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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.215 )
- 日時: 2014/01/22 19:36
- 名前: 雪 (ID: dBmUCHou)
〜・32章 お帰りなさいを言いたくて・〜
慌てて飛び込んだ病院ではまだ先生はいなくて。
受付にアリスの名前を告げても不思議そうな顔をされ、先生の名を告げてもしばらくお待ちくださいの一点張りだった。
そしてやっと現れた時は電話で告げた通り電話から20分たったところだった。
現れた瞬間に掴みかかるように3人で詰め寄った。
「アリスは!?」
「おいおい…落ち着きなさい。彼女は少し怪我は負っているが問題はないよ。
少し頭が朦朧としているから会っても話は出来ないと思うよ。」
「頭が朦朧と…?」
苦い顔で先生は頷いた。
その顔が事態がいかに深刻かを測らせた。
「彼女は薬の影響で体に負担をかけているんだ。
何をしたかは知らないが薬の飲み過ぎのせいか、意識がもうろうとしていて会話どころか目を開けることすらできないよ。」
体に衝撃が走った。
なんで…
「薬…?」
「何の薬かは詳しくは分からないが…おそらく感覚を鋭敏にさせる薬だろう。
まだ検査の途中だが…それにしてもすごい量が検出されている。そこまでして彼女は一体なにを…」
感覚を…鋭敏に…?
彼女の父親は…彼女に…なにを…させようと…
頭が真っ白になった。
体が動かない。
何か陰に大きくて恐ろしいものが隠されているような…
関わったら…きっとただじゃ済まない。
そう思わせた。
それでも…アリスは見殺しにできない。
「先生、彼女に会わせてください。」
- Re: 秘密 ( No.216 )
- 日時: 2014/02/06 18:22
- 名前: 雪 (ID: vMqsnMSf)
声をかけられたのはずっと前だった。
夏休みに入る前だった。
家には電話が無かった。
ある時携帯に電話がかかってきたが着信拒否する度胸もなく、電源を切った。
そしてしばらくするとお父様は使いを出した。
連行しなければ圭達に危害を加えると言った。
圭達には危害をくわえさせないと約束させ、私はお父様のもとに向かった。
しかしそこで待っていたのは地獄の日々だった。
ロクな扱いをされないとは思っていた。
正装をさせられ、長く車に乗って着いたそこでお父様に会う事も出来ず連れて行かれた部屋は牢獄だった。
お父様は私を閉じ込めるように命令するとそれきり姿を現さなかった。
私は粗末な服に着替えさせられ、大きくてボロボロで薄っぺらい布で夜を過ごした。
食事の度に頭がクラクラとして意識が遠のく。
分かっていた。
薬が入れられているくらい。
それでも守りたかった。
ようやく手に入れた今の場所を。
- Re: 秘密 ( No.217 )
- 日時: 2014/02/06 18:22
- 名前: 雪 (ID: vMqsnMSf)
最初は食事をとらなかった。
断食については幼少期から鍛え上げられていたし、窓からひそかに捨てた。
薬が入っているなんて言うまでもなく分かっていた。
断眠の世界記録として認められているのは264時間12分らしい。
言いかえると11日ちょっと。
しかし最後には幻覚を見はじめたりするらしい。
断食の世界記録としては、49日間らしい。
水とお湯だけで49日間は生きられるらしい。
その気になればその記録に打ち勝てずともその近くまで到達させることが出来ただろうか。
だがここでは水すらも飲めなかった。
水にすら薬が入れられていることを知っていたから。
無味無臭だとしてもこんな牢獄に入れる時点で容易に想像できる。
皆に危害が加わるならここで餓死したって構わないとまで思った。
だが数日で折れた。
というより折られた。
飯をとらねば仲間を殺すと使い越しに言われた。
体内に直接薬を注射されると意識がもうろうとなり、少しずつ食事をとるようになった。
何度もわが身を呪った。
私がいなくなったことで誰かが悲しむのかな?
そう思った。
急にいなくなってごめんね。
これからItemMemberを頼んだよ。
そう言って彼女は笑った。
しかしすぐに響いた皆の声。
頭の中でガンガンと鳴りやまない。
私は…会えない。
皆に会う事が出来ない存在だ。
会えば危害が加わる。
圭ならきっと…自分から巻き込まれに行くだろう。
でも最後に私の我が儘の1つや2つ、聞いても良いじゃない?
私は危害を加えられたくないんだ。
でもそのために私という存在が死ななければいけないというのなら死なせたって構わないじゃない。
でも…心のどこかで思っていた。
きっと私が死んでも救われない。
そもそもお父様は死なせてなどくれないだろう。
ストレートに殺さず生かす理由は分からない。
それでもわざわざここに連れ戻し、食事に薬を入れるなんて汚い真似をする程私は生かされる価値がある。
何度も何度も考えた。
それでも何時まで経っても鳴りやまないんだ。
あいつの…あいつ等の声が…
何時までも頭の中でガンガンとあいつ等の声がこだまする。
どうやったらこの雑音は…この声が…消えるんだ…
再会してまだ4ヶ月。
しかしその4ヶ月の間でもこんなにも…いろんな想いが私の中にある。
・・・どうした?アリス・・・
・・・どうかしましたか?アリス・・・
・・・どうしたの?アリス・・・
やめろ…
やめてくれ…
やめて…!!
どうしたら…
携帯電話。
もしもの時の為に身ぐるみをはがされる前にくすねておいた。
私は携帯は1つしか持っていないと周りに思わせていたが実は2つ持っているのだ。
そして持っている服全てに隠しポケットを作った。
そして隙を見て盗み取った。
もしもの時ように高性能の最新式。
いつあの場所を捨てるか分からないし、何時お父様に連行させられるか分からない。
そう思って常に持ち歩き、何時も充電もちゃんとしてあった。
最近では乾電池で充電できるように出来ている。
充電器も忍ばせていた。
そして皆の番号は頭の中に入っている。
マリーは心配性だからな…きっと探し回っているだろう。
リンは基本的放任主義だけどいざという時は頼り甲斐があってリーダー質。
生徒会長なのもうなずける。
圭は…
考えてふっと笑った。
監視の時間帯は分かる。
皆私を気味悪がって柵の外にびくびくしながら立っているだけ。
「おい…」
声をかけられた相手が自分だと知るとビクッと肩を震わせた。
「書物を持ってこい。私は退屈だ。」
「…お、大人しくしろ!!」
最初は皆偉そうにしていて私に声をかける度にふんぞり返っていた。
だが私が色々とそいつらの素性を当てると気味悪がった。
相手の顔には化け物と書いてある。
「また勤務時間中に酒を飲んだだろう。規則に違反するとお父様が怖いぞ。
お前には家族がいるんじゃないのか?しかも遠くに。
違反したことが知れたら家族もただじゃ済まないだろう?」
「…っな!?」
何故?と顔には書いてある。
「いつもと違ってミントの香りがする。そこまでして隠したい匂い、煙草、または酒。
さらにお前からは微かに酒の匂いがする。しかも新しい。もっと気をつけるべきだな。」
ハッと口に手を当てた。
その顔には驚きが滲み出ていた。
「そして胸ポケットから手紙が覗いている。手紙を出すほどなら遠くに住んでいるのだろう。
そしてこんな闇企業に手を染めるくらいなら知り合いもいないだろう。だから家族と推測した訳だ。
分かったらとっとと書物をとりに行け!!」
怒鳴るとスタコラと階段を駆け降りた。
ここは館で小さな塔の最上階の石で出来た牢獄。
沢山の人をここに招いているがここなら間違っても誰も来ない。
誰でも良かったがなんでも話せるマリーを選んだ。
電話をかけた。
呼び出し音が1回も鳴ったか鳴らないかくらいでマリーは出た。
「もしもし!?」
「ああ…マリー…?」
懐かしい声でつい微笑んでしまう。
「アリス!!?」
「あっ…今ちょっと野暮用でしばらく帰れそうにない…」
声は小さく落ち込んでいたが顔は微笑んでいた。
嘘をつけ。
きっともう帰れない。
「アリス!!?」
「…心配しなくていいから…」
何時までも私になんてとらわれずに。
心配なんてせずに。
今まで通り生きて行けばいい。
「アリス!?今どこにいますの!?」
焦ったマリーの声。
それがなんだか可笑しくて笑ってしまう。
はっ、と手に口を当てるマリーが想像できた。
「…ちょっとねお父様のところに…」
「お父様?」
お父様を思い出すと知らぬ間に声が落ち込んでいた。
行けない。
最後になるかもしれない電話。
もっと明るく。
相応しく締めたい。
「…しばらく…帰れそうにないから…よろしくね…」
学校のことも。
軽音部のことも。
ItemMemberのことも。
最初と最後の電話。
涙がキラリと落ちた。
さようなら。
大好きで儚かった…私の最初で最後の親友たちよ。
- Re: 秘密 ( No.218 )
- 日時: 2016/05/11 02:09
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「「「アリス!!?」」」
3人の声が電話を切る直前に聞こえた様な気がした。
馬鹿だなぁ。
そんなに慌てちゃって。
電源を切ってぼろきれ同然の服の中に隠した。
「…だっ、誰と話していた!?」
「1人言だ。小さいことを気にする奴は心まで小さくなるらしいぞ。」
本を受け取ろうと柵越しに手を伸ばす。
牢獄の中にはすでに何冊も本が積み重なっていた。
まるで図書館の様だ。
毎日のように本を持って来させ、それをよんで暇をつぶした。
しかし食事の後では文字もろくに読めない。
それでも彼女は本をめくり続けた。
まるで何かを忘れるように。
内容が頭に入っているかなんてわからない。
それでも彼女は何かに没頭する様にページを操った。
周りには彼女が涙を流さぬように必死に耐えているように。
ただただ何かを忘れようと。
必死にめくっているようにしか見えなかった。
食事を再び取らなくなったのもその頃だ。
彼女は食事も睡眠も削り、ただただ本を操った。
「どうにでもしろ。」
そして役に立たない私はここに連れて来られた時と同じく唐突だった。
どうせまたお父様の気まぐれなのは分かっていた。
「また…私は帰るのか…人の世に。」
しゃがみ込み本に没頭している私は柵の外側に立つお父様がとても大きく見えた。
とても恐ろしくておぞましい男だった。
どうやらお父様の部下のご慈悲もあってかまたここから出ることになったらしい。
その頃には牢獄には本で埋め付かさんばかりだった。
彼女の周りには本しかなかった。
高く積まれた本は天井に届かんばかりだった。
パチンッと指を鳴らす。
すると本をとり上げられた。
手を伸ばすと素早く注射器を腕に挿した。
するとすぐにうっ、と呻いて気を失った。
そして気付いたら私は病院にいた。
精神病院だ。
お父様の声が辛うじて聞こえた。
「では先生、宜しく頼みましたよ。私にはこの化け物が生きていられても困るがかと言っても死なれても困るのでな。」
「…化け物?そんなの関係ないよ。
僕の仕事は病人の心のケアをすることだよ。それが誰であろうと僕の患者であることに変わりはない。」
「世にはモノ好きもいるものだな。」
お父様のふっとせせら笑う様な声が聞こえた。
「退院させても構わんが、後悔はするなよ。
化け物は我々人間にとってはとても危険なのだから。」
その言葉の直後、自動ドアの開く音がした。
再び自動ドアがしまる音がしたら先生らしき人の声が続いた。
「それにしても…16年くらい前に連れてきたあの子と瓜2つだね。」
そこだけまでを辛うじて聞き取ったら意識が途絶えた。
手に温もりを感じる。
もう二度と感じることのないと思っていた温もり。
それがこの手にある。
重い瞼を上げて目をうっすらあけるともう二度と会えないと思っていた顔触れが目に入った。
すぐに視界がぼやけた。
彼らは私の手を掴むと声をそろえて告げた。
「「「お帰りなさい!!」」」
- Re: 秘密 ( No.219 )
- 日時: 2014/01/22 20:11
- 名前: 雪 (ID: dBmUCHou)
〜・33章 これから・〜
体が動かない。
声は出ない。
視界も定まらない。
自分の体すらも思い通りに動かせない。
今動かせるのは精々瞼と眼球くらいだ。
声すらも届かない。
マリー達はすでに話を聞いていたのか何も問わずにただ手を握っていた。
冷たいあの牢獄ではなかった温もり。
また…あそこから出られたんだ。
何時また連れ戻されるか分からない。
けれど…外に出られたんだ。
またこいつらと会って、歌って、笑って…
そんなことを思うと嬉しくて涙が出そう。
「…あ…」
小さくて細い声。
「…あ…り…がと…」
それ以上は続かなかった。
それでももう満足だ。
ここには温もりがある。
ここには皆がいる。
ここには幸せがある。
それだけで十分だ。
1筋の涙が流れたような気がした。
彼女は安心しきった様に安らかな寝息をたてはじめた。
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