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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.477 )
- 日時: 2015/02/14 17:21
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ヒュンッ
そんな小さな音の後、灯りが一斉に消えた。
ブレーカーが落ちたのだと、数秒後理解した。
「大丈夫か?」
暗闇の中呼びかけるが返答はない。
手探りでブレーカーの元まで行く。
灯りが付けば否応なしに居場所が分かる。
パチッ
消えた時とは対照的に一斉に灯りが付いた。
しかし、何故そんなに突然ブレーカーが落ちたのだろう。
そこまで急激に使った覚えはない。
台所で遥が何かを作っていたのだろうか。
リビングに戻ると再び灯りが消えた。
けれど、部屋の中には灯りが合った。
その灯りは小さく、けれど揺らめいていた。
「お誕生日おめでとう「連兄」「朝霧」」
思えば不思議だった。
どうして、ここまで夕食が豪華なのか。
いくら彼女がきたとは言えど、3人分にしては豪勢過ぎる。
そう、まるで…
祝い事でもあるような勢いだった。
すっかり忘れていた。
もう何年も誕生日を祝っていなかったから。
「おめでとう、朝霧…いや、連」
彼女は静かにもう1度言った。
「お誕生日おめでとう、連」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
揺らめいていた灯りは蝋燭だった。
「どうして分かったんだ?」
「遥に教えて貰った。」
まあ、それしかないが…
学校の奴だって恐らく知らない。
「話は後だ、蝋が溶ける。いっちょ派手に消してくれ」
言われるがままふーっと消してみると、温かい拍手が迎えた。
「今まで迷惑をかけてごめんなさい、連兄」
パチッと灯りが付くと、直ぐその言葉が聞こえた。
「こんなもんじゃまだ全然恩返ししきれないけど…せめて今日だけは祝わせてよ」
目の前にいる自分の妹が。
ひどく大きな存在に見えた。
「ということだ、朝霧。有り難くいただけよ。」
灯りを付けると遥の手にはとても大きなケーキが掲げられていた。
しかも、大好物のチョコレートケーキだ。
ケーキの好みを遥が知っていたとは思えない。
それほどにケーキなど食さなかった。
となると、主犯は彼女だろう。
「ん?どうかしたか?そうかそうか、感動して言葉も出ないか」
遥を更生させるは、人の家に勝手に馴染むは、勝手に距離を縮めるは。
人の家にあがってサプライズまで目論むとは…
蝋燭も手作りの様で、少しいびつな形をしていた。
表面にはホワイトチョコとストロベリーチョコでデコレーションまでされていた。
”Happy BirthDay to Ren”
小さな似顔絵まで付いていた。
3人の、似顔絵。
髪が長い女の子みたいなのと、髪が少し短めな女の子と、生意気そうな目つきをした男の子。
絵が相変わらずの歪で、相変わらず芸術的なセンスが欠片ほどもない、不器用な絵。
すぐさま誰が書いたか分かった。
「…じゃあ、有り難く頂くよ」
そのチョコレートケーキはとっても甘くて、どこか懐かしい味がした。
- Re: 秘密 ( No.478 )
- 日時: 2015/02/18 20:11
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「じゃあ、そろそろお暇するよ。兄弟水入らずゆっくり話しておきなよ。」
「えーっ!もう帰っちゃうんですか?」
時計を見ると確かに遅い。
夜9時を回りかけている。
早い時間ではない。
「あっ、そうだ!泊まっていきませんか?部屋なら余っていますし!」
突然の無茶ぶりに、彼女は困った様に笑った。
「ごめん、やらなきゃいけないことがあるから。泊りは今度ね。」
やらなければいけないこと。
それで何故八神の顔が浮かぶのだろう。
「そうか、悪いな。引き止めて。」
このまま泊まりじゃ流石に気まずすぎる。
断ってくれて正直助かった。
「じゃあ、連兄送ってきなよ。私は後片付けがあるし。」
「っ!?」
遥の発言に目を疑った。
素で言ってるのか、それとも狙ったか分からないが困った提案だ。
「流石に悪いよ。」
「夜に女の子が一人歩きする方が悪いよ。」
理由を聞くと納得してしまった。
常識的に言っても夜9時過ぎに1人で歩かせるのは悪い気がしてきた。
「わかった、送ってくる。」
「連まで…!」
いつの間にか名前呼びになっている。
迂闊にも頬が緩みそうになった。
「良いから、とっとと行こうぜ。これ以上押し問答していても時間が遅くなるだけだ。」
彼女の手を引いて、無理やり連れ出す。
やばい。
今、2人っきりは少しきつい。
それでも、掴んだ手を離したくないと思ってしまう自分に。
少しだけ嫌気がさした。
- Re: 秘密 ( No.479 )
- 日時: 2015/02/20 01:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「っで、今回のパーティー、立案者はお前だろ。」
なんとなく手を離すタイミングを失ったので、いまだ繋ぎっぱなし。
流石に気まずいので話題を振った。
「遥に教えてもらったんだよ。それでケーキの好みを調べてサプライズを企画したんだ。」
「それで、ブレーカーか。」
彼女の横顔はとても楽しそうに笑っている。
「そう。こう言ったことを計画するのは好きなんだ、というより頭を使うのが好きなんだ。」
彼女曰く頭を使って凝ったことをするのが好きらしい。
「…今回は、人の為になるしな」
あっ
彼女は時々切なそうな顔をする。
どこか遠くを、眺めている。
何処を見ているか分からない。
今彼女は、なにを想っているだろうか。
「…今日は楽しかった。プレゼントは残念ながら準備する暇がなかった。だから、今度にしてくれ。」
「別に…わざわざいいよ。」
「だーめっ!プレゼント、なにが良い?」
なにも意図せず笑っている。
こっちがどんな気持ちになるか、考えてもらいたい。
人の前で悲しそうな顔をして、不用心に笑ったり、はしゃいだり。
「連には世話になっているからな。…何故だろう、連の隣はほっとする」
全く…
不用心にも程がある。
肩をガッと抱き寄せると、小さくて華奢な彼女はすっぽりと腕の中に治まった。
「…じっとして」
自分らしくない。
そんなことは十分わかっている。
けど、離れがたいと思ってしまう。
「…ちょっとだけ…このままでいて」
どれくらい抱きしめていただろう。
離れたのは、彼女の小さな声からだった。
「…連っ」
その声にハッと我に返った。
バッと解くと、頬を染めた彼女がいた。
「…」
暫くの間沈黙が流れた。
「ぷ、プレゼントの件だけど…とっとく、ってあり?」
やっと絞り出せたのはその言葉だった。
「…あり、で…良い」
頬を染めながら、そう答えた。
意外だった。
てっきり拒否されると思っていた。
「もう家、すぐそこだから…っ!もう…いいっ!」
頬が真っ赤だ。
耳まで真っ赤になっている。
「三田村」
先に歩きだす彼女の背中に声を掛ける。
謝罪をしなければ、と思ったのだ。
「…こよみでいい」
振り返らずに彼女はぼそりっ、と答えた。
「…こ、よみ」
なんて言おうと思っていたのだろう。
けれど、口は思わぬ言葉を口にした。
「…好きだ」
- Re: 秘密 ( No.480 )
- 日時: 2015/03/05 15:54
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・95章 歪んだ気持ち・〜
聞き違いとも思えるほどの小さな声。
でも、その言葉は確かに私の耳に届いていた。
錯覚ではない、とどこかで感じていた。
「…私はもう、誰も好きにはならない。」
だから、嘘はつかなかった。
はぐらさなかった。
いや、出来なかった。
耳まで真っ赤に染めていた朝霧を見ていたら。
そんなことをしたら、不誠実だと思った。
こんなに顔を赤らめられるくらい、人間性にあふれていただろうか。
そう思うと、確かに変わった。
それは朝霧に起きた変化。
…良かった
ここまできて、まだこんなことを考えている。
彼がそこまで真剣な話をしているのに、私は頭の中で全く違う事を考えている。
もう、彼の気持ちと向き合っていない。
こんなときでも、圭の顔が思い浮かぶ。
「…言われるとは思わなかったよ。薄々気付いていたけれど。」
「…やっぱりか」
彼も気付いていただろう。
私の気持ちに。
そしてそれが、揺らがないって言う事が。
「残念だ。朝霧は…話していてとても心地いい相手だった」
私は世界のことを何も知らない。
この町の裏情報を、私にもたらしてくれる。
その情報がなんだかとても斬新で、面白くも合った。
足を洗ったとはいえ、やはりそう言った変化には敏感の様だ。
エリスの集める情報とも違う。
自分の経験を織り交ぜていて、分かりやすかった。
本の貸し借りだってしていて、心地よかった。
似た様なことを同じように考えた。
でも、圭との方が楽しかった。
圭ほど同じもので心ふるわせ、近くには感じなかった。
私は全然圭を忘れられていない。
私が圭と別れたのは、それが圭であったから。
愛おし過ぎたから。
だから、ちょっとした歪みでも私の心に不安が巣食った。
そして、あまりにも私の近くにいたから。
危害が加えられるのも、加えるのも嫌だったから。
それが朝霧に変わっても、きっとまた傷つけてしまう。
「私はお前を傷つけたくない。」
少なからず、良く思っているのだ。
誰でも、1人でも傷付くなんて許せない。
そんなこと、想像するだけで体が震える。
「…ごめん」
私は憶病だ。
自分の苦しみを先延ばしにするために、圭の気持ちまで踏みにじった。
だからこそ、いくらでも汚れることが出来る。
それはもう、誇れるほどに。
今、手を離した方がある意味いいのかもしれない。
遠い未来のことでも、今からもう頭からこびりついて離れない。
今でも発狂してしまいたい。
当たり前の様に未来を描けない。
そんなこと、とっくに分かっていたはずなのに
「身勝手な理由で済まない。ちゃんと、誕生日は祝うから。」
今まで通りでいられるか、それすら分からない。
私は自分勝手な理由で如何に傷つけているかも…分かっているつもりだ。
「…でも、嬉しくなくも、無かったよ」
- Re: 秘密 ( No.481 )
- 日時: 2015/03/14 10:35
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
分かっていた。
彼女の事情とやらも、いまだ捨てきれない想いを抱えていることも。
「今まで通り、友達に戻るって言うのはありか?」
勝手に口が動く。
見苦しい。
でも、せめてもの悪あがき。
引き際をわきまえる、いい子なんて今はしていられない。
「…あり。朝霧みたいな奴、手離すのは惜しいからな」
何時も通り平常の声。
でも、少しだけ照れていた様な気がした。
まあ、気のせいかもしれないが。
「じゃあな」
彼女は背中を見せたまま、家路に急いだ。
これ以上付いていくのは…流石にやめておこう。
こっちの心臓も持ちそうにない。
彼女はどうして最後に嘘を吐かなかったのだろう。
嬉しくなくもない、なんて遠回しな言葉を使ってまで。
嘘なら、最後まで付き通して欲しかった。
そんな言葉を聞いたら、おずおずと食い下がれない。
欲が出る。
心拍数があがっている。
心臓に悪い。
気のせいか、彼女の耳が赤い様な気がした。
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