コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.642 )
- 日時: 2016/12/24 21:36
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「やっぱり、自然とアリスを昔のアリスと重ねていたと思う。
切り離しては考えられなかった。…昔のアリスも、特別な存在だから。」
大切な言葉を掛けてくれた大事な存在。
あの頃の唯一の生きがいだった。
アリスがいなかったら、確実に生きてはいなかった。
事情が合って、小学校高学年の頃散り散りに別れてしまったけれど。
それでもアリスのことを考えない日はなかった。
勝手に黙っていなくなって、謝り倒しても気が済まないと思っていた。
会いたくて、でも会えない。
そのことを申し訳なく想いつつも、やはりどこか安心していた。
あの頃の自分は、アリスはリンに惚れているものだとばかり思っていた。
真相はもう分からないけれど、だからって黙って消えることはなかった。
施設の都合でいきなり追い出されたにしても。
一度くらい会いに行けたはずだ。
それでも会いに行かなかったのは、多分怖かったからだ。
アリスがいなくなるまで、自分のしたことの本当の意味に気付かなかった。
- Re: 秘密 ( No.643 )
- 日時: 2016/12/24 21:53
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「圭たちのことは、昔からエリスに聞いていた。
エリスはアイザックのことも、圭たちのこともお伽噺の様に話してくれた。」
初めは、意地悪ばかりをしていたけれど。
アイザックを失ったエリスに寄りそい、圭たちと出会った私の傍に。
次第に優しく、時に厳しく。
寄り添うようになっていった。
「あの頃は、色んな家をたらい回しにされて。
人の悪意に歯を食いしばって耐えていなければいけなかった。
色んなものに疲れて、そんな時は圭たちの話が支えだった。」
エリスの行動は、とても嬉しかった。
母の目をくらます、という理由でアニエスを出た。
圭に出逢って、別れて、それからは色んな家をまわっていた。
どの家も、問題がある家ばかりだった。
母曰く、人の悪意や生きていく厳しさを身につかせるためだと。
その為に父はわざわざ、そう言う家を選んだのだと。
話してくれた、母は少し呆れた様な寂しそうな笑顔を浮かべていた。
今なら、その意味が分かる。
「私にもそんなことがあったんだって、嬉しかった。」
エリスは私の支えだった。
会うたび、彼らの話をねだっていた。
お腹が空いていても、生傷が絶えなくても、生乾きのボロボロの服を着せられていても。
エリスに会うと、痛みを忘れて聞きいっていた。
支給されている携帯は壊されることもしばしばで。
だから、エリスは大抵帰り道にふっと現れることが多かった。
携帯隠しときなよ、って笑いながら携帯を渡してくれた。
それがあの頃の日常だった。
家に帰りたくないのもあって、エリスと会うとついつい長話になった。
「…懐かしいな」
エリスから話を聞くのが、本当に好きで。
彼らと私の最も強いつながりは歌であった、と聞いて。
基地に足を運んでは、放置された楽譜を読みこみ。
歌うことで繋がっていられた気がした。
「歌っていれば…本当に、会える気がしてた。」
あのころとは、もう違う。
辛い事ばかりで、だから圭たちに会った時は嬉しかった。
お伽噺の中に入り込んだみたいに、夢の様だった。
「でも、やっぱりお伽噺は見ている頃が一番幸せだったのかもしれない。」
圭に会ったことは幸せだった。
私の人生において、間違いなく転機だった。
幸せの始まりだった。
「…幸せになっても、やっぱり痛みってあるんだね。」
考えてみれば当たり前だった。
代償なしに得られる訳なんてないんだ。
私がしてきたことを、考えれば。
もしかすると幸せになること自体が、痛みなのかもしれない。
「アリスは幸せになることに、不慣れなんだよ。不器用なんだ。
でもね、慣れてからも…それでも傷付くこともあると思ってるよ。」
ふふっ、と小さく微笑み返す。
やっぱり圭は変わらない。
「でもやっぱりさ、傷付かずにはいられないよね。
人生において痛みや、悲しみは絶対になくてはならない。不可欠だもん。」
傷付いて、ぼろぼろになって。
だからこそ当たり前の日々が、こんなにも愛おしい。
そんなこと、ずっと前から分かっていた。
知っていた。
「圭たちと過ごした時間は、本当に夢を見ているみたいに幸せだったよ。
傷付くことや罪悪感に苛まれることもあったけど。本当に、満ち足りていた。」
生きているんだって、実感できた。
例え圭の視線の先にいるのが昔の私でも。
それでも良いって、確かに想っていたんだ。
- Re: 秘密 ( No.644 )
- 日時: 2016/12/30 22:34
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・136章 残酷な我が儘・〜
「圭のこと、本当に大事だったんだ。」
アリスは何度も繰り返す。
幸せだった。
大事だった。
夢を見ているようだった。
満ち足りていた。
そんな言葉を、何度も何度も噛み締めるように。
「その気持ちに、嘘はないんだよ。」
それでも、と小さく続けた。
その先の言葉は、なんとなく想像がついた。
“圭のこと、ちゃんと見れていなかった”、と。
哀しそうに。
寂しそうに。
ぽつりと零した。
「圭みたいになりたいって、理想ばっかりで。
救ってくれるのが当たり前で、笑ってくれるのが当たり前で。
それがどれだけ大変なことなのか、ちっともわかってなかった。」
- Re: 秘密 ( No.645 )
- 日時: 2016/12/30 22:40
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アニエスのことは、色んなきっかけを生み出した。
「アニエスのこと知られたくなかったけど。
事実、私は心身共にまいっていた。救われたのは事実だよ。」
何度もいなくなったり、心配を掛けるのが嫌で。
いつか、手に負えないって捨てられたらどうしようって。
不安が胸を巣食った。
「でも、圭たちが優しくて。本当に、馬鹿みたいに優しくて。
それなのに、不安は拭えなくて。って、当たり前だけど。」
私のしてきたことを考えれば。
そんなの当たり前。
「見捨てられない様にって、精一杯努力した。
してもしても、したりなかった。餓えは増すばかりで、満たされなかった。」
見捨てられたら、それこそ死んでしまう。
嘘をつくことを躊躇わなくなり、作り笑いも板についた。
日に日に自分が暗い所に沈んでいく感触があった。
それでも、不安は消えなかった。
「でも。ある時を境に、私は絶対に見捨てられたりしないって気付いたんだ。」
信じられなくて。
疑ったり、仕方ないって諦めたり、色々なことをした。
でも、いつだって圭は来てくれた。
嫌われない努力も、諦めも、猜疑心も。
その瞬間にどうでもよくなってしまった。
「付き合ってからは、決定的かな。」
圭も私を好いていて、私も圭のことが好き。
それがまるで奇跡みたいなことで。
付き合い始めたばかりの頃。
気持ちが通じ合っていると分かるだけで。
毎日が、幸福だった。
そんな時に。
「圭の弱い所…お姉さんや家のことを…初めて知った。」
圭はずっと満たされた幸福な子供だと信じていたから。
そんな一面があることに驚いた。
「きっと、その頃から私のなにかは変わっていった。」
戸惑う圭や弱った圭。
気丈に振る舞おうとする圭、迷う圭、ぼろぼろになった圭。
色んな圭を見た。
憧れであった圭が、少しずつ変わっていった。
圭に散々助けてもらって、でも結局どこか信じられなくて。
いなくなろうとしたり、自ら傷付く道を選んで、進んだり。
ちっとも圭のことを考えず、軽率なことをした。
そんな自身がしてきたことに対する後悔と一緒に、ある気持ちが芽生えてきた。
圭と一緒にいられればいい。
それまで、ずっとそう考え続けていたのに。
「私のせいだ、って思っちゃったんだよね。」
圭は普通の男の子だった。
何の変哲もない、ちょっと家族関係で複雑な事情を持つ。
それだけの男の子だった。
でも、過去に私が授けた言葉によって変わってしまった。
圭は私を好きになり、圭の世界の中心は私になった。
それだけなら、良かった。
高校生になって、再会してからが問題だった。
夢は夢であれば良かったのに。
それは日常に変わってしまった。
「助けに来ることも、迎えに来ることも、全然楽じゃない。
凄く大変なことなのに、それが当たり前になった。」
ずっと話にしか聞いて来なかった圭と会って。
嬉しくて。
しかもそんな男の子が私を救ってくれて。
好きになって。
ずっと傍にいたいと願った。
絶対に失いたくないって。
「アニエスのことがあって、余計に圭は私の傍にいてくれるようになった。」
最初は誰よりも隠しておきたいことで。
絶対に知られたくなくて。
知られた時には、凄く後悔した。
それでも、時間が経つにつれ。
思ってはいけないことが、頭の中に渦巻いていた。
「アニエスのことがあれば、圭は絶対に私を捨てたりしないって。」
- Re: 秘密 ( No.646 )
- 日時: 2017/01/15 22:45
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「それに気付いた時、愕然としたよ。
圭のこと苦しめたくなくて、力になりたかった。傍にいて、支えたかった。
そんな気持ちが、確かにあったはずなのに。」
いつからか、私自身が圭のことを苦しめ始めた。
アニエスを口実に。
なによりも忌まわしいはずだったのに。
「圭の世界の中心は、間違いなく私になっていた。
アニエスのことは、なによりも強い楔だった。私はそれを利用した。」
気付いたと同時に。
手を離さなければと思った。
このままじゃいけない。
弱く、脆さを持った圭が。
私の為に壊れていく様が見えた。
「おかしいよね。圭の傍にいたくて、酷いことも汚いこともした。
それに躊躇いなんて感じたことなかった。
アニエスのことも、自分の性格も気持ちも、好かれる為ならなんだってやった。」
圭の理想であり続けたことも。
その為に無茶して、こんなの私じゃないって叫びたくなっても。
アニエスに呼び戻されたりして、監禁されたって。
そんなこと、お構いなしだった。
傍にいられるなら、好かれるなら、安い代償だって。
笑い飛ばせた。
自分はそういう人間だった。
「圭の弱さを見て、やっと分かった。普通の人なんだって。
優しくて、強くて…それでもやっぱり弱いんだって。
今は大丈夫でも、いつか壊れるって。そう思っちゃったんだよ。」
それでも。
圭の弱さを見て、やっぱり普通の人なんだって分かった。
それが、壊れていく。
「そしてそれは、紛れもなく私のせいだ。」
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