二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Another Mythology
- 日時: 2016/11/05 01:36
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。
珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——
目次
プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63
16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213
59話〜119話『継承する語り手編』
>>369
『侵革新話編』
120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415
■
Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213
Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355
■
番外編
東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528
■
東鷲宮中学校放送部
第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299
■
登場人物目録
>>57
- 25話「龍世界」 ( No.79 )
- 日時: 2014/05/18 22:31
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
汐との特訓の翌日、いつものようにリュンが部室に現れた。
「例の通信端末、持ってきたよ。はい」
「…………」
「どうしたの?」
「いや、なんか……普通のスマホっぽいな、って」
渡された端末は、カラーこそそれぞれ違っていたが、長方形の扁平な機体に、タッチパネルの画面が面積の半分を占めるというものだった。
「なんかウルカさん、その形が気に入ったんだって」
「これのどこに気に入る要素があるんだ……?」
まあそれはさておいて、とリュンは一枚のカードを取り出した。そしてそれを、暁へと投げる。
「暁!」
「コルル!? どうしたの?」
カードが実体化し、コルルが現れる。
「あいつ、クリーチャー世界にいたんじゃないのか?」
「それがね、暁さんのとこに連れてけって聞かなくて」
「コルル、なにがあったの?」
「感じるんだ」
コルルは、必死に訴えるように言う。
「すげぇ龍の力を感じる……アポロンさんがオレと一緒に封印した戦友たちの魂が、蘇ったんだ」
「それって《バトライオウ》と同じ……ってことは、また新しい仲間ができるってこと?」
「分からねえ。でも、早く行こうぜ!」
「うん!」
そんなわけで一同は再び、太陽山脈へと向かうこととなった。
コルルが眠っていた山の一角は崩れていたが、入り口と小部屋自体は無事だった。
だがその中は、驚愕する状態となっていた。
「な、なに、これ……」
いや、驚愕するものが存在していたと言うべきか。
小部屋の中には、部屋のスペースのほとんどを圧迫する、巨大なクリーチャーが座していた。
赤黒い身体を持つ、巨大な龍。今は翼を折りたたんでいるが、それでも王の如き威厳と、攻撃的な凄まじい威圧感が感じられた。
「あいつは……《龍世界 ドラゴ大王》!」
「ドラゴ、大王……? なにそれ? 王様?」
「俺たち火文明軍の中で唯一、アポロンさんに反抗していた奴だ」
「反抗? なんで? 同じ仲間じゃないの?」
「あやつと仲間など……戯言はやめろ、小娘」
重い声が響き渡る。
目の前に鎮座する、ドラゴ大王の声だ。
「我は奴のような軟弱な思考は持ち合わせていない」
「なんだと! アポロンさんを馬鹿にするな!」
ドラゴ大王の言葉に、コルルが食って掛かる。
「真実を言ったまでよ。ファイアー・バードなどという惰弱な鳥と共にしか存在できぬ奴もまた、惰弱な存在よ」
「……なんでそんな、ファイアー・バードを悪く言うのさ」
「我が龍の世界の大王ゆえだ」
静かに答えるドラゴ大王。
「龍の世界の、王……?」
「あいつの作り出す世界は、ドラゴンしか存在できねえんだ。だからファイアー・バードも大切にするアポロンさんと対立が絶えなかったんだ」
「ドラゴンなのにファイアー・バードを嫌うなんて、変なの」
ファイアー・バードはドラゴンのサポート種族だ。ファイアー・バードがいるからこそ、ドラゴンはその力を十全に生かすことができる。
「ふん、我の世界に惰弱なクリーチャーはいらぬ! 我の世界に必要なのは強き龍のみ! 立ち去れ、惰弱な小娘と脆弱な小童どもよ! アポロンの名を思い出した我は今、機嫌が悪い。我が逆鱗に触れる前に消えるのだ!」
「なんだと! お前こそここから出てけ! ここはアポロンさんの仲間たちが眠る場所だ! お前みたいな奴がいていい場所じゃないんだよ!」
「……でも、そのアポロンって奴は、こいつをここに封印したんだよな……」
背後で浬が言う。確かにその通りだ。《太陽神話》がドラゴ大王の力を忌み嫌っていたのなら、後世に残すようなことはしないはず。
しかし当の本人たちは頭に血が上っており、そんなことなど気付きはしない。
「いいぜ! こうなったら力ずくで分からせてやる!」
「我と戦うというのか? 身の程を知らぬようだな。貴様程度のクリーチャーが、我に敵うと思っているのか」
「なんか、よく分かんないけど……ファイアー・バードだって大事なクリーチャーだよ。それを馬鹿にするのは、私も許せないな」
コルルに続き、暁までドラゴ大王に食って掛かる。暁とコルル、そしてドラゴ大王の間に、険悪かつ好戦的な空気が漂う。
「やってやろうぜ暁! この偉そうな奴に、目に物言わせてやるんだ!」
「ほざけ小童。貴様らなど、我が龍の圧政で押し潰してくれる!」
「やれるものなら! 行くよコルル!」
「おうよ!」
刹那。
コルルの展開した神話空間に、暁とドラゴ大王は飲み込まれてゆく。
暁とドラゴ大王のデュエル。
暁のシールドはまだ五枚。場には《神砕兵ガッツンダー》。
ドラゴ大王のシールドも五枚。場にはなにもない。
「速攻で行くよ《鬼切丸》召喚! 《ガッツンダー》と《鬼切丸》でシールドをブレイク!」
「その程度か。我がターン、呪文《勝負だ!チャージャー》を対象なしで撃つ。そして《紅神龍ガルドス》を召喚。スピードアタッカーの《ガルドス》で《ガッツンダー》を破壊」
そしてターン終了時《ガルドス》は手札に戻る。
見たところドラゴ大王のデッキは、クリーチャーがすべてドラゴンのようだ。チャージャー呪文で速度を上げたり、S・トリガー呪文で防御を固めているようだが、かなり極端な構成だった。
「っ、まだままだ! 私のターン《勝負だ!チャージャー》でマナを加速! 続けて《ライラ・ラッタ》召喚!」
ここで攻めてもいいが、しかし攻撃してもまた《ガルドス》に狙い打たれるだけ。
「ターン終了」
「我がターン。《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を召喚」
遂にドラゴ大王の場に大型のドラゴンが現れる。
「《バルキリー・ラゴン》の能力で、山札よりドラゴンを我が手中に収める。貴様の番だ」
「……私のターン」
カードを引き、手札を見る暁。
(《スピア・ルピア》と《タイガーグレンオー》か……相手はドラゴンばっかりみたいだし《タイガーグレンオー》を握ってても意味はないかな)
続けて、今度は場を見る。
(相手のシールドは三枚。私の場には《ライラ・ラッタ》と《鬼切丸》。《ライラ・ラッタ》でシールドを削っておけば、スピードアタッカーを引ければとどめまで行ける。手札もほとんどないし、殴り返されても手札を補充できる)
《タイガーグレンオー》をマナに落とすと、暁は残る一枚のカードに手をかける。
「《スピア・ルピア》を召喚! さらに《ライラ・ラッタ》でシールドをブレイク!」
「ふん……あまり迂闊に攻撃しない方が身のためだぞ、小娘」
「なにおう! そーいう台詞は私に勝ってからから言いなよ。ターン終了!」
「生意気な小娘よ……我がターン。《バルキリー・ラゴン》によって呼び込まれた《ジャックポット・バトライザー》を召喚!」
ジャックポット・バトライザー 火文明 (8)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン 8000
スピードアタッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルに勝った時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せてもよい。その中から進化ではないドラゴンを1体、バトルゾーンに出し、その後、残りを墓地に置く。
「な、なにこのドラゴン……?」
「龍の力を思い知るがいい! スピードアタッカーの《ジャックポット》で《ライラ・ラッタ》を攻撃!」
《ライラ・ラッタ》が切り裂かれ、破壊される。バトルを受けた《ライラ・ラッタ》の能力で、暁のシールドが一枚手札へ。そして、
「《ジャックポット》の能力発動! 山札の上から三枚を捲り、その中のドラゴンを一体バトルゾーンに出す!」
捲られた三枚は、《紅神龍バルガゲイザー》《熱血龍 シビル・ウォード》そして——
「君臨せよ、偉大なる龍の王! 我が世界は龍のものなり——《龍世界 ドラゴ大王》!」
- 25話「龍世界」 ( No.80 )
- 日時: 2014/05/19 04:04
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
龍世界 ドラゴ大王 ≡V≡ 火文明 (10)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン 13000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを1体と、相手のクリーチャーを1体、バトルゾーンから選んでもよい。その2体をバトルさせる。
ドラゴンではないクリーチャーがバトルゾーンに出る時、バトルゾーンに出るかわりに持ち主の墓地に置かれる。
T・ブレイカー
——《ドラゴ大王》だった。
「で、出た……!」
『我が能力発動! 《ジャックポット》と《鬼切丸》を強制バトル!』
「《ジャックポット》と!? ってことは、また……」
その通り。
《ジャックポット》が《鬼切丸》とのバトルに勝利し、再び能力が発動する。
捲られたのは《スーパー炎獄スクラッパー》《ジャジャーン・カイザー》《セルリアン・ダガー・ドラゴン》の三枚。
『《セルリアン・ダガー・ドラゴン》をバトルゾーンに! その能力でドラゴンの数だけカードをドロー! さらに《バルキリー・ラゴン》でWブレイク!』
「っ、S・トリガー発動! 《ピアラ・ハート》を召喚——」
『させぬ!』
《ピアラ・ハート》を召喚しようとする暁を、《ドラゴ大王》は一喝して制する。
「な……なんでさ!」
『我が君臨する限り、この世界で龍以外の存在は認めぬ!』
「はぁ? なにそれ」
「《ドラゴ大王》の能力だ!」
コルルがデッキから顔を出し、説明する。
「《ドラゴ大王》が場にいる時、誰もドラゴン以外のクリーチャーを出せなくなる。無理やり出そうとしても、すべて《ドラゴ大王》に焼き尽くされるんだ!」
「ってことは、この《ピアラ・ハート》だけじゃなくて、《鬼切丸》とかも出せないってこと……!?」
一気に苦しい表情を見せる暁。暁のデッキにもそれなりの数のドラゴンがいるが、しかしそうでないクリーチャーも多く、またそれらのクリーチャーがサポート役となっているため、ドラゴン以外を出せなくする《ドラゴ大王》の能力は非常に痛い。
「今の手札じゃ、どうしようもない……とにかく《超速リベンジ・ドラゴン》召喚! そして呪文《熱血トレーニング》! 私の墓地に火のカードは四枚! だからこのターン攻撃中《リベンジ・ドラゴン》のパワーはプラス4000! 《ジャックポット》を攻撃!」
なんとか後続を呼ぶ《ジャックポット》は破壊したが、しかし肝心の《ドラゴ大王》は残っている。しかも《ドラゴ大王》の場にはドラゴンが三体。
『無駄な足掻きだが、貴様は完膚なきまでに叩きのめそうぞ。《霊峰竜騎フジサンダー》と《ギャノバズガ・ドラゴン》を召喚! そして我が場にアーマード・ドラゴンは二体! G・ゼロで《バルケリオス・ドラゴン》を召喚!』
「ドラゴンが、また増えた……!」
『まだ終わらん! 我が場にドラゴンは三体以上! よってG・ゼロ発動! 《バルケリオス・Gカイザー》を召喚!』
「また……嘘でしょ……?」
「なんて場だ……!」
《ドラゴ大王》の場にはドラゴンが七体。暁を倒すには十分な戦力を揃えていながら、その数をさらに倍以上に膨れ上がらせる。
『さあ、これで終わりだ! 我で攻撃!』
「くっ、そんな……!」
《ドラゴ大王》の炎が、暁のシールドを焼き尽くす。
「また、負ける……負けられないのに……!」
ラヴァーを倒すためには、こんなところで負けてられない。だが暁は、圧倒的な龍の世界に、押し潰されそうになっている。
「私じゃ、ダメなの——」
その時、声が聞こえた——
——諦めるな。
「!」
声が聞こえた。静かで重く、しかし熱い声だ。
「だ、誰……? どこにいるの……?」
——お前は、ここで諦めような軟弱な奴だったのか?
——そんなわけねーよな。お前はいつだって、最後まで足掻き続けてる。
——その心意気に拙者たちは惚れ、付き従うのでござる。
「この声……デッキから……?」
直感的に理解した。これは、クリーチャーの声だ。
「《バトライオウ》《バトラッシュ・ナックル》《GENJI》……私のクリーチャーたちが、語りかけてるの……?」
その声は、まだ続く。
——スピー! まだ手は残されてるっぴ!
「《スピア・ルピア》……」
——俺たちを信じろ。お前の仲間たちは、そんなにヤワな連中じゃねえだろ。
「《バトライオウ》……そうだね」
仲間たちの声を聞き、暁の中から諦念が焼失した。
「この程度のピンチで諦める私じゃない! S・トリガー発動! 《ドリル・トラップ》二連発で、《バルキリー・ラゴン》と《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を破壊!」
『生き永らえたか……だがそれでも、我が龍の軍勢を止めることは出来ぬ!』
「それはどうかな? 私には仲間がいるんだ! 私のターン!」
分かっている。この瞬間に引くカードがなにか。この未来への絆は、仲間たちが教えてくれたものだ。
ありったけのマナを注ぎ、場のドラゴンに重ね、現れる——
「進化! 《超竜サンバースト・NEX》!」
- 25話「龍世界」 ( No.81 )
- 日時: 2014/05/20 21:40
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
超竜サンバースト・NEX 火文明 (7)
進化クリーチャー:アーマード・ドラゴン 11000+
進化—自分のアーマード・ドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップしてもよい。
パワー12000以上のクリーチャーとバトル中、このクリーチャーのパワーは+11000される。
W・ブレイカー
不屈の魂は、未来へと繋がる絆の力へと進化する。
『だからどうした。そやつでは我には勝てぬ!』
「そう思うなら、黙って見てなよ。《スピア・ルピア》で《ドラゴ大王》を攻撃!」
槍を構え、《スピア・ルピア》が《ドラゴ大王》へと突貫する。
『効かぬ! そのような雑魚が、我に敵うものか!』
「確かに《スピア・ルピア》だけじゃ君は倒せない。でも《スピア・ルピア》が破壊された時、私のクリーチャー一体のパワーをプラス2000、そしてアンタップ状態のクリーチャーも殴れるようになる!」
強化するのは当然《サンバースト・NEX》。これでパワー13000だ。
「行っけぇ! 《サンバースト・NEX》で、《ドラゴ大王》を攻撃!」
『ふん、忘れたのか。我には《ギャノバズガ・ドラゴン》がいる。その能力でバトル時の我がパワーは16000だ。そやつでは敵わんぞ』
「いいや! 《サンバースト・NEX》はパワー12000以上のクリーチャーとバトルする時、パワーが11000上昇する! だから《スピア・ルピア》と合わせて、パワー24000だよ!」
『なんだと……!?』
太陽の如き莫大な炎を纏い、《サンバースト・NEX》の刃が《ドラゴ大王》を断ち切った。
「ぐおぉぉぉ! だがそれまでだ! 我が龍たちが、貴様を燃やし尽くす!」
「燃え尽きるのは君だよ! 《サンバースト・NEX》のもう一つの能力! 《サンバースト・NEX》がバトルに勝った時、アンタップする!」
「なに……!?」
今の《サンバースト・NEX》は、《スピア・ルピア》によってアンタップ状態のクリーチャーも攻撃できる。
「これが、君が馬鹿にしたファイアー・バードたちの力だ! 《サンバースト・NEX》で《ギャノバズガ・ドラゴン》を攻撃!」
さらに続けて《フジサンダー》《バルケリオス・ドラゴン》《バルケリオス・Gカイザー》と立て続けの攻撃し、《ドラゴ大王》のクリーチャーは全滅した。
「そして最後に! 私の火のドラゴンがバトルに勝ったから《爆竜勝利 バトライオウ》をバトルゾーンに!」
「馬鹿な、こんなことが……《偽りの名 バルガ・ラゴン》を召喚!」
「それで終わり? だったらこれで終わりだよ! 《サンバースト・NEX》でWブレイク!」
炎の刃がドラゴ大王のシールドを切り捨てる。
そして最後に、熱血の戦闘龍が、大王を討つべく駆けるのだ。
「《爆竜勝利 バトライオウ》で、ダイレクトアタック!」
《バトライオウ》の刃が、ドラゴ大王を切り裂く。
そして龍の世界が、断ち切られたのだった——
「ふぅ……みんな、ありがとう」
「やったな暁! あのドラゴ大王を倒したぜ!」
はしゃぐコルル。確かにこの勝利は嬉しい。だがそれが、仲間のクリーチャーたちの力があってこその勝利だと分かると、なおのこと歓喜が込み上げる。
「私にも聞こえた。カードの、クリーチャーの声が……」
今まではただのカードだと思っていたクリーチャーたち。しかしその声をじかに聞き、今まで以上に仲間としての意識が強くなる。
と、その時。重い声が響く。
「まさかこの我が、貴様のような小娘に敗れるとはな」
ドラゴ大王だ。その威厳は負けても変わらず、しかし攻撃的な威圧感はなくなっていた。
「貴様はあの憎たらしい小僧——アポロンにそっくりだ。仲間がどうとか甘いことをぬかし、弱きものを擁護し、共に戦う。その癖に強い。まったくもって気に食わん」
「なんだと! 負けた癖によくもそんなことを——」
「だが」
ドラゴ大王の物言いに憤慨するコルルだが、ドラゴ大王はそれを遮るように続ける。
「奴の強さは認めざるを得ない。龍と共にしか存在できぬ、龍以外とは相容れぬ我よりも、奴の方がよっぽど強い。我はかの《支配神話》たちと同じだ。力で他者を屈服させ、ただ一人で龍の世界に坐する、孤独な存在よ。そんな我は、仲間と共にある奴に憧れていたのかもしれぬな」
「ドラゴ大王……」
龍だけの世界を作り出す彼は、圧倒的にして絶対的な世界を作り上げる。しかし力による支配しかないその世界において、彼は孤独な存在だった。
《太陽神話》もドラゴ大王と同様に、本心ではドラゴ大王の力は認めていたはずだ。そして彼の孤独さも理解していただろう。
だからこそか、彼もこの地に眠らせたのかもしれない。
「結局のところ、我もアポロンと共にありたかった。だが奴に従う小さき鳥たちは、我の圧力に耐え切れぬ。故に我は孤独の道を歩み、それが我のあるべき姿だと念じたのだ」
孤独な王は、弱き民を求めていた。惰弱でも、脆弱でも、弱き彼らの中には、王にはない福楽が存在している。
「その一念は、やがて我の存在意義となった。思い込んだが最後、我はそのようにしか生きられぬ。弱くてもいい、小さき民を求めようとも、その民たちは我の後には続かぬ。我の存在は、生を得た時から孤独の運命だったのだ——」
「だったらさ」
悲嘆を増すドラゴ大王に、暁は言う。それは気休めでも慰めでもない。彼女の、本心からの言葉だった。
「私と一緒に来ればいいよ」
「!」
「あ、暁!?」
コルルが驚愕する。後ろにいる浬や柚たちも、少なからず驚いているようだった。
「なに言ってんだよ! あのドラゴ大王だぜ!? 正気か!」
「? コルルこそなに言ってんの。だってすっごい強いじゃん《ドラゴ大王》。是が非でも私のデッキに入れたいよ」
それに、と暁は続ける。
「私の仲間たちは、君の圧政なんかに負けるほど弱くないし。ねぇ、コルル?」
「え、まあ、それは……確かに、こいつの圧力なんかに屈してたまるか!」
半ば自棄になったかのようにコルルが叫ぶ。それを聞き、ドラゴ大王は、
「……ふん、口の減らない小娘が。いいだろう、我もそこまで言われて引き下がることはできん。我が圧政、耐えられるものなら耐えてみよ」
「上等!」
刹那、ドラゴ大王が炎に包まれる。その炎は次第に小さくなっていき、やがて一枚のカードとなった。そして、暁の手中へと収まる。
「《龍世界 ドラゴ大王》……これからよろしくね」
『我は貴様に従う気はない。あくまで王権は我にある。だが、この姿になってしまえば、否が応でも主導権は貴様にあるがな』
「口が減らないのはどっちだよ」
暁の純粋な言葉も、尊大に返す《ドラゴ大王》。
その時、彼はふと思い出したように声を発す。
『そういえば、忘れていた』
「なにを?」
『あの小僧——アポロンが我をこの地に封印した時、我に託したものがある』
「アポロンさんがお前に?」
『ああ。我も不思議に思ったものだがな……だが奴は、龍以外と相容れぬからこそ、我に持っていてほしいと、ふざけたことをぬかしておった。今思い出しても不愉快なことよ』
《ドラゴ大王》の気分はともかくとして、《太陽神話》が彼に託したものというのは気になるところだ。
「で、なにを託したんだよ」
『急かすな、小童。今掘り起こす』
と言うと、小部屋の壁面が赤く光り始める。そしてその光の中央から、炎が噴き出した。
吹き出した炎はやがて一つの形を創り出す。
その物体は、暁の手元へと流れて行った。
「これは……」
『それがなんなのかは我にも分からぬ。だが奴が言うには、奴の力を継ぐ者が持つべき代物らしい』
暁は手元のそれを見つめる。見覚えのある形状だ。自分がこの世界に来たばかりの頃。横で飛んでいる相棒が生まれた卵と似ている。
そう、それは、
漆黒の翼に抱かれた、太陽だった——
- 26話「アカデミー学園」 ( No.82 )
- 日時: 2014/05/21 02:23
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
「わたしのターン。《結界の面 ブオン》と《幻想妖精カチュア》を召喚です」
「お、やるねぇ、ゆず。でも、もう遅いよ。私のターン! 《コッコ・ルピア》でコストを下げて《ジャックポット・バトライザー》を召喚! そして《スピア・ルピア》で《ブオン》に自爆特攻! これで《ジャックポット》はアンタップクリーチャーも殴れる! 《カチュア》を攻撃!」
「あぅ、せっかく出したのに、やられてしまいました……」
「それだけじゃないよ。《ジャックポット》がバトルに勝ったから、能力発動! 山札の上から三枚を捲る!」
捲られた三枚は《フレフレ・ピッピー》《火焔タイガーグレンオー》《龍世界 ドラゴ大王》。
「よし来た! 《ドラゴ大王》をバトルゾーンに! そして《ドラゴ大王》の能力で、《ジャックポット》と《ブオン》を強制バトル!」
「また《ジャックポット》がバトル……ということは」
「その通り! 再び能力発動! 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》をバトルゾーンに出すよ! さらに私の火のドラゴンがバトルに勝利! 暁の先に勝利を刻め——《爆竜勝利 バトライオウ》もバトルゾーンに!」
「ドラゴンがこんなに……わ、わたしのターンです。増殖します、帝王様——《帝王類増殖目 トリプレックス》を召喚ですっ。能力でマナゾーンから《ミルドガルムス》を出します」
「残念だけど、もう手遅れだよ! ドラゴンで一斉攻撃!」
「はわわわ……」
「《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》でWブレイク! ブレイクしたシールドは墓地へ! 《ドラゴ大王》でTブレイク!」
「S・トリガーは……ありません……」
「だったらこれでとどめ! 《バトライオウ》でダイレクトアタック!」
「ま、負けちゃいました……」
がっくりと項垂れる柚。暁と柚のデュエルは、暁の勝利だった。
「あうぅ、あきらちゃん強いです……」
「デッキも変えてきたみたいね」
「そうなんですよ。せっかく《ドラゴ大王》が仲間になってくれたんで、組み直したんです。どうでした?」
「動きは悪くなかったな。《ジャックポット》から各種ドラゴンへのアクセスも、うまくはまっていた」
つい先日、仲間になったばかりの《ドラゴ大王》を核としたデッキに組み直した暁。その改造は、どうやら上手くいったらしい。
「それより……リュンはどうした。まだ来ないのか」
「そういえば来てませんね」
「本当だ。いつもなら、もう来るはずなのに」
この時間には来ているはずのリュンが、まだ姿を現さない。電話しようにも、クリーチャー世界にいては電話は通じない。
「仕方ないわね……あの子たちに聞いてみましょうか」
「あの子たち?」
そう言いながら沙弓は、机の上にあるPCを立ち上げる。
「あの子たちって、誰ですか?」
「《語り手》のみんなよ。今はエリアスが眠ってた沿岸付近にいるみたいね」
「っていうか部長、いつの間にそんな機能を……」
「昨日の夜にターミナルの情報を移したのよ。できるか不安だったけど、意外といけるものね」
ターミナルというのは、ウルカ制作の情報端末のことだ。正式名称はデュエル・マスターズ・ターミナルとなんの捻りも面白味もないネーミングだったが、それがDMターミナル、Dターミナル、ターミナルと一夜のうちに名称が約三分の一の長さに省略された。
「……あら?」
「どうしたんですか?」
「リュン、こっちの世界に来てるみたい。だから本来ならここにいるはずだけど」
「いない……ですね」
姿形はどこにもない。転送先でも間違えたのだろうか。
「どうしましょうか。リュンとは連絡つかないし、このままここでジッとしてても仕方ないし、とりあえず向こうに行く?」
「そうですね。そのためにターミナルがあるわけですし、俺らだけで行きますか」
「じゃあ座標アドレスを《語り手》のみんながいるところに設定して——」
送信のアイコンを、クリックする。
そして遊戯部の四人は、リュン不在のままクリーチャー世界へと向かうのだった。
「さて、とりあえず来てみたはいいものの」
「どうしたものか……」
半ば飛び出すようにクリーチャー世界にやって来た遊戯部一行だが、リュン不在となるとどこに向かえばいいのか分からない。
「…………」
「どうした、エリアス」
「あ、いえ、その……」
「はっきりしろ、なにがあった」
挙動不審なエリアス。浬が問い詰めていくと、
「実は、最近いろんなところから龍素を感じるんです」
「龍素を? どういうことだ」
「各地で水文明クリーチャーたちが一斉に龍素の実験を始めたか、どこかに保管されていた龍素記号が何らかの原因で各地に散ったかだと思いますが、前者ではないと思います」
繋がりのない者が複数の場所で一斉に同じことを始めるなど、普通はありえない。ならば、
「この世界で、それらが保管されている場所はどこだ?」
「私もすべて把握しているわけではないですが、海中都市のいくつかのブロックに保管されているはずです……あと、ヘルメス様が生み出したものくらいですが」
「お前が眠ってた場所だな」
「まあ原因はここでいくら考えても意味はないんですけど、この近くで複数の龍素を感じるんです」
「本当か?」
各地に散った龍素記号の一つがそこにあるとすれば、放置しておくのは些か危険だ。
「龍素は不安定で、今の私たちが完全に制御できるものではありません。下手したら暴走して、この世界にも悪影響を与えるかも……」
「それは放っておけないわね」
浬とエリアスのやり取りに、沙弓が入って来た。
「どうせなにをすればいいのか迷ってたとこだし、その龍素とやらを探しに行きましょうか」
「……行き当たりばったりですね」
しかし沙弓の言うことももっともで、このまま龍素を放置するわけにもいかないので、一同はその龍素を探すことにした。
「で、なにここ?」
「学校……みたい、ですけど……」
エリアスの感覚を頼りに歩いて辿り着いたのは、学校だった。背の高い門、その奥にはこれまた大きな校舎がそびえ立ち、その頂点には鐘が吊るされている。見るからに、学校、という空気感を醸し出している建物だ。
門の横には『アカデミー学園』と記された札も掛けられている。
「……おい、本当にここなのか?」
「あ、ご主人様、私のこと疑ってます!? 確かに感覚的なものを頼りに案内してましたけど、確かに感じるんですよ、ここから!」
浬の疑った眼差しに、必死に弁明するエリアス。
その発言もかなり疑わしいところだが、しかし今更後戻りすることもないだろうと、一行は門を潜る。
「いや、あの、勝手に入っていいんでしょうか……?」
「だいじょーぶだって。入るな、なんてどこにも書いてないんだから」
「そうね。入って欲しくなかったら、ちゃんとそう記しておくのが筋ってもんでしょ」
「……常識が通じないな、この二人には」
などと言いつつも、浬も入っていく。
しかし柚の心配は杞憂だったようで、中に入って学校関係者と思しき者と遭遇しても、なにも咎められなかった。すべてクリーチャーなので、生徒と教師の区別がつかないが。
「ほえー、意外と普通の学校だねぇ」
「わたしたちの世界と、あまり変わりませんね」
校舎内を歩き回る暁たちの口から出たのは、そんな感想だった。
「……リキッド・ピープルばかりの学校だな」
「確か、リキッド・ピープルが龍素の研究をしてるのよね。だったらやっぱり、ここで間違いなさそうね」
「ほら私の言う通りじゃないですか、ご主人様」
「偉ぶるな。あと、そろそろ訂正するのも面倒なんだが、ご主人様はやめろ」
実際、たびたび訂正しないこともある。
とその時、(恐らく)教員(だと思われる)クリーチャーが廊下の角から出て来た。そのクリーチャーは、最初はこちらを一瞥するだけですぐにその場から立ち去ろうとしたが、思い出したように戻って来ると、ギョッとした目つきで凝視してくる。
「こ、これは……!」
「なに、なんか怖い……」
「まさか……早く学園長に報告しなくては……!」
クリーチャーはすぐに廊下を走り去ってしまう。一体なんだったのか。
「行ってみましょう、ご主人様!」
「はぁ?」
「もしかしたら、学校を隠れ蓑に龍素を隠してるのかもしれません。見逃してはおけないですよ」
「いや、それは……どうなんだ……?」
なにやら張り切っているエリアスだが、浬としてはそれは思い過ごしな気がしてならない。
しかし、
「こうしてはいられません。行きましょう!」
「っ、おい、待て!」
エリアスは浬が止める間もなく先のクリーチャーの後を追う。そして浬も、そんなエリアスの後を追っていく。
瞬く間に、二人は見えなくなってしまった。
「……部長。浬、行っちゃいましたけど」
「そうねぇ……面白そうだし、私たちも行きましょうか」
「理由それですか……?」
- 東鷲宮中学校放送部 第一回「空城 暁」 ( No.83 )
- 日時: 2014/05/21 20:13
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
青葉
「さあ今日も始まりました、お昼の放送のお時間です。今回は放送部一年、青葉が司会進行を務めさせていただきます。そしてゲストはこの人です!」
暁
「お昼の放送に呼ばれたの初めて……放送室の奥ってこうなってるんだ……」
青葉
「基本的に部外者は立ち入り禁止ですからね。物珍しいのは分かりますけど、自己紹介。名乗ってください」
暁
「あ、うん。えーっと、一年二組の空城暁です」
青葉
「短い時間ですが、今日はよろしくお願いします、空城さん」
暁
「よろしくね。ところで他に人はいないの? 司会とゲストだけ?」
青葉
「では、頂いているお葉書を紹介しましょう」
暁
「スルー!? っていうか何でハガキ!? ここ学校だよね?」
青葉
「細かいことは気にしません。えーでは、空城さんには数多くの質問の葉書きが寄せられているのですが……」
暁
「私、昼になった途端いきなり君に引っ張り込まれたんだけど、なのになんで質問ハガキなんか来てるのさ……」
青葉
「一番多いのは二、三年生、上級生からの葉書きですね。去年の卒業生に空城夕陽という方がおられたそうですが、ご兄妹ですか? と」
暁
「あー……うん、そうだよ」
青葉
「では、お兄さんとのご関係は?」
暁
「自分でお兄さんって言ってるじゃん。私、妹。お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ」
青葉
「そうですか。こんな可愛い妹さんがおられるなんて、ライトノベルの主人公みたいなお兄さんなんでしょうね」
暁
「……そういえば、シオ先輩のお兄ちゃんも、そんなこと言ってたっけ……」
青葉
「シオ先輩というと、三年生の御舟先輩ですか。放送部の先輩から聞いた話ですが、この空城先輩と御舟先輩、それから春永先輩という三名が、去年の東鷲宮中学では超がいくらでもつくほどの有名人だったそうですね」
暁
「へぇ、そうなんだ。お兄ちゃん、中学校の頃の話はあんまりしてくれないから知らなかったよ。たまに上級生から視線を感じてたけど、そういうことだったんだ」
青葉
「妹さんまで注目されているとなると、相当な有名人だったんでしょうね。空城さんは、空城先輩は当然、御舟先輩ともお知り合いのようですが、春永先輩とはどうなんですか?」
暁
「このみさんは私の憧れだね。いつかの人みたいになるのが私の目標だよ」
青葉
「ほほぅ、それはそれは。さぞかし立派な方なんでしょうね、春永先輩は」
暁
「立派っていうか、可愛いし元気で明るくて優しくて、尊敬できるし、とにかく凄い人だよ。胸大きいし」
青葉
「成程成程。向こうで二、三年生の先輩方が苦虫を噛み潰したような顔をしていますが、見なかったことにしましょう。ところで空城さんは、お兄さん絡みのこと以外でも、一年生の間ではわりと有名人なんですよ」
暁
「そうなの?」
青葉
「はい。入学早々、デュエマでクラスメイト全員を叩き潰して、すぐ隣のクラスに殴り込んできたくらいですからね。ビックリしましたよ」
暁
「そういえばあったなぁ、そんなことも」
青葉
「その台詞は蹴散らされたクラスメイトが浮かばれないですが、それはさておき。どうしてあの後、一組を殲滅しなかったのですか?」
暁
「殲滅って……まーそうだねー、最初にデュエマを申し込んだ浬がなかなかデュエマしてくれなくて、絶対にデュエマさせてやる! とか思ってたら部活に入ってて、部活に熱中しだしたからかな?」
青葉
「部活? 空城さんは、部活動をなされているんですか? 何部ですか? 運動とか得意そうですけど」
暁
「運動部じゃないなぁ。遊戯部っていうの」
青葉
「遊戯部? 聞いたことない部です……あ、先輩がカンペを出してくれました。えぇっと……あー、はいはい。あれですね、あの都市伝説みたいな部活。一部の生徒の間で噂になってる」
暁
「噂になってるんだ」
青葉
「実体は知りませんが、これを機に部員を割り出して新しいネタとするのもいいかもしれませんね」
暁
「へぇ、柚とか浬とか部長とかもここに来ることになるのかな」
青葉
「まあ今は目の前のゲストに集中しますけどね。では次の話題に移りたいんですけど」
暁
「そういえばハガキはもういいの? 結局私、お兄ちゃんのことしか聞かれなかったけど」
青葉
「いいんですよ、身長とか体重とか身体のあちこちのサイズを教えて欲しいとかいう欲望丸出しの葉書きばっかりなんですから。それより、空城さんと言えばデュエマですよね」
暁
「うん……うん? そうなの?」
青葉
「そうですよ。不満ですか?」
暁
「いや、別に……」
青葉
「そこで、これもお葉書を頂いているのですが」
暁
「あ、ハガキが戻って来た」
青葉
「『空城さんがデュエマする姿を見て自分もデュエマを始めました。どうか初心者の自分にデュエマのノウハウを教えてください』といった趣旨のものがわりと多いんですよ。空城さんに影響されてデュエマを始めたり、もっと強くなりたいから、空城さんにアドバイスを仰いだり」
暁
「そうなんだ。なんか照れるな、そういうの」
青葉
「そんな葉書きから抜粋したのが……」
暁
「いいよいいよ、なんでも聞いて。私、今ならなんでも答えるよ!」
青葉
「『いつか空城さんにリベンジします。なので是非とも空城さんのデッキの中身を教えて欲しいです』というお葉書です」
暁
「まさかのデッキピーピング!? お昼の放送で聞くようなことじゃないっていうか、本人に聞くこと!? リベンジ目的で言うわけないじゃん!」
青葉
「でもさっき、なんでもするって言いましたよね?」
暁
「なんでもするなんて言ってないよ……でも、答えるって言っちゃったし、まあいいか。デッキの中身を知られたくらいじゃ、負けないし」
青葉
「強気ですね。では、デッキレシピをどうぞ」
暁
「最近改造したばっかりなんだけど、今の私のデッキはこんな感じだよ」
枚数:コスト:文明:名前
1:10:火:《龍世界 ドラゴ大王》
2:8:火:《ジャックポット・バトライザー》
2:8:火:《ジャジャーン・カイザー》
1:7:火:《超竜サンバースト・NEX》
1:7:火:《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》
1:7:火:《爆竜トルネードシヴァXX》
2:7:火:《爆竜勝利 バトライオウ》
2:7:火:《偽りの名 バルキリー・ラゴン》
2:7:火:《火焔タイガーグレンオー》
1:6:火:《爆竜 GENJI・XX》
3:6:火:《爆竜 バトラッシュ・ナックル》
3:6:火:《ボルシャック・NEX》
2:5:火:《ギャノバズガ・ドラゴン》
2:4:火:《ボッコ・ルピア》
3:3:火:《スピア・ルピア》
4:3:火:《フレフレ・ピッピー》
4:3:火:《コッコ・ルピア》
2:6:火:《スーパー炎獄スクラッパー》
2:7:火:《ドリル・トラップ》
青葉
「火文明単色の連ドラ……でしょうか」
暁
「うん。っていうか、青葉は分かるんだね……その通り、このデッキはドラゴンを連続で出すデッキ、通称連ドラだよ」
青葉
「どういう風に動かすんですか?」
暁
「特別な動きとかはあんまりないかな。序盤に《コッコ・ルピア》とか《フレフレ・ピッピー》みたいなドラゴンの召喚コストを下げるファイアー・バードを出しといて、そこからどんどんドラゴンを召喚するだけ」
青葉
「シンプルですね」
暁
「いやいや、色んなコンボもあるよ。《バトラッシュ・ナックル》でバトルに勝って《バトライオウ》を出したり、《ボルシャック・NEX》から三種のルピアを出したり、《ジャックポット》で一気にドラゴンを展開したり」
青葉
「コンボと言えるほどのコンボでもない気もしますけどね」
暁
「いや、まあ……でも、《NEX》は色んな能力を持ったルピアを出せるからサポートを固められるし、《ジャックポット》だって《ドラゴ大王》を出したりして上手くバトルに勝てれば、本当にドラゴンがたくさん並ぶし、《バトライオウ》も最速8ターン目に出るんだよ」
青葉
「《ドラゴ大王》はドラゴン以外の登場を封じますしね。しかしパッと見る限り、バトル関係のカードが多いですね」
暁
「基本はドラゴンを並べて押し切るって戦法だけど、バトルで相手を破壊しながら場を制圧するのも、このデッキのスタイルだからね」
青葉
「それはいいんですが、このデッキ、速攻みたいな早いデッキ相手には厳しくないですか?」
暁
「そうだね……3マナ溜まらないと動けないから、防御用のS・トリガーには気を遣ってるかな。私は火力範囲の広い《ドリル・トラップ》を入れてるけど、この辺は好みによって変えられるかも」
青葉
「速攻に弱いなら《スーパーバースト・ショット》や《めった切り・スクラッパー》のような、相手の小型獣を焼き払えるようなカードが良さげですね」
暁
「クリーチャーも《霊峰竜騎フジサンダー》とか、軽いドラゴンを積んでもいいしね。ドラゴンなら大抵のクリーチャーは入るから、これも好みで色々改造できるね。《フレミングジェット・ドラゴン》で一気にシールドを割ったり、《インフィニティ・ドラゴン》で除去耐性を上げたり」
青葉
「《セルリアン・ダガー・ドラゴン》なら手札が補充できて《竜星バルガライザー》や《偽りの名 バルガ・ラゴン》を追加してさらに踏み倒し手段を増やすのもよさそうですね」
暁
「まあでも、このデッキそこまでドラゴン比率が高くないから、単体で使えるカードとか、バトル絡みのカードを優先させてるけどね。二枚以上積んでるカードは根幹の動きに関わってくるから、入れ替えるとしたら一枚積みのドラゴンかなぁ。突破力があって即座に攻撃できる《GENJI》、バトル発生手段の一つとして入れてる《トルネードシヴァ》と、シールドを燃やすフィニッシャー《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》。それからゼニスみたいなドラゴンたちでもパワー負けする大型クリーチャーを蹴散らすための《サンバースト・NEX》。これらのカードは他のフィニッシャー級のドラゴンと入れ替えてもいいし、ドラゴンをサーチする《バルキリー・ラゴン》や《ジャックポット》を増量したり、《ドラゴ大王》を増やしてロック目的を強くしてもいいと思うよ。5〜6コストのドラゴンを増やして、基盤の動きを安定させてもいいしね」
青葉
「ふむふむ。よく語りますね」
暁
「いやいや、まだ終わらないよ。実はこのデッキは他にも——」
青葉
「おっと、ここで時間が来てしまいました。今回はここまでです」
暁
「ここで!? せっかくノって来たのに!」
青葉
「ということで、今回はゲストに空城暁さんに来ていただきました。またの放送をお楽しみに」
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