コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.195 )
日時: 2014/01/07 15:40
名前: 雪 (ID: cakHq5Qm)

「母親も知らない、昔の記憶もない私は今思うとよっぽどいいカモだったのね。いじめ終わったらすぐ他の親戚に回す。
学校行かなくても一応食費とかはかかるからね。いじめきったら価値が無いんでしょう。」

だから今までずっとたらいまわしにされてきた。

「ほんの少しだけ私と仲良くしようとした子もいた。
でもいい噂を聞かない私と仲良くして周りの噂がよっぽど怖かったのね。すぐにダメになったりもした。」

施設でも悪い噂ばかり聞く私に引き取り手が見つかるどころか周りの子からも遠巻きにされた。

ゾッとした。

今まであった子たちはそんな表情をしていた。

「母親を知らないのも昔の記憶が無いのも仕方ないこととしか私は受け止めてる。」

理由があるなら仕方ない。

アリスがそう考えるのは知っている。

誰かが遅れても理由があれば何時間でも待つ。

例えその理由が他の友達と遊んでいるとかそう言ったものでも。

人付き合いは大事だもんね、と何時間でも待つ。

もっともそれ以降全員そろって行くと決めた日は誰も予定は入れなかった。

「無いって言ってもどうにかなるものじゃないでしょう。」

強くなければ生きていけない世界。

そのおかげで鍛えられた。

気分が悪いとすぐ子供を殴る大人、ご飯を抜く親、受験のストレスを発散する兄弟、自分より劣る同級生をいじめる子どもたち。

そう言ったものがいるのはよく知っている。

私に普通に実の子のように接してくれたおばさんがいた。

だがその人の夫は変に独占欲がねじ曲がっていて私を階段から突き落とそうとしたり、風呂に沈めようとした。

やがてそのおばさんは私を仕方なく施設にいれた。

親戚というが実際血は繋がっていない。

何処の誰とも知らないおばさん達だ。

だが感覚的には親戚だった。

「楽しくはなかった。けど有意義だとは思った。
勝手に引き取っていじめて勝手に捨てられる。そう言ったことは私だけに起きてる訳じゃない。
行動理由なんて知らない。でも仕方ないとして私は受け止める。」

やがてアリスは遠くを見るような目をした。

その眼には何も映っていなかった。

ガラス玉のように。

心が無い様に。

「仕方ないんだ。世界は理不尽なことだらけ。
悪いことをしてはしてないのに疎まれることもある。
私が悪いんだよ。きっと…————」

何がアリスに仕方ないと言わせているのだろう。

理不尽なことを認めてはいけない。

でも何処までも冷たくガラスの様な眼を見ると…———不思議となにも言えなかった。

そんな言葉ではアリスの闇は消えない。

そんな言葉ではアリスは救えない。

アリスは十分理不尽な世界に足掻き続けた。

そんな世界でも自分は生きると足掻き続けた。

そしてやっと抜け出した理不尽な世界を仕方ないと、受け止めさせてしまった。

何処までも弱い。

アリスを助けることも、もう大丈夫だと未来を開くことも出来ない。

でも何時かきっと…————この世界は光に満ちていることを教えられればいいな。

「約束するよ、アリス。
僕たちはずっとアリスの傍にいる。アリスが困ったり悲しい時は迷わず連絡して良いからね。
アリスが泣いたら何処へでも駈けつけるから。」

アリスは微かに微笑んだ。

でも…どうしてそこまでアリスは生きることにこだわったのだろうか。

いくら今アリスが強くても幼少期は弱かったはず。

希望を見つける前に心を折り、絶望を抱く子ども側に入るのでは?  

なにかアリスを突き動かす大きな何か…

まっ、そんなことを考えても仕方がない。

生きていてくれなければアリスと出会う事もなかったのだ。

あまり変なことは考えてはいけない。

でもそうだとすれば今ここにいることは奇跡なのかもしれない。

「…お母さん?」

アリスが小さく呟いた言葉をケイは聞き逃さなかった。

今日、圭はアリスの闇はとても深いということに気付いた。

Re: 秘密 ( No.196 )
日時: 2014/02/09 16:07
名前: 雪 (ID: 8ru7RWNK)

「…話してくれて有難う、アリス。」

最初に言葉を発したのはマリーだった。

顔には優しい微笑みが浮かんでいた。

「ううん。聞いてくれて有難う。」

「今日は疲れただろう。席を外すからゆっくり休んでおけ。」

そう言ってぞろぞろと寝室から席を外した。

「夕食は後で部屋の外に置いておきますわ。」

皆ぞろぞろと部屋から出る中部屋を出ようとした圭が振りかえった。

「あの…アリス…!」

「圭。どうせ大方母親のことだろう。」

じろりと冷たい視線で圭を見返す。

「いいよ、話すよ。」

そう言うとゴクリと顔を引き締めた。

扉を閉め、圭がベットに腰掛けるのを見るとアリスは話し出した。

「私は…もうどれほど前か覚えていない。
小さな狭くて冷たくて誰もいない部屋にいた。部屋…なのかな?とにかく閉じ込められていたんだ。
そこは小さな窓1つしか付いていなくて…そこから外が見えるんだ。
私はそこで裸足で…ロクなものも着させてもらえずそこにいた。」

何時も思い出すあの場所。

今までいたところで一番恐ろしい。

虐待などは全くなかった。

ただ誰もいなかった。

1日に1回あるかないかくらいで食事が来てそこで過ごしていた。

「そんな時だった。」

少しだけ顔が嬉しそうにほころんだ。

「母にあったのは。窓から手を差し伸べて私に話しかけてくれた。
顔が似ているのですぐに分かった。母だと。本当にそっくりだった。
小さくて狭い窓。私は出ることは出来なかったけれどその時はとても嬉しかった。」

彼女は小さなかすれそうな声で…でも愛しそうな声で私に言葉をかけてくれた。

「私の母…彼女は…私に確かに告げた。愛していると。何時も傍にいると。強く生きろと!」

段々声が大きくなるのに気付いてハッとボリュームを下げた。

だから先程の圭の言葉にとても心打たれた。

忘れかけていた思い出を思い出せた。

「だから…」

小さく圭が呟いたがその声はアリスには届いていない。

「私は…もう1度で良い。母に会いたい。」

その時が初めてだった。

誰かが私の名を呼ぶのは。

何と呼んだかはもう覚えていないが…

「なら探せばいい。今のアリスは1人じゃないんだから。
マリーもリンも僕もいる。アリスにそっくりならすぐ分かるよ!
アリスみたいに…可愛い顔は目立つよ!」

呆気をとられた。

それからすぐに笑った。

「と、とにかく!!絶対見つけるから!だからアリスも諦めないでよ!!」

「誰に言ってるんだか…私が諦める訳ないじゃない。馬鹿言わないでよ。
だって私は母の名前すら聞いていないのだから。諦めてたまるもんですか。」

笑って滲んだ涙を手で拭う。

「ありがとね、圭。」

ピンッ

いい音が部屋に響く。

「当たり前のこと言わないでくれる?それと無防備にそう言う顔をしない。」

圭に指で弾かれた額を手で押さえながら再びアリスは笑った。

Re: 秘密 ( No.197 )
日時: 2014/01/11 17:02
名前: 雪 (ID: 8vQb.n8e)

「あのね…圭。」

振り返った圭の顔が今までよりもずっと愛しい。

「私ね、アリスって呼ばれるの嫌いだった。
今の今までその理由が分からなかった。でも多分理由は…母が私にくれた名前で呼んで欲しかったから。」

こよみ。

母が呼んだ私の名前。

「でも…圭達が付けてくれたアリスって名前、私嫌いじゃないよ。」

不思議といつの間にかアリスと呼ばれるのに慣れていた。

大好きに…なっていたのかもしれない。

「だから…ありがとね。私をアリスにしてくれて。」

圭達とはいろんな話をしてきた。

今まで誰にも話せなかったことも。

私はそれで救われた。

前よりも今の方がずっとずっと好きになっているような気がした。

「…どういたしまして」

もう決定的だ。

圭の笑顔を見て気付いた。

今までと比べ物にならないほど好きになっている。

もう…認めよう。

もう…楽になろう。

「…好きだよ…圭…」

思い切って言葉にすると急に恥ずかしくなった。

「えっ?」

でもその言葉は圭には届かなかった。

「…ううん…なんでもない…」

まさか…届いてないよね?

「っじゃ、これでね。大人しく寝ててね。」

バタンッと扉を閉めた。

アリスは布団の上に倒れ込み、圭は扉にもたれかかった。

「「まさか、ね…」」

Re: 秘密 ( No.198 )
日時: 2014/01/11 23:33
名前: 雪 (ID: FgxEpiy6)

〜・28章 夏休みその4・〜
圭に告白もどきをしてしまいかけた次の日、体調は驚くほど回復していた。

「もう大丈夫ですか?」

「ピンピン!!話したら逆にすっきりした。」

というかもともと気にしたことはあまりなかった。

それが仕方ない。

それが世の中だと早いうちから痛感出来たから。

それが普通だと思っていた。

他の子が私とは違う、恵まれた生活を送っていても“仕方ない、だって私はこの家の子ではないから”と納得することが出来た。

誰でも自分が可愛い。

他の誰が生んだかも分からない子より断然自分の子の方が可愛い。

それが分かっていたから何も不思議ではなかった。

でも…圭に話した、あの母と会った冷たい場所。

あそこは何処だろうと時々思う。

母にあったことすら覚えていなかった。

うすらうすらで顔までは認識できなかった。

でも、圭の言葉を聞いたら鮮明に思い出せた。

母が言った言葉も。

「おはよ。」

突然後ろから声をかけられ飛び上がる。

「お、おはよう、圭。」

「どうかしたの?それより昨日あの後大丈夫だった?」

変わってない。

いつもとなにも。

良かった。

「うん。ありがとね。」

届いてない。

届いてなくて…嬉しいはずなのに…少しだけがっかりしたような…そんな気持ちになった。

「今日は?」

「えっと…山までゴンドラで行って景色を見ながら散策です。
夜はお祭りがあるみたいなので浴衣を着て町まで降りる、でどうですか?」

誰も反対しなかった。

「丁度いいや。昨日町見れなかったから。」

だが柳親子にあったあの場所に再び赴く気もなかった。

化け物!!————————

思い出す。

昨日の柳親子の言葉。

化け物と言われることは少なからずある。

どうやら私は他の人には無い何かがあるらしい。

そしてそれは柳親子に化け物と呼ばせる。

恐ろしいとは思わない。

いい気味だとすら思った。

あの親子は世の中を知らない。

私が生きてきた世界に比べると甘すぎるほどの世界に暮らしている。

金に恵まれ、力をふるい、無理矢理クラスメートを従順させる。

それの何が楽しいかは知らない。

だがそれでもつめが甘いと時折思う。

人の上に立つにも出来が悪すぎる。

私はここにいる。

もうあそことは違う。

と、思ってもふと時々考えてしまう。

でも私は柳親子と違う世界を生きている。

Re: 秘密 ( No.199 )
日時: 2014/01/12 17:42
名前: 雪 (ID: FMSqraAH)

身分なんて関係ないって、他人事でなら言える。

でもいざ自分のことになるとかなり危うい。

私は1人で生きてきた。

世間知らずで皆に疎まれ何で生まれたかすらわからなくて、そして…———化け物だ。

時々皆といて肩身が狭くなる。

母は私を愛していると言った。

でもそれはもう何年も昔の話。

今はもう私のことを嫌いになったかもしれない。

皆は私より世界を知っていて…皆に好かれて…親に愛されて生まれた。

それはどうしようもないことで。

取り返しのつくことでも無くて。

仕方ないって思っていた。

誰からの目も気にしたことのない私だが胸が時々痛む。

「いこ。」

圭に声を掛けられても時々返事がしづらくなる。

でも出来るだけ…頑張ってみよう。

「…うん!」

皆の背中に追いつきたい。

もう随分先へと進んでいるけどきっと追いつく。

何時か私も世界を知って皆に好かれ、生きている意味を知ることが出来るように。

大丈夫。

きっと何時か追いつく。

不思議とそんな気分になる。


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