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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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1章
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137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.427 )
日時: 2014/11/27 21:00
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

アリスとの会話を思い出した。

私と凛は沢山の時間。

同じ時を過ごした。

でも不器用だ。

互いに不器用過ぎた。

愛を知らない。

愛に飢えた子どもたちだ。

不器用で。

互いに想い合い。

互いに傷つけあった。

でも。

もう子供じゃない。

私達は。

沢山の時間を共にして。

お互いを支え合い。

お互い。

もう。

愛に飢えることもない。

今なら。

どんなことが合っても。

凛の手を掴める。

傍にいて。

守りたい。

「白雪詩織さん」

アリスからメモを貰った時。

彼女の過去を知って。

驚いた。

彼女はずっと。

暴力の化身の様に思っていたから。

だから。

アリスに彼女の過去を知らされた時。

優しい人だったのだと、思った。

アリスはもともと凛の親の話が出たあたりで。

エリスに白雪詩織の調査を依頼していたらしい。

褒められることではないだろう。

むしろ、もうエリスたちに関わるな。

そう思いさえする。

でも、それは。

アリスなりの気遣いで。

アリスなりの想いやりなのだ。

不器用だ。

何処までも。

でも。

そのおかげで真実を知れたのだ。

エリスだっていい奴だ。

エリスにもアリスにも罪はない。

それによって私は助かれていた。

だから、まあ。

結局は感謝だ。

「風野正弘」

アリスの様に。

私は交渉の術はない。

けれど。

その真似事は出来る。

私の言葉で。

伝えることはできる。

「覚えているはずです。あなたの人生を苦しめ続けた男の名前。」

白雪詩織さんの表情が。

固まる。

「あなたの父親の名前。」

Re: 秘密 ( No.428 )
日時: 2014/11/28 22:41
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「そして…連続殺人犯の名前です。」

アリスからの報告書には目を通した。

凛に伝えるかどうかは…正直迷っている。

知らせても。

戸惑うだけかもしれないと。

そう思って。

まだ答えは出ない。

「あなたの父親は殺人犯だった。
あなた達、残された家族はその身分を必死に隠して生きていた。」

話したくない。

こんな汚れ役を。

アリスは何時も買って出ていたのかな。

そう思うと。

やっぱりアリスは。

強い。

「でも。いくら隠しても噂はあなた達にまとわりついた。
風評被害は酷く、学校でも職場でもあなた達は居場所を失った。」

「それでも、私のことを想ってくれる人を見つけた。」

私の声に。

被さる声。

その声は少し凛に似ていて。

話し方も。

控え目で。

それでも。

自分の芯がある様な。

そんなことを想わせる。

話し方だ。

「聞きたいことって、どうせ私のことだと思っていたけれど。
まさか、そこまで私のことを知っていたなんて。凛ちゃんも隅におけないな〜」

でも。

違う。

凛みたいに優しいけど。

この世の中そのものを馬鹿にするような。

嫌な所を茶化す様に話す所。

そう言ったところに。

少しエリスみたいなところがある。

「続きを聞かせて。答え合わせをしてあげる。」

エリスも。

この人も。

凛も。

強い。

「白雪詩織さんは…」

「詩織でいいよ」

私も。

この人の傍にいたい。

「詩織さんにも、恋人が出来た。きっと。とっても大事な人が。」

私にとっての凛の様な。

ケイにとってアリスの様な。

そんな人だったんだ。

きっと。

愛おしそうな素振りで分かる。

分かっちゃう。

「リンを身籠り、幸せの絶頂だった。貴方はずっと…疎まれていたから。」

うんうん、と小さく。

頷く顔にも笑みを張りつかせている。

話したくない。

実際、体験していなくても。

話すだけでも。

こんなにも。

「でもそんな時に、あなたの母は死んだ。」

辛いけど。

本人の方が。

もっと辛い。

そう思っても。

やはり気分の良い話ではない。

読みあげるだけでも。

胸が痛む。

「あなたは拠り所を失った。天涯孤独の身の上となったんです。
…あなたの心境は…推測しかできないけれど…私なら自らの父を憎んだと思います…」

そうでしか。

怒りのやり場を。

無くしてしまう。

幼い頃から、顔もろくに覚えていない父に。

全てを奪われた。

そんな気持ちなど分からない。

風評被害。

学校でも居場所がなく。

就職も難しかっただろう。

想い人を見つけても。

声をかけることだって。

きっと躊躇ってしまう。

「母の遺影を前にして…あなたは…」

暗い。

暗い。

深い。

悲しい話。

声が喉でつっかえ。

呂律も回らない。

「父が死んでいてくれたら、と願った。その呪いの言葉を口にした。」

詩織さんの口が動く。

「父さんなんて…死んでしまえばいいのに、って」

Re: 秘密 ( No.429 )
日時: 2014/12/03 14:00
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「元々結婚は反対されていたんだ。」

楽しそうに笑った。

どこか冷たい笑顔を。

顔に張り付かせていた。

「連続殺人犯の娘だなんて。誰だって自分の息子にそんな女との結婚を認めたくないでしょう。」

意味は。

少し。

理解できる。

でも。

酷い話だと思った。

その程度のことで。

余生を踏みつぶされたのだ。

「その呪いの言葉を口にして。あの人は私を捨てたよ。」

呪いの言葉。

自らの父の死を願う言葉。

その言葉に。

彼は詩織さんを捨てたのだ。

おぞましい。

恐ろしい。

そんな言葉を残して。

そんなことを。

笑いながら話した。

「それでも。その言葉を後悔はしたけれど。そう確かに思ったんだよ。
顔もろくに覚えていない父親のせいで。色んな物が犠牲になった。親しい友達もいなかった。
母だって死んでしまったし、恋人だって彼が初めてで…最後だった。」

頼れる相手などいなかった。

世間は何時だって冷たい。

「身ごもった凛ちゃんを産んで。でも私にはまだ現実を直視できる状態じゃなかった。
あの人に捨てられてから、凛ちゃんを身籠ったまま。生活費を稼ぐのが精一杯だった。」

おかしいとは思っていた。

凛に関しては暴力の気はあった。

けどそれよりも強いのは。

無視だ。

「凛ちゃんはあの人によく似ている。向き合うのが怖かったのかな。
今思えば、愚かしいことだったけれど。ああしたことで、確かに凛ちゃんを傷つけたのだから。」

笑みを浮かべている。

けれど。

暗くて。

底が見えない穴を覗き込んでいるような。

そんな錯覚がする。

そんな。

何と表現すればいいか分からない顔をしていた。

「守ることなんてできなかった。傷つけることばっかりだった。」

Re: 秘密 ( No.430 )
日時: 2016/05/06 17:35
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・83章 不器用母・〜

凛のお母さん。

思っていたのと違う。

自由奔放で子どものことをアクセサリーの様に扱う女。

そんなイメージだった。

けれど。

今目の前にいる女性は。

自由奔放でも。

自らの息子をアクセサリーの様に扱ってもいない。

むしろ逆。

様々なものに縛られ。

息子を何よりの宝物としている。

「なら…どうして…凛のもとに…?」

まだ笑っていた。

「最後に顔を見ておきたかった。もう二度とこの町には来ない。
二度と。凛ちゃんにも会わない。」

笑っている。

それなのに。

手元のコップが。

カタカタと。

小さく震えていた。

片手でそれを隠そうと庇っているが。

バレバレだ。

「もう会わない。一緒に暮らそうなんて、叶う訳がないんだ。
育児放棄をした母に、犯罪者の祖父。そんなものに生まれてしまった凛ちゃんには悪いと思っている。
でも。きっとこれが一番いいんだよ。」

でも?

「詩織さんは…凛と暮らしたかったんですか?」

その質問は。

反則だと思った。

聞いてはいけないと思った。

でも。

いつの間にかその言葉が口を突いて出てきた。

「…出来ることなら、やり直したかった」

悲しげに。

儚げに。

笑う詩織さんから紡がれた言葉。

それはきっと。

隠し続けた本音で。

初対面の印象とはだいぶ違う。

不器用なんだ。

私や。

凛みたいに。

「…嫌われてるって言うのは知っていたよ。」

知っていた。

分かっている。

「私は…母に疎まれていました」

小さい頃の私だって分かっていたのだ。

大人で。

1人の母である詩織さんだって。

きっと私以上に分かっている。

「…お母さん?」

「私の家はそこそこの資産家なんですけどね、母は幼い頃から男の子を生むように言われていたんです。
でも生まれたのは、私だった。母は最後の最後まで私を憎んでいました。
…父だって何もしてはくれなかった。ずっと1人だった。でも凛がいたので。」

私には。

ずっと支えてくれる人がいた。

でも詩織さんにはいなかったのだ。

凛が。

凛の御父さんの様に。

私の目の前からいなくなる。

そんな日を想い浮かべただけでも。

とても辛い。

凛がいないと。

なにも出来なくなってしまうのかな。

「凛は優しくていい人です。ずっと私の傍にいてくれたんです。
凛がいなくなる日のことなんて思い浮かべるだけでも。胸が…とっても痛いです。」

心臓が。

バクバクと。

締め付けられる様に。

痛い。

「私にはずっと凛がいました。唯一無二の存在が。傷つけることも沢山あったけれど。
でも今なら、そんな喧嘩もしてよかったって思えるんです。ぶつかって、傷つけあって。
だからこそお互いのことを知ることが出来て。汚いことも理解して。それでもっと好きになりました。」

なにが言いたいか。

分からない。

アリスならきっともっとうまくやれるだろう。

でも。

凛のことだから。

凛のご家族のことだから。

「私は白雪凛が大好きです。」

凛のことを考えるだけで。

名前を口にするだけで。

こんなにも気持ちが温かくなる。

「…だから詩織さんも。ぶつかってあげてください。」

凛は幼い頃から。

私とアリスとケイくらいしか知らなかった。

「凛にとことん関わって、気にしてあげてください。とことん心配して。とことん愛してあげてください。」

そんな凛に。

一番必要なのは。

「…お願いします。」

頭を垂れる。

私の。

一生のお願い。

「傷付いても、それでも凛を呼び掛けて。抱きしめてあげて。温めてあげてください。」

どのくらい頭を下げていただろうか。

私じゃ癒せない。

癒すことのできない。

傷がある。

悔しいけど。

「駄目だよ、万里花ちゃん。」

やっと。

口にしたのは。

優しい。

拒絶の言葉。

「私が悪役じゃないと、凛ちゃんが笑えないでしょう?」

Re: 秘密 ( No.431 )
日時: 2014/12/05 16:55
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「凛ちゃんはとても危うい所がある。そう思ったことはない?」

人付き合いは比較的疎か。

成績の向上だけを考えていて。

その結果が生徒会長だ。

人の上に立つことだけを考えて。

それだけを突きつめているような。

張りつめた糸の様な。

でも。

それは。

昔の話。

そう思うと同時にその言葉に確かに納得した。

今でも。

時々壊れてしまいそうになる。

養子になった家への恩返しだろうか。

けど。

馴染めずに1人暮らしをしている。

それでも凛は。

家の為に勉強をしている。

愛しても。

触れてもくれない家の為に。

優しいから。

「あの子は私を憎むことによって自我を保っている。そうじゃないと…立ち上がれないんだよ。
それほど私はあの子を傷つけたんだ。今私に出来るのは、凛の前から消えるだけ。」

凛は。

母によって傷つけられ。

憎んだ。

でも。

その傷を癒せるのは彼女だけだ。

「…雨」

ポツリ、と小さくもらした。

その言葉につられる様に窓の外を見ると。

小さく。

ポツリポツリと雨が降っていた。

「あの子…雨が嫌いでしょう」

目を伏せる。

その通りだ。

私も凛も。

雨の日が大っ嫌いだった。

雨の日に全てが始まった。

「…私が家に凛を置いていったのも、雨の日だった。」

凛にとっては一生忘れられない日。

雨。

「じゃあね、万里花ちゃん。凛ちゃんに…宜しくね」

その雨にかき消されてしまいそうな。

小さな声。

でも。

一瞬だけど。

世界の音が消えた。

チリンチリン、と音がした後。

扉が閉まった。

後には。

雨の音だけが残っていた。


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