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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.235 )
- 日時: 2014/02/02 18:38
- 名前: 雪 (ID: 2N56ztaO)
振り向くと容姿、服装、立ち居振る舞いなど、どれも見事な貴族の好青年を思わせる程のかなりの美青年だった。
とても立派な質のいいスーツを着ている。
「日本では三田村統也だ。」
アレキウスは口を開いた。
「人の上に立つ…という意味でか?ふんっ、お前が三田村を名乗るなど反吐が出る。」
2人揃えばとても絵になる。
道行く人が振り返ってみ取れる。
「大方お父様にお目付け役を命じられたのだろう。ご苦労なことだな、アレキウス。」
アレキウス。
本名はアレクシス。
外国人の血が混じっているため見事な金髪だ。
「私はこれから部室に行く。ついてきたければ来るがいい。」
なびくような長い髪を払い、後ろも見ずに上履きの音を廊下に響かせながら歩いた。
とても長く。
とても美しい。
髪を。
「お前が集団活動とは随分まるくなったものだな。」
「黙れ。」
あいつらは…
「あいつらは…違うのだよ。」
ふんっ、と後ろで鼻を鳴らした音が聞こえた。
「相変わらずだな。」
無視してドアノブに手をかけると軽音部のいつもの部室が見える。
「睦月先生、おはようございます。」
いつも通り挨拶を交わす。
「おはよ。今日は本番だから喉を休めておけ。あり?そちらの方は?」
「統也。私の一応…知り合いだ。知り合いたくはなかったがね。」
私の兄…と言ったことは睦月には伏せておこう。
だが後で皆には話しておくか。
「おはようございます。」
さわやかな笑顔で笑う。
「気色悪い。」
単刀直入に感想を口にする。
何時までも付いてくるアレキウスを横目で確認する。
先程から私の傍を離れないのはそう命じられているからだろう。
「付いてこなくていいぞ。貴様は私が嫌いだろう。言われなくても逃げやしない。」
今日が終わり、勝負に勝てたら私は灘家の別邸に住まう。
言いつけどおりに私は学校には行かず、スタジオと部活動にしか出ない。
その他はずっと別邸で過ごす。
その予定だ。
「そうでもなければあいつ等の身の安全は確保されないだろう。
その代わりに、あいつらには指1本触れるな。」
テーブルの上からチケットを1枚取る。
優待券だ。
「これを見てから帰りたまえ。…私の力をな。」
そこで初めて笑った。
それはいつもの笑顔だった。
そしてアレキウスには初めて見た笑顔だった。
無意識のうちに受け取っていた。
「ではな。」
それからもうこよみは見向きもしなかった。
「先生、灘のお父様は?」
「まだお見えじゃない。少し備品をステージに持って行く。ここで待機を。」
「後1時間…来るかな?」
ステージは13時間から。
今はまだ12時前。
「そろそろ皆が来る時間だね。」
その言葉の直後だ。
ドアが開いた。
「食事持ってぞ〜!!!」
空いたドアから次々と食べ物が溢れかえってくる。
「うわっ!?」
「それから…」
持っていた紙袋からこれでもか、と食べ物が溢れだした。
「どれだけ買ってきたんだよ!!?」
「睦月先生がお金を出してくれたの。1万円くらい。」
あの人…
大方競馬でも当てたのか…?
それからようやく気が付いたのか統也の方に目を向ける。
「アレクシス・ロスコー。私の兄だ。」
それから想像通り驚いて絶句した。
「この超かっこいい人が!?」
「アリス、お兄さんなんていたの!?」
ふんっ、と偉そうな統也の声が聞こえて皆の言葉が中断される。
「どんな奴らかと思えば…そんな奴らか。アリスとは…大層な名前だな、我が妹よ。失礼する。」
「ステージ、見にきたまえよ。」
出て行く統也に再び声をかける。
「精々頑張ることだな。」
そういってチケットをひらひらとゆらして見せた。
バタンッと扉が閉まると一瞬の静寂があった。
「あの人がアリスのお兄さん!?」
「兄と言っても…腹違いではあるがな。」
再び静寂が訪れた。
「私の母は妾であいつは正規のお坊ちゃんだ。当然身分なんて違う。」
あいつはお屋敷育ちで。
私は屋敷の塔で軟禁生活。
雲泥の差だ。
私は母にとても似ている。
母がどんな人だったか分からない。
でもあまりにも似ている私は不吉なことの象徴の様に思われたのだろう。
「いただきます!!」
それから何も起きなかったようにご飯を食べた。
「そろそろスタンバイしろ!!」
睦月の声が聞こえると急いでご飯を掻き込んだ。
- Re: 秘密 ( No.236 )
- 日時: 2014/02/02 20:00
- 名前: 雪 (ID: 2N56ztaO)
時間通りに始まる。
始まる少し前にステージから覗いてみた。
マリーの父親の姿は確かにあった。
「しかし人気がうなぎ上り中の新設・軽音部!!十八番はItemMemberの曲ですが、今回は何を歌うのですか?」
「今回はいつもと1味違いますのでこうご期待!!まずは…『クラスメート』!!」
♪-♪-
朝、寝ぼけた頭を抱えて♪くぐった教室の扉の向こう♪
霞んで見えるクラスメートの中♪何故か君だけ鮮やかに目に映って♪
世界では私達なんて♪小さな力で儚い存在なのに♪
それなのに私の中で♪君はこんなにも温かくて大きい存在なのに♪
世界ではこんなにちっちゃい存在♪それでも私の中では大きな変化♪
君の隣にいられる様に変わりたくて♪でも何も分からなくて♪
そんな時に肩を叩いてくれた皆が♪自分の世界がもう明るくて何もかも輝いた♪
毎日毎日明るくて♪毎日毎日楽しくて♪
変われたよ♪何もかも新しく♪明るくなったんだよ♪
何もせずに座って本を読んでいた私に声をかけてくれた君が♪
君の優しさが好きで♪気付いたら目で追っていて♪
それは恋だよ、と教えてくれた皆♪
私の姿が変わって♪想いよ届けと頑張って皆が♪
後押ししたその恋を実らせるために♪
頑張って伝えた気持ち♪何時も何時も有り難うって♪
その優しさが大好きだよ、って♪
君が私の俯いた顔を挙げてくれて♪俺もだよって頷いて♪
嬉しくって♪嬉しくって♪思わず抱きついた後赤面して♪
皆がおめでとうって泣いていて♪私も思わず涙出て♪
また扉をくぐると♪もう世界は霞んでいなくて♪
何時も以上に明るくて♪もう皆が鮮やかに見えるよ♪
全然未熟で出来の悪い歌。
納得できなかった。
それでも皆は。
素敵だよ、って。
もったいないって。
それで歌にした。
曲を決めて歌詞をつけた頃にはまだ圭に恋していなかった。
だから今はこんなことある訳ないって思った。
手直しに手直しを加えた。
それでも納得できないまま仁科に提出した。
そして今歌ってみると分かる。
未熟でもいいって。
未熟なちょっとした初々しさでさえ力になる。
声や歌唱力、ギターの音。
皆がカバーできる。
そして何よりカバーしなくてもその初々しい感じがまたいいって。
今ではこの曲も私は大好きだ。
自分の歌に自信を持てる。
それから次々と歌った。
「以上、有り難うございまし…」
しかしアンコールの声は鳴りやまない。
マリーのお父様はつまらなさそうな顔をしていた。
「はーい!せっかくの文化祭ですし、アンコールにお応えしてもう1曲歌っちゃおうかな!!
では、これで本当に最後の最後!」
君の全てを知ったから♪きっともう君から離れられなくなる♪
高鳴る鼓動♪それはきっとこの命尽きるまで止まりはしない♪
君は弱くて儚い夢を信じ♪それを叶えようと歩いてきた君に♪
色んな道を確かめては♪不安に囚われていたね♪
どんなにつらい道も♪笑って歩く♪そんな君の隣にいたい♪
強く生きた、足掻き続けた君が♪君が愛しい♪
心のどこかで探していた♪鍵のありかを♪
たった1本の鍵を♪絶対に見つけたくて♪
逃げる時を♪囚われた闇の底を♪光で照らすまで—————♪
君の闇光照らすまで————♪何度でも足掻き続ける♪
君の心の檻を解き放ち、光照らすから————♪
何度でも足掻き続ける———————♪
歌いながら視線だけでやり取りを交わし、無言の喧嘩をした。
それで争いながら、歌った。
楽しかった。
これはマリーのためだけに作った歌ではない。
マリーの為。
リンの為。
圭の為。
そして私の為。
この歌詞を付けた。
どうしたら心揺さぶられたか、分かるか。
大丈夫。
目を見ればすぐ分かる。
マリーのお父様の目を見据えた。
ほら、分かった。
- Re: 秘密 ( No.237 )
- 日時: 2014/02/03 10:41
- 名前: 雪 (ID: MikjvI8h)
「以上、軽音部でした!!」
して—時から退場すると5分ほどの休憩が入る。
「マリー、お父様と話してきなさい。」
「えっ…」
一目でうろたえていることが分かる。
「大丈夫、きっと分かってくれる。」
あの目を見れば、分かる。
「一足先に部室行ってるね。」
部室に行く間も荷物などが正直しんどかった。
マリーの荷物を手伝うと不用意に行ってしまったことを後悔した。
いつもマリーはこんなに重い荷物を持っていたのか。
部室につくと先に先客がいた。
「どうだった?アレキウス」
「…まだまだだな。」
目を見れば分かる。
「お前の仕事は用済みだろう。帰れ。」
アレキウス、お前は知らなかっただろう。
当然だ。
牢に閉じ込められていた私は歌ったことが無いのだから。
外に出てからつかんだ。
私だけの歌。
私達だけの。
牢にいた私は歌うどころか泣くことすら許されなかった。
泣くことも叫ぶことも出来ず…
「じゃあな。」
「…我が妹よ、手を出せ。」
素直に手を出すとジャラリと重い音がした。
ペンダント?
「これを渡しておこう。」
コインの形をしていて写真が入るロケットになっているようだ。
「なんだ…これは…?」
だがそれに答えず統也はとっとと部室からいなくなっていた。
全くとことん扱いづらい奴だ。
これは何だ?
これは…
「これ…アリス?」
「…違う。これは…母だ…!」
何かを慈しむようにそっとなぞる。
思い出した…
これは母が私に渡してくれたペンダントだ…
これを持っていればすぐに助けに来てくれるって。
でも…いつの間にか忘れて…
いつの間にか…
そうだ。
受け取ってすぐに没収され、その後は父の管理の下にあったと聞く。
それを気まぐれな同情で返してくれたのだ。
ぎゅっ、とペンダントを抱きしめる。
これが私達母子の絆の印。
大事な大事な印。
「ただいま。」
「マリー?どうだった…?」
あれからマリーは無事に父親と話を済ませたらしい。
私にも別邸を貸してくれると言ったそうだ。
地図まで渡してきた。
流石お金持ち。
表も裏もあるちゃんとしたお金持ち。
表だけで生きていける訳がない。
這い上がるには多少の裏稼業との関わりも必要なのだ。
「マリー、いいこと教えてあげる。」
耳元で小さく囁く。
「—————————」
「えっ?」
マリーのお父さんがそんなことをしていたなんて最初私も驚いた。
最初から勝負なんて成立していないんだ。
だって最初から白旗を上げていたんだ。
最初からマリーのこと、認めていた。
「なになに?」
「内緒!」
調べたら分かったんだ。
マリーのお父さんがItemMemberの活動にも力添えしていた。
最初からItemMemberのことも知っていたんだ。
認めていたんだ。
———マリーのお父さん、ItemMemberのコンサート見に来てたんだよ。それも毎回。
マリーのお父さんもItemMemberのファンだったのだ。
「あら、素敵なペンダントですね。」
「…有り難う!」
そういって再びギュッとペンダントを握りしめた。
「実はこれね…」
- Re: 秘密 ( No.238 )
- 日時: 2014/02/04 12:02
- 名前: 雪 (ID: 1l.7ltSh)
〜・37章 文化祭の恋愛相談・〜
「さてっと…軽音部のステージも終わったし、何しようかな?」
3人はスムージーを売りに行った。
シフトが相当入っているようで、かといって私も参加しようとすると全力で止められた。
こうやって久しぶりに1人になると何もない。
3人以外で仲のいい人も特にいない。
とりあえず色々回るが昼ごはんは沢山食べてしまったので特にすることもない。
吹奏楽部の演奏を見に行ったが中々面白かった。
「ん?」
遠方の席を見るとアレクシスが座っていた。
私の兄…昔の記憶がおぼろげな私には何とも実感もわかない。
でも毎日私の閉じ込められている牢を訪れてはじっと見つめていた。
特に何か話すでもなく、ただ見つめているだけ。
あいつ…まだ帰って無かったんだな。
あんな別れ方をしたのでてっきり帰っているのかと思った。
一応私にも外国の血が入っている。
だが性格はかなり違う。
「おや、こんなところに小さな怪物が。」
怪物。
もう慣れた。
怪物。
化け物。
何故か皆は私をそう呼ぶ。
それでもケイは私のことを可愛いと言ってくれた。
「何の用だ?」
「父上から聞いたのだがお前、記憶があいまいの様だな。」
「…それがどうした?」
記憶を無くした理由は分からない。
何かのショックからか…
それとも薬のせいか。
「いや、滑稽だなと思っただけだ。」
「アナとなにかあったのか?」
「なっ!?」
顔色がパッと変わった。
険しく、眉間にしわが寄っている。
「お前はアナのことで機嫌を損ねるといつも私に当たるな。」
「お前に何が分かる!?」
「分からんよ。外の世界にはほとんど出られないのでな。」
私はアレクシスの様な思いをしたことは無かった。
外に出られなかったから。
「お前は良いよ…自由だ。誰を傷つける心配もなく、接していられる。安定した世界だ。」
私には無い。
何時この世界が壊れるか分からない、そんな世界。
アレクシスは何時でも外に出られて、金も身分もある。
羨ましい。
金や位なんて悪趣味なものはいらない。
ただ自由が欲しい。
- Re: 秘密 ( No.239 )
- 日時: 2015/07/04 17:15
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「言いつけどおり私は灘家の別邸に住まう事にする。ほら、住所だ。」
紙切れ1枚ひらひらと渡す。
「アナとのこと、何をしたが知らんがちゃんと態度を改めろよ。
せめて懸想している女の前くらいでは。」
「お前は知らないだろうが…アナは結婚したんだ…」
知っていた。
「お前が胸元に花飾りなんて珍しいな。式場の名も記載されている。結婚式場で貰ったのか?
それにその落胆ぶり、振られた程のへこみよう。それにその花飾り。大方想像はつく。
結婚式が終わってすぐこちらに出向くとは、災難だったな。」
だが、アナはお前のこと好きだったと思うが。
身分と言ったのも大変だな。
大方政略結婚なのだろう。
「それでも、今までどおり接してやれ。」
もし私が圭以外と結婚しても圭に冷たい態度をとられるのは嫌だ。
「結婚だけではない。結婚相手が…」
「アナを大事にするとは思えない…か?」
ハァとため息を吐く。
面倒だな。
人の恋路を聞くのはとてもつもなく面倒だ。
「アナ本人は?結局幸せっていうのは人の尺度だ。他人が口出しすることじゃない。」
ぐちぐちと面倒な奴だ。
辛気臭い顔をしたまま、黙りこくった。
「お前なら父の身分で結婚を破婚させることも出来たはずだ。何故しなかった?」
アナの幸せを願っていたから、か?
アレクシスは確かにお金持ちと言っても向こうで俳優なんかやっていてそれなりいにお金も稼いでいるはず。
父親としては政治家にならなかったことを文句言っただろうが。
父は裏稼業の人間と言ったがその実態は貴族のお金持ち、政治家でもあるのだ。
恐ろしく小さい国の、だが。
全く面倒なものを集結させた並みに面倒だな。
「…分かったよ。代償は高くつくぞ。」
私から父に連絡すればすぐに解決するだろう。
そのきっかけを掴めばいい。
例えばそっちの方がこの家に利益がある、などと。
そう1言、言えさえすればすぐさま破婚に追い込まさせるだろう。
「文化祭終わったら楽しみにしていろ。」
そんなこんなの話をしているとステージが始まった。
次は合唱部だ。
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