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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.497 )
- 日時: 2015/05/04 15:44
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「やるべきこと?」
急いで階段を駆け上がる。
気付かぬ間に、彼女は頂上についている。
「…私は父の為に生まれてきた。人を傷つけ、そして…守るために。」
「守るため?」
やっていることはその逆だ。
「君はアニエスがどのような国か、知識はあるか?」
ない。
アリスのことがあって、初めてその名を知った。
本棚の隙間から大きなボロボロの紙を抜き取る。
かなり年季が入っているようだ。
「地図にだって載ってないほどの、小さな国だ。集落、と言っても差し支えない。」
アニエスの地図らしい。
それを備え付けのテーブルに広げる。
でこぼこで、周りの国とは一線を引いている。
「周囲を囲んでいるのは崖だ。他国からの侵入を防ぐ。」
ほとんどは円形だ。
地名がいくつか書き込まれている。
小さく感じるのは、実際の大きさのせいもあるし、周りの国が大きいからなのかもしれない。
「自らが国、と名乗っていても近くを大国が囲んでいる。滅びなかったのも、奇跡に等しい。」
テーブルに手を吐くと、興味をなくした様にベランダに向かった。
「けれど、こんなのその場しのぎだ。何時までも続かない。」
何時かは大国に呑みこまれる。
誰も知らない様な国。
小さな村、と言っても可笑しくないほどの小ささ。
お世辞にも、大丈夫とは言い難い。
「それで、私と言う武器を作った。その場しのぎを、少しでも長引かせるために。」
彼女が生まれてきた意味。
それを彼女は初めて語った気がした。
生まれてきた意味を決めるのには、まだ早いというのに。
- Re: 秘密 ( No.498 )
- 日時: 2015/03/31 10:53
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私は父を許せない。母を虐げた父を、私は許さない。
父に刃を向けるのは私しかいないとさえ、思っているよ。」
ベランダの柵に背を預け、星を仰ぐ。
彼女は小さな微笑みと共に、淡々と恐ろしいことを口走っている。
「父は私を愛してはくれなかった。けれど、彼は自分の国民を誰よりも。
自分の娘よりも愛していた。自らの娘を兵器に仕立てでも、守りたかったんだ。」
想像もつかなかった。
でも、アリスが口にするくらいだ。
きっと真実なのだ。
彼女は、裏付けの取れたことでないとここまできっぱりと言わない。
アリスは、どんな心境だろう。
自らを虐げ続けた父の本心を知って。
体を動かせなくなり、声も発せなくなった。
自由もなかった。
友もいなかった。
何時だって血にまみれた世界に放り出した。
そんな父が。
ちゃんと、人を愛することが出来る人間だと知って。
「ここからは、エリスに内緒だ。」
そこから先の話は、確かにエリスには聞かせられない話だった。
話しているアリスだって、辛いだろう。
優しさだけじゃない。
辛くて、苦しい話だった。
- Re: 秘密 ( No.499 )
- 日時: 2015/05/04 15:46
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私には覚悟が足りなかった。父の道具になりきる覚悟も。圭の傍に居続ける覚悟も。
救いの手を伸ばすことが、どういうことか。幸せになるのが、どういうことか。」
許せない、と思った。
憎い、と思った。
それでも、私は人を殺す覚悟が出来なかった。
幸せになる覚悟も。
圭の想いに応える覚悟さえも。
「私は幸せになるのが、どうしようもなく怖い。」
圭たちを巻き込んで、嫌われるのが一番怖い。
誰かがいなくなるのが、一番怖い。
幸せとは、こんなにも難しいものなのか。
私はもう充分に、幸せだ。
これ以上、なにも望まない。
その先のことなど、諦めればいい。
私はいつだって、諦めてきたじゃないか。
圭たちと出会うまで。
何もかもを。
生きることさえ、おざなりにしてきたじゃないか。
「…強情だな」
拗ねたように呟いた。
「茶化すな」
何気に恥ずかしいことを言うから。
そう言う所は圭の悪い癖だ。
「皆何かを犠牲にした。」
「アリスだって犠牲にした。たくさんのものを。」
「幸せな世界に、私は生きられるだろうか?」
「アリスの手、絶対に離さないから。
アリスが光ある世界へ、連れて来てくれた。今度はこっちの番だ。」
がっつりと私の手を掴んだ圭の手は、温かかった。
離さない様に、と。
「アリスが好きだよ。」
私も覚悟を決めないと。
揺らぐかもしれない。
怖気づくかもしれない。
逃げ出すかも知れない。
でも、圭の手を掴んでいれば。
いまは、圭を信じてみたい。
「私は、…」
何を、言おうとしたのだろう。
私はまた口をつぐんだ。
自分の手が、酷く汚れた物の様に見えた。
血に染まっている。
洗っても洗っても、落ちない。
圭には知られたくない。
私のおぞましい昔話を。
善悪の存在しない幼子だった頃。
私がいかにひどいことをしたか。
救いなんてない。
私は絶対に、救われない。
私が今、最も恐れているのは。
圭の傍にいられなくなること。
…私は一体なにをしたのだろう。
私の心の大部分は、圭に依存している。
だからこそ、知られたくない。
徹底的なまでに隠してきた。
「私は強情で、圭の手を掴むのが今でも怖い。
巻き込むのも、嫌われるのも怖い。でも、圭が離れていくのも怖いんだ。」
まだ、触れるのが少し怖い。
手を取るのが、怖い。
私の過去を知れば、離れていくのかもしれない。
覚悟を決めることなんて、できないかもしれない。
圭の手を離さない様に、しっかりと繋ぐ。
「でも、繋げるうちにつないでおきたい。」
圭がまだ、私の手についた血に気付かないうちに。
私の世界は圭のいる世界とは違う。
それでも、圭の手を掴んでいられるうちは。
圭の世界を見ていられるから。
少しだけ。
本当に少しだけ。
眺めていたい。
眩しくて、広くて、明るくて、自由で、温かい。
だから。
必要ない。
圭が知る必要はない。
話す必要も、ない。
- Re: 秘密 ( No.500 )
- 日時: 2015/04/03 14:49
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・100章 新たな脅威・〜
早朝、通学路で圭とバッタリ会った。
昨日の夜の、帰り道のやりとりを思いだした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まだ、付き合うことはできない。もう少し待っていては…くれないだろうか?」
とても生意気に聞こえるのかもしれない。
けれど、まだ答えることはできない。
「アリスはいつも待たせるね。」
子どもの様な、屈託のない笑顔。
私はこの笑顔に、何度救われていただろう?
「でも、良いよ。待ってる。もう、惚れ直してるみたいだし」
恥ずかしいことを言っていた。
よくもまあ、平然とそんなことを口に出来るか。
それが不思議だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「軽音部はどうだ?新入生は?」
最近は圭と顔を合わせづらいこともあってか、部活動にも参加していない。
連のことも合ったし。
「1人入った。」
新入生歓迎の手伝いは何1つしていないのを、密かに気がかりだった。
結局、問題は何も解決などしていない。
自分の問題を再認識できた分、気持ちは楽だった。
圭の傍にいることはできない。
いずれ、決別すべき日が来る。
それでも、圭の隣は心地よかった。
「名前は?」
「それがね…」
楽しそうだ。
とっておきの秘密を話す様な顔だ。
圭はいろんな顔をする。
それが、私には羨ましい。
「有栖川幽っていうんだ!有栖川って凄いよね!!」
「…有栖川幽?」
その名前には聞き覚えが合った。
人違いかもしれない。
でも、そんな名前の少女が何人もいるとは思えない。
「あっ、丁度そこにいるみたい!」
嫌な予感が止まらない。
エリスが訪れた時の様な。
冷や汗が止まらない。
父は、国民を救うために。
今度は何を始める?
何を犠牲にする?
「おはようございます、三田村先輩。」
昇降口に立っていた少女はこちらを向くと、きっぱりとそう告げた。
- Re: 秘密 ( No.501 )
- 日時: 2015/04/03 16:03
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
その子は黒い髪を肩上でバッサリと揃えていた。
赤いリボンが特徴だった。
青白い肌。
どこか影がある端正な顔が、一種の人間離れした魅力を醸し出している。
「あれ?名前教えたっけ?」
彼女はにっこりと笑った。
「いいえ?でも、有名人ですから。」
物静かで、大人しい。
そんな印象を与える。
私は1度も。
名乗ってなどいない。
嫌な予感は…どうやら的中の様だ。
「どうか、親しみを持ってアリスと呼んでください。」
こちらの手をガッと掴むと、思い切り距離を詰めてきた。
「一度、お話してみたかったんです!」
雰囲気が一気に変わった。
どこか明るい、人懐っこい顔だ。
「三田村先輩には色んな逸話があって、すっごい気になってたんです!」
一瞬。
ほんの一瞬で、周りの空気まで変わった。
「去年の新入生歓迎会で1年生で出場したとか、色々。
ずっと、お会いするのを楽しみにしてたんですよ!凄い美人だって言う噂ですし!!」
「…そんなことはない」
ぶっきらぼうに答えたつもりだった。
けれど、彼女は物ともせずに話を続けた。
「あっ、もしかして八神先輩と付き合ってる人って三田村先輩ですか?」
「…違う。付き合ってはいない」
やりづらい。
ここまでぐっと距離を詰められると、無下にもしづらい。
「じゃあ、立候補しても良いです?」
えっ?
「八神先輩の隣、立候補しても良いですか?」
あまりの事態の急転ぶりに、私は追いつけなくなった。
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