二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Another Mythology
- 日時: 2016/11/05 01:36
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
初めましての方は初めまして。モノクロと申す者です。
今作品はモノクロが執筆しているもう一つの作品『デュエル・マスターズ Mythology』の外伝、いわゆるスピンオフ作品と銘打ってはいますが、ほぼ別物と化しています。
一応今作は、本編とは違った独自のストーリーを展開しつつ、『デュエル・マスターズ Mythology』の謎を別のアプローチで解き明かしていく、というスタンスで執筆する予定です。さらに言えば、こちらはあちらの作品よりもライトで軽い作風に仕上げたいと思っています。
カード解説は『デュエル・マスターズ Mythology』と同じ。また、オリジナルカードも登場する予定です。
珍しく前置きがコンパクトになったところで、モノクロの新しい物語を、始めたいと思います——
目次
プロローグ「とある思考」
>>1
1話「始動」
>>4
2話「超獣世界」
>>7
3話「太陽の語り手」
>>8 >>9
4話「遊戯部」
>>12
5話「適正」
>>15
6話「賢愚の語り手」
>>16 >>17
7話「ピースタウン」
>>18 >>24
8話「月魔館」
>>27 >>28
9話「月影の語り手」
>>29 >>30
10話「北部要塞」
>>31 >>35
11話「バニラビート」
>>36 >>37
12話「幻想妖精」
>>38 >>39
13話「萌芽の語り手」
>>40 >>43
14話「デッキ構築の基本講座」
>>60
15話「従兄」
>>63
16話〜58話『ラヴァーの世界編』
>>213
59話〜119話『継承する語り手編』
>>369
『侵革新話編』
120話「侵略開始」
>>367
121話「十二新話」
>>368 >>370
122話「離散」
>>371 >>372
123話「略奪」
>>373 >>374
124話「復讐者」
>>375 >>378
125話「time reverse」
>>379 >>380 >>381
126話「賭け」
>>382 >>383 >>384 >>385
127話「砂漠の下の研究所」
>>386 >>387 >>389 >>390 >>391
128話「円筒の龍」
>>392 >>393 >>394 >>395
129話「奇襲」
>>396 >>397 >>398 >>399 >>400
130話「死の意志」
>>401 >>402 >>403 >>404
131話「殺戮の資格」
>>405 >>406
132話「煩悩欲界」
>>407 >>408 >>409 >>410 >>412
133話「革命類目」
>>413 >>414
134話「一難去って」
>>415
■
Another Mythology 〜烏ヶ森編〜
1話〜25話『ラヴァーの世界編』
>>213
Another Mythology —烏ヶ森新編—
26話「日向愛」
>>215
27話「■■■■」
>>221 >>225 >>229 >>337 >>338
28話「暴龍事変」
>>339 >>340 >>341 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>353
29話「焦土神剣」
>>354
30話「事変終結」
>>355
■
番外編
東鷲宮・烏ヶ森二校合同合宿
>>528
■
東鷲宮中学校放送部
第一回「空城 暁」
>>83
第二回「霧島 浬」
>>93
第三回「卯月 沙弓」
>>95
第四回「霞 柚」
>>132
第五回「日向 恋」
>>299
■
登場人物目録
>>57
- 烏ヶ森編 3話「焦土の語り手」 ( No.99 )
- 日時: 2014/05/24 17:40
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
一騎とオニナグリのデュエル。
現在場は、一騎のシールドが四枚。オニナグリのシールドも四枚。
そして一騎の場には《氷牙フランツⅠ世》と《時空の戦猫ヤヌスグレンオー》がいる。
一方オニナグリの場には《爆裂B—BOY》《火焔タイガーグレンオー》《爆槍 ヘーゼル・バーン》。
オニナグリのターン。遂に、彼の切り札が現れる。
「グウゥゥ……ウォオオオオゥッ!」
涙の終撃オニナグリ 火文明 (5)
進化クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター/エイリアン 7000
進化—自分のヒューマノイド1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、コストの合計が6以下になるように相手のクリーチャーを好きな数選び、破壊する。
W・ブレイカー
「出た……!」
『ウォオオオオオゥッ!』
《オニナグリ》は拳を構えて突貫。同時に、《フランツ》を殴り飛ばした。
「《フランツ》! っ、ぐぅ……!」
一騎のシールドが砕け散り、その破片が一騎を切り刻む。さらに、その後に続いて《タイガーグレンオー》と《ヘーゼル・バーン》も突っ込んで来る。
「っ、ぐぅ……!」
クリーチャーによる一斉攻撃を喰らい、あっという間に一騎のシールドはゼロになってしまった。
「もうシールドはない……だけど、相手の場には三体のクリーチャー……!」
対する一騎の場には《ヤヌスグレンオー》が一体。二回ループ覚醒させることができれば、アタッカーが二体になるが、それでも《オニナグリ》のクリーチャーを全滅させることはできない。
「今の手札じゃ、どうしようもない……どうすれば——」
「信じるんだ」
「テイン……?」
一騎の言葉に被せるように、テインが口を添える。
「この世界は、君らの世界とは違う力が流れている……だから念じて、信じるんだ、君の仲間たちを。そうすればその気持ちに、仲間たちも応えてくれる」
「…………」
いまいちテインの言いたいことが伝わらないが、一騎は目を瞑る。
(テインの言いたいことは分からないけど、諦めるなってことなのかな……)
一騎は考える。この状況、どうすれば切り抜けられるのかを。そしてそのために必要なカードを思い浮かべる。
「……あれしかないか。テイン」
「なに?」
「俺は君の言葉を信じるよ。そして、このデッキも信じる」
「……うん」
山札に指を添える一騎。ゆっくりと、そのカードを引いていく。
「そうだよ……それでいい」
それだけで君の仲間は応えてくれる、とテインは胸中で呟く。
そして、
「来た……! 《蒼狼の始祖アマテラス》召喚!」
蒼狼(せいろう)の始祖アマテラス 水文明 (6)
クリーチャー:ナイト/サムライ/オリジン 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、次のうちいずれかひとつを選んでもよい。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下の呪文を1枚選び、山札をシャッフルしてからその呪文をコストを支払わずに唱える。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下のクロスギアを1枚選び、山札をシャッフルしてからそのクロスギアをコストを支払わずにジェネレートする。
「《アマテラス》がバトルゾーンに出たことで、《ヤヌスグレンオー》が《シンカイヤヌス》にループ覚醒! その時、カードを一枚引ける!」
そして次に《アマテラス》の能力が処理される。
「《アマテラス》の能力発動! 山札からコスト4以下の呪文を唱える! 唱えるのは《緊急再誕》だ!」
『ウゥッ!?』
驚きを見せる《オニナグリ》。それもそのはず、今まで一騎は光のカードなど使っていなかった。マナゾーンに見えるのも、すべて水と火の文明だけ。
「《緊急再誕》の効果で、《アマテラス》を破壊! そして手札から、コスト6以下のクリーチャーをバトルゾーンに出すよ!」
一騎がこの時に繰り出すのは、《シンカイヤヌス》の能力で引き入れたクリーチャー。龍と心を通わせる、熱血の戦士。
「《龍覇 グレンモルト》をバトルゾーンに!」
龍覇 グレンモルト 火文明 (6)
クリーチャー:ヒューマノイド爆/ドラグナー 4000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト2以下のドラグハート1枚、または、コスト4以下の火のドラグハートを1枚、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。(それがウエポンであれば、このクリーチャーに装備して出す)
バトル中、このクリーチャーのパワーは+3000される。
現れたのは、龍の力を宿せし武器を振るうことのできるクリーチャー、ドラグナー。その一体である《グレンモルト》。
「《グレンモルト》がバトルゾーンに出た時、超次元ゾーンからコスト4以下の火のドラグハートを呼び出す! 来るんだ《銀河剣 プロトハート》!」
超次元ゾーンを貫き、一振りの剣が飛来する。鍔が龍の顔のようになっているその剣は地面に突き刺さり、《グレンモルト》が引き抜く。
「この《プロトハート》はウエポンだから、そのまま《グレンモルト》に装備! そして火のクリーチャーがバトルゾーンに出たことで、《シンカイヤヌス》を《ヤヌスグレンオー》にループ覚醒! 《グレンモルト》にパワーアタッカー+2000と、スピードアタッカーを与えるよ! そして《グレンモルト》で《オニナグリ》を攻撃!」
《グレンモルト》はバトル時にパワーが3000足され、7000となる。このままでは相打ちだが、そこに《ヤヌスグレンオー》のパワーアタッカーが付加され、パワー9000。《オニナグリ》を上回る。
『グアァァァァッ!』
《グレンモルト》の剣が《オニナグリ》を切り裂く。
そして、これだけでは終わらない。
「《グレンモルト》がこのターン初めてタップしたから《プロトハート》の能力発動! 《グレンモルト》をアンタップ!」
銀河剣 プロトハート 火文明 (4)
ドラグハート・ウエポン
これを装備したクリーチャーが各ターンはじめてタップした時、アンタップする。
龍解:自分のターンの終わりに、そのターン、これを装備したクリーチャーが2度攻撃していた場合、このドラグハートをクリーチャー側に裏返し、アンタップする。
「そしてもう一度攻撃! 《ヘーゼル・バーン》を破壊! 《ヤヌスグレンオー》も《タイガーグレンオー》に攻撃して破壊!」
一瞬にして、《オニナグリ》の場が全滅する。
だが、それだけではなかった。
「これで俺のターンは終わり。だけどこのターン《プロトハート》を装備した《グレンモルト》は二回攻撃した。それにより、“龍解”条件を満たしたよ」
刹那、《グレンモルト》の携える《プロトハート》が小刻みに震える。
その意味を理解している《グレンモルト》は、《プロトハート》を天高くへと投げ飛ばす。そう、正に銀河に届くほど、高く。
「宇宙の星々、熱き血潮を漲らせ、銀河の鼓動を解放せよ。龍解——」
そして広大なる宇宙の中で、龍の魂が、解き放たれる——
「——《星龍解 ガイギンガ・ソウル》!」
星龍解 ガイギンガ・ソウル 火文明 (7)
ドラグハート・クリーチャー:ガイアール・コマンド・ドラゴン 8000
各ターン、このクリーチャーがはじめてタップした時、アンタップする。
W・ブレイカー
遥か上空、銀河の果てより地上へと降り立ったのは、剣を携えし一体の龍。《プロトハート》にその魂を封じていたドラグハート・クリーチャー。その名も《ガイギンガ・ソウル》。
「グウゥ……!」
《ガイギンガ・ソウル》が現れるのはターンの終わりなので、オニナグリのターンがやって来るが、オニナグリの手札はゼロ。スピードアタッカーもいないようで、《爆斬刀 ダルモア》を召喚して終わった。
「俺のターン! 《ドスコイ・イチバンボシ》を召喚して、《グレンモルト》のシールドブレイク数を追加! 《グレンモルト》でWブレイク!」
「グオォォゥッ!」
S・トリガー《ドリル・トラップ》。その能力で《シンカイヤヌス》が破壊されるが、
「関係ないよ。《ガイギンガ・ソウル》でWブレイク!」
《ガイギンガ・ソウル》の刃がオニナグリのシールドをすべて切り裂く。一騎の場にアタッカーはもう残っていないので、とどめまでは行けないように見えるが、
「《ガイギンガ・ソウル》は、各ターン初めてタップした時、アンタップする! だからもう一度攻撃ができるよ!」
起き上がる《ガイギンガ・ソウル》。
そして、
「《星龍解 ガイギンガ・ソウル》で、ダイレクトアタック——」
- 烏ヶ森編 4話「無法の町」 ( No.100 )
- 日時: 2014/05/24 21:10
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
「——とまあ、そういうわけで新しい人間がこっちの世界に来たというわけですよ」
「良かったじゃない。この世界の混乱もどんどん広がってるみたいだし、この前言ってた……ラヴァー、だっけ? っていう人間の存在もあるわけだし、人手が多いに越したことはないと思うけど」
「そうなんですけどね……ただ」
「ただ?」
「案内人の方が人手不足なんですよ。僕は彼女たちを導く役目もあるわけで、ずっと彼らに付きっ切りと言うわけにはいかないんです」
「成程……それで私が呼ばれたの」
「そういうことです。次回は僕が行きますが、それ以降のこと、お願いできますか?」
「……まあ、いいけどね。あなたの頼みじゃ、断りにくいし」
「ありがとうございます。詳しいことは後で話します……あ、あとウルカさんから携帯端末が届くはずなので、良ければ使ってください」
「ありがとう。じゃあ有効活用させてもらうね」
「それから……他にも色々と試したいこともあるんですよ」
「試したいこと?」
「詳しいことっていうのが、その試したいことなんですけど……僕らが人間の世界でどのくらい活動できるのかとか、少し知りたくて」
「知ってどうするの?」
「別にどうってわけでもないですけど、まあ色々あるんですよ」
「……あなたがそう言うなら、深くは聞かないけど。ともあれ承ったよ。明日までに準備は済ませる」
「助かります。じゃあ、僕はこれで」
「うん、ばいばい」
「——と、昨日はそんなことがあったんだ」
「……昨日はいきなり二人が消えて驚愕しましたが、まさかあの人の言うことが本当だったなんて……」
「部長と副部長が言うのなら間違いないんでしょうねー。僕らも二人とあの人が消えるところを見ちゃいましたし、戻ったと思ったら一騎先輩はボロボロだし」
「クリーチャー世界に行ったなんて羨ましいっす! 自分も行ってみたいっす!」
翌日。今日も部室に集まった部員たちは、一騎やミシェルから昨日のことを聞いていた。
その時は誰もが信じていなかったクリーチャー世界も、一騎とミシェルの言葉を通してなら飲み込めたようで、まだ疑っているところはあれど、信じてみる気にはなったようだ。
「それで昨日の男の人……リュンさん、でしたか? あの人は今日も来るんですか」
「うん。そろそろ来るって言ってた時間なんだけど……」
「お待たせ」
と、声がした。
気付けば、いつの間にかそこにリュンがいた。
「っ!? ど、どこから……!」
「座標さえ打ち込めば、僕はどこにでも行けるからね。それより、今日はどうする? みんなで行く?」
完全に連れて行く気満々のリュンだった。
「うーん、流石に全員でっていうのはなぁ……」
「見回りの先生が来た時とか、困りますしね」
全員で行くのは少々リスキーだと考える一同。それを見てリュンは、ふと漏らすように呟く。
「……あの子たちはこんなこと考えてなかったけどな……」
「とりあえず、言い出しっぺの一騎は確定にして、残り四人を半分に分けて、二人を留守番にさせるか」
「俺は確定でいいの?」
「おまえを置いていくと『恋! 恋!』ってうるさいだろうからな」
「流石にそんなことはないけど……」
しかし常に唸っていそうなので、満場一致で確定となった。
残り二人は適当にじゃんけんで決め、再びミシェルと八が行くこととなった。
「じゃあ行ってくるよ、黒月さん、焔君」
「留守番は頼んだぞ」
「先輩方には申し訳ないっすけど、自分行ってくるっす!」
こうして一騎、ミシェル、そして八の三人は、クリーチャー世界へと飛ぶのであった。
「君たちの目的は、あの女の子を探すこと。だから各地で勝手に自治区を形成しているクリーチャーを倒しつつ、情報を集めていこうか」
というリュンの方針の下、やって来たのは一つの町。
コンクリート打ちっぱなしの質素な建物が立ち並び、路地の奥の闇は暗く、周囲に見える人々の視線も非常に鋭い。
「いやまあ、人じゃないけどな」
「でも、人間とあんまり変わらないような見た目してるよ?」
「アウトレイジだからね」
リュンは歩きながら、一騎たちだけに聞こえる声量で言う。
「ここはアウトレイジの町なんだ」
「アウトレイジって、《ザ・クロック》とか《チョロチュー》とか、変わった効果を持つカードが多い種族っすよね?」
「マフィア染みてるクリーチャーだよな。なんでそんな物騒なとこに」
「アリス」
リュンは短く答えた。
「この町には《侵入する電脳者 アリス》っていうクリーチャーがいるはずなんだ。彼女はかつて《賢愚神話》が拠点とする海底都市のデータベースにハッキングを仕掛けて、彼らの保有するデータの30%ほどを流出させた凄腕ハッカーだ」
そんなアリスに頼めば、もしかしたら恋の場所も分かるかもしれない、ということらしかった。
「成程……で、そのアリスはどうやって探すの?」
「とりあえずこの町のボスに聞いてみるしかないよね。あ、たぶんあそこだよ」
この町のボスがいるのは、と指差したのは、他の建物とは明らかに違う外観をした屋敷だった。
「なんでここだけ和風……」
「それを突っ込むのは野暮ってもんだよ。さあ行こうか」
クリーチャーなので当然なのかもしれないが、特に反応を示さずにリュンはスタスタと行ってしまった。突っ込んでいても始まらないので、一騎たちもその後に続く。
そして門の前には、門番らしき二体のクリーチャーの姿。
「すみません。ちょっとこの屋敷の主に用があるのですが」
「はぁ? 何者だよ、お前ら」
「ジャッキーさんからはなにも聞いてねえぞ」
リュンは努めて丁寧な口調で訪ねるが、門番は逆に荒っぽい口調で通そうとしない。
「お尋ねしたいことがあるんです。とりあえず通してくれませんか?」
「ダメだ。お前らみたいなどこの馬の骨か分からないような奴らを通せるかよ」
「第一、お前らアウトレイジか? 身体のどこも武器になってるようには見えねぇが——」
と、門番の一人が一番近くにいたミシェルの頭に無造作に触れた、次の瞬間。
ダァンッ!
という地面になにかを叩きつけるような音と共に、門番の片割れが地面に倒れていた。完全に白目をむいており、気絶している。
「気安く触んな」
「な……こいつ!」
「ふんっ」
もう片方の門番も拳を繰り出すが、半身になってそれを避けると、そのまま腕を掴んで捻り上げる
「痛だだだだだだだ!?」
「クリーチャーの癖に大したことねーなー。その辺の不良と変わんないじゃん」
「ちょっ、ミシェル、それやば——」
一騎の制止は、しかし手遅れすぎた。
「このっ!」
「おっと」
門番は無理やり腕を振るってミシェルを引き剥がすと、大声で叫び始める。
「狼藉者だ! ジャッキーさんに喧嘩吹っかけて来る奴らが現れたぞ!」
「狼藉者って……人を呼ばれたらまずいよ……」
「人じゃないけどな」
しかし、門番の一声で一騎たちは完全に指名手配犯のお尋ね者扱いされている。
「どうするんすか? 逃げるっすか?」
「いや……こんなの下っ端が騒ぎ立ててるだけだし、強行突破しよう。ボスのところまでたどり着ければ、話くらいは聞いてくれるはず」
「リュンさん……」
「あたしはリュンに賛成だ。こういうのは、下っ端ばかり血の気が多いもんだ」
「ミシェルまで……ああもう! しょうがないな」
などと言っている間に仲間が来てはまずい。そのまま門を突破しようとするが、
「ここは通さねえ! 大人しく捕まりな!」
「……テイン」
「やるんだね。いいよ」
立ちはだかる門番に、一騎が前に出た。
「ここは俺に任せて。三人は行って」
「おい一騎、それ死亡フラグ——」
「よし、任せたよ一騎くん!」
「部長、格好良いいっす! ここはお任せしました!」
「いや止めろよ!」
しかしそんなミシェルの叫びは虚しく、リュンと八に引っ張られて屋敷の奥へと突入するのだった。
そして一騎は、テインの展開する神話空間に飲み込まれていく。
- Re: デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.101 )
- 日時: 2014/05/24 21:37
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
どうも、タクです。烏ヶ森編始まりましたね。まず、一騎のデッキはヒューマノイド中心になる模様ですね。この流れだと。最初の相手はオニナグリですか。さて、切札は《ガイギンガ・ソウル》で来ましたか。実は、こっちでもヒナタの切札は別に見つかったので問題ないです。
さて、空護のデッキですが、修正してカウンターマッドネスの方に特化させました。いや、すみませんね。やっぱり少しアバウトすぎましたか。あの時は少し急いでいたもので。ちなみに、過去のデッキ開発部にレインボーシノビデッキなるものもあって、そちらが完全にシノビに特化していたのですが、(もっともそのまま使うと殿堂レギュレーションに引っかかりますが)そのデッキの改造版はクナイに使わせる予定です。
今回短めですが、展開が楽しみなところです。それでは、また。
- デュエル・マスターズ Another Mythology ( No.102 )
- 日時: 2014/05/24 22:08
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
タクさん
はい、ようやく始められました。オリキャラを投稿してくださった皆様、遅くなって申し訳ありません。
一騎のデッキはヒューマノイドが軸になる予定です。ちょうど《焦土神話》がヒューマノイドで、ドラゴン・サーガでフィーチャーされているので、暁がドラゴン、一騎がヒューマノイドという感じに分けました。
一騎の切り札は、今のところは《ガイギンガ・ソウル》です。今のところは。
そうでしたか、こちらも被りを気にしていたのでよかったですが、同時に少し申し訳なく思います。
あ、そうなんですか。実はモノクロ、昔シノビを絡めた中速ビートダウンを作ったことがありまして、それが結構お気に入りだったのでそれを手直ししたデッキを組んでいたのですが……まあ、カウンターマッドネスにするのなら、そのようにします。後で確認しておきますね。
烏ヶ森編はわりと行き当たりばったりなところがありますが、なんとか本編と上手く絡むようにしていきたいと思います。
- 烏ヶ森編 4話「無法の町」 ( No.103 )
- 日時: 2014/05/25 04:18
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
「《一掃する炎上 デロリアン》召喚! 《ギーガ》と《レールガン》そしてスピードアタッカーの《デロリアン》でシールドをブレイク!」
「っ……ちょっと、やばいかな……」
一騎と門番のデュエルは、一騎が少し押されていた。
「相手は四枚で、こっちは残りシールドは二枚。きつい状だけど、ここであれを引ければ……」
来い! と力強く念じながら、カードを引く一騎。そして、
「……来たよ。《トップギア》でコストを下げて《龍覇 グレンモルト》を召喚!」
狙い澄ましたように、切り札を呼ぶドラグナーを引き当てた。
「《グレンモルト》の能力で、コスト4以下のドラグハートを呼び出す。《銀河剣 プロトハート》を装備! そして《ファルコン・ボンバー》で攻撃する時、《グレンモルト》をスピードアタッカーに! シールドをブレイク! さらに《グレンモルト》で《レールガン》を攻撃!」
「ちぃ!」
「各ターン初めてタップした時《プロトハート》の効果でこれを装備した《グレンモルト》をアンタップ。さらに俺の火のクリーチャーがバトルに勝ったから《猛トラック》の能力で一枚ドロー。次は《デロリアン》を攻撃!」
《グレンモルト》と《プロトハート》による連続攻撃で、門番の場は全滅してしまう。
「《猛トラック》でシールドブレイク!」
「調子に乗るな! S・トリガー《ミラクル・バーストショット》! 相手のパワー3000以下をすべて破壊!」
「でも《グレンモルト》はこのターン二度攻撃したよ。ターン終了時、龍解条件クリアで龍解する」
このターンの終わり、《グレンモルト》の装備する《プロトハート》の秘める龍の力が、解放される。
「宇宙の星々、熱き血潮を漲らせ、銀河の鼓動を解放せよ。龍解——《星龍解 ガイギンガ・ソウル》!」
《プロトハート》が龍解し、秘めたる龍——《ガイギンガ・ソウル》が顕現する。
「くそっ、まだだ! 《超電磁砲台 ゲンツキ》を二体召喚!」
「俺のターン。《爆裂B—BOY》を召喚、そしてそのまま《涙の終撃オニナグリ》に進化! 《オニナグリ》で攻撃する時、相手のクリーチャーをコスト合計が6以下になるように破壊するよ! 《ゲンツキ》二体を破壊!」
「ふはははは! バカめ! 《ゲンツキ》がシールド・ゴー持ちのクリーチャーだ! 破壊されたシールドになるんだよ! これで生き残るぜ!」
「それはどうかな? 《オニナグリ》でWブレイク! さらに《ガイギンガ・ソウル》でもWブレイク!」
これで門番のシールドはゼロで、一騎の場にアタックできるクリーチャーもいない——ように思われるが、
「《ガイギンガ・ソウル》は各ターン初めてタップした時、アンタップする。つまりもう一度攻撃できるよ」
「なんだと!?」
「そういうわけだから《ガイギンガ・ソウル》でダイレクトアタック!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
断末魔の叫びと共に、やられたクリーチャーが倒れる。同時に、神話空間も閉じた。
「ふぅ……終わった。ミシェルたちを追いかけなきゃ」
「……一騎! 周り!」
「え?」
テインに促されて周囲を確認する。そこには、数多のアウトレイジクリーチャー。
「……やば」
「一騎の奴、大丈夫か……?」
「大丈夫っすよ! 部長を信じるっす!」
「いや、あいつ結構抜けてるところあるから、デュエルが終わった後に気付けば取り囲まれてた、みたいなことにならなきゃいいだが……」
屋敷の中を走る三人。いい具合に一騎が囮になっているようで、思ったよりも屋敷の中にクリーチャーはいない。隠れたり回り道をして、クリーチャーと遭遇しないようにしながら奥を目指す。
そして、今まで潜って来た扉の中でも、最も豪奢な扉の前まで辿り着く。
「……どう見てもここだよな」
「っすね」
見るからにボスがいますよ、と言うような扉。ミシェルと八は、その扉を勢いよく横に引く。
そして、部屋の中へと突入した。
「あ……ジャッキーさん! 奴らです! 奴らが侵入者です!」
「もうこんなところまで来ていたとは……!」
中にいたのは、数名のアウトレイジ。ほとんどは見るからに下っ端の雰囲気を醸し出しているが、部屋の奥、その中央に坐する巨体のアウトレイジは、見るからにヘッドのような空気を発していた。
「騒ぐな、てめーら」
ミシェルたちの登場でざわつくアウトレイジたちを、そのクリーチャーはたった一声で黙らせる。やはりこのクリーチャーが、ここの頭のようだ。
「お前たちが侵入者っつーのは、まあ見りゃ分かる。俺はジャッキー、自分で言うのもなんだが、この町の頂点に立つ男だ」
クリーチャー——ジャッキーは、まっすぐにミシェルたちを見て名乗りを上げる。
「最初はこの俺が喧嘩吹っかけられたと聞いた時は、随分と俺を舐めてる野郎がいるもんだと思ったが……お前ら、本当に喧嘩しに来たのか?」
(……見抜いてる)
心中でミシェルが呟く。このジャッキーというアウトレイジ、なかなか侮れない。
だがこちらが戦いに来たわけではないということが伝わるのなら、むしろ好都合だ。
「そうなんですよ、僕たちは喧嘩をしに来たわけじゃないんですよ。門番の人がなかなか通してくれなかったので、ちょっと強引になっちゃったんですけど」
「リュン、あんた……下手に出るの上手いな」
「実は僕らは、とあるクリーチャーを探していまして……アリスって言うんですけど、ご存知ないですか?」
「アリスだぁ? 随分と懐かしい名前を引っ張って来たな——」
「ジャッキーさん!」
と、その時。
ミシェルたちが入って来た場所とは違う面の扉が開き、何人かのアウトレイジがやって来る。
「入口で暴れてた曲者を捕まえました!」
「っ、一騎!」
「あ、ミシェル、夢谷君、リュンさん……ごめん、捕まった……」
アウトレイジに両腕を押さえられた一騎と、身体を完全に固定されて動けないでいるテイン。
「ジャッキーさん、こいつらどうしますか? 裏で消すか、公開処刑か、サンドバックか——」
「ちょっと黙ってろ。俺は今こいつらと話してんだ」
「っ……は、はいっ!」
「で、アリスだったか……まあその名前は知ってるぜ」
ジャッキーは一騎を取り押さえているクリーチャーを黙らせると、再びミシェルたちの方へ向く。
「だが、あいつはあんまり外に情報を漏らしていいような奴じゃねえし、お前らに協力的なのは俺の面子に関わる。俺はこの程度のトラブルなんざ無視してもいいんだが、他の連中はそうはいかねえ。お前らをタダで返すわけにゃ行かねえんだ」
つまり、ジャッキー個人としてはミシェルたちのことなどどうでもよく、このまま返してもいいくらいだが、他のアウトレイジからすればそうではない。なのでそのボスたるジャッキーも、面子と沽券のために表向きにはそれなりの対応をしなくてはならない、ということだろう。
「そこで、てっとり早く済ませようや。お前ら誰か一人と、俺が戦う。勝てばアリスのことも教えるし、そこの捕まってる野郎も解放してやろう」
「……話の分かる奴で助かった。いいよ、ならあたしが相手だ」
そんなジャッキーの申し出に、ミシェルがデッキを構えて前に出た。
ジャッキーも立ち上がり、今まさに戦いが始まろうという空気だが、
「……あ、でもミシェルさん。君じゃあクリーチャーとは戦えないよ」
「は? なんでだよ、一騎は戦ってたろ」
「君らとクリーチャーが戦うには、神話空間でないとダメなんだ。だけど神話空間を開けるのは、神話の意志を継ぐクリーチャーのみ……要するに《語り手》がいる必要がある」
しかし当のテインは取り押さえられており動けない。
「おいおい、いくらなんでもこんな奴相手にガチの殴り合いじゃ勝てないって……」
体格差があるとか、そんなレベルではない。素手で像と戦えと言っているようなものだ。
「どうした? かかってこないのか?」
「くっ、どうするんだよ……!」
まさかの事態に、手も足も出ないミシェル。そんな時だ。
「……まあ、手がないわけでもないけど」
「どういうことだ?」
「今まで試したことないけど、僕の力の一部を君のクリーチャーに注いでみるよ。流石に実体化するようなことはないけど、神話空間は開けるようになると思う」
「そんな手があるなら最初から言えよ!」
とにかく、リュンの力があればミシェルのクリーチャーでも神話空間を開けるようになるらしい。
ミシェルは適当に一枚カードを抜き取ると、リュンへと投げ渡す。
「先に言っておくけど、成功するかどうかは分からないよ。初めてやるし」
「だからそういうことはもっと早く言えよ! 全然先じゃねぇ!」
リュンは目を瞑り、手にしたカードに向かって念じるように力を込める。そして、
「……うん。たぶん成功したよ。はい」
「結構あっさりしてんな……もっとエフェクトとかないのかよ」
なにはともあれ、これでミシェルも神話空間で戦えるようになった……はずだ。
「よく分からんが、準備は済んだか?」
「……ああ。待たせたな」
ジャッキーの言葉に答えるミシェル。
次の瞬間。歪む空間の中に、両者が飲み込まれていく——
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