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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.577 )
日時: 2016/02/24 00:07
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「アイザックからは、もう大事なものを貰ったね」

私の胸元で、いまだにアイリスのアクセサリーが揺れている。

腕には誕生日に貰ったブレスレットが。

アイザックはいまだに俯いている。

そんな顔をしないで。

「巻き込んで…、ごめんね」

もう会えない。

それはやっぱり寂しい。

離れたくない。

そういう想いが、まだ私の中にある。

それは否定できない。

「…それ、二回目」

きっと、彼らがいなくなった後。

また泣いてしまうのだろう。

だから、今は精一杯笑う。

心の底から。

「君達と会った日は、毎日とても楽しかったよ。」

ありがとう、と小さくお礼を言う。

想いは伝えない。

伝えられない。

彼の仕草や笑顔、行動にいちいち目がいって。

「手を振って別れる時は、何時も次に会う時のことを考えていた。」

花や星を見ると、アイザックのことを思い出した。

城にいる時でも、アイザックのことを想うと景色全てが優しく映った。

「誕生日もくれた」

誕生日が分からない私に。

彼らと出逢った日を誕生日として授けてくれた。

「…ずっと、傍にいたかった」

大好きだった。

会える日は嬉しくて、贈り物されたら飛び上がりそうだった。

触れられる度に体温は上がった。

愛しい気持ちに戸惑いながらも、楽しかった。

「とても、楽しかった。」

少し私より身長が高いアイザックを見上げる。

人見知りで、臆病なのに。

四人でいる時は、ものをはっきり喋って。

自分の力の無さを理解し、恥じ、強くなろうとしていた。

誰かが傷ついていると、何もできないことに苦しみながら傍にいた。

だからこそ、必死に傍にいようとしていた。

それで不慣れなことをしたり、頑張ったりするような奴。

そんな不器用で、強くて、温かいアイザックのことが。

大好きだった。

「傍にいられて、幸せだったよ」

今ならハッキリ明言できる。

これが幸せだと。

私が出来る、最高の笑顔で。

アイザックの顔を見上げる。

「傍で幸せをくれて、ありがとう」

ブルー・スターの花言葉は。

『幸福な愛』

Re: 秘密 ( No.578 )
日時: 2016/06/13 23:25
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

最後の最後に、言葉を交わすことが出来て良かった。

彼らの前では、最後までアイリスでいたい。

出来ることなら。

アイザックの穏やかで静かな笑顔を。

最後にもう一度見たかった。

それが例えこんな状況になろうとも。

何時追手が来るかも分からない、今みたいな状態でも。

彼らに最後の別れを告げたかった。

…きっともう、会えないから。

感謝の気持ちを、伝えたかった。

伝えきれるものでは到底ないけれど、それでも。

「傍で幸せをくれて、ありがとう」

精一杯の想いをこめて伝えられた。

途端にアイザックに抱き寄せられ、温かい唇を重ねていた。

突然のことで、とても驚いた。

涙を流したのは、私なのか彼なのか。

少ししょっぱい味がした。

けれど、同時に胸の中から温かな気持ちが芽生えた。

芽生えた気持は、瞬く間に胸を満たしてくれた。

幸せだ。

そんな気持ちが、言葉が、すとんと胸の中に落ちていった。

元あるべきところに戻った様に、綺麗に嵌まった。

私の欠けていたものを、彼らが埋めてくれた。

その実感があった。

私は、彼らが大好きだ。

彼らには抱えきれないほどの幸せを受け取った。

今、私の胸はとても穏やかだ。

先程までの焦りも、不安も、恐怖も、どこかにいってしまった。

この胸を満たす、思い出と、幸福感と、好きと言う気持ちが。

今は私を温めてくれる。

このキスが、アイザックのどんな気持ちから派生したものか分からない。

好意だったかもしれないし、同情かもしれない。

けれど。

大事な思い出、大事な気持ち、最後にはキスまでしてくれた。

何度も会うことが出来たし、何度も横顔を見つめることが出来た。

私はなんて恵まれているのだろう。

アニエスにいる、誰だって。

こんな幸せな想いはしたことないだろう。

唇を離した後、暫く見つめあった。

アイザックの頬は赤く染まっていて。

きっと、私の頬も赤かった。

「またね」

アイザックは、最後に笑った。

私が大好きな、何時もの笑顔で。

「またね」

私はこの時、確かに一生分の幸せを貰ったんだ。

Re: 秘密 ( No.579 )
日時: 2016/02/29 23:45
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

リボンで束ねられた百合を抱え、唇の感触と笑顔を反芻する。

彼らとは真逆の、来た道を引き返す。

これで、もう心配はいらない。

私は大人しく城に戻り、もう彼らに会わない。

それでいい。

抱えきれないほどの幸せを貰った。

彼らがくれた贈り物が、これから先も私を励ましてくれる。

私が“アイリス”であったことを証明し続けてくれる。

幸福な時間があったことを、思い出させてくれる。

だから、もう良い。

今までの日のこと。

私が忘れない限り、何時までも美しいまま心にとどめておける。

彼らには彼らの人生を歩んでほしい。

彼らはもう、自由だ。

そんなことを少しでも思ったのが、間違いだった。

Re: 秘密 ( No.580 )
日時: 2016/03/09 20:17
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・120章 一生分の哀しみ・〜
パンッパンッパンッ

突然発せられた三発の銃声。

遠くで、彼らが倒れるのが見えた。

拳銃を構えているテオドール。

悲鳴すら、聞こえなかった。

ただ人が倒れる音と、銃声だけが私の耳に届いた。

彼らが贈ってくれた花。

私が抱えていた百合が、ぼとりと足元に落ちる。

白いダイヤモンドリリーの花言葉は。

『また会える日を、楽しみに。』

Re: 秘密 ( No.581 )
日時: 2016/03/16 18:33
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「…で、今に至る。」

足を組み、膝の上で頬杖をつきながら懐かしそうに話をした。

表情には愛しさがにじんでいて、彼らが本当に大切な存在だったことがうかがえる。

「今でもよく思うんだ。彼らと出逢わなければ…とは思えない。
でも、私の立場や身の上を話しておけばよかったって偶に思うんだ。」

はあ、と小さく溜め息をつく。

「結局、私は彼らを心の底からは信じられなかった。
いなくなってしまうんじゃないかって…怯えてばかりいた。」

エリスは遠く、宙を眺めながら呟く様に告げた。

その目は虚ろで、蒼い瞳がただのガラス玉の様に見えた。

「でもどこかで…離れていかないことが分かっていたから、怖かった。」

どんなことを知っても。

離れていかない。

そういう相手。

エリスが出逢ったのは、そういう相手だったんだね。

「…意外だった。」

「何が?話したこと?」

からかう様に、こちらを見てきた。

見ている、筈なのに。

やっぱりエリスの目は私を通り過ごした何かを見ていた。

「包み隠さず話すんだとは思ったけど…違う。
そんなことがあったなら、もうテオドールの所にいる必要がないのに。」

私なら。

彼らが消える瞬間を目の当たりにしたら。

…きっと許せない。

昔は外で生きていくすべがなかったかもしれない。

でも、今ならアニエスから逃れる術もあるはずだ。

「一応は恩人だよ。いなかったら、私は彼らに出逢うこともなく道端で死んでた。
勿論だからって、許せる訳じゃないけど。でも、殺したくもないんだ。兄弟のこともあったしね。」

兄弟。

名前もついていない、エリスの兄弟たち。

そんな兄弟の為に、命を張れるものなの?

「それに、全部は話してない。
アイザックに私が惚れるのにもちゃんとしたプロセスがあるんだよ。
それは誰にも話さない。私だけの胸に一生抱えていくって決めてるんだ。」

ああ…

楽しそうに笑う。

あの時とは、大違い。

アイザックを好きになった…きっかけ。

いなくなっても、忘れることが出来ない。

もう、傍にいられなくても愛しいと想える存在。

エリスの中でそんな存在になった、きっかけ。

「覚えていないかもだけど、アリスには本当に助かったんだ。」

私は昔のことはあまり覚えていない。

人の思い出、と呼ばれる『エピソード記憶』をつかさどる場所を。

人間関係を経つという目的で消してしまっている。

だから、私は幼い頃のことは断片的にしか覚えていない。

圭たちと出逢ったきっかけすら、私は覚えていない。

「彼らがいなくなってからしばらくのことは、少ししか覚えてない。
苦しんでたのは知ってるけど…助けた覚えがない。」

彼らがいなくなってからのエリスは、あまりにも痛々しかった。

その頃は、牢をでてトレーニングを受ける時間があった。

その時に、エリスにわざと強く技を掛けられたりした。

「枯れそうなってた花冠とか、百合を生かす方法を教えてくれた。」

…やっぱり覚えてない。

「レジン液っていう…アイザックがいっていた樹脂。
あれ、市販されている物なんだけどそれを直接花に塗ればいいって。」

ああ、とその方法には直ぐ思い当った。

「花の質感や繊細な色合いをそのまま残す方法だね。花の形をそのままに留める方法。」

「そう、それ。おかげで助かったよ。結局アイザックに教えてもらう前にいなくなったから。」

大事な人を失ったエリス。

彼らが残した花や贈り物が、唯一の心の支えだったのだろう。

それほど、大事に想えるような存在だったから。

「あいつ等がいないけど、その分私は生きていこうって。
あいつ等の分まで、外の世界を見て、自由に生きようって決めたんだ。」

勝気で大胆で、何処までも真っすぐなミーナ。

冗談ばかり言って、何時も3人を引っ張っていたルーク。

不器用だけど、仲間思いでズバズバ物を言うアイザック。

「だから、何時も笑っているのか?」

珍しくリンが口を挟んだ。

そして、鋭い。

「私はあの日自分に約束したんだ。この先も笑って行こうって。」


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