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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.627 )
- 日時: 2016/10/31 22:32
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「こよみ」
書類を読んでいると、軽いノックの音が3回響いた。
「…母上」
もっと砕けた呼び方で構わない、と艶やかに笑ってこちらに歩んできた。
見た目は、生き写しの様にそっくりだ。
けれど母には私とは別種の聡明さと、大人っぽい艶やかな雰囲気がある。
母の周りに流れる時間は酷く穏やかそうで、静かだった。
私は急いて、迷って、行き詰まってばかりいるのに。
そう言った所に母の方が長く生きているのだと、感じさせるモノが存在する。
「…なんて呼べばいいのか、分かりません」
「好きに呼べばいいよ。親子なんだし。」
あれだけずっと想っていたのに。
会ってみるととても呆気なくて、感動の涙も出なかった。
私の存在が母の人生を狂わせたことに、あれだけ苦しんで泣いたのに。
そういえば…
圭と初めて初めてキスをした時…母のことで泣いていた気がするな。
「最近…良く思うんですよ。」
アニエスで生まれてから、色々酷い目にも合った。
幸せなことだってあった。
「些細な思い違いや、偶然が重なって…人は不幸になる。
ただの純粋な悪意なんてなくて…通り雨みたいに突然、不条理な目に合うことがある。
そうやって、救いがない道を歩くこともある。」
「そうね。」
窓の外に目をやりながら、ひとり言のように呟く。
「苦しまないと出せない答えだってあると思うんだ。
私はもう幸せに出逢ってしまったけれど…幸せになる前に、やらないといけないこともあるんだよ」
「そうかもしれない。別に逃げても、責められはしないだろうけど。」
きっと母は、分かって後の言葉を付け加えたのだろう。
傍にいる時間は少なくても、なんとなく分かった。
「それもそうなんだけどさ…きっと、幸せを掴むために必要なことなんだと思うんだ。
2人のままでいたら、どの道駄目になってしまうと思うんだ。私も…相手も…」
「そうね。」
「互いの存在感に安心を覚えて、そこで止まってしまう。
でも、今の私達には傍に居ながら成長する術を持ち合わせていないと思うんだ。
傍にいるだけで、それだけで良いとそこで止まってしまう。それほどに脆くて、弱いんだ。」
それはきっと、圭と私の偏った生い立ちも関係あると思う。
傷付いた過去があるから、それ故におかしいくらいの依存をしている。
傍にいればいい、お互いを守れればそれでいい。
それでいい、ばっかりだ。
「もっと…互いに広い世界を見て…依存ではなく、恋愛をしたいの。
色んな人を見て、その上で私を選んでほしいの。
アニエスのことを片づけたら…そうやって真っ白になってから、選びたいの。
多分、そんな思いも…どこかにあったと思う。」
そうでないと、色んな色に塗りつぶされて。
自分と言う意思が分からなくなる。
私が好きになってほしい私は、アニエスと言う殻に閉じこもっている私じゃない。
同様に、私は依存し合う圭を好きじゃない。
このままだと今の場所に甘え、彼は自立しなくなる。
「つき離さなくても私はアニエスに残るから、自然と距離は出来るだろうけどね。
会いに来たら、意味が無くなっちゃうし。
その時に圭も涼風でただ私の帰りを待っている様だと駄目だから。」
私には、時間がない。
アニエスのことを片づけるのだって、数年なんてものじゃ済まないだろう。
たくさん、待たせると思う。
けど、今は私が圭の逃げ場になって未来を封じている。
甘えてしまって、辛いことが合っても逃げてしまう。
この先、一人で泣く夜もあるだろう。
でもそんな日が私達を強くしてくれる。
だから、逃げちゃダメだ。
「圭に、ちゃんとそのことを伝えないといけないのに。」
きっと会ったら、迷ってしまうから。
彼が今のままで傍にいてくれたら、それで良いんじゃないかって。
そう思ってしまうから。
けど、未来は何があるか分からない。
1人で歩ける様な力を、いい加減付けるべきなんだ。
それに、たがいに寄り掛かったままだと。
私も、彼も。
前に進めない。
だから、ここらへんでもう。
私達は別々の道を歩いた方が良いと思った。
- Re: 秘密 ( No.628 )
- 日時: 2016/11/02 18:08
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・132章 忘れられない過去と、忘れてしまった思い出・〜
「若いって良いわね。」
「…私はそうは思いません。」
「何もせず蹲って時間が経つのを待っていても味気なく、つまらないわ。
愚かであろうと間違っていようと、自分が生きた証なら少しは愛おしく想えるものよ。
若い頃はなんでもできるし、迷うことも間違えることもとても大事なことよ。」
母の言ってることは、正論かもしれない。
けど。
「私は昔のことなど、思い出したくありません。」
圭と出会う前のことなど、思い出したくない。
絶対に。
あれほど無知で、愚かで、間違ってばかりの、最低なこと。
「私もそうだった。丁度今のあなたくらいの年よ。あなたを身籠ったのは。」
それは…知っている。
母の見た目は30代にしては若々しいが、纏う雰囲気はそれ以上だ。
母にとっての悪夢の始まりは、今の私と同じ頃。
「過去から逃げても、絶対に逃げられないわ。だってそれは今の私を作っている物だもの。」
違う。
違う、違う。
血だまりの中で、無機質に立っている。
そんなの、私じゃない!
「私の始まりは、圭と出会った時からですっ!その前の私は人ではありません!」
私の人生は圭と出会う高校まで…私は昔あった優しいケイのことを想ってきた。
覚えていない、エリスから聞いたことのある少年。
会った時、すぐに圭だって分かった。
圭を好きになってから…私の全ては始まった。
圭に会う前のこと、全部忘れたかった。
自分のしたことの重みが、圭といるほど辛いものへと変わっていく。
なのに…絶対に私は絶対に忘れられない。
完全記憶能力なんて、こんなときばかり私を苦しめる。
「…違わない。人でなくても、それはあなたよ。」
同じ顔をしていることが、余計に苛立ちを助長させていく。
鏡に映っているみたいで。
未来の自分に、諭されているみたい。
「私はテオドールのことも、あなたのことも。憎くて、疎ましくて。
忘れようと仕事に打ち込んだり、娘のことを気にしたり、迷ってばかりだった。」
母の、見つめている視線に映っているのは。
どのような過去なのだろう。
私が知らない様な苦しみも、辱めも、痛みも。
たくさんあっただろう。
「疎ましく思ったり、苦々しく思ったこともたくさんあった。
苦しんで、布団をかきむしって眠れない日も何日も…何年もあった。」
それでも、母は娘と父を想って。
ここまで歩いてきた。
「それでも私は戻ることはできなかった。触れることはできなかった。」
父が、母を遠ざけたからだ。
私が生まれて、用無しになったから。
…もしかすると父は、母の全てを見とおすような聡明さを恐れていたのかもしれない。
自分の本質を見透かされることを。
そうして理解されることを、恐れていたのかもしれない。
その恐れや怯えから、母を遠ざけたのかもしれない。
不思議と、そんな気がした。
「あれだけ憎かったものが、今では何より愛おしい。」
母の中でくすぶっていた憎しみは。
彼の本質を知り、愛しさに変わった。
変わった…とは少し違うかもしれない。
母の中には、まだ父を憎む気持ちもあるのだから。
憎しみと愛は似ている、とどこかで聞いたことがある。
そう考えると憎しみから生まれる愛だって、べつにおかしくはないのかもしれない。
憎んでいるから、愛することが出来て。
愛しているから、憎むことが出来るのかもしれない。
「彼のしたことは許せない。今でも、憎んでもいる。私の人生を台無しにしたんだから。」
それでも、と誇らしげに笑って見せた。
そっと頬に手を寄せ、優しく撫でた。
「こんな娘を得られたのなら、きっと私は幸せ者ね。」
- Re: 秘密 ( No.629 )
- 日時: 2016/11/03 13:17
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「あなたはまだ、手の届く所にいる。
私は彼の死期が迫るまで、触れることはできなかった。けれど、あなたは違う。」
私は…そんなに綺麗で潤な娘ではない。
圭にずっと嘘をついて、騙して、捨てようとしている。
アニエスのことだって…今の今まで目を逸らして逃げてきた。
「せめて残された時間は、彼と過ごしたいの。」
母の手は、借りれない。
母は今は何よりも、父の温もりを必要としている。
この先逃したら…母は一生父の傍にいられなくなる。
そんな大事な時期、私は母の邪魔をしてはいけない。
「痛みばかりの彼の人生、最後の最後くらい…幸せになってほしい。
幸せが彼にとって痛みにしかならないとしても、この我が儘だけはつき通すよ」
母は…父を愛しているのだな。
私を見つめる瞳にも、父の面影を探している。
私を救おうとしてくれたのも。
父を愛した証を、守ろうとしたのだ。
歪んで、憎しみに満ち溢れていても…それでも狂おしいほどに、愛している。
私にはそんな気持ちは分からない。
私の圭への気持ちは、幼い子供みたいに未熟だ。
母の様に達観していなければ、きっと覚悟だってない。
圭のことは大事で、愛おしくて、傍にいたいと願っている。
…でも、それは傍にいられたら幸せだろうなと思っているだけで。
夢の様に現実味を帯びていない、ただ理想に過ぎない。
理想を現実に近付けるのも大事だと思うけど。
やっぱり、現実も見ないといけないと思うんだ。
私は命がけで生きなければならなかったけど。
圭はそうじゃない。
もっと広くて自由に、生きていて欲しいの。
- Re: 秘密 ( No.630 )
- 日時: 2016/11/03 14:07
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私は…圭に隠していることがあります。
私は圭が好きな…私でいることに、私は…耐えられません…っ!」
私は圭に会ってから、初めて人間になれた。
幼い頃、圭と会ったことは正直あまり覚えていない。
けれど、エリスからずっと話を聞いていて。
そんなに優しい人に出逢えたら、変われるんじゃないかって思っていた。
一度は、私を変えてくれたのだから。
その頃は、色々な家にたらい回しにされていて。
毎日が苦痛で堪らなかった。
母にも愛されていないと信じ切っていて。
強くあり続けるしかなかったから。
だから、たまにエリスと会う機会があれば。
何時も彼らの話を聞いていた。
そんなに安らぐことが出来る場所が、私にあったなんて信じられなくて。
でもそんなことがあったら、どんなに素敵だろうと思って。
まるで別世界の様で信じられなかったけれど。
痛みも責任も、立場も何もかもないような。
そんな場所が出来たら、どんな気持ちだろうとよく想像していた。
何度も基地に足を運びながら、彼らに会う日を楽しみにしていた。
基地の中にある楽譜を読んで、素敵な歌だと思いながら歌うのが日課だった。
それが、覚えてはいない彼らにつながっていられる気がして。
高校になっても、その日課を続けていた。
そこで、マリーに会った。
覚えてはいないけれど、エリスの話す特徴そっくりの3人。
直ぐに分かって、涙が零れた。
ガラにもなく人を抱きしめた。
- Re: 秘密 ( No.631 )
- 日時: 2016/11/03 19:00
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
彼らは初め、私と距離をとっていたけれど。
昔私を変えてくれたように、また私を変えてくれるのではないかと。
そう言う思いが私を突き動かし、彼らは私の元に留まってくれた。
エリスの言っていたことは本当なんだって、身に沁みるほど実感した。
彼らはあまりにも私に優しくて。
私の中に変化をもたらしてくれた。
私は彼らのことを覚えていないことを、気付かれない様に尽力した。
もっともそんなことは無理な話なので、彼らは薄々気付いていたらしいけれど。
彼らはそれでも自分たちのせいで私の記憶が欠落したと、気にしていたけれど。
それからたくさんのことが合った。
アニエスにだって何度も連れ戻されたし、アニエスからも何人も来た。
想いを伝えて、伝えられたりもしたし。
彼らの家族に会って、たくさんの愛の形を見て。
彼の手を取ったり、離したり、迷ってばかりだった。
けれど…どんな時も身につけていたイヤリングを彼に返した時。
私は彼を切り捨てたのだ。
彼の根本にある私への想いは、幼い子供の頃の気持ち。
私は覚えてなんかいないんだよ。
私はずっと彼らを騙してきた。
好きとか言われても…もう、喜べない。
「馬鹿だなぁ…」
馬鹿なのは彼だろうか。
それとも…
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