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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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1章
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2章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.612 )
- 日時: 2016/08/22 20:56
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・128章 奮い立つ準備・〜
「トール、幽。」
部屋にいる2人に声を掛ける。
「お前らの中で絶対的な存在はこの先ずっとテオドールただ1人かもしれない。
けど、テオドールみたいになれなくても、私は努力は惜しまない。」
彼らにとっては、拾ってくれたテオドールの存在が絶対で。
それは時間がたっても揺るがない事実かもしれない。
人を救いたい、その為に父のもとにいるトール。
父に存在を肯定された、幽。
この2人の中の父をどうやっても私は越せないかもしれない。
それでも、私はこの国の勉強をやめない。
少なくとも、この国の未来に光をともすまで。
アリアの様な子どもたち。
それを私は1人でも救いたい。
「テオドールの寿命は、もう残り少ない。
腕の利く医者に見せるが、それでもさほど延命はできないだろう。」
私はこの国に戻ってくるのが大嫌いだった。
国の為に何かしよう、と思っても圧し掛かってくる重圧に逃げ出したくもなるだろうな、と。
人の命。
だから最初は何度も何度も口にして、逃げ場を自分で塞ぐ。
やるしかない、そんな状況を作り出そうと。
そう思っていたし、その準備もしていた。
でも、アリアやテオドールの元にいる人達の過去を知れば。
自然と湧きだしてきた。
「私もこの国が大好きだ。それに人の為に何かしたい。」
勿論そんな善意だけで突き動かされるほど、私は純な人間ではない。
恐怖も不安もあれば、義務感や罪悪感だってある。
きっと始めてしまえば、もう誰も逃げることを許してはくれないだろう。
でも、それでいい。
逃げ道なんていらない。
覚悟を持って、この道を進むんだ。
「だから、逃げられないくらいがちょうどいい。」
私は臆病ものだから。
今まで幸せだった分、目をそむけたくなるかもしれない。
でも、そんな私に彼らが付いてくるほど頼もしいことはない。
「臆病な私の為に、働いてくれると助かるな。」
彼らがいることが、私の支えになる。
逃げたくない、と思っていても。
きっと私を待つ未来は、そんな気持ちを吹き飛ばすほどおぞましいだろう。
そんな小さな不安を吹き飛ばしてくれるような、彼らが私は欲しい。
「テオドールが頼りにした君達だから、私は頼むんだよ」
この先、私が歩む道に。
彼らは必要だ。
「お願いします。私と一緒に、この国を助けてください。」
彼らに向かって、頭を下げる。
「私は王になるとはいえ、君達よりずっと劣っている。」
対等なんて、到底思えない。
彼らを従わせるような人望なんて私には無い。
即戦力にはなりえないし、彼らには私には無い経験がある。
そんな彼らが付いてくるなんて、虫の良すぎる話だ。
「テオドールが一番で構わない。」
父が積み上げてきたことに、そんなに簡単に追いつくことはない。
彼らに認められるような努力も、今のままじゃ不十分かもしれない。
「私に、力を貸してください。」
それでも、私は諦めたくない。
- Re: 秘密 ( No.613 )
- 日時: 2016/08/24 16:12
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「俺は、別にテオドールに仕えてる訳じゃない。
ただ、俺の望みを叶えるのに手っ取り早そうだから傍にいるだけだ。」
まず口を開いたのはトールだ。
めんどくさそうに頭を掻きながら、これまためんどうくさそうに口を開く。
「だからっていきなりテオドールからアリスに乗り換えるほど、薄情な人間でもない。情なんて、この世界には不要だとしても。
ぽっと出のお嬢様に身をゆだねるほど、落ちぶれてもいない」
耳が痛い。
けど、反論は出来ないや。
どれも真っ当なくらい、正論だ。
「信用も信頼もこの世界じゃ役に立ちはしない。けど、これがなくては成立もしない。」
不確かで不明瞭。
されど、確かに存在する。
手を組むには、そこには信用や信頼が必ず存在する。
それはどれも純なものではなく、騙し騙されの歪な形かもしれないけど。
それでも、必要なのだ。
「今は手を組むと言ったら、信頼よりも利害の一致の方が一般的だ。
利害の為に利用し合うって言うのもあるけど。
互いを利用し合うにしても、あんたにそれほどの価値があるとも思えない。」
仰る通り。
隙がない反論だ。
私にはそんな価値はない。
努力をしたって結果が出せないと意味がない世界だ。
「テオドールには手を組んだ価値もあれば、面白味もあった。
でも、それがあんたにあるとは俺は思わない。俺を満足させるものがあるとは思わない。」
確かに、私と組んで得られるもの等ない。
彼の望むものを与えることはできないかもしれない。
「私は揺るぎません。テオドール一筋です!」
明るい声で、頭上から幽の声が聞こえる。
頭を下げているから見えないけれど、きっと笑っているのだろう。
「…テオドールは私を受け入れてくれた。」
今度は平坦な抑揚のない声が返ってきた。
やっぱり、思い通りにはいかない。
まあ、あっさりついてくる様な人を信頼も信用も出来ないけれど。
今の私はこの2人を使えない。
「って訳だ。出直してこい。」
下げた頭をあげて、にっこり笑って見せる。
「はい、出直して来ます。」
私は諦めない。
この国の王になると決めた。
アリアの様な子どもを助けたいと思った。
橋の向こうに何度も行くうちに、老人や病人が溢れていることを知った。
そんな彼らも、笑って行ける国を作りたいと思った。
くだらない正義感、くだらない罪悪感。
そう切り捨てられても、文句は言えない。
私のしてきたことは、そういうことだから。
だからって。
ここで逃げ出したら、今までの自分に嘘をついたことになる。
国を背負うと決めた覚悟、アリアの様な子どもを無くしたいという願い。
圭たちと決別しようと涙を拭いた日も、全て否定することになる。
それは嫌。
私はあの時確かに、願ったんだ。
例えどんな夢物語であろうと、成し遂げたいと。
中途半端な気持ちではなく、本当に馬鹿みたいに心から思えたんだ。
けれど私は弱く、小さいから。
逃げ出したくもなるし、足が震えて止まらない時もある。
そんな自分が私は何より嫌い。
アニエスにいる人は皆、もっと怖い想いをしているのに。
それを胸に仕舞って、誇り高く笑っているのに。
なにも出来ない自分を、私はもう許せない。
だから支えてくれる彼らが、どうしても欲しい。
「また明日も来ます。」
私を強く奮い立たせてくれる、彼らが欲しい。
- Re: 秘密 ( No.614 )
- 日時: 2016/08/30 23:29
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
部屋を出る時、圭とすれ違った。
話を一体どこから聞いていたのだろう。
少し弱気な顔をしていた。
私の言葉で色々揺れている所があるのかもしれない。
それでこの追い打ちだ。
けれど私はにっこり微笑んで見せた。
ここで甘やかしてはいけない。
「おやすみ、圭」
いっぱい悩んで、苦しんで、答えを出して欲しいんだ。
そうやって圭の横をついっ、と通り過ぎた。
- Re: 秘密 ( No.615 )
- 日時: 2016/09/02 20:22
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「おやすみ、圭」
アリスの顔はとても笑っていた。
けれど笑い声はとても乾いていた。
アリスは本気なんだ。
分かってはいた。
けれど改めて認識させられた。
アリスは本当に、アニエスの王になるつもりなんだ。
誰のせいでもない、自分の意思で。
その為の行動を、既に始めている。
自分はここで動けない。
動けず、通り過ぎていくアリスを止めることも出来ない。
アリスは未来を見ている。
父やトール達の前で自分の意思を話していた。
必要とする力を手に入れるために、頭を下げることも厭わない。
アリスのこと、ずっと好きで力になりたいと思っていた。
その為に彼女の父親と対峙する覚悟もしてきた。
彼女が昔授けてくれた言葉が、まだ胸の中にある。
けれどそれを恋と勘違いしてるんじゃないか。
“私は圭の道を阻害する”
“痛みを与える敵でもある”
アリスの言葉が、胸を抉る。
“だから、それはもういらない”
にっこりとほほ笑みながら、イヤリングとブレスレットをつっ返してきた。
“圭には自分の道を歩いてほしい”
“今は何をするにも痛みを覚える、圭と出会う前には覚えなかった痛みを”
“アニエスと言う存在は私を圭たちだけの世界から出してくれた”
何を言っているんだろう、ってずっと思っていた。
アニエスの存在がずっとアリスを苦しめているものだと思っていた。
けれど…
あの時のアリスの言葉は、まったくの真逆の言葉。
恩人と言う気持ちと恋慕の感情を、間違えているんじゃないか。
アリスはそう言っていた。
アリスが口にした言葉が、こんなにも自分を動揺させる。
好きだと信じて疑わなかった。
それを根本から揺らされた。
アリスのことを見ていて、自分は何時まで経っても同じ場所。
やりたいことも、したいことも、なにもない。
アリスはするべきことを見つけて、それにまっすぐ進んでいる。
気付かぬうちに、どんどん置いていかれそうで。
まるでそれを好きという言葉で、必死にしがみついているみたいだ。
不覚にも、そう思ってしまった。
アリスは本気だ。
アリスの進む道に、自分と言う存在はあまり必要とはしていない。
アリスを失った場合、自分がどうなるのか。
想像なんてできない。
“…でも、私は圭の優しさ以外も見てみたい”
“私達のしてることって、本当に恋愛なのかな?”
いつかの帰り道に、アリスがそんなことを言っていた。
だから、しがみついているのかもしれない。
でも、そろそろ手を離すべき時が来たんだ。
分かっている。
未来に進むにあたって、こんな執着はただの枷にしかならない。
でも…!
それでも彼女に向けた想いが、ただの執着だけだと思いたくない。
本当はやめろって言いたい。
傍にいてほしいって、泣いてでも止めたい。
でも、それをアリスは望んでいない。
アリスがいなかったら…
どんな日々も無意味だ。
「どうしたんですか?」
気付かぬ間に下を向いていたらしい。
上から降りかかってきた声に、顔をあげる。
「先輩」
学校の後輩、有栖川幽だった。
- Re: 秘密 ( No.616 )
- 日時: 2016/09/04 23:40
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・129章 普通と言う素晴らしい才能・〜
幽…アリス・エイベルはアリスの代用品として育てられた。
テオドールは彼女にとっての恩人で。
テオドールがいなければ、きっと彼女はここには存在しなかった。
彼女は自分の異常性を誰よりも理解していた。
何時まで経っても頭にこびり付いて剥がれない記憶。
そしてもう1つ、欠陥を抱えていた。
人として過ごすには、かなり大きな、致命的ともいえる欠陥が。
けれどそれらをすべて分かったうえで、孤児である彼女をテオドールは救い傍に置いている。
彼女は両親のことを覚えていない。
彼女の母は、彼女を産み落としたことに絶望し自害した。
幼い自分を育ててくれた大事な人がいたが、それもすぐにいなくなった。
いなくなった瞬間を、今でも覚えている。
あの人は、化け物である自分のせいで死んだのだと彼女は理解している。
生きるための知恵を密かに身につけ、わずか5歳前後でそれを無意識に行っていた。
テオドールに出逢ってからはひたすら知識を詰め込んだ。
武術も軽く習い、なにより人を騙す才能に恵まれていた。
初めての任務は9歳。
得た知識で人を殺めて妖しく笑った。
その仕事の様から、通り名はゴースト。
それがアリス・エイベルという少女だった。
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