コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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1章
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>>644->>647

137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.205 )
日時: 2014/01/13 22:40
名前: 雪 (ID: OK7TThtZ)

何処までもアリスしか見ていない。

目の端にちょこっと写るだけのものかもしれない。

それほどの価値しかないのかもしれない。

でもそれでもアリスは怨めない。

何故ならアリスも大好きだから。

しかし…それでも時々無性にアリスを疎ましく思う。

その度自分が嫌になる。

「マリー。」

「アリス…」

考えていたことが考えていたことなのでどうも顔を合わせ遣い。

「そっちは楽しかったか?」

「ええ。」

良く見ると手を繋いでいる。

リンの表情が陰るのが分かった。

「マリー、私は何があってもマリーを嫌いになったりしないよ。」

「えっ?」

突然の突拍子もない質問に思わず声が出る。

「思いつめた顔をしてた。」

「…良く分かりましたね。」

流石に驚く。

「私に分からないことなどない…って言えたらいいのだが。」

人の心は分からない。

何がいけないのか。

私の何が人とは違うのかなんて私には分からない。

「何を思っているかなんてわからないけど…嫌いになんかならないから。
って、的外れかもしれないけど。」

不思議だった。

その時なぜかアリスの横顔が陰った気がした。

「しばらく…ItemMember、行けないかもしれないけど…心配しなくていいから。」

「えっ?」

だがそれっきりアリスからは何の返事も聞こえなかった。

人混みがアリスへの元へ行かせまいとしているようだった。

何かあると思ったのにその声は人ごみにかき消された。

Re: 秘密 ( No.206 )
日時: 2014/01/13 23:00
名前: 雪 (ID: OK7TThtZ)

花火が上がった。

大きな音とまばゆい光が辺り一帯を覆う。

「しばらく…ItemMember、行けないかもしれないけど…心配しなくていいから。」

アリスの声は五月蠅い花火の音の中でも鮮明に聞こえた。

「マリー、何に悩んでいるか私には分からないけど…私はいつもマリーの味方だから。
自分に自信を無くしても自分を信じて。きっと大丈夫。私を信じて。」

その視線は相変わらず花火に向いている。

「リン、いつも相談乗ってくれて有難う。
リンはいつでも私をしっかりとサポートしてくれたこと、覚えてる。
いつか私もリンをサポートできるように頑張るから。私を信じて。」

花火に向いていた視線がほんの少しだけ圭の方に向く。

「圭。私、気付いた。私は皆を利用してるんじゃない。必要としているんだ。
圭と同じように私も圭を必要とする。皆を必要とする。必要不可欠。」

そして再び花火を見つめ頬を緩めた。

「皆なら…私を見つけて救ってくれるって信じてる。だからずっと待ってる。」

皆の方にハッキリと顔を向けると笑った。

その瞬間狙ったかのように花火が上がった。

その音は喋りかけたアリスの声をかき消したがその口の動きは確かに告げていた。

「少しの間だけ、さようなら。」

そしてその言葉通り、彼女は祭の後から姿を消した。

Re: 秘密 ( No.207 )
日時: 2014/01/14 21:09
名前: 雪 (ID: PvE9VyUX)

〜・30章 アリスの消失・〜
あれからアリスがいなくなって早1週間がたち、学校も明けた。

担任にも詳しい事情は話していないらしくパッとした答えは得られない。

ただ一身上の都合、という理由で休んでいると告げられた。

そもそも夏休みの遊びはItemMemberの活動や宿題があったためかなり夏休みの後半だった。

あのさよならという言葉を残しあれきり連絡は途絶えた。

少しの間だけ、と彼女は言った。

絶対に帰ってくるという意味で彼女はそう告げたのだろう。

しかしこう1週間も帰って来ないとなるとやはり心配してしまうのであった。

「携帯…相変わらず出ませんわね…」

「アリス元々通話代を節約するために一応買ってはいたもののほとんど電源切ってたからね。」

祭で見せたあの笑顔。

花火が上がり終わると人ごみにまぎれてどこかへ消えてしまった。

あの時、追いかければよかった。

気付かない間にまた手の内からすり抜けてしまった。

6年前とは逆の立場。

あの時…アリスはこんなにも辛かったのか。

自分勝手な気持ちで皆アリスから離れた。

例えそれが自分の意思ではないとしても別れを言う時間はいくらでもあった。

それでも自分の事情でアリスと顔を合わせづらいからって突然姿を消した。

そして6年もの間姿を現さなかった。

しかも会ってもまだ子どものように駄々をこね続け、その度に傷つけた。

そう言ったことを思い返すとこんなものまだ序の口だと思った。

まだ1週間しかたっていない。

アリスはこの何十倍も何百倍も傷付いた。

この程度で一体なにをと思う。

だが理屈では分かっていても会いたい。

本心ではとてつもなく会いたい。

会いたくてたまらない。

今までずっとそばにいた。

当たり前の様に傍にいてまた明日、と笑いあってきた。

それが突然目の前から消えた。

掴んでおけばよかった。

無くしてから後悔しても遅い。

手からこぼれおちてしまったものはもう元には戻らない。

アリスは今までずっと虐げられてきた。

あの時もああまたか…とまたいつもの様に納得させていたのかもしれない。

でもそんなの納得できる訳がない。

何処に行ったのかも何をしに行ったのかも何時帰ってくるかも分からない。

無駄に事故にあったのでは…怪我でも…また暴走したのでは。

と無駄に考えてしまう。

今すぐ会いたい。

会って声を聞いてまたいつの様に笑っていて欲しい。

近くに温もりを感じたい。

こういった時自分がどれほどアリスが好きだったのか実感する。

会いたい。

ずっと隣でいつものように声を聞きたい。

笑っていて欲しい。

温もりを感じていたい。

自分勝手なのは重々承知だ。

どれだけ傷つけたのか今になってようやく少しは分かった。

だから…——————今すぐにでも会いたい。

Re: 秘密 ( No.208 )
日時: 2014/01/14 21:28
名前: 雪 (ID: PvE9VyUX)

会いたい。

と思っていたのは圭だけではなかった。

リンもマリーも同じくらいアリスに会いたがっていた。

何時も傍にいた人がいないというのは実に変な気分だ。

朝を迎える度にまだかまだかと携帯を覗き込む。

だが1回たりとも連絡は来ていなかった。

きっと電波の届かないところにいると思い込んでも今度は何をしに1人でそこに行ったのだろう、と逆に不安になる。

不安は日に日に積もる一方だ。

軽音部は相変わらず活動はするものの活気はなかった。

ボーカル不在で活動も進まない。

せめて…と思い作曲だけは辞めなかった。

何時か帰ってきた時のために。

でも本当に帰ってくるのだろうか?

そう思うとまた嫌な方へ物事を考えてしまう。

たった。

1人の人間。

誰だって1度は友達が転校なんてことはあっただろう。

だがそれとは比べ物にならない。

たった1人の同じ人間。

それがいなくなった。

それだけなのに。

どうしてこんなにも傷付くのだろう。

どうしてこんなに心配になるのだろうか。

彼女は自分の身の上話を話した。

悲しむどころかむしろ少し笑っていたくらいだ。

いつも笑って。

また何時かいなくなるかもしれないと時々不安そうな顔にはなるけれど。

乏しい表情に段々笑顔が増えてきていた。

だからもう大丈夫だと思っていた。

だがそんな彼女には計り知れない程の闇を抱えていた。

彼女はそれから真正面に立ち向かい理不尽な世界は仕方ないと受け止めていた。

それが強さと言えるのかは分からない。

それでも自分たちに比べると随分強いと思った。

もし逆だったら耐えられないと。

逆だったらきっと自分は生きていないと。

ほんの少しの話の間に垣間見えた闇がそこまで思わせた。

自分に何が出来るかは分からない。

それでも一緒に闇を受け止めたいと思った。

彼女のいつもリン、と自分を呼ぶ声が脳裏によみがえる。

その度にどうしようもなく胸が痛んだ。

Re: 秘密 ( No.209 )
日時: 2014/01/15 20:24
名前: 雪 (ID: teK4XYo.)

アリスがいなくてホッとする自分がいる。

アリスがいなくなったところでリンの心が変わる訳でもないと、分かっているのに。

アリスさえいなくなれば、と思った。

でも…本当にいなくなるとは思わなかった。

いなくなったらリンとか関係ない。

関係なく私はアリスがいなくなったことを心配した。

それで気付かされた。

私はリンが好きだ。

でもそれと同じくらいにアリスが好きだという事に。

アリスがいなくなったらリンは私を選ぶと思った。

しかしアリスがいなくなってもリンは私を選ばない。

それどころかアリスがいなくなって日に日に圭もリンも鬱になっていくばかり。

そして自分自身もアリスを求めた。

駄目だ。

どうせリンが私を選んだとしてもアリスがいなければ意味がない。

もし私とリンが結ばれるなんて幸せなことがあったなら…まずはアリスに祝ってもらいたい。

何故だろう。

6年前とは既に変わった。

同じなはずがない。

あの時私はリンをとられまい、必死になった。

でも何をしても何もなかった。

リンは私に目を向けることはなかった。

そして何もかも捨てた私は体調を崩し、田舎へ療養に行った。

そう…———あの圭と同じ町。

似たもの同士だった私達は互いに傷口を広げないようにそのことには触れず、言葉も交わさず中学時代を過ごした。

高校になって元の町に戻った。

でもその時ふっとアリスに会いたいと思った。

忘れようにも忘れられなかったアリスとリンのこと。

高校に1足早く行くことになった時に初めて圭が話しかけた。

「向こうに行っても…基地には寄らない方が良い。」

そう彼は告げた。

だがどうしても気になった。

入学するとすぐにアリスとすれ違った。

その時私は忘れていたことを思い出した。

やっぱりアリスに会いたいと。

声を聞くことすらなかった6年間。

そして気付かぬ間にふらふらと基地に行ってしまった。

そこでもまだ彼女は歌っていた。

思わず声をかけた。

振り返った時に見たアリスの顔は今でも脳裏に焼き付いている。

あの時の彼女は変わらず歌を歌いわずかに笑った。

あの顔を私は忘れられない。

いなくなったことを責めながらも帰ってきたことを喜んでいるような複雑な表情をしていた。

また帰ってくる。

たとえ帰って来た後いかに罵倒されようとも最低だと言われても構わない。

アリスがいなくてもリンが私のものにならないのなら…

アリスを失う事でリンと自分自身の心に傷を負うだけなのだとしたら…

傍にいてほしい。

変わってはいなかった。

例え記憶が無くても。

6年前と何も変わらない笑顔を見せてくれた。

一瞬だけ責める目をしたアリス。

でもそれでもアリスは笑った。

例えそれが作り笑いだとしても。

彼女は私の為に笑おうと試みた。

ガチガチに凍った彼女の表情がぎこちなく笑った。

そして彼女は優しく私を抱きしめた。

あの温もりを感じて…私はリンと同じくらいにアリスが好きなのに気付いた。

忘れかけていた好きという気持ちが再び私の中で芽生えた。

それから何度も嫌な気持ちになった。

何度もアリスに嫉妬した。

でもやっぱりあの頃と変わらず私はアリスもリンも好きなのだった。


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