コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.537 )
- 日時: 2015/08/27 18:57
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「そろそろ戻るぞ。」
肩車をしていた子供を降ろすと、こちらに言葉を投げた。
「じゃあな、また来るからな」
トールは馴染んでいるようで、子どもたちが惜しんでいた。
砕けた口調で、荒っぽく頭をなでる。
力強くて、それでも子供たちは嫌がるそぶりはない。
子供たちにとって近所の御兄さん、と言った感じなのだろう。
そんな想像が安易に出来るほど、子どもたちがトールを見つめる視線には。
親しみや親愛が伺えて、警戒心がこれっぽちも無かった。
「お姉ちゃんもまた来るから。」
体力的なもので抱っこはまだ難しくて。
絵本も無かったようなので、口頭で物語を語り薀蓄を垂れた。
自分がかなり説明が下手なのには自覚が合った。
要所要所を摘まんで話すのが苦手だ。
ここも良い、ここも外せないと、ともかく話が長くなってしまうのだ。
「今度はもっと本を持ってくるし、絵本も持ってくるね。」
しかも子供にも分かるように説明をするのが、意外に難しい。
けれど、子どもたちも文句を言いながらも楽しんでくれた。
自分の培ってきた経験も織り交ぜながら話すと、笑ってくれた。
子供とは接する機会もなく、難しい言葉を使わない様に選ぶのにも苦労した。
「アリア」
再びアリアの髪をなでる。
「今度、髪を切ろうね。お姉ちゃんが切ってあげる。」
鋏のジェスチャーをする。
口数が少ないアリアにはジェスチャーを交えた方がいいと、今日の経験。
「折角綺麗な髪なんだから、綺麗に揃えよう?」
アリアは少しだけ頬を赤らめてコクン、と頷いた。
アリアは顔立ちは普通に整っている。
髪型を整え、笑う様になればもう普通の子と変わらない。
ぬいぐるみとかも欲しいな。
…作れるだろうか?
色んな子どもと遊び、心身ともに疲労しながら。
私とトールは帰路についた。
名残惜しそうな子供たちに手を振ると、嬉しそうに笑顔を返してくれた。
子供とは、あんなに重いのか。
あんなに笑うのか。
全然、知らなかった。
…あれが、父の守りたかったものか。
トールの来訪を嬉しそうに笑って。
髪を切ってあげると言ったら、恥ずかしそうに頷いたアリア。
そう思うと、無下にも出来ない。
こうやって町を歩いていると、今までには見えなかったものが見えて来る。
私は何も知らなさすぎた。
答えはいつだって、目の前にあったのに。
私は、気付こうとしていなかった。
「父は…何時くらいになりそうだ…?」
「長くても、今年いっぱい」
…想像は、ついていた。
もう長くないことは。
「…そうか」
そっか。
…そっか。
私は、この先の道を。
どの方角へと進んでいくべきなのだろう。
この国に留まるべきか。
それとも、光ある場所に行くか。
でも、この国を捨てて光のある場所に行けるだろうか。
あの場所は確かに心地よくて、温かな光で満ちている。
「そういえば…テオドールに手をあげたのは、初めてだな」
思い出した様に、トールが問いかける。
こいつと並んで歩く機会も、増えて行くのだろうか。
こいつの目にはこの国を私よりも沢山見ている。
こいつも父の代わりに私を隣にして歩く日が増えるだろう。
「…そうだな。覚悟を確かめたかった。殺す気はなかった。
けど、もしかすると…傷つけていたかもしれない。」
思い出す。
父の首を締め上げた、感触。
首筋に当てた、冷たいナイフ。
何処までも平坦な声。
変わらない表情が、少しだけ緩んだ瞬間。
民だと答えた、瞬間。
「傷つけることは…出来なかったと思う。」
きっとあの父を傷つけることは、もうできない。
母の仇。
私の仇。
「どうか父を、守ってやってくれ。」
何処までも民の為に生き続けた男。
父のやってきた行いの痕跡を、私なりに1つ1つ辿ってみた。
何時だって、突き放すような態度で接してきた。
それも、訳合ってのことだったのではないか。
「父に刃を向けるのは私だけだ。」
それだけは絶対に忘れない。
父の一面や真実を知ってしまった。
それで殺意が鈍ってしまった。
私が父を殺せるようになるまで。
誰にも殺させない。
私を守ろうとしてくれた母としての温かさが。
私にとっても、とても愛おしいものだから。
父を生かすことはその想いをを否定することになるから。
「やだね」
「どうして?」
「テオドールを殺すのは、俺だからだ。」
テオドールの傍にいると面白い。
使えている訳じゃない。
彼は確かにそう言っていた。
「殺すのは、俺しかいない。」
ふっと笑う。
それだけで、ある程度のことは想像がつく。
「それはどうかな。」
- Re: 秘密 ( No.538 )
- 日時: 2016/04/23 21:28
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
城門から堂々と歩いて入るなんて、初めての体験だった。
城と言ってもみすぼらしい。
大きく、荘厳だが、私用の部屋はボロボロで風がビュービュー吹き抜けて肌寒い。
屋敷仕えの人も少なく、使っていない部屋には蜘蛛の巣だって張っている。
綺麗になっているのは客人用のところだけ。
父は自分の身を削り、この国を作りあげた。
大国に囲まれながらも。
領地をここまで狭められても。
国を保っている。
例え、知る人が僅かだとしても。
それは父の手腕だからこそ、行えたのだ。
ここはまだ王都。
外界とを隔てるあの崖の先にも、少しアニエスの領土が広がっている。
けれど、あの崖を越えたら見える世界が違うらしい。
基本的には貧しい人達が暮らしている。
けれど一部では医者が足りずに病が流行っている地域があり、移動する力がない女や子供、老人がいるらしい。
そこから必死に介護をしても、命を落とす人が多いらしい。
「幽がそろそろ帰ってくるらしいぜ」
アニエスの地図に目を通しながら、着替えをする。
ついたての向こうから、トールの声が聞こえた。
王都は崖で囲まれ、簡単には入れない。
崖を越えた所にもアニエスがあり、そこを再び崖が囲っている。
つまりは、王都は二重の崖に囲まれているのだ。
アニエスと言う国自体、崖で外と分断されていて。
王都とそれ以外の町との間にも崖が存在する。
国外に出るのも、王都に来るのも大変だ。
「幽…?」
当分アニエスに戻ってくる予定があるとは聞いてない。
涼風に待機し、圭たちと学校生活を送るはずだ。
私がいざという時逃げない様。
何時でも圭たちに危害を加えられるよう。
「…職務放棄じゃないのか?」
呆れたように、呟く。
丁度着替えも終わった。
黒いドレスに、マント。
真っ黒な三角帽には赤いレースの刺繍されている。
魔女を連想させる格好だ。
少し踵のあるハイヒールも黒い。
演説用の試着だ。
私の独断で勝手に製作した。
「いや、職務はちゃんと全うしている。」
…?
疑問が頭をよぎったその時。
眼下の閉じられたはずの城門が、再び開く。
「じゃっじゃじゃーん!ようこそ王城へ!!」
聞き慣れた声。
その声を先導に足音が聞こえた。
「…圭」
何時だって、地球の裏側に行っても追いかけて来る。
そんなことを、約束した。
あの、真夜中の病室で。
それから彼は本当に追いかけて来てくれた。
それが嬉しくて。
でも、近づけさせたくなくて必死だった。
圭の口が、小さく動いた。
聞こえないけど、名を呼ばれた様な気がした。
それだけで、全身に熱が走る。
「1人の予定なんだけど、2人増えちゃった♪」
- Re: 秘密 ( No.539 )
- 日時: 2015/09/13 23:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「マリー!?リン!?」
圭の後ろについて来た、2人の姿に目を疑った。
圭だけなら分か…らなくもないが、2人を連れて来られたのは初めてだ。
控え目どころかズカズカと、と言うほど遠慮がなく歩いていた。
「アリス!」
渦を巻くように伸びている階段を、まず先にマリーが駈け上る。
今私がいる所は高さ的には2階。
直ぐ追いついて、首に腕を伸ばししがみついてきた。
「心配、しました…!圭から話を聞いて…勝手にいなくならないで下さい…!」
声が泣きじゃくっているみたいに、震えている。
いつもいつも、心配ばかりさせていた。
自覚はあった。
でも、仕方ないことだと思っていた。
私はここから離れられないし、今回は留まるつもりで来た。
「…ごめんね、マリー」
何時も相談に乗ってくれて、背中をバンバン叩いてくれる。
真っすぐで、一途なマリー。
1人の人をずっと好き続ける。
10年もの間。
好きな人が、別の女の子を見ていても。
それを笑顔で隠し、想い続けた。
そんな強かな女の子。
大好きだった。
「ここでやらなきゃいけないことを見つけちゃったの。
私にしかできない。…ううん、私がやらなきゃいけない仕事。」
マリーの細い腰に手をまわして、抱きしめ返す。
どんなときだって、こうやって無条件に抱きしめて。
涙をこぼしては心配してくれる。
そんなマリーを強くて、人間みたいだと思った。
いつも羨ましいと思っていた。
ずっと、尊敬していた。
「…アリス?」
「こうやって抱きしめられたりすると…迷ってしまうから。」
腰にまわしていた手を緩ませる。
マリーはリンと付き合ってからは、本当に幸せそう。
大人びた…というのだろうか。
もともとの容姿もあるけれど、なんというか雰囲気が変わった。
リンも。
更に強く、たくましく、大人っぽくなった。
相手を想い、想われることを受け止めて。
どこか人としても成長をしてるみたいだった。
「ようこそ、マリー」
いつからか後ろにいたリンに向き合う。
「久しぶりだね、リン」
「…唐突過ぎるんだよ」
リンの背中に手を回す。
クリスマスに私をおんぶした時よりも、背中が大きく感じた。
皆、変わっているんだ。
本当に自分を必要としてくれる存在を胸に抱いて。
そうやって強くなっている。
リンを見て、私も強くなりたいと思えた。
2人みたいな恋をしたいと、心の底から思えた。
「ごめんごめん、今度からは少し気を付けてみるよ。」
リンから離れた後、圭と向き合う。
圭の頬がこけていて、少し痩せていたようだった。
…想像には、固くない
「手紙、読んでくれた?」
幽に伝えておいてと頼んだ手紙。
誰かに当てて手紙を書くなんて初めてだったけれど。
「読んだよ。」
幽は…ちゃんと渡してくれたんだね。
なにを考えているか分かりづらくて、苦労している。
完全記憶能力と…それ以外の特異点。
私の代用品。
私の真似ばっかりだ。
そして私も、きっとそれを強制した。
「…そっか」
それだけを言うと、圭の背中に手をまわした。
弱弱しく、やっぱり痩せたなと実感した。
「人間であることを、誇って。」
圭と離れる時、にっこりとほほ笑んだ。
圭も微笑み返してくれた。
そうして、3人と向き合って私はまずこう告げた。
こう告げるべきだと、分かっていた。
「ようこそ、アニエスへ。」
- Re: 秘密 ( No.540 )
- 日時: 2015/09/16 15:36
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・110章 友人たちの滞在・〜
「とりあえず、諸々の事情で暫く日本まで飛行機を飛ばせない。」
トールも私も幽もエリスもアレクシスも、残念ながら予定がある。
そうそう飛行機を飛ばすことはできない。
財政難もアニエスの抱える問題の1つだ。
「と言う訳で、暫く王城に留まってもらう。」
まあ、どの道飛行機が合っても彼らはきっと帰らない。
そのことも分かっていたから、今回は割と早く決断できた。
アニエスに3人を留まらせるなんて。
昔はもっと迷っていたと思うけれど。
「衣食住の心配は無しとして…」
部屋はボロイが、余っている。
見た目だけはちゃんとしておかないと、なめられるから。
彼らに私がここにいることに納得させるには…
現状を見てくれれば一番手っ取り早いのだろうけど…
気はそこまで進まない。
アニエスの現状を見せるのは、見ていてつらいものがある。
…でも、判断をするのは彼らだ。
「とりあえず、客人用のパンフレットは渡すから好きに見学して。」
父はこのことをずっと前から知っていて、もう了承済みらしい。
顔も合わせず、トールから言伝を聞いた。
あれ以降、父とは顔を合わせていない。
「私はもう見飽きたから。」
それは嘘。
城の中等なかなか出歩かないから、ハッキリ言うと良く分からない。
けど、もう歩いて覚えた。
「この部屋にいるから、好きにみて。
万が一、誰かに聞かれたら幽の招待といえば大丈夫だから。」
私は彼らを置いて部屋に戻って、パソコンを起動させる。
一通り書類に目を通す。
今の私には特別な仕事は無い。
王になると、決めてはいたが父にはまだそのことを言っていない。
書類に目を通して、それで仕事は終わりだ。
けれど、個人的な用事はまだある。
アリア達にあげるぬいぐるみや絵本を作りたいのだ。
画力の問題はともあれ、話のあらすじだけは大まかに決めておきたい。
やはり一般的に童話とか…?
国境に囚われず、なおかつハッピーエンドのものが良い。
ぬいぐるみも何の動物が良いだろう?
狼などの凶暴なものも可愛い顔にすれば大丈夫のはず。
アリアの為の髪飾りとかもあると良い。
綺麗な髪なのだから、短くても使えそうなものが良い。
パズルとかも頭の回転を速めてくれそうだ。
段ボールとかを使えば、お金もそこまでかからない。
廃材とかで積み木も良いな。
角を少し丸めて小さくしておけば、小さい子でも遊べる。
凝ったものじゃなくても、手作りって響きは良いな。
私には味わうことが出来なかったものを、与えておきたい。
手作りのおもちゃも、散髪もしてもらったことはないけど。
私は今でも母のことを愛おしく思っている。
けど、もっとたくさんの私を色んな事をしてもらいたかった。
色んな事を教えてほしかった。
私の成長を、近くで見てもらいたかった。
そんな想いが無い、なんてとてもじゃないけど言いきれない。
あの子たちには、同じ思いをしてほしくない。
お菓子とかの差し入れも良いけど、食べすぎは良くないから。
虫歯予防に、今度はお茶にしよう。
…
子供は嫌いだと、思っていた。
無鉄砲で、デリカシーがないし、直ぐに懐くし、慣れ慣れしいし。
目を離すとなにをしでかすか分からない。
失礼だし、不作法だし、悪戯するし。
子供は…嫌いだ…
嫌い…
そう思っているうちに…案外、私は子供好きだったのかもしれないと思った。
悪戯っぽい彼らに振り回されながら、思い返すとやっぱり笑顔が浮かんでしまう。
もっと笑って欲しい。
喧嘩も沢山して、その分沢山仲直りをしてほしい。
生きている世界は辛いかもしれない。
けど、辛いだけじゃない。
少しでもそう想っていて欲しいから。
私が圭に出逢うまで気付けなかったこと。
美しいとも、優しいとも、思えないけど。
それでも、と思えることがある。
だから、小さいうちにこういう思い出をたくさん作ってあげたい。
- Re: 秘密 ( No.541 )
- 日時: 2015/09/22 15:29
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「不思議です。アリスの故郷で、裁縫をする日が来るなんて。」
布は真っすぐ切れない、絵本の絵も上手く描けない。
そんな訳でマリーに裁縫を教わっているのだ。
縫いぐるみなんて縁がなくて、どういうものが良いのか分からなかった。
マリーはその辺りは分かっていた。
流石は縫いぐるみに囲まれて育ったご令嬢だ。
可愛い図案まで綺麗な線で書いてくれた。
私は編み棒を使って、編み物の練習をしている。
マリーは縫いぐるみを縫いながら、たまにこちらの様子をうかがってくれた。
「私も思わなかった。」
リンと圭は物語の内容を考えて、それを絵にしようとしていた。
子供向けの話、と言うのは難しい。
一般的な童話のタイトルをあげて、それについてアレンジをいれつつ直している。
マリーはそれに助言までいれている。
私も童話は門外漢なので、圭たちが読みあげる物語に耳を傾けていた。
不可解で意味が分からないものもある。
現実的じゃない。
「…そのかちかち山って、また凄い話だね」
殆んど聞いたこともない話。
強引で、不可解で、無理矢理なハッピーエンド。
突拍子もない話ばかり。
私には聞いたことのない話ばかり。
「最近は描写を控えているものも多いそうですが。
タヌキとウサギとおじいさんが和解しているラストらしいですよ」
それって物語を逸脱してないか?
ラストまで変わってしまうとは。
童話や絵本と言うのは酷く無理矢理なハッピーエンドだ。
世の中、そんなに甘くはない。
「最近は学校の窓をあかないようにしたり、ジャングルジムなどを危ないと非難している。
そうやって、公園や学校から遊具を減らしたりもしているらしいですよ。」
「大人気ないな…」
リンの感想に同意だ。
「小さいうちに転び方を知らないとね。」
言って聞かせるよりも感覚で理解させないと。
転んだら痛いって言うよりも、体感した方が分かる。
それと一緒。
「モンスターペアレンツとか、バカバカしい。
子どもを弱くして、ちょっとした逆境に負ける人間にするだけ。」
よくニュースや本で見かける。
給食を食べさせるだけで虐待と罵られるなんて間違ってる。
教師も大変だ。
好き嫌いをしないように、苦手なものも食べられる様にいておかないと。
大人になって残すのは、マナー的にもよくない。
「私は少し辛いことがあるくらいが、子供としては丁度いいと思う。」
あっ、今の編み方これであっていたかな…?
ちょっとひやり、とする。
マリーはスパルタだから…間違えると後が怖い。
「親はずっと傍にはいてくれない。逆境も苦しみも、人生に必要なものだよ。」
結局は自分の力で生きていくのだ。
この独り立ちを阻害する親など、実にバカバカしい。
…私は誰かの親になったことないけど。
優しい、甘いだけの人生なんてつまらない。
苦しみや逆境があるからこそ。
日常を幸せだと感じられるのだ。
「可愛い子には旅をさせよ、だね」
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