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秘密
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

ここは皆の秘密基地。

そこに響く彼女の歌声。

これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————

〜・目次・〜
序章
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1章
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137章
>>648->>651

138章
>>652->>655

作者の言葉
>>401

作者の言葉 2020.7.2
>>656

*参照10000 有難うございます*

これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。

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Re: 秘密 ( No.467 )
日時: 2015/01/20 20:47
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「好きだ!」

なにを話すか全く考えていなかった。

考えていたとしても、きっと頭が真っ白になっていただろう。

ただ、思っている言葉を口にした。

「ここにいろ!俺の傍にいろ!!何処にも行くな!何処にも行くな!!」

言葉の節節で強く抱きしめながら、何度も何度も繰り返す。

「圭…くるし…」

「助けたい、って言う思いがあったのは認める!
でも…それ以上にもっと抱きしめて、キスしたいって思うんだ!」

更に力を込めて、抱きしめてアリスの言葉を封じた。

「きっと初めは同情だった!
でも、今では…っ!心臓が壊れそうなくらい!どうしようもないくらい!!一緒にいたいんだ!!」

アリス。

細くて、力を込めたら折れそうなくらい危うい。

「…好きなんだ」

それでも。

アリスは強い。

人を変える力をもっている。

どんな時でも人を気遣ってしまう強さも。

その裏返しの弱さも。

髪も肌も。

全部。

支えていたいと思う。

離れがたいと思う。

どうしようもないくらい。

胸が痛くなって。

潰れそうなくらい痛くて。

傍にいればほっとする。

どうしようもない独占欲。

もう止められない。

歯止めが聞かない。

これから先もずっと。

アリスの手は僕だけのものだ。

アリスの隣は僕だけの居場所だ。

遠くに行くだけで、気が狂いそうになる。

もっと触れたい。

もっとそばにいたい。

一緒に生きて行きたい。

これを自分は。

恋、と名付けよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「…私は何処にも行かない」

腕の中で苦しそうに答えた。

圭には実に驚かされっ放しだ。

「えっ!!?」

驚いたはずみで抱きしめていた腕が解けた。

やっと息が出来る。

「エリスを見送りに来ただけだ。ついでにアレクシスも。」

呆気を取られた顔をしていた。

分かりやすい。

そんなところにも、私は惹かれていたのだろう。

「大方エリスにからかわれたな」

エリスたちはもう見送った後だったから本人はいないが。

馬鹿だな。

大馬鹿の。

たわけ者だ。

けど…

どうして、こんなにも嬉しいのだろう。

ここまで必死に走ってきた圭を見て。

体が震えるほど。

嬉しいと思った。

「返事は…保留だ」

答えなんか出せない。

「アリスの事情は分かってる。少なくとも少しは。」

にかっと笑う。

そんな笑顔に。

私も口角が上がりそうになった。

「圭の気持ちは分かった…これは、私の気持ちの問題だ」

どうして、こう。

私が決めたことを。

決意したこと。

諦めようとしたこと。

それらを。

覆してしまいそうな強さが。

圭にはある。

「良いよ。これから、アリスが我慢できなくなるまで惚れさせるから。」

その言葉にボッと私の体温は上がった。

私の決意は。

そうそうに鈍りそうな予感がした。

「…馬鹿」

Re: 秘密 ( No.468 )
日時: 2015/01/23 21:47
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

〜・92章 2度目の春・〜

アニエス行きの飛行機に乗っていた少女はうっすらと笑っていた。

宝石の様な青い瞳に。

流れるような金色の髪。

西洋人形の様な容姿。

けれど、その容姿には釣り合わないほどに。

彼女の顔は不気味な笑みを浮かべていた。

まさか直前になって飛行機を断るとは…

アリスも随分まるくなったものだ。

以前なら何が何でもアニエスに戻った。

彼らの手を振りほどいてでも。

今日はそもそも、呼び出されてはいない。

けれど、アリスは直前になって我が儘を言う様な子じゃない。

いかなる事情でも組もうとするから。

どんなことにだって、理由がある。

それが持論だった。

手元に開かれているパソコンにはメールが一通届いている。

ケイからだった。

てっきり怒られるのかと思ったが、そうではなかった。

メールに一通り目を通すと再び頬が緩んだ。

んー、と凝りに凝りまくった肩を鳴らす。

座席が広いのは本当に助かる。

「面白いこと言うじゃん」

日本では丁度今日は入学式。

これから彼女を取り巻く環境はどう変わるのか。

見物だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

春休みを終え、再び桜の季節がやってきた。

私達が再会をした春。

入学式の翌日にはマリーとの再会を果たしていた。

クラス分けではリンとマリーは同じクラスに。

私は圭と朝霧と同じクラスになった。

文理選択でマリー達とは別れることが分かっていた。

けれど、まさか圭と同じクラスとまでは思わなかった。

「アリス、今年もよろしく」

「…宜しく」

何故か圭が隣。

少しだけ悪意を感じる。

空港で告白されてからまだ日もさほど経っていない。

正直気まずい。

圭のこと…私は多分好きだ。

けど…

「アリス、今日の帰り暇?何時ものカフェに行かない?」

「悪いが、今日は用事があるのでな。」

言ってはみたものの、用事なんて何もない。

圭たち以外に人脈と言ったものは皆無に近い。

「今日は朝霧の家に邪魔する予定があるのだ!」

近くを通り過ぎた朝霧の裾を掴む。

途端に男子2人に驚いた顔をされた。

「遥と会う予定が合ってな。そういう訳で、圭とは別行動だ。」

無理矢理だが、これ以外に言い訳も出来なさそうだ。

丁度誰かに相談したい所だったし、相談相手としては遥は最適だろう。

放課後の予定が早々に決まってしまった。

Re: 秘密 ( No.469 )
日時: 2015/01/23 21:59
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「巻き込んで済まないな、朝霧」

予定も聞かずに無理矢理言いきってしまった。

「別に…いいけど…」

「圭と少し話しづらくて…思い付いたのが、朝霧の家だけだったのだ…」

言い訳の様に何度も繰り返す。

実際、いい訳だしな。

「遥は元気か?」

「まぁ、な。最近は学校にも行くようになったし、今日も入学式に行った。」

朝霧から時々もたらされる情報では、遥は学校での友達づくりも良好らしい。

時々は男の話も上がるらしく、話している朝霧のヤキモキした顔が面白かった。

昔とは本当に変わった。

「ただいまー」

朝霧が遥と和解をしてからは、ほとんど来なかった家。

今日上がったのは久々なことだった。

「やっぱりまだ帰ってきてないな。」

朝霧は鞄を床に置き、台所で珈琲を沸かし始めた。

元々手先は器用なのだろう。

動きに迷いがなかった。

「っで、どうかしたのか?」

私の目の前に珈琲を置くと、さりげなく切り出した。

「家に来たい、なんて突然言い出すなんておかしいだろう。
さっきも、八神と気まずくなったとか言っていたし。遥の代わりにはならないが、協力できることがあったら言ってくれ。」

意外と目ざとい…というか私が分かりやす過ぎるだけか。

珈琲を口にすると、あまりの苦さに直ぐに飲むのをやめた。

ブラックだ。

朝霧も同じものを平然と飲んでいたから、油断した。

「誰にも言わないから、言うだけ言ってみろ。」

どの道、遥が来るまで時間はあった。

クラスメートに話すのは気が引けたが、もう耐えられそうには無かった。

気付けば私は自分の身に起きたことを、つらつらと朝霧に語り聞かせていた。

圭とは昔からの付き合いで、6年前音信不通になったこと。

それから、去年再会したこと。

それから何時からか彼に好意を寄せていたこと。

一緒に夏祭りに出たり、私が行方不明になった時は一生懸命探してくれていたこと。

…クリスマスに彼にキスをされたことは、2人だけの秘密として伏せた。

年越しも一緒に過ごし、バレンタインにはチョコを貰ったこと。

ホワイトデーに告白されたこと。

合唱コンクールの後、告白の返事をして付き合う事になったこと。

彼のお姉さんに会って、彼の家庭の事情に口を出したこと。

そうして彼が笑ってくれたこと。

やがては自分が彼に害をなすことに気付き、別れ話を持ち出したこと。

アニエスのことは伏せて、簡潔に告げた。

簡潔、と言った割には実際に口にすると。

それは思っていたよりも長く。

言葉にすることによって、更に胸に沁みた。

「私はきっとまだ彼が好きだ。けど、私は別れなきゃいけないの。」

いずれ父の呪縛から逃れられても。

その時には私は彼の傍にはいられない。

記憶を失ってまで、彼の傍には居たくない。

「彼が本当に私を好きか、分からない。好きだと言ったのは嘘ではないのかもしれないけど。」

何時か自由になった時。

その時彼が隣にいたら、なんてそんな夢を私は抱かない。

だって、それはもう私ではない。

「何時だって。今だってそう、圭は何時だって私の中に昔の私を見ている。」

私は昔のことを覚えていない。

圭が好きになったのは、別の私だ。

圭が昔話をもちだすたびに、圭が好きになったのは昔の私だと思い知らされる。

「昔の私を好きになってもらっても…嬉しくない…!」

今の私を見て。

昔でも、未来でもなく。

今の私を見て、圭は私を見ているの?

それがずっと知りたかった。

「…どのみち、もう遅いけれど」

圭の隣を失ってまで、記憶を消したくは無い。

けど、圭の気持ちが偽りなら。

圭への思いを断ち切れれば。

私はやっと自由になれる。

「…羨ましいよ」

ぼそり、と朝霧がそう呟いたのを。

私は聞き逃さなかった。

Re: 秘密 ( No.470 )
日時: 2015/01/26 18:00
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

話を聞いた。

時々不可解なことも合ったけれど、大方のことは分かった。

「朝霧?」

「…羨ましいよ」

振り返ってもらえて。

こちらの想い人は。

一生こっちを振り向きはしない。

それをなによりも分かっていた。

ソファの背もたれに手をのせる。

三田村が座っているソファ。

不思議そうな顔でこちらを見上げている。

八神のことを悲しそうに話す三田村を見ていたら。

自然と触れたくなった。

ずっと蓋をしていた気持ちが。

溢れだしそうになった。

三田村の方に顔を寄せる。

驚いた顔をしながら、避け様とする。

もう片手で、逃げ道を封じた。

鼻と鼻があと数センチでくっつきそうになる。

彼女の吐息が。

とてもくすぐったい。

「…こよ」

ガチャッ

玄関からしたその音に、体が反射的に離れた。

今。

一体なにをしようとしていた…!?

自分で自分の行動が信じられなかった。

カァッと顔を真っ赤に染めている彼女を見ていたら、自分の頬まで熱くなった。

「か、帰る…!」

勢いをつけて立ち上がった彼女は、真っ赤な顔でお辞儀をすると玄関に向かった。

「遥ちゃん…!また来るね!!」

玄関先から少し上ずった声が聞こえた。

あ〜

一体なにをしているんだ。

話を聞いていて分かっただろう。

一生叶わない。

それなのに。

燻っている気持ちを押さえられなかった。

あんな、視線1つで。

クラスメートなんだぞ。

「これから一体どういう顔をすればいいんだよ…」

明日からも普通に学校がある。

明日からどんな顔をすればいいんだ。

「連兄?」

「…ああ、遥か。お帰り」

「どうかしたの?連兄顔真っ赤」

鏡を覗き込んだ自分は確かに顔を真っ赤にしていた。

Re: 秘密 ( No.471 )
日時: 2015/02/01 15:27
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

帰り道、必死に顔を隠していた。

まさか、まさかな。

朝霧が、そんな…

気のせいだ、気のせい

何度も自分を落ち着かせようと思ったが、暴れる心臓は収まる気配を一向に見せない。

さっきの朝霧はまるで。

まるで。

「アリス?」

「…圭!?」

今一番会いたくない。

「顔真っ赤。なにを話してたの?」

やはり、顔が赤くなっていたか。

自覚は確かに合った。

「いや…なんでもない…」

圭は変な所で鋭いから、それが嘘だとすぐに分かっただろう。

それでも何も言わずに手を繋いでいてくれたことは、確かに嬉しかった。

圭の手は大きくて、固くて、温かかった。

「…言っておくけど、絶対に惚れたりなんかしないから!」

絶対に絶対に。

惚れたりなんかしない。

圭にも。

朝霧にも。

「今の内だよ、そんなこと言えるのも。」

そういってさらに強く握ってきた圭に。

不覚にもときめいてしまった自分が情けなかった。

まだ心臓は。

暴れたまま。


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