神々の戦争記
作者/はぜのき(元海底2m

第五話 「裏鉄隊と残された一匹」-25
「っしゃ着いたぞお前らーーー!!」
「「「いぇーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!」」」
夜8時。
平常訓練終了と共に、裏鉄隊メンバー一同は基地最寄り(バスに揺られて45分)の焼き肉店にやってきた。
しかし、正確には『一同』というわけではなかった。
「そういえば、黒御影さんと御伽さんが来てませんね……」
「あぁ、あの二人は来ないらしい」
「ヴィータ三佐も来てないようだな」
ファレンと真里谷の会話を聞いて、思い出したように川島が言った。が、勇はすぐさまそれに反発した。
「いいしあんなナルシスト野郎!さっさと中入ろうぜー!」
勇は川島の手を引くようにしてのれんをくぐった。
「ちょっ、五十嵐!」
引きずり込まれる川島を見て、メンバーがゲラゲラ笑いながら続いて中に入った。
席に座ってしまえばこっちのものである。
「ドリンクの方お決まりでしたらお先に伺います」
ちょっと気の弱そうな女性店員がやってきた。真っ先に手を上げたのは勇である。
「俺コーラ!」
「あたしファンタ!」
「あっ、じゃぁ私オレンジジュースで!」
「僕は……アップルでお願いします」
「日本酒で」
「私はお水でいいです」
「俺も水でいいっす」
「ちょっと待てどさくさに紛れて酒頼んだ奴誰だー」
真里谷が言うと、すかさず榊がびしっと手を上げる。同時に爆笑がはじけた。
もはや階級など関係ない。完全にアットホームな雰囲気に包まれている。
「すみません、気にしなくていいですから」
困惑気味の女性店員に川島が詫びを入れると、店員は軽く頭を下げてそそくさと行ってしまった。
-*-
「えー、それでは今から五十嵐君が、和式トイレに頭から突っ込んだイノシシやりまーす」
「「「「イェーーーーーーイ!!!」」」」
もう何がなんだか分からないテンションで、会は進行していた。
初めはどこかよそよそしかったメンバーも、今は声を上げて笑っている。
「んじゃ次川島なー、ブヒ」
「ちょっと待てなぜそこで俺に振る!?」
「川島なんかネタねぇのかネタ」
「ありませんよそんなもん!」
「じゃここは女装で勘弁してやる。持ってきてるからとっとと着替えて来い」
「いやいや勘弁になってないっす!てか持ってきてるんすか!!」
「当たり前だろ。ほらファレン、出してやれ」
「はい」
「しれっと答えるなーーーー!!」
ついに桐山が耐えきれずに床に転がった。急性横隔膜痙攣症である。
戦う者の夜はまだまだ続く。

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