コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.567 )
日時: 2016/01/11 23:09
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

それから、私は彼らに貰ったものをお気に入りのクッキーの箱に仕舞いこんだ。

箱はいつも自分の部屋に置いて、寝る前は必ず眺めていた。

彼らからもたらされた物は全てそこに仕舞うことにしていた。

貝殻で作ったネックレス、四つ葉のクローバーなど花の栞、そして蒼い宝石みたいなブレスレット。

とても、綺麗で温かい。

手作りで、想いをこめて作られていることが分かる。

どれも手間暇かかるものばかり。

とても凝っている。

彼らからのプレゼントを包み込むように、花冠もしまっている。

少しでも、長持ちさせようと水やりも頑張った。

でも。

少しずつだけど、衰弱していっている。

萎れていっている。

まるで、これからの彼らの関係を暗示させるように。

Re: 秘密 ( No.568 )
日時: 2016/01/16 17:06
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・117章 花贈りの日・〜
季節は巡り、春が近づいてくる。

アニエスにはバレンタインに似た行事がある。

求愛をする日で、チョコレートの代わりに花を贈る。

バレンタインほど派手ではないけど、ささやかに祝われる感じが好きだ。

…否、好きになった。

彼らと出逢うまでは、こんな地味な日は気にも留めたことがなかった。

『花贈りの日』

素敵な名前。

だから花贈りの日が近づくと男女共にそわそわしだす。

色々な花を探し出し、それを見つけようと躍起になる。

私は外で色々な仕事をする関係で、色んな花や種を手に入れることが出来る。

そうして、彼らの背中を押した。

彼らから頼まれた花の種を城中から集め、種を渡した。

私に出来るせめてものこと。

今まで花になど興味はなかった。

けれど一から自分で育てるのも、感慨深いものがある。

花贈りの日は慕っている異性以外にも、親しい友にも家族にも贈れる。

そういうオールマイティーな日なのだ。

「ルーク」

そして、やってきた花贈りの日。

ずっとずっと待ち遠しく、この日の為に準備してきた。

「これ、あげる」

花には花言葉がある。

それはとても曖昧で、幸福と復讐など真逆な意味を兼ね備えていることもある。

けれど、とても美しい。

その日のミーナの服装は、真っ白なワンピース。

頭には何時ものリボンと共に、ひまわりの花が飾られていた。

残念ながら、季節的に押し花だ。

けれどそれでも彼女の可憐さは薄れない。

ひまわりの花言葉は…『あなたしか見えない』

ミーナらしい、明るく美しい、情熱的な花だ。

手にはパンジーが握られていて、顔は真っ赤に茹っていた。

パンジーの花言葉は…『私を想ってください』

ミーナらしい大胆さと、女の子らしさが覗く告白だった。

この場にはルークの他にも私やアイザックもいるのに。

顔を真っ赤にさせながらも、不敵に笑っている。

ルークもつられた様に顔を赤く染めている。

突然のことで驚いているのかもしれない。

ミーナの分かりやすいほどの求愛に気付いていないわけがない。

けれど、もしかして私とアイザックがいる場で渡されるとは思わなかったのだろう。

何時もは饒舌で、冗談を言ってばかりのルークが照れ隠しの様に落ち着きがなくなった。

「その…ありがとう…」

ルークは何時も笑ってばかりで、軽薄にも見えがちだけど違う。

面倒見はいいし、冗談で場を和ませてくれる。

真面目で、行動力は折り紙つき。

でも、腹を決めると何処までも真っすぐ。

ミーナの気持ち、なんとなくだけど分かる。

ルークも、ミーナも、アイザックも。

好きにならずにはいられない様な奴らだった。

「俺も…お前に渡すものが…ある」

ルークが差し出したの、定番中の定番かもしれない。

でも、ミーナにとっては何にも変わらない大事な宝物になるだろう。

真っ赤な薔薇が一輪。

薔薇は色や本数に寄って意味が変わる。

花言葉には疎いルークが、必死に私に教えを乞うていた。

だから薄々ルークの気持ちにも気付いていた。

「…幸せに、なれよ」

隣をちらりと見やると、いつの間にかアイザックが顔を真っ赤にしている。

…アイザックらしい。

「好き…ってこと…?」

「違うだろ。」

照れくさそうに、花を渡すと人差指で頬を掻く。

「俺にはお前しかいないってこと。」

赤い薔薇一輪の意味は『一目惚れ』と『私にはあなたしかいない』

花贈りの日に備えて、ずっとミーナとルークの両方に相談を持ちかけられていた。

だから、二人の気持ちにも気付いていた。

アイザックにも花を育ててもらうことで手伝ってもらったし、二人のことも知っている筈。

けれどこうも顔を真っ赤にさせている所から、まさかここまでとは思わなかったのだろう。

…それは私もだけれど。

二人の告白はそれだけ初々しく、熱く、大胆で、彼らの想いが伝わってくる。

互いを、本気で想い合っている。

熱が空気を通じて、私達にも伝わってきているようだった。

見ているこっちの方が恥ずかしくなる。

「おめでとう、二人とも。」

こうなることは分かっていた。

だから、二人に渡す花も決めていた。

「アイザックと私からの選別。」

デンファレ。

花言葉は『お似合いの二人』

本当に、良かった。

Re: 秘密 ( No.569 )
日時: 2016/01/18 16:56
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「じゃあ、邪魔者は退散するね。ほとぼりが冷めたら来てね」

ここでアイザックと一緒に二人から離れることも決めていた。

ミーナの顔は幸せでいっぱいで、輝いていた。

私もアイザックに渡したい花がある。

想いを告げることを、諦めている。

でも、今日だけは。

…ミーナの大胆さが移ったのかな。

なんだか、今なら何でもできそう。

そっと、背中から彼に渡そうと思っていた花を出そうとした。

「アイリス」

何時も四人の時は物おじせず、なんでもずばずば言う性格のアイザック。

でも、今はさっきの影響を引き摺っているのかまだ顔が火照っている。

「…これ、同じ名前の花…見つけたから…」

アイザックの手には、綺麗なアクセサリーが輝いていた。

透明な…なんだろう?

雫の形をしたおはじきみたいな、ビー玉みたいな物体の中に。

その中に花が閉じ込められている。

フックが付いていて、色々なものにひっかけられるらしい。

「これ…なに?」

「…樹脂だって。型に押し花をいれて樹脂で固めた。」

「それって…」

お金が掛かるはず。

樹脂も型もそうそう手に入らない。

手間も少なくともネックレスや押し花の栞とは比にならない。

「簡単だよ。道具さえあれば誰でもできる。」

「でも、道具って…!」

彼らは貧しく、蓄えもさほどある訳じゃない。

食事には困らないと言っても、無駄遣いできるほどの余裕はない。

アイリスの花をアイザックに頼まれてはいない。

だから、これはアイザック自身で調達したものだ。

こんな立派な花。

そこらに生えているとも思えない。

「別に、値切ってもらったし…楽しかったから…気にしないで」

顔が、真っ赤だ。

でも…残念なことに、アイリスの花言葉は知らない。

「…ありがとう」

そこまで有名な花ではないから。

自分の偽名に、思い入れなんてなかったから。

花言葉も、聞きかじっただけの知識だ。

でも…彼らといる時はアイリスで良かったと思える。

争いと不和の女神の名前で何か、呼ばれたくない。

「私も渡したいものがあるんだ。」

そっと、さっき背中に隠した花を差し出す。

「その樹脂の奴。今度、私にも作らせて。」

ブルー・スター。

5枚の花びらが青い星のように見えることにちなんでいる。

夏の花だけど、城で適温で育てられるために今でも手に入る。

花言葉は『信じあう心』

…そして、『幸福な愛』

Re: 秘密 ( No.570 )
日時: 2016/01/21 19:57
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

アイリスと言う名前はとても綺麗。

アイザックから貰った飾りは透明で、綺麗。

シンプルだけど、温かいもので胸が満たされる。

花言葉、調べておけばよかった。

「あのさ…アイリスの…花言葉って知ってる…?」

黒い髪も相まって、アイザックは黒猫みたい。

気ままで、めんどくさがりやで、彼らの為なら矢面にだって立つ。

なにより、自分の悪い所を自分の口で言える所が凄い。

「アイザックこそ…私があげた花の名前分かるの?」

「…知らない」

素直な人。

嘘をつかないし、なんでもきっぱり言う。

勿論、何時ものメンバーの前でだけだけど。

知らない人とはあまり話さない。

内弁慶で、だからこそ彼らのことを心から大事に想っている。

アイザックはこちらに顔を向けると、何時もの様に笑った。

やっぱり、アイザックの笑顔は安心する。

纏う空気も。

意外に大きい手も。

温もりも。

隣にいる気配だけでも。

とても。

とても、とても。

愛おしい。

「私は…」

あ、れ…?

私…一体…なにを…言おうとして…

想いは伝えない。

そう、決めていたのに。

伝えても、何にもならないから。

伝えても、彼らを苦しめるだけだって。

分かっているのに。

ミーナの告白を見たせいだろうか。

ルークの変化を見たからだろうか。

アイザックの…穏やかな笑顔を見たからだろうか。

「私は…ずっと…」

…止めろ

止めろ

止めろっ!

言うな、言うな、言うな、言うな!!

言ったら、戻れなくなる。

今の関係に。

この心地いい関係のままではいられなくなる。

それなのに、口は私の意思を裏切って勝手に動く。

伝えたくて、堪らないと言わんばかりに。

けれど。

絶対に、アイザックに教えてはいけない。

私が彼の傍に…ずっと居るために…っ!

「アイザックのことが————」

Re: 秘密 ( No.571 )
日時: 2016/01/26 21:54
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「はい、そこまで」

突然割り込んできた聞き慣れた声に。

私の顔から瞬時に熱が消え去った様な錯覚を起こす。

声のした方角には、金色の長い髪。

黒い服と金色のコントラストがよく映える少女の様な顔立ち。

「…トー、ル」

トールは何の遠慮も無しにズカズカと近づいてきた。

「お楽しみを邪魔してごめんね。色々許容してきたけど…もうこれ以上はダメってさ。」

トールの視線が、私の隣のアイザックに向けられる。

「やめてっ!!」

知られた

知られたっ!

絶対に気付かれない様に、ずっと細心の注意を払っていたのに。

大事だからこそ、恋しい夜も枕を抱えて耐えたのにっ!

一緒に歌ったり、踊ったり、花を贈り合ったこの日が。

途絶えてしまう。

「なんでも言うことを聞く!だから、手を出さないで!!傷つけないで!!」

彼らの傍には、もういられない。

でも、それよりもずっと。

彼らに危害を加えられる方がずっとずっと怖い。

「何言ってんの?」

冗談を言うみたいに。

何時ものように無邪気に笑って。

大袈裟に肩をすくめた。

「傷つけたり、傷つけられるのは当たり前だろ?」

それからは、地獄だった。

パチンッと鳴らしたトールの指。

訝しげにアイリス、と問いかけるアイザックの声。

取り押さえる大柄な男たち。

私の悲鳴。

遠いところで聞こえた、ミーナの声。

ルークの怒声。

頬をボロボロと伝う、涙。

彼らに向かって痛いくらい伸ばした、私の手。

そして、遠くに小さく見えるテオドールの姿。

それが、あの時私が見た全て。


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