二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Another Mythology
日時: 2016/11/05 01:36
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
 今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
 一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
 カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。

 珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——



目次

プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63

16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213

59話〜119話『継承する語り手編』
>>369



『侵革新話編』

120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415




Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213

Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355




番外編

東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528





東鷲宮中学校放送部

第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299






登場人物目録
>>57

27話「ダークサイド」 ( No.89 )
日時: 2014/05/23 17:22
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

「誰だ……フー」
「うわっ、動いた!」
「そりゃ動くだろう」
 巨体——リュウセイ・イン・ザ・ダークはゆっくりと身体を起こし、こちらを見据える。
「俺の眠りを妨げるのはお前たちか、プリベント」
「ぷ、ぷり、プリン……?」
「プリベント、妨げるという意味だ」
「よく知ってますね、かいりくん……」
 中学一年の春に習うような英単語ではないのだが。
「俺になんの用だ、ホワット」
「なんの用、ねぇ……」
 なんと言えばいいのだろうか。リュウセイに、いきなり仲間になれ、というのは図々しいだろう。
 そう思っていると、ドライゼが前に出て来る。
「ようリュウセイ。俺だ、覚えているか?」
「む……お前はドライゼ。久しいな、ロングタイム」
「ああ、そうだな。お前、アルテミス嬢のことは覚えているか?」
「勿論だオフコース。紛いなりにもにも俺が仕えていたお方だからなフォロー」
 その口振りから、どうやらリュウセイは《ドラゴ大王》のように、アルテミスと対立しているわけではないようだ。そもそも《ドラゴ大王》がイレギュラーなのだろうが。
「そうか。なら、俺たちと来ないか?」
「ドライゼ……」
 前置きはしたが、しかしまっすぐにそんなことを言うドライゼ。流石に沙弓も少しだけ驚く。
「俺は今、この麗しきハニー」
「沙弓よ」
「に仕えているんだ。お前もどうだ?」
 随分と軽い調子だったが、しかしこのくらいがいいのかもしれない。
 少なくともドライゼとリュウセイは旧知の仲のようだし、沙弓たちでは言い難いことも、ドライゼなら聞き入れやすいだろう。
 そう思ったのも束の間。ドライゼの言葉を受け、リュウセイは、
「はんっ、冗談はよせ。ドントジョーク」
「なに……?」
「俺が仕えているのは、あくまでアルテミス様だ。それはあの方がいない今でも変わりはしない、アンチェンジド」
 ドライゼの申し出を一蹴する。思ったよりもリュウセイは頭が固かった。
「へぇ、凄い忠誠心ね。女ならなんでもいいドライゼとは大違い」
「おいおい、勘違いしないでくれ。確かに俺はすべての女性を大切に——」
「はいはい、そうね。それよりどうする? 私は別に、無理に仲間に引き込むつもりはないけど」
「まあ俺も、無理強いするのはどうかと思うがな……」
 と、そんな諦めて帰ろうとでも言いたくなるような空気が流れだしたその時。
「それに、こんな女がアルテミス様と釣り合うとは到底思えん。ドライゼ、しばらく眠っているうちにお前の頭も腐ったのか、バッド!」
「なんだと……!?」
 リュウセイがドライゼを挑発しだした。いや、単に思ったことをそのまま言っているだけなのかもしれないが、ドライゼは少なからず怒りを見せる。
「言うようになったな、リュウセイ。誰の頭が腐ってるって?」
「お前だユー! アルテミス様への忠誠を忘れたとは見損なったぞ、ディスアピーア!」
「……忘れちゃいないさ。忘れるわけないだろ、馬鹿野郎」
 ドライゼの目が鋭くなった。その鋭いまなざしで、リュウセイを睨みつける。
「そこまで言われて、しかも俺の女も貶されて、引き下がるなんざできねーなぁ……!」
「あなたの女になった覚えは微塵もないんだけれど」
 そんな言葉も、頭に血の昇ったドライゼには聞こえない。聞こえたとしても、聞き入れはしないだろうが。
「ドライゼって、意外とキレやすいんだね」
「仲良くなればいい奴なんだが、挑発すると結構簡単に乗っちまうんだ」
「煽り耐性がゼロなんです」
「ルールー」
「散々な言い様だな……」
「そう、ですね……」
 そんなドライゼの評価はともかく。
 火花を散らすドライゼとリュウセイ。どちらも主張を譲る気はないようだった。
「ハニー、こいつを叩きのめすぞ。今すぐに」
「ちょっとは落ち着きなさい……って言いたいけど、言っても聞かなさそうだし、下手すれば向こうから襲ってきそうだし、いいわ。戦いましょうか」
 デッキを取り出して、戦う意思を見せる沙弓。なんだかんだでノリノリのように見える。
「いいだろう。かかって来い、カモン!」
「後悔するなよ、リュウセイ。俺とハニーの力、見せつけてやるぜ」
 牙を剥くリュウセイと、銃口を向けるドライゼ。
 違う対戦が始まりそうな中、二人と沙弓を飲み込む神話空間が開かれた。



「俺のマイターン! 呪文《邪魂創生》! 《0点男》を破壊し、三枚ドロー!」
「手札補充……」
 沙弓とリュウセイのデュエル。
 沙弓のシールドは四枚あり、場には《復讐のバイス・カイザーΖ》が一体。
 リュウセイのシールドは五枚で、《邪魂創生》を使用したため場にクリーチャーはいない。
「そして呪文《ボーンおどり・チャージャー》を唱え、ターン終了だエンド」
「……私のターン」
 沙弓は引いたカードを一瞥すると、マナへと落とす。
「ここは、攻めようかしら……《バイス・カイザー》でWブレイク!」
「S・トリガーはないぜ、ナッシング」
「ならターン終了よ」
「よし。行くぜ《黒神龍アバヨ・シャバヨ》を召喚! 互いにクリーチャーを破壊するんだ! 俺は《アバヨ・シャバヨ》を破壊するぜ、セルフディストラクション!」
「私は《バイス・カイザー》を破壊……で、いいのかしら? そんなことしても」
「勿論だオフコース。お前の魂胆は見抜いているぜ、シースルー。」
「そう。だったら遠慮はしないわ。私のドラゴンが破壊されたことで、墓地の《黒神龍グールジェネレイド》を蘇らせる」
 《バイス・カイザー》の死に反応して、沙弓の墓地から《グールジェネレイド》が復活する。
 しかし、復活するのは沙弓の《グール》だけではなかった。
「《アバヨ・シャバヨ》が破壊されたので、俺も《グール》を復活させるぜリバイバル! さらに墓地の《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》も回収だサルベージ!」
「回収……?」
「《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》は、ドラゴンが破壊されると墓地から手札に戻せるんだ。そろそろ来るぞ、気を付けろハニー」
「いい加減ハニーはやめなさい。とにかく、手札に入った《リュウセイ》には要注意ね」
「おいおい、これで終わった気になるなよ? 《学校男》を召喚! 俺の《グール》と《学校男》を破壊、ダブルデストロイ!」


学校男 闇文明 (2)
クリーチャー:ヘドリアン/エイリアン 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを2体破壊する。その後、相手は自身のクリーチャーを1体選び、破壊する。
W・ブレイカー


「こっちは《グール》を破壊するしかないわね。私のターン」
 次々とクリーチャーが破壊される。相手もクリーチャーはいないが、しかし手札は多いので、手札一枚の沙弓が不利だ。
「《暗黒導師ブラックルシファー》を召喚。ターン終了よ」
「それで終わりか、フィニッシュ? なら行くぜ、俺のターン!」
 声を張り上げてカードを引くリュウセイ。そろそろ鬱陶しく感じて来る。
(きっとこのターンに、相手は《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》を出してくるはず……墓地に送っても回収されるけど、出たらこれで破壊してましょうか)
 沙弓の手札にあるのは《地獄門デス・ゲート》。沙弓の考えは、召喚された《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》を《デス・ゲート》で破壊しながら、墓地のクリーチャーを復活させること。8コストのクリーチャーを破壊すればそれなりに大型のクリーチャーが出せるので、そのまま攻め切ってしまおうというわけだ。
 だが、しかし、
「もしやお前、俺がこのターンに俺自身を召喚すると思っているのか、イマジン?」
「っ」
 どうやら、沙弓の考えは見抜かれているようだ。
「お前の考えなどお見通しだと言ったはずだ。俺をあまり見くびるなよ、ダウンプレイ。《絶望の悪魔龍 フューチャレス》を召喚!」


絶望の悪魔龍 フューチャレス 闇文明 (6)
クリーチャー:デーモン・コマンド・ドラゴン 6000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の闇のカードを好きな数、捨ててもよい。こうして捨てたカード1枚につき、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。
W・ブレイカー
自分の手札が1枚もなければ、このクリーチャーのパワーは+6000され、「T・ブレイカー」を得る。


「デーモン・コマンド・ドラゴン……っ」
「《フューチャレス》の登場時能力発動! 俺の手札を一枚捨て、お前の残る一枚の手札も墓地に捨ててもらうぞハンドレス!」
「っ、《デス・ゲート》が……!」
 除去カードを潰されてしまう沙弓。しかもこれで手札はゼロ。
「流石にまずいかも……」
 デュエマにおいて手札がないということは、選択肢を奪われるということ。一枚減るだけでも、プレイの幅が格段に狭まってしまう。
 そんな中、沙弓は切り札を引き当てる。
「来た……! 《ブラックルシファー》進化!」
 大鎌を持つ悪魔は数多の霊魂に囲まれ、闇を取り込み、進化する。

「孤独なる死に逆らい、抗え——《悪魔龍王 デストロンリー》!」

27話「ダークサイド」 ( No.90 )
日時: 2015/10/01 01:31
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: arA4JUne)

 《ブラックルシファー》が進化し、沙弓の切り札《デストロンリー》が現れる。
「《デストロンリー》を召喚した時、他のクリーチャーをすべて破壊よ!」
「《フューチャレス》がやられたが……ドラゴンが破壊されたことで、《グール》を復活リバイバル! 《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》を回収サルベージ!」
「なんでもいいわ。《デストロンリー》は他に自分のクリーチャーがいなければパワープラス5000され、Tブレイカーになる。《デストロンリー》でTブレイクよ!」
 《デストロンリー》が放つ漆黒の稲妻が、リュウセイのシールドを貫く。これでリュウセイのシールドはゼロだが、
「甘いぜスウィート! S・トリガー発動! 《黒神龍オドル・ニードル》! 《旧知との遭遇》! 《インフェルノ・サイン》!」」
「嘘っ、S・トリガーが三枚!?」
「《オドル・ニードル》を召喚。《旧知との遭遇》で、墓地の闇クリーチャー、《アバヨ・シャバヨ》と《学校男》を回収。さらに《インフェルノ・サイン》で、墓地から《偽りの名 ドレッド・ブラッド》をバトルゾーンへ!」
 場のクリーチャーと手札がまとめて増える。せっかく場を一掃したというのに、むしろ増量してしまった。
「残念だったな。そして俺のターン、俺のマイ切り札にして、俺自身! ワンセルフ! 《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》を召喚!」


リュウセイ・イン・ザ・ダーク 闇文明 (8)
クリーチャー:ブラック・コマンド・ドラゴン 8000
闇以外のクリーチャーは、バトルゾーンに出すときタップして出す。
自分の闇のクリーチャーはすべて「スレイヤー」を得る。
W・ブレイカー
自分のドラゴンが破壊された時、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、このクリーチャーを自分の墓地から手札に戻してもよい。


 遂に現れた、暗黒面に目覚めし黒いリュウセイ——《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》。
『俺の能力で、俺の闇クリーチャーはすべてスレイヤーとなる! 《グール》で《デストロンリー》を攻撃だアタック! スレイヤー能力でバトルの勝敗に関係なくクリーチャーを破壊するぜデストロイ!』
「くっ……でも、ドラゴンが破壊されたから、私の墓地から《グール》を復活させる!」
『無駄な足掻きだウェイト! 《オドル・ニードル》でシールドをブレイク!』
 《オドル・ニードル》の攻撃で、当然《オドル・ニードル》自身がタップされる。これで沙弓のクリーチャーは《オドル・ニードル》を攻撃するしかなくなった。
『ターンエンドだ。次のターンにはこのデュエルを終わらせてやるぜ、ゲームエンド』
「……まずいわね」
 《リュウセイ》の場には四体のドラゴン。沙弓の場には《グール》が一体。あと一撃でも入れれば《リュウセイ》を倒せるが、それには《オドル・ニードル》が邪魔だ。
「私のターン……」
 沙弓はカードを引く。だが、この状況を打開できるようなものではない。
「やばいぞ、ハニー」
「そうね……」
 現状では打つ手がない。どうしたってこのターンではとどめを刺せず、次のターンまで生き延びる確証もない。
 そんな折、《リュウセイ》は嘲笑するように沙弓とドライゼを見下ろす。
『ふん、やはり大したことないな、ウィーク』
「なんだと……!」
『真実を言ったまでだトゥルース。それに』
 《リュウセイ》はどこか怒気を含んだ目でドライゼを見据える。
『お前もだドライゼ、セイム』
「なに……?」
『俺はお前のことは認めていたんだがな。アルテミス様のことを一心に思うお前は、凄い奴だと思っていた。グレイト』
 だが、
『しばらく眠っているうちに、ここまで腑抜けになっているとは思わなかったぞ。お前はあの時のことを忘れたのか!? フォーゲット!』
「あの時……?」
 恐らく、まだ十二神話がいた時に起こった出来事だろう。当然それを沙弓が知る由もない。
 だが《リュウセイ》は、ドライゼを非難するように続ける。
『アルテミス様が力を失った時、自分の力を削ってまで彼女を救ったお前はどこへ行った!? 俺はあの時なにもできなかった……あんな思いはもうごめんだ。だからあの方のことだけを、一心に思い続ける。それは俺が封印されていようと、あの方がこの世界にいなかろうと関係ない! なのにお前は……! 答えろドライゼ! リプライ!』
「…………」
 捲し立てるような《リュウセイ》の言葉に、ドライゼは押し黙った。顔を伏せ、表情が見えない。
「……忘れるわけねぇだろ」
 だが、やがてぽつりと声を漏らす。
「俺もお前と同じだ。あの人のことを忘れたことなんて一度もないし、あの人への忠誠も薄れちゃいない。ここにいなくても、アルテミス嬢は俺の大事な主だ」
『だったらなぜだ! ホワイ!』
「あの人のためだ」
 即答だった。
 ドライゼの静かな圧力に《リュウセイ》は気圧される。
「俺とお前とじゃ、根本の考えが違うんだよ。どっちの頭が腐ってるか、教えてやる。ハニー——いや、沙弓」
「……オーケー」
 ドライゼと《リュウセイ》の会話の中身は理解できなかったが、しかし自分がすべきことは理解した。
 すべて、自分の仲間が教えてくれたことだ。
「《グール》を召喚。もう一体の《グール》で《オドル・ニードル》を攻撃」
『それだけか。だったら、《オドル・ニードル》が破壊されたことで、俺の墓地の《グール》を復活リバイバル! そして……このターンで終わりだフィニッシュ! 《グール》でシールドをWブレイク!』
 《グール》の吐き出す黒い炎が、沙弓のシールドを二枚破壊する。
『《ドレッド・ブラッド》で最後のシールドをブレイク! そしてとどめだ! 《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》で、ダイレクト——』
「待ちなさい、S・トリガーよ」
 沙弓の最後のシールドが光り、その光が収束する。
「呪文《デッドリー・ラブ》。私の《グール》を破壊して、《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》を破壊よ」
「それがどうした! それでは俺の勝ちは揺るがないぞ、ノープロブレム!」
「どうかしらね?」
 沙弓は悪戯っぽく微笑むと、手札のカードを一枚抜き取る。
「私のコスト4以上の闇のクリーチャーがカードの効果で破壊された時……このクリーチャーをバトルゾーンに出すわ。行きなさい《月影の語り手 ドライゼ》!」


月影の語りクレセント・ストーリー ドライゼ 闇文明 (4)
クリーチャー:ダークロード/ドラゴン・ゾンビ 2000
自分のコスト4以上の闇のクリーチャーがバトル以外で破壊された時、このクリーチャーを手札からバトルゾーンに出してもよい。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。


「な……《ドライゼ》……!」
「俺の登場だぜ。そしてその時、相手の手札を一枚見ないで選び、捨てさせる。どいつにするか、ハニー?」
 バトルゾーンに出ると同時に、銃口をリュウセイへと向ける《ドライゼ》。
「そうねぇ……右三番目とか、どうかしら?」
「右三番目だな。了解した」
 《ドライゼ》は引き金を引き、弾丸がリュウセイの手札目掛けてまっすぐに飛んで行く。そして右から三番目のカードが撃ち抜かれた。
「っ、《ハンゾウ》が……!」
「ビンゴ。やっぱシノビを握ってたわね。で、私のターンでいいかしら?」
「ぐぅ……!」
 もはやなにもすることができないリュウセイ。
 そんな彼に、旧友の銃が向けられる。

「《月影の語り手 ドライゼ》で、ダイレクトアタック——!」



「負けた、ルーズ……」
 神話空間が閉じると、リュウセイは力が抜けたようにその場に横たわる。
 だが、それでもドライゼを睨みつけていた。
「ドライゼ……もう一度問う、クエスチョン。お前はなぜそのような女に仕えるのだ……お前にとってのアルテミス様は、どこへ行ったんだ……!?」
 負けて勢いがなくなっているが、しかし目は本気だ。本気で、ドライゼに疑問をぶつけている。
 そして当のドライゼは、
「……言っただろう。俺もお前と同じだ。いつだってアルテミス嬢のことを考えているさ」
「ならばなぜ、その女に仕える!?」
「それがアルテミス嬢のためになるからだ」
「っ!」
 リュウセイはその一言で、気圧されたように言葉を失う。逆にドライゼは、次の言葉を紡いでいた。
「今のこの世界にはアルテミス嬢はいない。だがこの世界は、あの人が生きた世界だ。十二神話が守り抜いた、大切な世界なんだ」
 だが、今のこの世界は荒廃している。規律も統制もなく、乱れ切った世となっていた。
 十二神話がいた頃とは、まるで違う様相を呈しているのだ。
「俺はいつかあの人が帰って来ると信じている。だのに、この世界が荒れたままでいいと思うか?」
「それは……」
「だから俺は、あの人が戻って来るまでにこの世界を元のあるべき姿に戻す。だがそのためには、彼女たちの力が必要なんだ」
 そう言って、ドライゼは沙弓たちを見遣る。
「しかし彼女たちは、この世界を知らな過ぎる……彼女たちを導き、共に戦うのが、クリーチャーたる俺たちの役目。リュウセイ、お前はそうは思わないのか?」
「……その通りだな、ザッツライト」
 リュウセイは、ゆっくりと首肯した。
「確かに、お前の言う通りだ。アルテミス様がいない今、彼女を思うだけではなにも起こらない。それならば、あの方のために今できることをするのが、真の忠誠というものだな……ロイアリティ」
 リュウセイは身体を起こすと、今度は沙弓を見据える。
「沙弓と言ったか。アルテミス様のため、俺もお前の力になるぞ、フォロー!」
「あ、うん……よろしく」
 急に威勢のよくなったリュウセイに戸惑いながらも、沙弓はリュウセイを受け入れる。
 次の瞬間、リュウセイはカードの姿となった。だが一枚ではない。
「……? これは……」
『元々俺は、二つに分かれたリュウセイの片割れだ。お前の悪魔龍の力の影響で、さらなる姿を得たようだゲット!』
「……頼もしいわね、本当。ドライゼとは大違い」
「おいおい、冗談だろうハニー? リュウセイにとどめを刺したのは俺だぜ?」
「美味しいところだけ持って行ったのよね」
「そ、その言い方はあんまりだろ……」
 そんな沙弓とドライゼのやり取りを眺めるリュウセイは、ふと言葉を漏らす。
「……楽しそうだな、ドライゼ。ハッピー」
「ん? ああ、楽しいぜ」
「そうか……やはりお前は変わったな、チェンジ」
「……?」
 リュウセイはどこか懐かしむように言うと、それっきり黙ってしまう。
 しかし心なしか、彼の表情は柔らかくなっているように見えた。

Re: デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.91 )
日時: 2014/05/23 22:36
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

どうも、最近異様なペースで執筆が進んでいるタクです。
まず、ラヴァー戦後はそれぞれのデッキを強化するためのパーツが、どんどん暁のデッキの中に入っていってますね。

まず、ドラゴ大王ですが自身の能力のために孤独な存在になってしまったとは、随分な皮肉ですね。そして、デュエルでは火単色のドラゴンデッキを使っており、以来暁のデッキも火単の連ドラに特化していますが、現実で使っていたら手札事故を起こしそうなもんですよね。

そして次に、アカデミー編ですが、ここでエリアスの過去が明らかになりましたね。というか変態って、何やってるんですかヘルメスさん。ああ、大方想像できてしまうのは男子の悲しい性かな。ほんと、威厳もへったくれもありません、此処まで来ると。故に賢愚の異名を貰ったのでしょうが。
浬とアカデミー・マスターのデュエルですが、アカデミー・マスターは自身の効果によって超次元呪文を使いまくって、場が地味にすごいことになっていますね。ですがここでも出てきました、お助け《ザ・クロック》さん。そして、最後は《クリスタル・ランサー》によるダイレクトアタックで浬が勝負を決めましたね。

最後に再び月魔館編ですが、ここでリュウセイの登場ですか。しかし、2人に分かれたって、完全に(ドラ○ンボール)神様のレベルに到達していませんかリュウセイさん。
そして、デュエルですがリュウセイは多様なリアニメイト戦術で次々にクリーチャーを復活させていきましたね。ですが、最後は手札から現れた《ドライゼ》で守りを妨害され、見事沙弓に軍配が上がったので良かったですが。

しっかしここまでで色々となりましたが、結局例の太陽と水晶についてはスルーですか。個人的にはデジメンタルらしきものと認識しましたが、何なのか楽しみなところです。

そろそろ新スレを立てるところですが、地味に《月影の語り手(クレセント・ストーリー》と《ルーン・ツールC(クレセント)》が被ったという……まあ問題ありませんし他者様の小説なので問題ありませんよ。
高3ということで忙しいなんてレベルではないでしょう。無理しない程度にがんばってください。それでは、また。

デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.92 )
日時: 2014/05/24 00:57
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

 本編では舞台が現実世界なのでクリーチャーを鹵獲(と言うと語弊がある気がしますが)する展開がやりづらかったのですが、クリーチャー世界がメインだとそういうこともしやすく、クリーチャーと所有者との対話も書けるので、本作ではこういった展開が多くなると思います。

 一見《太陽神話》と相性の良さそうな《ドラゴ大王》ですが、《太陽神話》を出すために並べなければならないファイアー・バードが出せなくなってしまうので、実はそんなに相性がいいわけではないんですよね。そういう設定を生かしたいなと思った結果が、彼の孤独と願望です。
 モノクロも火単で連ドラはどうだろうと思ってましたが、意外と回ります。起動が遅いのがネックですが、爆発力はありますし、序盤さえ乗り切れれば後半は強力なドラゴンで圧倒できます。メタゲームに食い込むような強さは、流石にないですけどね。

 ヘルメスを擁護する気はないですが、玩具というのはそのまんまの意味だと捉えてください。一応、奴らはクリーチャーなので、現実世界における生物がすべからく持っている本能の対象をエリアスに向けていた、というわけではないです。ヘルメスはサディストだと考えれば、分かりやすいかもしれません。
 十二神話が選ばれている基準はそのうち作中で説明しますが、ヘルメスはクズだけど凄い、みたいな奴です。実際、ぶっ壊れ性能を備えていますしね。
 ちなみに今回の対戦相手を《アカデミー・マスター》にしたのは、モノクロの密かなお気に入りクリーチャー《エクスペリオン》の能力を最大限に生かしたかったからです。実用性はあまりないコンボですけど。
 あとは、ドラゴン・サーガの水文明がインテリやら学問に関するネーミングになっているように、浬もそれらの要素を意識しています。エリアスは錬金術(《賢愚の語りアルケミ・ストーリー》→アルケミー→錬金術)で、従兄に教師の黒村がいる、とかですね。あと眼鏡。

 まあ実際、背景ストーリーでも《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》はプリンとはぐれた《リュウセイ》が闇落ちしたもう一つ姿みたいですし、そういうこともあるでしょう。クリーチャーですし。
 リュウセイと沙弓のデュエルは、どっちも似たようなデッキだったのでわりと書くのに苦労しました。クリーチャーを破壊しても《グール》が復活してしまうので、調整が難しかったです。決着のつけ方が浬とアカデミー・マスターとのデュエルみたいになってしまいましたし。

 実はあの二つについて描写したかったんですが、今現在急ぎ足なのと、文字数の問題で省いているんですよね……
 ふむ、その予想はいい線いってますね。まあどんなものなのかは、その時をお楽しみに。

 後でコメントしに伺います。こちらも、名前が被ってしまうのでどうしようかと考えましたが、まあこのくらいならいいかな、と自分本位な解釈で今に至ります。クレセント・ストーリーって、意外と語感がよかったものですから……
 忙しいからどうこうというより、忙しいから癒しを求めて執筆に励んでいるという、どこか本末転倒っぽい感じになっているんですよね、モノクロの場合。
 まあこうやって小説を書いたり他の人の作品を読むのは楽しいですし、コメントを貰ったりしたら嬉しいので、それがモノクロの生きるための動力源みたいになってます。
 なのでこの更新も生きるため(と言うと大袈裟ですが)ですから、無理をしているつもりはないですね。というかモノクロは無理して更新するほどの根性は持ち合わせていないので。
 なにはともあれ、ありがとうございます。タクさんも頑張ってください。

東鷲宮中学校放送部 第二回「霧島 浬」 ( No.93 )
日時: 2014/05/24 01:15
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

青葉
「さあ今日も始まりました、お昼の放送のお時間です。今回は放送部一年、青葉が司会進行を務めさせていただきます。そして今日のゲストはこの人! 一年一組出席番号11番、霧島浬さんです!」


「……なんだこれは」

青葉
「あれ? 聞いてませんでした? 毎度恒例、お昼の放送ですよ。霧島さんには、ゲストとして色々お話聞いちゃいますよ」


「そう言うことを聞いているわけじゃ……いや、やっぱりいい。どうせなに言っても無駄なんだろう」

青葉
「分かってますねぇ、霧島さん」


「ここ最近、諦めることを覚えたからな。色々と」

青葉
「そうですか。ではでは、最初はどうしましょうか? ゲストトーク?」


「それを取り仕切るのがお前の役目だろう、司会者」

青葉
「そうでしたね。えーでは、霧島さんと言えば、一年生の間では軽く有名人ですが」


「そうなのか? 初耳だぞ」

青葉
「そうですよ。特に女子ですね。霧島さん、結構モテモテなんですよ?」


「そうか」

青葉
「声だけじゃ素っ気ないですけど、皆さん。今の霧島さん、顔赤くしてますよ。意外と照れ屋なんですね」


「うるさい黙れ帰るぞ」

青葉
「そういうこと言うと、評判下がっちゃいますよ? 寄せられているお便りにも霧島さんへのファンレターがあるんですが……」


「あるのかよ……というか、空城の時も思ったが、こんな葉書きどうやって集めたんだ?」

青葉
「細かいことはお気になさらず。えー、頂いているお便りの一つに『霧島君は背が高く顔の造形もいいが、少々目つきが鋭すぎるのが玉に瑕だ。それから口調ももう少しマイルドだと、他の人も取っつきやすくなるだろう』というものがあります」


「なんだその分析……なんか怖いんだが」

青葉
「確かに、普段は眼鏡で分かりにくいですけど、目つき悪いですねぇ……えい」


「あ、おい! 眼鏡返せ!」

青葉
「うーわー、本当に酷い……軽くチンピラですね、これ」


「誰がチンピラだ! 早く返せ!」

青葉
「それでも顔はいいですね。視界がぼやけて目を細めるから目つきが悪くなるんじゃないんですか?」


「まあ、そうだと思うが……」

青葉
「だったらコンタクトとかにすればいいじゃないですか。最近は中学生でも結構いますよ、コンタクトつけてる人」


「ん、それは……」

青葉
「? どうかしました?」


「いや、コンタクトは、ちょっとな……」

青葉
「なんなんですか? コンタクトに両親でも殺されました?」


「そんなわけあるか」

青葉
「だったらなんですか。はっきりしてくださいよ」


「んー……いや、そのな、コンタクトはダメでな……」

青葉
「目に合わないとかですか?」


「そうじゃなくて……コンタクトって、眼球に直接かぶせるだろ」

青葉
「そりゃそうですよ」


「……怖くてな」

青葉
「あっはははははは! 皆さん聞きました!? あの霧島さんが『……怖くてな』ですよ! あはははははは!」


「笑うな!」

青葉
「ははは……ふぅ。まあその気持ちも分からないでもないですけどね。目って大事ですし」


「おおぅ、冷めるの早いな……」

青葉
「たぶん、大なり小なり、コンタクトを付ける人はみんなそう思ってますよ。で、付けてみたら案外どうってことなかったって思うんです」


「まあ眼球にかぶせて問題多発だったら、コンタクトなんて普及してないだろうしな」

青葉
「そうですよ。で、それはそれとして」


「今度はなんだ」

青葉
「霧島さんは、四月に空城さんからデュエマを申し込まれたそうですね」


「ああ……あの時か。そんなこともあったな」

青葉
「その時、空城さんの挑戦を断ったそうですが、どうして受けなかったんですか?」


「……俺にも色々あるんだよ。それに、いきなり得体の知れない奴とデュエマできるか。変に目立つのも嫌だしな」

青葉
「霧島さん、クラスでは務めて地味に振舞ってますもんね。あ、言い忘れてましたが、霧島さんとはクラスメイトです」


「目立つのは好きじゃないからな。大人しくしてれば大抵は目立たない。お陰であまり話しかけられたりしないから楽だ」

青葉
「ぼっち体質なこと言いますねぇ……でも霧島さん、言うほど地味じゃないですよ。背高いんで目立ちますし、話しかけられないのは威圧感バリバリだからだと思いますよ」


「そうなのか?」

青葉
「そうですよ。中一とは思えない図体で、そんな目つきで口も悪いとか、近寄りがたいに決まってるじゃないですか」


「……そうなのか」

青葉
「霧島さん、へこんじゃいましたよ。意外とナイーブですね。そんな霧島さんのために、話題を変えてあげましょうか。というか、元々これについて話すつもりだったのに道筋がずれてしまいました。軌道修正です」


「どこに修正するんだ」

青葉
「以前、空城さんをゲストにお招きした時に紹介したお便りと同じようなものなんですが、実は霧島さんにも、デュエマ関係のお便りが届いているんですよ」


「教室でカードを広げたことなんてないんだがな」

青葉
「いやいや、腰にデッキ吊ってるだけで分かりますって。それで、デッキの内容を参考にしたいと」


「まあ……俺は別に構わないけどな。俺が今現在、使用しているデッキはこれだ」



枚数:コスト:文明:名前

2:8:水:《龍素記号iQ サイクロペディア》×2
4:6:水:《アクア・サーファー》×4
1:5:水:《零次龍程式 トライグラマ》×1
3:5:水:《超閃機 ヴィルヴィスヴィード》×3
3:4:水:《超閃機 ジャバジャック》×3
3:4:水:《アクア・ジェスタールーペ》×3
4:3:水:《アクア・ソニックウェーブ》×4
4:3:水:《蒼狼アクア・ブレイド》×4
4:2:水:《アクア・エボリューター》×4
4:2:水:《アクア・ビークル》×4
4:2:水:《アクア戦闘員 ゾロル》×4
4:1:水:《アクア・ティーチャー》×4
1:2:水:《スパイラル・ゲート》×1



青葉
「水単色のビートダウンデッキですね」


「ああ。このデッキには、大きく分けて二通りの動かし方がある。一つは《アクア・ティーチャー》を出しておき、能力なしのクリーチャー、通称バニラクリーチャーを並べて手札を切らさずクリーチャーを展開し攻めていく、バニラビート的なスタイル。もう一つは、《アクア・エボリューター》から最速で《ジャバジャック》や《ヴィルヴィスヴィード》を呼び出す、進化速攻的なスタイル。勿論、この二つのスタイルを同時に用いることも可能だ」

青葉
「リキッド・ピープルは展開力が売りですが、パワーが低めですから、展開するだけでは全体火力でやられてしまうことも多いです。けれど、その弱点を進化クリーチャーで補っているんですね」


「そんなところだ。バニラビート一本で攻めても、シンパシーでコストの軽くなった《サイクロペディア》や、パワー12000の《トライグラマ》がいるから、早々やられはしない」

青葉
「ふむふむ。改造のポイントとかはありますか?」


「そうだな……《アクア・エボリューター》を生かして、進化クリーチャーを増やしたり、入れ替えたりしてもいいかもしれないな。《クリスタル・スーパーパラディン》は、サイキック・クリーチャー相手には強いし、ブロッカーをまとめて消し飛ばせる。アタッカーもバウンスできるのが《ヴィルヴィスヴィード》の強みだが、ブロッカーが邪魔だと感じるのなら、《スーパーパラディン》の方がいいかもしれない。後は少し重いが、《クリスタル・ランサー》という選択肢もなくはない。進化クリーチャーとはいえ、どいつもこいつもパワー6000。ある程度高火力には引っかかるからな。とはいえ、やはりスピードで押した方が強いが」

青葉
「成程。他には」


「防御が気になるのならS・トリガーを増やしてもいい。リキッド・ピープルではないが、《終末の時計 ザ・クロック》はビートダウンとは相性のいいS・トリガー獣だ。パワーの低さが気になるのなら《アクア監視員 リツイート》がいる。アタックトリガーで能力発動にタイムラグがあるが、リキッド・ピープルにしてはパワーが高いから、火力や殴り返しには強い。展開力を高めたければ、《アクア・ガード》や《アクア・ハンマープライスのような》1〜2コストの軽いリキッド・ピープルを入れるといい。《アクア・ジェスタールーペ》を増量すればさらにクリーチャーが展開しやすくなるぞ。それから、俺は比較的ドローに重点をおいているが、《アクア隠密 アサシングリード》などのクリーチャーをバウンスするカードを入れて、除去性能を高めてもいい」

青葉
「普段は寡黙なくせに、こういう時になると饒舌になりますね、霧島さん」


「っ……悪いか」

青葉
「いえいえ、逆に嬉しいですよ。喋ってくれないと、盛り上がりませんからね」


「……まあいい。とにかく、このデッキはリキッド・ピープルがメインという点さえ押さえれば、好みによって様々な改造ができる。ビートダウンと相性のいいリキッド・ピープルなんていくらでもいるからな」

青葉
「ですね。リキッド・ピープルはやっぱビートダウンですよね」


「……まあ、最近は呪文を使ったコントロールを試しているだがな」

青葉
「あれ? なにか言いました?」


「なにも」

青葉
「なんか気になりますねぇ……気になりますが、残念。もう時間です」


「やっと終わりか。もう帰っていいんだな」

青葉
「なんかドライな風を装っていますけど、デッキについて語ってる時は凄く熱かったですよ?」


「黙れ。もう来ないぞ」

青葉
「なにも言ってないのにまた来ることを想定しているなんて、霧島さん優しいですねぇ」


「なっ……くっ」

青葉
「というわけで、今回の放送はここまでです。今回のゲストは霧島浬さんでした。ではでは、またの放送をお楽しみに」


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