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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.562 )
- 日時: 2015/12/31 02:03
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「エリス、最近良いことあった?」
なんの曇りもない顔で問いかけてきたのは、2,3年上の師匠のトール。
「なんですか。藪から棒に」
咄嗟のことだけど、つい癖で笑顔で隠す。
訓練の結果だ。
「いや…夜会がある度に嬉しそうだからさ。」
トールの顔から笑みは消えない。
まだ、疑っている。
「嬉しそうにしないと、主催者に取り込めないでしょう。
アニエスの為に人脈を広げる必要があるから私は尽力を尽くしてますよ、師匠。」
でも、トールが笑顔で問いかけて来るってことは。
決定的な証拠を握られていても可笑しくない。
さて、どう切り抜けるべきか。
何時も会うたびにかなり注意を払っているが…詰めが甘かったか。
「いや、別に気にしなくていいんだ。でも、気を付けろよ。
任務に支障が出るようなら、テオドールも腰をあげて動き出すからな」
「肝に銘じておきます。」
トールは北欧神話からとられた名前。
一般的にトールは雷の神と言われている。
けれどそもそものトール神とは、農耕・製造・気象・季節・天候・災害などあらゆる全てを司った『全能』の神である。
戦闘だけに秀でている様に見えて、あらゆる分野に優れている。
それからは少しだけ頻度を下げたが、やはり彼らに会いに行った。
アリスで例えると
ルークが圭、アイザックが凛、ミーナが万里花みたいな感じ。
それほどに彼らは善人で、綺麗で、憧れずにはいられない様な人達。
私の中を彼らが満たしていく。
欠けた心を埋めていく。
私は幸せでいっぱいだった。
- Re: 秘密 ( No.563 )
- 日時: 2016/05/08 17:15
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
やがて私は好意を寄せる様になった。
彼らのことを愛しく想う様になった。
彼らのことを、とても大切に想う様になった。
今からすると、まるでアリスと同じような道を歩いていた。
圭がルーク。
凛がアイザック。
万里花がミーナとするならば。
私はアリスと1つだけ違う所が合った。
私が好きになったのは、圭では無く凛だったのだ。
物静かで、知らない人とはハキハキと喋ることなんてできない。
でも、さりげない優しさ。
少し不器用なところも、大好きになっていた。
綺麗な顔立ちで、何にもとらわれない様にどこか自由で。
黒い髪も相まって、猫みたい。
どうしようもなく、惹かれて恋をしていた。
私には仕事用の携帯しか持たされていなかったし、城で手紙のやりとりをする訳にも行かなかった。
だから、彼らとは廃屋のポストに手紙をいれてやりとりをしていた。
この頃のアニエスは今よりまだ少し領土が広くて、夜会の会場もアニエスの領土だった。
今みたいに周りが崖で囲われるような狭い所にアニエスの領地を定めたのは。
他国からの侵入を阻むため、テオドールが狭めたもの。
彼らがいなくなってから、私は孤児を養う施設を作る為に。
尽力し続けた。
話を戻そう。
私は偶に寝る前や訓練の休憩時間に会いに行きたかった。
リスクが高いことも分かっていた。
だから、いつも寝る前に彼らの顔を思い浮かべて必死に眠りについた。
会えない時間が長引くほど、恋しさは増していった。
異性を好きになるなんて、初めてだった。
好きになればなるほど、私は自分のことを隠した。
嘘をつくのも次第に苦しくなった。
いっそ、今の立場のなにもかも無くなってしまえばいいのに。
アニエスと言う存在全てが消えてしまえばいいのに。
そう、思いもした。
でも、辛うじて今の私を作っているのはアニエスの環境だ。
作り笑いも、衣食住も、兄弟も。
全てアニエスにいたから得られたものだ。
私が今生きていけるのは、全てテオドールに与えられた技術。
トールが咲かせてくれた才能だ。
アニエスを失った場合、私には何も残らない。
お金もないし、生きていくすべもない。
テオドールはきっとその辺りも心得ていたのだろう。
彼らなら、きっと話したら受け入れてくれる。
そんなこと分かっている。
でも、以前と同じようには接してはくれない。
些細な言動の端々から、彼らの気遣いや優しさを感じ取ってしまう。
テオドールが伸ばした私の才能。
人の気持ちが分かってしまうことは、残酷なことだ。
偽ることすら、出来ない。
感じたくないこと、気付きたくないこと。
全てを一身に浴びてしまう。
だから、知られたくない。
嘘をついて、重ねて、暴かれないか怯えながら。
彼に恋をしていた。
- Re: 秘密 ( No.564 )
- 日時: 2016/01/11 23:07
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・116章 彼らがくれた日・〜
当時、私の気持ちを知っていたのはミーナ一人。
彼女は私がアイザックに抱いていた想いに気付いた。
そしてその答えを教えてくれた。
それから、私が緊張しながらアイザックと話す時。
ミーナはずっと微笑みながら眺めていた。
ミーナは何時も全身を使って、感情を周りに示していた。
楽しい時も、怒っている時も、悔しい時も、愛しい時も。
余すところなくそれを表現していた。
そして自分にも他人にも嘘をつくのが嫌いだった。
ミーナと会ったばかりの時。
私はよくミーナがルークに求愛しているのを見かけた。
初めは冗談かと思った。
4人でいる時も、何の躊躇いもなく飛びかかったり抱きついていた。
けれど、そのことについて話題に触れた時。
ミーナは頬を赤らめ、俯いた。
本当に慕っていた。
ルークもミーナのことを悪しからず想っているようで。
何時も二人のやりとりを微笑ましく思っていた。
ルークは優しくて、想ったこと感じたことは4人の間では包み隠さず話した。
変なところで気を使ったり、誰かを庇って矢面に立ったり。
軽薄そうに見えて、真摯だし。
きっと、私の気持ちにも気付いていて黙っていたのだろう。
変なところで気を使う。
アイザックは猫みたいで、気持ちを隠すことが苦手な人だった。
分かりやすくて、嘘をついていないことが一目瞭然。
そんな彼と一緒にいる時は、とてつもない安心感があった。
人と話すのが苦手で、でも彼らと一緒にいる時は大声を張り上げたりする。
私と話してくれるのは、彼らといるからなのだろう。
そう思うと、少し辛くもあった。
でも、どの道私の立場では隠し通すのが精一杯。
話すことも、伝えることも、彼らを傷つける。
週に一度、テオドールが城を空ける日は。
何度でも会いに行った。
会えない日は彼らのことを想った。
寝る前には彼らの顔を想い浮かべた。
カメラなんてものはないから、写真の一枚も持っていない。
けれど、お互いが描いた似顔絵がある。
特にルークは絵がとても上手で、色を付ければ動き出してしまいそうなほど上手に描けている。
その絵も、今もクッキーの箱にしまってある。
彼らの絵は、それだけだから。
夜会に出る時のドレスを着ていても、彼らは私と対等に接してくれる。
たまに、夜会の御馳走をちょっぴり持ち出して一緒に食べたりもした。
大好き。
そんな言葉で身体中埋め尽くされた。
彼らと出会う前には、想像もつかないほど。
私は満たされている。
そう、実感している。
彼らは決して裕福な家庭ではない。
飢えに苦しむこともある。
身分も何もかもが釣り合わない。
釣り合っていないのは…私だ。
彼らはなんでも些細なことは包み隠さずにぶつけ合っていた。
本当の家族の様に接していた。
喧嘩もするし、一緒にはしゃぎもするし、泣いているとそっと慰めてくれる相手がいる。
私はもう、何年も泣いてない。
テオドールに仕え始めた時は、兄弟のことを思い出した。
トールもアレクシスも、家族みたいだった。
でも、本音もぶつけられない。
喧嘩もしない。
家族と言うよりかは仕事仲間に近い。
ミーナやルーク、アイザックと一緒にいる時はそういうのとは違う。
温かい気持ちで満たされる。
- Re: 秘密 ( No.565 )
- 日時: 2016/01/11 23:08
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
彼らと過ごした日々を、少しでも忘れない様に毎日日記に記すようになった。
私にはアリスの様な能力はないから。
そういう所は、アリスが羨ましい。
愛しい、大好きな人との思い出を一瞬たりとも忘れることない。
そういう使い方も、出来る。
私にはそんな頭はないから。
だから、大人になっても忘れない様に。
ずーっとずーっと覚えていられる様に。
少しでも記録に残しておきたい。
会った日は、手が痛くなるくらい日記に書いた。
開かなくても、その日のことを鮮明に思いだせるように。
- Re: 秘密 ( No.566 )
- 日時: 2016/01/11 23:09
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
私がアイザックからもたらされた物は、沢山ある。
愛しい気持ちも、恥ずかしくなったりした思い出も。
アイザックの隣が、一番心地よく安心出来た。
心地いい空間。
温かい気持ち。
食事しながら挟む会話の楽しさ。
忘れたくない。
ずっと一緒にいられることが、叶うのなら。
それ以上に願うことはなかった。
でも、思い出以外に彼らからもたらされた物は今となってはあまりない。
形となるものはあまり残ってはいない。
でも、それ以上に価値あるものを貰っているから。
けれど彼らから貰ったもので。
今でもずっと、身につけている物がある。
それぞれから貰ったもの。
誕生日のお祝いだった。
どんな高級なプレゼントよりも、価値がある贈り物。
「じゃーん!」
何時も通り、テオドールがいない日。
私は城を抜け出した。
テオドールがいない日はトールもいない。
だから、とても身軽になれるのだ。
何時もの場所に向かったら、途端に目の前が真っ暗になった。
匂いからして、袋の様なものをかぶせられているのが分かる。
「えっ、ちょっ…」
突然視界を奪われると、急に足元がぐらぐらしているような錯覚に襲われる。
慣れている場所なのに途端に戸惑う。
「良いから良いから!」
うわっ、と足を滑らせて尻餅をついた。
腰に鈍い痛みが走る。
「あ〜、もう服汚れちゃうよ!」
突然視界が晴れると、鮮やかな夕焼けと彼らの笑顔が目に飛び込んできた。
「「じゃーん、「「「お誕生日おめでとう!」」」
吃驚して…
呆気をとられている私の頭に素早く何かをかぶせた。
「3人で作った花冠!やっぱりすっごい似合ってる!」
誕生日を祝われるなんて、初めてで。
そもそも誕生日がなかった。
でも、彼らはそんなことが当たり前の様に受け入れてくれた。
「出逢って1周年記念!!だから、今日をアイリスの誕生日にしよ!」
もう、1年も経ったんだ。
私はまだ、自分の本名すら告げていない。
でも、そんな私でも彼らは…
つーっ、と頬を温かい何かが流れた。
目が熱くなって、胸がいっぱいになった。
「わわっ…!」
「嫌だった…?ごめんね、アイリス!」
「…違う」
これが、涙と言うもの。
「…夕日が…眩しくて…っ!」
両手を使って、拭う。
こう言う時、どうすればいいのか分からない。
…嬉しい。
嬉しい。
嬉しい!
嬉しい!!
こんな日がずっと…続けばいいのに…!
「アイリス」
アイザックの声が、耳元で聞こえる。
手をそっと掴んで、引き寄せられた。
アイザックの、手の温もり。
熱が私にも感染しているみたい。
私の手も、どんどん温かく…熱くなっていく。
「出逢ってくれて、ありがとう」
彼らは、家族の様に暮らしていた。
それに、私を混ぜてくれた。
彼らの中にある尊いつながりに私を加えてくれた。
嬉しくて、堪らない。
恥ずかしいとかそういうのも含めて、とっても愛おしい。
「妙に派手な服より、そっちの方がずっと良いよ。」
綺麗な青。
海の欠片みたいに綺麗な石。
宝石みたい。
少し青みがかって見えるアイザックの瞳みたい。
腕にブレスレットが光っていた。
「アイリスの目と、おんなじ色」
悪戯っ子の様に、笑う。
何時もはおどおどしているのに、そういう顔も出来る。
内弁慶で…見知った相手としか会話を交わさない。
誰かが傷ついても、何もできない。
だからこそ、必死に傍にいようとしていた。
それで不慣れなことをしたり、頑張ったりするような奴。
そういうアイザックを見つめてきた。
そんなアイザックだからこそ。
私は…彼のことを…
好き。
大好き。
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