二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Another Mythology
- 日時: 2016/11/05 01:36
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。
珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——
目次
プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63
16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213
59話〜119話『継承する語り手編』
>>369
『侵革新話編』
120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415
■
Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213
Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355
■
番外編
東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528
■
東鷲宮中学校放送部
第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299
■
登場人物目録
>>57
- キャラクターデータ2 霧島浬 ( No.134 )
- 日時: 2015/12/12 17:59
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: arA4JUne)
霧島 浬(きりしま かいり) 男 13歳
容姿:ほんの少しだけ茶味がかった黒髪のショートヘアで、黒縁の眼鏡をかけている。中学生、しかも小学校から上がりたてとは思えないほど背が高い。また、眼鏡を外すと(視界が悪くなって目を細めるという理由込みで)目つきが悪くなり、青葉からは「軽くチンピラ」と称されるほど。クリーチャー世界野での衣装は、黒いシャツとズボンに、暗青色のロングコート。ちなみにその評価は「根暗な感じがよく出てる」「ちょっと怖いけどかっこいい」。
性格:知的で冷静だが、寡黙かつ無愛想で皮肉屋。しかもノリが悪く、得体の知れないことには首を突っ込みたがらない保守的な面もある。基本的には常識人で、ツッコミを入れたり、なにかと突っ走りがちな暁や悪巧みする沙弓を制止しようとするが、最終的には流されることがほとんど。かなり聡明であり、一学年上の沙弓よりも頭が良いらしい。エリアスにはご主人様と呼ばれているが、浬自身は嫌がっており、ドジで一言多いエリアスに制裁を加えながらも仲は良い様子。沙弓の弟分的な存在で、自宅や二人きりの時はゆみ姉と呼び口調がやや乱雑で砕けているがいるが、暁たちの前では部長と呼び、言葉遣いも敬語が多い。暁曰く「ゆずには甘い」「お兄ちゃんに似てる」。黒村に憧れている。
所属:東鷲宮中学校1年1組、遊戯部所属
備考:沙弓と同居している。従兄に黒村形人がいる。《賢愚の語り手 エリアス》の所有者。
戦術:メインカラーは水。絶え間ないドローでクリーチャーを展開し、バウンスなどで妨害しながら進化クリーチャーやドラグハートなども交えて攻めていく。速ささと展開力を生かしたビートダウンをこなすが、だんだんと呪文を用いたコントロールデッキへとシフトしていっている。
切り札は
《龍素記号iQ サイクロペディア》
《零次龍程式 トライグラマ》
《超閃機 ジャバジャック》
《龍素記号Sr スペルサイクリカ》
《真理銃 エビデンス/龍素王 Q.E.D.》
《インビンシブル・テクノロジー》
《理英雄 デカルトQ》
《甲型龍帝式 キリコ3》
《龍波動空母 エビデゴラス/最終龍理 Q.E.D.+》
《立体兵器 龍素ランチャー/龍素戦闘機 エウクレイデス/龍素記号 Ad ユークリッド》
《賢愚神智 エリクシール》
など。
デッキ解説
最初は水と闇、リキッド・ピープルとデスパペットをメインにした中速ビートダウンを使用。墓地肥やしを絡めながら、《アクア・ジェスタールーペ》などのドローと連鎖でクリーチャーを展開し、《アクア・ソニックウェーブ》や《解体人形ジェニー》などのバウンスやハンデスで妨害しながら攻めるデッキ。
エリアスと出会ってからは、水単のリキッド・ピープルの種族デッキに移行。ドローでクリーチャーを展開、バウンスで相手を妨害し、《龍素記号iQ サイクロペディア》へと繋ぐのが基本スタイル。《アクア・ティーチャー》から軽量バニラを並べ、《零次龍程式 トライグラマ》のG・ゼロに繋げるなど、バニラビートのような側面がある。《超閃機 ヴィルヴィスヴィード》《超閃機 ジャバジャック》などの進化クリーチャーも充実しており、速度も速く、意外と器用な立ち回りが可能。しかしクリーチャーのパワーは軒並み低いので、全体火力などには弱い。
アカデミー・マスターとのデュエル後は、クリスタル・コマンド・ドラゴンと呪文を増量し、コントロール的な動きも見せるデッキを使用。序盤はやはり、リキッド・ピープルを展開するが、ビートダウンするかどうかを見極め、中盤のクリスタル・コマンド・ドラゴンへと繋ぐ。
デカルトQ戦では龍解を使用し、いわゆる水単コントロールのようなデッキにほぼ完全にシフトした。軽量呪文や《アクア忍者 ライヤ》を使い回すことで《真理銃 エビデンス》の龍解条件を素早く満たす。《龍素王 Q.E.D.》に龍解してからは、《インビンシブル・テクノロジー》で欲しいカードを引きいれて、《Q.E.D.》の能力で大型カードを使いまくり、場を制圧していく。
二度目のラヴァー戦では、さらにコントロール色を磨いていた。ドラグハート・フォートレスや3D龍解、《蒼神龍ヴェール・バビロニア》で疑似ハンデス、《散舞する世界 パシフィック R》で山札切れ防止など、様々なギミック取り入れて柔軟な対応力と多様な戦術を用いたプレイングを可能としている。
ヘルメス戦では、《サイバー・G・ホーガン》によって進化元と共に呼び出された《賢愚神話 シュライン・ヘルメス》のロックの穴を掻い潜って除去し、再登場されないように封じる対応力の高さを見せた。そのプレイングをヘルメスには「賢愚の力のうち、賢者に相当する」と評される。しかし《ヘルメス》の除去を逆手にとって、バウンスしたカードを逆利用されるなど、水文明の除去の弱さを突かれた。
ヘルメスとの対戦を経て、《賢愚の語り手 エリアス》を《賢愚神智 エリクシール》へと神話継承することができるようになった。
風水戦では、風水の豪運によるプレイングに振り回されるも、最後まで理屈と理論による理詰めのプレイを貫く。《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》で墓地をリセットして《ダイスーシドラ》の能力を封じ、墓地の多さを利用してG・ゼロで召喚、そのまま《キリコ3》の進化元となる。また、呪文が多いという風水のデッキの特徴を《エリクシール》ですり抜けて、勝利を収める。
- キャラクターデータ3 卯月沙弓 ( No.135 )
- 日時: 2015/12/12 19:43
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: arA4JUne)
卯月 沙弓(うづき さゆみ) 女 14歳
容姿:赤みのかかったセミロングの髪を低い位置で二つに括っている。背が高めなこと以外は標準体型。クリーチャー世界での衣装は、肩口を切り落とした黒いブラウスとロングスカートで、全体的に黒いが腰に巻いている二本のベルトとネクタイだけが白い。
性格:どこか飄々としており、掴みどころがない策略家気質。たまに茶目っ気を見せたり、逆境でも「抗う」と言って諦めることがなく、むしろ楽しんでいるような節がある。他人の死に対しては人一倍の恐怖感を覚え、外面では平常を装っていても、内面ではかなり錯乱している。また、責任感も強いので、部長という肩書きが重荷となって追い詰められてしまうこともある。
所属:東鷲宮中学校2年5組、遊戯部部長
備考:両親が折らず、霧島家に居候している。《月影の語り手 ドライゼ》の所有者。
戦術:メインカラーは闇。破壊やハンデスで妨害しつつ、肥やした墓地からクリーチャーを回収したり釣り上げたりするなど、闇文明の基本戦術で定石通りに戦う。詰めには大型進化クリーチャーの全体除去などで一気に決めるなど、豪快な面もある。
切り札は
《悪魔龍王 デストロンリー》
《リュウセイ・イン・ザ・ダーク》
《永遠の悪魔龍 デッド・リュウセイ》
《凶英雄 ツミトバツ》
《時空の封殺ディアスΖ/殲滅の覚醒者ディアボロスΖ》
《悪魔龍王 ドルバロムD》
《煉獄の悪魔龍 フォーエバー・オカルト》
《呪英雄 ウラミハデス》
《時空の悪魔龍 ディアボロス ΖΖ/究極の覚醒者 デビル・ディアボロス ΖΖ》
《月影神銃 ドラグノフ》
など。
デッキ解説
最初は闇、火のドラゴン・ゾンビを軸にしたデッキを使用。墓地肥やしで《黒神龍グールジェネレイド》を墓地に送り込み、ドラゴンを自壊させたり相手に破壊させるよう誘導して一気に展開し、それらを《マイキーのペンチ》でスピードアタッカーを付加させて押し切る、といったコンボが基盤となっている。
ドライゼと出会ってからは、闇単のコマンドとドラゴンを混合したデッキに移行。ドラゴンを自壊して《グールジェネレイド》を呼び出す基本戦術は変わっていないが、スピードアタッカーがなくなることで奇襲性が落ちた代わりに、除去やハンデスによる妨害を行う。序盤は《ボーンおどり・チャージャー》など墓地を肥やしつつマナを加速させて準備を整え、《特攻人形ジェニー》《ブラッディ・イヤリング》などで凌ぐ。その後も破壊とハンデスを繰り返してアドバンテージを稼ぎ、展開したドラゴンで押し切る。
リュウセイとのデュエル後は、ドラゴン・ゾンビよりもデーモン・コマンド・ドラゴンを増やした、コマンド・ドラゴン中心となる、いわゆる闇単コントロールに近いデッキを使用。普通のコントロールよりも早さに重きを置いており、《一撃奪取 ブラッドレイン》《コッコ・ドッコ》といったコスト軽減クリーチャーから最速で8コスト域の切り札を呼び出して流れを引き寄せつつ、その間に準備を整えて、最後に普通に呼び出す大型コマンド・ドラゴンでいち早く場を制圧する。
その後は、超次元を絡め、さらに大型のクリーチャーも使用するようになる。
アスモシス戦においては、速度以上にコントロール性能を重視した構築に変化。早さの代わりに安定性を上げ、ハンデスと墓地回収をより巧みに使用する。また超次元呪文を絡めることで、より多様な戦術を組み立てることも可能となった。
アスモシスとの対戦を経て、《月影の語り手 ドライゼ》を《月影神銃 ドラグノフ》へと神話継承することができるようになった。
- キャラクターデータ4 霞柚 ( No.136 )
- 日時: 2016/03/27 04:09
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: Ak1jHfcH)
霞 柚(かすみ ゆず) 女 13歳
容姿:やや黒っぽい栗毛のショートボブに、白いリボンを左右で結っている。背は遊戯部の中で最も低いが、それ以外の発育はなかなかいい。普段着は着物。クリーチャー世界での衣装は、大正時代の女学生を思わせる、若草色で矢絣模様の袴。
性格:穏やかで心優しく、誰にでも丁寧な言葉遣いではあるが、語感が緩いためかなり幼さを感じさせる。あまり気が強くないので周りに流されたり、ことあるごとに怯えているが、一生懸命で頑張り屋なためか本当に心折れることは滅多にない。譲り癖があり、自分のことを差し置いて、他人に物事を譲ってしまいがち。
所属:東鷲宮中学校一年二組、遊戯部所属
備考:義理の兄が一人いる。家は霞家と呼ばれる極道の家系で、一人娘(家の掟で頭首にはなれない)。暁とは幼馴染で親友。《萌芽の語り手 プル》の所有者。
来歴:物語序盤ではデュエマをしていなかったが、プルと出会ってからは家族に隠れてやっている。このことは後の発覚し、問題となるが、兄である橙との賭けに勝ち、表立ってデュエマをできるようになった。恋には敵視されていたが、暁を巡った対戦後、和解し仲良くなる。幼い頃は家系のせいで周囲から孤立していたが、暁との出会いによって救われた。
戦術:メインカラーは自然。カチュアシュートやセイバードラピ、ジュラシック連鎖といったデッキを使用。マナ加速の連打で大量にマナを蓄え、終盤にマナゾーンから回収したり、直接バトルゾーンに出すなどして、切り札を呼ぶ。クリーチャー展開をマナゾーンから直接引っ張り出すことが多いためマナの消費が激しく、過剰にブーストすることが多い。大量のマナと連鎖類目らの能力で、大量のクリーチャーを並べる展開力を発揮する。
切り札は
《帝王類増殖目 トリプレックス》
《幻想妖精カチュア》
《牙英雄 オトマ=クット》
《連鎖類覇王目 ティラノヴェノム》
《始原塊 ジュダイナ/古代王 ザウルピオ》
《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》
《四牙類 クアトロドン》
《卵殻塊 ジュラピル/生誕神秘 ル=ピラッジュ/成長類石塊目 ジュランクルーガ》
《仁義類鬼流目 ブラキオヤイバ》
《萌芽神花 メイプル》
など。
デッキ解説
最初は自然と光のデッキを使用。特にコンセプトがあって作ったデッキではないため、正直それほど強くはない。序盤は《霞み妖精ジャスミン》や《青銅の鎧》でマナを加速し、クリーチャーを並べながら《護蓮妖精ミスティーナ》の能力発動を狙う。他にも《陰陽の舞》などのマナ爆誕で場数を増やしたり、《ダイヤモンド・ソード》で奇襲をかけるなど、まったくの考えなしではない。
プルと出会ってからは、夕陽のアドバイスを受けて、自然単のセイバードラピのギミックを組み込んだカチュアシュートに移行。《幻想妖精カチュア》がデッキの核なのだが、いなくてもマナが伸びるため、普通にドラゴンを呼び出せる。主力アタッカーは《緑神龍ドラピ》で、このデッキなら9マナ溜めることも難しくないが、《結界の面 ブオン》と組み合わせることで、序盤からパワー13000のTブレイカーを呼ぶことも可能。また《帝王類増殖目 トリプレックス》もコンボを生み出しており、《ドラピ》と《ブオン》と共に出すことでデメリットを打ち消したり、《カチュア》で山札から呼んだ《トリプレックス》からさらに《ブオン》を出し、ターン終了時の破壊を免れるなど、重要な役割を果たす。
サソリスとのデュエルの後は、自然単のいわゆるジュラシック連鎖を使用。《龍鳥の面 ピーア》をエンジンとしており、連鎖類目からの大量展開から龍解に繋げる。膨大なマナと連鎖類目によってクリーチャーが大量に並ぶため、展開力は高く、その展開力を《古代王 ザウルピオ》の龍解に生かしている。
亜夢戦では、沙弓に唆され、アイドルカードを投入した自然単色デッキを使用。《歌姫の面 エリカッチュ》《龍覇 マリニャン》《愛嬌妖精 サエポヨ》といったファンデッキ用のカードを使う。いつもの連鎖類目のジュラシック・コマンド・ドラゴンに加え、《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》によるコスト軽減などを利用して大量のクリーチャーを展開し、物量で押し潰す戦略を取る。
暁を巡る恋戦では、序盤に《成長類石塊目 ジュランクルーガ》の3D龍解に成功し、大型クリーチャーを展開するも、《天命讃華 ネバーラスト》によって殲滅され、《天命王 エバーラスト》の除去耐性付与も相まって、恋のクリーチャーを処理できなくなる。S・トリガーで出た《瞬撃の大地 ザンヴァッカ》をガードマンで守りながら一時を切り抜けるも、絶体絶命。その時、萌芽神話と邂逅する。《オトマ=クット》でマナを使い回し、クリーチャーを並べながら《獰猛なる大地》で《萌芽神花 メイプル》を出す。《メイプル》の能力でさらにクリーチャーを並べ、《古代王 ザウルピオ》の龍解にも成功し、《メイプル》のセイバー付与で《ザウルピオ》を除去できなくなった恋を逆に詰ませる。その後は拮抗状態が続くが、恋が《ソウルガルド》でクリーチャーをシールドに埋めたことを契機に、《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》と《カンクロウ・ブラスター》で恋のブロッカーをすり抜け、勝利をもぎ取った。
恋との対戦を経て、《萌芽の語り手 プル》を《萌芽神花 メイプル》へと神話継承することができるようになった。
- 38話「反省会」 ( No.137 )
- 日時: 2014/07/06 04:41
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
その時は夜だった。自分以外に誰も存在しない部屋、ベッドの中で身を抱えながら、暁は強く目を閉じている。
蘇るのは、ラヴァーとの今日のデュエルの結果。
(また負けた……今度こそ勝つつもりで、デッキも組んだのに……《ドラゴ大王》や《ガイゲンスイ》もいたのに……!)
なのに、負けた。
デッキ構築について、暁とラヴァーの間に大きな差があったとは思えない。ならば、なぜ負けたのか。
引きが悪かったとか、相手の運が良かったとか、そんな言い訳をするつもりはない。
理由はただ一つ、はっきりしている。
(私がもっと強くならなきゃ……そのために、することは一つ——)
翌日。
ピースタウン、ウルカの工房にて。
「やっぱり、後半ももっと積極的に攻撃するべきだったのかな。相手のシールドがなくなってからとか、特に」
「それなら、オレが攻撃に加われてれば……」
『言うなコルル。俺なんて、むざむざ罠のあるシールドに突っ込んじまったんだ。しかもその後はシールドに埋められた』
『オレも、《バトライオウ》の勝利に続けただけで、それ以降はなんの能力もない役立たずだった……クソッ!』
『シールドと言えば、拙者もでござる。拙者がシールドに埋まってさえいなければ、流れを引き寄せられたかもしれないのに……無念』
『儂らも同じだ。折角《ジャックポット》が繋いでくれたというのに、面目ない』
『あの陰気な娘、やってくれる……小娘よりも癪に障る女だ。次こそは我が王権の前に跪かせてよう……!』
暁はコンクリート打ちっぱなしの床に胡坐をかき、その周囲に自分のデッキのカードを並べていた。ちょうど自分を中心に、円形となるように。
「……なにやってるんだ? あいつは」
「反省会だって。昨日の敗北が、よっぽど悔しかったのね」
「向こうの世界に行ったら、いきなり『どっか落ち着いて会議のできる場所はない!?』とか言うから、何事かと思ったよ……」
「あきらちゃん……」
「それより君たち」
そこで、机に向かってなにやら作業していたウルカが、ひょいっと顔を出す。
「あんまりうるさくしないでよ、ここは公民館じゃないんだからね。お金取るか、追い出しちゃうぞ」
「すみませんウルカさん……でも、少し大目に見てくれませんかね?」
「お金払うなら文句は言わないよ」
「それはちょっと……」
「うぁー!」
唐突に叫び出す暁。一同の視線が彼女に集まる。
「あ、あきらちゃん……?」
「遂に頭のねじが飛んだか……」
「普段から頭を使ってないだけに、心配だわ」
果てにはこんなことを言われてしまう始末。しかし当人はそんなことなど気にせず、
「あーもう! なんで勝てないの!」
『貴様が不甲斐ないからだ、小娘』
『勿論、俺たちを操っている暁の力不足もあるだろうよ』
『はっきり言って、精霊龍使いの娘の方が、暁殿よりも技量は秀でていた。そこは認めざるを得ないでござる』
『しかし暁ばかりの責任ではない。儂らの力も、奴の精霊龍たちと対等とは言い難い』
『つっても、オレたちの力はこれでほとんど完成形だから』
「もう一戦力欲しいよなぁ」
《ドラゴ大王》や《ガイゲンスイ》を仲間にしてもなお、ラヴァーには届かない。ならば、暁の技術向上も兼ねて、新たなクリーチャーを手に入れたいところだ。
『……それならば、もう一人の英雄の力を借りるのが、良いかもしれんな』
「もう一人の英雄……え? 火文明の英雄って、《ガイゲンスイ》だけじゃないの?」
暁の反芻に、《ガイゲンスイ》は(カード越しで分からないが)首肯する。
『なにも英雄は各文明に一体ずつではない。他の文明、例えば光文明や闇文明にも複数の英雄がいる。そして火文明には、《撃英雄》の名を持つ儂以外に、《怒英雄》と呼ばれる英雄が存在しているのだ』
「《怒英雄》……そのクリーチャーは強いの?」
『強いぞ』
即答だった。
《ガイゲンスイ》がここまで強く言うのなら、その力は相当なものなのだろう。もし仲間になれば、戦力として期待できる。
『恐らく、儂と同じ地に眠っているだろう。儂が目覚める時、奴はまだその時ではなかったが、そろそろ力を蓄え、目覚めてもおかしくはない』
「そっかぁ……よし! じゃあその英雄の所に行こう!」
「ちょっと待って」
暁がバッと立ち上がり、今にも駆け出しそうなところを、沙弓が声で制した。
「部長? どしたの?」
「さっき、闇文明にも他の英雄がいるって言ったわよね?」
『そうだが』
「なら、私も行くとしましょうかね、英雄の所に」
「え? それは勿論、みんなで行くんじゃないの?」
「そうじゃなくて」
火文明だけでなく、闇文明にも別の英雄が存在する。ということは、
「私も、闇文明の英雄を探しに行きたいのよ」
「えっ……じゃあ、あきらちゃんとぶちょーさんは、別行動……」
「そういうことになるな」
暁が火文明の英雄を仲間にする間、沙弓は闇文明の英雄を探す。わざわざ四人で同じ場所に行く必要もないので、効率がいいと言えばいい。
「でも急ですね」
「ちょっと、気になることがあってね……とりあえず、二手に分かれましょうか。私はカイと月魔館に行くから、暁は柚ちゃんとサンライト・マウンテンに向かって」
手早く部員を二分する沙弓。少々強引に思えたが、しかしその采配に文句はない。
「よーし、じゃあ早速行くよ、ゆず!」
「あ……あきらちゃんっ、待ってください!」
そして暁は、颯爽と工房から飛び出して行ってしまった。柚も慌ててその後を追う。
「……じゃあ僕は、暁さんたちの方に行こうかな」
「頼むわ。あの子たちだけじゃ、ちょっと心配だから」
そう言って、リュンも工房から出ていった。
残されたのは、沙弓と浬。
「ゆみ姉……もしかして、あの時の……」
「ええ。ずっと引っかかってたのよね、あの声」
沙弓は言いながら、デッキから一枚のカードを取り出す。それは、《凶英雄 ツミトバツ》のカードだった。
「このカードを手に入れた時、あの場所の獄卒だと言っていた声……その正体を突き止めてやるわ」
「確かに、有耶無耶にしておくのは気持ち悪いな」
「そういうわけだから、私たちも早く出ましょうか。暁たちよりも遅れたくないわ」
「それもそうだな」
最後に工房を出る二人。
かくして、暁と沙弓は、それぞれ柚と浬を連れ、各々の英雄を探すこととなったのだった。
- 39話「怒英雄」 ( No.138 )
- 日時: 2014/07/12 05:39
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
というわけで暁たちは、サンライト・マウンテンの一角にある小部屋へとやって来た。
「《ガイゲンスイ》の言う通りだ。新しいドラゴンの反応を感じる」
「ルー」
「よし、じゃあコルル、頼んだよ」
「おう!」
コルルが壁面に手をかざす。すると、いつものようにその部分が光り、炎となって一つの形を作り出す。
面持ちは正に龍だが、人型に近い姿。《ガイゲンスイ》のように身体の各所には和風の鎧や籠手が付けられ、腰には一振りの刀。
そのクリーチャーは、ゆっくりと目を開く。
「……なんだぁ、てめぇら?」
そして、ドスの利いた声を響かせた。
「はぅ……っ」
「なんか、おっかないね……」
声もそうだが、そのクリーチャーは鋭い眼光で暁らたちを睨みつけている。柚なんかは、既に泣きそうになっていた。
さてどうやってこのクリーチャーと打ち解けようかと考えていると、
『ガイムソウよ、久しいな』
「あ? てめぇは《ガイゲンスイ》……」
デッキから、カードのまま《ガイゲンスイ》が出て来た。その口振りから察するに、このクリーチャーはガイムソウというようで、《ガイゲンスイ》とは見知った中のようである。
『此度はそなたに用があって来た』
「オレに? んだよ」
『儂らの……いやさ、彼女の仲間にならぬか?』
率直で単刀直入に、《ガイゲンスイ》はそう切り出した。
『彼女の名は暁。治安の乱れているこの世界を救うも者の一人だ。儂らは今、彼女の仲間となり、彼女の手足となって、この世界を乱す者と戦っている』
だが、と《ガイゲンスイ》は逆接し、
『不甲斐ない話ではあるが、儂ら先日、とある者と戦い、敗北を喫した。そこで、儂と同じ英雄であるそなたにも力を貸して欲しいのだ。儂だけでなく《バトライオウ》《ドラゴ大王》も彼女の仲間だ。そなたの力があれば、奴らの力も十全に発揮できることだろう。どうだろうか、ガイムソウよ』
《ガイゲンスイ》は真摯な眼差しで、真っ直ぐな目で、ガイムソウに訴えかける。
ガイムソウは顔に影が差しており、表情が読み取れない。口も開かなかったが、やがて、
「……ふっ」
「ふ?」
「ふっ——ざけんなッ!」
凄まじい声量で、怒鳴り声をあげる。
「っ……!?」
「はうぅ……っ!」
部屋が崩れるのではないかというほどの爆音だった。実際、天井から岩の欠片が少しだけ落ちて来た。
「やっと目覚めて、旧友のツラおがめたと思ったら、なにほざいてんだてめぇ! オレを馬鹿にしてんのか!」
「え、えっと……」
怒鳴り続けるガイムソウに、圧倒される暁。そんな暁のことなどお構いなしに、ガイムソウは続ける。
「見損なったぞ《ガイゲンスイ》! てめぇ、なにこんな女についてやがる! オレたちの主はアポロンさんだろうが!」
『……アポロン様はもうこの世界にはいない』
「だからなんだってんだ! オレは認めねぇぞ……こんな奴に、アポロンさんの代わりにつくなんて認めねぇからな!つーか!」
ビシッと、ガイムソウは暁——のデッキを指差して、叫ぶ。
「《バトライオウ》! 《ドラゴ大王》! あとは《バトラッシュ・ナックル》に《GENJI》の力も感じるな……てめぇら全員、腑抜けすぎだ! 少し見ねぇ間に、随分と落ちたものだなぁ、おい!」
『なんだと貴様……我らのどこが腑抜けだというのだ!』
「全部だよ! あの人を差し置いてそんなどこの馬の骨かも分からねぇ女に付き従うなんざ、どうかしてるぜ」
『ガイムソウ、お前は暁のことを知らないからそんなことを言えるのだ』
『確かにこいつは、ちっとばかし頼りないかもしれねぇがな』
『拙者たちの力を最大限に引き出してくれる、良き龍使いだ』
デッキから《ドラゴ大王》《バトライオウ》《バトラッシュ・ナックル》《GENJI》も飛び出し、ガイムソウと言葉をぶつけ合う。
だがその言葉も、ガイムソウには火に油を注ぐだけだ。
「その考えが腑抜けだっつってんだよ! そいつにアポロンさん以上の力があるとも、アポロンさん以上の主としての器があるとも思えねぇ!」
『それは……』
言い淀む《ガイゲンスイ》。
アポロンは十二神話とまで呼ばれた、この世界を統治していたクリーチャーだ。そんなクリーチャーと暁を比べれば、どうしたって暁の方が見劣りしてしまう。
それだけは、覆らない。
「……なんでもいいけどな。てめぇらには失望したぜ」
『貴様、言わせておけば……!』
「だから」
《ドラゴ大王》が噛みつくのをガイムソウは半ば無視するように、暁を睨みつける。
「オレがてめぇらに喝をいれてやる! 覚悟しやがれ、腑抜けドラゴンども!」
「っ!」
次の瞬間、ガイムソウが飛び掛かった。
「暁!」
だがその間にコルルが飛び込む。そして、
「仕方ないか! 行くよ、みんな!」
彼を中心とした、神話空間が展開される。
そして、暁とガイムソウは、その空間の中へと誘われていくのであった。
かくして、かなり強引に始まった暁とガイムソウとのデュエル。
まだどちらもシールドは五枚だが、暁は既に《コッコ・ルピア》を召喚している。
一方ガイムソウは、クリーチャーゼロ。しかし《ネクスト・チャージャー》でマナを増やし、手札も入れ替えている。
「私のターン! 《爆竜 GENJI・XX》を召喚! スピードアタッカーの《GENJI》で、シールドをWブレイク!」
『はぁっ、斬!』
気勢を発しながら、ガイムソウのシールドを二枚ブレイクする《GENJI》。早速、暁が一歩リードしたが、
「はんっ、しばらく見ないうちに腕が落ちたな《GENJI》」
『なに……?』
「その刀、錆びてんじゃねぇのか? 効かねぇよ! S・トリガー発動《天守閣 龍王武陣》!」
ガイムソウの切り裂かれたシールドのうち一枚が、光の束となって収束する。
《天守閣 龍王武陣》の能力で山札が捲られ、ガイムソウはそのうちの一枚を弾き飛ばす。
「選ぶのはパワー7000の《ガイアール・ゼロ》だ! 消えろ!」
『くっ、不覚……!』
ガイムソウのマナは四枚なのでマナ武装は発動しないが、《GENJI》は破壊されてしまった。
「オレのターンだ! まずは《メテオ・チャージャー》を空撃ち、続けて呪文《爆流剣術 炎熱の技》! パワー2000以下の《コッコ・ルピア》を破壊だ!」
「《コッコ・ルピア》までやられちゃったよ……だったら代わりに《フレフレ・ピッピー》召喚!」
返しのターン、暁は《コッコ・ルピア》の代わりとして《フレフレ・ピッピー》を呼び出すが、
「呪文《超次元ボルシャック・ホール》! 《フレフレ・ピッピー》を破壊だ!」
即座に破壊されてしまった。さらに、
「超次元ゾーンから、コスト7以下の火のサイキック・クリーチャーを呼び出す! 出て来い《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》!」
「遂にドラゴンが出ちゃったよ……」
ここで初めてガイムソウがクリーチャーを繰り出してくる。しかも《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》がバトルに勝てば、覚醒されてしまう。
「迂闊にクリーチャーを出しにくくなったけど……その前に決めちゃえば関係ないよ! そっちがサイキックなら、こっちはルピアだ! 《ボルシャック・NEX》を召喚! 効果で山札から《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに!」
確かに《時空の火焔ボルシャック・ドラゴン》は厄介だが、シールドの枚数では暁が有利だ。ならば手数で攻めて、押し切ってしまえばいい。
しかし、
「遅いんだよ! このターンで終わりにしてやるぜ」
「え……?」
ガイムソウから放たれる勝利宣告。
刹那、ガイムソウのマナゾーンが、怒り狂うように燃え盛る。
「我が力、怒りの炎で燃え上がれ! 勝利を呼ぶ龍たちよ、英雄たる我に続け! 炎を纏い武装せよ!」
幾本も立つ火柱から、一体の龍が飛び出す。龍を呼び、仲間を呼び、そして勝利を呼ぶ英雄。それは——
「——《怒英雄 ガイムソウ》!」
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