コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.552 )
- 日時: 2015/11/13 20:13
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・113章 エリスの追憶・〜
「…やっぱり、分かってないね」
…エリス
遠目から見ていたであろう、エリスが突っかかってくるくらい分かっていた。
想像がついていた。
「私は、彼らと一緒に夢を見たい。一緒の夢を叶えたい。」
「叶えたいなら、王になんてなるな。軽い気持ちで上に立たれる身にもなって。」
…分かっている。
エリスやトールやアレクシスの上に立つ。
傷を抱える彼らをまとめあげ、少しでもアニエス存続に貢献する。
分かっている。
「王になることも諦めない。父の跡を継ぐのは私しかいない。」
父の血を継ぎ、父の意思を理解する努力を続けて、父の様になりたい。
それにエリスが反対することも分かっていた。
エリスたちの傷はそれだけ深く、痛いものなのだ。
「そんな思いあがり、してんじゃねえよっ!」
ガッと胸倉をつかみ、持ち上げられる。
周りで彼らの私を心配する声が聞こえる。
華奢な体の、一体どこにそんな力があるのか。
足が地面につかない。
首が締め付けられ、呼吸が出来ない。
「私は…そんな奴の為に懸ける命はないっ!」
けど。
私よりもずっと。
エリスの方が辛そうな顔をしている。
苦しそうな顔を、している。
- Re: 秘密 ( No.553 )
- 日時: 2015/11/19 17:49
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「…私は、大好きなんだ。」
エリスの手を包み込む。
絶対に、目を逸らさない。
彼らの上に立つって言うことは、彼らから目を逸らさないこと。
きちんと真正面から向き合うこと。
「圭やマリーや、リンだけじゃない。」
私が好きなのは、彼らだけじゃない。
それ以外の朝霧も、遥も、母も。
「父や、アレクシス、トール、アリアみたいな子どもたち。…エリスだって」
この国にいる人も皆。
みんな、みんな。
「大好きなんだよ…っ!」
自分の世界を、広げて。
彼らを見つめて、ずっと募らせてた想い。
「だから…守りたいんだよ…っ!」
私が今まで狭い世界に閉じこもり、その被害をエリスたちが被っていた。
私が本を読み、涼風で安寧を貪っていた間。
エリスたちはアニエスの為に行動を続けていた。
命を掛けて、何度も死線をくぐりぬけてきた。
何もせず、何もできない私が恥ずかしい。
何が完全記憶能力だ。
それが一体なんの役に立った。
恥ずかしい。
「王になり、知識と知恵を絞るしかっ!私には出来ることがないから…!」
ふるふる、とエリスの手が震えている。
でも、ここでエリスから逃げたら。
私のみんなに対する想いからも逃げることになる。
皆、なんて言葉私は嫌いだった。
でも、今はそれ以外の該当する言葉が見当たらない。
大事なものが、多すぎるから。
「…誠意を、見せて」
手を下す。
胸倉を掴んでいた手を離し、地面に乱暴にたたき落とされる。
深く息を吸い込む。
絞められていた首が少し痛い。
けれど、構わない。
エリスたちはこれの何倍も苦しんだ。
人を傷つけることは、楽なものではない。
私は幸せな日々を謳歌しているために、見ない様にしていた。
父のせいだと、必死に理由を探していた。
逃げていた。
こんな痛みは、父の何万分の一にもならないだろう。
全ては、目をそむけ続けた私のせいだ。
エリスが親指で、くいっと圭たちを指す。
「こいつらにそれなりの覚悟があるって、私に示して。」
それがなにを示すか…大体何か分かった。
私が辿る道が…エリスとは違うこと。
それを、示す方法。
それはきっと、私が一番よく知っている。
- Re: 秘密 ( No.554 )
- 日時: 2015/11/21 17:54
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「ついて来て欲しい」
そう言うと、圭たちは戸惑った表情を浮かべながらついて来てくれた。
これから…何が起こるか想像もつかないのだろう。
城に戻ると、適当に空いている部屋に入る。
いつの間にか、廊下に1輪の赤い彼岸花が活けられていた。
「エリスの名前の由来はね…女神からなんだ。不和と争いの女神。
ギリシャ神話とかに出て来るんだけど、聞いたことくらいはあるんじゃないかな?」
「テオドールはそう言った名前の付け方が好きでね。」
エリスが補足する。
「災いの母。女神テティスとペーレウスの結婚式に招かれなかった腹いせに、
「最も美しい女神に」と記した黄金の林檎を宴の場に投げ入れた。
そして、ヘーラー、アテーナー、アプロディーテー3女神の争いを惹起し、
パリスによる裁定、パリスの審判を仰ぐことになり、トロイア戦争の遠因を作った。
余談だが、娘に混沌と争いの女神デュスノミアーがいるらしい。」
流石エリス。
自分の名前の由来くらいは、すらすら言える。
そもそも勉強だって出来る方だ。
「眠れる森の美女は、エリスの行動がヒントに描かれているんだ。
そう考えると、少しは分かりやすいでしょ?」
私はただ覚えるだけ。
それを使う術を、これから身につけていく。
「私には、身分を隠して付き合っていた友達がいてね。
簡潔に言うと…今のあんたらみたいな関係だったんだよ。」
夢を見ている様に、宙を仰ぎ目を閉じる。
エリスの少し芝居がかった、仕草。
そうやって、少しでも彼らのことをぬぐい去りたいのだろう。
私には…想像するしかできないけど。
「御察しの通り。もう会っていない。兄弟とも、彼らとも。」
けれど昔と違い、痛みを覚える。
エリスの傷を想像するだけで、痛みが膨らんでいく。
それはきっと、圭たちのお陰でもあり。
エリスのお陰でもある。
- Re: 秘密 ( No.555 )
- 日時: 2015/11/26 18:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
初めて人の温もりを感じたのは、生まれたばかりの兄弟を腕に抱いた時。
私は、人が温かいものだと知った。
母や父は早々に他界した。
愛された思い出も、憎まれた思い出も残ってはいない。
実際、両親が私のことをどのように想っていたか分からない。
路頭で身を寄せ合い、雨風をしのいだ。
日に日にぼんやりし、動かなくなる自分の体。
次第に泣き声をあげることもなくなり、小さな手が細くなった。
ああ…これが死か。
胃壁をガリガリと引っ掛かれるような痛み。
焼けつく様な喉。
胃がよじれるような感覚。
朦朧とする意識。
ふわふわと浮かんでは消える幻覚。
浮かぶ顔は…誰の顔だったろう…?
死ねば、この痛みが消えるのだろうか。
そんなことをぼんやりと考えた。
盗みを働く気力はもうない。
そんな食べ物もない。
ただ、死ぬのを待っていた。
死んだら、父や母に会える。
愛されても、憎まれても、会うことが出来る。
恋しい、という気持ちより。
知りたい、という好奇心だった。
…せめて、兄弟だけでも生きていて欲しいな。
体は大きくならない。
腕は細いし、笑うこともない。
泣きもしない。
何人もいた兄弟の…全員の笑う顔を見てみたい。
子どもの様に笑い、手足を忙しなくバタバタと動かす。
そんな赤ん坊を、私はいつも地べたから眺めていた。
買い物をする女の腕の中にいる赤ん坊は皆幸せそうで。
抱いている女も嬉しそうで。
それが私には信じられなくて。
でも。
この子たちも…そんな風にいつか笑い成長する日が来ればいいのに。
それはなんというか…不思議な気持ちだった。
痛みが全身を苛む中、私は兄弟たちのことを思った。
名前もついていない、子どもたち。
「…笑え、兄弟」
何時からか降り始めていた雨が冷たい。
…眠い。
このまま…泥の様に眠りたい。
もう、目を開けたくない。
腕に、もう温かくない兄弟の重みを感じながら。
眠った。
- Re: 秘密 ( No.556 )
- 日時: 2015/12/04 22:25
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・114章 授かった名前と数奇な出会い・〜
けれど、私は死ぬことはできなかった。
何かが私の頭に触れた。
きっとそれは、人の手だと思った。
確信が持てなかったのは、それがあまりにも冷たかったから。
温もりを失い、少し硬く、大きい。
ごつごつしている。
なにかが横たわっている私に掛かっている。
布…?
目を閉じたまま、状況を把握しようと鈍い頭を働かせた。
私の頭を何度も撫でていた、それは。
撫でる手を止め、足音が遠ざかっていく音がした。
扉が閉まる音、出て行ったのか…
…もう少し、撫でていて欲しかったな。
ふいに香ったのは。
鼻を刺激する、香ばしい食べ物の匂い。
それは停止していた私の臓器を動かすには充分だった。
既に懐かしいものになっていた、空腹と言う感覚。
耐えきれず、目を開けると御馳走が飛び込んできた。
部屋は質素で、机が1つと二段ベットとカーテンくらいしか物がない。
どうやら私は二段ベットの下の段に眠っていたらしい。
掛かっていた物は想像と違わず、布に近い毛布だった。
部屋には私の他に、1人だけ男がいた。
幼い、男の子と呼ぶのが丁度いいくらいの年だ。
それがアレクシスだった。
匂いの元は並べられているパンとスープ。
今からすると、そこまで美味しいご飯じゃなかった。
けれど、その時はとてもこの世のものとは思えないほど美味しく感じた。
「…兄弟は?」
腕に抱いていたはずの、兄弟たちがいない。
心地が付いた時、ふと疑問に駆られた。
何故気付かなかったのだろう。
傍にいた男の子に問いかける。
「…生きてはいるって、父さんが言ってた」
年もさほど変わらなさそうな男の子。
「父さん…?」
再び扉が開く。
「目が覚めたか。」
誰…?
どこか人ではない様な不思議な雰囲気を漂わせる男だった。
顔は整っているのに、痩せすぎている。
人としての体温を持たない様に、精気が欠けている。
「名前は?」
コツ、コツと定期的な足音。
機械みたいだ、と直感的に思った。
「兄弟は…?」
「名前を、聞いている」
妙な威圧感があった。
体が硬直した。
「…ない。」
「兄弟…とはあの赤子達か。会わせる訳にはいかない。」
体が動かない。
鋭い眼光と、書類を読み上げる様などこまでも淡々とした口調。
兼ね備えている、雰囲気からして…捩じ伏せられているような錯覚を起こす。
「ただ…」
と、男は続けた。
「1つだけ、お前と兄弟を生かす方法がある。」
静かで、落ち着いている。
なのに…獣に抑えつけられているような…圧がある。
「私に従え」
静かだけど、獰猛な狼みたい。
群れを好まず、1人でいる野獣みたい。
ひっそりと獲物を狙うような、鋭い視線。
「そうすれば、兄弟もお前も、生かしてやる。」
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