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- 秘密
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ここは皆の秘密基地。
そこに響く彼女の歌声。
これは彼女と彼女を取り巻く皆の物語———————
〜・目次・〜
序章
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137章
>>648->>651
138章
>>652->>655
作者の言葉
>>401
作者の言葉 2020.7.2
>>656
*参照10000 有難うございます*
これは自分の案を組み合わせて作ったオリジナルストーリーです。
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- Re: 秘密 ( No.652 )
- 日時: 2017/06/15 22:43
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
〜・138章 気付けなかったもの・〜
「とりあえず、これを使わずに済んでよかったよ。」
アリスがポケットから取り出したのは、黒光りする拳銃だった。
それが出てきた瞬間、ギョッとした。
「腕に力がないから、小さい型のを貰ったんだけど…それでもやっぱり重い。」
「あの…アリスさん?何でそんなもの持ってるのかな?」
脂汗をかきながら、やんわりと尋ねる。
あからさまなぐらい、苦笑いを浮かべているだろう。
「試したくて。」
にっこり、と満面の笑みで返された。
「あっ、別に射撃の練習したい訳じゃないよ。
それは室内でちゃんとする所があるから。外じゃ危ないしね。」
聞きたいのはそういうことじゃないんだけど…
でも、こうやってアリスと軽口叩くのも久しぶりだ。
いつもは、お互いが大事すぎて。
優しい言葉ばかりを交わしていたから。
最近はお互い、厳しい事ばかりを話していたし。
「…自分を止められるか、試したかったんだ。」
アリスの顔にはまだ微笑みが残っている。
「圭に言われて、止まれるか。自分の為に圭を撃てるか、試したかった。」
「…結果はどうだった?」
アリスの話を聞いてから、自分の中にも変化が起きた。
いつもなら、拳銃を持っていたら驚いて取り上げていた。
叱って、きつく抱きしめて、止めろって叫んでた。
でも、今のアリスにはそれが必要だから。
そう言う道を、アリス自身の意思で選んだから。
「…分かんない。」
ん〜、と空を仰ぎながらアリスは続けた。
「圭に言われても自分が変わらなかったら、それどころか圭を撃てたら。
きっともう何をしても無駄なんだな、救いようがないなって思ってたから。」
一緒にいて、苦しいことがあった。
アリスの中には、自分を憎む気持ちもあるだろう。
それだけのことを、自分はしたんだ。
でも…
憎む気持ちと同じくらいに、愛しくも想っていてくれたんだ。
そんな相手、この先絶対に見つからない。
「でも…今は撃てなかった。なら、まだ救いようはあるのかもね。
結構ギリギリだったけど。」
「ギリギリって…人の命を…」
「大丈夫。狙っても足だよ。」
「そういう問題じゃないっ!」
お互いの顔に笑みが浮かびながら。
物騒な単語を交えながら。
声をあげて笑っている。
こんな日が、来るなんて思わなかった。
アリスはこの先誰かを傷つけることもあるだろう。
誰も傷つけないで済むなんて、そんな簡単な問題じゃない。
それくらい分かっている。
でも。
今のアリスならきっと。
人の気持ちを組んで、多くの人が幸せになる様な。
そんな道を、必死に探していくのだろう。
だから、もう心配することなんてなかった。
- Re: 秘密 ( No.653 )
- 日時: 2017/07/07 22:00
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
3人が帰国する前日、私は激務の休みをもらった。
それは母やエリスのささやかな気づかいだった。
1日の休みをもらってしまうと、圭たちが帰った後しんどそうだから。
夜だけ休みをもらうことにした。
夕食の席に顔を出すと、3人は顔をほころばせて笑ってくれた。
私はアニエスに残ることを3人に伝えた。
「アリスが心から決めたことであるなら。止めません。
でも、辛くてたまらない時はいつでも連絡を。会いに来ても良いですから。」
「…ありがと、マリー。その時はまた、何時もみたいに笑って抱きしめて。」
「怪我とかは…気を付けろよ。危なそうな仕事だし。」
「非力だしね。精一杯気を付けるよ。ありがと、リン」
「やりたいこと、悔いのない様に。納得いくまでやってきな。」
にっこりと笑って返す。
「それは私の得意分野だよ。ありがと、圭。」
それからは和やかに食事を始めた。
お互いのこれからの指針を話し、談笑した。
リンは医者をやめ、マリーは家業を継ぎ、圭は夢を見つける所から。
大学の話、取ろうと思う資格の話。
マリーとリンに関しては結婚も視野に入れているらしい。
教会で挙げたいとか、真っ白なウエディングドレスが良いとか。
ブーケトスは私に投げてくれるとか。
色々なことをマリーが言う隣で、リンは真っ赤な顔をしていた。
2人は変わらないな。
見ていて微笑ましく、すぐにでも結婚式の招待状が届きそうだ。
食事を終え、別室に移った。
2人の延々と続く惚気を聞いて、私も昨晩圭と交わした会話を伝えた。
「長くにわたって、迷惑を掛けてすいませんでした。」
頭を下げると、即座にマリーが一声かけた。
「2人のことに口を出す気はありません。
アリス達がその道を選んだのなら、それが良いと思ったのでしょう?」
こう言った時、人目を憚らず真っ先に声を掛けてくれる。
そんなマリーが持つ、煌めく様な強さに憧れずにはいられなかった。
顔をあげさせ、にっこりと微笑んだマリーの顔は。
私が追い求める笑顔そのものだった。
優しく、力強く、温かで、不安を吹き飛ばすような笑顔。
ずっとずっと大好きだよ、マリー。
- Re: 秘密 ( No.654 )
- 日時: 2018/02/13 15:56
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「ほんっと、馬鹿だな。」
後ろから聞こえたリンの大きな声に、一瞬体がびくっと震えた。
リンは思い切りしかめっ面をしていて、怖かった。
鬼気迫るというのはこんな顔だと思った。
「悪いのはこっちもだよ。不安だって言うなら、ずっと傍にいてやる。」
言うと同時に、そっと抱きしめてきた。
思えば、リンに抱きしめられるのはバレンタイン以来だ。
背丈が圭より高いせいか、少し屈む様な形になっている。
おんぶされた時も思ったが、大きな背中だ。
「いてやるってのは違うな。いさせてください、だ。」
優しい、声だった。
「言わないのが悪いとは言わない。言えない気持ちも分かる。」
だけど、と続ける。
「それでも、アニエスのことがなくてもアリスのことが好きだよ。
大事だってことは、覚えとけ。これから先ずっと。」
2人は、私がこれから進んでいく道をちゃんと理解している。
救いなんて見えない、暗くて危ない道。
私は主に頭を使うことになるだろうけど。
それでも任務に駆り出されることもあると思う。
そのための、訓練だと思うから。
人員不足ってのもあるけど、なにより私だけが安全な場所にいたくないから。
武器を持つこともあるだろうし、殺す技術も覚えるだろう。
それらを分かって、後押ししてくれている。
「…もっと、反対すると思ってた。」
「アニエスのこと?それとも圭のこと?どっちにしろ、するわけないじゃん。」
抱きしめられているので、顔は見えないけれど。
声は明るく、自信で溢れていた。
「前からずっと考えてたことだけど、アニエスのことを解決するってどういうことか。
アリスのお父さんの暴君をやめさせること?それとも、アニエスからの追手がいなくなればいの?」
…リンも、マリーも。
ちゃんと私のことを考えていてくれたんだな。
ずっと、気付かなかった。
当たり前になり過ぎていたから?
私がなにも見ようとしていなかったから?
どちらにしろ、愚かだ。
「多分どれも違うと思ってた。暴君をやめても、追手が来なくても。
どっちにしても、救われないと思ってる。今でも。」
しっかりした言葉が、私の中に降り積もっていく。
リンの言葉が、私の中にしっかり届いている。
その実感がある。
「だって、例えアリスのお父さんがいなくなったって。
アリスのお父さんが積み上げてきた物までなくなる訳じゃないから。」
リンの強さに、ずっと憧れていた。
人の目を気にせず、まっすぐに抱きしめてくれる手を。
迷いながらも人の為に、自分の道を突き進む背中を。
ずっと追いつきたいと思っていた。
「アリスのことを今まで管理してたのも…
お父さんが積み上げてきた人望あってだと思うから。」
確かに。
父がいなければ、私はただの小娘だ。
物覚えが良くたって、何の意味もない。
それでも私がアリスとして、アニエスに呼び戻されるのは。
エリスもトールも、アレクシスも。
父のことを信じているからだ。
父は私よりずっと頭が良いのに。
それでも、こんな私なんかに委ねることがあるのは。
私が父の娘だからだ。
「お父さんがいなくなっても、きっとここの人達は。
お父さんの言葉をずっと信じつづける。だから、無理だと思ったんだ。」
気付かなかった。
何時も助けてくれるリンが、裏ではそう想っていてくれたこと。
彼らの中にだって私やリンと同じように、繋がりがある。
歪かもしれないけど、それはエリスたちにとっても大事なものなんだ。
「反対しないってきっぱり言えるほど、割り切れないけどね。」
ただの暴君に、あんなに人はついていかない。
父に受け入れられ、居場所をもらい、救われている心も確かにあるんだ。
「でも、引きとめるほどの技量もないよ。」
…私はずっと気付けなかった。
気付こうとしなかった。
何でも分かった気がしていたけど、本当はなにも分かってなかったんだな。
最近はそれをひどく痛感する。
「反対するなら、アリスより頑張ってからにする。」
- Re: 秘密 ( No.655 )
- 日時: 2019/11/07 17:13
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
それから私がこれからアニエスでしていくことを話していった。
少し気は引けたけど、隠しても仕方ない。
これからは些細なことも、ちゃんと話せるようになりたい。
3人には知る権利があるはずだから。
「書類の山かな。それと軽く護身術。護身術はもともと少しやってたけど。」
アニエスのことを知るのは難しくて、今も書類の整理しか仕事がない。
それでも量は膨大で、それを淡々とこなす父が恐ろしい。
アニエスの歴史や今の状況が分からないと、なにも出来ない。
情報の整理ですら大変だ。
エリスやアレクシスの補助は受けているけど、難しくて頭が痛くなる。
「拳銃とか、一応扱いは覚えるつもりだけど…実弾は使わない。
麻酔銃とかゴム弾とか、催涙弾にするつもり。」
書類を読んだだけで知った気になるのはもうたくさんだ。
運動音痴で、バランス感覚壊滅的、体力だってない。
体だって丈夫じゃないし、筋肉痛で次の日動けなくなる。
歩きどおしだって辛いくらいだ。
トールやエリスみたいに前線に立つというのは、敵わないだろう。
「麻酔銃って対人用にはできてないんじゃなかったっけ?」
リンが口を挟む。
流石、元医者志望。
「撃ってから暫く効かないし、量を誤ると死に至らしめる。
実際には使えない、役に立たないって言われてるけど…実銃は致死性が高いから。」
それもそうか、と頷く。
人を傷つけたくないというのは、甘過ぎる私の理想だ。
「それに拳銃は扱いが難しくて。間違って同士討ちになるのも避けたいから。
未熟な私が実銃を持つのは危なすぎるよ。」
物騒な単語を出すと、少し顔をこわばらせながら笑っている。
いつも通りは、やっぱり少し難しい。
でも、慣れようとしてくれている。
心配はしてくれるけど、引きとめはしない。
「…止めないんだね。」
素直な感想を述べてみた。
「ここにいる間、アリスが頑張ってたの知ってますから。
驚くけど、否定はしません。人が死ぬのを望んでいる訳じゃないだろうし。」
…よく分かっている。
私が人が傷つくのが嫌いだということに。
だからこそ、彼らとの距離感に戸惑っていた。
傷つけずに傍にいる方法が分からなくて。
「アニエスとして、誰かを傷つけるかもしれないよ?」
「それは誰かを守るため、でしょう。
実銃を使わないのも、精一杯の優しさだと思ってます。」
それでも、普通に考えれば私のしていることは善ではない。
誰かを守るために、誰かを傷つけるのは。
許されることなのだろうか…?
誰に許しを乞う必要もないのに。
そんなことが頭によぎった。
「傷つけるって言うのは、銃などの物理攻撃には限らない。」
リン…?
「そういうことだろ、万里花。」
ええ、と嬉しそうに微笑んで再びマリーはこちらを見る。
「こうしている今でも、平和な世界でも傷つけ合いが起きてます。
目に見えないだけで、言葉や行動で人を傷つけています。
母が父のもとを去ったのも、優しさでしたが結果私や父を傷つけました。」
マリーとマリーの父を置いて家を出ていったマリーの母。
それによって3人とも何時も苦しんでいた。
でも、その発端は優しさだった。
そうマリーは言う。
「優しさのつもりでも、それは誰かを傷つける。
だから強くなりたいんです。少しでも優しさで傷つけられない様にも。」
その言葉を聞いていた、圭が気まずそうな表情を浮かべる。
圭の私に向けての行動も、全ては善意だった。
私を大事に想い、慈しんで、その結果だった。
「優しさで傷つけてしまった人を、傷つけないように。」
この世の全て良いことで周っているとは思わない。
性善説なんて信じていない。
…でも
それと同じくらいに。
本当の悪ってものは存在しないんじゃないかって思った。
「このままいけば、確実にアニエスの国のひとびとは傷付きます。
なら、それに抗ったっていいはずだと私は考えます。」
穏やかに笑いながら、マリーは諭す様に続けた。
「力って言うのは日常に溢れかえっています。
言葉だって力です。立場だって力です。
誰もが持っていて、傷つけたり守ったりする不思議なものです。
力は人を傷つけるけど、それがなければ何もできません。」
こうやってマリーに背を押されるなんて、一体だれが想像できただろう。
私の進んでいる道は間違っていないと、後押しされる日がくるなんて。
「月並みの言葉ですが。
暴力はよくないといって、誰も守れないことが一番の暴力ですよ。」
私を罪悪感から救うための嘘かも知れない。
「人を救う力があるのに、行使しない方がひどいと思いませんか?
ちゃんとした意志があるのなら、きっと大丈夫です。」
でも、そこに漂う優しさを。
今ならちゃんと受け止められる。
「アリスなら人の気持ちを汲んでくれると、信じてますしね。」
3人の誰もが私の道を応援してくれている。
信じた道を突き進めと。
言わんばかりに。
「アリスはさ、善悪なんてものに囚われ過ぎ。」
アリスはさ、と言う言葉。
文頭につけるのが、圭の癖。
最近気付いたことだった。
「1人の命の為に、大勢が死ぬのは悪いこと?
大勢の為に1人の生け贄がささげられるのが良いこと?
違うでしょ、数じゃない。」
人の生き死には、例えどれほど数に開きがあっても。
命ってのは天秤にのせるものじゃない。
いつだったか、圭から似た様なことを聞いた気がする。
「今まではアリスが一人で背負おうとしてるから、それが嫌だった。
イラついたし、引きとめもした。
でも、守りたいものを自分で守りたいんだって分かったから。
こうやって応援してるんだよ。」
スキースクールだったかな。
ああそうだ、思い出した。
あの屋根の上で、似た様なことを言ってくれていた。
「自分の守りたいものは自分で守る。他人任せにしない。
その為に、力を付けていくんだ。
これからアリスがやることは、力を付けて抗って守ることだから。」
圭は私の両肩に手を置き、頭を肩にのせた。
祈る様に。
慈しむように。
おまじないを掛けるように。
…守る様に。
「武器を持たず、生きて人を救える道を歩いていく。
それがアリスの進む道でしょ。なら、応援だってするよ。させてよ。」
いつだって包まれていた。
母の愛も、エリスの優しさも、そして3人のかけがえのない想いも。
どうして今まで気付かなかったのだろう。
私はずっと前から温かくて愛しい人達に出逢っていたんだ。
私もまた、彼らのことを優しく抱きしめ返せたら。
きっとそんなに幸福なことはない。
- Re: 秘密 ( No.656 )
- 日時: 2020/07/02 17:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
ご無沙汰しています、作者の雪です。
この度は一身上の都合で長い間、更新をストップさせてしまい申し訳ありませんでした。
「秘密」は完結までのおおよそ展開は既に決めていて、この先も更新を続けられたらと思っています。
同時に本作初期の拙く未熟なストーリーに手を加えたいとも考えていました。
頑張って構築した世界観を持ったまま更新を続けるか、新しく本作を初めから仕切り直すか。
どちらも捨てがたい選択で踏み切ることが未だに出来ていません。
もし新しく仕切り直すのならば、こちらにコメント共にURLを張り付けて新しいコメディ・ライト小説のに投稿していきたいと思っています。
どんな形であれ「秘密」は最後まで書ききるつもりです。
長々とお待たせしながら煮え切らない物言いになってしまい申し訳ありません。
「秘密」を読んで、数年前になりますが投票してくださった皆々様には感謝の気持ちしかありません。
今までありがとうございました。
そしてこれからもよろしくお願いします。
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