コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.592 )
- 日時: 2016/05/05 16:09
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・123章 狂おしいほど・〜
何時から、アニエスの為に生きようと決めていたのだろう。
兵士にすることで孤児を生かし、自らの身を削りながら国を作りあげたことに。
一体何時、知ったのだろう?
「…あれ?」
アリスが父親のしたことを知るには、アニエスのことにも向き合ったはずだ。
エリスたちの中でのテオドールは。
冷酷無慈悲、容赦がなく、勝つためなら孤児を兵士にしてでも勝つ。
そうして、アリスと言う存在を作り王にまで上り詰めた。
まるでテオドールの手が汚れきっているかのような物言いだった。
そう信じて疑っていない。
孤児院を作ったのも、兵士として育てられる様に。
テオドールがまるで人間ではない様な、そんな印象ばかりが植えこまれている。
牢で育ち、アニエスの知識や歴史をひたすら頭に詰め込まれたと言っていた。
パソコンよりも確実で、決して忘れられないアリスの頭に。
様々な生活の知恵を身につけ、非合法なことまでも。
それを聞いていたから、テオドールが悪人だと信じて疑わなかった。
アニエスの歴史や知識を、詰め込んだ。
ならば、アリスの父がしたことを知ったとしてもおかしくない。
そうして憎んでいた自分が、間違っていたことに気付いたのかもしれない。
けれど、もし自分がアリスの父だとしたら。
自分の都合の悪いことはアリスに教えたりしない。
アニエスの発展に役立てようと紙面にしていても、アリスに見せる必要はない。
自分がいなくなるまで、伏せていても何ら問題はなかったはずだ。
孤児を兵士として育てる訳を、エリスが知らない程だ。
エリスですら知らなかったのだ。
都合の悪い情報は、伏せることが出来たのではないか。
アニエスという小国を、上手くまとめあげられる程の頭が合ったはずだ。
そう簡単に気付かれるものなのだろうか。
アリスの父親は悪役に徹した。
それはきっと、憎んでいてもらった方が都合が良いからだろう。
現に、アリスはずっとテオドールのことをずっと憎んでいた。
けれど、ならばアリスに自分のしてきたことを話す理由がない。
してきたことを、覚えさせる必要もない。
教えてしまえば、アリスは父を許してしまうかもしれないのに。
テオドールは許されることなんて望んでいない筈だ。
許されたら、それこそ救われない。
- Re: 秘密 ( No.593 )
- 日時: 2016/05/08 17:50
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アリスが身につけた非合法な知恵。
それは人を騙すためのものだ。
植物は毒性を、非合法な知恵は警備をかいくぐる為に利用できるからだ。
崖によって王都とそれ以外を隔離した。
それは他国からの侵入に二重の崖という壁が便利だから。
橋の向こうでは、そろそろ畑を作る。
そうすれば王都並みとは言わずとも、今までよりはずっと暮らしやすくなる。
そうしてまた兵士を沢山作れるから。
橋向こうの開拓していた事実を、そもそもアリスは認識していなかった。
人を騙すため、人を傷つけるため、勝利の為。
それが嘘だとアリスが気付いたのは何時だ。
テオドールがアリスに気付かせるほど迂闊だとは思えない。
気付かれたら、直ぐに知れてしまう。
積み上げてきた憎しみが台無しだ。
それなのに、アリスがテオドールをおかしいと思ったのは何故だ。
決定的なきっかけは何だ。
アリスが違和感を覚える情報、それを直ぐ信じられるようなもの。
もともとアリスは、テオドールともろくに連絡をとっていない。
知るきっかけなどあったのだろうか…?
そこまで考えてようやく、我に返った。
アリスの全てを知っている訳じゃない。
だから、知らない所で何かやりとりが合ったのかもしれない。
変なことを考えたな。
…それでも、アリスと関わることがほとんどないテオドールが。
テオドールの善行を、アリスが知ることなどあるのだろうか。
部屋に入って、扉を閉めた途端。
先程廊下ですれ違ったアリスの声を思い出した。
“八神圭”
“よっ、八神圭くん”
「…まさか」
- Re: 秘密 ( No.594 )
- 日時: 2016/05/14 01:59
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「父上」
「…なにしに来た?」
不機嫌な男の声。
しわがれていて、少し低い。
男はベットに腰掛け、キーボードでなにかの書類を作成しているらしい。
明らかに、就寝の準備をしている。
キーボードの上を滑っている指が、骨張っていた。
骨格標本に薄皮一枚かぶせた様に、人間離れしている。
男はこちらに背を向けている。
「私が王になります。父上の跡を継ぎ、この国を治めます。」
「何を言っている?」
剥き出しの敵意と、嫌悪が男の口から発せられる。
昔から、変わらない。
ピリピリしてばかりいる。
雰囲気そのものが、どこか刺々しい。
「父上に認められなくても、何度でも言います。」
投げかけた言葉はかえってこない。
それでも、何度でも話し掛け続ける。
「私は、あなたが守ったこの国を守ります。」
いつか。
男の胸に、届くまで。
「憎くて憎くて仕方なかったあなたの国を、私が救います。」
届くと、信じて。
「何をしに来た、エマ・ベクレル」
男がそう呟いたと同時に、手に持っていたナイフを思い切り振り下ろした。
- Re: 秘密 ( No.595 )
- 日時: 2016/05/17 04:50
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ヒュンッと風をきる音がした。
金属がぶつかる音が耳をつんざく。
私が振り下ろしたナイフを、袖口に隠していたナイフで弾いた。
彼がナイフを仕込んでいることを、私は知っている。
けれど、わずかに態勢を崩した男はベットの縁から上体のバランスを失った。
男の手を引き、床に叩きつけるとすかさず男の上に馬乗りになった。
その衝撃で男のすぐそばで花瓶が落ちる。
破片がピッと彼の頬を切りつけた。
「腕が落ちたね、テオドール」
男の袖からナイフを抜き取り、遠くに飛ばす。
ナイフを胸元につきつける。
「昔のあなたはこんなものじゃなかった。」
無駄のない動きに、完璧と言うまでに正確に相手の急所を狙っていた。
足元を救われたことなど、なかったはずなのに。
「わざわざ娘の服をくすねて、声真似までしたって言うのに。」
娘・アリス=ベクレルは私の生き映しの様に生まれて来てくれた。
「でも、娘と区別できるほどには私のことを忘れてはいない様ね。」
なによりも傍に置き、武器に仕立てあげた娘。
それを、通して私のことを想起させずにはいられなかっただろう。
彼はどんな気持ちで娘と接していただろう。
自分が傷つけた女によく似た娘を、どんな気持ちで傍に置いたのだろう。
安らぐことなど、出来はしなかっただろう。
それほどに、アリスと私は良く似ている。
「会いたかったぞ、テオドール。」
私の娘だと1目で分かる。
けれど、あの子には分からない様な気持ちを。
私は知っている。
「17年もの間、狂おしいほどお前が憎かった。」
- Re: 秘密 ( No.596 )
- 日時: 2016/06/15 18:07
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・124章 母の意思・〜
「憎かった。」
口にすることで、改めて実感する。
私はこの男が、憎くて憎くてたまらなかった。
傷つけて、傷つけて、ナイフを胸に突き刺してしまいたい。
彼が目の前で息をしているだけで、怖気がはしる。
「私を虐げ、挙句の果てにはここを追いだした。居場所もなにもかも奪った。」
好きでもない男の子供。
それでも、私にとってはたった1人の宝物だった。
「愛しい娘に、触れることもなく。私は泥水を啜りながらここまで来た。」
一目見ようと、何度も城に近づいた。
けれど、娘は牢に閉じ込められていて簡単には会うことはできなかった。
会ったのは、17年で1度だけ。
「途中でお前が娘を涼風にやったと知り、娘が色んな家庭で虐げられていることを知った。」
私の追跡の手を拒むためと、娘の人間関係を絶つために。
そして娘自身に世の中の不条理を身をもって知らせるために。
「私は身を潜めるしかなかった。一度救うだけじゃ、意味がないからだ。」
たらい回しも、何もかも全てもアニエスの滅亡を防ぐため。
アニエスに暮らす人々の為だ。
その為には、娘をちゃんと育てる必要が合った。
心が挫ける様な子になっていては、アニエスと言う重荷を背負えないから。
感情に流される様な子では、アニエスと言う重荷を背負えないからだ。
「娘を役立てる日は必ず来る。その日を待って、ずっと息を潜めていた。」
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