コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.622 )
- 日時: 2016/10/15 07:09
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アリスはアニエスにいた時、電話をしてきた。
つまり自分たちのことを、悪く想っていないはずだ。
お別れを告げたい、くらいには大事に想っていたと思う。
連絡を取る理由がないからだ。
アリスとしては、どちらでも構わないからだ。
連絡が取れなかったら取れなかったで、誰もなにも疑わなかっただろう。
アリスは自分たちと別れた後、高校に入るまで色んな家をたらい回しされていたらしい。
アリスはそれを自虐的に、アニエスの未来の為だと言っていた。
本心ではどう思っていたのだろう。
日常的に殴られたり、辱められたり。
そのせいでアリスは強くなったのかもしれないけど。
決して楽な道ではなかっただろう。
アリスからその話を聞いた時は、とても辛くて。
より一層、親身にならないといけないと思った。
アリスにとっての何十分の一でも、気持ちは少しだけ分かる様な気がしたから。
気持の通じ合わない家で過ごす、肩身の狭さくらいなら分かっていたから。
厳しい仕打ちに耐え、笑っていられる姿に、一種の憧れを抱いたのかも知れない。
アリスの強さに、魅せられていたのかもしれない。
誰に対しても、容赦がない。
周りの目なんか気にしない。
それでいて、いつも他人優先なところがあった。
けれど…
アリスの本質は、一体何だったのだろう。
アリスの父が冷酷非道で残虐な人だと思っていた。
けれど彼の本質は、どこまでも民を守ろうとした優しく不器用な男だった。
何よりも彼自身が傷つく茨の道だった。
必死に周りに憎まれようとしていた。
それなら。
アリスの本質は何だろう。
きっとまだそれをハッキリとは見ていない。
優しくて、強い、女の子だけじゃない。
それ以外のアリス。
彼女は自分たちと一緒にいて、どう思っていたのだろうか。
嬉しかった?
楽しかった?
愛しかった?
それだけではないはずだ。
きっと、辛くも苦しくもあったはずだ。
分からない。
そうは思いたくない気持ちもある。
けれどそれ以上に、彼女が心中でなにを想っていたか知りたい。
思い返せば何時だって、嬉しそうに笑っていた。
時に、悲しそうに泣いていた。
怒ることも、稀にあった。
でも、嫉妬とか憎しみとかそういった類の。
醜い感情は、見たことが無い。
アリスの見えていない一面を見る為には。
きっとアリスがアニエスでなにをしていたかも知る必要がある。
- Re: 秘密 ( No.623 )
- 日時: 2016/10/23 16:06
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
部屋を出た後、アリスのことを知ろうと関係者を探した。
「統也さん」
最初に会ったのはアレクシスだった。
部屋から出たばかりの所の様で、扉を閉めていた。
アリスとは腹違いの兄で、涼風では三田村統也という偽名を使用している。
アリスはアレクシス、と呼び捨てにしているけれど。
なんとなく偽名で呼んだ方が、アリスの兄らしく感じられた。
最近は見掛けていなかったのは、ずっとアニエスにいたかららしい。
血筋的には正当な次期王になるはずだ。
そう思えば、忙しいに決まっている。
「アリスの昔のことを知りたいんです。知らなくてはいけない気がするんです。」
そう言われると、顔に驚きが広がった。
この人は、一体どう思っただろう。
自分の代わりに王になると言い出した自分の妹のことを。
アニエスと言う枷から解放されて嬉しく想っただろうか。
それとも、悔しく想っただろうか。
「あ〜…圭、と言ったかな。個人的な感想を言うなら知らない方がいいと思う。」
そう言われる気は、なんとなくしていた。
アリス自身が思い出すことを拒んでいた。
それにこの人も、何気に妹想いな所がある。
「妹は確かに、知られたくなくて故意に隠してる。関係が変化することに恐れている。
それでも言えるのは、知らないことが癒す傷もあるということだよ。」
そういうと、少し困った様に笑いながら歩いていってしまった。
- Re: 秘密 ( No.624 )
- 日時: 2016/10/25 13:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・131章 “しいたげられた国”・〜
その後、エリスや幽に当たってもよい答えは得られなかった。
アリスに口止めされていると、それだけを言って遠ざかっていった。
アリスの手際は見事だった。
知っているであろう関係者各位に口止めをし、それに纏わる資料も全て破棄されていた。
アリスの存在は秘密裏であった為、そもそも名前が記されていない。
それでもなにかあると思っていたが、確認できる範囲ではさっぱりだ。
かなり昔と言うこともあり、情報はなかなか集まらない。
アリスと出会う以前の話だから、10年以上前の話になるはずだ。
城にある図書室にアニエスの歴史にまつわる本が細々と置かれていた。
けれど10年近く前のことは、あまり残されていない。
小さくとも国として成り立つのだから、本になっていてもおかしくないのに。
アニエスの歴史関係の本棚は、がらんとしている。
王城なのだから、少しはあるはずなのに。
もしかすると、アリスが借りていったのかもしれない。
仕方なく、近くにあったアニエスの童話集を手に取った。
童話などなら、少しは歴史に則って記されていることもあるだろう。
けれど予想に外れて、書かれているのは夢見がちな物語ばかりだ。
当たり前だが聞いたこともない様な話ばかりだけれど、ありふれた様な話だ。
その中に1つ、気になる童話が合った。
その題名は“しいたげられた国”
- Re: 秘密 ( No.625 )
- 日時: 2016/10/27 20:42
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
『むかしむかし、あるところに小さな国がありました。』
出だしは、いたって普通だ。
普通の童話や昔話と変わらない、典型的な書き出しだ。
『ゆうふくではなかったけれど、やさしいひとがくらしていました。』
子供向けなのかひらがなばかりで、少し懐かしい。
『まわりには大きな国がたくさんあって、やさしい小さな国のひとたちはたくさんのいやがらせをうけていました。』
…
子供向けの童話なのに、なんだかシビアだ。
『小さな国のひとたちは、いやがらせをうけながらも、強く笑いながらくらしていました。
けれど、いやがらせはだんだんひどくなっていきました。』
お金を巻き上げる役人らしき人と泣く国民、暴力をふるわれている絵。
見ていて痛々しくなる様な挿絵が描かれていた。
『あるとき、大きな国のひとたちが小さな国のひとをころしました。』
突然飛び込んできた、文字。
胸を弓で貫かれた人の絵、首を剣で切り落とされた人の絵。
『小さな国のひとたちは、あたまが良かったけれどたくさんの人がしにました。
むかしからなんどもまわりの国にしいたげられ、ころされてきました。
小さな国のひとたちはなんども知恵をつかって、おいかえしました。』
けれど、ある時小さな国は大きな国に吸収されてしまった。
頭が良く、優しい人の暮らしていた小さい国の国民達。
彼らは国を追い出され、大きな国に奴隷として連れていかれた。
彼らは語るのもおぞましい程、残虐な目に合った。
たくさんいたはずの国民は、みるみる数が減っていった。
残ったのはたったの5人。
その5人は、大きな国を出て小さな国に戻る決意をした。
それから生死をさまよいながら、逃げ出して小さな国に戻った。
そして外界を繋ぐ橋を全て落とした。
例え飢えて死のうとも、絶対に許さないと心の底から憎みながら。
『そして、小さな国のひとびとはぜったいに大きな国のひとびとをゆるさないときめました。
ぜったいに、ぜったいに、大きな国のひとびとのいいなりにならないことをきめました。』
ラストにはこう締めくくられている。
『いまも、小さな国のひとたちはたたかいつづけているのです。』
続きがあると思っていたのに、これで終わりらしい。
魔法の道具も出て来なければ、救いもない。
小さな国は、間違いなくアニエスのことを示唆している。
アニエスが小さいながら、今だ国と言う形を保っているのは。
迫害される過去があったからなのか…?
“たくさんの人がしにました”
過去に、アニエスの人が沢山死んだことがあるのだろうか。
それも…何度も。
子供向けに記されているはずの童話が、酷く残酷で。
それでも…これはきっと事実なのだ。
今では外の世界との繋がりもある。
それでも追い込まれても国として保ち、大国に屈していない。
トールやエリス、幽はいまだに裏稼業をしている。
それでも決して服従しないと決めている。
どんな汚い手を使おうとも。
周りの大国達の機密情報を握って、脅しながらも国と言う形を保とうとしてる。
それを、小さな子どもたちにも伝えようと本にされている。
本を閉じると、それを静かに棚に戻した。
- Re: 秘密 ( No.626 )
- 日時: 2016/10/30 10:55
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
それからアリスを見掛ける度、忙しそうに走り回っていた。
城にいる時間はぐっと減り、食事の場にも顔を出さなくなった。
城にいても部屋に籠って書類を読みこんでいるか、トール達に頭を下げるか。
さもなくば、疲れきって眠っているかだ。
彼女はまだ父親の仕事を譲られた訳ではない。
それでもアリスの母の口添えもあってか、少しずつ手助けをしているらしい。
アリスは折角母に会えたというのに、二人の時間はさほどとっていないらしい。
アリスは増えた仕事に東奔西走していたし、アリスの母もテオドールにつきっきりだったからだ。
けれど双方とも、あまりそれを気にしている節はなかった。
テオドールの寿命が残り少しと言うのなら。
せめて夫婦水入らずの時間を少しでも増やしておきたいのかもしれない。
夫婦と呼んでいいものか、分からないけれど。
それでも互いに、思う所はあるのだろう。
自分も日々子供たちの為の玩具を作ったり、孤児院で子供の世話を見ている。
涼風に戻る日時も正式に決まった。
アリスはアニエスに留まる意思を固めた。
涼風に戻ったら、もう毎日の様に会うことが出来ないくなる。
アリスと話す時間も持てないまま、期限が刻一刻と近づいてくる。
アリスは決断してしまった。
だから、自分も行動に移さなければならない。
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