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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.200 )
日時: 2014/11/15 17:32
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ゴトッと重い音をたててゴンドラが動きはじめる。

各々が歓声を上げる。

だが1人だけ大きな声で騒いでいる。

「動いてる!動いてる!!」

何時も表情の乏しいアリスの顔が熱を持ち、目はこれでもか、というほど開かれていた。

「落ち着け。」

「そうですわ。少し落ち着いてはいかが?それにゴンドラの中では立ってはいけませんわ。」

はっ、と我に帰ると恥ずかしそうに眼を伏せ席に着く。

「もしかして…初めて?」

まだほのかに赤い顔でコクリと小さく頷く。

「こんなに高い所を動くなんて…凄いな…」

外を眺めながら科学の技術に驚く。

「…そういえば…遊園地でも観覧車乗ってないんだっけ?っていうかジェットコースターでも結構驚いてたね。」

思い出したように圭が呟いた言葉にリンが反応する。

「遊園地?」

リンがマリーに事情を話している間に再び視線を外に向ける。

「私はこう言ったところで遊んだことが無いのだよ。高い所なんてエレベーターと階段くらいだ。
だが実際こう言ったものに乗ってみると楽しいものだな。」

修学旅行では予定にゴンドラがあったが、費用を出してもらえなかったため乗ったことなかった。

遊園地だって圭と行ったのが初めてだ。

嬉々としながら目は相変わらずらんらんと輝いている。

そう言ったアリスを見ると何故か少し不思議だが珍しいと思った。

アリスを見ていると自分は恵まれていると、思うと同時に何時か助けたいと思いたくなる。

「アリスって今1人暮らしだっけ?」

「…?うん。」

圭も1人暮らし。

マリーは広い屋敷の別宅で1人住んでいる。

なんでも使用人は邪魔で窮屈らしい。

だが食事の際だけは親と一緒に食べるらしい。

リンは寮暮らし。

そしてアリスはItemMemberのお金で生活費を賄っているとしか聞いたことない。

家がどのようなところかも、聞いたことない。

「狭くて汚いところだよ。ItemMemberのお金は親戚の家に送ってる。」

膨大なお金だが昔お世話になった家に世話になったお金を請求されているため、毎月ItemMemberのお金はほとんどそれに使われる。

食費、学費、電気代、ガス代…その他諸々ぼちぼち返済しているところだった。

「えっ?」

だが圭には初耳だった。

「世話になったからね。お金は返さないと。」

「でもおかしくない?だって…」

そんなにいい扱いを受けた訳でもないのに…

そう続けようと思っていたところを、アリスの声が被さる。

「仕方ないんだよ。あいつらによって生かされてきたのは事実だから。」

その声は反論を一切認めないほど、冷たかった。

あいつらがいなければ、今生きてすらいなかったかもしれない。

それは紛れもない事実だ。

だがItemMemberのことは一応内密にしている。

ばれるともっと揺すられそうだ。

「ぼったくられる程間抜けではないよ。お金はちゃんと餓鬼の頃から勘定してきたから。
全部計算して返済し終わったところには、それ以上のお金は返して無いよ。」

家も知られない様に住所は偽って送る。

間違ったら色々面倒だ。

やっと見つけた激安アパートを追い出されるかもしれない。

食事も最近はかなり節制している。

幼少期から鍛えられているから1日1食あれば満足する。

高校の学費も今はほとんど自分払っている。

バイトにバイトを重ねて何万も稼いでいる。

テレビなどにも出演するためお金は入ってくる。

公立だから私立に比べて学費も安い。

「夏休みだからね、バイトは休んでる。」

包み隠さず圭には話せる。

外から視線を戻すと気付けば全員が聞き入っていた。

「何?」

「アリス…」

バチンッと大きな音が響き渡る。

それでもアリスの表情に変わりはない。

「何?マリー。」

マリーを見上げる。

マリーは顔を真っ赤にしながら半ば睨んでいた。

「もっと…自分を大事にして下さい…」

意味が。

分からなかった。

「は?」

言葉が出なくなったマリーをリンが落ち着かせた。

「アリスがそんなことする必要ない。」

さっきから呆気をとられて言葉が出ない。

「また…食事抜いてるでしょう…アリス。」

やっぱ…気付いていたか…

「アリスが下に立つ必要はないんだよ。アリスはまっすぐ前を向いてればいいって…いったじゃん。」

「…アリスが…そこまで切り詰める必要は…ありません。」

「もっと自分を大事にするべきだ。」

「仕方なくなんてない…そんなことをする必要はないんだよ。
理不尽なことは仕方ないことなんかじゃない。理不尽なことをは認めちゃいけないんだ。」

意味が…

分からない…

「「「アリスはもうアリスのためだけに生きてる訳じゃないんだから。」」」

Re: 秘密 ( No.201 )
日時: 2014/01/12 21:00
名前: 雪 (ID: FMSqraAH)

理不尽なことは仕方ない。

だってそもそも平等な相手ではないのだから。

「本心を言うと…言ってる…意味が分からない…でも」

目を伏せる。

「心打たれたのも本音だ。」

皆が心配してくれたのは本当に嬉しかった。

私は私のためだけに生きてる訳ではない。

マリーや、リン、圭、そして母のために生きている。

それを思い知らされた。

「分かった。私も自分を大事にする。確かに少し根をつめたかもしれない。
でもお金を返すのも筋だと思う。だって本当のことだもの。」

こんなに切り詰めるのにも訳がある。

早めに弱みを無くしておきたい。

「そう言われちゃ…仕方ない。」

でもそれで皆に心配をかけるのは本末転倒だな。

ゴトッと再び重い音がしてゴンドラが止まる。

「迷惑をかけて申し訳ない。これからは気をつける。」

気まずいままゴンドラから下りる。

でも相変わらず私は仕方ないとしか思わない。

だって世の中って言うものはそう言うものだから。

アリスの意思は変わらない。

Re: 秘密 ( No.202 )
日時: 2014/01/13 14:59
名前: 雪 (ID: OK7TThtZ)

ゴンドラを下りると涼しい風が頬を撫でる。

マリーに叩かれた頬がひりひりと痛む。

「私の意見は曲げないよ。」

小さくポツリと呟く。

近くで聞いているのは圭だけだ。

圭にだけなら話せる。

「だって、仕方ないことじゃない。それで皆を心配させたのは申し訳ないけど…でも仕方ないとしか思えない。」

それでも…

「でも…私は私のためだけに生きている訳じゃないって分かって…嬉しかったのも事実だよ。」

相変わらず仕方ないとしか思わない。

それが分かって良かった。

少しは根を詰めるのは辞めよう。

「心配させない程度に…またお金は返すよ。」

早くに弱みを消しておきたかった。

残しておいて後々マリー達に手が回るのを防ぎたかった。

ああいう連中は何をするのか分からないからな。

「忠告有難う。」

「うん…それでいいと思う…」

あの時。

正直自分が情けなかった。

マリーの声に賛同する様に声を上げた。

マリーが上げなかったらきっと声もあげられず自分に嫌気がさすばかり。

「圭といる時が一番ほっとするみたい。」

その言葉に不用意に頬に朱が染まる。

だが全然嬉しくなんかなかった。

僕にはなにも出来ていない。

アリスの心を救う事も…傷をいやすことも…出来ない。

その言葉はむしろ圭の心を傷つけた。

何もできないのに自分に掛けられたその感謝の言葉が…とても重い…

アリスには分かっていた。

自分にはなにも出来ないと思っている圭の気持ちが。

そう言った優しさが好きだ。

目をつぶって…何も知らないふりをすればそれで終わりなのに。

感謝の言葉で救われないのは分かっている。

自分の問題を圭に話して重荷をかけてはいけないのだ。

「圭はちゃんと私のためになってるよ。」

ポツリポツリとゆっくりと圭の体にその言葉が沁み込むように。

「本当に申し訳ないと思っているんだよ。私のことに勝手に巻き込んで。
でも…今まで私には話を聞いてくれる人すらいなかったんだよ?
だから…とっても助かったんだ。」

でも…それが重荷になると分かって話したことには今でも罪悪感を抱く。

重荷を背負う必要のない人間に背負わせてしまった。

酷い奴だ。

分かっていてもついつい頼ってしまう。

話を出来る相手は初めてだから。

それがいかに無責任なことだったか。

「無責任なことって思ったでしょう。」

表情が固まる。

「でもそれってさ…僕がアリスを救えないって思ってるからそういう結論になる訳でしょう。」

じゃあさ…と圭は続ける。

いつもは圭の心を見透かすように次の言葉を当てられるアリスも言葉が詰まった。

先の言葉が予想できない。

「待ってて。何時か僕がアリスを闇から救うから。
待ってて。いつかアリスを助けるから。だからそれまで…待ってて。」

大きく目が見開く。

!?

意味が分からない。

救う?

何を言っている?

どういう意味…

言葉の意味が理解できない。

皆自分のために生きる。

自分のことが可愛くて…自分のために生きる。

他人とは助けるものではない。

利用するためだと思っていた。

私も圭達は私の寂しさやそう言ったものを埋めるために利用していると思っている。

「人は…人を利用するために…私だって…ずっと…」

救うと言った圭の言葉が理解できない。

「アリスの場合は利用じゃなくて必要なのかもしれないね。僕はアリスを必要としているけどな。」

必要…

人は皆寂しさや愛しさを紛らわすために他人を利用する。

でも…必要としているとは思ったことがなかった。

「…うん。…確かにそうかもね。」

そう言って彼女は優しく微笑んだ。

随分と表情が和らいでいる。

再会してから彼女の表情は和らぎ、彩られ続けた。

遠くからマリーが私の名を呼ぶ声が聞こえた。

「行こ。」

Re: 秘密 ( No.203 )
日時: 2014/01/13 15:52
名前: 雪 (ID: OK7TThtZ)

〜・29章 夏休みその5・〜
ゴンドラを下りると一旦別荘に立ち寄り、夜まで待った。

それまで浴衣に着替えたり、おやつを食べて時間を潰した。

必要としている。

その言葉は凄く心地よかった。

時間になると町へ下り、浴衣を見せびらかしに祭に出た。

「似合っているよ、アリス。」

「有難う。」

嬉しそうに笑う。

アリスは圭と。

マリーはリンと。

祭を回ることになった。

お互いの利害が一致してわざと人ごみではぐれた様に装った。

「あのね、圭。私ずっと考えたんだ…圭に言われたこと。」

さりげなく圭と手を繋いだ。

圭はその手を振りほどくことなく優しく包み込んだ。

「そしたらね…」

温かくて…心地いい。

圭と出会って私になにかがもたらされた。

そしてそれは私は1人ぼっちではなく優しくやわらかなものになれたのだ。

それが何かは今は分からない。

でもこれから知ればいい。

「…私は幸せだと思った。」

静かに柔らかな表情をした。

Re: 秘密 ( No.204 )
日時: 2016/07/27 23:35
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

一方マリーは…

「アリス…大丈夫でしょうか…?」

「心配か?」

「ええ…でも…あれで救われればいいのですが…」

そのはずもないと、マリーは分かっていた。

「後はしばらく時間をおくしかない。」

無愛想でぶっきらぼう。

それでいて笑うと可愛くて本当は優しい。

そして…私を救ってくれた救世主。

でも…

「アリスが心配ですか?」

ッ!?

驚いたその顔にはいつもには見られない恥ずかしそうな顔をした。

そう…———リンはアリスが好きなのだ。

そんなこと…とっくに分かっていたのに…今でも胸が痛む。

「…リンは相変わらずアリスばかりを見ていますのね…」

圭はいつもリンの少し先を歩いている。

それはスポーツでも。

勉学でも。

そして…今では恋にしても。

それは幼少期からのくせだった。

病院を経営している家に養子として迎えられたリンは欲しいものは手に入るし、成績もすこぶる良かった。

だが体は少し弱かった。

最初はいつも自分を追い抜く圭に対抗してきた。

頭も運動神経も割と良い圭。

リンは病院の跡取りとして、病弱な養子という引け目を払拭しようと。

あるいは、立場をなくした1人の少年として。

張り合っていた。

今からすれば、子供の様な見栄だったと軽く思うほど幼い感情だった。

けれど当時は本気だった。

ひたすら、がむしゃらに努力して、圭より優れた成績を修めた。

負けるわけにはいかなかったよ。

圭とは背負っているものが違うから。

だが根本的にかなわないと思った。

成績など、形にばかりこだわっている自分がとても恥ずかしくなった。

圭はもっと先を歩いているの。

家や成績や負い目を気にしてばかりの自分が、恥ずかしかった。

それ以降自分の力で生きて行こうと決めた。

病弱がなんだ、負い目がなんだ、養子?だからなんだと言う。

自分のまま、今の両親に恩を返そう。

恥じる事のない様、努力しよう。

周りの為ではなく、自分の為に。

そして圭と争うのをやめて、自分の為に努力した。

今では成績もスポーツも、圭より優秀だ。

根本的に、勝てないと幼いあの日に悟ったから。

それでもアリスだけは譲れなかった。


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