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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.457 )
- 日時: 2015/01/05 16:09
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「圭」
温かな風が吹いた。
春の風。
「別れよう」
その言葉を聞いた途端。
温かったはずの春の風が。
冷たくて容赦のない。
嫌な風に変わった。
「君との未来を。私はもう思い浮かべられない。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
頭の理解が追いつかなかった。
何故。
その言葉が口から出そうになるけど。
いざとなって口から出ない。
分からない。
そんな素振り。
全く気付かなかった。
あまりにも突拍子のない話だった。
「アリスは…僕のこと…嫌いになった?」
アリスの表情は無表情だった。
けれど目だけは。
覚悟を決めているような。
揺らがない光を宿していた。
「大好きだった。なによりも。なにを引き換えにしても失いたくなかった。」
言葉は強く、全て過去形だった。
「でも、私達は恩人の気持ちを恋と勘違いしている様に思う。」
救われたから。
だから救いたい。
そんな気持ちを。
恋と錯覚していた…?
「これから何十年も。負い目を感じながら過ごすのなんてまっぴらだ。
救ったとか救われたとか。そう言ったことを考えて一緒に生きて行きたい訳じゃない。」
アリスに救われたから。
アリスを救いたい…?
そんな風に。
無意識のうちに思っていたのだろうか。
もし。
そんなことを無意識に思っていたなら。
そんな無意識の気持ちに。
アリスが気が付いたとすれば…?
「君との未来をもう思い浮かべられない。だったら、ここで別れた方が良いと思うんだ。」
これ以上時間の無駄はしたくないから、と彼女は小さく呟いた。
もしも。
もし。
これ以上この関係を続けることが。
アリスの未来の邪魔をするなら。
アリスの可能性を邪魔するなら。
これ以上しがみついていてはいけないのではないだろうか…?
「急でごめん。今日中に電話でもメールでもいいから返事を聞かせて。」
淡々と事が進んでいく。
アリスの中ではもう。
答えが出ているような。
それほどに呆気なかった。
「リン達には上手くいっておくから。のんびり考えて。」
アリスが立ち去った後。
ほんのかすかに。
花の匂いがした。
- Re: 秘密 ( No.458 )
- 日時: 2015/01/05 16:16
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
上手く。
演じられたかな。
…この気持ち、バレなかったかな。
別れたくなんてない。
でも、弱くなるのはもっと嫌だ。
弱くなって圭を守れなくなるのはもっと嫌だ。
ずっと考えていた。
圭のこと。
例えこの恩人の気持ちが本当に恋愛感情だとしても。
もしこの気持ちに気付かなくても。
気付かなかった方が。
良かったのではないかと。
付きあわずに、ただ好きでいるだけ。
一生の片思いをして。
何時もの様に過ごすのが一番良かったのではないだろうか。
何時もの様に話して。
何時もの様に笑っていれば。
それで良かったんじゃないか。
そう思ってやまないのに…
なんで、私は泣きそうなんだろう
「っ———!」
無駄だった。
圭を想ってお洒落したことも。
圭を想って泣いた夜も。
圭を想ったことも。
何もかも。
最初から私には必要がないって。
ずっと。
分かっていたくせに。
ごめん
ごめん、圭
あんなに辛そうな顔をさせてしまった。
いつだって。
圭を苦しめるのは私だ。
携帯を取り出す。
こんな状態じゃ、万里花達とも落ちあえそうにないや。
「ごめん、マリー」
つながった電話の先で私は謝った。
「ちょっと、急用が出来ちゃった。だから2人だけで喫茶店に行って。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「アリス、風邪でしょうか?」
喫茶店で凛と2人を待っていた万里花はそう呟いた。
アリスからの電話を切った直後のことだった。
「どうして?」
「何故だかひどく鼻声だった。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おいで」
手を差し伸べた先には黒猫が1匹。
何時も通りすがる度に餌を与えている猫だ。
ぶらぶらと街を歩いていたら、いつの間にか夜になった。
ピリリっ
「痛っ…!」
突然の携帯の音に驚かれ、引っかかれた。
携帯は切っておくべきだった。
けど。
圭からまだ返事は聞いていない。
案の定、表示されていた名前は圭だった。
「もしもし」
元々持っていなかった感情。
感情をもつことは無意味だとは言わない。
でも、必ずしもないことが悪いとは私は思わない。
『アリス、答え決めたよ』
「…そっか」
うん、と携帯越しで小さく頷く声がした。
『別れよう』
- Re: 秘密 ( No.459 )
- 日時: 2015/01/05 16:33
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
『別れよう』
その言葉に私は安堵するとともに、胸に鋭い痛みが走った。
圭とはもう。
話すことはできても。
触れることはできない。
キスすることも。
抱きしめることも。
出来ない。
「ありがとう…今までたくさん救ってくれて。好きになってくれて。私も。大好きだった。」
私は。
圭と一緒にいることに。
甘え過ぎていた。
私が本来あった強さを失って。
危険な目に合わせてまで。
やるべきことじゃなかった。
『最後に…会いに行ってもいい?』
「えっ…?」
『アリスの恋人として最後に。もう1回だけ会えないかな』
会いたい。
でも。
会ったらきっと。
みっともなく泣いてしまう。
「…良いよ」
泣き顔はもう。
絶対に見せない。
『今、そっちにいく』
後ろからグイッと肩を掴まれる。
向き合った顔は間違いなく圭だった。
そして、いきなり唇を押し付けた。
「…アリス」
もうこうやってキスすることも。
後ろから抱き締められることも。
もう二度とない。
「大好き」
こういうとこ。
こう言うところが嫌いだ。
人が諦めようっていうのに。
ズカズカ私の中に入ってくる。
私の中にまだ。
圭って言う存在が消えないんだ。
「…っ!私も…」
そうやって何時だって影をちらつかせて。
淡い期待を抱かせる。
首元にしがみ付く様に抱きついて。
そっと、唇を重ねた。
「大好きだった」
でもその期待を。
私は全力で振り払う。
- Re: 秘密 ( No.460 )
- 日時: 2015/01/07 17:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・90章 エリスの想像するアリスの未来・〜
アリスと別れたその日は。
1睡たりとも眠れなかった。
そろそろ春休みも終わりだって言うのに。
もう2日しかない。
このまんま別れて、会う事もなく。
進級するのかもしれない、と本気で思った。
アリスには幸せになってほしい。
何時だって笑顔でいてほしい。
こうして、見えないところにいても。
笑っているような。
そんなことを。
ずっと望んでいた。
傍にいてもアリスの目は時々どこか遠くを眺めていた。
確かに付き合う前からそう言ったことはかなりあった。
頻度は減ったけれど、それでも遠くを眺めている彼女は。
とても辛そうだった。
傍にいれば。
いやがおうにもアリスは守ろうとする。
巻き込ませることにアリスは何よりも負い目を感じる。
別にアリスの為なら巻き込まれても構わない。
きっとそう思われることだって嫌なんだろうな。
自分の為に誰かを傷つけること。
そのことをずっと嫌っていた。
考えても。
分からない。
彼女は何時か自らの父の呪縛から抜ける為に足掻いていたはずだ。
そう生きると決めてたはずだ。
それを望んでいたはずだ。
「あー…もうっ!」
アリスが別れるなんて言うのは。
嫌いになったか、呪縛から逃れるための作戦で邪魔に感じたか。
なら、構わない。
彼女の未来がそれで照らし出されるなら。
嫌いなら、彼女はもう気を使わなくていいし。
逃れるためなら、その先には明るい未来がある。
アリスの為なら。
一生片想いでも構わない。
真実を聞くことはきっと、難しい。
でも、それに近い推測を聞くことはできる。
同じ境遇の。
彼女になら。
『はーい、こちらエリス=ベクレルのお電話でーす』
相変わらずふざけた言葉遣いだ。
アリスが以前に世界全体を馬鹿にした様な喋り口調だと言っていた。
平和すぎるこの世界があまりにも馬鹿らしいと、きっとそう思っているんじゃないかと。
「聞きたいことがある。」
- Re: 秘密 ( No.461 )
- 日時: 2016/04/22 20:22
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
『ずるいね』
きっとなにをするか大方想像はついていたのだろう。
即答だった。
『本人に聞けないからって私に聞くのやめて下さる?』
「アリスには今会いたくない…」
顔を合わせづらいって言うのもあったけれど。
自分の気持ちの整理の為にも
『あんた…確かアリスを助けたいって想いが、幼い頃の自分の支えになったとか言ってたっけ?』
確かに言った。
エリスの耳にまで届いているとは、想定外だった。
「言ったけど…」
『男って言うのはこうも鈍感な生き物なのかしらねー。ちょっぴり信じらんないわ』
「それがどうしたんだよ!」
『それ、言われてごらん?単なる哀れみみたいじゃない?』
あっ…
哀れみ。
だから、アリスは言ったのか。
恩人と言う気持ちと錯覚しているようだ、と。
『アリスが弱い、ってことを前提として見ている様に、私は思うんだけど』
返事もろくに出来ない。
自分でも無意識だった。
エリスの言葉は止まらない。
『アリスは誰よりも強く生きようとしている。それなのに、そんな風に見られたら溜まったもんじゃないよ。
少なくとも私なら、そう思うね。アリスと私は考え方が酷似しているからね。大方同じようなこと考えていると思うよ?』
アリスは強い。
朝霧のこと。
香のこと。
万里花と凛、2人の親とも。
ちゃんと向き合い救ってきた。
頭だっていいし、バレンタインを思い出せば騙し打ちもできる。
でも、人として不器用だ。
そう思っていた。
でも、みるみるアリスは人を助けていった。
自分のことを気にとめないところは多々あるけど。
けど、今のアリスは。
自分だけの未来の為に。
今もなお抗い続けている。
それを自分は…哀れんでいた?
アリスを守るとか、そんな言葉で。
アリスを傷つけていた?
アリスには自分自身も守れない。
そんな風に思われていると思わせていた?
『まっ、アリスが無茶してるって言うのには同感だけどさ。
頑張っている奴に無茶するなってのも、頑張るなってのも、そいつに失礼でしょ?』
確信を突いている。
自分ならアリスを救えると、どこか自惚れていた。
アリスはか弱い女の子だから…そんなことを思っていた。
『それに、アリスが言う恩人と言う気持ちの錯覚って言うのもあると思う。
これに関しては確かに一理ある気もするけどそこはアリスの納得の問題でもあるからね。
本当にアリスのことを好きかどうかの再確認には…時間はどうしても必要だよ』
エリスの発言は的を射ていた。
自分の気持ちを確かめるには時間がかかる。
今までアリスが好き、といった前提を全て取っ払う必要がある。
『ほんと、ずるいよ』
「ああ、俺はずるいよ。本人が答えてくれないからってエリスにわざわざ聞く様な卑怯者だ。」
ずるいのなんて分かってる。
卑怯だってことも分かってる。
「それでも、知りたいと思うんだ!分かりたいって思うんだ!支えたいって…」
最後の言葉は呑みこんだ。
その気持ちさえも。
単なる思い込みかもしれないから。
『…それはもう、答えだと。私は思うよ。』
「えっ…?」
『時に、聞きたいことって何?恋の秘訣?なら私は力になれないよー』
聞き返す前に、無理矢理話題を変えられた。
「それは自分でどうにかする。アリスの考えてる、お父さんに抗う方法のことだけど…」
『ああ、そんなこと?』
意外そうに答えた。
そんなこと?
『私の口から言っていいものか…まっ、アリスに内緒にしてねー』
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