コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.512 )
- 日時: 2015/04/15 19:12
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・103章 静かな帰省・〜
その夜、アリスは荷物を片づけて空港に向かった。
誰も気付かなかった。
圭すらも。
ひっそりと姿を消す。
寿命が尽きる前の猫の様に。
それが、もしかするとアリスの本質なのかもしれない。
- Re: 秘密 ( No.513 )
- 日時: 2015/04/18 15:23
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アリスに言われて、なにも返せなかった。
彼女の言っている言葉の意味が分からなかった。
彼女がくれた強さだ。
彼女と出会って、支えてもらって。
そうして得た強さだった。
1人だった。
ずっと1人だった。
そこに、温もりを与えてくれたのはアリスだった。
彼女の手もひどく冷たかった。
けれど、繋いでいれば冷たかったはずの手には温もりが生まれた。
家に帰ってからもずっと考えていた。
明日、なんて言おう。
惚れさせる、なんて自惚れにも程がある。
結局、彼女のことを見ていなかったのか?
彼女の何を知っている。
一度だって助けたこともなかった。
いなくなっても、必死に探しまわるだけ。
実際に彼女を想っているのなら、もっと他に出来ることが合ったはず。
彼女の為に何かできていただろうか?
彼女を想う気持ちは嘘だったのか?
優しさ以外の自分。
そんなことを言われても分からなかった。
彼女は変わった。
そして変えたのは恐らく自分。
彼女が何を想っているか、全然分からなかった。
優しさ以外の気持ちを、どうやって見せたらいいのか。
そもそもそんな気持ちが、自分に存在するのか。
分からなくなった。
空っぽだ。
何もない。
彼女のことは、エリスから聞いた。
記憶を消すかも、と言った辺りまで。
笑って過ごした。
それが彼女の望みだと思って。
でも、その判断は正しかったか?
明日、ちゃんと話をしよう。
お互いのこと、話せるように。
でも、彼女との明日は来なかった。
その夜、アリスは再びアニエスへと舞い戻っていたから。
そのことを知らずにただ、浮かぬ顔で天井を仰いでいた。
答えもずっと、出ないまま。
- Re: 秘密 ( No.514 )
- 日時: 2015/06/17 21:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
父が国王に即位したのは随分前だった。
私は王女、とでも言った立ち位置になるのだろうか?
そんなくだらないことを頭の片隅に思い浮かべた。
「テオドールが、そろそろなんだよね。」
そろそろ、その言葉の意味を私は理解している。
隣に並んで歩いているのは、エリスだ。
賑やかな市場では、見たことのない食べ物や飲み物で溢れている。
祭でもあるかのように賑やかで、温かい。
こうやってアニエスの市場を出歩くのは、初めてかもしれない。
「そろそろ後継者が必要なんだ。普通に考えればアレクシスだ。」
でも、それなら私は呼ばれない。
後継者選びの今、外には見張りが付けば出歩ける。
父は常にアレクシスを隣に置いて私を操っていた。
けれど、私が日本に留まれるのは父の手腕が合ってだ。
アレクシスはまだ若い。
良心も常識も携えられているアレクシス。
私はアニエスにいた方が良いだろう。
アレクシスが温情をかけない様に。
それだけで、済めばいいのだが…
クシャッと小さな音が聞こえてきた。
ポケットの中にはクシャクシャになった封筒がある。
味気ない、茶封筒。
私の家に投函されていた。
アニエスに飛び立つ前に、既に目は通してある。
内容は、実に簡潔だった。
ポケットの中で、手紙握りしめる。
差出人は、大体誰か分かる。
手紙なんて遠回しな、そんな方法で私に連絡を取った。
顔くらい、見せてくれたっていいのに。
そんな簡単なことではないけど。
私は一世一代の賭けに出る。
- Re: 秘密 ( No.515 )
- 日時: 2015/04/18 17:54
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「それにしても、アリス=エイベルって子のこと。
情けない限りだけど、私はあんまり知らないんだ。エリスは知ってる?」
「ああ、そっか。そっちのアリス、もうそっちに行ったんだっけ?」
どこか楽しそうに笑った。
くすくすと笑うエリスの笑みは、面白くてたまらないといった様子だ。
「あの子は、アリス。第二のアリス、とでも言うのかな。」
「想像はつく。父の性格を、良くも悪くも私は知っているからな。」
生まれてからずっと、父の指示を聞いてきた。
父が私に教育を施した。
小さな揚げまんじゅうを口に放り込む。
うん、美味しい。
それによって、私は少なからず、父の傾向を掴んでいる。
そういう考え方をするように指導したのは。
父自身だ。
「あの子も、完全記憶能力を保有してるんだよ。」
- Re: 秘密 ( No.516 )
- 日時: 2015/04/24 17:36
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・104章 代わりなんていらない・〜
アリス=エイベルと言った少女の一生。
最初は、闇。
彼女は自分の名前を知らなかった。
母は生まれてすぐに自害した。
己の腹から呪い子が生まれたと、嘆いて。
少女は何も知らなかった。
ただ、周りから忌み嫌われていたことは分かっていた。
負の感情を背負って生まれたことを、知っていた。
小さな集落に生まれた彼女に。
1人だけ付き添い、世話を焼く人がいた。
その人は少女と同じ能力を持っていたらしい。
名もなく、外に出ることもままならない。
けれど、その人は傍にいてくれた。
優しく、厳しく人だった。
でも、少女が4歳の時。
命を落とした。
そこから、彼女は路頭にさまよった。
今度こそ、誰も味方がいない。
のたれ死ぬのも、時間も問題だった。
ある日、村で騒ぎが合った。
どこかの高貴な人が来ているらしい。
少女には心底どうでもよかった。
高そうなコートをまとった男は少女に向かって言った。
深々と降り積もる雪の中。
差し伸べられた手は酷く骨ばっていた。
「お前はアリスだ。」
そう言ってくれたのが、テオドール・ロスコー
アニエスの、その時はまだ王には即位していなかったが権力者だった。
好きなだけ本を読ませてやる。
温かい居場所を与えてやる。
男はそう告げた。
手を取る気はなかった。
誰であろうと、憎まれいなくなることを分かっていた。
その時には、少女は自分の持つ能力について薄々気付いていた。
大事だったあの人がいなくなった瞬間を。
些細な、どうでもいい様なことも。
ずっと覚えている。
昨日のことの様に思いだせる。
5歳になるかならないかの少女が生き残ったのも、彼女のなせる技。
彼女は生きるための知恵を、ひそかに身につけていた。
瞬時に覚え、それを留め、利用する。
どんなことも忘れられないし、頭も必要以上に切れてしまう。
化け物と罵られた。
「私の前では、力を隠さなくていい」
手を掴むか迷った。
この男は私のことを知っている。
私の力を利用としている…?
直ぐにそんな考えが頭をよぎった。
「一緒に行こう」
感情のない様な、痩せ細った男。
その言葉が。
きっかけだった。
利用する?
それでもいい。
この男の手を掴もうと伸ばした手が。
止まらなかった。
手を掴むことを、誰も止めなかった。
清々した、といわんばかりに村人は彼女を見送りさえしなかった。
良いんだ。
彼らは私には。
必要のない存在なんだ。
それから、ずっとテオドールの下についていた。
アリスと言う、名前を授けられた。
初めての、名前だった。
初めは、本に囲まれた。
ひたすら知識を詰め込んで、時間を潰した。
やがては剣術、弓、武術を習得し始めた。
様々な表情を使い分け、人を騙す。
なにより、その才に彼女は秀でていた。
忌み嫌われていたからかもしれない。
人の本心を見抜き、それに合わせて色んな表情を浮かべた。
自分の持つ能力の恐ろしさを、彼女は何も知らなかった。
体を鍛え、知識を身につけ、それを存分に行使する機会を待った。
初めての任務は9歳の時だった。
そこで彼女は、己が能力を存分に振るった。
誰もが目を見張った。
まだ二桁にも行かない少女が、いとも容易く人を殺めた。
それも、楽しそうに。
知識を、技術を、使って人を殺めるのが。
楽しくて仕方ない、と言わんばかりに彼女は笑った。
それを決定づける様に。
彼女は小さく呟いた。
「愉しかった」
闇の中で生まれた少女は。
いまだ、闇の中に生きている。
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