コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.225 )
- 日時: 2014/01/26 18:16
- 名前: 雪 (ID: sZ1hvljX)
〜・34章 リハビリ・〜
それからアリスは着々とリハビリを始めた。
毎度行くたびに圭達がお土産を持ってくるのでこけていた頬も段々元に戻り始めた。
「また今日もリハビリお疲れです。」
「うん!やっぱりマリー達のお土産の方がずっと美味しいや!!
やっぱり病院食って味気なくて…」
ガツガツと持って来られた果物に噛り付き、貪り食った。
「意地汚いですわ…アリス。」
「頬に果汁が付いているぞ。」
頬に手を伸ばしぬぐおうとしているリンの手より早くアリスは自ら頬の果汁をぬぐった。
「んっ、サンキュ!」
リハビリを初めて1週間もたたず、もうだいぶ回復していた。
むしろ先生にリハビリを少し休むように言われていた。
「退院は相変わらず3ヶ月が目安だけどね。」
ガツガツと手は止めない。
相変わらず体はなまって動かないが喋ることには問題はないし、ても問題はないし、座ったり横になっている分は問題ない。
しかし歩く、走るときたらまだまだだ。
1週間とすると相当頑張った。
ゴクンッと林檎を飲み込むとハァ〜ッと大きく息を吐いた。
「早く外に出たいなぁ…外に出て歌って…学校に行って…ItemMemberにも早く参加したい。」
気付けばもう10月。
会ってから半年。
失踪から1ヶ月ちょっと。
それがまさか入院1週間で元に戻るとは…
少し食べ過ぎの気があるな。
歌にはすべて目を通し、覚えている。
しかし病室であるため歌えてはいないのだ。
「また屋上行きたい!連れてって!!」
看護婦や医者には内緒だ。
見つかってしまうと文句を言われるかもしれない。
足がおぼつかないため、肩を借りて行ったり車椅子を失敬する。
だが足が良くなってからはほとんど車椅子を借りることは無くなった。
肩を借りながら屋上にたどり着くと3人を振り切り、自分の足で走り出す。
♪-♪-
歌いながら走ってべしゃっと転ぶ。
「ちょっ…!?焦り過ぎ…だって…」
えへへ、と笑う。
1ヶ月前とは全然違う生活。
裏と表。
真逆で。
でもそれがアリスの居る世界で。
表での顔。
裏の顔。
あまりにも違って。
それが不思議で。
何故か魅入ってしまう。
- Re: 秘密 ( No.226 )
- 日時: 2014/01/26 21:33
- 名前: 雪 (ID: sZ1hvljX)
歌って歌って歌う。
気が済むまで歌う———というよりリハビリの時間だという事をマリー達が知らせなければ終わらない。
「アリス…リハビリの時間ですよ!!」
♪-♪-
振り向くがまだ歌うのを止めない。
その顔にはあと少しと描かれていた。
リハビリについて先生に聞いてみてもとても過酷でハードなものを受けている割に彼女は何も言わず淡々とこなしているらしい。
無理をするなといくら忠告しても彼女は笑って断った。
むしろもっと増やしてくれとせがまれたくらいだ、と笑っていた。
このままでは本当に1ヶ月以内に退院出来るかもねと苦笑いしていた。
♪-♪-
歌い終わると再び肩を借りて下りて行った。
ちゃんと周りに人がいないかマリーに調べてもらう。
本当なら無理はダメだからと杖は貸し出されなかった。
もしこんなところ見られたら出入り禁止になってしまう。
病室に戻ると病衣から検査衣に着替え、検査を受けに向かう。
するとなんと固定歩行器なるものを使う様にと勧められた。
その後リハビリで手すりにつかまりながら歩く、と言った軽いリハビリを2時間ほどすると早速固定歩行器を使って病室に戻る。
夜にもまだ3時間ほどリハビリを入れている。
することも無くて暇を持て余す入院生活から抜け出すためにリハビリに打ち込んでいる。
入院生活で一番いいことはマリー達と会えることが特別だって実感すること。
一番いやなのは先生のお説教。
それも目安3カ月とは面倒な…1週間で終わることは1週間でやるべきだ。
そう言ってまた小さく溜め息を吐いた。
- Re: 秘密 ( No.227 )
- 日時: 2014/01/27 19:09
- 名前: 雪 (ID: p0V5n12H)
1週間で終わるなら1週間でやるべきだ。
休みも大事だと言うが私にはその言葉の意味を理解しかねた。
早いに越したことは無い。
「先生、退院は何時頃になります?」
毎度リハビリの後に聞く。
「う〜ん…今のところ1ヶ月と言ったところかな…」
聞く度に着々と短くなる。
「1週間。」
「君ねぇ…いつも言ってるけど1週間なんて無理だから…」
毎度言うたびに呆れられる。
「まだ固定歩行器使ってようやく歩けるくらいでしょう?」
そもそもこんなに身体が不調を訴えるのは薬の使い過ぎもあるがそもそものあの牢獄に長く囚われたからだ。
ずっと座って本を読むだけ。
それで走るなんてもってのほかで歩くことも出来ずただただ座っていた。
「君が歩けないのは精神的ショックのせいでもあってそれは時間をかけて療養するものなんだよ…」
といっても…彼女にはそう言った症状はほとんど見られなかった。
「ただでさえ出席日数が崖っぷちだって言うのに…」
テストの時の様に休むことは稀だがこんなに何ヶ月も空けて…
夏休みの宿題を終えたことだけが唯一の救いだ。
マリーのことで悩んでいた時も何日か学校を休んだ。
はぁ…と小さく息を吐いた。
「分かったよ…君の熱心さに負けたよ…」
歩けたら退院しても良いよ、と先生は笑った。
もう固定歩行器なんだ。
「あと1週間もいらない。5日もあれば十分。」
しかし3日後にはアリスは退院した。
- Re: 秘密 ( No.228 )
- 日時: 2014/01/28 20:11
- 名前: 雪 (ID: nrzyoCaD)
一応松葉杖は持っているものの使わずに軽やかな足取りでアリスは病院を後にした。
マリー達がサプライズでクラッカーを鳴らし、車でお出迎え。
入院する前と退院した後でここまで世界は色が違った。
クラッカーを鳴らした影響か多少周囲は火薬臭い。
「「「退院おめでとう!!」」」
そう言った3人の声が今でも頭に響いている。
そのまま一度仁科に会いに行くと説教を喰らった。
その後やれやれと言った顔で
「3日後の19時から。」
と仕事の日程を告げて解散となった。
それからわざわざ見送ってくれると言い出した3人を連れてアパートへ向かった。
久しぶりに帰ってきた部屋には埃が積もり、汚い部屋がさらに薄汚くなっていた。
「あちゃ…窓だけでも開けておくべきだった…」
しかし3人が驚いたのは部屋の汚さだけではない。
とても狭かったのだ。
台所とトイレは付いているものの部屋そのものは三畳あるかないかレベルだった。
とても狭く布団はたたんではあるものの押し入れも無いためそのまま放置され、埃を被っている。
辺り一面には楽譜やCDが積み重なられていて部屋を陣取っていた。
服も畳んでじかに床に置かれ積み重なっていた。
制服のシャツすらも床に置かれていた。
よく見るとハンガーが1つもない。
布団も薄い毛布だし、敷布団と言っても体育館のマットのように固かった。
「ありがと、また明日学校で!」
松葉杖を放り出して片付けに勤しむ。
こんな部屋。
あんな生活。
気付かれたくなかった。
圭にだけは。
私には人として足りないものが多過ぎる。
それでも皆に会ってから半年。
たったそれだけで自分にはこんなにもいろんな感情が芽生えた。
マリーと再会し、嬉しくて涙を流した。
マリーと一緒に2人を探した。
圭と再会して駆け出したね。
2人で一緒にピアノを引いたね。
リンに認めてもらうために歌を歌った。
リンと喧嘩もした。
マリーと恋バナをして。
リンと語り合って。
圭に恋をして。
どれもこれもが私のしたことのないことばかりだった。
「アリス…私の家に来ます?」
「マリー…」
何時かは言うと思っていた。
お父様のところにいて先生から話を聞いてから3人の行動は推測できる。
薬を盛られているかもしれないその中で誰かの家にかくまった方が良いと思われるだろう。
そして止まるなら普通に考えてご令嬢であり、女の子であるマリーの家。
「…大丈夫。片付ければ使える。」
「そうです、か…」
あからさまに落胆している。
はぁ、と小さく溜め息を吐きかけてやめた。
「…でもお泊まり会くらいならいいよ。」
ニッコリ笑う。
「ちょっと待ってて。今準備するから。」
荷物を準備しようと手を伸ばしたその矢先だった。
パリンッ
窓ガラスが割れた。
破片は宙を舞いアリスの頬を掠り、傷から血が流れた。
CDの上に何かが落ちたようでパリンッと小さな音がした。
正体は石だった。
「なっ…!?」
ちっ、と小さく舌打ちする。
私を遠巻きにし、嫌がらせをした人は数知れずだ。
大方父の部下だろう。
見張りを言いつけられているのだろう。
そして何のつもりか石を投げてきた。
全くくだらない。
向かいの建物に人影が見える。
父の使いの分際で拳銃じゃないだけまだましなのかな?
ちっ、と再び舌打ちをする。
「どこかの子の悪戯みたい。全く困ったものだな。」
そう言ってそろそろと立ち上がった。
3人に無理やり帽子をかぶせ、近くにあったもので適当に顔を隠すと胸倉をつかみ引き寄せた。
「…いいか?ここを出たら誰にもつけられないように家に戻れ。くれぐれも顔を見せるな。
いざという時は基地が集合場所だ。」
そう告げると手を離した。
何か質問しようとそれをねじ伏せ大声で叫んだ。
「逃げろ!!」
3人は一斉に飛び出した。
私も腰を上げるとお金を大家のポストに余分に入れておき、アパートを後にした。
- Re: 秘密 ( No.229 )
- 日時: 2016/07/29 19:26
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・35章 マリーの家・〜
あれから特に何の変哲もない日々が過ぎた。
頬の傷も少しずつ癒え、何事もなかったように時間だけが流れた。
しかしそれ以降行く場所がなくなった私は保存していた寝袋でスタジオの床で寝た。
貴重な荷物は普段から別に管理し、楽譜やCDも隠してある。
制服も荷物の中に入れておいたのは実に正解だった。
念のためというのは侮れないものだという事を痛感した。
マリー達の家もとりあえずは何も起きていないようだ。
それはまだあいつらが動き出していないのか、3人とも撒くのが上手かったのか…定かではない。
あれから学校には行っても行かなくても変わらないと思い登校はしていた。
文化祭が11月初頭に行われる。
そのため学校も賑わっており、夏休みの前と後では随分様子が違った。
軽音部は舞台でステージをすることが決まっていた。
出店は私のクラスはスムージーだ。
面倒であったことは事実だが、その裏腹に初めての文化祭に心躍っていたのも事実だった。
しかしあんなことがあってからは、私は果たして文化祭に出ていいものか考えた。
あいつ等の腕なら狙いは外さないだろう。
しかし私が世話になった高校だ。
私を殺しはしないが、誰か被害者が出るのも気が引ける。
世話になった高校に恩を仇で返す様なことが、やすやすと出来るほど神経は丈夫ではない。
父は私を必要としている。
それと同時に恐れている。
父は権力を握った裏稼業の人間。
そのお偉い方。
何が狙いかは知らないが、そのためなら誰を殺しても構わないとは父らしい。
私になんの価値があるかなんて、知らないし知りたくもない。
それでも裏稼業に生きる限り欠かせないものらしい。
今は物騒な時代だからな。
どんなものでも絶対の保証は無い。
何時手から抜け落ちるか、なんてわからない。
だからこそ守っていたい。
なのになんで、こんなに迷惑をかけてしまうのだろう。
あいつらなら笑ってくれる。
それでも私が私を許せない。
私があんな父のもとに生まれなければ…
あんな呪われた世界に生きていなければ…
普通の女の子だったら…
誰にも迷惑をかけずに皆の隣にいれた。
でも私はこうして。
三田村こよみとして生まれた。
だから私は全うする。
母がくれた愛。
友情。
今まで受けてきた悪意も善意も。
私は全部私の胸だけに仕舞って生きて行く。
たとえ皆の隣にいれなくても。
そんな覚悟はとっくの前に出来ていたはずだ。
それがたとえいくら揺らいでも。
いざという時は。
絶対に受け入れなければいけない。
だから…
せめて今だけは。
皆の隣にいたい。
例えいつか別れる時があっても。
・・・アリスが何処に行っても見つけ出して見せる。救い出して見せるから・・・
圭の言葉が脳裏に浮かぶ。
その言葉を聞いた時から。
思い出すだけで。
胸が満たされる。
温かい気持ちになる。
信じてる。
何処へ行ってもきっと見つけて救い出してくれるって。
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