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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.607 )
- 日時: 2016/07/30 11:55
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「トール、ナイフを仕舞え。母上も。」
母は仕方ない、と言った調子でナイフをゴミ箱に投げ入れる。
それでもトールはナイフを仕舞わない。
それならそれでもいい。
「テオドール、母の言った通りだ。」
母の言葉は、憎しみで満ちていた。
けれどどこか、告白の様でもあった。
「私はこの国を継ぐよ。もう逃げない。」
もう、充分なほどの幸せを貰った。
「逃げて来たばかりの私が、上に立てるか分からないけど。
そこで弱気になるのは、あなたの娘じゃないよね。やるのが私だよ。」
これ以上の幸せを、私はもう受け取れない。
幸せを受け取った分、人に伝えたい。
じゃないと、もう抱えきれないよ。
「同情なんてしてない。私がただ、やりたくなったの。」
父が頷いてくれることも、認めてくれることも、無い。
そんなこと、分かってる。
だから、実力行使させてもらう。
「憎くてたまらない父上への、親孝行代わりの復讐だよ。」
愛されるよりも、優しくされるよりも。
憎まれたり、復讐される方が。
「そっちの方が我が家らしいでしょ?」
父は私と母を傷つけた。
母は父を憎み、そうすることで愛を示そうとした。
だから私も憎しみで示す。
父への優しさを。
父は…人の優しさを痛む人だから。
- Re: 秘密 ( No.608 )
- 日時: 2016/08/01 17:47
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・127章 邪魔はさせない・〜
「私は父上の秘密を、母から知らされています。」
涼風にいた時、私に届いた茶封筒。
差出人も、宛名もない。
けれど、母だと直感した。
「父上のしてきたこと、全てを。墓場まで持って行こうとした秘密を。」
「…知らせたければ、そうすれば良い。」
「憎しみが解ければ、お前の元には誰も留まらない。」
母がぱしり、と口を挟む。
助け舟、と言えるかもしれない。
「もう延命は望めないんだろう?なら、することは独裁じゃない。」
父に残された時間は少ない。
しばらく前から、浮上している話だ。
「お前が死んだら、この国は本当に終わりだ。それがお前の望みか?」
だから、私は何度もこの国に呼び戻された。
正式に国を支えるのは、嫡子であるアレクシスになる。
けど、私はそんな重荷をアレクシスに背負わせたくない。
私が適任だと思うし、妥当だとも思う。
正式に王と成れば、間違いなく泥をかぶることになる。
泥をかぶり、非難され、いわれのないことで責められもするだろう。
幸せになど到底なれない。
一番この国の闇を吸い込み、その為に育てられた私なら。
泥をかぶっても問題はない。
アレクシスはアニエスの外で芸能関係の仕事をしているし、所帯持ちだ。
なにかあれば、被害をこうむるのはアレクシスだけに留まらない。
私は直視などずっとしてこなかったけれど。
現状を知らされて、やっと気付いた。
ずっと手がかりも、ヒントも私の中にあったのに。
もうこんな後悔はしたくない。
私一人が幸せな生活を営んでいる間。
この国では一体何人の人が死んだのだろう。
私の力でも、もしかすると1人くらいは救えたかもしれないのに。
「私はこの国を終わらせたくない。どんな手を使ってでも。」
贖罪でも、罪滅ぼしでも、罪悪感でもいい。
どんな手を使ってでも、この国を笑顔で満たしたい。
エリスもトールも、誰も汚い仕事をせずに笑える様に。
幽もアレクシスも普通の生活を送れる様に。
「その為なら、例え父上であろうと。邪魔はさせない。」
- Re: 秘密 ( No.609 )
- 日時: 2016/08/08 14:04
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私はアリスに賛成だよ♪」
アリスは、私と対になる存在。
私は彼女には無いものを補う様に、教育された。
アリスには無い体力や体術を身につけ、社交の場に顔を出した。
まるで鏡映しみたいに。
根っこの所は良く似ていて。
幼い頃は似すぎていることが、とても嫌だった。
私の未来を暗示させるところが、嫌いだった。
こんな風にアニエスに囚われて、生きていくのかと。
牢に閉じ込められ、人形の様に、機械の様に生きているのかと思うと。
ゾッとした。
怖くて、嫌で、でも私にはアニエス以外のものがなかった。
アリスみたいになるのは、時間の問題だと思っていた。
けれど私は彼らに出逢った。
ルークとミーナ、アイザック。
どれも愛しくて、眩しくて、憧れずにはいられない様な。
そんな素敵な人だった。
恋慕という感情を抱き、世界には輝きに溢れている様に思えた。
彼らを失った痛みは、今でも癒えることはない。
彼らを失ってから、私は人が消えることの恐ろしさを知った。
当たり前の様に今まで自分が奪ってきた者。
それを、奪われて初めて痛みを知った。
誰かが視界の端から消えてしまうことすら怖くなった。
“…頼む、目に届く所にいて”“いなく…ならないで…っ!”
その言葉を、アリスはもう忘れてしまっただろう。
アリスは何も言わず、ずっと隣にいてくれた。
テオドールの様に無機質で、冷たい、機械みたいな人。
私はずっと、自分によく似たアリスが嫌いだった。
テオドールがいなくなった後、アリスに仕えるのかと思うと嫌気がさした。
でも、この時初めて。
アリスと一緒に働くのも悪くない、と思った。
「アリスの持つ強さを、私は信頼してる。」
そして数年ぶりにアリスに会いに涼風に行った。
アリスは彼らの様な人と、温かな関係を築いていた。
幼少期の頃の記憶はないはずなのに、彼らはまたアリスと一緒にいる。
それをみて、本当に何処までも似ているのだと思った。
私と同じ道を歩ませたくなくて、3人にアリスのことを話させたりもした。
アニエスから必死に逃げようと足掻いたり、彼らと手を切ろうともした。
アリスが彼らと再会して1年で。
アリスは随分人間らしくなった。
私はそれがとても嬉しかった。
「パートナーとして、理解者として、断言します。」
私によく似ているからこそ、彼女の成長が嬉しかった。
私の気持ちをくんで、違う道を選ぼうとしようとしてくれていること。
アニエスのことをよく見て、現状を共に悲しんでくれたこと。
そして今は自分のすべきことを見つけ、現状を打破しようと足掻きだしたこと。
彼女は私の想像以上の存在になってくれた。
テオドールには、本当に感謝している。
けれど、恩人を死にまで追い込みたくはない。
本人の意思も勿論尊重したい。
アリスはその気持ちまで、理解してくれた。
「次について行く人はアリスしかいない。」
次に一緒に戦うパートナーは、アリスしかいない。
そう、確信した。
- Re: 秘密 ( No.610 )
- 日時: 2016/08/17 17:19
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「ありがとう、エリス」
エリスがここまで信頼してくれるとは、嬉しい限りだ。
エリスは私の人生における先輩だ。
私は彼女の様な深い悲しみを経験したことはない。
彼女の様な壮絶な生い立ちもないし、強さもない。
だけど何時だって助言をして、時には叱ってくれた。
私はエリスの闇を、まだほんの少し垣間見ただけ。
全てはきっと把握できない。
それでもエリスは、私を支持してくれた。
「エリス、母上の手当てと明日からのテオドールの仕事の書類を私の部屋に。」
だから、私もエリスに応えたい。
バレンタインにトールがいっていた。
“あまりエリスの前であいつ等の話をするなよ”
“あいつは、大事な人達にいなくなられたことがあるからな”
その時はまだ、なにを言っているか分からなかった。
けれど、調べてみると直ぐに分かった。
私は幼い頃のことを曖昧にしか覚えていない。
けれど、それでもずっと消えずに残っていたものが合った。
大事な人達にいなくなられた、エリスの抉られるような痛みを。
私は目の当たりにしたことがあった。
彼女は再び立ち上がることはできたが、今度は笑ってばかりいる様になった。
ともかく何時も楽しそうに振る舞い、作り笑いだろうと何だろうと笑顔が絶えなくなった。
今まで通り仕事もやり始めた。
人がいなくなる痛みを知ってもなお、アニエスの為に。
常に笑いながら。
「あいさ、了解」
母の手をとって、エリスが部屋から出ていく。
それが彼らを想ってのことでも、構わない。
生きてくれるなら、例え作り笑いでもいい。
何時か、本心から楽しそうに笑うことが出来る様になればいい。
それまで私はエリスの隣にいようと。
そう思ったんだ。
「さて、これからやることが山積みだ。」
- Re: 秘密 ( No.611 )
- 日時: 2016/08/22 00:08
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アニエスのことを知れば知るほど、難解だ。
まず知らなければ始まらないと思って始めたことだけれど。
資料の量は勿論膨大だし、それを頭の中で整理するのも大変だ。
幼い私の頭に詰め込まれたアニエスの知識など、100分の1にも満たなかった。
それに頭の中に詰め込まれている知識も、埃を被ってしまっている。
知識を余すところなく使うには、一から勉強することが不可欠だった。
問題は叩いても叩いても湧いてくる。
いたちごっこだ。
難しくて理解できない所は、エリスかアレクシスに聞いた。
テオドールは教えてくれないし、トールも私を信頼などしていないから。
信頼を得るには時間が掛かる。
分かっていることとはいえ、自分の不甲斐なさに腹が立った。
今まで何もしてこなかった私が、王になる等言いだしても。
はいそうですか、となるはずがない。
知識は覚えるだけでなく、反復しながら身体に沁み込ませる必要がある。
付け焼刃では通用しない。
必要ならば城外に行くことも憚らない。
現場の空気を見知っておくことで、より一層沁み渡っていく。
王になることにためらいは少しはあった。
けれど、私はもうアニエスを切り捨てられないと悟った時。
逃げることをやめた。
王になれない、と突き返されても大丈夫だった。
ここまで国を想ってきた父が、後継者のことを育てていないわけがない。
そんな確信が合った。
アレクシスが王になっても、私は知識を供給するために傍に置かれるだろう。
けれどそれじゃだめだ。
テオドールは家族よりも国を優先した。
家族よりも、国を愛した。
嬉しそうに、誇らしそうに、そして少しだけ悲しそうに。
民を愛したこの道が間違いな筈がないと断言したテオドール。
それはテオドールの家族にとっては何より残酷で。
そのことで母もアレクシスも苦しんだ。
そんな2人に国を背負えなど、口を裂けても言わせたくない。
テオドールなら口が裂けても言ってしまいそうだから恐ろしいのだけど。
もしかするとアレクシスはそれを光栄に思うかもしれない。
信頼されている証だと思うかもしれない。
けれどそんな過酷なものを、背負うのは私だけで十分だ。
アレクシスには、俳優と言う職もあり、愛すべき家族もいる。
私なら構わない。
テオドールの寵愛を受けずとも、優しさを与えてくれた人がいる。
そして、アニエスを救うためなら彼らとの別れも惜しまない。
それほどの強さと、揺るがない優しさを貰った。
だから構わない。
どうせ、もう彼らの傍にはいられない。
あれだけ大好きで愛おしい圭の傍に、私はもういられない。
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