神々の戦争記
作者/はぜのき(元海底2m

第一章 第三話 「たかが幻、されど幻。彼の瞳もいつも幻(殴」-21
『ガキン―――ッ!!』
金属音がけたたましく鳴り響くと、反動で無は真里谷の作り出した土壁に身を打ち付けた。
井上はスタッと地面に立ち、刃と化している腕に息を吹きかける。
無は体を起こすと唾を吐いた。
『――私を薙ぎ払うとは、さすがだ』
「一応それなりの訓練はしてるからね」
井上はにっこり笑うと足を蹴って無に両腕を突き刺そうとする、が――
『ドスッ!』
雲となった無を通り過ぎ、刃先は土壁をぶち抜いた。
-*-
「ギャ――――――――――――――――――――――――ッ!!!!!」
勇は突如として目の前に現れたナイフを見て絶叫すると、そのままどてんと地面に落ちた。
訳が分からないといった様子で壁を見上げる。が、既にそこには何もない。
「畜生、何かと思ったぜー…… てかやっぱり命綱!あと鉤爪!」
※↑中で死闘が繰り広げられているとは知りもしない馬鹿(16♂)
勇は素手で登るのをあきらめ、ふーむと唸っていたが、やがてポンと手を叩いた。ひらめいた。
「そうだ!登って駄目なら――――」
勇はズンズンズンと土壁から離れると、思いっきり助走をつけた。そしてそのまま――
「ぶっ壊す!!!!!!!!!!!!!」
勇は蹴りを入れた、とその時――
『ズグオオオオオオオオンッ!!!』
「んが!?」
一瞬で色々なことが起きた。
勇の蹴った部分は打ち砕け、さらにそこから金属質の巨体が姿を現している。
勇は反動で飛ばされたが、何事もなかったかのようにその巨体をまじまじと見つめる。
「……なんだコレ?」
勇はとりあえず、それを押してみることにした。
巨体に手を掛け、全体重を押しかけるとズズズズッと中にめり込んでいく。そして――
ずぼっ
勇は上半身だけ、ぽっかりと空いた穴にスッポリ嵌ってしまった。

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