二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Another Mythology
- 日時: 2016/11/05 01:36
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。
珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——
目次
プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63
16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213
59話〜119話『継承する語り手編』
>>369
『侵革新話編』
120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415
■
Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213
Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355
■
番外編
東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528
■
東鷲宮中学校放送部
第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299
■
登場人物目録
>>57
- 123話「略奪」 ( No.374 )
- 日時: 2016/04/30 02:25
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: uB4no500)
「体、大丈夫かい?」
「うん、もうだいぶ動けるようになったよ。ありがとう」
岩壁に背中を預け、暁は休んでいた。
《レッドゾーン》によるダメージは決して小さくなかったが、それも回復し、立って歩けるほどになった。体はもう大丈夫だろう。
しかし、心の方は、大丈夫とは言い難い。
「コルル……」
「略奪は侵略者の基本行動だけど、まさか語り手を攫っていくとはね。私にも予想外だった」
「私、どうしよう……みんなはいないし、デッキも、コルルまでいなくなっちゃうなんて……デッキがないから戦う力もないし、どうしたら……」
急に、心細くなる。
今までは仲間と一緒だったから、強気でいられた。遊戯部の仲間、烏ヶ森の仲間。人間の仲間がいない時でも、デッキの中にいるクリーチャーたちが、コルルらがいたから、今まで戦えたのだし、前に進むことができた。
しかし今はどうだ。遊戯部や烏ヶ森の仲間はおらず、デッキはすべて、そしてコルルまでもが、奪われてしまった。
仲間がいない。力もない。
そこにいるのは、一人の非力な少女だ。
たった一人ではなにもできない、無力な少女。
それが、今の自分だった。
「……力、か。やはりそれが、この世界の真理なのかもしれないな」
「え?」
「いや、気にしないでくれ。ただの独り言だよ。それよりも、君——暁、といったかな」
メラリーは暁の顔を覗き込む。
そして、穏やかな声で言った。
「君に頼みがあるんだが、いいかな?」
「頼み? 私に? でも私、なにもできないよ……?」
「そんなことはないさ」
「そんなことあるよ。だって、デッキもなにもないし……」
「戦うためのクリーチャーがいないと言うのなら、私が助力しよう。その上で、君に頼みたいんだ」
メラリーの意志は強かった。暁の言葉では、簡単には引かないことがありありと見て取れる。
「そこまで言うなら……なに?」
「私は今、死んだことになっている」
急にそんなことを言われ、戸惑いを覚える。
確かに、なんで生きているんだ、などと問われていた。それだけ、メラリーが今ここにいることは、“あり得ない”ことであったのだろう。
「君らと出会った時のことを覚えているかな? あの後すぐ、私たち【フィストブロウ】は、【鳳】と仲違いをしてしまってね。表向きでは、私が死に、【鳳】が【フィストブロウ】を殲滅するようになったんだ」
「えぇ!? 殲滅って、そんな……」
「だから今、私の仲間たちは、【鳳】の侵略者たちに狙われているだろう。私の仲間ならどうにか切り抜けられるとは思うが、私としては皆のことが気がかりなんだ」
暁が仲間を思い、仲間がいないがゆえに心細くなるように、メラリーにとっても仲間は大切な存在だ。
【フィストブロウ】はほとんど潰れかけており、今もなお、【鳳】の魔の手に追われている。それを黙って見ていることはできない。
だから、
「私の仲間に力を貸してくれないだろうか? 君が失った力は、私の力を代わりにしてくれ」
そう言ってメラリーは、暁の手を強く握る。いや、なにかを握らされた。
メラリーの手が離れると、暁の手には一つのデッキが握られていた。
「これ……! いいの?」
「構わないよ。それと、人間の口に合うかは分からないが、これも」
さらにメラリーは、背負っていた袋を地面に落とす。中を開けると、食料に水、毛布などが入っていた。
「こんなものまで……でも、メラリーは?」
「私は大丈夫だ。少なくとも、人間よりは頑丈で長生きできるようになっている」
冗談めかして言うが、事実その通りだろう。
袋の中には、まだ結構な量の食糧と水が入っている。大雑把な見積もりだが、少なくとも一週間は持ちそうだ。
顔を上げると、メラリーがこちらを見つめている。真摯な面持ちで、懇願するような眼差しを向けていた。
「君に私の力を託す。だから君には、私の代わりに【フィストブロウ】の力になってほしい」
「……助けてもらったわけだし、お礼としてそのくらいのことはするけど、メラリーはどうするの?」
侵略者に襲われていたところを助けられ、こうしてデッキと食糧に水まで貰ったのだ。暁とて義理人情を忘れた人間ではない。その恩返しはしたいと思う。
しかし、仲間を助けるというのなら、それをわざわざ無関係な暁に頼む必要はない。メラリーの仲間なのだから、メラリーが助けに向かえばいいと考えるのが普通だ。
それをしないということは、それができないような理由があるのだ。
そう、たとえば、その間にしなければならないことがある、などといったことが。
メラリーは暁に背を向けながら、独り言のように言う。
「私は……力を求めに行くよ」
「力?」
「あぁ。この世界を塗り替えられるほどの、力を探しに行く……皆のためにね」
「……メラリー」
暁の目に映るメラリーの後姿は、どこか暗い影を宿していた。
その姿は、正義に操られた彼女とだぶって見えた。しかし彼女と違い、手が届きそうなところに、メラリーはいない。
「じゃあ、頼んだよ。暁」
「あ、メラリー……っ」
もう少し話を聞きたかったが、メラリーは流し目で暁を一瞥すると、跳躍して岩山を登っていく。その姿は、瞬く間に見えなくなってしまった。
「……行っちゃった」
遂に暁は一人残される。
メラリーが消え去った方向をしばらく見つめると、暁は手にしたデッキを握った。
「なんかよく分かんないけど、メラリーに貸してもらったこのデッキは、大切にしなきゃ」
剥き身のままのデッキを、落ちないようにポケットに仕舞い込み、食料などが入った袋を担ぐ。
心細さは解消されていない。仲間とは離れ離れ、いつものデッキもコルルも奪われ、メラリーさえもいなくなってしまった。
行き先は不透明。どこに歩いて行けばいいのかすらも分からない。
それでも進むしかないのだ。
仲間と出会い、そして、取り戻すためにも。
「……行こう」
たった一人で、暁は歩み出す——
「——まさか、あの野郎が生きてるとはな」
法定速度など存在しない世界。思うがままの速度で赤い機体を駆りながら、吐き捨てるように呟く。
本当に、まさかの出来事だ。木端微塵になったと思って死体は探さなかったし、とどめを刺したという確認も怠っていたが、それでもあそこまでピンピンしているとは思わなかった。あの様子では、命からがら助かった、というわけでもなさそうだ。
「どーにも臭いな……一応、知らせてやるか」
速度を少し落とし、バンバンとフルフェイスのヘルメットを掌で叩く。
このヘルメットには通信機が内蔵されていた。一部の仲間——【鳳】の幹部——と連絡を取るための、簡易的なものだ。簡易的と言っても、通信範囲は一文明の領土内ならば余裕で繋がるレベルのものだが。
ヘルメットの中に内蔵されており、しかもフルフェイスなので、音が漏れることはないし、聞き取れないということもない。ヘルメットをフルフェイスにしている“本来の理由”ではないものの、その副次的な恩恵だった。
「おい、キキ、インペイ。応答しろ」
自分の声がヘルメットの中で反響する。ザザザ、という軽いノイズ音が聞こえると、通信機から二人の声が聞こえてくる。
『はいはーい! どうしましたか?』
『なにか問題があったでありますか?』
あまり速度を出しすぎると、通信に障害をきたすと開発部にしょっちゅう言われていたが、問題なく通じたようだ。自我をほんの少し抑えて、速度を落とした甲斐があった。
聞こえてくる二人の声は鮮明だ。同時に聞こえてくるが、聞き慣れた声だ。この程度ならば簡単に聞き分けられるので問題ない。
頭の中で、今から言うべきことを整理する。【鳳】の頭として、どのような指示を出すべきかを考える。
考えるのは性に合わないが、それが自分の務めだ。一集団のトップに立ったからには、それは当然の義務だ。
出すべき指示をある程度まとめる。あとは勢いでなんとかなるだろうと思い、言い放った。
「メラリヴレイムが生きていた」
沈黙が訪れた。たった一瞬だったが、その一瞬の間にも、周りの風景が一変するほどの時間だ。
『……それはそれは、驚きですね。これ【フィストブロウ】に流したら、情報料取れちゃいますよ?』
『あなたが我々に直接伝えたということは真実なのでしょうが、それ以上に、あなたが仕留めそこなったということが信じがたいでありますな……』
「んなこた自分でもわかってんだ。とにかく、メラリヴレイムは生きている。それが今の事実だ」
今現在起っている、同盟破棄からの【フィストブロウ】狩りは、そもそもメラリヴレイムの死が切っ掛けだ。ゆえに、メラリヴレイムが生きているという事実は、多少なりとも【鳳】にとっては好ましくないもので、少なからず【フィストブロウ】に恩恵がある。
しかしそれでも、【鳳】の進むべき道は同じだ。
「奴が生きていようがどうしようが、【鳳】の目的は変わんねぇ。【フィストブロウ】殲滅作戦は続行だ。だが、メラリヴレイムの動向には気を配れ。奴はなんか企んでいるようだからな。最優先で消すべきターゲットだ。奇天烈隊、獣軍隊の指揮はそれぞれお前らに任せる。他の部隊にも、お前らから伝えろ。以上だ」
矢継ぎ早に指示を飛ばしていく。押し付けがましく言っていることは自分でも分かっているが、それを拒否する相手ではなかった。
『りょーかいしましたっ!』
『了解であります』
快諾の返事が聞こえると、ぷつりと通信が切れた。
ヘルメットの内側に向けていた意識を、外へと戻す。面白みのない岩山と、その先にある森が見えた。もう自然文明領。
目の前に自然の領域はあるものの、行く先は特に決まっていない。とりあえず大陸を軽く一周するか、などと呟いて、進路を沿岸の方へと変える。
ふと、仕舞い込んだデッキケースのことを思い出す。果てる寸前の語り手のことはどうするべきだろうか。今はまだ動けないようだが、やがて回復し、暴れられ、抵抗されると面倒だ。
「……開発部長んとこ寄るか。確か、ちょうど自然文明領の森に、簡易研究所を構えてるっつってたしな」
すぐさまUターンし、沿岸に向かう予定だった進路をまた変える。進む先は、先ほど見えた自然文明領の森だ。沿岸に向かわなくても、そこから一周すればいい、などと軽く考える。
考えることはすべて、略奪、侵略。
種は蒔いた。その種が実になって、また自分の前に現れる時を待つ。
勿論、ゆっくり待つつもりはない。その間にも、自分は走り続ける。
自分の走りを、彼女が追えるようになった時。自分と同じサーキットに立てるようになった時。
その時が、本当の侵略の時だ。
「……行くか」
アクセルを強く踏む。落としていたスピードを一気に上げ、危険域に到達するほどの速度で、この世界を駆け抜けていく。
刹那の後には、そこには砂煙だけが舞い、誰もいなかった。
- 124話「復讐者」 ( No.375 )
- 日時: 2016/04/30 15:45
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: uB4no500)
意識が戻る。しかし、瞼が閉じたままなので、視界は暗いままだ。
瞼の向こう側が熱い。じりじりとした光が照りつけていることが分かる。
眩しい光を視界に入れるのは億劫だったが、今はかつ目しなければならない時だと、重い瞼をゆっくりと持ち上げる。
「…………」
「恋! 目が覚めたんだね」
声が聞こえるとともに、日差しを遮るように誰かが覗き込む。起き抜けの日差しほど憎いものはないので、ちょうどよかった。
そんなことを思いつつ恋は目の前の顔を認識する。
「キュプリス……」
ぼそりと呟く。特に意味はない。
顔が近い彼女を押し退けて、恋は体を起こす。一度眠りにつくと、できればずっと寝ていたい性分だが、毛布もシーツもないこのゴツゴツした硬いベッドで寝続ける気にはなれなかった。
手で自分がさっきまで寝ていた岩肌の寝台をさするろ、風化してこぼれ落ちた砂が手につく。
そこで恋は自覚する。この場所は、自分の知らない場所であると。
「……ここは……?」
「火文明領、サンライズ・マウテンの北部ですよ」
思わず口にしたら、思わないところから答えが返ってきた。
キュプリスではない。彼女の向かい側、二人で恋を両側から挟むようにして、彼女はそこにいた。
まず、まっすぐに下ろした長い白銀の髪が目を引く。修道服のような白いガウンには、所々に金糸の刺繍が施されており、また黄金の鎖が伸びていて、彼女が腰のあたりで吊している金色の懐中時計と繋がっていた。
「……誰?」
「ボクらを助けてくれた人だよ。人って言ってもクリーチャーだけど。恋を介抱してくれたんだよ」
「クルミスリィトといいます、ルミスと呼んでください」
穏やかに微笑んで、クルミスリィト——ルミスは名乗った。
ルミスは聖女のような微笑みを絶やさず、回想するように続ける。
「それにしても驚きましたよ。歩いていたら、いきなり目の前に倒れた人が現れるんですもの」
「いきなり……あらわれる……?」
「リュンさんの転送が失敗して、転送先が狂ったんだろうね。その時の衝撃で、気を失ったんじゃないのかな?」
「あぁ……」
思い出した。
そうだ。転送の際、いつもなら一瞬でこちらの世界に来るはずが、なにか猛烈な衝撃を感じたのだ。その後のことは覚えていないが、気を失っていたということは、そういうことなのだろう。
「……あきらは……?」
「コルル君たちの姿も見えないし、気配も感じない。誤転送先はバラバラになっちゃったんだと思うよ」
「ん……むぅ……」
唸る恋。
どういう理屈で、転送先がデタラメになったり、皆がバラバラになったのかは分からないが、恋にとって重要なのは理屈ではなく結果だった。
仲間とバラバラになってしまったということは、一緒に転送された一騎とはぐれたというだけではなく、こちらの世界で合流する予定だった暁たちとも会えなくなったということだ。
「……せっかく、会えると思ったのに……リュン、使えない……無能すぎる……」
「今回はかなり緊急事態だったっぽいけど、その辺はあとで問い詰めてもいいかもね」
それよりも、とキュプリスはルミスの方を向く。そして、ペコリと頭を垂れた。
「なにはともあれ、ありがとうございます。あなたのおかげで助かりましたよ。ほら、恋もお礼言わなきゃ」
「つきにぃみたいなことを……」
キュプリスに促されたせいか、やや得心いかぬ様子ではあったものの、恋も軽く頭を下げる。下げると言っても、少し前に倒した程度だったが。
そんな恋の態度を気にする風もなく、ルミスは軽く笑ってみせた。
「いいえ、私も流石に見て見ぬ振りはできなかったので……ただ」
ふっ、とルミスの目が鋭く細くなる。
その視線は、恋の後方に注がれていた。
「——追いつかれてしまったようです」
ぼそりと呟いた直後だ。
「復讐する……」
ゆらりと黒い影が現れる。
太陽の光すらも飲み込んでしまうほどに黒い。体も、ゆらゆらとなびくように揺れており、どこか不安定な様相だった。
姿形がはっきりしないそれは、辛うじて人型らしいことが見て取れる。顔に当たる部分だけは白く、兜のような仮面を付けていた。その仮面の頬にあたる部分には、鳥のようなシンボルが、焼印のように刻まれている。
「……なに、こいつ……クリーチャー……?」
「そうみたいだね」
キュプリスが返す。見るからに人間らしい雰囲気がない。そもそもこの世界にいる人間など、ごくごく限られているのだが。
しかし普通のクリーチャーとはどこか違う。なにが、とは言えないが、強いて言うならば空気だ。
影から発される空気感が、今まで感じたものとはどこか違うのだ。クリーチャーのようでありながら、別物のようでもあるような、そんな違和感。
ルミスがそっと口添えをする。
「彼らは復讐者。復讐王に仕える、彼の手駒です」
「ふくしゅうしゃ……?」
「言ってしまえば、復讐王のために、復讐することばかりを考えている連中ですよ」
復讐。
やられたことをやり返すこと。因果応報とも言う。
報いは当然のリスクという考え方もあるが、恋の世界のモラルにおいては、あまり美徳とは言えない概念だ。
むしろ、凄惨さを広げる、血生臭い行為として扱われることが多い。
「私は連中に追われているんです。特になにかをしたつもりはないのですが、なにかにつけて復讐復讐と言って襲ってくるので、もうストーカーですね」
「きもちわるい……」
「まあもっとも、私が【フィストブロウ】で、相手が【鳳】である以上、戦いは避けられないことなんですけども」
「【フィストブロウ】……【鳳】……」
聞いたことのある名前だった。
忘れもしない、超高速の侵略を、あの時の屈辱と共に思い出す。
そう恋が回想していると、ルミスが前に出た。
「あなたを巻き込むわけにはいきませんので、恋さんとキュプリスさんは下がっててください。絶対に手を出してはいけませんよ」
ルミスは恋とキュプリスを、岩陰まで逃がした。
スッとルミスの手元が光る。彼女の指の間に、なにかが挟まっていた。
針だ。それも少々特殊な形状をしている、金色の時計針。
「……復讐する……!」
おぞましい声を上げ、復讐者が迫る。手には、鉈のような巨大な剣が握られていた。
ルミスは挟み込んだ針を、射出するように投げる。しかしこれを復讐者は、体を揺らすように避け、大剣を薙ぎ払う。
後ろに下がって距離を開き、大剣の一撃を回避。しかし復讐者は、薙ぎ払う勢いを回転に変え、その運動のまま振りかぶる。
「復讐……!」
「相変わらず、しつこさばっかりなんですから!」
唐竹割りのような斬撃を横に飛んで躱すルミス。
復讐者は突く、薙ぐ、斬るの連続攻撃でルミスに襲い掛かるも、ルミスはガウンを翻してその攻撃を避け続ける。
しかしルミスも避けてばかりではいられない。隙を見て針を飛ばすが、ゆらゆらとした不気味な動きで、復讐者はルミスの攻撃をすべて透かしてしまう。
その動きのまま、復讐者は踏み出した。
「……っ」
「復讐、する……!」
陽炎が揺らめくような動きで肉薄する復讐者。彼の刃が、ルミスの身に届かんとする、その時だ。
ぐっ、と。
復讐者の動きが一瞬鈍る。見れば、彼の手は鎖が巻き付かれていた。
その鎖は奥の岩陰へと伸びており、そこから二つの顔が覗いている。
「危ない危ない、危機一髪だった」
「キュプリス……ぐっじょぶ」
復讐者の刃がルミスを切り裂く直前に、キュプリスの伸ばした鎖が復讐者の攻撃を止めていた。
間一髪でキュプリスに助けられたルミスだが、彼女は安心するどころか、焦ったような表情を見せている。
「っ、ダメですってば……! 下手に復讐者に手を出したら——」
「——復讐する……!」
「え」
ガバッ、と復讐者は大きく踏み込んだ。地面を蹴り飛ばすように、瞬発的に、飛びこむように恋とキュプリスへ突撃する。
長大な刃を、彼女たちに向けて。
「……!」
復讐者。それは、復讐隊に属する、復讐王の眷属。
他の部隊と比べてかなり特殊な立場にある彼らだが、【鳳】の侵略者が持つ“成し遂げたい欲望”は持っていた。
それは、復讐すること。
なにかをされたら、なにかを返す。どんなに些細なことでも、報復を行う。二倍三倍、十倍二十倍、その規模はどんどん膨れ上がり、すべてを奪い尽くすまで復讐の連鎖は止まることがない。そしてその発端は、あらゆる事象から起こりうる。
零を何倍にしても零にしかならないが。
一でもあれば、彼らはそれを何倍にも増幅させて復讐する。
どんな相手に対しても。どんな時であっても。
復讐の最中でさえ、彼らの復讐は増幅し、連鎖するのだ。
そう、たとえば。
【フィストブロウ】のサブリーダーとの交戦中に、邪魔してきた人間と語り手が出て来れば、新たな二人は立派な復讐対象と成り得る。
復讐対象に刃を向けない道理はない。一瞬でカタのつく相手であれば、先に簡単な方から復讐を終わらせる。ただそれだけのことだ。
そうして復讐者は大剣を振るう。
「いけない……っ!」
復讐者の刃が、恋とキュプリスへと迫る。
ルミスは思い切って飛び、復讐者を止めようとするも、距離が足りない。ワンテンポ出遅れているので、復讐者には追いつかない。
——緊急事態ですし、かくなるうえは——
「恋!」
「……っ」
咄嗟に目を瞑り、腕で身を守るように身を縮める恋。さらにその前にはキュプリスが盾になるかのように立つが、意味があるとは思えない。
キュプリスも防御態勢を取れていない。復讐者の大剣は、キュプリスの鎖も身も簡単に断ち切るだろう。当然、恋の肉体など、紙切れと同じように斬ってしまうかもしれない。
だからいくら身を硬くしても意味はない。このまま真っ二つに両断されてしまう。
だが、しかし。
「……?」
ふっ、と。
恋は恐る恐る目を開く。なにかが起こった様子がない。
視界にも、なにもなかった。広がっているのは岩山の岩肌のみだ。
復讐者も、ルミスもいない。
「……どういう……」
「恋、神話空間だ」
「神話空間……?」
「ルミスさんが、神話空間を開いたんだ」
見れば確かに、目の前の空間が少しばかり歪んでいる。
自分が復讐者にやられそうになった直前、彼女は復讐者を神話空間に引きずり込んで、自分を助けてくれたのだろう。
「……ルミス」
恋はぽつりと、彼女の名前を呼んだ。
その声は、目の前の空間に届く前に、儚く消えた。
- Re: デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.376 )
- 日時: 2016/04/30 21:48
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: RHpGihsX)
というわけで、いつの間にか更新されまくっててビビってるタクです。何故だ。毎日楽しく読んでて更新されるのを待ってたらもう手遅れとか、速さはバイク並みですか。
それはともかく、ガイグレンに取り込まれた一騎は、何とかミシェルが彼に突貫することで助け出すことが出来ましたか。お前人間じゃねえだろ絶対。
そんでもって、此処まで一騎は1人で無茶をして突っ込んで、そして自爆するパターンが多かったですけど、やっぱりミシェルはそれをよく知っていたわけですね。とうとう拳を叩き込まれる始末。まあ仕方あるまい。
ですが、今回個人的に最も注目したいのはやっぱり何が何でも《レーヴァテイン》でしょう。
ドラグハートを使えるのにドラグナーではないところが、ガイグレンとの対比になっていてとても面白いと思いました。
そして、最初のドラグハートである《ガイギンガ・ソウル》で決めに行くところもとてもかっこよかったです。
野田先輩や恋、そしてミシェルと関わって、ようやく一騎も神話継承の資格を得たということですがこれは驚きですわこの能力。後、並べてるうちに気付いたけどこいつもハーレム状態になりつつあるな。
話を戻し、レーヴァテインって装備さえしていなければ殴れば殴るほどフォートレスが増えていく、地味に強力なクリーチャーなんですよねえ……。あまり強いのがいないのが救いか。だけど並べたフォートレス達を《剣聖ジゲン》で一気に引っ繰り返したい感はありますね。
あ、なんかこいつ出てきそうな感じがする。
というわけで、何とかグレンモルトも戻ってきて、新たなデッキづくりに挑む、と。
……対戦して分かりましたけど、一騎のデッキ地味に強いですからね……どうなることか。
というわけでAM本編。前回の全滅ENDより、どう巻き返すのかがハラハラしていましたが、待ち構えたかのように颯爽と現れる一騎先輩マジイケメン。というわけで、ブーストカードとかを彼から借りてデッキを作りに掛かりますか。
とはいえ、此処までイメンとは思えないほどの動きをしている柚はそれでも一筋縄ではいかなさそうですけど。
そもそも《ドミティウス》積んでるしなあ。あ、これに《ガイグレン》入れたらもっと手が付けられなくなる、と思ったのはご愛嬌。
薫風武装がこいつ入れる構築の正解の1つだからね、仕方ないね。
と、それはともかく。
二度目の暁対柚の対戦。
クリーチャーを展開していく互いですが、それでも《ヴェロキボアロス》の龍解は防ぐことが出来ませんでしたか。
劇中の表現から、こいつが普通のジュラシック・コマンド・ドラゴンとはやはり違った存在であることが分かりますね。それも一際邪悪な存在として。
そして、更に現れる《ドミティウス》。此処から現れる5体の英雄——あかん。やばいやばいやばい。
マナ武装という強い枷を付けられた能力を普通に全部使ってしまうのはやばい。
しかもマナに還っても今度は《ヴェロキボアロス》の効果でまたやってくるっていうね。恐ろしすぎでしょこいつ。
それをS・トリガーで止めきる暁も大概ですが。もうやだこの頂上決戦。
今度は《コーヴァス》で一転攻勢に入る暁ですが、《アポカリプス・デイ》で場をリセットされて止められる、と。アポカリ過労死不可避。
しかし、この場面も龍回避でバトライ閣が何とか持ち堪えますか。
だけどまたもやドミティウスを召喚してガイゲンスイの召喚を狙う柚。でも——もう彼女の元にガイゲンスイは来なかったわけですね。
そして暁が今度はガイゲンスイを召喚する、と。え、待ってコレ。一応入ってたんだガイゲンスイ。
ちょっとよくわかんない。2枚くらい入ってたってことで良いんですかねコレ。
ちょっとこの辺急展開すぎてビビっちゃいました。いや、物語的補正って言われてもね。
そんでもって、バトライ閣も龍解させて、再びバトライ武神に。そのアタックトリガー効果で出て来たのは——プルでしたか。
メソロギィでこのみがアポロン使っていたのとは対になっていますね。
そしてこのデュエルは、押し切った暁の勝利に終わった、と。
さて、ここからは今まで更新されている最新話と関連させていきますか。
で、案の定柚に寄生していた異形の正体。まさかのまんま蜂とは驚き。まあクリーチャーなら別に驚くことでもないですか。
名前も『蜂』と徹底的だけど。
此処で新しい組織も明らかに。【蜂群崩壊症候群】……ミツバチの群れが失踪する現象ですが、奴らクリーチャー界から生物を消そうと考えてるわけですが。またまたクレイジーな。
加えてガジュマルという語り手らしきクリーチャーも、どうやら只のそれではなさそうですね。
最新話では謎の少年、ファイも登場していよいよ分からなくなってきてますね。
更に注目したいのは此処から。
新たなる敵勢力がもう1つ明らかになりますか。
十二新話……とうとう、彼女が登場する時も近いというわけですか。
いや、もうちょいちょい出てますけども。
クロノスを筆頭にして、新たな神話を作り出す……またこんな感じの勢力かあ。やべーぞ。
そんでもって、クロノスの配下になっているウルカがリュンの妨害に。攻撃力から防御力差し引くってそれなんていう遊戯王? それはともかく、これで暁達は散り散りに。
加えて更に【鳳】もメラリブレイムを撃破して、とうとう【フィストブロウ】の殲滅戦に。
おい、死ぬのはえーよ!! とか思ってたら、こいつも生きてたけど。
音速隊の統領の男に捕まりそうになった暁にデッキを手渡しましたが、これが一体どのようなデッキなのか……。
そして、サンライズ・マウンテンの北側では、同じくはぐれた恋とルミスことクルミスリィトが出会う、と。この人はあれですかね。光使い……? 暁が火使いのメラリーと出会ったからそんな感じはしますけど。
でも案の定、此処にも【鳳】の手先の復讐者が。今度は復讐の侵略者かあ。
【鳳】の面子は音速隊の男の台詞からだんだん割れてきましたね。奇天烈隊、獣軍隊、オイまんまじゃねーか後者。後は三界か……?
更にS級侵略者はどうなっているかも気になりますし。更に隊があるのか? 不死隊とか原始隊とか宇宙隊とか……と白々しく吐いておきます。後は革命編のラスボスだった正体不明なあの方とか、ドキンドキンでダムダムなあいつとか、そしてその配下とかがどうなってるのかも気になりますし。どうなるんだAM。革命チェンジとかも出てくるのか、と先の展開を妄想しまくってます。
総評。短い間に敵勢力が2つ現れ、加えて【鳳】と【フィストブロウ】の対決で大混戦になっていてやばい。先が見えない。終わる予感が全くしない。
大興奮の展開が続き、更新が楽しみになっています。
ごっちゃごちゃてんでんばらばらの大混戦。どうなるのか見ものですね。
それでは、また。
- デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.377 )
- 日時: 2016/05/01 05:55
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: uB4no500)
タクさん
まー、一日一更新、何日か、空いたとしても、その後に一気に更新してるとかありますからね。
自分としては、文章量が多いだけに、できるだけ読者が追いつけるようにしているつもりではあるんですけど、やっぱり早いですかね。原付程度の速度を目指しているんですが。
ミシェルは一騎が絡むとついつい出しちゃうんですよね……それだけの行動力の発言力があるから、一騎の行動を操作しやすい。
一騎の無茶というか、痛い目に遭ってる事柄は、今までの行動から概ね察せられるはず。一騎が行動に起こして、良い方向に事が転んだことって実はほとんどない。鉄拳制裁を受けても致し方ないのです。
《レーヴァテイン》の能力はかなり悩んだんですけどね……ただやっぱり、一騎らしさを出すなら、暁との一番の違いであるドラグハートかな、と。最近は暁も結構ドラグハート使ってますけど。
ついでに調整にもかなり苦労しました。火力とランデスは確定で、シールド焼却能力をどう再現しようかなと。
《プロトハート》とのシナジーは、強いと思いつつも欲しかったので外せず、かといって二回攻撃でそのままシールド焼却にしたらぶっ壊れるし、何枚まで焼いていいかを考えた結果、1ターンに一枚だけとなりました。まあ、火力はともかく、2ランデスは強いですし。
あと、フォートレスを設置することで思いのほかメソロギィ・ゼロを達成しやすくて、合計コスト12まで展開しづらいヒューマノイドの弱点が補われたので、当初の予定よりかなり弱体化しましたね。
《ガイギンガ・ソウル》でのとどめは、合理的な流れでもありますけど、まあガイギンガを取り込んだガイグレン相手なら、うってつけかなと思ってやらせましたね。仰るように、一騎が最初に手にしたドラグハートですしね。
一騎はまだ男子部員がそれなりにいる環境なので、ギリギリマシなはず。だけど確かに軽くハーレムになりそうだなぁ……そもそも、恋と同居している時点で、設定的にはその手の主人公っぽくなってしまってますけど。相手が恋ってのがアレですが、まあ慕われてるしなぁ……
《レーヴァテイン》の能力は、確かにガンガンフォートレスが増やせますね。装備しても、すぐに龍解すればまた装備できますし。
まあ、だからこそ、その辺の制限はしっかりつけましたけどね。《ギガハート》は強すぎるからウエポンはコスト5以下、フォートレスは《ハートバーン》があるからコスト4以下まで、文明も火限定で。
ただまあ、ドラグハート抜きにしても、火力とランデス、限定的なシールド焼却もありますし、それはそれでなかなかに強いはずなんですが。
ここいらで一騎にはデッキを一新してもらう予定。より強く、使いやすくするためではありますが、まさかこのデッキ変更が、本編のための伏線だとは思うまい……
そういうわけで、一騎は暁に自然のカードを使わせるために出て来て、そのためにデッキを変更したようなものだったり。いやまあ、《ガイグレン》なんかを使うためでもありますけど。
柚のデッキは、イメンというよりは、一応薫風武装ですね。英雄と《ドミティウス》をぶち込んだ、相当特殊な型ですけど、そこは作品的な都合です。こんなんまともに動かせるはずがない。
《ボアロアックス》が厄介なのは誰でも知っているように、一度フォートレスまで龍解されたら、かなーり苦しいんですよね。イメンやサソリスも、《ボアロパゴス》立てられて次のターンを渡したらほとんど負け、とさえ言われてますからね。
背景ストーリー上でも、寄生類目とか、邪悪龍と呼ばれるジュラシック・コマンド・ドラゴンは、特殊な立ち位置として描かれているようですしね。こちらでもその流れを汲んでいます。
今まででも英雄を出すことはやっていますが、一度はやってみたかった、《ドミティウス》から五体の英雄一気出し。誰もが夢見る、正に夢の展開でしょう。自分も夢見てます。だから今回は、演出にもかなり凝りましたね。大変だったので、たぶんもうやらないか、次はもっと工夫しますが。
まあそこは《フォーエバー・プリンセス》で邪魔されてしまったわけなので、なんか微妙に格好つかないんですが、残りデッキ枚数とか考えると、あいつに墓地に落ちてもらう必要があったんですよね。ここまで来たら多少のマナや手札やデッキの足りなさは誤魔化せなくもないんですが、その辺はちゃんとします。
《ヴェロキボアロス》で《フォーエバー・プリンセス》によって戻された英雄の能力を再び使い回す……冷静に考えると、相手のカードの能力を逆利用してからのアドの取り方半端ないですね。こういう動きができるボアロはやっぱり面白い。
主人公補正と言えばそれまでですけど、暁も大概トリガー連発してますからねぇ。
《アポカリプス・デイ》は展開後のリセットとして非常に優秀。これからも活躍してもらいます。
《バトライ武神》と《ヴェロキボアロス》の違い、龍回避の有無が、今回の勝負の決め手でしたね。龍回避で次のターンには即座に龍解し直せる《バトライ閣》に対して、どれだけ並べようと1ターンではフォートレスまでしか行けない《ボアロパゴス》では、早さが違う。
カードの創造くらいなら、カードゲーム作品では基本。
奪われたカードを使われても、破壊して取り返すくらいならしちゃいますよ。終始一貫、徹頭徹尾、ゲームのルールそのままの通りに進めるだなんて言ってませんし、そういうのは競技的なガチのデュエマでやればいいのです。神話空間なんて不思議空間で対戦しているのだから、不思議なことの一つや二つは起こっても不思議はない。
つっても、こんな演出はそう何度もしないでしょうけど。これが最後になるかもしれませんし。
一騎がデッキ変更したのも、暁に自然を使わせたのも、すべてはこのため。
毒を持って毒を制するように、自然を制するためには自然。柚を救うために、暁は自然とも手を組みますよ。
このみが使った《アポロン》は、《プロセルピナ》を呼ぶために使われましたけど、暁の場合は完全に《メイプル》をフィニッシャーとして運用しているのが、違いと言えば違いですか。
暁のトリガーもあれですけど、柚の《ボアロパゴス》を使いまくった防御も個人的にはポイントなんですけどね。《ボアロパゴス》は場合によってはあそこまで粘れるから、やっぱり面白い。今回は、暁の展開力に押し負けましたけど。
人型が多いうちの作品ですけど、たまにはこういうのもいいよね? みたいな感じで、分かりやすいクリーチャーです。
名前に関しても、たまにはこういうストレートなというか、一般名詞をそのまま使って見たかったっていうのがありますね。二重かぎ括弧がついているのがポイントです。あ、一応『蜂』にも、クリーチャーとしてのちゃんとした名前がありますよ? 『蜂』は俗称です。俗称って言うか、愛称か。
【蜂群崩壊症候群】の元ネタはその現象で正解ですが、もう一つ加えるなら、『エスカ&ロジーのアトリエ』に、『蜂群崩壊症候群』、通称こっこと呼ばれる曲があるんですよね。そっちも多少意識しています。モノクロのお気に入りの曲でもあります。結構、衝撃的な曲ですが。
今のところは柚を使っての登場なので顔見せ程度ですが、ガジュマル、ファイ、そして『蜂』も、今後はどんどん出していくつもりです。
特に連中は、統治とか秩序ではなく、明らかな破滅を目的としているところが、他の組織と決定的に違いますからね。
【十二新話】……元ネタというか意識したのは、言うまでもなく『十二神話』。メンバーの種類はかなり想像しやすいというか、枠がすぐ分かる連中。
目的は、最もリュンと近いですね。というかほぼ同じです。ただメンバーに関して意見が完全衝突していますけど。
ウルカのたとえはむしろ、ポケモンのダメ計あたりが近いかも。
ちなみに『ウルカバズーカ』は、後から言われた『ウルカ砲』に名前を変えたいとか思ってる。発案が自分じゃないので、やりませんが。
革命軍はやられる定め……メラリーはあっという間にやられて、いつの間にか復活してます。まあそう簡単に死にませんわ。メラリーには、かなり大きな役目がありますしね。
暁のデッキは、あまり隠すようなことじゃないというか、わりと簡単に予想できそうですけど、まあそんな先にはならないので、出る時までのお楽しみとしときますか。
ルミスの文明も……まあ、こっちもすぐに明かされますし、あえて言うほどのことじゃないですね。
光に復讐の侵略者を当てると、アニメの二番煎じみたいになって嫌だったんですが、いろいろ考えてると、あまりものがこの組み合わせになったんですよねぇ……
【鳳】の部隊名は、基本的に○○隊なので、獣軍隊はそれだけで完結しちゃってるから仕方ない。特に深く気にすることでもないかなって。
S級侵略者ですかぁ……まあ、そこはまだ出番ではないので、今は伏せておきます。黒幕の天才や、ドキンちゃん、D2たちも同じく。
最新カードは使えても先になりそうですが、どう使うかは大体考えてますね。
まあ、混戦と言えば聞こえはいいですが、むしろ混線状態になりかねないのが懸念事項ですね。
かなり組織が増えましたし、キャラも増えますし、読者をどう混乱させないように書くか、かなり悩んでおります。
広げすぎて本当に収拾がつかなくならないように、気を付けたいとは思いますけど。
とにもかくにもコメありでした。更新ペースは大体、2、3日に1話前後くらいで続けたいと思います。
- 124話「復讐者」 ( No.378 )
- 日時: 2016/05/01 15:31
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: uB4no500)
「咄嗟のことだったので、思わずやってしまいましたが……」
目の前に展開される、五枚の盾。手元に浮かぶ、五枚の手札。真横に置かれる、三十枚の山札。
周りは名状しがた摩訶不思議な空間がどこまでも広がっている。
他のクリーチャーを配下として使役し、戦うための空間、神話空間。
本来ならば、むしろ恋たちがルミスのようなクリーチャーと対等に戦うための空間で、クリーチャーであるルミスからすれば、あまり慣れない場所と方法ではあるのだが、
「しかし、肉体をぶつけ合うよりも手っ取り早そうですね、ここなら恋さんたちに被害も出ませんし。それに私も、一団の統率補佐。指示指令で戦うこともできるということを、証明してあげましょう」
そんな意気込みを見せながら、ルミスはカードを手に取る。
ルミスと復讐者のデュエル
ルミスのシールドは四枚。場には《一撃奪取 アクロアイト》が一体。
復讐者のシールドは五枚。場には《オタカラ・アッタカラ》と《侵略者 フワシロ》が一体ずつ。
「私のターン。《アクロアイト》でコストを1軽くして、《超過の翼 デネブモンゴ》を召喚。カードを一枚引いて、二体目の《アクロアイト》をバトルゾーンに」
《デネブモンゴ》の導かれ、二体目の《アクロアイト》が姿を現す。
そこでルミスは、自分のシールドと相手の場、手札を見ながら、思案する。
「ここは、攻撃してみましょうか。《アクロアイト》でシールドブレイクです!」
考えた結果、ルミスは攻める。
《アクロアイト》の武器化した腕が、復讐者のシールドを砕いたが、
「……復讐する」
ぽつりと、復讐者は呪詛を唱えるように、呟いた。
刹那、盾から収束した光が、実体のない魔手となり放たれる。
「呪文《ゴースト・タッチ》……相手の手札を一枚墓地へ」
「っ!」
「もう一撃……《特攻人形ジェニー》……即座に破壊……相手の手札を一枚墓地へ」
「また手札を……」
S・トリガーの《ゴースト・タッチ》で一枚、返すターンに放たれた《特攻人形ジェニー》でもう一枚、ルミスの手札が墓地へと落とされていく。
だが、それだけでは終わらない。
「《フワシロ》で攻撃……侵略発動」
「来ますか、侵略……!」
ルミスは身構える。
侵略。それは、【鳳】に属する侵略者たちの行う、特殊な力。ルミスも何度かこの目で見ているが、自分に向けられたことはない。
そのうえ、謎が多い復讐隊の侵略がなんなのか。想像がつかなかった。
「《フワシロ》は自分の墓地にクリーチャーが二体以上あれば、パワー+2000され、種族にデーモン・コマンドを得る……闇のコマンドの攻撃時、このクリーチャーは侵略する……」
墓地に眠る屍から力を得て、《フワシロ》は悪魔へと成り変わる。
そして悪魔となった《フワシロ》は、ルミスのすべてを奪い尽くし、一方的に復讐するべく、侵略を成し遂げる。
「復讐する……《復讐 ブラックサイコ》」
復讐 ブラックサイコ VR 闇文明 (5)
進化クリーチャー:デーモン・コマンド/侵略者 7000
進化—自分の闇のクリーチャー1体の上に置く。
侵略—闇のコマンド
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。
《フワシロ》が進化——侵略した姿は、骸骨のような禍々しい鎧を纏った騎士だった。
長大な剣と盾を持ち、黒い瘴気と稲妻を迸らせている。
「《ブラックサイコ》がバトルゾーンに出た時、相手の手札を二枚、捨てさせる……!」
「っ、手札が……!」
剣を振るい、稲妻を放つ《ブラックサイコ》。その電撃は、ミシェルの残る二枚の手札をすべて焼き焦がす。
《ゴースト・タッチ》から始まった、復讐者の度重なる手札破壊によって、ここでルミスの手札はゼロになってしまった。
「《ブラックサイコ》で……《アクロアイト》を破壊」
「くぅ……!」
まだ序盤でマナも少ない。このタイミングで手札をゼロにされるたのは、かなりの痛手だ。しかも相手にはパワー7000のWブレイカーという、決して小さくはないサイズのクリーチャーがいる。
手札があれば守りを固められる。マナが溜まれば対処もしやすくなる。せめてどちらかのケアをすることができれば、と念じながらルミスはカードを引く。
「……! この子なら……《アクロアイト》でコストを軽くして、《天星の玉 ラ・クルスタ》を召喚!」
そして、引いたカードをそのまま繰り出した。
「《ラ・クルスタ》の効果発動です! 私のマナゾーンのカード枚数が、あなたのマナゾーンのカード枚数より少ないので、山札の上から二枚をマナゾーンに置きます! ターン終了です」
天星の玉 ラ・クルスタ R 光文明 (4)
クリーチャー:ジャスティス・オーブ/革命軍 4000
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のマナゾーンにあるカードが自分のより多ければ、自分の山札の上から2枚をマナゾーンに置く。
《ラ・クルスタ》の放つ光が、ルミスの土壌に力を与える。
一気に2マナも増えた。手札をもがれ、マナチャージも滞ってしまう今の状態では、マナが伸びるだけありがたかった。
「呪文《リバース・チャージャー》……墓地の《暗黒鎧 ヴェイダー》を手札に加え、チャージャーをマナへ……ターン終了」
「私のターン……マナチャージだけして、ターン終了です」
「《ヴェイダー》を召喚……ターン終了時、山札の一番上を墓地へ……クリーチャーなので、一枚ドロー……」
「自分だけ手札を増やしますか。ちょっぴり妬ましいですね」
むぅ、と頬を膨らませるルミス。
ハンデス連打で復讐者も手札が切れがちになっていたが、《ヴェイダー》が手札を補充し続けるため、もうその心配はなくなった。
マナを増やしてドローに賭けるルミスに対し、復讐者は手数で勝負に出るつもりなのだろう。
「二体目の《デネブモンゴ》を召喚! カードを一枚引いて、《アクロアイト》をバトルゾーンに!」
ルミスはさらにクリーチャーを展開する。《アクロアイト》と《デネブモンゴ》がそれぞれ二体、《ラ・クルスタ》が一体。防御を固めつつ、コスト軽減能力を持つ《アクロアイト》のお陰で、重量級のクリーチャーでも出しやすくなった。
しかし、このクリーチャー展開は、復讐者の使命感を刺激する。
復讐という、使命を。
「クリーチャーの召喚、許すまじ……復讐する……! 《ローズ・キャッスル》を要塞化……!」
復讐者の盾に、茨が巻き付く。
刺々しいそれは、蛇のようにしゅるしゅると蠢き、暗鬱とした城の姿となって、復讐者の城に根付いた。
そして、要塞化された茨の城から、暗黒の瘴気が放たれる。
「相手クリーチャーのパワーは、すべて−1000……!」
「《アクロアイト》が……!」
《ローズ・キャッスル》の効果で、二体の《アクロアイト》が死滅する。コスト軽減で実質的なマナ加速のような存在となっていた《アクロアイト》が、二体とも破壊されるとなると、ルミスとしては苦しかった。
「手札の次はクリーチャーを破壊だなんて、流石は復讐隊ですね。やることなすこと陰険です」
「《復讐 ギズムリン》を召喚……」
ルミスの苦言を無視して、復讐者はさらにクリーチャーを並べる。
《ヴェイダー》で手札を補充し、ターン終了。
復讐者の動きは、《ブラックサイコ》を呼び出してから静かだ。下手に殴って手札を増やすことを嫌っているのだろう。一度手札をゼロにして、動きを鈍らせた有利を維持し続け、ルミスをじわじわと苦しめていく。
しかし当のルミスは、焦った素振りも、苦しそうな表情も浮かべない。
「むぅ、聞き入れてもらえませんか。当然ですよね……《牛歩の玉 モーギュ》を召喚して、ターン終了です」
どこか余裕を持っている振る舞いでクリーチャーを呼び出す。
「またクリーチャー……復讐する……! 《惨事の悪魔龍 ザンジデス》を召喚……! 《デネブモンゴ》二体、《モーギュ》を破壊する……!」
「復讐じゃなくて、これって殲滅じゃないですかね……うぅ、タチの悪い……」
《ザンジデス》と《ローズ・キャッスル》、合わせて下降パワーは3000。出したばかりの《モーギュ》はおろか、ブロッカーの《デネブモンゴ》二体までもがパワーゼロ以下となり破壊されてしまう。
《ラ・クルスタ》のみが残された寂しいバトルゾーンを見ながら、ルミスはカードを引く。
そろそろなにか大きなカードが来なければ、盤面を支配され、侵略者らしく侵略されてしまう。
それを危惧していたところで、ルミスが引いたカードは、
「! 来るのが遅いですよ、《雷鳴の守護者ミスト・リエス》を召喚!」
空に浮かぶ守護者が現れる。
《雷鳴の守護者ミスト・リエス》。敵味方関係なく、クリーチャーの登場に呼応してカードを引けるクリーチャーだ。
もっと早くに来ていれば、失った手札をすぐに回復できたのに、とルミスは愚痴るように呟く。
だが、《ミスト・リエス》の登場で、手札枚数はほぼ約束されたようなものだ。マナもそれなりに増えているので、ここから巻き返しが図れる。
そう思った矢先のことだった。
「許さない、復讐する……《ローズ・キャッスル》を要塞化……!」
「えぇ!?」
もう一つ、茨の城が要塞化される。
黒い瘴気は一段と濃くなり、《ミスト・リエス》の耐久性を超えた暗黒が、守護者の機体を蝕み、破壊する。
「《ミスト・リエス》までやられてしまいましたか……お仕事、できませんでしたね」
結局、一枚もカードを引くことなく退場させられてしまった《ミスト・リエス》。ルミスとしてもこれは痛い。
加えて復讐者は、ギラリと眼光を光らせる。まるで、獲物を見つけた狼のように。
敵意を含み、攻撃の意志を見せつける。
「墓地進化、《死神竜凰ドルゲドス》……《ラ・クルスタ》のブロックを禁ずる……」
「《ドルゲドス》……?」
《死神竜凰ドルゲドス》、登場時にブロッカーの動きを封じることのできる軽量墓地進化獣だ。
なにか妙だ。このタイミングで出て来ることに、なにか違和感を覚えた。
その違和感の正体は、復讐と侵略の刃として、すぐにルミスへと放たれる。
「復讐する、復讐する、復讐する……! 《ブラックサイコ》でWブレイク……!」
「そうやってぶつぶつと呟くの、怖いんですけど……トリガーはありません」
狂ったように呟き始める復讐者に引きつつ、ルミスはブレイクされたシールドを見遣る。トリガーは一枚もない。
どうやら復讐者は、ここに来て攻勢に出たようだ。場にはWブレイカーの《ブラックサイコ》と《ザンジデス》、そして《オタカラ・アッタカラ》に《ギズムリン》、《ドルゲドス》までいる。
残りシールド四枚のルミスを倒すには、打点は十分だ。
「《ザンジデス》で攻撃……復讐する、侵略する……! 《ザンジデス》を《ブラックサイコ》に侵略……!」
「っ、また侵略!」
「手札を二枚墓地へ……!」
再び現れた《ブラックサイコ》が、ルミスの手札を二枚、稲妻で穿つ。
「ブレイクして手に入れた手札まで……」
「Wブレイク……!」
手札を落とされた直後、再びルミスの手札にカードが入る。
ただしそれは、己の盾を犠牲にした結果だったが。
《ブラックサイコ》の剣がルミスのシールドを切り裂き、残った二枚のシールドをブレイクする。これでルミスのシールドはゼロだ。
あとは、《オタカラ・アッタカラ》でも《ギズムリン》でも、ダイレクトアタックを決めてしまえば終わりだが、
「S・トリガー発動です! 《DNA・スパーク》!」
「む……」
「残りのクリーチャーをすべてタップ! さらに、私のシールドが二枚以下なので、シールドを一枚追加します!」
砕かれたシールドから、呪文が放たれる。
二重螺旋の閃光が復讐者のクリーチャーを縛り付け、地面に伏させる。そしてルミスに新しい盾を与えた。
シールドも回復させ、なんとかこのターンを凌いだルミスだが、しかし、危機的状況にあることは変わっていない。
「……九死に一生を得たところで無駄だ……貴様の死期は近い……その時は目前まで迫っている……復讐と侵略の闇に飲まれる死の時が……!」
今までほとんど同じ発言ばかりを機械のように繰り返していた復讐者が、殺気立った気迫をルミスにぶつけている。その裏側には、確かな復讐者の意志が見える。
復讐者にも感情らしきものがあったのかと、ルミスは多少の驚きを見せるが、その程度だ。
シールドが一枚だろうと、自分のブロッカーが一体だろうと、相手クリーチャーが五体もいようと。
革命という希望を、諦めはしない。
「……もうすぐ私の死が訪れるのであれば」
復讐者の言葉を受けて、ルミスは言い返す。
「そこに至るまでの時間を巻き戻すまでです」
「なんだと……?」
「あなたに見せてあげましょう。私たちの革命を」
そう言ってルミスはカードを引く。
マナをチャージして、7マナ。
その7マナが、ルミスにとっての力であり、希望であり、革命となる。
「奇跡も、魔法も、革命だって、あるんですよ」
それを今から、復讐者に見せつけるのだ。
「奇跡の光は道標。巻き戻る時間すらをも支配して、天を翔ける龍の閃きとなれ——さぁ今こそ、革命の時!」
すべてのマナを解放して、ありったけの力を流し込み、ルミスは光を輝かせる。
「《ラ・クルスタ》を進化!」
光の種は《ラ・クルスタ》。《ラ・クルスタ》は眩い光に包み込まれる。
球状の体は、内に秘めた力を解き放つ。オーブの切れ目が割れ、屹立、潜行、構築、突出の過程を経て、胴から脚へ、首から頭へ、翼に角を現す。
最後に拳の紋章が実体を伴い、《ラ・クルスタ》だったクリーチャーは、聖なる声で嘶く。
それが、時を操る革命軍の王であるという、証だ。
「時よ巻き戻れ(time reverse)——」
時間すらをも操る、奇跡の王。
「——《革命天王 ミラクルスター》!」
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