コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.357 )
- 日時: 2014/05/24 17:48
- 名前: 雪 (ID: 0n70nVys)
…圭は…私のこと…どう思っていますか…?
心に浮かんだ言葉。
けれど顔を真っ赤にしている圭を見る限り、どうやら私は口に出してしまったらしい。
「えっ…?」
顔が真っ赤になる圭に影響されたのか頬に熱が段々と蓄積されている。
私は圭に告白もどきをしたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
聞き間違い?
いやいや、確かにアリスは口にした。
でもアリスのことだし案外大して深い意味はなかったんじゃ…
そんな余計なことに頭の大部分は使われた。
先程から何故アリスは何も言わないのだろう。
アリスの方に目をやると彼女は恥ずかしそうに顔を伏せていた。
冗談じゃない…?
「私は…」
アリスの恥ずかしそうな小さな声。
不覚にもドキッとしてしまう。
「圭のことが好きだ。大好きです。」
僕も…と続けようとした。
「でも…分かっている。」
諦めたように。
それでも恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら。
笑った。
「私は圭の住む世界とは違う世界の住人だから。傷つけたくない。」
傷つけたくない。
傍にいればいるほど圭の身も危うい。
そう思っていることがありありと分かっていた。
「だから…もうとっくの前に諦めたんだ。迷惑だってことは分かってる、それでも…言わせてくれて有難う。」
笑った。
悲しそうに。
遠慮そうに。
彼女はよく笑う様になった。
でも浮かぶ笑顔はまだ悲しそうな笑顔ばかり。
心から笑う事など…きっとできてないのだろう。
はぁ、と大きく溜め息を吐いた。
「ばっかじゃないの?」
えっ?と時間が止まった様に彼女の動作が止まった。
「アリスは知ってんでしょ?大切な誰かが目の前で傷付く…でも自分には何もできなくて…どうしようもないっていう苦しみを知ってるんだろう!」
僕も知っている。
アリスが傷ついてるのに助けられない。
そんな少しもどかしくて。
とても苦しい気持ち。
「辛くて、苦しくて、怖くもなったはずだ!
だからこそそんなに重たい衝撃は、誰かに押し付けちゃいけないものなんだ!
押し付けられた方がどんなに辛いのか、アリスだって知っているはずだ!」
もしマリー達が傷ついたら。
きっとアリスは苦しむ。
「アリス、苦しかったなら手を伸ばせばいい。僕が何度でも救ってやる!
話して欲しいんだ。アリス1人で抱え込まれたほうがずっと辛いんだ。」
話してアリスが救えるとは思わない。
けれど。
「何も知らないまま、また救えなかったともう2度と嘆きたくないんだ!!」
何も知らないままアリスが傷つくのなんて見ていられない。
話したくないならそれでもいい。
話すのが辛いことだってある。
僕だってアリスに話せてないことが沢山ある。
でも涙も流さずに苦しんでる姿は見たくない。
その為なら。
例え地獄の底からだろうと。
救い出してやるしかない。
完全記憶能力。
たったそれだけ。
それだけで人生がくるわされる。
間違ってるって自分でも分かる。
救わなきゃって思った。
「…どうして」
「理由なんてないよ!!でもそれはおかしいって!悔しいって!!足掻きたいって思ってるんだろ!!なら足掻けよ!!」
はっ、と息をのむような音が空気を振動して伝わってくる。
「アリスの力で今までどれほどの人を傷つけたのか知らない。
これからもアリスが悪で居続けなきゃいけない理由なんてどこにもない!
そもそもアリス何もしていないじゃないか!!
だから…自分のことで誰かを傷つけることを恐れないで。」
アリスのことで傷付くならその傷は必要なんだ。
アリスが誰かを傷つけまいと頑張れば頑張るほど辛い。
そっちの方がずっと辛い。
傷つけても良い。
1人で抱え込まないで。
誰かを守ろうとして傷付くアリスを見ている方が。
ずっと辛い。
例え自分が傷を負おうともアリスが傷を負うのを見ているだけなんて無理だ。
それなら傷付いた方がずっといい。
そう思う事がアリスにとっても辛いのかもしれない。
「大丈夫、僕はどんなことがあってもアリスの傍を離れないから。
傷つけても良いんだ。その程度で僕は傷付かない。その程度で僕は離れていかない。」
ホロリッと彼女の瞳から大粒の涙が零れた。
- Re: 秘密 ( No.358 )
- 日時: 2014/05/24 18:33
- 名前: 雪 (ID: 0n70nVys)
涙が流れている。
傷つけるのが怖かった。
でもそれより怖かったのは…圭達が離れていくこと。
・・・大丈夫、僕はどんなことがあってもアリスの傍を離れないから。
傷つけても良いんだ。その程度で僕は傷付かない。その程度で僕は離れていかない・・・
その言葉に自然と涙が流れた。
圭はふっと笑った。
人差指で涙をぬぐった。
「アリス」
恭しく跪いた。
「アリスのことが好きです。大好きです。」
はっ、と息が止まった。
ずっと願っていたはずのことだった。
想いが通じ合うのを。
まだ傷つけるのが少し怖い。
気持ちの整理が付かない。
あっという間にことが進み過ぎている。
圭の差し伸べた手に手を伸ばす。
けれど途中で手を止める。
「…ありがとう」
圭が顔を挙げる。
私は首を横に振った。
まだ眼の端にはまだ涙が溜まっていた。
「…気持ちの整理をさせてください。」
きっと顔が真っ赤なのだろう。
精一杯言葉を紡ぐ。
「圭のこと、よく考える。考えるから…少し…時間をください。」
圭は笑った。
笑ってただ1度だけ頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何時から好きだったのだろう。
私の何に惹かれたのだろう。
と、色々馬鹿な質問が頭を巡る。
嘘だ。
嘘だ。
圭が私を好きだなんて…
そんなの…
そんなの、嬉しいに決まっている。
枕に顔を突っ伏したままゴロゴロと布団の上をのたうちまわる。
「っ〜!」
声にならない叫びが口からほとばしる。
嬉しい。
その気持ちとは裏腹に
怖い。
友達より先に言ってしまう事はきっと圭を傷つける。
本当に圭の言葉に甘えてしまっても良いのだろうか。
私にはまだ人を信じるなんて高尚なことはできない。
だから余計に考えてしまうのだ。
明日は平日。
結論がどんなふうになろうと。
結論が出ようと出まいと。
圭と顔を合わせなければいけない。
それが苦しくも待ち遠しい。
- Re: 秘密 ( No.359 )
- 日時: 2014/05/25 13:20
- 名前: 雪 (ID: GgxfwrUK)
〜・66章 転入生・〜
「おはようございます。」
声する方を見ればマリーとリンが立っていた。
圭がいないのがまだ救いだ。
今は少し顔を合わせづらい。
「アリスに1番に報告したかったことがあるんですけど…」
恥ずかしそうに俯く。
気付けばリンまで顔が少し赤い。
グイッとリンの腕を引く。
マリーはリンを引き寄せると嬉しそうに、恥ずかしそうに笑った。
「付き合う事になりました!!」
「なっ!万里花…!!」
あっ…
名前呼び…
「何を恥ずかしがってるんですか?もうキスも済ませたというのに!」
キ、ス…?
「なっ!あれは…無理矢理…」
ふふっと思わず笑ってしまった。
「おめでとう、マリー!あんなにリンが好きだって悩んでたもんね!!」
あんなに悩んで。
あんなに苦しんでいた。
諦められないその苦しさ。
私も知っているから良く分かる。
「ちょっ、それは無しです!!」
再び頬が赤くなる。
「そういうアリスは圭とはどう何ですか?」
圭…
私は歩きながら昨日のことを簡潔に話した。
「へぇ〜!じゃあ今圭は宙ぶらりん状態ってことか。」
宙ぶらりん。
まぁ…そう言えなくもない。
「まぁ、でもアリスがこんなに一生懸命考えてるならたとえどんな答えになろうともきっと大丈夫ですよ!」
そうだといいのだが…
歩くうちに教室にたどり着いた。
「…このクラスにくるのもあとほんのちょっとなんだな…」
私は休んでばかりだったのでそこまで懐かしいと言った感覚はない。
けれど来年は違う教室になると言うと少し寂しいものがある。
今は合唱コンの練習期間中。
そう言えば指導役するとか何とか言った様な気がする。
教室に入ると何時来たのか圭とエリスがいた。
「おはよう、アリス。」
いつもと変わらない挨拶。
「…おはよう、圭。」
少し安心したようながっかりしたような…変な気分になった。
「は〜い、着席!!」
久しぶりの睦月の声。
「三田村は後で職員室に来るように。来なかったら進級できないと思え〜」
大方出席日数の話だろう。
流石に留年はしたくない。
知っている人の1人もいないクラスでもう1度1年生なんて御免だ。
せめて成績だけは学年トップを貫いた。
仕方なくHRが終わった後、職員室に向かう。
「成績は文句が無いけど…出席日数が相当にピンチだ。それと休むならせめて連絡をよこせ。
とりあえず、ここに各教科の先生の愛のた〜っぷり籠ったプリントがある。
これを消化して残りの日を毎日出席すればまだ進級の余地がある。」
連絡なんて寄越せるものなら苦労はしない。
「睦月先生、プリントです。」
やってきた生徒。
どこか見覚えがある様でない様な立ち姿。
「お〜サンキュ、朝霧。」
朝霧…
「あれっ?三田村?」
?
見たことはあるが名前までははっきりと思い出せなかった。
「ん?あっ、そーか三田村は知らないんだったな。転入生の朝霧だ。」
転入生…
思い出した。
たしか…
「…朝霧…連?」
小学校の時、一緒だった。
そしてこいつは私をいじめていた。
いじめの首謀者だった。
にっ、と朝霧が笑った。
- Re: 秘密 ( No.360 )
- 日時: 2014/05/25 14:07
- 名前: 雪 (ID: GgxfwrUK)
「失礼しました。」
礼をするといつもと変わらぬスピードで教室に戻る。
「久しぶりだな。」
「そうですね。」
ただでさえ人見知りだ。
隣を並んで歩くのには抵抗がある。
かといって先に走って教室に戻るのは疲れるから嫌だ。
考えているうちに相手の方が隣に並んできた。
「覚えてるか?」
「覚えてなければフルネーム当てられる訳ないだろ。」
いじめ。
言葉にするとあれだが、私は別に今こいつを恐れている訳じゃない。
蹴ったり殴ったりが当たり前で。
学級崩壊だってしていた。
私をいじめることで自分の身が守れるなら誰だってそうする。
彼らだって心を痛めなかった程ねじ曲がってなどいない。
首謀者であるこいつについても。
単なるお遊びの感覚だ。
別に私は閉じ込められて泣き叫ぶようなこともなかった。
密室からの脱出はその頃から慣れていたから。
学校の鍵など作りも簡単だし。
私はこいつに興味などなかった。
だから何をされてもさほど気にはしなかった。
バカバカしかった。
教室に着くとカタンッと朝霧は席に着いた。
その席の横を私が通り抜けようとした。
その方が席に近いからだ。
カクンッとつんのめった。
朝霧が足を引っ掛けたのだ。
やることは小学校の頃と何も変わっていない。
綺麗に身をこなし、転ぶことなく席に戻った。
ずっしりと重いプリントの山を机の上に乗っける。
「そのプリント、どうしたの〜?」
「進級するためにやれってさ。いいな、エリスは。
お前も私と同じぐらい休んでるじゃないか。不公平だ。」
「私は転入生だから〜☆」
エリスは成績も良いし、出席日数以外に問題はない。
私もないのだが…
ぶつくさ言っても仕方がない。
とりあえず1番上のプリントから取り掛かった。
後ろからその姿を悔しそうに歯ぎしりした連がいた。
- Re: 秘密 ( No.361 )
- 日時: 2016/04/15 04:24
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
合唱コンの練習。
私が休んでいる間にいつの間にか選曲も指揮者も決まったらしい。
けれど監督としての役職からは逃げられない。
引き受けてしまったから。
「ストップ。」
私は耳は良い。
「1番後ろの列の右は時から順に…OK、もっと声を出す、高い声を出す、歌う途中にあくびをしない、音程おかしい、OK、OK、もっと声出す。」
1人1人の声を明確に聞き分けられる。
「3人1組になってこっちに集合。」
面倒くさいが帰るとまた睦月がうるさそうだ。
進級できないとかなんとか。
「臍のあたりを押さえて…あーって、ほらやってみ。OK!1回全員で合わせるよ。」
ある意味で今までで一番人と関わった様な気がする。
心の底から優勝を目指す奴なんてそうそういないだろう。
だが、やるには徹底的にやるのが私の趣味だ。
「ストップ。朝霧、やる気が無いなら帰ってもらって結構だ。」
朝霧は性格をまんま反映させたように制服ははだけている。
ちゃらちゃらとしているようなイメージが拭いきれない。
「私も優勝!なんて暑苦しいことは嫌いだが、やると決まった以上はやる。優勝を目指す奴がいるから私はここにいる。
目指す気が無いなら私は帰る。
連帯責任、という言葉は嫌いでね。お前1人の為に皆まで叱られる理由はない。続けるぞ。」
♪-♪-
朝霧が抜ければ優勝だって狙える程の歌声だ。
朝霧はそもそも歌おうとしない。
それどころか近くの奴に声をかけて引きずりこむ。
だから迷惑なのだ。
まともに歌えば悪くはないと思うのだが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
歌の練習が終わるといつの間にか日は傾いている。
何故か私は転入生の朝霧とともに廊下を歩いている。
2人の間に会話は無く、早く終わらせたいと言う思いだけが漂っていた。
彼は転入してまだ数週間の割に、遠慮ない日ごろの行いによってクラスメイトから疎遠だったらしい。
そう思うと憎む気もなくなる。
「睦月の奴…」
思わず歯ぎしりしてしまう。
なんでわざわざ技術室まで新しい備品を運ぶにしてもなぜ私が…
言われたからには…仕方がない。
圭に言われたことを考えている暇もない。
机の上に荷物を置いて外に出ようと扉に足を向ける。
その途端。
ガチャリッと扉のしまる音がした。
またか。
涼風高校の鍵は外側も内側も鍵でなくては開けられない。
だから出られないと思ったのだろう。
朝霧の姿はすぐに見えなくなった。
技術室には道具が沢山ある。
あっさりと鍵は開いた。
「…全く」
ようやく1人になれた。
圭のことを考えられる。
そう思った。
けれどそれから毎日の様に彼からの嫌がらせは止まることを知らなかった。
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