二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Another Mythology
- 日時: 2016/11/05 01:36
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。
珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——
目次
プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63
16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213
59話〜119話『継承する語り手編』
>>369
『侵革新話編』
120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415
■
Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213
Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355
■
番外編
東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528
■
東鷲宮中学校放送部
第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299
■
登場人物目録
>>57
- 143話 「夜襲」 ( No.561 )
- 日時: 2017/06/01 00:19
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: joK8LdJj)
敵襲。
その一言で、二人は立ち上がり、身構えた。
周囲は暗夜。漆黒の闇が支配する世界。自分たちの視力では、なにも視認できない。
しかし相棒たちが敵の存在を認知したと言っているのであれば、その事実が確かであると確信できる。
問題は、いつ、どこから、どのように、どんな人物が現れるか、という点だ。
「……本当に、敵なの?」
「姿は見えないし、気配もほとんど消してるけど……」
「僅かに殺気がある」
「わかるの?」
「死の臭いには敏感なんだ。特に、殺してぇ、っていう殺意にはな」
ということは、やはり敵なのか。
もしかしたら考えを変えたザキが戻ってきたのかもしれないと、恐怖の混じった期待もしたりしたが、そんないい加減な期待通りになるはずもなく。
「敵勢力発見。隊長の情報による特徴と一致——」
暗闇から、焚火の明かりが届くギリギリの範囲に、影が映る。
影は、姿を克明に表しながら、なにか言葉を発していた。
「——ラーザキダルクがいないな」
そして、歩を止めた。
「おい、誰だよてめぇ。ぶつぶつぶつぶつくっちゃべってねぇで、名くらい名乗れや」
「敵に名乗る必要はない。」
「まあそうだね。凄惨な戦場で名乗りを上げる余裕なんて、本来はない……けど、戦場に立つ戦士の矜持として、その名を刃を交える相手に刻み込むのは、もはや一種の儀式だよ。戦士とは、そうあるべきだ」
「生憎だが、我は兵士であり戦士ではない。戦士と戦う者ではない、戦士を殺す者だ」
油断がない。隙がない。相手にしない。
自分以外のすべてを断ち切ったかのような冷たい声だった。その声だけで、確実に自分たちは味方とみなされないとわかる。
沙弓らは、その人影を視認する。そして、
「……あの出で立ち、あの隠兵王とかいうのに似てる……」
「あの人の仲間なのかな」
なんということのない、迷彩柄の軍服。
その姿は、隠兵王とほぼ同じ服装の男。彼の仲間だろうか。
隠兵王はまだ、言葉、態度に落ち着きがあり、冷酷ではあっても冷淡さは感じさせなかった。しかし、この男は違う。
完全に自分と敵を切り離している。その姿勢が、ありありと見て取れる。
「……目標と接敵。これより、処理に移る」
これ以上話すことはない、と言わんばかりに、男はひとりでに、確認作業のように呟く。
そして、焚火の灯に照らされる、鈍く光るナイフを構えた。
「処理だと? やれるもんなら、やってみろ!」
相手が武器を構えるのと同時に、ドライゼも銃を抜き、トリガーを引く。
パァン! という乾いた音と共に、亜音速の銃弾が飛ぶ。が、
「あぁ!?」
「狙撃銃ならともかく、この暗夜でハンドガンが当たるものか。せめてサイレンサーとスコープをつけるんだな」
ドライゼの銃は当たらず、そのまま接近される。
両手に携えた銃を払い落されると、拳を頸部に叩き込まれ、そのまま音もなく昏倒した。
「ドライゼ!」
「次は戦士、貴様だ」
「……僕、夜戦はちょっと専門外なんだよね……」
「知ったことか」
男がナイフを振るう。テインは最初の数撃こそ、軍刀で切り結んだが、闇夜で繰り出される不可視に近づいた高速の斬撃を捉えきることはできず、刀を弾かれ、ドライゼ同様に拳を突き込まれて倒れた。
「クリーチャー二騎、処理完了。次は——」
「沙弓ちゃん!」
「……っ!」
倒れ伏したドライゼとテイン。隠兵王の時と同じだった。
男の視線が、沙弓と一騎に向く。
そして、彼が大振りのナイフを振り上げた。その時。
ヒュンッ
「っ!? なんだ……!?」
グシャッ、と。
なにかが、男にぶつけられた。
それは男に当たった瞬間、弾け、砕け、飛散した。
男の顔は濡れ、辺りにはどこか甘いような香りが微かに漂う。
「果物……?」
顔を拭う男。その匂いも、果汁のそれだった。
毒ではない。食用の果実だ。それが、森の奥から飛んできたのだ。
自然発生的なものではない。ツリーフォークやワイルド・ベジーズの種族など、一部の種族には果実を投擲する種も存在するらしいが、この森にそのような種が存在するという情報はない。そもそも、ツリーフォークもワイルド・ベジーズも、この世界は絶命しかかっている希少種だ。種の繁栄に重要な果実を投擲したりするものか。
ではなにか。それは人為的なものだと判断できる。
人為的であれば、誰が成したのか。そこまで思考を進めて、視線を果実が飛来した方へ向けると、
「ちっ、人がメシを探してるって時にやって来やがって……だがまあ、てめぇの解き放った殺気、気持ち悪ぃくらいビンビンに感じたぜ」
ガサガサと、草花を踏み潰すかのように、一体の悪魔が、姿を現した。
ただしその悪魔は、ラーザキダルクという名前を持っていたが。
「ザキ……!」
「寄生虫みてぇに人に張り付いて、うぜぇしムカつく野郎どもだと思ったが、意図してないとはいえ【鳳】を誘き出す撒き餌程度の価値はあったか」
「【フィストブロウ】の悪鬼羅刹……ラーザキダルクか。食料確保のためキャンプから離れ、単独行動を取っていたか」
森の奥から姿を現したザキは、腕に抱えた数々の果物を地面に落とした。その衝撃で潰れたり砕けたりしたものもあったが、気にする素振りはない。
(急に消えたと思ったら、ご飯を取りに行ってたのね……)
意外と普通の理由だった。
クリーチャーが一食あたりにどのくらいの量を食べるのかはわからないが、腕いっぱいに抱えられていた果物は、自分たちの分もあるのだろうか。
「そのナリは獣軍隊の一兵卒だな。雑兵一匹が何の用だ? 将軍がやられて仇討ちか?」
「部隊長はまだ討たれていない。命ある限り、我々に敗北はない」
「はんっ、ほざけ雑魚が。生きてても勝てなきゃ死んでるのと同じだろ」
貶し、見下し、鼻で笑い、ザキは一歩一歩、近づいていく。
その一歩ごとに、彼から放たれる殺気、覇気……痛々しいほどの感覚が、伝わってくる。
「ま、てめぇらの弁論なんざどうでもいい。俺たちは話し合うために向かい合ってんじゃねぇ。殺し合うために対立してんだ」
「話が早いな。悪鬼羅刹と恐れられる、メラリヴレイムの右腕、ラーザキダルク。その首貰い受ける」
「やってみろ三等兵。てめぇみてーな雑魚に俺が負けるかよ」
ジリジリと、にじり寄るごとにぶつかり合う害意。
互いに互いを抹殺しようとする明確な意志が、二人の間で飛び交っていた。
「雑魚とはいえ、こうして俺に刃を向けるんだ。名前くらいは聞いてやってもいいぜ」
「……獣軍隊第三班、班長、三族者」
「サンゾク? 知らねぇ名前だな……やっぱ雑魚か」
「精々侮るがいい。その油断が、貴様の死因だ!」
と、そこで三族者がナイフを突き出す。音速に近い、鋭い一突きだ。この距離でこの速度の刃を躱すのは、至難の業だろう。
しかし、躱せないからなんだというのだ。
そう言わんばかりにザキは、左手でナイフを、貫かれながらも“受け止め”そのまま握り潰した。
バキィッ、と金属片が飛び散る。
「な……っ!?」
「だから言ってんだろうが、雑兵。てめぇじゃ、俺は殺せねぇんだ、よ!」
ザキはクロスカウンターのように、右拳を突き出した。
その拳は三族者の腹にめり込み、三族者は派手に吹っ飛んだが、すぐに起き上がる。
浅い攻撃だった。拳のインパクトと同時に、重心を後ろに傾け、後方に跳ばなければ、腹を抉り取られる勢いの拳だった。
たった一度。たった一瞬の交錯で、三族者はすべてを理解した。
悪鬼羅刹の名は伊達ではない。まともに殺し合えば、殺されるのは自分だと。
戦士は戦う者で、殺しという行いでは兵士が勝るかもしれない。しかし、殺しというのであれば、悪鬼であり、羅刹であり、悪魔である彼の方が数段上だ。
兵士よりも悪魔の方が殺し慣れているのは、道理と言えよう。
ならばどうするか。殺せないのであれば、撤退するか。
その手段もあったが、結果として彼はその手段を取らなかった。
なぜならば、
「くっ……かくなる上は……!」
「あん?」
他にも、敵を処理する手段があったから。
自分の力量さえあれば、確実に無力化できる手段が。
「あぁ、そういう“ルール”を作るか……まだまともな判断だな」
ザキは肌で感じる。空気が変わりゆく感覚を。本来はこの世界になかった“ルール”を。
「だがそれでも、俺は殺せねぇよ。んでもって、てめぇの死は確定事項だ——」
そう告げたのが最後、二人の姿は消える。
殺す者としては不本意だろうが、しかしそれでいて確実な死を叩き込むことのできる場所へと、誘われて——
- 143話 「夜襲」 ( No.562 )
- 日時: 2017/06/01 23:58
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: joK8LdJj)
ザキと三族者の対戦。
ザキの場にはなにもない。《ボーンおどり・チャージャー》を一回使ったのみだ。
対する三族者の場には《成長の面 ナム=アウェイキ》。
「我がターン! 《青銅の面 ナム=ダエッド》召喚! マナを一枚追加! さらに《ナム=アウェイキ》で攻撃する時にも、マナ武装3発動! マナを追加できる!」
「マナばっか溜めてんな。雑魚が群れたところで無意味だぜ」
「そう思うのであれば、群れた獣軍隊に押し潰されて朽ち果てるがいい! 我がビーストフォークが攻撃したことで、侵略発動!」
棒を振り回しながら突っ込んでくる《ナム=アウェイキ》の姿が、徐々に変貌していく。
野性的な力はそのままに、より統率され、より頑強になった、兵としての強さを与えられた姿。
侵略した姿へと、変わる。
「《獣軍隊 サイノス》! シールドをWブレイクだ!」
「ちぃ……!」
《サイノス》の突撃で、ザキのシールドが二枚、砕け散る。
まだ3ターン目だ。早い巡目で、残りシールドが三枚。先への不安が募る盤面だ。
「音速隊のスピード狂共よりかはマシだがな……俺のターン、《ブラッドレイン》を召喚。さらに3マナで《暗黒鎧 ギラン》も召喚だ」
「無駄なことだ。2マナで《侵略者 タネタロウ》を召喚。さらに3マナで《雪要塞 ダルマンディ》を要塞化だ!」
「あん? 城だと……?」
吹雪の中に立つ、かまくらのような要塞、《ダルマンディ》が三族者の下に設置される。
これで彼のクリーチャーのパワーは3000増強され、殴り合いで強くなった。
「行け! 《サイノス》でWブレイク!」
「もう通さねぇよ、《ギラン》でブロック!」
《サイノス》の突撃を、《ギラン》が身を挺して防ぐ。
しかし《ギラン》のパワーは2000。《ダルマンディ》で強化された《サイノス》に、一撃で吹き飛ばされたが、
「《ギラン》はバトルで負けて破壊されるが、この時《ギラン》の能力発動! 墓地からタップして《ギラン》を復活させる!」
すぐさま、《ギラン》は蘇生した。タップ状態なので、このターンのブロックはできないが、《ギラン》が存在すれば、除去されない限り恒久的に攻撃を一度は防ぐことができる。
「こいつを退かさねぇと、てめぇの攻撃は通らねぇぜ?」
「知ったことか! 続け! 《ナム=ダエッド》でシールドをブレイク!」
《ギラン》のことなど眼中にないと言わんばかりに、三族者は攻撃を続ける。
これでザキのシールドは二枚だ。
「俺のターン。ここは……こうか。《ブラッドレイン》でコスト軽減、3マナで《ヴェイダー》召喚。さらに3マナで《ザロスト》を召喚だ」
ブロッカーを召喚し、さらに守りを固めるザキ。
そして、問題はここだ。
「関係ねぇ気もするが、ブロッカーのパワーラインを超えられるのもうぜぇし、やっぱ潰しとくか。《ブラッドレイン》で《ダルマンディ》のついたシールドをブレイク! ターン終了だ」
少し悩んだが、パワーを上げる《ダルマンディ》を攻め落とす。
手札を与えたくはないが、長い目で見れば、相手のクリーチャーがこちらのブロッカーを乗り越える方が厄介だと判断した結果だ。
「我がターン。《雪精 ジャーベル》を召喚。マナ武装3、山札の上から四枚を見るぞ……これだ。《サイノス》を手札に加える」
「ちっ、またそいつか……!」
「さらに《タネタロウ》を召喚だ! 既に場に出ている《タネタロウ》で攻撃! その時、《タネタロウ》の能力発動! 侵略モードで、相手のシールドが二枚以下の時、山札の上から二枚をマナへ! さらに、マナゾーンのクリーチャーを回収できる!」
《侵略者 タネタロウ》。相手のシールドが二枚以下という条件がついているものの、攻撃と同時にマナと手札を増やせる強力な能力を持っている。
大地に植えた種が豊穣の土を作り、そこから成長した樹木が果実を実らせる。
三族者は、その実った果実をもぎ取った。
侵略という名の果実を。
「回収するのは《サイノス》だ」
「またかよ……! わらわら湧いてきやがって。てめぇは蠅か」
「ならば、その蠅の群れに貪り尽くされるがいい! 侵略発動! 既に握っていた方の《サイノス》を、《タネタロウ》から侵略だ!」
種を植え、大地を肥やし、果実を実らせるだけではない。《タネタロウ》はその身を侵略者に捧げることで、その力を攻撃力という形に変換する。
現れた二体目の《サイノス》が、ザキへと突貫する。
「《ギラン》でブロック!」
「もう一体の《サイノス》で攻撃!」
「そっちも《ザロスト》でブロックだ!」
一撃、二撃と《サイノス》の突撃が繰り出される。
そして、遂に三体目の《サイノス》が、顔を覗かせた。
「《ナム=ダエッド》で攻撃! 侵略発動! 《獣軍隊 サイノス》! これは《ブラッドレイン》を攻撃する」
「そいつはブロックしない。《ブラッドレイン》が破壊されるな」
三族者のクリーチャーは次々と侵略し、《サイノス》が三体。
単純な打点でしかないとはいえ、それなりのパワーににWブレイカー。それがこの比較的早いターンに三体も並ぶとなると、驚異的だ。
もっともザキからすれば、処理が面倒、という程度の認識でしかなかったが。
「しゃらくせぇぜ……ちっと掃除すっか」
その認識のままに、彼は“掃除”を始める。
「《暗黒鎧 ギラン》を召喚し、そのまま進化」
この上なく血生臭い、彼なりの掃除を。
「目覚めろ、破壊の魔王。生を愉しむ者どもに、俺たちの死に様を見せつけろ——さぁ今こそ、革命を起こせ!」
《ギラン》は暗黒に飲まれる。悪夢の騎士は目的のため、己の守る力を、破壊する力へと変貌させる。
剣を捨て、鎧を捨て、理性を捨てる。
歪に歪み、隆々と盛り上がり、鋭利に尖る四肢。
膨張する胸の魔眼は、すべてを射殺さんとばかりに、暗闇を湛えた瞳をギラギラと輝かせている。
魔眼すらをも飲み込むかのようにして、巨大な大顎が牙を剥く。
そして、血のように赤い双眸が、見開かれた。
そこにはもう、矜持を抱いた漆黒の騎士はいない。
魔眼という凶器を振りかざす、悪魔の龍のみが、存在していた。
「破の意志を掲げろ——《悪魔龍王 ギランギラー》!」
「っ、革命のクリーチャー……!」
思わずたじろぐ三族者。
あまりに禍々しい姿だった。刃物のように鋭い爪や牙、血を吸ったかのように赤い眼。そして、身体の一部と化した、巨大な魔眼。
そのクリーチャーは、怪物と呼んでもまだ足りないほどに、凶悪な姿をしていた。
「さぁ、掃除番のお出ましだぜ。てめぇのうざってぇ蠅どもを殺し尽くす。《ギランギラー》で《サイノス》を攻撃! そして——」
《ギランギラー》が咆哮する。それと同時に、手に浮かび上がる拳の紋章が輝いた。
「てめぇらの生を死を味わい尽くせ。見ろ——これが亡き同胞たちの恨みだ」
その紋章は、革命軍の証。
理性を失っても、騎士としての矜持を捨てても、革命の意志だけは覚えている。
その輝きを標として、《ギランギラー》は革命の力を行使するのだった。
「革命発動! 《ギランギラー》の革命2により、俺のシールドが二枚以下の時、相手クリーチャーを破壊する! 別の《サイノス》を破壊だ!」
「っ!」
《ギランギラー》は、その魔眼で《サイノス》を睨みつける。
ただそれだけ、《サイノス》の身体は爆散した。
跡形もなく、影も形も残さず、消え去った。
さらにその直後、《ギランギラー》の魔爪に引き裂かれ、もう一体の《サイノス》も破壊される。
「ターン終了だ。これでちったぁ、マシになったろ」
「ぬぅ、我がターン! 《ジャーベル》を召喚! 山札を見て、《タネタロウ》を手札に。《タネタロウ》を召喚し、場に出ている《タネタロウ》で攻撃だ! 侵略モードでマナを追加、マナゾーンの《キリンソーヤ》を回収!」
「《ヴェイダー》でブロック。こっちの勝ちだ」
「《ジャーベル》でも攻撃だ!」
「……受ける」
革命があろうとなかろうと、三族者は攻撃を止めない。
《ジャーベル》のシャベルが、ザキのシールドを打ち砕いた。
これで、残り一枚。
「《ギラン》が残っているなら、《サイノス》は攻撃する意味がないな……ターン終了だ」
「俺のターン……てめぇは俺の術中に嵌ってる。単純に殴ってるだけじゃ、この破壊地獄からは抜け出せねぇよ。まずは3マナ、《ボーンおどり・チャージャー》を唱える。さらに《ブラッドレイン》《ヴェイダー》を召喚!」
相手の攻め手を潰す手段が確保できているザキは、崩れかけた土台を組み直す。
本当の革命を、破壊の反逆を、見せつけるために。
「《ギランギラー》で《ジャーベル》を攻撃! 革命2で《サイノス》を破壊だ!」
「くぅ……!」
またしても、魔眼で《サイノス》を、魔爪で《ジャーベル》を破壊し、一気に二体のクリーチャーを除去する。
これで残るは《タネタロウ》一体。
三族者の戦力は、大きく削ぎ落されている。
「我がターン……! いいタイミングだ……!」
ここで、険しかった三族者の表情が、ほんの少しだけ綻んだ。
それは現状を打破する一手。
即ち、死を押し付ける策謀だ。
「3マナタップ! 《雪要塞 ダルマンディ》を要塞化!」
「ここで《ダルマンディ》……しかも」
「その通りだ。我が手札にはこれがある。マナ進化! 《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》を召喚!」
前のターン《タネタロウ》で回収していた《キリンソーヤ》が現れる。
これで三族者の場には、ザキのブロッカーを乗り越えられるアタッカーが二体。
ザキのシールドは、残り一枚だ。
「シールド・フォース。これで、貴様のクリーチャーでは、我がクリーチャーをブロックすることは不可能だ」
ブロック不能な二打点。ギリギリではあるが、ザキの築いた防御網を的確にすり抜け、密林から兵士たちが奇襲を仕掛ける。
「《タネタロウ》で攻撃だ! 侵略モードで山札の上から二枚をマナへ置き、マナの《キリンソーヤ》を回収! 最後のシールドをブレイク!」
「……S・トリガーは、ねぇなぁ……」
「ならばこれでとどめだ! 《キリンソーヤ》でダイレクトアタック!」
最後の盾からS・トリガーもなく、とどめの一撃が放たれる。
放たれる、が。
「……S・トリガーはなくてもな、こっちはあるんだよ」
シールドがない。ダイレクトアタックが繰り出される。ブロックはできない。
圧倒的に敗北に近い状況であっても、それは必ずしも敗北が確定するとは限らない。
「革命0トリガー……《革命の裁門》」
まだ死は訪れない。
自らに降りかかる死を逆転し、その死を送り返す門扉が開かれる。
「枚数は二枚だ。一枚目、山札を捲る……《凶殺皇 デス・ハンズ》。成功だ。《キリン》を破壊!」
「ぐっ、これが革命0トリガー……!」
裁きの門は《キリンソーヤ》を挟み込み、飲み込み、ザキにもたらずはずの死を送り返された。
結果、大地の土へと還りゆく。
「てめぇみてーな下っ端が、俺に勝てると思ってんじゃねぇ。思い上がるな、三下」
「く……っ」
「おっと、二枚目もあったな。二枚目は……成功、《革命魔王 キラー・ザ・キル》だ。《ジャーベル》を破壊!」
「……ターン、終了だ」
「俺のターン。まずは呪文、《インフェルノ・サイン》。墓地から《革命龍 ガビュート》を復活させる。《ガビュート》の能力で、《ダルマンディ》つきのシールドをぶち抜く。さらに3マナで《ギラン》を進化!」
《ガビュート》の革命能力で、命は保障されている。
もう悪夢の騎士の守りは必要ない。あらゆる力と、悪意と、暗黒を、破壊に変えて殺し尽くす。
「《悪魔龍王 ギランギラー》……これで終いだ」
《ギラン》が二体目の《ギランギラー》へと進化し、ザキは攻めの姿勢を見せる。
いや、それは攻めなどという生ぬるいものではない。
決定的で、破壊的で、破滅的で、悪意的な、殺意だった。
「さっき召喚した《ギランギラー》で攻撃! 革命2で《タネタロウ》を破壊! Wブレイク!」
「っ、トリガーは、ない……!」
「《ブラッドレイン》でシールドをブレイク!」
最後のシールドが打ち砕かれた三族者。
ここでS・トリガーがあれば、まだ生き残ることができたかもしれないが、
「……なにもない」
結果は、無情だった。
兵士を潰され、罠を食い破られ、手を尽くしても終わらない悪夢。
獰猛で凶悪な魔獣にして悪魔は、加減も容赦もなく、無慈悲にその牙を剥く。
「《悪魔龍王 ギランギラー》で、ダイレクトアタックだ!」
- 144話 「生存と探索」 ( No.563 )
- 日時: 2017/06/19 14:39
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: joK8LdJj)
「あ……かは……っ!」
神話空間が消えると同時に、弾かれるようにして三族者の身体が、吹き飛んだ。
血を吐き、全身が裂傷だらけの肉体で、彼は地に落ち伏せる。
「はんっ、口ほどにもねぇ。王位も持たねぇ下っ端が下手に爪を出すと、牙ごと砕かれることを覚えておくんだな。雑魚が」
血まみれで地に伏す三族者を睥睨するラーザキダルク。彼を見下すその眼は、侮蔑と殺意に満ちていた。
「いや……牙で済めば良かったな。ルミスやウッディあたりならともかく、俺に食いかかった以上、爪も牙も、そしてその命も砕き散らしてやる」
血走った眼で見下ろし、凶悪なまでに伸びた魔爪を構えるザキ。月明かりに照らされたそれは、まさしく悪魔の凶器であり、死神の鎌のようであった。
命を刈り取る、殺意の凶器だ。
一歩、また一歩と三族者に近づく。その距離が、じき爪の間合いに入る。
すると、
「止めんなよ人間」
「!」
ザキが、制するように言葉を発した。
「てめぇらにはさぞかし気分の悪いことだろうが、これが俺の役目だ。一度目はてめぇの口車に乗ってやったが、二度目はねぇからな」
「…………」
それは牽制であり忠告。一度はザキの殺害行為を妨害した、沙弓らへの制止だった。
「【鳳】の奴らは一匹残さず殺し尽くす。奴らに討たれ死んだ同胞の報いだ……弔い合戦なんて小奇麗なもんじゃねぇ。こいつは血生臭い復讐劇だ。それを直視できないってんなら、そもそも俺に付いてくることが間違いだ。利用の仕方は悪くないが、利用する相手を間違えるな」
まるで沙弓たちの虚言が見抜かれているかのような物言い。実際、見抜かれていてもおかしくないくらい、お粗末な嘘だったのだが。
しかしここで沙弓たちの嘘がどうであるかは問題ではない。
今まさに、目の前で行われようとしている殺害行為。
一度目は不意の一撃で止められた。しかし、二度目はどうか。先読みされ、警告され、それでも止めるのか。
それは彼との敵対を意味する。ここでラーザキダルクという悪鬼と対立することは、果たして是か。答えは考えるまでもなく、否だ。
ではここで彼の殺戮を許容しても良いのか。これも否だ。
葛藤。止めるべきでもあり、止めないべきでもある。保身か、信念か。合理か、道理か。
絡み合った思想の矛盾を解きほぐすよりも早く、悪鬼の魔爪は瀕死の敗者へと振り下ろされる——
「っ!?」
——が、しかし。
小さな風切りの音と共に、なにかがザキの腕に突き刺さった。ドスッ、という鈍く重い音が、低く闇夜に響く。
そして続け様に、なにかが転がる音が聞こえる。
刹那、静寂な暗夜は吹き飛んだ。
「なにっ……!?」
「眩しい……!」
「閃光弾だ!」
音源から放たれる閃光。耳をつんざくような爆音。
たった一瞬の出来事だった。しかし、沙弓たちの目と耳が回復するのには、それなりの時間を必要とした。
周囲を正常に認識できるようになる頃には、すべてが終わっていた。そこには既に、なにもない。
そう、三族者の身柄すらも。
「……ちっ、逃げられたか。少し気が散ってたとはいえ、俺相手に気配無く接近し、仲間を連れ去る手腕……獣軍隊長の野郎だな」
憎々しげに吐き捨てるザキ。
獣軍隊長——隠兵王だ。
彼が、仲間の兵士を助けるために、今の閃光弾を放ったのか。
閃光弾だけではない。ザキは腕に突き刺さった長い矢を引き抜く。鏃を無視して強引に引き抜いたせいで、肉が抉れて血が噴き出したが、一切気にする様子は見せない。
ザキは引き抜いた矢を投げ捨てる。
「殺気があればもっと早く気付けたが、俺を殺すことが目的じゃなかったってことか。兵士の回収が目的だな。ちっ、目的も手段も、まったくなにもかもがムカつく野郎だぜ」
「…………」
「お前らとしちゃ、見たくねぇもんを見ずに済んでラッキーだったか?」
皮肉を突きつけるザキ。確かに、ある意味では幸運だった。
自分たちの手でザキの殺戮を止めればザキとの敵対は免れなかったが、自分たちならざる者の手であれば、辛うじて保っているザキとの契約は破棄されない。
ザキと表面上の協力関係を保ちつつ、道理も曲げない結果。幸運によって解消された葛藤と矛盾。
結果だけを見れば、最高だろう。
しかし同時に、この世界の——いや、この男の残酷さ。その深さもまた、知ってしまった。
(……長くは保たなさそうね、このなあなあの関係も)
わかっていた、そんなことは。
それでも、こうまざまざと見せつけられては、希望もなにもない。
「くそっ、いつもいいところで邪魔が入りやがる。隠密班として、もう少し隠れて行動すべきだったかもしれないと、ちっとばかり反省しそうだ」
ザキは地面に転がった果実を手に取ると、それにかぶりつきながら焚火のそばまで戻ってきた。やはりあの果物は食料だったようだ。
「……食べていいの?」
「あん? 知るか。俺は飯の備蓄なんざしねぇ。飯はその時々に調達、そこにあるもんだけを喰う。どの飯が誰のもんかなんて、定義してねぇよ」
つまりは食べていいのか、と即断して沙弓も果実に手を伸ばす。
ここで飢えて倒れては洒落にならない。この男に同調できないとはいえ、それとこれとは別の話である。
自分たちは今、彼に寄生しているのだ。利用し、操っているような状態だ。いくら相手がその意図を察していたとしても、それだけはゆめゆめ忘れてはいけない。
信念と道理は通しても、目的を失念してはいけない。利用できるところは利用し尽くして、生き延びるのだ。
(そうでもしないとやっていけないって、普段では考えられないギリギリな橋渡ってるわよね……)
自分は自分で、生きるだけでも精一杯だ。年長者の一人であるが、そんなことは無関係に辛辣さが身に染みる。
自分でこのありさまなのだ。他の部員たちのことも、気にかかる。
(皆、大丈夫かしらね——)
恋、浬、柚、沙弓、一騎——各人がそれぞれの方法で生き延びている中、暁は——
「——ヒャッハー! 《音速 メテオ08》を召喚! 《ブレイズ・クロー》でブレイクだ!」
「っ……《コッコ・ルピア》を召喚! ターン終了!」
「《鬼切丸》召喚! 《メテオ08》で攻撃……する時に!」
「げ、まさか……」
「侵略発動! 《音速 ガトリング》だぜぇ!」
バイクに跨る——というよりほとんど一体化している——侵略者は、侵略され、進化する。
現れたのは、両腕がガトリング砲となっている、燃え盛るクリーチャーだ。
「《ガトリング》はヒューマノイドから侵略するWブレイカーだ! そら、Wブレイク! ヒャッハー!」
「もうシールドが二枚……トリガーもないよ」
「まだまだぁ! 《鬼切丸》で攻撃する時にも侵略! 《ガトリング》だ!」
「うっそ……!?」
「オラオラァ! Wブレイク」
続けざまに二体目の《ガトリング》が砲口を向け、襲い掛かる。
幾多もの弾丸が暁のシールドを貫き、暁の守りの盾はすべて砕け散った。
「こいつでとどめだ! 《ブレイズ・クロー》でダイレクトアタック!」
そしてそこに、最後のアタッカー、《ブレイズ・クロー》が爪を振りかざして飛び掛かるが、
「まだ、まだぁ! 革命0トリガー! 《革命の鉄拳》!」
「あん……?」
遥か上空に、鋼鉄の拳が浮かび上がる。
それと同時に、暁は山札を捲った。その数四枚。
そこから、一枚を選び取る。
「どうせパワー1000だし、なんでもいいんだけど、《ビシット・アメッチ》を選ぶよ! パワー1000以下の《ブレイズ・クロー》を破壊!」
「ハァ!? クッソ、止まっちまった……が、次のターンで終わりだ! テメーの場には焼き鳥一匹! そいつだけでなにができるってんだ!」
「ほんとにね……でも」
確かに暁の場に存在するクリーチャーは一体。
だが、それでも、それだけで勝機は見えるのだ。
「これが、革命の力だよ! 《コッコ・ルピア》を進化! 《革命龍 ドラッケン》!」
「な!? 革命のクリーチャーもいやがったか……! やっぱテメー、【フィストブロウ】の残党だな!」
「だから違うよ……えっと、とりあえずここはクリーチャーを……いや、もう本体を殴る! 《ドラッケン》でシールドを攻撃!」
「あ!? 正気かテメー!?」
暁は《ドラッケン》単騎でシールドへと殴り込む。明らかに打点が足りていないが、
「スピードアッタッカー持ってそうだし、もう手札に《革命の鉄拳》はないし、耐えられる気がしないから攻めるよ! なんか、捲れそうな気がするし!」
などと言いながら、暁は山札に手をかける。
「まずは《ドラッケン》の革命2発動! 山札を二枚めくって、火のドラゴンをバトルゾーンにだすよ! 捲れたのは……よし、《バクアドルガン》をバトルゾーンへ! さらに普通の能力で、もう一回めくるよ!」
《バクアドルガン》だけでは、打点が一つ増えて三打点になっただけだが、
「来た! 《ドラッケン》! 《バクアドルガン》から進化だよ! Wブレイク!」
《ドラッケン》で《ドラッケン》を捲り、《バクアドルガン》が進化。これで二打点になり、合計四打点。
「ちぃ、トリガーはない!」
「まだまだ! 進化した《ドラッケン》で攻撃する時、もう一度能力発動! まずは革命能力から! 二枚めくって……《爆竜 NEX》をバトルゾーンへ! 次に普通の能力で山札をめくる!」
立て続けにドラゴンを呼び込み、捲り上げる暁。
そして、ここで呼ばれたドラゴンは——
「——《燃える革命 ドギラゴン》!」
革命を象徴する、ドラゴンを超えたドラゴンだった。
しかしその身には、いまだ鎖の呪縛が課されている。
「攻撃中の《ドラッケン》の上に重ねて、《ドギラゴン》に進化!」
「ド、《ドギラゴン》……そいつぁ、確か……」
「まだまだ! 《爆竜 NEX》の能力で山札をめくるよ! それがファイアー・バードならバトルゾーンに出せる! 来て、《燃えるメラッチ》!」
《ドラッケン》だけでなく《爆竜 NEX》も山札から援軍を呼ぶ。ただしそれは龍ではなく、炎の鳥だ。
「攻撃続行! 進化した《ドギラゴン》でTブレイク」
「ぐっ、トリガー出ねぇ……!」
「もうシールドゼロだね! じゃあ、これでとどめだ!」
《爆竜 NEX》が呼べるクリーチャーは《ドラッケン》に比べて貧弱だが、それでも《ドラッケン》にない強みがある。
それは、
「《爆竜 NEX》の能力発動! 私のファイアー・バードはすべてスピードアタッカーになる!」
「なに!?」
つまり、このターン場に出た《燃えるメラッチ》も攻撃に参加できるという意味。
それは即ち、シールドがない侵略者への、最後の一手になり得るという意味だ。
「《燃えるメラッチ》で、ダイレクトアタック!」
「——オレたちのリーダーがどこかって?」
「うん。バイク乗ってるし、仲間でしょ?」
対戦後。
暁は、倒したバイク乗りの男に尋問していた。
バイクに乗り、【鳳】の侵略者を自称して暁に突っかかってきた男。正直、小物という空気しか感じないが、それでも彼は音速隊なる部隊の一員。
それゆえ、彼らのリーダーである人物のことも知っているだろうと、暁は勝者の権利として問うた。
ただし《メラッチ》を具現化させ、その刃を突きつけながらであるのだが。
「リーダーがどこにいるかなんて知らねーよ。音速隊の誰もあの人にはついていけねーからな」
「そうなんだ。使えないなぁ」
「だ、だが、リーダーの大体のスケジュールはわかるぜ? 気分でどこでも走る人だけど、一定の周期で走るとこ変えてっからよ。今日はこの辺をツーリングする日だから、自然文明領の境界線辺りを走ってるんじゃねーか?」
「自然文明の境界……それってどっち?」
「あ、あっちだ。この渓谷を道なりにまっすぐ進めばいい」
「ん、ありがと。《メラッチ》、もういいよ」
《メラッチ》をカードに戻し、荷物を持って、暁は男を放置して歩き出す。
恐らく、もう少しだ。
もう少しで、あの音速のライダーに辿り着く。
革命の力を手に、強き意志を抱いて。
「待っててね、コルル——!」
- Re: デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.565 )
- 日時: 2017/06/22 17:37
- 名前: ワクワクさん (ID: 80kMZFUh)
DM は楽しいですよね〜、新しく出てきた修羅さん強いですし〜ヘヴィデスメタルとG・イズモのコンビも強いですしアクア・アンカーとバイケンのコンビも強いですよね〜
そんな訳で応援してます!リアルでデュエマしたいですね〜頑張ってください!モノクロさん場面描写がとてもお上手なので読みやすいですっ!お体をお大事に
- デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.566 )
- 日時: 2017/10/14 01:09
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: BbFmo06P)
>>565
長いこと気付かなくて本当に申し訳ない……コメントありがとうございます。
挙げられたカードはわりと古めのカードですけど、過去のカードでも組み合わせ次第ではいくらでも面白い動きができるので、確かにDMは楽しいですね。《アンカー》《バイケン》のコンボは自分も昔使ってました。
体は実はあんまり丈夫じゃないですが、細々と続けていくつもりです。よろしくお願いします。
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