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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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136章
>>644->>647
137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.602 )
- 日時: 2016/07/12 23:11
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「私は沢山のものを捨てた。娘と、復讐心以外の全てを捨てた。」
そうやって過ごしているうちに、私はそれらなしでは生きていけなくなった。
何をしていても、どこにいても。
心はあの牢に戻ってしまう。
彼の傍にいて、ようやく私は生きている心地がする。
そこでなければ、私は死んだのと変わらない。
何も食べた心地がしない。
眠った心地もしない。
痛みも、安らぎも、全てが鈍くなる。
全てが、まるで夢の様に。
何も感じられない。
全てが、灰色のまま。
「あなたの隣でだけ…私は生きていられるの」
彼の傍にいて、初めて世界が彩られ。
痛みや安らぎに安堵することが出来る。
「あなたが私をこんな風にした。」
憎くて、たまらない。
だからきっと、この私の気持ちはなにかの呪い。
少しでも。
彼のことを愛しいと想う、なんて。
彼に残された時間が少ないのなら。
その最後の一瞬まで、彼の中を私でいっぱいにしてやる。
絶対に忘れられない様に、心に杭を打ち込んでやる。
「忘れさせてたまるか。私が、あなたの中でいかに小さな存在であろうと。」
絶対に、絶対に、忘れさせてたまるか。
吐かれる言葉は憎しみに満ちているのに。
私の中には、それでは同じくらいの愛しさが溢れてる。
でも、それは絶対口にしない。
彼の命が消えるまで。
彼は救われることを望んでいない。
苦しむことを、幸せとしている。
許されることを、望んでいない。
だから、私は彼の傍にいる。
「だから、私はお前を殺さない。」
部屋の隅にナイフを投げ捨てる。
私にも、彼にも、届かない様に。
死んで楽になんてさせない。
彼の最大の理解者として、彼の傍に留まる。
死んでしまったら、もう何も伝えることも。
私のことを覚えていることも出来ない。
そんなの、許さない。
「生きて生きて、私の存在を刻みつけろ。」
花瓶の破片が、私の腕を傷つける。
小さな傷から、血が流れる。
それでも構わず、彼の頭を抱き寄せる。
どうしようもないほど、愛に近い憎しみを。
私は彼に抱いている。
- Re: 秘密 ( No.603 )
- 日時: 2016/07/14 23:51
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
バタンッと扉を叩きつける様に開けられた。
部屋には、両手を広げて倒れているテオドールと。
そこに馬乗りになっているアリスそっくりの女のひと。
長い金髪が絨毯の上に広がる。
少し艶めかしくも見える、その光景だが。
けれど、2人の間に漂う濃密な空気は他を寄せ付けなかった。
たった2人だけの世界で完結している様に。
閉ざされた歪な世界を。
垣間見た気がした。
- Re: 秘密 ( No.604 )
- 日時: 2016/07/17 23:46
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・126章 残された時間、傍にいる為に・〜
「…トールか」
調べていたので、知っている。
テオドールの、右腕ともいえる存在だ。
鉄砲玉というよりもなんでもこなす汎用武器の様な存在で重宝されている。
やがてバタバタと足音が続き、小柄な女の子が飛び込んできた。
アリス=エイベル
娘のアリス=ベクレルの代用品として作り出された化け物。
娘と、同じ。
完全記憶能力と、人を騙すことに長けている。
その能力はエリスにも引けを取らない。
知ってる。
知ってる。
彼の傍にいる為に、調べた。
「幽ちゃん」
ゴーストと言う通り名から幽、という日本語名を与えられている。
トールと並んで、どちらもテオドールとは切っても切れない存在だ。
知っている。
テオドールが彼らに何をしたのか。
彼らがなにを抱えていたのか。
全て、あの脆い戒めの紙に記されていた。
知らずに、彼の傍にはいられない。
傍にいる為なら、そのくらい当然。
入手するために苦労したが、この先一緒にいられるなら。
安すぎる代償だ。
「テオドールを殺しはしない。」
馬乗りになっていた所を、立ち上がる。
続くように緩慢な動きで、テオドールも体を起こす。
トール達に向き合うと、私は吐き捨てる様に告げた。
「テオドールに残った時間、全て私が貰い受けた。」
彼らの過去も今も知っている。
大変だし、苦労しただろうし、今も苦しんでいるだろう。
同情だってしてやりたいくらいだ。
正常だったら、助け出したいとか思っただろうな。
でも、もう心が麻痺して痛まない。
私が人として当たり前の様に心痛めるには。
テオドールの存在が不可欠だ。
- Re: 秘密 ( No.605 )
- 日時: 2016/07/19 00:50
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
テオドールの抱えるものを知っている。
知らずに傍に、いられない。
「テオドールの残された時間は、全て私が貰おう。」
残された時間、彼の傍に留まる。
私のことを忘れられない様に。
「必要ならば、仕事の補佐もする。介護も介抱もしてやろう。
どの道、こんな容体じゃ使えないだろう。私の娘を使え。」
トールが足を振り上げる。
早さは凄まじいが、それを少しずらして受け流す。
流れる様な動きでトールは次の攻撃に移る。
それを腕を使って攻撃を逸らす。
生粋の汎用武器であり、武道派であるトールと勝負などはなから成立しない。
真向に勝負できなくても、それでも避けるだけならできる。
軌道を逸らせるくらいなら、できる。
出来る様に、訓練した。
テオドールは私が馬乗りになっても、抵抗しなかった。
否、抵抗することが出来なかったんだ。
それほど衰弱しているのに、いつも通りの激務をこなしたのは素直に感心する。
だが、いつまでも長続きするものでもない。
放置しておけば、もっと状態は酷くなるだろう。
「後継者に仕事を教えるのも、仕事のうちだ。勿論休むのもな。」
人離れしたこの男の。
人間らしい一面を一番傍で見つめてやる。
覚えていてやる。
世界中の誰一人知らない優しさを、弱さを、温かさを。
私だけは、覚えていてやる。
それが男にとって苦痛でしかなくても。
この我が儘だけは、貫き通そう。
「私の娘は、君達が思うよりずっと。有能で、強かだ。」
トールからの追撃に対応しながら、答える。
その場しのぎの避けなど、長続きしない。
経験に関しては、彼には敵わない。
彼の体力切れを狙うのも、難しい。
先に、こちらの方が限界に達してしまう。
力があるうちに、向かいうつしかない。
「文句は誰にも言わせない。」
後ろに、勢いよく跳躍する。
そうして距離を稼ぐ。
先程投げ捨てたナイフを再び握りしめる。
私の取り柄は身軽さにある。
ナイフを持つというのは、重荷を背負うのと同じ。
けれど、ナイフが使えない訳じゃない。
蹴りを正直に受けていては負荷が大きい。
幽はあまり戦闘訓練を受けていないと聞く。
あくまで人並だと。
娘の代用品としてなら、確かに護身術くらいしか覚えていなくても不思議ではない。
けれど、警戒は怠らない。
ナイフを構え、トールに向かって突っ込む。
刺さらなくていい。
ただ、一瞬防御の体勢に入るはずだ。
そしてそれだけで十分だ。
気が一瞬このナイフに向かうだけで。
「ストップ」
そこに鶴の一声がかかった。
- Re: 秘密 ( No.606 )
- 日時: 2016/07/26 16:58
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「ストップ」
見ていれば、おおむね状況は分かった。
というか、この部屋に仕込んだ盗聴器でずっと様子は確認していた。
実際に部屋を見回すと、思っていたより部屋は騒然としていた。
床には花瓶の破片が散らばり、幽は能面の様な顔で戦況を見ていた。
テオドールは緩慢な動きで、衣服を整えている。
ナイフを構えたトールと向き合っているのは、私の服を身にまとっている女。
見れば見るほど、私によく似ている。
否、私が彼女に似たのだ。
母の手にもナイフが握られ、腕からは血がいくつかの筋と成り絶えず流れている。
絨毯は母の血を吸いこんで赤くなっている箇所がある。
「状況は把握しました。」
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