルス・カイザー》を召喚!」
「っ、それは……!」
 《バルス・カイザー》は自分のハンターが攻撃するたびに山札を捲り、攻撃したハンターよりもコストの低いハンターであれば場に出せる、という能力を持つクリーチャー。
 打点もさることながら、これ以上展開されると、処理しきれずに攻めきられてしまう。そんな危機感が、暁を襲った。
「空城さんがトップデックからの踏み倒しをしない代わりに、夢谷君がそっちの戦術に切り替えてきましたねー」
「《斬込の哲》で攻撃! その時、《バルス・カイザー》の能力発動っす! 自分の山札の上を墓地に置くっすよ!」
 山札を捲る八。《斬込の哲》のコストは4。決して高くはないが、八のデッキであれば、コスト3以下のクリーチャーは多く入っている。さらに展開される可能性は十分にあった。
 しかし、捲られたのはコスト5の《ニドギリ・ドラゴン》。コスト4より大きいクリーチャーだ。
「あちゃ、はずれっすね」
「っ、よかった……」
「でも、攻撃っすよ! シールドブレイク!」
「トリガーは……ないよ」
 これで暁のシールドは残り一枚。かなり危険な域に達している。
「耐えられるかなぁ……とりあえず、《コッコ・ルピア》を二体召喚! 《勝利のガイアール・カイザー》で、《斬込の哲》を攻撃!」
「《斬込の哲》は破壊されてもマナに行くっすよ! そして、自分のターン!」
 八の場には《バルス・カイザー》が一体。スピードアタッカーが一体でも出て来れば、その時点でとどめまでの打点が揃ってしまう。
 そう思っていると、
「《反撃の城 ギャラクシー・ファルコン》を要塞化っすよ!」
「うげ……やっばいのきた!」
 スピードアタッカー一体どころではない。すべてのハンターをスピードアタッカーにする城、《ギャラクシー・ファルコン》が要塞化されてしまった。
「これで夢谷君のハンターはすべてスピードアタッカー……」
「残りマナ数、手札数、そして夢谷君のデッキに入っている軽量ハンターの枚数を考えると……どのくらい展開されるかな」
 《ギャラクシー・ファルコン》はたった1コストなので、マナは十分に余っている。手札の方はやや切れかかっているが、
「さらに《アクア・ジェット》を召喚っすよ! ハンターの数だけドローして、《ヤッタレ・ピッピー》を召喚!」
「やばいよやばいよ……」
 再び、援軍を補充する八。並べられたクリーチャーは二体だが、暁にとどめを刺す打点は十分だ。
「《バルス・カイザー》で攻撃! 山札の一番上を捲るっすね」
 だが、それだけでは止まらない。《バルス・カイザー》でさらなるハンターが展開される。
「捲られたのはコスト4の《アパッチ・ヒャッホー》っす! 《アパッチ・ヒャッホー》の登場時、超次元ゾーンからコスト4以下のハンターを出すっすよ! 《剛腕の政》をバトルゾーンに!」
「これで後続のアタッカーは四体……終わったか?」
「あきらちゃん……」
 《バルス・カイザー》の能力で一体、《アパッチ・ヒャッホー》の能力で、サイキック・クリーチャーが一体、さらに二体のクリーチャーが展開される。もはやオーバーキルだった。
 ここまで展開されては、並大抵のS・トリガーではどうしようもない。後続のアタッカー四体すべてを処理できるS・トリガーが、火文明単色の暁のデッキにあろうか。
 暁はゆっくりと最後のシールドを捲り、確認する。
 そして、
「! やっと来た! S・トリガー発動!」
 最後のシールドから、S・トリガーが捲られた。
 無数の銃弾が、弾幕として戦場に放たれる。

「《ミラクル・バーストショット》! 相手のパワー3000以下のクリーチャーを全部破壊するよ!」

 目当てのS・トリガーを、引き当てた。
 火文明が得意とする全体火力。八のクリーチャーは、数こそ多いがそのすべてはパワー3000以下のウィニー。《ミラクル・バーストショット》の火力の前に、一掃される。
「おぉ、流石は暁さんっすね……ここで決められなかったのは残念っすけど、まだ《バルス・カイザー》も《ギャラクシー・ファルコン》もあることですし、大丈夫っすよ。ターン終了っす」
「私のターン!」
 なんとかS・トリガーで九死に一生を得た暁。
 ここから、彼女の反撃が始まる。
「私のバトルゾーンには《コッコ・ルピア》が二体いるから、ドラゴンの召喚コストは4軽くなる! 6マナで召喚だよ! 《龍世界 ドラゴ大王》!」
「! そのクリーチャーは……!」
「《ドラゴ大王》がバトルゾーンに出た時、相手クリーチャー一体と私のクリーチャーをバトルさせる。《ドラゴ大王》と《バルス・カイザー》でバトルだ!」
 《ドラゴ大王》のパワーは13000。対する《バルス・カイザー》のパワーは、ハンティング込みでも7000。一撃で粉砕される。
 大王とボスでは、前者の力が圧倒的だった。
「それと、スピードアタッカーも怖いから、《ギャラクシー・ファルコン》は破壊しておかないとね。《勝利のガイアール・カイザー》でシールドをブレイク!」
 《ギャラクシー・ファルコン》がある限り、八はハンターを投げるだけで暁にとどめを刺せる。手札を与えるのは怖いが、それ以上にこの城が怖い。とりあえず一枚だけ、シールドをブレイクする。
「む、S・トリガーっす! 《鬼スナイパー モエル》で——」
「待った! 《ドラゴ大王》がいるから、ドラゴン以外は出せないよ!」
「おっと、そうだったすね……申し訳ないっす」
 S・トリガーで場に出そうとした《モエル》を手札に戻しつつ、詫びる八。
 《ドラゴ大王》でドラゴン以外は場に出れないので、《ギャラクシー・ファルコン》を落城させたことも含めて、八は攻撃を通しにくくなっている。
「だったら……呪文《ドンドン吸い込むナウ》っす! 山札の上から五枚を見て、《ヤッタレ・ピッピー》を手札に加えるっすよ! 火か自然のカードを手札に加えたッすから、《ドラゴ大王》を手札に戻すっす!」
 一時凌ぎにしかならないが、《ドラゴ大王》を場から離す八。これで、少なくともこのターン中は召喚ができる。
「《ヤッタレ・ピッピー》《斬込の哲》を召喚! ターン終了っす! このターンを耐えれば、反撃できるっすよ……!」
「上手い! これなら《ドラゴ大王》を出しても、暁さんは夢谷君の攻撃手を潰し切れない」
 八の場にアタッカーは二体。《ドラゴ大王》の強制バトルでも、片方しか破壊できない。ロックをかけても、もう無意味だ。
 だから、暁もこのターンで決着をつけようとする。
「だったらこのターンで決める! もう一度6マナタップ! 次はこれだよ! 《勝利天帝 Gメビウス》!」
 暁が繰り出す次なる大型ドラゴン、《Gメビウス》。
 《ドラゴ大王》が相手を制圧して倒す切り札なのに対し、《Gメビウス》は火力、二回攻撃、スピードアタッカー、Tブレイカーの超攻撃的シナジーによって、出したその瞬間に勝負を決めるフィニッシャー。
 これで打点は九。八のすべてのシールドを粉砕し、とどめを刺す打点が揃った。
「これがラストターンね。さて、どうなるかしら……!」
「《Gメビウス》で攻撃! その時に《ヤッタレ・ピッピー》を破壊! さらに《Gメビウス》をアンタップして、Tブレイク!」
 《Gメビウス》は小型クリーチャーを薙ぎ払いながら次の攻撃に備えて起き上がり、直後、八のシールドを三枚叩き割る。
「うぐ……S・トリガーっす! 《ドンドン吸い込むナウ》! 《ニドギリ・ドラゴン》を手札に加えて、《Gメビウス》を手札に戻すっすよ!」
「まだまだ! 《コッコ・ルピア》で最後のシールドをブレイク!」
 バウンスされる《Gメビウス》。S・トリガーはある程度予想していたが、一撃でもTブレイクを決めただけで、《Gメビウス》は大きな仕事を果たしたと言える。
 八のシールドは残り一枚。シングルブレイカーとはいえ、暁のアタッカーは残り三体。打点は十分だ。
 《コッコ・ルピア》が《Gメビウス》の後に続き、八の最後のシールドをブレイクする。
「S・トリガー! 《クラッシャー・ベア子姫》召喚っす! 《コッコ・ルピア》二体をマナゾーンに!」
 最後のシールドから、《クラッシャー・ベア子姫》が現れ、暁の小型クリーチャーを一掃する。
 しかし、これだけではまだ足りない。
 暁にはまだ、アタッカーが残っている。
「シノビがなければ、このまま勝てる……! 《勝利のガイアール・カイザー》でダイレクトアタック!」
 最後に残った《勝利のガイアール・カイザー》の攻撃が放たれる。
 攻撃宣言の後、タップされた《勝利のガイアール・カイザー》を見て、八は自分の手札を見遣る。
 そして、晴れやかな笑顔で、にっこりと笑った。

「——自分の負けっす」

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て3」 ( No.508 )
日時: 2016/10/16 17:40
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「負けたっす! 流石は暁さんっす、完敗っすよ!」
「いやいや、ハチも強かったって。最後にトリガーでないと負けてたし、《ドラゴ大王》と《Gメビウス》がちょうどいいところで来てなかったら、どうなってたか」
「それでもっすよ」
 負けてもなお、暁の健闘を称える八。
 一回戦。暁と八の対戦は、暁の勝利で終わった。
 次は二回戦。一騎とミシェルの対戦だ。
「部長と副部長の対戦……何気に、なかなかない対戦カードね」
「烏ヶ森組としては、見逃せない一戦ですねー」
 烏ヶ森の部長である一騎と、副部長であるミシェル。
 部内において一騎が最も信頼を置いているのはミシェルであり、またミシェルも最も気を許す相手が一騎である。
 部長と副部長、互いに支え合う存在であるからこそ、互いにぶつかり合うことのない二人の対戦カードは、一回戦の目玉の一つだった。
「って言っても、一応、あたしはお前とやりあってんだけどな……」
「え? そうだっけ?」
「お前がぶっ倒れて暴れ回った時だ」
「あ……あぁ。その節は、本当に迷惑をかけたね。ごめん……」
「もういい、昔のことだしな」
 ただ、とミシェルは続ける。
「あの時、お前は平常ではなかったおはいえ、あたしはお前に負けている。そのリベンジは、させてもらうぞ」
「本当に申し訳ないと思ってるけど、それとこれとは話が別だからね。あの時の俺に意識なんてなかったけど、リベンジはさせないよ」
 静かに闘志を燃やす二人。鋭い眼光で闘争心を剥き出しにしているミシェルと、穏やかで柔和な表情でありながらも内では燃えている一騎。
 対称的なようで本質は似通ったものを抱える二人が、それぞれ向かい合う。
「一騎さんとミシェルさん、どっちが勝つんだろう?」
「さーねぇ。一騎君も強いけど、シェリーもどっちのデッキ使うかわかんないからねぇ」
「どっちのデッキ……?」
 柚が首を傾げると、恋が口を添える。
「ミシェルは、青黒赤クローシス墓地ソと黒赤緑デアリロマサイ……二つのデッキを使い分ける……主として使うデッキを一つに決めてない……」
「高速高打点の墓地ソに、ワンショットのロマサイ。どちらも墓地利用しつつ、スピードアタッカーで奇襲するタイプのデッキだが……」
「特別、有利不利があるようには思えないけど、シェリーのスピード次第では一騎君が厳しいかしら」
 一騎のデッキは準赤単ドラグハートなはず。ミシェルの墓地利用を食い止めるようなメタカードは、恐らく搭載されていない。
 一騎もマナブーストから素早くフィニッシャーを投げつけるデッキなので、この対戦、どちらが早くフィニッシュパターンに辿り着けるかの勝負になりそうだ。
「じゃあ、始めようか、ミシェル」
「あぁ。全力で叩き潰すからな」
「いいよ、受けて立つよ」
 二人はデッキをセット、シールドを展開し、手札を取る。
 そして、対戦開始だ。



剣埼 一騎
〜戦場を駆ける炎龍剣士たち〜

vs

四天寺 ミシェル
〜Pâques du purgatoire(煉獄復活祭)〜












超次元ゾーン:一騎
《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》×1
《大いなる銀河 巨星城》×1
《銀河大剣 ガイハート》×1
《将龍剣 ガイアール》×1
《最前戦 XX幕府》×1
《天守閣 龍王武陣—闘魂モード—》×1
《熱血爪 メリケン・バルク》×1
《熱血剣 グリージー・ホーン》×1



超次元ゾーン:ミシェル
なし



 一騎とミシェルの対戦。
 お互い、まだシールドは五枚。
 一騎の場にはなにもない。《フェアリーの火の子祭》を一回唱えただけだ。
 ミシェルの場には《白骨の守護者ホネンビー》が一体。こちらも《爆砕面 ジョニーウォーカー》でマナを伸ばしている。
「あたしのターン。まずは呪文《ダーク・ライフ》だ。山札の上から二枚を見て、《ロマノフ》を墓地へ、《デス・ハンズ》をマナへ置く。続けて《ホネンビー》を召喚。山札の上から三枚を墓地に置いて、墓地の《クロスファイア》を回収する……ターン終了だ」
「俺のターン。《スコッチ・フィディック》を召喚。《最前線 XX幕府》を設置して、ターン終了だよ」
「一騎さんの場にドラグハートが出た……!」
「でも、3コスのフォートレス。まだここまでは、お互いに準備段階といったところね」
「問題はこの先だな」
「ミシェルのマナは、次のターンで7マナ……墓地もそこそこ、揃ってる……」
 お互いに動きが見え始めた頃。ミシェルのターン。
「さて……決めに行くか」
 先にフィニッシュルートに辿り着いたのは、彼女だった。
「もう動くのね」
「運が絡むが、ここで決められたら美味しいからな。やって損はないはずだ。6マナで呪文! 《煉獄と魔弾の印》!」
「っ、来たか……! クリーチャーの方だと思ってたけど……」
 《煉獄と魔弾の印》。ミシェルの新しい戦術、ロマノフサインの核となるキーカードだ。
 呪文の効果で、墓地から闇か火の、コスト7以下のクリーチャーが復活する。選ばれるカードは当然、前のターンに墓地に落とされた、あのクリーチャーだ。

「墓地から蘇れ! 《邪眼教皇ロマノフⅡ世》!」

 蘇ったのは《邪眼教皇ロマノフⅡ世》。登場時、山札を五枚、墓地に落とす。そしてその中から、コスト6以下の呪文をタダで唱える《ロマノフ》だ。
 ミシェルのコンボの起爆剤。ここで二枚目の《煉獄と魔弾の印》が落ちるか否かで、一騎の生死が決まると言っても過言ではない。
 《ロマノフⅡ世》の能力で、ミシェルは山札を五枚、墓地へと落とす。落とされたのは《爆砕面 ジョニーウォーカー》《邪眼皇ロマノフⅠ世》《煉獄と魔弾の印》《地獄門デス・ゲート》《暴走龍 5000GT》。
「大当たりだ。《煉獄と魔弾の印》!」
「綺麗に当てて来たなぁ……!」
「墓地から《邪眼皇ロマノフⅠ世》をバトルゾーンへ! 山札から《ロマノフⅠ世》を落とす! さらにG・ゼロで《百万超邪 クロスファイア》を召喚だ!」
「ロマサイのダメ押しに《クロスファイア》……剣埼先輩でも、これはきついわね……!」
 登場時、《ロマノフⅠ世》は自身の能力で次の死体を墓地に落とす。そして、墓地に落ちたままの魔弾を放ち、用意された骸に魂を吹き込む。
「《ロマノフⅠ世》で攻撃! その時、墓地から《煉獄と魔弾の印》を唱え、墓地から二体目の《ロマノフⅠ世》を蘇生! その登場時能力で、山札に戻った《煉獄と魔弾の印》を再び墓地に落とすぞ」
 完全に決まってしまったロマノフサインの流れ。こうなってしまうと、どこかでトリガーでもなんでも撃ち、《ロマノフⅠ世》を除去しなければ止まらない。ミシェルの場には《クロスファイア》もいるため、早く処理したいところだ。
「Wブレイク!」
「S・トリガーだよ。《イフリート・ハンド》で、二体目の《ロマノフⅠ世》を破壊!」
「いきなりか、ついてないな……」
「まあ、シェリーもかなり運よく《煉獄と魔弾の印》やら《ロマノフⅠ世》やらを捲ってるし、どっこいどっこいよね」
 なんにせよ、一騎にとっては展開される前にロマノフサインを止めることができたので、物量で押し切られてやられるというパターンはなくなった。
「このまま殴ってもいいが、一騎はまだ6マナか……ちょっと考えていいか?」
「いいよ」
 ミシェルは考え込む。このまま、《クロスファイア》でも殴るかどうかを考えているのだろう。
 しばし腕を生んで思案してから、彼女は小さく宣言する。
「……ターン終了だ」
「終わりでいいの?」
「あぁ」
 ミシェルは攻撃せず、ターン終了を選択した。
(殴ってもシールドは割り切れないし、それよりトリガーで場を荒らされる方が怖いからな。ブロッカーもいるし、すぐにとどめを刺すだけの奇襲はない……はずだ)
 あまり確信し切れないのは、一騎の奇襲性と爆発力をどの程度まで見積もっていいのか、基準が測れないからだ。
(今でこそ落ち着いてるが、昔は白青赤ラッカカラーのヤヌスビートに《アマテラス》やら《緊急再誕》やら入れてた奴だからな……変なピンポメタをされると、どう対処していいのかわからん)
 今の一騎しか知らない暁たちではわかりようもないことだが、その昔——昔と言ってもリュンと出会う直前までだが——一騎は特定の状況、特定の相手に対するピンポイントなカードを、銀の弾丸的に仕込むプレイスタイルを好んでいた。
 元々、メタ読みとピン刺しが好きな性分らしく、いきなり予想だにしない奇妙なカードを繰り出されることがままあったことがある。ミシェルもその時代の一騎を多少は知っているので、そんな予想外の一撃が怖いところではある。
「俺のターン! 《龍覇 グレンモルト》を召喚! 《銀河大剣 ガイハート》を装備!」
「来たか……!」
 現れたのは《ガイハート》を携えた《グレンモルト》。しかし、一騎が繰り出してきた一手は、まだミシェルの予想の範疇だった。
 《龍覇 グレンモルト》と《銀河大剣 ガイハート》。強力なドラグハート・クリーチャーで、こちらの布陣に風穴を空けるつもりだろうか。
「さらにG・ゼロで呪文《暴龍警報》! 《フィディック》にガイアール・コマンド・ドラゴンを追加するよ」
「?」
 首を傾げるミシェル。今の一騎のプレインが理解できない。
 《暴龍警報》は、味方クリーチャー一体にガイアール・コマンド・ドラゴンとスピードアタッカーを付与する呪文。G・ゼロで撃ち、ドラグナーをスピードアタッカーにして、即座に攻撃させるために使う使い方が一般的だが、《スコッチ・フィディック》は既に場に出ているクリーチャー。スピードアタッカーの付与は関係ない。
 一体、どういうつもりなのだろうか。
「《フィディック》で《ロマノフⅠ世》を攻撃! 《XX幕府》の効果で、ブロッカーの《ホネンビー》を破壊!」
「あぁ、そういうことか」
 《XX幕府》は、火のドラゴンの攻撃にしか反応しない。
 だから一騎は、ミシェルの《ホネンビー》を破壊するために、《暴龍警報》で《フィディック》をドラゴン化させたのだ。
 《ロマノフⅠ世》に特攻する《フィディック》。パワー5000の《フィディック》に対し、《ロマノフⅠ世》はパワー8000。
「《フィディック》はバトルに負けて破壊されるね。次に《グレンモルト》でシールドをブレイク!」
「ブロックはしないが……トリガーもないか」
「よし。だったら《グレンモルト》を龍解だ!」
 ターン中に二回の攻撃を達成。そして場には、《ガイハート》が残っている。
 龍解条件成立。《ガイハート》が龍解する。

「龍解! 《熱血星龍 ガイギンガ》!」

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て4」 ( No.509 )
日時: 2016/10/16 19:55
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 ミシェルのブロッカーを蹴散らしながら、一騎はターン中に二回の攻撃を通し、《銀河大剣 ガイハート》を《熱血星龍 ガイギンガ》へと龍解させることに成功する。
「《ガイギンガ》の龍解時の能力で《クロスファイア》を破壊! さらに《XX幕府》を《熱血龍 GENJI「天」》に龍解!」
「一騎さんの連続龍解……!」
「今の一騎にはこれがあるから、怖いところだよなぁ……!」
 ピンポイントメタのピン挿し構築が息を潜めた代わりに、一騎は連鎖的な龍解で一気に打点を揃える、というプレイングをよく行う。
 二回攻撃することで龍解する《ガイハート》《XX幕府》、ガイアールが攻撃することで龍解する《ガイアール》、二回バトルに勝つことで龍解する《ガイオウバーン》など、一騎の使用するドラグハートは、龍解条件がある程度似通っている。ゆえに、一度ドラグハートの龍解条件を満たすと、同時に龍解条件を満たすドラグハートも表れ、一気に多数のドラグハートを龍解させることができるのだ。
 それによって、打点を一度に大量に生成する。ドラグハート特有の高いカードパワーに物量を合わせて、力押しで攻め切るような戦術も取れる。
「とはいえ、今回は攻め切るつもりじゃないな……場の掃除か」
 できるだけ安全に龍解するためには、トリガーを踏むわけにはいかない。シールドを割ってトリガーが出て来る確率を落とすために、《フィディック》に自爆特攻をさせた。
 殴り切るつもりなら、少しでもシールドを割りたいはず。そうしなかったうえに、《ガイギンガ》もアタッカーを除去してきたので、一騎の目的はアタッカーを削って延命することだろう。
 その安全運転のお陰で一騎は《ガイギンガ》への龍解に成功。同時に《XX幕府》も《GENJI「天」》へと龍解し、戦線を一気に拡大させる。
「《ガイギンガ》で《ロマノフⅠ世》を攻撃! その時《GENJI「天」》の能力で《ホネンビー》を破壊するよ!」
 《GENJI「天」》との連携で、ブロッカーを薙ぎ払いつつ、脅威となっていた《ロマノフⅠ世》を破壊する。
 これで、ミシェルの場はほぼ一掃された。残されたのは《ロマノフⅡ世》だけだ。
「ターン終了だ」
「面倒くさいことになったが、どうするか……」
 《グレンモルト》からの《ガイハート》、《ガイギンガ》龍解はある程度は予想していたが、《暴龍警報》一枚で計算が絶妙にずれた。思った以上に場を荒らされてしまった。その一手には、どことなくメタ張り時代の片鱗を思い起こさせる。
 一騎の場には《グレンモルト》《ガイギンガ》《GENJI「天」》の三体。特に《ガイギンガ》が厄介極まりない。選ばれたらエクストラターンを得るため、実質的にアンタッチャブル。バトル時にパンプアップもするので、処理に難儀するクリーチャーだ。
 しかし、ミシェルにも手がないわけではなかった。
「まずは《ダーク・ライフ》を唱えて、マナと墓地を一枚ずつ増やす。次に《ホネンビー》を召喚。山札を三枚墓地に置き、《クロスファイア》を回収だ」
「持ってたか、《ホネンビー》」
「G・ゼロで《クロスファイア》を召喚! 《ロマノフⅡ世》で《グレンモルト》を、《クロスファイア》で《ガイギンガ》を攻撃だ!」
「あぁ、《ガイギンガ》が……」
「さしもの《ガイギンガ》も、殴り返しはどうしようもないわね」
 選べないなら、力ずくで破壊する。《クロスファイア》はパワーアタッカー+100万。実質的に、あらゆるクリーチャーを殴り倒せるパワーを持っている。
 そして、殴り返しなら選んだことにならないため、安全に処理できる。一騎は早くも主力である《ガイギンガ》を失ってしまった。
「でも、1ターン稼げたよ。俺のターン! 《次元龍覇 グレンモルト「覇」》を召喚!」
「っ、今度はそいつか……!」
「《グレンモルト「覇」》で《クロスファイア》を攻撃! その時《GENJI「天」》の能力で《ホネンビー》を破壊して、《グレンモルト「覇」》の能力、マナ武装7で《覇闘将龍剣 ガイオウバーン》を装備! 《ガイオウバーン》の効果で《ロマノフⅡ世》とバトルするよ!」
 本来なら《グレンモルト「覇」》のパワーは7000だ。しかし、《ガイオウバーン》を装備することでパワーが3000上昇し、パワー8000の《ロマノフⅡ世》を打ち倒し、《クロスファイア》にも一方的に勝てる。
 そして、この二度の勝利が、さらなる一手へと繋がる。
「俺のクリーチャーが二回バトルに勝ったから、《ガイオウバーン》の龍解条件成立だよ! 龍解! 《勝利の覇闘 ガイラオウ》!」
「一枚のカードからガンガンクリーチャーを増やすよな、お前は……!」
「ミシェルもそうでしょ。ロマノフサインで次々と並べるじゃん。お互い様だよ。《ガイラオウ》でシールドをWブレイク!」
 売り言葉に買い言葉。軽く言い返してから、一騎には剣の切っ先をミシェルに向ける。
 《ガイラオウ》の一撃が、ミシェルのシールドを叩き割る。これで残るシールドは二枚。
 しかし、砕かれたシールドから、一枚のカードが飛び出す。
「S・トリガー《凶殺皇 デス・ハンズ》! 《GENJI「天」》を破壊だ!」
「あっと、破壊されちゃったか……仕方ない。ターン終了だよ」
「あたしのターン。《デス・ハンズ》を召喚、《グレンモルト「覇」》を破壊する」
 返しのターンには、あっさりと破壊される《グレンモルト「覇」》。場に残せれば、次々とドラグハートを呼び出してプレッシャーをかけられたのだが、そう上手くはいかないようだ。
 そしてそれは、なにもクリーチャーを除去することだけではない。
 圧力をかけられるのは、なにも一騎だけとは限らないのだ。

「あたしの墓地にクリーチャーは十一体。よってマナコスト−11! 1マナで《暴走龍 5000GT》を召喚だ!」

 余ったマナから、最大まで軽量化した《5000GT》が、数多の屍を踏み越えて現れる。
 これは、一騎にとって非常にまずいことになった。
「《5000GT》が場に出たことで、あたしの《デス・ハンズ》二体は破壊されるが、関係ない。《5000GT》で《ガイラオウ》を攻撃!」
 《ガイラオウ》のパワーは11000、《5000GT》のパワーは12000。ギリギリのパワー差で、《ガイラオウ》が破壊される。
「これって、いつきさん、とてもピンチなんじゃ……」
「だろうな。このタイミングでの《5000GT》はきつい」
 《5000GT》がいる限り、誰もパワー5000以下のクリーチャーが召喚できない。一騎は《ジョニーウォーカー》や《ロイヤル・アイラ》はおろか、《フィディック》、そして《グレンモルト》といった、ドラグナーも召喚できなくなってしまう。
 これで一騎は、《グレンモルト》から《ガイハート》で奇襲する戦法は使えなくなった。
「……《フェアリーの火の子祭》を唱えるよ。山札の上から二枚を見て……片方をマナへ。火のカードだったから手札に戻して、もう一度唱える。ターン終了だ」
「動けなかったか。とりあえずは助かったな」
 ドラグナーだけなら、先ほど出された《グレンモルト「覇」》もいるため、安心はできなかったのだが、上手く一騎の動きは止められたようだった。
「このまま押し切るぞ。あたしのターン、《煉獄と魔弾の印》! 墓地から《ロマノフⅠ世》を蘇生!」
 一騎のシールドは残り三枚。《5000GT》がTブレイカーなので、なにを戻しても、打点は足りる。
「決めるぞ一騎。《5000GT》でシールドをTブレイクだ!」
 ここでトリガーが出なければ、押し切ってミシェルの勝ちだ。
 仮にトリガーが出たとしても、《5000GT》が睨みを利かせている状況だ。一枚のカードで二枚のシールドを割り切り、とどめを刺すことは難しい。
 そう、難しいのだ。
「……S・トリガー」
 難しい、だけで——

「《天守閣 龍王武陣》!」

 ——不可能、ではない。
「山札の上から五枚を捲るよ!」
「ここで《龍王武陣》か……お前はいっつも、いいところでいいカードを引くな」
「防御はトリガーに多く枠を割いてるからね。それなりに出てもらわないと」
 言いながら一騎は山札を捲っていく。
 一枚目、《爆熱血 ロイヤル・アイラ》
 二枚目、《英雄奥義 バーニング・銀河》
 三枚目、《爆砕面 ジョニーウォーカー》
 四枚目、《暴龍事変 ガイグレン》
 五枚目、《ボルメテウス・ホワイト・フレア》
「うん、最高の引きだ。《ガイグレン》を選択して、《ロマノフⅠ世》を破壊! マナ武装5で《ガイグレン》は手札に!」
「……ターン終了」
「俺のターン! 決めるのは俺の方だったね、ミシェル!」
「そうだな。だが、まだわからないぞ」
 一騎はミシェルのマナに目を落とす。《地獄門デス・ゲート》。
 まだミシェルにも、逆転の芽が残されている。
「これで決着だ! 《暴龍事変 ガイグレン》を召喚!」
 一騎の切り札の一枚《ガイグレン》。マナ武装9は達成しているので、無限に攻撃できる。選べばバトルゾーンが吹き飛ぶおまけつきだ。下手なトリガーでは逆転には繋がらない。
 しかしミシェルのデッキは、墓地回収とリアニメイトが豊富だ。《クロスファイア》を回収されたり、また《煉獄と魔弾の印》を唱えられたり、あるいは二枚目以降の《クロスファイア》や《5000GT》を引かれれば、即座に負ける。
 もたもたしていては、どこで強襲されるかわからない。こちらに決められるだけの打点が揃っているなら、ここで決めるしかない。
 《ガイグレン》が場に出た以上、あとは殴るだけだ。
「……《ガイグレン》でシールドをWブレイク!」
 少し悩んでから、一騎はシールドへと攻撃する。《5000GT》の脇をすり抜け、残った二枚のシールドを叩き割る。
 そして、
[! S・トリガー……!]
「来ちゃったか……!」
 ここで《地獄門デス・ゲート》でも捲れようものなら、《ガイグレン》は破壊され、攻撃は止まる。選ばれた時に相手の場を殲滅できるが、《ホネンビー》を復活させ、《クロスファイア》を回収すれば、確実にとどめを刺される。
「…………」
 しかし、ミシェルはそのカードをすぐには出さない。ジッと、見つめているだけだ。
 いや、それは、出さないのではない。
 “出せない”のであった。
「……最後のトリガーは《デス・ハンズ》だ。だが、《5000GT》がいるから出せない。あたしの負けだな」
「そっか……じゃあ、俺の勝ちってことで」
 《5000GT》で召喚を制限したことが、仇となってしまった。ミシェルもトリガークリーチャーすらも、《5000GT》は制限してしまう。
 《デス・ハンズ》が召喚できず、ミシェルは最後の攻撃を止められない。
「……勝ったと思ったんだがな」
 ミシェルは自分の手札に目を落とす。
 そこには、《クロスファイア》が握られていた。
「自分の首を自分で絞めて負けるとか、格好つかないな」
 そう小さく呟いて、ミシェルは手札を伏せた。
 そして、決着する。

「《ガイグレン》で、ダイレクトアタックだ!」

番外編 合同合宿3日目 「叡智を抱き戦場に立て5」 ( No.510 )
日時: 2016/10/18 20:21
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「惜しかったわね、シェリー」
「自分の切り札に足元をすくわれたのは悔しいところだが、それ以上にきっちり詰められたから、仕方ないと割り切る」
「詰め?」
「最後のターン、一騎君は《ガイグレン》で《5000GT》を攻撃しなかったでしょう? あれは、意味があってあえて攻撃しなかったのよ」
「そうなの? 一騎さん」
「うん……まあね」
 一騎は頷く。
「選ばれて破壊されるなら、《5000GT》も一緒に破壊できるし、それならターンを返す危険性を少しでも減らしておきたかったんだ」
「それで、あえて《5000GT》を生かして、《デス・ハンズ》を止めたんですねー」
「《チャケの応援》や《オドル・ニードル》は考慮しなかったんですか?」
「マナや墓地に一枚も見えてなかったから、それらは切ってると判断したよ。それよりも《デス・ハンズ》の可能性の方が高いかなって……もしあったら、負けてたけどね」
「事実、その通りだからな。隙なく詰められた」
 最後の最後まで気を抜かず、ほんの少しでも残った逆転の可能性さえも潰す。
 そのためなら、時として相手の切り札さえも、生かしておく。
「さて、これでAブロックの対戦は全部終わったわね。それじゃあ、次はBブロックの対戦よ」
 Bブロックは、シード権のないブロック。一回戦に勝っても二回戦があり、そして、このブロックを勝ち抜いた者が、Cブロックから出て来た者と戦える。
「Bブロック一回戦は、空護と美琴ね」
「また烏ヶ森どうしか。偏ってるな」
「くじの結果だから。仕方ない仕方ない」
 本当なら、二校合同ということなので、普段は見れないような対戦組み合わせが期待されていたのだが、五組中、三組は同じ学校どうしの対戦カード。二組は違うが、それでもそのうちの一つが、沙弓と恋の対戦なので、いまいちいつもの面子、という印象が拭えなかった。
「そう考えると、最初の暁とハチ君の対戦カードは、意外と見物だったのかもね」
「意外とってなに!?」
「こっちだって真剣だったんすよ!」
「わかってるわかってる、そういう意味じゃないから。とにかく、空護、美琴、次お願いね」
 と、次の対戦を二人に促す沙弓。その言に応じて、二人は対戦準備をする。
 その時だ。ふと、一騎が二人に声をかけた。
「あ、二人とも。対戦前にちょっといい?」
「どうしたんですかー?」
「対戦する前に、二人に伝えておきたいことがあってね……伝えたいことというか、なんというか」
「なんか歯切れ悪いですね。なんですか、はっきり言ってください」
「簡単に言えば部長及び副部長命令だ」
 口ごもる一気に代わるかのように、ミシェルが言い放った。
 そして、畳み掛けるように続ける。
「内容は難しいものじゃない。少し、お前たちの対戦に限って付加価値をつけるだけだ」
「付加価値……? 嫌な響きなんですけど」
「その内容ってのは、なんですかー?」
「うん、それはね——」
 一呼吸おいて、一騎は二人を見据える。
 そして彼は、宣言した。

「——この対戦で勝った方が、次期部長だよ」

『!?』
 声にならない叫びをあげる二人。さしもの二人でも、驚愕は避けられなかった。
「ど、どういうことですか?」
 思わず美琴が聞き返す。それに対して、ミシェルは淡々と答えた。
「そのまんまの意味だ。Bブロック一回戦。お前たち二人の対戦で、勝った方が、うちの部の次期部長だ」
「こんなことで部長を決めてもいいんですか!?」
 さらに声を荒げる美琴。
 次期部長。その言葉の意味は、誰でも理解できるだろう。
 次の代の長を、この場で決める。彼は、彼女は、そう言ったのだ。
 程度差こそあれど、どのような組織であれ、そのトップというのは重要なポジションだ。軽々しく決められるものではないし、現に一騎とミシェルはずっとそのことについて頭を悩ませていた。それは美琴も空護も知っている。
 だからこそ、この場でその話が出て来たこと。そして、部長という重役をこの場で決めることに驚きを隠せないし、抵抗もある。
 しかし、彼らはそうは思っていないようで、
「俺はいいと思うよ。正直、黒月さんか焔君か、どちらかを選ぶことはできない。どっちも部長に相応しい素質を持ってると思うんだ」
「その考えにはあたしも概ね同感でな。だから決めるなら、本人同士で決めさせようと、以前から話していたんだ。そこで、これだ」
 などとのたまっている。
「昨日、ミシェルから話を受けてね。どっちでもいいなら、どうでもいい方法で決めようってことになったんだ」
「それはわからないですー」
 なにはともあれ。
 一騎とミシェルの意向としては、この合宿の、このトーナメントで、なかなか決められない次期部長を決めてしまおう、という魂胆のようだ。
「ちょっと、その決め方はどうなんでしょう……」
「つべこべ言うな。部長と副部長の決定なんだ、お前らに拒否権はない」
 反抗の意志を見せる美琴だが、即座にミシェルに一蹴される。
「どうにも頑なですねー、四天寺先輩。どうしましょう? 僕は構わないですけど」
「どうもこうも……剣埼先輩は、ちょっと沙弓の悪影響を受けすぎだと思う……しかも、上手く嵌められたわ」
「ですねー」
 と、部長案件が上がる傍らで、耳打ちする二人。
 その内容が耳に届いていた一騎は、バツが悪そうな顔でぽつりと漏らした。
「……気付かれちゃったよ」
「少しあいつらを舐めすぎたな」
 そう零す二人に、外野——主に遊戯部の面々と、烏ヶ森の一年生たちは、疑問符を浮かべていた。
 そんな彼らの疑問に答えるように、美琴が説明する。
「私たちが拒否しても、対戦の結果を見て二人は次期部長を任命できる。この対戦そのものをないことにしないと、勝った方が部長というのは、逃れられないわね」
「どういうことっすか?」
「つまりですね、いくら僕たちが、こんな方法で部長を決めるな、と抗議しても、トーナメントはそれとは関係なく行われますよね? 僕たちは関係ないと切り捨てて対戦しても、部長たちは“結果”だけを見て、次期部長のを決められるんですよ。決定権はあちらにあるわけですからねー。まあ、それも含めて、僕は構わないと思いますけどねー」
「完全に見抜かれてる……ごめんね。でも、俺たちじゃどうしても決めきれなくてさ」
「この合宿に乗っかったところがあるのは認めるが、こんなどうでもいいことで決めてもいいくらいに、お前たちを信用してるってことだ。諦めろ」
 いまだ申し訳なさそうにしている一騎と、不遜な態度のミシェル。二人とも、まるで違う様相だが、どちらも意見を曲げる気はないようだった。
「……抗議の内容は後で考えるとして、仕方ないから、今は対戦に集中するわ」
 その二人の意志に根負けしたわけではないが、美琴は一旦、この場では飲み込むことにした。
 あくまで対戦は対戦、部長就任はまた別の問題として、美琴は目の前の物事に取り組む。
「純粋な対戦として臨むわ。焔君、手加減はしないわよ」
「はなっからそんなものは期待してませんねー」
「あたしらのとしても、余計なことは考えないでくれると助かるな。どうせ反発されるだろうから、最初から言わないのが一番なんだが」
「内容が内容だけに、流石に事前報告なしはまずいからね……そこは仕方ないよ」
 と、やっとのことで、空護と美琴の対戦が始まる空気となった。
「……なんか勝手に盛り上がられて、いまいちどう反応したらいいかわからないけど、違う意味で注目の一戦になったわね」
「次の烏ヶ森の部長かぁ……どっちになるんだろう。ねぇ、恋」
「……別にどっちでもいい……つきにぃとミシェルも、どっちでもいいみたいだし……」
 一騎とミシェルの言う「どっちでもいい」と、恋の言う「どっちでもいい」には、大気圏と海溝の奥底ほどの隔たりがあるが、そもそも興味のない恋には関係なかった。
 ともあれ、だ。
 次期部長就任がかかっている(かもしれない)、ある意味では今回のトーナメント一番の目玉となり得る一戦。
 Bブロック第一回戦。空護と美琴の対戦が——始まった。



焔 空護
〜変幻自在の悪夢騎士団〜

vs

黒月 美琴
〜死神の饗宴—Death carnival—〜



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