コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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1章
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>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.190 )
- 日時: 2014/01/06 13:38
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
〜・26章 夏休みその3・〜
海に行った後1度ItemMemberの活動のため、テレビ局に向かうと再び出発した。
「次は何処行くんだっけ?」
「もう忘れたんですか?私の別荘ですわ。テニスコート、プールに温泉 なんでも揃ってすべて無料です。
近くには山も海も観光スポットありますわ。」
その台詞に少し違和感を感じた。
「…ん?観光地なの?」
「?ええ。」
ふぅん、と小さく答える。
観光地、か…
嫌なことを思い出したな。
「観光地がどうかしたのか?」
リンの声が耳に届く。
窓の外に目をやりながら答える。
「ちょっとね…。昔の知り合いに観光地巡りが好きな奴がいてね。
…ちょっと…少しだけ思い出しただけ。」
知り合いではなく親戚。
昔小さい時に引き取ってくれて週末や休みごとに出かけていた。
連れていってもらったことはないが。
小さい時のことは覚えていない。
気付いたら日本にいてマリー達と会って、高校になった。
小学校上がる前の記憶が全くない。
親の顔も名前も知らない。
小学校低学年の頃だったかな。
あの親戚はともかく私を嫌っていて散々な嫌がらせをされた。
あの親戚の名前…何と言ったかな。
「着きましたわ。まずは各々で散策しましょう。」
各々、か…
観光地と言ってもたくさんある。
まさかこんな所で会う事もないだろう。
「分かった。」
「柳さん、あれが欲しいの?」
目の前のお土産屋で見た目小学生くらいに見える童顔の持ち主である女の子が両親と友達と一緒に買い物をしていた。
友達は高校生のように見える。
あまりにも不釣り合いな集団だと思う。
だがその童顔の持ち主も実は高校生であることをアリスは知っている。
その童顔な女の子が私を見てあっ、と小さく声を挙げた。
「どうしたの?柳さん。」
「ううん、先に行ってて。」
数人のお友達が先に行くとこちらに声をかけてきた。
「久しぶりね、あんた。」
女の子、花がこちらに向き直り真っすぐにらみ合った。
「お久しぶりです、柳さん。昔はお世話になりました。」
深々と頭を下げ、お辞儀をする。
「お買いもの?」
「ええ。」
頭はあげない。
昔と変わらずガキ大将をやっているようだ。
「良い御身分ね。昔とは大違い♪」
「あの頃は色々ご迷惑をかけました。」
繰り返す。
めんどくさい相手だが根に持っているのかもしれない。
あの時の恐怖を。
私より1つ年上で私より立場が上な花には抵抗できなかったあの頃。
グリグリと頭をかき乱される。
何時もなら遠慮なく払いのける手を抵抗できなかった。
「お久しぶりです、柳おばさん。」
「でもぉ、根っこの方は相変わらず薄汚いネズミ。両親の顔も名前も知らない、小さくて汚いドブネズミ♪」
グリグリと頭をかき乱される。
マリー達だけには見せたくない姿だ。
くっ、と小さく歯ぎしりをした。
その時パシンッと小さな音が響く。
おばさんの手を払いのけた手。
マリーとリンの手だった。
後ろから肩を掴まれ、下げていた頭が上がる。
圭だった。
「…圭…マリー…リン…」
「こんな輩に頭を下げる必要なんてありませんわ。」
マリー…
「アリスは今まで通り顔を上げて」
リン…
「前を向いていればいい。」
圭…
「「「それでこそアリスだから!!」」」
- Re: 秘密 ( No.191 )
- 日時: 2014/01/06 13:38
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
「…皆」
思い出される暗くて冷たくて狭いあの場所。
そこから唐突に開いた狭い扉。
溢れる光。
もうあそこじゃない。
外へ皆が連れ出してくれた。
温かい…
もう…寒くない。
皆が…圭が…連れ出して見せてくれた希望。
あの光を失わない様に…
ぎちぎちと私を締め付ける窮屈な鎖が断ち切られた様な。
振り返ればいつも傍にいた。
もう私は囚われていない。
あの狭い部屋に。
顔をあげていい。
もう自由なのだから。
ふっ、と笑う。
顔を上げるとビクッと花達が震える。
「みっともないところをお見せして申し訳ありません。
ですがもし次に私の世界を壊す様な時は容赦いたしませんので、そのおつもりで。」
パシンッと大きな音がした。
頬が鈍い痛みが走る。
だが笑みは絶えない。
もう俯く必要はない。
「花さん、親の権力なんかに頼らず自分の力で本当の友達を見つけてた方がよろしいですわ。
今のあなたを見ると吐き気がしますわ。世の中そこまで甘くありませんの。」
ニッコリと威厳のある笑みを絶やさない。
「親も親ですわ。もっと辛いことも味あわさせるべきですわ。
子どもは親の所有物では決してないのですから。甘やかすだけが親の仕事ではありませんわ。
親の権力をふりかざす餓鬼は親子揃っていいカモになるだけですわ。」
「っ———————」
再びパシンッと再ほどよりも大きな音が響く。
やはり親子だ。
真っ赤にはれあがる頬を物ともせず笑みは絶やさない。
まるで何も起きていない様にその表情には何の変化もなかった。
「今まで大変お世話になりました。先ほど私がお話になったことお忘れなきよう。」
最後までに笑みを浮かべながらすっと2人の隣をすりぬけた。
「行こう、皆。」
振り返った柳親子は見た。
あまりにも鮮やかに輝くこよみの後ろ姿を。
今でも脳裏に焼きつくあの笑み。
反論も何も受け付けない。
氷のように凍りついていて畏れを抱かせる笑み。
あの時には見せなかった表情。
あの時自分達がしたことであの表情を作らせた。
あの時の経験を足蹴に強くなっている。
あれは軽蔑とかそういった次元を軽く超えている。
「っ!」
今でも冷汗は止まらない。
「この…化け物!!!!」
- Re: 秘密 ( No.192 )
- 日時: 2014/01/06 14:00
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
「化け物!!!!」
柳おばさんの声が後ろから聞こえる。
「助けてくれて、ありがと。」
化け物と呼ばれるのは慣れている。
「あの時、顔を上げさせてくれなかったらきっとあのまま何も変わらなかった。」
友達に裏切られるのなんて慣れっこだ。
あの2人が化け物と呼んだ私と一緒にいてくれるとは思わなかった。
だからお礼だけでも今の内に言っておきたい。
「当然ですわ。」
えっ?
「当たり前のことを言うな。」
「それに2人に物ともせずカッコ良かった。」
「それにしてもあのしゃべり方、真似しないでいただきたいです。
あまりにも不似合いですわ。」
杞憂だった。
何も変わらない。
「どうかしたか?」
化け物と呼ばれても傍にいてくれる。
“化け物”
その言葉を聞くと傍には誰もいなかったあの時を思い出す。
あの冷たくて寒い場所。
「ううん!やっぱり4人で散策しない?」
「良いけど…アリスはまず頬を冷やしたら?痛くない?両方とも真っ赤。」
鏡を覗き込むとバランスよく両方が赤くなっている。
「全然。」
痛みなんて感じないくらい嬉しい。
ここまで傍にいて、光を見せてくれた。
温もりも光も知らないまるで心がないとまで言われた私に心をくれたようだ。
無くしたくない。
「ほいっ!」
ピチャッと両頬に濡れたハンカチが押し付けられた。
片方はマリーで片方は圭だ。
「お似合いですわ。」
「もぅっ!絶対面白がってるでしょう!!」
「救急セット持ってるけど使うか?」
「ちょっ、早く言ってよ!」
こんな風に会話を心おきなく弾ませられる相手もいなかった。
無くしたくない。
絶対に。
皆は私が初めて見た————————希望の光だから。
- Re: 秘密 ( No.193 )
- 日時: 2014/01/06 18:32
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
「ずっとああだったの?」
アリスはとまどった顔をした後言葉を選ぶように考える仕草をした。
「…柳さん達のこと?」
「うん…聞くかどうかは迷っていたところだけど…どうしても気になって…」
今は土産屋。
声をかけてきたのは圭だった。
「ごめん…今の無し。」
「ううん…聞かれたことないから…ちょっと…」
迷っただけ…と彼女は小さく続けた。
それからよしっ、と小さく頷いた。
「昔の私なら…話すのを拒絶したと思う…でも…今の私なら…」
今の…光を知った私なら…
躊躇う事くらいなら出来る。
「どうかしましたか?」
会計を済ませたマリーとリンが様子がおかしいことに気付いたのか声をかけてきた。
「ううん…せっかくだからマリー達にも聞いてて欲しい。
でも今は…まだ心の準備が…着かないから…ごめん…まだ…話せない…」
とぎれとぎれ続けるその姿は暴走する直前の様だった。
ごめん…ごめん…と何度もうわごとのように続けた。
「こよみ、もうういいですわ。今は大人しく休んで下さい。」
マリーに無理やりベンチに座らされると颯爽とリンの手を掴んで走っていった。
「飲み物買ってきますわ。後のことは宜しくお願いします、圭!」
そういって圭だけを置いていった。
「あの…その…」
まどろまどろと躊躇う様に声をかけた。
「ごめんね…」
「もういいよ。その…立ち入ったこと聞いて…ごめん…」
「ううん…大丈夫。大丈夫だから…」
冷たくて硬くて誰もいないあの冷たい所…
…あそこは何処だ?
なんで…私だけ…
「っ———————————————!!」
助けて…
暴走だ。
「アリス!!っ————!?」
♪-♪-
!?
歌…
私の…私と圭の…歌…
涙が頬を伝う。
今…圭の…腕の中にいる———
はぁはぁと荒い圭の息遣いが耳元で聞こえた。
「…大丈夫だよ…こよみ…」
私の頬を伝った涙は圭の肩に落ちた。
「…ありがと…ケ…イ…」
そのままガクッと膝が折れておっ、と圭が受け止めた。
力なく立つことすらも出来なくなったアリスから安らかな寝息が聞こえた。
「全く…無防備だな…」
あまりにも軽いアリスの体を背負う。
「あら…まさかそこまでやるとは…ケイは大胆ですね♪」
いつの間にか戻ってきたマリーがからかう様に笑う。
「…からかわないでよ…」
「手伝おうか?」
「その必要はないよ。」
圭の顔は笑っていた。
背中越しに相変わらず定期的な寝息が聞こえた。
こんな可愛いアリス、他の男に見せたくないし、背負わせるなんてもってのほかだ。
そんな笑顔を浮かべながら別荘まで足を運んだ。
背中には安らかに笑顔を浮かべながら眠るアリスがいた。
- Re: 秘密 ( No.194 )
- 日時: 2014/01/06 23:10
- 名前: 雪 (ID: f48TOEiV)
〜・27章 アリスの秘密・〜
目が覚めた時にはもう全員寝室に集まっていた。
「話させる準備は万端ってわけか…」
小さく呟く。
「そうかたまらないで。いつもと同じようにしていて欲しいの。」
気丈そうにいつもと同じ調子で話すがその声は震えている。
「アリス…言い出しておきながらなんだけど…止めておく?」
「ううん…話す…話すから…」
冷や汗がどんどんと額からこぼれおちて布団に落ちて行く。
ふぅっ、と深く息を吐くとよしっ、と小さく呟いた。
「私は…」
それでようやくアリスは重い口を開いた。
「私は…親を知らない。まぁそれ事態は問題ないんだけど。」
本当に何ともなさそうな声音で続けた。
「なにより私が気にしてたのは小学校以前の記憶がないんだよ。
何処で何をしていたかすら誰も知らない。幼稚園に行った記録も何処にもない。
誰も幼稚園以降に私が何をしていたか知っている人がいないんだ。」
はっと息をのむ声が聞こえた。
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