神々の戦争記

作者/はぜのき(元海底2m

第四話 「コメディを取り戻すべく旅へと出かけよう」-20


第五会議室のドアは開いていた。

三人が恐る恐るといった様子で顔を出すと、荒川が前のほうで立っていた。
しかし、その後ろに並ぶ長テーブルには数人の防衛員が腰をおろし、顔を連ねている。

その時、勇の隣で敬礼する気配が感じられた。

「川島誠也防衛二士、荒川二曹の招集命令により参りました」
「お、同じく五十嵐勇二士参りました!」

慌てて後に続いた勇、桐山が敬礼を終えると、荒川が案内をした。

「適当に座れ。じきに集まる」

言われて三人は三つ並ぶ空席に腰を下ろした。


勇が腰を下ろすと、左隣の防衛員が声をかけてきた。

「やぁ、この間はどうも」
「え、あ、はい……」

あっれー、誰だっけかなぁ、と、内心汗を流して顔をあげると、顔覚えの悪い勇でも今回ばかりは忘れていなかった。

「ッ!!お前!あの時のおっさ――」

大声をあげそうになった勇の口を、防衛員は慌てて抑えた。


――――間違いない――

長い銀髪、紫の眼、そして若干(かなり)ナルシスト――――!!











――――ビター・チョコフォンデュッ!!!!!!!




「ヴィータ・フォルティスだ。食べ物にしないでくれるかい?」

ヴィータは口を押さえたままそっと耳元で囁いた。


こ、コイツ――――!!!!
借りが返せてねぇぞ今すぐぶっ飛ばしてやる――――!!!!!


しかし、口元を押さえられているだけなのに、まるで全身を鎖で縛られているかの様に身体が全く動かない。

「ッ!んぐぐ――――!……」


しばらくして、勇はがっくりとあきらめを付けた。

それを見てか、ヴィータはゆっくりと手を外し、勇はガクリと額をテーブルに付けた。そして左を見てジロリとヴィータをにらみつける。

ヴィータは無視しているのか本当に気づいていないのか、前を見据えたままだ。


――くそー…… いったいぜんたい、何でこいつがここに…………


そう思った時、ドアがばたりと閉まり、荒川がバンと教卓らしき机をたたいた。
はっと顔をあげると、そこには滝浦も来ていた。

荒川は静かに、しかし威厳をもった口調で言った。



「ようこそ、第八期特殊戦闘部隊、『裏鉄(ウラガネ)隊』の諸君」



























部屋はシンとした空気に包まれた。