コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.185 )
- 日時: 2014/11/15 17:18
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
不思議。
何時もなら気にならない視線も少し気になる。
マリーが圭を見ることも、アリスがリンを見ることも。
嫉妬とは不思議なものだ。
持ってきたパーカーに着替えてカレーを作る。
「野菜は…じゃがいも3つに人参1本…玉ねぎ3玉…ですか?」
ルーの裏を見ながら材料を読み上げる。
「玉ねぎは1玉で十分。」
玉ねぎを切り刻みながら目がシパシパする。
涙が溢れそうになる。
圭が遠くで薪を入れているのを確認すると、小さな声で何気ない様にマリーに話す。
「私…気付いたよ…名前呼んでもらって…」
思い出す。
あの時こよみって呼ばれた時感じたあの動悸。
「私…圭に…恋をしたんだ。」
相変わらず玉ねぎに苦戦しながら、さりげなく言ってみたが何気に恥ずかしい。
「そう…ですか…まぁ確かにケイは良い人ですもの!良いと思いますよ…」
声が落ち込んでた気がしたが、マリーの顔が見えない。
それはリンを思ってなのか…それとも…
なんて、バカなことを考えたものだ。
マリーが圭のこと好きかもなんて。
馬鹿らしくて、思わず笑った。
「?」
不思議そうな顔をするマリーに向かって、笑いながら答えた。
「ううん…なんでもない。」
私は初恋なんて信じない。
初恋の人が運命の人といのはなんて、不確かなものなのだろう。
ファーストキスが運命の人なんて限らない。
そう言ったところで私は少女漫画が嫌いだ。
まるで決まっている様に、主人公とヒロインはくっつく。
そんな簡単に想いが通じるなら…どれほど良かったか。
でも現実は上手く行くことの方が、少ないことを私は知っている。
「私、どこまでも圭が大好きなんだなって思っただけ。…それって自惚れすぎかな。」
マリーは優しく微笑んだ。
「恋って言うのは、儚くてずるくて自分勝手で…それでいて自分変えるチャンスでもあるんですよ。」
確かにそうかもね、と思うとまるで見計らったようにカレーが出来た。
当たり前のようにカレーは美味しくて、渓流下りはお開きとなった。
その夜は何事もなく終わり、お泊まり会は終わった。
- Re: 秘密 ( No.186 )
- 日時: 2016/05/10 20:43
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・25章 夏休みその2・〜
「っで…どうして渓流下りをしてすぐ海でお泊まり?」
渓流下りは泊りでカレーを食べた後も予定通りマリーの別荘で時間を潰した。
とても広い別荘だった。
リンが小さいと言ったことや他の別荘は父が使っていて…と言った2人の台詞に驚いた。
2人ともどうやらお金持ちらしい。
「それは使いの人を何回も呼ぶよりもそのまま行った方がよろしいでしょう?」
「驚いたな、お前に人を気遣う心があるとは。」
リンがふざけ半分で言った。
「失礼な。」
と言いながら頬を桃色に染めていた。
どうやら使用人は車で寝泊まりしているらしい。
そう思うと少し気の毒だ。
「着いたよ。」
そこに圭の声が重なる。
いつもと変わらない光景。
車の窓から綺麗な海が見えていた。
「わぁ!!」
思わず歓声が漏れる。
「アリス、子供っぽい「ですわ」」
マリーとリンの声が重なる。
あっ…と声を挙げると俯いた。
やっぱり傍から見てもお似合いだ。
2人ともおしとやかな雰囲気を持って…物静かで秀才という感じがする。
実際頭は良いのだが…
早く告白すればいいのに…と思わなくもないがそう簡単なものでもないのだろう。
断られたらもう一生姿を見ることも叶わない。
恥ずかしくて自分のことを嫌になりそうだ。
圭と置き換えるとかなり恥ずかしい。
想いを告げずに終えるつもりはない。
今は出来る限りの努力をして距離を縮めてからだ。
今のままでは断られるのは目に見えている。
恋は初めてだし良く分からない。
「今日はちゃんと泳いでくださいね、アリス。せっかく水着を買ったのに着ないなんてもったいないですわ。」
「「水着!?」」
「わ、分かってる…」
キッと男子陣を睨む。
今更言えない…泳げないなんて…
車を降りると女子は別荘、男子は車の中で着替えた。
「お待たせ…」
大きなパーカーを着た。
いつも愛用していて少しだぶだぶなのが丁度いい。
「ほらほら!!」
マリーにせかされ仕方なく脱ぐが恥ずかしくてすぐパーカーを着た。
水色と白のボーダーと言うシンプルなデザインだ。
だがお腹を出すのは恥ずかし過ぎる。
「見るな…!」
と思わず反射的に叫んでしまった。
マリーはなだめるように、リンはやれやれと言った様に、そして圭は…
「なに!?」
「い、いや…似合ってるな…と…」
顔を赤くしながらパクパクと何も言えず口を動かすとやがて唇をかみそっぽを向いてその場を離れた。
パラソルが置いてある私達の本拠地に腰を下ろす。
とても嬉しかった。
手を頬や口に当て顔を覆い隠そうとする。
どうしてかこう言うところでは顔を覆い隠したくなる。
きっと私は今顔が真っ赤なのだろう。
でも何故か顔がにやけてる気がするのはきっと苦笑い以外の何もないのだろう。
でもとっても心地いい熱。
水着を買って良かった、と思いながら嫌々何を言っているのだろうと頭をブンブン振った。
これが恋なんだな…
面倒だけど…この熱が、この気持ちがとっても気持ちいい。
ずっと感じていたいって思う。
「あ〜あ…」
ブルーシートの上に横になる。
「恋って…大変なことしちゃったな。」
でも楽しい。
こんな気持ち、自分の中にあったのかって思う。
沢山の自分の知らない気持ち、そう言ったものに出会えるのがなんだか楽しい。
ふふ、と小さく笑う。
こうやって葛藤したり、恥ずかしくなったり、自己嫌悪したりもするけど。
ほっとするような気持ちになる。
これ以上ないくらい安心する。
私が求めていた。
皆と再会するのが夢だった。
でも今は…ずっと圭の隣にいたい。
皆と一緒にいたいという夢と同じくらい大事な夢。
ずっと求めている。
安心を。
誰かに愛されようなんて思ったことはなかった。
だってそのための努力など何の価値もないから。
他人に好かれることに価値など無いから。
でも…皆に必要にされて好かれると私はそんなこと忘れてしまう。
安心する。
それがこんなにも有り難くて温かいものだと圭に恋するまで知り得なかった。
「なんだ、結構楽しいじゃない。」
宙に伸ばした手で空を掴みながらぼんやりと呟いた。
- Re: 秘密 ( No.187 )
- 日時: 2013/12/27 11:53
- 名前: 雪 (ID: iAb5StCI)
「アリス。」
目を閉じて気持ちよく眠りかけていると圭の声が振りかかった。
「わっ!?」
今一番会いたくない相手だったし、急に声をかけられたので驚いた。
「向こうに海の家があるけど行く?」
「驚かすなよ。心臓に悪い。」
「悪い。それで行く?」
「行く。」
どうせ泳がないので退屈していた。
海の家まで行くと貝や貝を使った飾りが置いてあった。
貝のネックレスを1つと焼きそばとかき氷を買うと焼きそばをもった圭が待っていた。
「待たせたな。」
ふと目に留まったのは貝の腕輪。
圭がつけていた。
「綺麗…」
先程は気付かなかったがそんな腕輪もあったのか。
ブルーシートにつくと圭が腕輪を外した。
「これ、あげる。」
「へっ?ベ、別にいらない!!」
でもそんなことお構いなしに差し出してきた。
渋々受け取る。
腕にはめると満足したように笑う。
「ありがと、圭。」
ネックレスを外して圭に渡す。
「これあげる。貰っといて渡さないのは心地悪いから。」
圭は笑いながら受け取った。
「ありがと、アリス。」
カァッと顔が赤くなった気がする。
「べ、別に!借りは作りぱなっしにするのが性に合わないだけ。」
また宝物が増えた…
圭との思い出。
圭から貰ったイヤリング。
圭と交換した腕輪。
「…一生の宝物だよ。」
そう言ってギュッと腕輪を抱きしめた。
- Re: 秘密 ( No.188 )
- 日時: 2013/12/30 13:44
- 名前: 雪 (ID: 9RGzBqtH)
ブルーシートの上でのびのびと焼きそばを食べ、かき氷も残りそろそろというところまで食べたところマリーにお誘いの声がかかった。
「アリス、一緒に泳ぎませんか?」
「やだ。」
即答する。
「塩水を浴びるあの感じ、好きじゃないんだ。」
「では、潮干狩りだけでも。それなら濡れませんし、パーカーを脱ぐ必要もありませんわ。」
やはりマリーだ。
ちゃんと問題点を見抜いている。
塩水を浴びるのも嫌いだがパーカーを脱ぐほうがもっと嫌だった。
「…それなら…行く。」
渋々立ち上がり、サンダルをはき海辺へ歩く。
「ここら辺がアサリがとれる絶好スポットなんですよ。」
圭から貰ったイヤリングを外してパーカーのポケットに仕舞う。
波打ち際を砂を軽く熊手でかきながら砂を柔らかくするつもりで移動。
しばらくして波がきたら、砂より軽いアサリが浮いてくるので、大きいのだけを拾って歩く。
アサリの取り方は心得ている。
時々お腹がすいた時海が近い家に引き取られた時はよくご飯を抜かれたのでその関係で無理やりだが覚えた。
おかげで多少の断食は出来るので少しは感謝している。
「取れたらこのバケツに。」
「はーい。」
軽く返事をするとマリーはそのまま海に入っていった。
海…か…
それからアサリがバケツ一杯分取れた。
「あ〜あ…つまんない…」
もうすっかり馴染んで違和感がない。
でも今でも少し怖い。
また皆が突然いなくなるかもって。
そんなことを考えても仕方ないことは知っているが何度も思い返してしまい、すごく怖くなる。
「もう…あがろ。」
バケツを持ち上げ、イヤリングを探す。
「…あれ?」
イヤリングが片方足りない。
多分しゃがんでアサリをとっている間に落ちて波に…
ドクンッと心臓が跳ねる。
慌ててパーカーを脱ぎ捨て海に飛び込み手探りで探す。
とても小さいイヤリングだ。
もう遠くに流されているかも…
でも…圭から貰った大事なイヤリング…!!
海水が目に入る。
「———————っ!!」
涙が少しだけ流れる。
泣いてなんていられない。
探さなきゃ…
「—————————————っ!!!」
足がつった。
頑張って踏ん張るが気付かぬ間に足の届かないところまで来ていたようだ。
「あっ…」
ドボンッと体が海に沈む。
いつもなら大人しくして浮かぶのを待つところだ。
だが今は動揺しまくっていた。
バタバタ暴れるほど沈んでいく。
「————っ」
声もあげられず沈んでいく。
- Re: 秘密 ( No.189 )
- 日時: 2013/12/31 10:51
- 名前: 雪 (ID: BnjQrs2U)
息が…出来ない…
気付くといつの間にか足掻く手の動きものんびりとしてきている。
少しずつ浮かんでくる。
段々はっきりする頭。
ああ…大人しくしていなければいけないのだっけ。
その時海の底で光るものを見た。
あっ、と声に出したつもりだが声の代わりに泡が吐き出される。
浮かびかけた体を海の底に向ける。
泳ぎは実はあまり得意ではない。
だがあのイヤリングだけは手放せない。
手を伸ばす。
だが憎らしいことに手が届かない。
あと…少し…
後5㎝…4㎝…
息が…!
後…少し…!!
ガバッと水をかく音が辺り一面に響く。
「ゲホッゲホッ…!!」
酸素を求めていた体が酸素を得て息を精一杯する。
気付かぬ間に結構潜っていたようだ。
息が荒い。
「2日で2度もおぼれるなんて君、天才。」
その声は誰よりも1番に聞きたくて…
今までもこれからも求め続ける声。
「別におぼれてたわけじゃないよ、圭。」
見上げると私を軽々と持ち上げる圭の姿。
凄く頼もしくてカッコいい。
「なにしてたの?」
「探し物。大事なもの落としちゃって。」
ニコリと笑う。
こんなことになるのならイヤリングを落としたのも正解かもしれない。
高校に入ってから馬鹿なことを考えるようになったな。
「見つかった?」
「勿論。」
手のひらを開くとそこには圭に救いあげられる前に掴んだ大事な圭のイヤリング。
きらきら光っている。
「綺麗…」
可愛らしい笑顔を向けられ圭が赤面をする。
だがアリスはイヤリングに夢中で気付かない。
「何?見せて。」
「内緒。」
再び圭が赤面した。
するりと圭の腕から逃れると圭と一緒に沖まで歩く。
パーカーを拾い上げるとすぐに羽織った。
そういえば水着のままだった。
思わず赤面する。
「でも驚いたよ。浮かんだと思ったらまた自分から飛び込んだから。
よっぽど大事なものだったんだね。落し物。」
「うん、とっても。…でも助けてくれて有難う。嬉しかったよ。」
真っすぐなアリスの視線。
いつもと変わらない。
「でもアリス…もうちょっと太った方が良いんじゃない?身長もちょっと低い様な気もしなくないし…」
それは当然といえば当然なような気がする。
親戚たちからの仕打ちの数々。
それはアリスを痛めつけると同時に鍛え上げていた。
体重が増える訳もなく、身長も飛びきり高くのびる訳でもない。
でもそれでも平均並みの身長ではある。
「圭が高いんだよ。」
といっても圭とは身長の差は5㎝あるかないか程度だが。
「そう?」
背を比べる。
頭に少しふれただけの圭の掌。
頬が熱を持つ。
「赤いよ?体冷やしたから風邪引いたんじゃない?」
「ち、違う!それに冷やしてすぐ風邪は引かないでしょう。」
「ほんとに?」
「大丈夫だって!!」
ブルーシートに戻るとマリー達はすでに戻っていた。
「あら、海に潜ったんですか?」
「まぁ…成り行きで…」
思わず苦笑いしてしまう。
「アリス、これを向こうで洗ってきてくださいな。」
アリスが遠ざかるのを確認するとマリーは圭に聞き返していた。
「カナヅチではありませんでしたか?ケイ。」
圭の視線はもう遠いアリスの背中に釘付けだ。
確かにケイはカナヅチだった。
むかしから水泳の時間を最も嫌い、見学を貫き通してきた。
「今日、克服した。」
圭は小さく呟いた。
アリスがおぼれているのに助けられずにはいられなかった。
泳げないとかそういうの関係なかった。
なにより…泳いだ先にあの笑顔があったから。
だから悔いはない。
「そう…ですか…」
全てを見透かしたようなマリーの冷たい声が小さく響いた。
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