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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.432 )
- 日時: 2014/12/05 22:13
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
彼女をこのまま帰していいのだろうか。
いけない。
過去の過ちのせいで。
一生大事な息子から手を離すなんて。
でも。
雨の音は。
大っ嫌い。
冷たくて。
無情で。
体が動かなくなる。
まだ。
鼓膜にこびり付いている。
あの日の雨の音。
乗り越えないと。
雨ごときに縛られて。
過去に縛られて。
でも結局それって。
凛を救えなかった口実にしかなりはしない。
皆が腕を引っ張ってくれた。
あの温かい。
温もりに。
連れて行ってくれた。
それで。
それに応えないと。
私が廃る。
凛の隣にいる価値もなくなっちゃうくらい。
凛と釣り合わないくらい。
また。
凛だけが先に行っちゃう。
1人で。
私も追いつかないと。
凛は10年前に。
私の手を引いてくれた。
10年後の私が。
まだ凛の手を引けないの?
「もう、俺が引っ張らなくてもいけるだろ?」
愛しい声。
ねえ、凛。
今なら。
少しは追いついたかな。
何時だって。
傍にいて。
今だって。
気付けばそこにいた。
今も昔も。
変わらない。
私の大好きな。
凛の隣に。
「…聞いてたんですね」
すっ、と手が差し出される。
大きくて。
ずっと欲しかった。
凛の温かい手。
私を引っ張り、勇気づけ、守ってくれる。
「ついてきてほしい。あの馬鹿親を連れ戻すのにさ。」
「…はい」
穏やかな気分だ。
自然に顔がほころぶ。
不思議だね。
どんなときだって。
凛は私を笑わせる力をもっている。
凛の手をとり、店を飛び出す。
まだ雨は降っている。
けど。
そんな冷たい雨の中でも。
凛の手は温かい。
そっと静かに指をからませた。
もう。
1人じゃなくなるんだ。
- Re: 秘密 ( No.433 )
- 日時: 2014/12/11 22:58
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
あの子…万里花、と言ったな。
強い子だ。
彼女は自分の身の上話を軽く打ち明けた。
遺伝によって受け継がれる呪い。
誰かの娘。
誰かの息子。
そんなことで。
生まれた時から差が出来ている。
・・・白雪凛が大好きです!・・・
強い子だ。
白雪、といった。
凛ちゃんの今の名字は雪白。
私の息子だと。
それを提示しようとしていたのだろうか。
分からない。
もうこの町には来ない。
最後の最後に。
凛ちゃんに精一杯嫌われて。
それを礎に凛ちゃんが強くなればいい。
一緒に暮らそう。
そんな夢。
叶う訳ないって。
知ってた。
でも。
ほんの1%の可能性でも。
凛が笑顔を向けてくれたなら。
凛が頷いたら。
そんな甘い夢を。
今だ捨てられない。
そんな凛ちゃんにも大事な子が出来た。
母に逆らってまで守りたい。
私にとってのあの人の様な。
温かくて。
優しくて。
いい子。
私にわざわざ連絡を入れて。
頭を下げるなんて、予想外だった。
出来過ぎている。
それにあの子の昔話は少し気になる点がある。
でも。
似た傷をもつからこそ。
あの子の傍にいれるのかな。
支え合えるのかな。
最後の最後に顔が見れて嬉しかった。
ちゃんと大きくなって。
万里花ちゃんとも上手くやってて。
ほっと胸をなでおろせた。
気になることを。
気にしていたことを。
杞憂だと。
分かったから。
さよなら、凛ちゃん
愛しい
あの人と私の子
- Re: 秘密 ( No.434 )
- 日時: 2014/12/13 18:23
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・84章 不器用親子・〜
「話してどうするんですか?」
歩きが。
早歩きに。
早歩きが。
走りに。
それでも手はまだ繋いだまま。
昔から。
手を繋げば。
皆伝わる。
痛みも。
苦しみも。
恐れも。
緊張も。
愛しさも。
その時感じた気持ち。
「分かんない!わかんねぇよ!!」
口調が。
変わった。
でも。
溌剌とした。
表情だ。
年相応の。
男の子の様な口調。
走って息は乱れている。
それなのに。
楽しそうに笑っている。
「よく分かんねーけど!今ならなんだってできる気分だよ!!」
その笑顔は。
何時もの様な控え目な笑みでも。
少し捻くれた笑みでも。
感情が消えた冷たい笑みでも。
どの笑みとも違う。
屈託のない。
晴れ晴れとした笑顔だった。
どうしてそんな顔が出来るのか。
完璧には理解できない。
本人にだって分からないのかもしれない。
でも。
繋いだ凛の手からは。
温かい温もりと一緒に。
温かい気持ちが流れ込んできた。
そんな気がした。
不思議だよ。
凛が笑うと。
私も温かい気持ちになるの。
- Re: 秘密 ( No.435 )
- 日時: 2014/12/13 18:45
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
もう少しで駅だ。
それでここから遠い町へと旅立つ。
もう2度とここへは来ない。
その決意を胸に。
ここに来た。
はなから凛と暮らせるとも。
やり直せるとも。
思ってはいない。
最後の最後に。
私の生きた証を。
見て行きたかった。
凛ちゃんがいたから。
頑張れた。
何時かあの子と一緒に暮らすことを夢見て。
仕事に励み。
会いたい気持ちを抑え込んで。
必死に生きてきた。
私には出来なかった。
友も。
伴侶も。
全ては凛ちゃんが叶えてくれた。
思っていた以上にいい子だった。
こんな母のもとに生まれなければ。
幸せになれたはずなのに。
私の子にしてはいい子過ぎた。
凛ちゃんがもっと悪い子だったら。
あとくされもなく生きて行けたのに。
からりっ、と引いていたトランクが止まる。
私の足も。
止まっていた。
嫌。
たとえどんな子であろうと。
私はきっと凛ちゃんを愛していただろう。
理由もなく。
馬鹿みたいに。
抱きしめて。
生まれ何て関係ない。
育ちなんて関係ない。
1人の母として。
私は凛ちゃんを想う。
どれだけ悪い子でも。
私は凛ちゃんを憎めない。
悪いのは何時だって私だ。
この道を選んだ私だ。
「母さん!!」
はっ、と振り返る。
押さえていた気持ち。
どれだけの拒絶をされても。
体が。
勝手に。
あの子の声に。
反応する。
そんな資格は。
もう何処にもないのに。
私の罪だ。
私が。
凛ちゃんを拒絶することで。
凛ちゃんを守っていたつもりだった。
ひたむきに遠ざけ。
最後の最後でも。
わざと凛ちゃんを傷つける真似をした。
ああ…
やっぱり私は。
馬鹿だ。
何処までいっても。
間違えてばっかりだ。
「凛ちゃん!!」
振り返って。
凛ちゃんを目の前にして。
言葉が出なくて。
目頭が熱くて。
「…ごめん…なさ…い…」
みっともなく。
泣いてしまった。
- Re: 秘密 ( No.436 )
- 日時: 2014/12/13 19:57
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
自分の存在は母に疎まれていた。
そう信じてやまなかった。
けれど。
実際。
こんなにも。
大事に思われていた
捨てられた、と。
泣いた夜があった。
「あなたを1人にして…ごめんなさい…ごめんな…さい…許されないって…分かってる…でも…」
けれど。
そうじゃない。
そう分かっただけで。
気持ちがずっと楽だ。
「母さん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それは。
凛が私を呼んだ声だった。
あの人そっくりの笑顔で。
私を。
母、と…
視界がぼやけた。
いつからか涙が零れていた。
「俺はもう弱くない。万里花だって母さんだって。全部抱きしめて歩いていけるよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
過去のトラウマも。
昔の母さんも。
昔の万里花も。
今の万里花も。
今の母さんも。
全部抱きしめられる。
全部愛おしく思える。
全部を抱えて歩くことだって。
出来るよ。
もう。
怖くなんてない。
母さんを思い出して。
指が震えることも。
息苦しくなることも。
「…凛…ちゃん…!」
小さな手で。
しわくちゃになった手で。
小さく背伸びをして抱きしめられた。
ふわりっ、と懐かしい匂いがした。
ホロッと涙が。
零れた。
駄目だ。
絶対に泣かないって決めたのに。
もう。
泣かないって。
幼いあの日に決めたのに。
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