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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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1章
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137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.442 )
日時: 2016/04/20 03:44
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・86章 そのままの君が・〜

「…母に…会いに行ってきます」

ふらり、と立ち上がると唐突にそう告げた。

立ち姿には何時もの覇気が無く、操り人形の様に危うげだ。

「…失礼しました」

万里花のポケットから携帯が転がり落ちた。

けれど、そんなものを気にも留めずに出て行った。

軽く会釈してから、万里花の後を追う。

ふらふらと。

足元もおぼついていない。

万里花の肩を支えながら。

暫くふらふらと歩いていた。

日が傾いた道端に。

途端に座り込んだ。

ペタンっと地面にへたりこんだ。

「…私は父が…仕事人間だったのが…全ての元凶だと思っていました」

こんなに弱って。

動揺している万里花を。

初めて見た。

「性格だから仕方ない…仕事だから仕方ない…そんな風に思っていました…」

灘万里花と言うものを支えていた何かが。

壊れた様な。

そんな。

危ない感じがする。

「でも…私が元凶だったんですね」

元凶。

全ての源。

事の発端。

「私が…傍にいるだけで…父を…傷つけていたのですね…」

全然気付かなかった、と万里花は虚ろな目で呟いた。

出逢ったばかりの頃の万里花に戻ったみたい。

でもそんなときでも。

目が虚ろになるのはほんの一瞬だけだった。

こんなに長く。

感情が消えさったのは、初めてだ。

もしこのまま放置していたら。

このままもう目に光が戻ることはない様な気がした。

今まで積み上げてきたもの。

目の前にいる自分さえ。

その目には映していなかった。

「もし…私がいなかったら…もし…私が男だったら…こんなこと…なかったんでしょうか…?」

「そんなことない。」

万里花に目線を合わせる様にしゃがむ。

涙に濡れた。

大きな目。

華奢な肩や、細い腰が、女の子である事を主張していた。

「もし万里花がいなかったら、万里花の母さんはもっと寂しい想いをしていた!
もし万里花が男だったら、俺は万里花と出会う事も、好きになることもなかった!!」

万里花がいなかったら。

万里花が男だったら、みんなが幸せになれたかもしれなくても。

万里花が女の子でなければ。

確実に自分はここにいない。

だから。

だから。

「万里花を好きになることのない世界を絶対に認めない!そんなの耐えられない!それこそふざけんなよ!
万里花が間違ってるなんて言う奴がいたら、誰であろうと俺がぶん殴ってやる!!」

だから。

だから。

「万里花はそのままでいい。そのままの万里花が。」

そのままでいい。

なにも変わる必要なんてない。

「———大好きなんだ」

Re: 秘密 ( No.443 )
日時: 2014/12/24 14:22
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

足に力が入らなかった。

怖かった。

私がもし母が望む男であったら。

殴られることもなければ、母を悲しませることもなかったのでは?

もし私がいなければ。

父は愛する人を誰にも奪われなかったのでは?

そんな嫌な考えが頭にこびり付いて離れなくなった。

でも。

凛はそのままでいいと言った。

その言葉が。

大好きだと言った。

「…でも」

「不謹慎かもしれないけど、万里花が男だったら確かに愛されていたかもしれない。
でもそうだったら、あの基地には来なかった。俺は万里花に出会えなかった。
生まれなかったら、そもそも出会えなかった!母さんと和解することもなかった!!」

私が女であることに。

だからこそ出会えたと。

だからこそ救われたと。

「でも…私は…父を傷つけた…」

「万里花が傷つけた訳じゃない。
そもそも愛情を奪うとか奪われるとか言うものじゃないだろう。」

そっと優しく抱き寄せられた。

私は女であることが。

小さい頃からずっと許せなかった。

「…勝手に罪を背負うなよ。背負われた側の気持ち、考えてみな」

それなのに。

凛に抱きしめられて。

女で良かった、と。

思ってしまった。

凛の存在に。

私はずっと救われていた。

傍にいるだけで。

私の存在を受け入れてくれた。

こんな私でも。

受け入れてくれた。

きっと凛の。

そういうところが好きになったのかな。

「そのままでいいんだって、言ったろ?」

ずるい。

凛の言葉を聞いてまずそう思った。

「凛はずるいです…」

私が凛を救うのに沢山の時間をかけたのに。

あんなに転んで。

遠まわりして。

沢山助けられて。

ようやく。

助けられたのに。

「凛はいとも簡単に…私を救ってしまうのだから…」

凛の手を借りて、立ち上がる。

凛がいるから。

私は立ち上がれた。

「私も…凛が、大好きです」

Re: 秘密 ( No.444 )
日時: 2014/12/24 16:13
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

万里花は。

今まで1度も声を張り上げたことのない子だった。

言われたことは淡々と守り。

悪さも全くしたことが無かった。

こんな馬鹿な父と母のもとに生まれながら。

あの子はいつも笑っていた。

憎まれながらも。

疎まれながらも。

必死に。

だから知らず知らずのうちに無下にしていたところもあっただろう。

隠し方が上手だったから。

どう思っているかなんて気付かなかった。

高校に入って。

初めて自分の意思で部活動に参加して。

自分の意思で楽器を演奏していた。

そして、今日初めて声を上げられた。

あいつのお陰か…

10年前からずっと支えていて。

高校に入学してから。

様々なことを自分の意思でやりのけた。

正直言うと。

今はまだ。

愛せる自信がない。

もうあの女に気はない。

すっぱりと諦めた。

もう忘れた。

でも。

過去に万里花を傷つけたこと。

それが今でも。

傷として疼く。

誰よりも向き合わないといけないのは。

こちらだった。

過去のこと。

償わないといけないこと。

やらなければならないこと。

課題は山積みだ。

床に落ちていた携帯を拾う。

万里花が先ほど落としていったものだ。

「少し、仕事をするか」

Re: 秘密 ( No.445 )
日時: 2014/12/24 14:56
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「落とし前、なんて冗談だろう?」

日が傾く道を。

凛と並んで歩いていた。

やっぱり…

凛にはお見通しなんだな。

「確かに憎んでいた時期もありました…でも今は…そんなことありません」

性格の問題だから、ってずっと諦めてきた。

それのせいかもしれない。

いまさら、憎むに憎めない。

父がいない日常が。

私にはあまりにも馴染み過ぎた。

だから今更憎めない。

どんなことも。

誰のせいにも出来ない。

ずっと憎まれていた。

使用人でさえ、ひそひそと影であることないこと吹聴していた。

凛。

凛は知らない。

私は凛が。

ずっと。

大好きだったんだ。

憎まれて。

受けいられなかった私を。

凛だけは認めて。

受け入れてくれた。

凛に認められること。

凛を好きでいること。

それが。

私にとっての。

救いだった。

私はもう。

十分に救われている。

「行こう、母との待ち合わせに遅れる。」

次は。

私が母を救う。

凛なら。

絶対にそうしただろうし。

Re: 秘密 ( No.446 )
日時: 2014/12/24 23:03
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・87章 ずっと想ってる・〜

本当に母との待ち合わせがあった。

ずっと凛のことを救えないか考えていた。

母が示した待ち合わせの日まで刻々とタイムリミットは迫っていたのに。

と言っても、幼い頃に会ってから。

1度も顔を合わせていない。

けれど。

店に着くと。

自然と誰だか分かった。

同じ茶色の髪。

昔は長かったような気がした。

切ったのだろうか。

肩のところでバッサリと切られていた。

瞳の色も同じ。

パッチリとした二重。

そっくりだ。

けれど纏っている雰囲気など。

やはり違う。

「万里花!」

抱きしめられた。

その指先は。

とても。

冷え切っていた。

「…会いたかった」

何処までもそっくりだ。

それに若い。

外見だけなら姉と言われても信じられる。

「出て行って、すぐ分かったの。息子とか娘とか。どうでもいいって。
幼い頃から、ずっと言われてきた。でも…!一番大事なことを忘れてた…私の子だもの!」

嬉しい。

涙が零れそうになるくらい。

嬉しくてたまらない。

ずっと。

ずっとずっと。

こうやって抱きしめてもらいたかったんだって。

ハッキリと。

実感した。

「綺麗な髪飾りね」

母と会ったら。

きっと母は詩織さんの様な。

威嚇する様な。

笑みを浮かべるかと思った。

でも。

実際目の前にあるのは。

よく似た笑顔。

「大好きな人が…くれたの」


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