コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.240 )
- 日時: 2014/02/04 17:29
- 名前: 雪 (ID: iAb5StCI)
「いいか、アレクシス。私がやれるのはあくまでお父様の説得だ。
本人には自分で想いを告げろ。お前にはその権利がある。」
合唱部の歌声でほとんど聞こえない。
けれどもこちらの声は届いたようで驚いた顔をしていた。
「懐かしいな、昔お前が泣きついてきた時とは大違いだ。
あの時のお前はいつも私を恐れていた。なのに何故私に助けを求めるか、不思議に思ったものだ。」
アナを愛しているから…————
愛という言葉を知らない私では何が何だか分からなかった。
アナを助けたいと…泣きついてきた。
「今でもあまり変わっていないようだな。だが…泣かなくなったのは喜ばしいことだ。」
真っすぐと私の目を見据えることが出来る。
「その記憶能力は恐るべきものだからな。」
その1言で分かった。
父が私を求めている理由が。
「この記憶能力か…」
私は1度やったことはほとんど忘れない。
「ありがとう、アレクシス。おかげで分かったよ。」
その記憶力が狙いか。
1度覚えれば忘れられない。
それなら何度でも反芻することが出来て、問題を解決に導ける。
それが狙いだったのか。
といっても薬などを使っていささか曖昧な部分もあるが。
完全記憶能力、といった言葉を聞いたことがある。
私はそれの成りそこないと言ったところか。
「文化祭が終わったら…私は学校に通うのをやめる。そしたらお前はアナの、私は父のもとに向かう。」
外国なんて初めてな気がする。
言葉は多分通じるだろうな。
父は外国人。
おかげで会話くらいなら多少は出来る。
そもそも父は外国の貴族なのだ。
最近では日本に少し影響を与えているらしいが…
どうせただの暇つぶし。
そんなおぞましい男だ。
「父には話を通しておけ。私よりかお前の方が話がスムーズに済むだろう。
そうだな…小さな怪物が父上に有利な話があるといっていた、とでも言っておけばいい。」
嘘だという事はすぐばれるだろう。
しかし父親は酔狂な男だ。
それだけで十分だろう。
さて、次はいよいよ外国か。
私の向かう先は。
- Re: 秘密 ( No.241 )
- 日時: 2015/07/04 17:16
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
人助けとは…私も丸くなったものだ。
今までは自分のことでいっぱいいっぱいだった。
例え兄貴といえど昔から泣きついてきていたあの兄貴ももう年を食い、真っすぐと目を見て頼むようになった。
頼むところはまだまだといえるが。
昔から何かと言われてきた。
最初に頼まれてたのはアナを助けてほしいと言われた。
愛しているから…
アナはよく言うととても明るい。
悪く言うととても騒がしい。
アナが犯罪者の疑いをかけられた。
それを私が記憶し、整理して考えた。
その結果を伝えたところで無実が証明された。
偶然による事件だと暴かれた。
助けてほしい。
彼はあの時怯えながら、泣きながら私に必死に頼んできた。
心ゆすぶられはしなかった。
だが何かを感じた。
そこまで必死だったから。
何故か気が向いた。
暇つぶし。
誰とも言葉を交わしたことのない私は気が向いて兄に声をかけた。
この能力を使った。
それが初めての人助けだった。
だが代償として…
私は何を求めたのだろう。
もう覚えていない。
「父上から許可が下りた。」
決定的な言葉が下された。
「アナの家と私達の家の歴史。両方とも洗い出して私によこせ。
飛行機の中で整理して、父上を説得させてやる。」
だから…
「だからお前は安心してガツンっと自分の想いを告げろ。」
- Re: 秘密 ( No.242 )
- 日時: 2014/05/06 13:58
- 名前: 雪 (ID: GjHPlWkU)
〜・38章 兄孝行・〜
そして文化祭のステージも無事に終わり、そのまま空港に向かった。
キョロキョロと首が疲れるくらい周りを見渡した。
「おいっ、ウロウロするな…!!」
「…空港は初めてだったのでな。」
「そんな訳ないだろう。昔お前は…」
気まずそうに黙って口をつぐんだ。
「牢獄から移送された…か?
悪いがいくら記憶力が良くても、幼少期のことは覚えていないのだよ。父のせいでな。」
薬を使わなければ素晴らしい能力のはずだ。
「だが…忘れてはいない。全ては私の頭の内に完璧に記憶されている。
…ただ忘れただけだ。」
何時かはちゃんと思い出せる。
そう信じている。
「それよりあいつらに知らせなくて良かったのか?」
「…余計な御世話だ。アレクシスの分際で。」
アレクシスも色々苦労しているのだろう。
父は私ばかり気にかけているが、一応正規のお坊ちゃん。
それなのにそんな大事な役割を担うアレクシスは私のお目付け役。
本家の大事な跡取りも今や若手俳優。
本来は家に縛られなければいけない。
だが…理由は何であれ自由だ。
あんなアレクシスも愛を見つけられた。
…叶いはしなかったようだが。
だがアナがアレクシスに好意を寄せているかは…知らない。
会ったことは無いのだ。
愛も恋も。
何が違うか分からない。
でも。
片方だけが思っていては成り立たない。
奇跡の様だ。
この家の嫡男様。
私と違って何もかも反対な立場。
それでも兄弟の縁かな。
私はようやく恋を知った。
何もかも違う立場。
でもその生い立ちにより私達は苦しめられている。
母を知らず、恐れられてきた私。
妹のせいで放っておかれた兄。
ようやく恋を知った私。
愛を知ってはいたものの破れてしまった兄。
何もかも違う。
しかし。
どこか似ていた。
- Re: 秘密 ( No.243 )
- 日時: 2014/02/06 23:02
- 名前: 雪 (ID: GFUC6Nj9)
「シートベルトを外してください。お荷物、お忘れ物ない様にお気を付け下さい。」
何の変哲もないアナウンス。
荷物をアレクシスに持たせ、飛行機から降りると日本とは全く違う匂いがした。
「本当に…来たのだな。」
ここは私が生まれた国。
私の母が育った国。
それから大きい荷物を受け取ると外に向かう。
外に出迎えに来たと思われる人が溢れかえっていた。
そしてそれぞれが各々の知り合いを見つけては声をかけていた。
「アレクシス…お前は聞いたな。3人を置いてきていいのかと。」
離れたくなどなかった。
出来ることならずっと向こうに留まってまたいつもの様に…——————
しかしそれは私には遠い日常。
圭には悪いけど…私は圭には救えると思わない。
とても嬉しかった。
何処にいても見つけてくれると。
何時か救って見せると言った言葉も。
意味を理解することは出来なかったがとても嬉しかった。
だからこそ私も3人を守りたい。
何時も守られ、引っ張ってくれた3人を。
下手に手を出してけがなんてされたくない。
この闇はとても深い。
圭、私は闇に住む住人なのだよ。
「3人がいないからこそ…ここに立てるのだよ。あいつらがいたら…みすみすこんな所…!」
ギュッと首元のペンダントを握る。
母は望まぬ子を産まされた。
それでも私を愛していると。
そう確かに告げた。
何年も前のことだけれど…
再びペンダントを服の内に仕舞う。
「このあと、父上と面会の時間をやる。それからは…」
「牢獄だろう。分かっている。こんな外国でみすみす外に出す訳がない。」
とくに抑揚もなく、興味もなさそうにぼそりと口にする。
「…その通りだ。」
相変わらず窓の外から目を外さない。
「お前の存在は基本的に外に露出してはいけない。それ故に秘密裏に屋敷の牢へ連れて行く。」
父としても私を記憶兵器として使いたかったのだろう。
伏せておいた方がいざというとき便利だ。
「着いたぞ。」
ようやく窓から目を外す。
車から出ると大きな屋敷がそびえたっていた。
「アレクシス、私に出来るのは父の承認を得ることだけだ。後はお前自身だ。」
車を降りる直前にアレクシスの耳元でハッキリと囁いた。
「ふんっ…連れて行くがいい。父の元へ。」
案内されるままに連れて行かれた部屋に父の姿は無かった。
気付けばドアは閉められ、アレクシスの姿は無かった。
ポツンと置かれていたテーブルとイス。
その上に置かれている電話。
椅子に座りかけると電話が鳴りだす。
「…もしもし」
不機嫌な、老婆の様な声。
不機嫌になると声がしわがれるのは昔からのくせだった。
「久しぶりだな、ロスコー伯爵。わざわざ電話越しとは御挨拶だな。」
「何の用だ?わざわざ遠い異国から会いに来るとは…」
相変わらず癪に障る声だ。
ふんっ、と嘲笑う様に笑う。
「分かっているだろう。」
「あの餓鬼どもか?」
「それと今回はアナ・エマールの話をしに来た。」
ぴくりっと反応したのが電話越しに伝わってくる。
「驚いたか?私も丸くなったものだと…思ったものだよ。
エマール家は政治的関与できるほどの家だ。先日結婚したアバック家はそれに比べて何だ?
ロスコーとエマールが手を結べばそれなりの権力が加わると思うが?加えてアナとアレクシスは幼馴染と来たではないか。」
「…偉く饒舌だな。」
驚いた様な声が聞こえる。
だが微かに嫌な笑みが顔に浮かんでいることまでもが推測された。
「だから言っただろう…私も丸くなったと。」
「狙いはなんだ?」
小説でしか無いセリフだと思っていた。
現実で口にする人がいるとは思わなかった。
「教えてほしいか?ならばこの話を承認しろ。」
「…ふんっ、好きにしろ。アレクシスのことなど所詮…」
背もたれにゆったりと背中を預ける。
「それとあの3人を解放しろ。私が逃げないように足枷のつもりだろう。
3人は何も関係が無い。一般人にまで手を出してまで私に価値があるのか?」
そんなの聞かなくても分かる。
分かってしまう。
価値があるのだよ。
私もロスコー家の闇の歴史の欠片の1つ。
最終兵器。
外に出ることなど出来ない。
「貴様は聞いたな、何が狙いかと。」
優雅に。
余裕を持って。
笑った。
「なぁに、ただの兄孝行だよ。」
- Re: 秘密 ( No.244 )
- 日時: 2015/07/04 17:18
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「父上。」
軽やかに椅子から立ち上がる。
部屋を出る前に最後に電話機に向かって声をかけた。
「承認するだけでいい。あとはアレクシスがどうにかする。
ただ…もしアバック家との破婚が難しそうだったら…貴様の権力でどうにかしたまえ。」
そのまま扉の向こうへと私は出て行った。
あれは父の力ではない。
ただのお遊び。
あの男はアレクシスのことなど所詮、と言った。
アレクシスはロスコー家の嫡男様であったが彼もまた悲しい憐れな男の子だ。
だが父は元々なのだよ。
人を愛せはしない。
ただ独占欲がとても強い、おぞましい男だ。
「…後はお前次第だ。アレクシス。」
目をつぶって扉に寄りかかる。
人の気配がする。
「何処にでも連れて行くがいい。」
ポケットから不意に棒付きキャンディーを取り出す。
文化祭の軽音部の打ち上げで貰ったお菓子だ。
口にくわえる。
牢についたが今回は着替えさせられることもなく、ただ所持品チェックがあった。
隠しポッケに入れている私にはそんなもの意味は無かったが。
ロスコー家の屋敷の奥深く。
ここは生憎のプライベート用の屋敷らしく昔私が閉じ込められていたろうとは違った。
棒付きキャンディーを舐めながら書物を読んでいると扉の向こうからアレクシスの顔がのぞいた。
「どうだった?」
「———————」
その後私は兄に笑って見せた。
ほんの、時々なら…————————兄孝行も悪くない。
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